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JP3738418B2 - 折畳部の咥え装置 - Google Patents

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JP3738418B2
JP3738418B2 JP2001217625A JP2001217625A JP3738418B2 JP 3738418 B2 JP3738418 B2 JP 3738418B2 JP 2001217625 A JP2001217625 A JP 2001217625A JP 2001217625 A JP2001217625 A JP 2001217625A JP 3738418 B2 JP3738418 B2 JP 3738418B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、輪転機の折畳部に設けられる咥え胴の咥え装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
輪転機の折畳部で、上流側から案内された連続紙を折胴の外周面に巻き付けつつ、適宜長さに切断し、切断されて折胴の外周面に沿って案内された紙を、折胴に設けられた差し刃により折胴に近接して設けられた咥え胴内に差し込み、これを咥え胴内にて咥えることによって、前記切断した紙を折胴の中心線と平行に折り畳むようにした咥え胴に設けた咥え装置については、例えば実開平2−55672号の全文明細書及び実開昭60−193365号の全文明細書に示されたものが公知である。
【0003】
前記した従来の技術のうちの第1従来技術(実開平2−55672号の全文明細書)には、折胴の差し刃と近接対向する位置にある咥え胴の外周面上の開口部で、回転方向の後方側壁面の先端に設けられる固定あごと、前記開口部内で固定あごと対向して、前記差し刃で差し込まれた紙を固定あごとの間に咥えるために、紙を咥える位置と、そうでない位置とに移動可能にした平板よりなる可動咥えと、固定あごの紙を咥える面及び可動咥えの紙を咥える面の両方またはいずれか一方の咥えられる紙の先端部と対向する位置に、この先端部の紙が解放されるように設けた段差とで構成される咥え位置が示されている。
【0004】
また、前記した従来の技術のうちの第2従来技術(実開昭60−193365号の全文明細書)には、折胴の差し刃と近接対向する位置にある咥え胴の外周面上の開口部で、回転方向の後方側壁面の先端に設けられた固定あごと、前記開口部内で固定あごと対向して、前記差し刃で差し込まれた紙を固定あごとの間に咥えるために、紙を咥える位置と、そうでない位置とに移動可能にした平板よりなる可動咥えと、可動咥えを貫通して固定あごに対向して設けられ、差し刃で差し込まれた紙を固定あご側へ押し付けるピンと、このピンに押しつけ力を伝達する板ばねと、ピンと対向する固定あご面に設けられ、差し込まれた紙をピンとともに咥えるウレタン材とで構成する咥え装置及びピンに対向する位置が切り欠かれた差し刃が示されている。
【0005】
他方、通常の場合、咥え装置は、固定あごと可動咥えによって紙を咥える際に咥える紙の厚さの相違への対応及び差し刃を咥え装置から抜き出した後に生じる差し刃の厚さ分の緩みを解消できるように、可動咥え側の支持部などにばねなどの反発部材を介在させた構成になっている。
【0006】
以上記載の各従来技術では、折胴の外周面に案内された連続紙は、その先行側が折胴に設けた保持機構で保持され、折胴の回転によって折胴の外周面に巻き付けられながら折胴の外周面に沿って案内され、次に、切断機構により予め定められた長さに切断される。
【0007】
更に被切断紙は、折胴の外周面に沿って案内され、適宜位置にて先行側が保持機構から解放されながら折胴に設けた差し刃で咥え胴内に差し込まれる。この咥え胴内に差し込まれた差し刃及び紙は、差し刃と対向する咥え胴の開口部内で固定あご及び可動咥えにより咥えられる。
【0008】
このとき、第1従来技術においては、固定あごと可動咥えとで差し刃及び差し刃の両側の紙を咥えた後、差し刃が抜き出されるときに、差し刃で差し込まれた差し刃の両側に位置する紙の間に差し刃の厚さ分の空間ができるが、この空間は、可動咥え側に設けた反発部材の作用により閉じられ、完全に咥え胴の固定あごと可動咥えに咥えられ、被切断紙は折胴の中心線と平行に折り畳まれる。そして前記被切断紙が咥え胴の固定あごと可動咥えにて咥えられるときには、折り畳まれる紙の先端部は、前記固定あご及び可動咥えの両方、またはいずれか一方の段差により咥えられることから解放された状態になっている。
【0009】
また、第2従来技術においては、固定あごと可動咥えとで差し刃及び差し刃の両側の紙を咥え、更に板ばねのたわみによる反発力により固定あご側のウレタン材と可動咥えとの間の紙だけをウレタン材とピンとで咥える。次に、差し刃が抜き出されるときに、差し刃で差し込まれた差し刃の両側に位置する紙の間に差し刃の厚さ分の空間ができるが、この空間は、可動咥え側に設けた反発部材の作用により閉じられ、完全に咥え胴の固定あごと可動咥えにより咥えられるとともに、板バネの反発力で紙を押し付けているピンは、そのままウレタン材に紙を押し付けながら、被切断紙は折胴の中心線と平行に折り畳まれる。
【0010】
以上のように、それぞれの従来技術の咥え装置により折り畳まれた紙は、その後、咥え胴の咥え装置に咥えられながら咥え胴の回転とともに案内され、適宜位置にて咥えから解放され、下流側の排出機構に引き渡される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来技術には、幾つかの解決すべき課題があった。すなわち、第1及び第2従来技術においては、差し刃にて被切断紙が咥え胴の固定あごと可動咥えとの間に差し込まれるときに、固定あごと差し刃間に挟まれた紙は逃げ場がなく、差し刃と固定あごにしごかれながら紙が折り畳まれる。
【0012】
また、前記に加え、第2従来技術においては、ピンと対向する固定あご面に設けられたウレタン材の摩擦抵抗によりこの間に差し込まれる紙は前記と同様にしごかれ、また、こすられるので、この紙の表面が汚れるとともに、重なり合った紙が押し付けられることにより、それぞれ向い合わせの印刷面が写る、セットオフが生じ、紙面が汚れてしまう。
【0013】
更に、第2従来技術においては、ピンは板ばねにより押し付け力が伝達されているので、紙を咥えていないときは、常に可動咥えの咥え側の面よりピンが突き出た状態にあるため、差し刃が突き出されて被切断紙を咥え胴の固定あごと可動咥えとの間に差し込むときに、紙が突き出たピンに接触し、紙表面に傷が生じる場合があった。また、ピンで被切断紙を咥える際に、押し付け面積の狭いピンで咥えるので、このことによっても紙表面に傷が生じる場合があった。
【0014】
また、第1及び第2従来技術における可動咥えは、被切断紙を咥える際に、必ず差し込まれた紙のほかに差し刃を咥えるので、紙だけを咥えるときより紙及び差し刃を咥えたときの可動咥えの可動咥え側に設けられた反発部材の押し付け力は差し刃の厚さ分だけ強くなってその分紙を強く咥えるので、セットオフが生じ、紙面が汚れてしまっていた。
【0015】
また、第1従来技術のように、固定あごと平板の可動咥えで差し刃と紙を咥えたときに、差し刃を抜き出す際に、固定あごと可動咥えのいずれにも紙のすべりを抑えるものがないので、紙が差し刃とともに咥え胴の外へ引き出されてしまい、折り畳まれる紙に乱れが生じる恐れがある。
【0016】
この発明は、前記従来の技術がかかえていた課題を一挙に解決しようとするもので、差し刃が突き出されてこれにより被切断紙が固定あごと可動咥えとの間に差し込まれるときに、被切断紙がスムーズに抵抗なく挿入されて、この差し刃の差し込み時に生じる紙面の傷や汚れをなくし、また、差し刃を咥えずに、差し込まれた被切断紙だけを固定あごと可動咥えの作用部で咥えることにより、差し刃も一緒に咥えたときの咥えが強すぎたときに生じる紙面の汚れをなくし、更に、差し刃が咥え装置から抜け出るときの紙の乱れを防ぐことができる折畳部の咥え装置を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明に係る折畳部の咥え装置は、鋸胴と折胴と咥え胴を平行に設け、鋸胴と折胴の間に案内された連続紙を、その先行側を折胴に設けた保持機構で保持して折胴の回転によって折胴の外周面に巻き付けつつ折胴の外周面に沿って案内し、鋸胴と折胴とに設けられた切断機構の共同作用にて予め定められた長さの被切断紙に切断し、更にこの被切断紙を折胴の外周面に沿って適宜位置まで案内し、被切断紙の先行側を保持機構から解放するとともに、この被切断紙の中間部を折胴に設けた紙幅方向に断続する作用部を有する差し刃で咥え胴内に差し込み、この差し込まれた紙を咥えることによって、前記被切断紙を折胴の中心線と平行に折り畳む、輪転機の折畳部の咥え胴に設けた咥え装置において、回転によって折胴の差し刃と近接対向する咥え胴の外周面に咥え胴の中心線と平行で、かつ差し刃の作用部を差し込み可能にして設けた少なくとも1つの開口部と、開口部の咥え胴の中心線と平行な内壁の一方側に、差し刃の作用部に対応する位置に逃がし部を、差し刃の作用部に対応しない位置に作用部を交互に配して、差し刃が被切断紙を差し込んだときに、差し刃の作用部に対応する被切断紙が不要な押し付け力を受けることなく差し込まれるように設けるとともに、作用部を平面状に形成した固定あごと、固定あごと対向して咥え胴の中心線と平行に配するとともに、差し刃が被切断紙を差し込んだ後に固定あごに近接した咥え位置とそうでない位置とに移動可能に可動咥えを設けた咥え手段を有する構成になっている。
【0018】
そして前記構成の折畳部の咥え装置において、可動咥えが、固定あごと対応させて作用部と逃がし部をそれぞれ備えた構成にした。
【0019】
【作用】
紙幅方向に断続する作用部を有する差し刃にて、被切断紙を咥え胴の咥え装置内へ差し込んだときに、被切断紙の差し刃の作用部に対応する部分が、固定あごの逃がし部に、不要な押し付け力を受けることなく差し込まれる。
【0020】
また、可動咥えが被切断紙を咥え位置に移動した後でも、固定あごの逃がし部と可動咥えとの間では、差し刃の作用部と被切断紙を、これらの間の隙間がなくなる程度に押えるだけとなり、また、差し刃の作用部がない部分では、被切断紙は固定あごの作用部と可動咥えの作用部とで、被切断紙との間に差し刃を介在することなく咥えられる。
【0021】
また、差し刃の作用部が咥え胴の外側へ引き出され、折り畳まれようとする被切断紙から離れる際に、この被切断紙は、紙幅方向を断続状に固定あごの作用部と可動咥えの作用部とで咥えられてしっかり保持される。また差し刃の作用部に対応する部分は、固定あごの逃がし部と可動咥えとで隙間がなくなる程度に押えられる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図10は、この発明の咥え装置の1つの形態を実施した折畳部を示す概略的な説明図であり、図1はこの図10のA−A矢視断面で、差し刃挿入時を示す断面図、図2は図1のB−B矢視断面図、図3は図1のC−C矢視断面図である。
【0023】
また、図4は図10のA−A矢視断面で、紙咥え時を示す断面図、図5は図4のD−D矢視断面図、図6は図4のE−E矢視断面図である。
【0024】
また、図7は図10のA−A矢視断面で、差し刃抜き出し時における紙咥え状態を示す断面図、図8は図7のF−F矢視断面図、図9は図7のG−G矢視断面図である。
【0025】
図10に示すように、この発明の1つの形態を実施した輪転機の折畳部16は、互いに平行に設けられているとともに、互いに対向する外周面が同一方向へ同期して回転されるようにした鋸胴1、折胴2及び咥え胴3を備えている。
【0026】
鋸胴1には、後に説明する折胴2に設けられた鋸刃受け4とともに切断機構6を構成する鋸刃5が、その外周面の180度位相を違えた位置に設けられている。
【0027】
折胴2には、前記鋸刃5とともに切断機構6を構成する鋸刃受け4がその外周面を5等分した各位置で、かつ鋸胴1の鋸刃5の間隔と同一間隔位置に設けられているとともに、折胴2の回転方向において鋸刃受け4の後方側近傍に保持機構である針7が折胴2の中心線方向(紙の幅方向)に複数設けられ、更に各鋸刃受け4相互の中間であって、かつ外周面を5等分した各位置に、紙幅方向に断続する作用部21(図1参照)を有する差し刃8が設けられている。
【0028】
そして、折胴2が、その外周面を鋸胴1の外周面と近接して相対するとともに、咥え胴3の外周面とも近接して相対するように、鋸胴1と咥え胴3の間に配置されており、鋸胴1の鋸刃5と折胴2の鋸刃受け4とがそれぞれ順次両胴の外周面の近接対向位置で対向し、また、折胴2の差し刃8と咥え胴3のこの発明に係る咥え装置9とがそれぞれ順次両胴の外周面の近接対向位置で対向し、それぞれ対向面の回転方向が同一の向きで同期して回転するように設けられている。
【0029】
咥え胴3に設けられるこの発明の実施の形態に係る咥え装置9は図1、図2及び図3に示されるように、咥え胴3の外周面に設けられた開口部10と、この開口部10内に設けられた固定あご11及び咥え手段12とで構成されており、これを以下に説明する。
【0030】
開口部10は、回転によって折胴2の差し刃8と近接対向する咥え胴3の外周面に位置し、図10に示した実施の形態では差し刃8の折胴2の外周方向の列の数と同じで、かつ周方向に同じ間隔位置に、咥え胴3の中心線と平行に設けた空間であり、この開口部10内に、後に説明する固定あご11及び咥え手段12がおさまっている。
【0031】
固定あご11は、前記開口部10の咥え胴3の回転方向の先行側壁面の先端部に配され、後に説明する可動咥え13と共同して咥え作用をする作用部20と、咥え作用をしない逃がし部17が咥え胴3の中心線と平行な方向に沿って交互に設けられている。固定あご11の作用部20は、後に作用説明する折胴2に設けられた差し刃8の断続する作用部21以外の部分に対応する位置に設けた面であり、差し刃8で咥え胴3の咥え装置9内に被切断紙W1が差し込まれた際に、差し刃8の作用部21がない位置で紙と接するようになっている。
【0032】
また、この固定あご11の作用部20は、後で説明する可動咥え13の作用部18と共同して被切断紙W1を咥える際には、前記差し刃8の作用部21がない位置で、差し込まれた紙の部分だけを咥えることができるようになっている。更に、差し刃8の作用部21が抜き出される際には、可動咥え13の作用部18と共同したままで紙を咥えた状態を保つようになっている。
【0033】
固定あご11の逃がし部17は、前記開口部10の咥え胴3の回転方向の先行側壁面先端において、折胴2に設けられた差し刃8の断続する作用部21に対応する位置に、差し刃8と平行に配され、平行方向長さが差し刃8の作用部21の長さより長く、しかも、前記固定あご11の作用部20が可動咥え13の作用部18と共同して被切断紙W1を咥える際の被切断紙W1の厚さ方向に段差を設けて逃がした面である。
【0034】
そして、この逃がし部17は、差し刃8で咥え胴3の咥え装置9内に被切断紙W1を差し込んだ際に、差し刃8の作用部21と対応し、差し刃8の作用部21及びこの作用部21によって差し込まれた被切断紙W1を段差の逃げにより余裕を持って受け入れ、後で説明する可動咥え13の逃がし部19と共同して、間に差し刃8を差し込んだ状態で、被切断紙W1を両側より隙間がなくなる程度に軽く押えて折り畳むようになっている。したがって、この状態で差し刃8が抜き出される際には、大きな抵抗とはならない。
【0035】
咥え手段12は、可動咥え13と、可動咥え13の基部を固定するブラケット14及びブラケット14が取付けられる駆動伝達軸15とで構成されている。そしてこの駆動伝達軸15は、ブラケット14を介して可動咥え13を、この可動咥え13の作用部18と固定あご11の作用部20と共同して被切断紙W1を咥える位置とそうでない位置との間で移動させるようになっている。
【0036】
可動咥え13は、固定あご11の作用部20及び逃がし部17と対向して咥え胴3の中心線と平行に、紙幅方向に連続状にして取り付けられ、固定あご11の作用部20と対応する位置に作用部18が、固定あご11の逃がし部17と対応する位置に逃がし部19が設けられた凹凸のある板状物である。
【0037】
可動咥え13の逃がし部19は、可動咥え13の作用部18が固定あご11の作用部20と共同して被切断紙W1を咥える際の被切断紙W1の厚さ方向に凹む段差を設けて逃がした面である。
【0038】
ブラケット14は、可動咥え13の咥え胴中心側を固定するべく可動咥え13と平行に、紙幅方向に適宜個数設けられている。
【0039】
駆動伝達軸15は、中間部に前記ブラケット14が取り付けられ、咥え胴3の開口部10内に咥え胴3の中心線と平行に、かつ軸の両側を軸受けで回転可能に支持され、また、咥え胴3の側面から突出した端部に取り付けられた図示しないアームを介してコロが設けられ、咥え胴3の側面に設けられた図示しない固定カムにコロが案内されて角変位を行うようになっている。
【0040】
なお、可動咥え13は、これの作用部18と逃がし部19と紙幅方向に分割して、これらを図示しないブラケットを介して駆動伝達軸15に取り付けるようにしてもよい。
【0041】
また、図示しないが、可動咥え13は逃がし部19を設けない形状としてもよい。その場合には、前記折胴2の差し刃8により差し込まれた被切断紙W1は、咥え装置9の固定あご11の作用部20及び逃がし部17と可動咥え13との間に差し入れられ、差し刃8の作用部21と、この差し刃8の作用部21で咥え装置9内に差し込まれた被切断紙W1とを固定あご11の逃がし部17と可動咥え13とで共同して受け入れて軽く押え、また、差し刃8の作用部21がない被切断紙W1だけの部分では、この被切断紙W1を固定あご11の作用部20と可動咥え13の作用部18とが共同して咥えるようになっている。
【0042】
なお、可動咥え13に逃がし部19を設けないときは、固定あご11の逃がし部17をより大きく逃がして設けるのが好ましい。
【0043】
以上記載した実施の形態における装置の作用について説明する。この構成によれば、折畳部16の稼動により鋸胴1、折胴2、咥え胴3が、前記したように同期して回転する。
【0044】
そして、図示しない適宜の上流側の装置によって、連続紙Wが図10に示される折畳部16の鋸胴1の外周面と折胴2の外周面との近接対向位置に送り込まれる。この連続紙Wは、折胴2の外周面から突き出した針7に突き刺されて紙幅方向の複数個所で保持され、その保持された位置のすぐ先行側が、鋸刃5が鋸刃受け4に咬み込むことによって切断される。
【0045】
針7に保持された連続紙Wは、折胴2の回転によってこれの後続部分が鋸胴1の外周面と折胴2の外周面との近接対向位置を通過し、折胴2に巻き込まれながら案内され、折胴2が5分の1回転すると、鋸胴1の外周面と折胴2の外周面との近接対向位置を通過中の部分が、再度折胴2の外周面から突き出した針7に突き刺されて紙幅方向の複数個所が保持され、その保持された位置のすぐ先行側が、鋸胴1の鋸刃5が鋸刃受け4に咬み込むことによって切断される。これにより、図10に示すように、回転方向先行端部分が折胴2の針7にて保持され、後続端が前記のようにして切断された被切断紙W1が形成される。以後、鋸胴1と折胴2との近接対向位置では、上記のように連続紙Wの保持と切断が繰り返されて、順次被切断紙W1が形成されていく。
【0046】
先行端部分が折胴2の針7に保持された被切断紙W1は、折胴2の回転に従ってその針7による保持部が折胴2の外周面と咥え胴3の外周面との近接対向位置を通過する。そして、被切断紙W1の長手方向の中央部が折胴2の外周面と咥え胴3の外周面との近接対向位置に至り、差し刃8が被切断紙W1を介して咥え胴3の咥え装置9と対向すると、針7が折胴2の外周面から内側に埋没し、被切断紙W1を針7による保持から解放するとともに、差し刃8が折胴2の外周面から外側へ突き出されて、被切断紙W1の略中央部を咥え胴3の咥え装置9内に差し込む。
【0047】
咥え装置9においては、図1、図2及び図3に示されるように、前記折胴2の差し刃8により差し込まれた被切断紙W1は、咥え装置9の作用部20及び逃がし部17からなる固定あご11と可動咥え13との間に差し込まれる。
【0048】
差し刃8の作用部21によって、被切断紙W1が咥え胴3の固定あご11の逃がし部17と可動咥え13の逃がし部19との間に差し込まれたときにおける状態、すなわち、差し刃8の作用部21と固定あご11の逃がし部17及び可動咥え13の逃がし部19との間の紙の状態を図2に示している。また、同じ時の、差し刃8の作用部21部がない位置の固定あご11の作用部20と可動咥え13の作用部18との間に差し込まれた被切断紙W1の状態を図3に示している。
【0049】
その後、図4、図5及び図6に示されるように、駆動伝達軸15が図示しない固定カムにより角変位し、可動咥え13を固定あご11に向けて移動変位して咥え手段12を閉じ、図4及び図5に示されるように、差し刃8の作用部21及び差し刃8の作用部21で差し込まれた被切断紙W1を、固定あご11の逃がし部17と可動咥え13の逃がし部19との間で隙間がなくなる程度に抑える。また、図4及び図6に示されるように、差し刃8の作用部21のない位置の被切断紙W1は、固定あご11の作用部20と可動咥え13の作用部18との間に咥えられる。
【0050】
次に、図7、図8及び図9に示されるように、固定あご11の作用部20と可動咥え13の作用部18で前記のように被切断紙W1を咥えた状態を保ちながら、折胴2の差し刃8の作用部21が被切断紙W1から抜き出されることにより、被切断紙W1は、折胴2の中心線と平行に折り畳まれ、図10に示すように、折帳W2となる。
【0051】
すなわち、咥え胴3の咥え装置9では、差し刃8の作用部21と対応する位置に、少なくとも固定あご11の逃がし部17を設けているので、差し刃8が被切断紙W1を咥え胴3の咥え装置9に差し込んだときに、差し刃8の作用部21に対応する被切断紙W1が、固定あご11の逃がし部17に、不要な押し付け力を受けることなく差し込まれる。
【0052】
また、差し刃8の作用部21がない位置の被切断紙W1が、固定あご11の作用部20と可動咥え13の作用部18との間に、不要な押し付け力を受けることなく差し込まれるので、被切断紙W1が差し刃8によって固定あご11に強く押し付けられることがなく、外面が損傷したり互いに接触す面間でセットオフすることによる汚れを防止できる。
【0053】
また、可動咥え13が被切断紙W1を咥える位置に移動した後でも、固定あご11の逃がし部17と可動咥え13の逃がし部19との間では、差し刃8の作用部21と被切断紙W1を隙間がなくなる程度に押えるだけとなり、また、差し刃8の作用部21がない部分で被切断紙W1を固定あご11の作用部20と可動咥え13の作用部18とで咥えるので、従来技術のように、差し刃8の厚さを考慮して被切断紙W1を強く咥えることはないので、互いに接触する面間でセットオフすることによる汚れが生じることがない。
【0054】
また、図7、図8及び図9に示されるように、差し刃8の作用部21が咥え胴3の外へ引き出され、折り畳まれる被切断紙W1から離れる際に、折り畳まれる被切断紙W1は、紙幅方向を断続的に固定あご11の作用部20と可動咥え13の作用部18とで咥えられてしっかりと保持されている。
【0055】
また、差し刃8の作用部21に対応する部分は、固定あご11の逃がし部17と可動咥え13の逃がし部19とで隙間がなくなる程度に押えられているだけであるので、差し刃8は抜けやすく、咥えられている被切断紙W1が差し刃8と一緒に咥え胴3の外周面の外に引き出されることはなく、紙の縁がそろった状態で折り畳まれる。
【0056】
上記咥え装置9の作動は、可動咥え13に逃がし部を設けない場合でも、略同様に行われる。
【0057】
そして図10に示されるように、咥え装置9は、折帳W2を咥え、咥え胴3の回転とともに折帳W2を咥え胴3の外周面に沿って案内し、咥え胴3が折胴2との近接対向位置、つまり咥え位置から略5分の3だけ回転すると可動咥え13が固定あご11から離れる向きに移動し、咥え手段12を開いて折帳W2を図示しない下流側の排出機構に引き渡す。
【0058】
このように折胴2と咥え胴3による作用が、前記鋸胴1と折胴2の連続作用に引き続いて連続的に行われ、折り畳みが続けられる。
【0059】
この実施の形態では、咥え装置9の固定あご11を、開口部10の咥え胴3の回転方向の先行側壁面先端に設けたが、これは、開口部10の咥え胴3の回転方向の後方側壁面先端に設け、これに咥え装置12を対向するようにしてもよい。
【0060】
以上説明した折畳部16は、鋸胴1、折胴2、咥え胴3の直径比を略2対5対5対とした例で示したが、各胴の直径比はこれに限定するものではない。
【0061】
【発明の効果】
この発明は以上の記載の通りであるので、この発明の実施により以下のような効果を得ることができる。
【0062】
紙幅方向に断続する作用部を有する差し刃にて、被切断紙を咥え胴の咥え装置の開口部内へ差し込んで、この開口部の固定あごと可動咥えにて咥えるときに、この開口部の固定あごの差し刃の作用部と対応する位置に、逃がし部が設けてあるので、被切断紙の差し刃の作用部に対応する部分が、固定あごの逃がし部に沿って逃がされて、この部分に不要な押し付け力を受けることなく被切断紙が差し込まれ、また被切断紙の差し刃の作用部がない位置の部分は、固定あごの作用部と可動咥えの作用部との間に、不要な押し付け力を受けることなく差し込まれるので、被切断紙は、差し刃によって固定あごに強く押し付けられることがなくなり、外面が損傷したり互いに接触する面間でセットオフすることによる汚れが生じることがなくなり、印刷品質を良好に保つことが可能になった。
【0063】
また、可動咥えが被切断紙を咥える位置に移動して固定あごと可動咥えにて被切断紙を咥えた後でも、固定あごの逃がし部と可動咥えとの間では、差し刃の作用部と被切断紙を、これらの間の隙間がなくなる程度に押えるだけとなり、また、差し刃の作用部がない部分では、被切断紙を固定あごの作用部と可動咥えの作用部とで、被切断紙の間に差し刃を介在することなく咥えるので、この部分の被切断紙は差し刃の厚さを考慮して被切断紙を強く咥えることがなくなり、互いに接触する面間でセットオフすることによる汚れが生じることがなくなり、印刷品質を良好に保つことが可能になった。
【0064】
また、差し刃の作用部が咥え胴の外側へ引き出され、折り畳まれようとする被切断紙から離れる際に、折り畳まれようとする被切断紙は、紙幅方向を断続状に固定あごの作用部と可動咥えの作用部とで咥えられてしっかり保持されることになり、また、差し刃の作用部に対応する部分は、固定あごの逃がし部と可動咥えとで隙間がなくなる程度に押えているだけであるので、被切断紙を咥え装置内へ押し込んだ後の差し刃は抜けやすく、咥えられている被切断紙が差し刃と一緒に咥え胴の外周面の外に引き出されることがなくなり、紙が乱れることによる不良折帳の発生を防止できた。
【0065】
また、請求項2記載の発明では、可動咥えに固定あごと対応させて作用部と逃がし部をそれぞれ備えたことにより、可動咥えの逃がし部において、差し刃の作用部と被切断紙を隙間がなくなる程度に軽く押えることが容易となるので、可動咥えが被切断紙を咥える位置に移動した際に、被切断紙のセットオフすることによる汚れを更に少なくすることが可能になった。
【0066】
また、差し刃の作用部が咥え胴の外へ引き出され、折り畳まれようとする被切断紙から離れる際に、差し刃は更に抜けやすくなるので、紙が乱れる不良折帳の発生防止をより良好、かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図10のA−A線矢視断面図で、この発明の実施の形態の差し刃挿入時を示す説明図である。
【図2】 図1のB−B線矢視断面図である。
【図3】 図1のC−C線矢視断面図である。
【図4】 図10のA−A線矢視断面図で、この発明の実施の形態の紙咥え時を示す説明図である。
【図5】 図4のD−D線矢視断面図である。
【図6】 図4のE−E線矢視断面図である。
【図7】 図10のA−A線矢視断面図で、この発明の実施の形態の差し刃抜き出し時における紙咥え状態を示す説明図である。
【図8】 図7のF−F線矢視断面図である。
【図9】 図7のG−G線矢視断面図である。
【図10】 この発明の咥え装置の1つの形態を実施した折畳部を示す概略的説明図である。
【符号の説明】
1…鋸胴、2…折胴、3…咥え胴、4…鋸刃受け、5…鋸刃、6…切断機構、7…針(保持機構)、8…差し刃、9…咥え装置、10…開口部、11…固定あご、12…咥え手段、13…可動咥え、14…ブラケット、15…駆動伝達軸、16…折畳部、17…固定あごの逃がし部、18…可動咥えの作用部、19…可動咥えの逃がし部、20…固定あごの作用部、21…差し刃の作用部、W…連続紙、W1…被切断紙、W2…折帳。

Claims (2)

  1. 鋸胴と折胴と咥え胴を平行に設け、鋸胴と折胴の間に案内された連続紙を、その先行側を折胴に設けた保持機構で保持して折胴の回転によって折胴の外周面に巻き付けつつ折胴の外周面に沿って案内し、鋸胴と折胴とに設けられた切断機構の共同作用にて予め定められた長さの被切断紙に切断し、更にこの被切断紙を折胴の外周面に沿って適宜位置まで案内し、被切断紙の先行側を保持機構から解放するとともに、この被切断紙の中間部を折胴に設けた紙幅方向に断続する作用部を有する差し刃で咥え胴内に差し込み、この差し込まれた紙を咥えることによって、前記被切断紙を折胴の中心線と平行に折り畳む、輪転機の折畳部の咥え胴に設けた咥え装置において、
    回転によって折胴の差し刃と近接対向する咥え胴の外周面に咥え胴の中心線と平行で、かつ差し刃の作用部を差し込み可能にして設けた少なくとも1つの開口部と、
    開口部の咥え胴の中心線と平行な内壁の一方側に、差し刃の作用部に対応する位置に逃がし部を、差し刃の作用部に対応しない位置に作用部を交互に配して、差し刃が被切断紙を差し込んだときに、差し刃の作用部に対応する被切断紙が不要な押し付け力を受けることなく差し込まれるように設けるとともに、作用部を平面状に形成した固定あごと、
    固定あごと対向して咥え胴の中心線と平行に配するとともに、差し刃が被切断紙を差し込んだ後に固定あごに近接した咥え位置とそうでない位置とに移動可能に可動咥えを設けた咥え手段を有する、
    ことを特徴とする折畳部の咥え装置。
  2. 可動咥えが、固定あごと対応させて作用部と逃がし部をそれぞれ備えたことを特徴とする請求項1記載の折畳部の咥え装置。
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