JP3738225B2 - 新規キラル銅触媒とそれを用いたn−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、新しい銅触媒とそれを用いたN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は新規キラル銅錯体と、それを用いてエナンチオ選択性高くN−アシル化アミノ酸誘導体を製造する不斉Mannich型反応に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】
自然界には、多くの重要なN−アセチルアミノ酸誘導体が存在する。例えば、カルシウム拮抗性を有する蘭藻類Scytonema sp.(strain U-3-3)の主な代謝生成物であるScytonemin A(Helms, G.L; Moore, R.E., Niemczura, W.P., Patterson, G.M.L., Tomer, K.B., Gross, M.L. J.Org.Chem. 1998, 53, 1298)、Theonella属の海生海綿体由来の抗菌性ペプチドであるTheonellamide F(Matusnaga, S., Fusetani, N., Hashimoto, K., Walchli, M. J.Am.Chem.Soc. 1989, 111, 2582)、スフィンゴ脂質(Dickson, R.C. Annu. Rev. Biochem. 1998, 67, 27)を始めとする多くのものが単離、報告されている(Humphrey, .M., Chamberlin, A.R. Chem. Rev. 1997, 97, 2243; von Dohren, H., Keller, U., Vater, J., Zocher, R. Chem. Rev. 1997, 97, 2675; Koltr, T., Sandhoff, K. Angew.Chem.,
Int. Ed. 1999, 38, 1532など)。
【0003】
これらの天然物質やその類似体には、高い生理活性が期待される。したがって、このような化合物を立体選択性高く合成することができれば、天然物質の作用機構の解明や新しい医薬品の開発に重要な知見が得られると考えられる。
【0004】
天然化合物やその類似化合物を化学合成によって生産する方法としては、α−イミノエステルとエノラートの立体選択的Mannich型反応(Kobayashi, S., Ishitani, H. Chem. Rev. 1999, 99, 1069)が効率的である。発明者らは、最近、ジルコニウム触媒による立体選択的Mannich型反応方法を開発し、報告している(Ishitani, H., Ueno, M., Kobayashi, S. J.Am.Chem.SOc. 1997, 119, 7153; Kobayashi, S., Ishitani, H., Ueno, M. J.Am.Chem.Soc. 1998, 120, 431; Ishitani, H., Ueno, M., Kobayashi, S. J.Am.Chem.Soc. 2000, 122, 8180; Kobayashi, S., Ishitani, H., Yamashita, Y., Ueno, M., Shimizu, H. Tetrahedron 2001, 57, 861)。また、α−イミノエステルの不斉マンニッヒ反応に関しても多くの報告がなされている(例えば、Hagiwara, E., Fujii, A., Sodeoka, M. J.Am.Chem.Soc. 1998, 120, 2474; Ferraris, D., Young, B., Dudding, T., Lectka, T. J.Org.Chem. 1999, 64, 2168他)。
【0005】
しかし、これら公知の反応方法では、生成物からN−保護基をはずし、さらにアシル化する必要があり、煩雑な操作を要した。
【0006】
そこで、より効率的な反応方法として、N−アシルイミノエステルをエノラートと反応させてN−アシル化アミノ酸誘導体を直接得る方法が検討された。しかし、出発物質として用いられるN−アシルイミノエステルの多くは、不安定であり、有機合成への適用範囲が限定されていた。さらに、発明者らは、トリフルオロメタンスルホン酸銅と配位子から得られる新規キラル銅錯体を報告しているが、このような新規キラル銅錯体においても、末端にフェニル基等の芳香族基を有するN−アシルイミノエステルを出発物質とする場合には、不斉Mannich型反応による立体選択的なN−アシル化アミノ酸誘導体合成が実現されていなかったのが実情である。
【0007】
したがって、この出願の発明は、以上のとおりの問題点を解決し、末端に芳香族環状置換基を有するN−アシルイミノエステルを出発物質とする、簡便で効率的な立体選択的Mannich型反応を可能とする触媒系を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、以上のとおりの課題を解決するものとして、まず、第1には、次式(I)
CuClO4・4CH3CN (I)
で表される化合物と、次式(II)
【0009】
【化8】
【0010】
(ただし、R1は、置換基を有していてもよい芳香族基である)
で表される(S)-xylyl-Bis[bis(R1)phosphino]-1,1'-binaphthylを混合して得られることを特徴とする新規キラル銅触媒を提供する。
【0011】
また、第2には、この出願の発明は、R1が3,5−ジメチルフェニル基である前記の新規キラル銅触媒を提供する。
【0012】
この出願の発明は、第3には、エナンチオ選択的にN−アシル化アミノ酸誘導体を製造する方法であって、次式(III)
【0013】
【化9】
【0014】
(ただし、R2は置換基を有していてもよい芳香族基、R3は置換基を有していてもよい炭化水素基である)
で表されるN−アシルイミノエステルと、次式(IV)
【0015】
【化10】
【0016】
(ただし、R4は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、R5はトリアルキルシリル基、R6は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基である)
で表されるシリルエノールエーテルを、次式(I)
CuClO4・4CH3CN (I)
で表される化合物と、次式(II)
【0017】
【化11】
【0018】
(ただし、R1は、置換基を有していてもよい芳香族基である)
で表される(S)-xylyl-Bis[bis(R1)phosphino]-1,1'-binaphthylを混合して得られるキラル銅触媒の存在下に反応させることを特徴とするN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法を提供する。
【0019】
この出願の発明は、第4には、エナンチオ選択的にN−アシル化アミノ酸誘導体を製造する方法であって、次式(III)
【0020】
【化12】
【0021】
(ただし、R2は置換基を有していてもよい芳香族基、R3は置換基を有していてもよい炭化水素基である)
で表されるN−アシルイミノエステルと、次式(IV)
【0022】
【化13】
【0023】
(ただし、R4は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、R5はアルキル基、R6は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基である)
で表されるアルキルビニルエノールエーテルを、次式(I)
CuClO4・4CH3CN (I)
で表される化合物と、次式(II)
【0024】
【化14】
【0025】
(ただし、R1は、置換基を有していてもよい芳香族基である)
で表される(S)-xylyl-Bis[bis(R1)phosphino]-1,1'-binaphthylを混合して得られるキラル銅触媒の存在下に反応させた後、酸処理することを特徴とするN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法を提供する。
【0026】
そして、この出願の発明は、第5には、キラル銅触媒において、R1が3,5−ジメチルフェニル基である前記いずれかのN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法をも提供する。
【0027】
【発明の実施の形態】
この出願の発明では、次式(III)
【0028】
【化15】
【0029】
(ただし、R2は置換基を有していてもよい芳香族基、R3は置換基を有していてもよい炭化水素基である)
で表されるN−アシルイミノエステルと、次式(IV)
【0030】
【化16】
【0031】
(ただし、R4は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、R5はトリアルキルシリル基、R6は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基である)
で表されるシリルエノールエーテルを、新規キラル銅触媒の存在下に反応させることにより、エナンチオ選択的にN−アシル化アミノ酸誘導体を製造する。
【0032】
また、シリルエノールエーテルの代わりに、前記(IV)におけるR5がアルキル基であるアルキルビニルエーテルを用いた場合には、N−アシルイミノエステルと前記のキラル銅触媒の存在下に反応させた後、酸処理させれば、エナンチオ選択性高くN−アシル化アミノ酸誘導体が製造される。
【0033】
この新規キラル銅触媒は、次式(I)
CuClO4・4CH3CN (I)
で表される化合物と、次式(II)
【0034】
【化17】
【0035】
で表される(S)-xylyl-Bis[bis(R1)phosphino]-1,1'-binaphthyl((S)-R1-BINAP)を、例えば溶液中で混合して得られるものであり、単離されたものを触媒として用いてもよいし、反応溶液中でin situで錯形成させたものであってもよい。
【0036】
この出願の発明の新規キラル銅触媒において、式(I)で表される化合物
CuClO4・4CH3CN (I)
は、試薬として市販されているものがあれば、そのようなものを用いてもよいし、例えば、Kubas,G.J. Inorganic Synthesis; Shriver, D.F., Ed.; Plenum: New York, 1979; Vol. XIX, p90等に記載の公知の方法で合成したものを用いてもよい。また、(S)-R1-BINAPについては、市販されているものを用いてもよいし、種々の公知あるいは新規の方法により合成されたものを用いてもよい。
【0037】
この出願の発明の新規キラル銅錯体では、R1としてキシリル基、とくに、m−キシリル基を有するものが好ましい。すなわち、前記の(I)の化合物と、次式
【0038】
【化18】
【0039】
で表される(S)-xylyl-Bis[bis(3,5-dimethylphenyl)phosphino]-1,1'-binaphthyl((S)-xylyl-BINAP)を混合して得られる新規キラル銅錯体では、不斉Mannich反応によって得られるN−アシル化アミノ酸誘導体において、高い収率や立体選択性が得られるのである。このことは、後述の実施例からも明らかである。
【0040】
(S)-xylyl-BINAPは、(株)高砂ケミカル等によって市販されているものを用いてもよいし、Mashima, K., Kusano, K., Sato, N., Matsumura, Y., Nozaki, K., Kumobayashi, H., Sayo, N., Hori, Y., Ishizaki, T., Akutagawa, S., Takaya, H. J.Org.Chem. 1994, 59, 3064等に記載の公知の方法によって合成したものを用いてもよい。
【0041】
これら(I)および(II)をいずれも溶解できる溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン等)に溶解し、混合すればこの出願の発明の新規キラル銅触媒が得られる。
【0042】
この出願の発明のN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法において、次式(III)
【0043】
【化19】
【0044】
のN−アシルイミノエステル中のR2は、置換基を有していてもよい芳香族基、R3は置換基を有していてもよい炭化水素基である。R2としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、3,5−ジメチルフェニル、4−クロロフェニル等が例示される。一方、R3としては、不斉Mannich反応を阻害しないものであればよく、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル等のアルキル基、中でもメチルやエチル等の短鎖アルキル基とすることが好ましい。これらの置換基は、不斉Mannich型反応の生成物であるN−アシル化アミノ酸誘導体に反映されることから、目的とするN−アシル化アミノ酸誘導体に応じて適宜選択すればよい。中でも反応の障害にならないメチルやエチル等の短鎖アルキル基とすることができる。
【0045】
この出願の発明のN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法は、前記のN−アシルイミノエステルは、次式(IV)
【0046】
【化20】
【0047】
の化合物と反応される。このとき、(IV)において、R4は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であり、具体的には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−メチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、4−クロロフェニル等が例示される。また、R7は水素原子であってもよいし、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル等のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基等の炭化水素基や、これらにハロゲン、S、N、O等のヘテロ原子や置換基が結合した基から選択される。一方、R5については、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等のトリアルキルシリル基とすることもできるし、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル等のアルキル基としてもよい。R5がトリアルキルシリルエーテルの場合には、(IV)はシリルエノールエーテルとなり、アルキル基の場合には、(IV)はアルキルビニルエーテルとなる。(IV)では、とくに、R4は不斉Mannich反応後に生成物のN−アシル化アミノ酸誘導体中に残留することから、目的とするN−アシル化アミノ酸誘導体に応じてR4を適宜選択すればよい。
【0048】
この出願の発明のN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法において、反応物であるN−アシルイミノエステルとシリルエノールエーテル(またはアルキルビニルエーテル)は、試薬として市販されているものや公知の有機合成方法により合成、単離されるものを用いてもよいし、化合物の単離が難しいものや不安定なものについては、Mannich型反応に際してin situで合成して用いてもよい。
【0049】
さらに、この出願の発明のN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法において、Mannich型反応は、前記の新規キラル銅触媒の存在下で行われるものであればよく、その反応条件はとくに限定されない。例えば、反応は、各種の有機溶媒中で行われることが好ましい。溶媒は、出発物質であるN−アシルイミノエステルやシリルエノールエーテル(またはアルキルビニルエーテル)、そして触媒を溶解できるものであればよく、反応温度において固化あるいは分解しないものであればよく、とくに限定されない。例えば、クロロホルムやジクロロメタン等の含ハロゲン溶媒等が例示される。反応温度は、各反応物質が安定で触媒がとくに効率的に作用する温度範囲であればよく、好ましくは室温以下の低温、より好ましくは、−100℃〜室温程度とする。さらに、具体的な反応操作については、一般的な化学反応において実施される攪拌、分離、精製等の操作が適用できる。
【0050】
以下、実施例を示してこの出願の発明についてさらに詳細に説明する。もちろん、この出願の発明は、以下の実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0051】
【実施例】
以下の実施例において、融点は補正せずに表示した。
【0052】
また、1Hおよび13CNMRスペクトルは、特記しない限り、CDCl3中でJEOL JNM-LA300、JNM-LA400、またはJNM-LA500スペクトロメーターにより測定した。1Hでは、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として用いた(δ=0)。また、13Cでは、CDCl3を内部標準として用いた(δ=77.0)。
【0053】
IRスペクトルは、JASCO FT/IR-610スペクトロメーターを用いて測定した。
【0054】
円旋光性は、JASCO P-1010旋光計により測定した。
【0055】
高速液体クロマトグラフィーは、SHIMADZU LC-10AT(液体クロマトグラフ)、SHIMADZU SPD-10A(紫外線検知機)、およびSHIMADZU C-R6Aクロマトパックを用いて行った。
【0056】
ガスクロマトグラフィーおよびマススペクトルはSHIMADZU GC-17AおよびSHIMADZU GCMS-QP5050Aを用いて測定した。
【0057】
カラムクロマトグラフィーは、Silica gel 60 (Merck社)で、また薄層クロマトグラフィーは、Wakogel B-5F(和光純薬)を用いて行った。
【0058】
いずれの反応もアルゴン下、乾燥させたガラス機器を用いて行った。
【0059】
N−アシルイミノエステル2は高分子固定化アミン(Kobayashi, S., Kitagawa, H., Matsubara, R. J.Comb.Chem. 2001, 3, 401)を用いて対応するα−ブロモグリシン誘導体(Ueno, M. Kitagawa, H.Ishitani, H., Yasuda, S., Nishijima, K., Hanada, K., Kobayashi, S. Tetrahedron Lett. 2001, 42, 7863)より調製した。
<実施例1> 新規キラル銅触媒を用いた不斉Mannich型反応
次式(A)に従って、N−アシル化アミノ酸誘導体を新規キラル銅触媒を用いた不斉Mannich型反応により製造した。
【0060】
【化21】
【0061】
CuClO4・4CH3CN(3.2 mg, 0.010 mmol)を真空下室温で1時間乾燥した。これに、(S)-xylyl-BINAP(8.1 mg, 0.011 mmol)((株)高砂ケミカル)のジクロロメタン(1.0 mL)溶液をアルゴン下で加え、得られた淡黄色溶液を0.5時間攪拌した。
【0062】
溶液を−78℃まで冷却した後、N−ベンゾイル−α−イミノエステル(化合物2)(0.1 mmol)のジクロロメタン(1.0 mL)溶液を加えた。
【0063】
次に、シリルエノールエーテルまたはビニルエノールエーテル(0.15 mmol)のジクロロメタン溶液(1.0 mL)を10分間かけて添加し、−78℃で18時間攪拌しながら反応させた。
【0064】
反応溶液にTHF−水を添加し、反応を停止させ、2分間攪拌後、室温まで加温された。飽和NH4Cl水溶液を溶液中に加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で脱水して溶媒を減圧除去した。
【0065】
シリルエノールエーテルを用いた系では、ジクロロメタン(3.0mL)および0.2N HClのジクロロメタン溶液(1.0 mL)を残渣に加え、反応液を室温で10分間攪拌した後、溶媒を除去して乾燥させた。
【0066】
混合物を室温で1時間攪拌し、水(5mL)およびAcOEt(5ml)で反応を停止した。混合液をAcOEtで抽出した後、有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で脱水した。
【0067】
アルキルビニルエーテルを使用した系では、ジクロロメタン(3.0mL)および0.2N HClのジクロロメタン溶液(1.0 mL)を残渣に加える代わりに、THF(5.0 ml)および1N HCl水溶液(0.25 mL)を残渣に加え、反応液を室温で10分間攪拌した後、溶媒を除去して乾燥させ、生成物を得た。
【0068】
溶媒を除去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、化合物5a〜5cを得た。
【0069】
5a〜5cの反応条件、収率、および光学純度を表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
また、5a〜5cの同定結果を表2〜4に示した。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
表2より、この出願の発明の新規キラル銅触媒を用いることにより、末端に芳香族置換基を有するN−アシル化イミノエステルを出発物質とした場合にも、高いエナンチオ選択性と収率でN−アシル化アミノ酸誘導体が得られることが示された。
【0076】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明により、新規なキラル銅触媒と、それを用いたN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法が提供される。この発明の方法は、少ない工程でN−アシル化アミノ酸誘導体を高収率およびエナンチオ選択的に製造することを可能とするものであり、各種の天然物質や生理活性物質、あるいはその中間体の合成において有用性が高い。
Claims (5)
- R1は、3,5−ジメチルフェニル基である請求項1の新規キラル銅触媒。
- エナンチオ選択的にN−アシル化アミノ酸誘導体を製造する方法であって、次式(III)
で表されるN−アシルイミノエステルと、次式(IV)
で表されるシリルエノールエーテルを、次式(I)
CuClO4・4CH3CN (I)
で表される化合物と、次式(II)
で表される(S)-xylyl-Bis[bis(R1)phosphino]-1,1'-binaphthylを混合して得られるキラル銅触媒の存在下に反応させることを特徴とするN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法。 - エナンチオ選択的にN−アシル化アミノ酸誘導体を製造する方法であって、次式(III)
で表されるN−アシルイミノエステルと、次式(IV)
で表されるアルキルビニルエノールエーテルを、次式(I)
CuClO4・4CH3CN (I)
で表される化合物と、次式(II)
で表される(S)-xylyl-Bis[bis(R1)phosphino]-1,1'-binaphthylを混合して得られるキラル銅触媒の存在下に反応させた後、酸処理することを特徴とするN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法。 - キラル銅触媒において、R1は、3,5−ジメチルフェニル基である請求項3または4のいずれかのN−アシル化アミノ酸誘導体の製造方法。
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