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JP3737947B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents

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JP3737947B2 JP2000392687A JP2000392687A JP3737947B2 JP 3737947 B2 JP3737947 B2 JP 3737947B2 JP 2000392687 A JP2000392687 A JP 2000392687A JP 2000392687 A JP2000392687 A JP 2000392687A JP 3737947 B2 JP3737947 B2 JP 3737947B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク通過性の円筒形の版胴の外周面に孔版原紙が巻装される輪転式の孔版印刷装置にかかり、前記版胴の回転方向の後端からのインクの漏れを防止するようにした孔版印刷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、輪転式の孔版印刷装置は、インク通過性の周壁を円筒形に配置して、自身の軸線回りに回転可能とされた版胴を有している。周壁は、多数の開口部が形成されてインクが通過する印刷領域と、この印刷領域の周りに開口部が形成されずインクの通過しない非印刷領域とを有している。周壁の外周面には、インクを通過するメッシュ状のスクリーンが巻かれている。製版された孔版原紙は、このスクリーンの外周面に巻かれる。版胴の内部には、周壁の印刷領域およびその外周面にあるスクリーンにインクを通過させるように供給するインク供給ローラがある。版胴の外側には、周壁の外周面に着版された孔版原紙に印刷用紙を押圧させるための押圧手段がある。そして、版胴の回転に同期して版胴と押圧手段の間に印刷用紙を供給して、版胴に着版された孔版原紙に対して印刷用紙を押し付けることにより、孔版原紙の穿孔部分をインクが通過して印刷用紙に転移し印刷が行われる。
【0003】
上記のような孔版印刷装置では、版胴の回転方向に関して周壁の印刷領域の後端からのインク漏れを防ごうとする構成がある。
図4に示すように、周壁101の印刷領域102の後端102bには、インク遮蔽部材103が設けられている。インク遮蔽部材103は、印刷領域102の後端102b側の非印刷領域104に固定されて印刷領域102側に延設され、版胴100の回転方向の前方に向けて開口するとともに印刷領域102を介して版胴100の内部に連通する空間105を形成している。
【0004】
また、インク遮蔽部材103は、周壁101の外周面に巻かれたスクリーン106の後端106bで覆われている。スクリーン106は、前端が印刷領域102の前端側にて版胴100に固定されている(図示せず)。スクリーン106の後端106bは、図4に示すように、折り返し状とされて長手状のハンガー107が挿通され、このハンガー107が印刷領域102の後端102b側にて版胴100の回転方向の後方に張力を付与されて取り付けられている。このように、スクリーン106は、インク遮蔽部材103の上面に接触するように周壁101の印刷領域102を覆う。また、スクリーン106の外周面に着版された孔版原紙Mは、版胴100の回転方向に関する後端がインク遮蔽部材103の上側に位置する。
【0005】
そして、印刷に際し、版胴100の回転とともに上述の押圧手段の押圧によって周壁101の印刷領域102からしみ出たインクは、周壁101の外周面を版胴100の回転方向の前方から後方へ向かう。即ち、インクは、版胴100の回転方向と反対方向に移動する。このインクは、印刷領域102の後端102bにおいて、インク遮蔽部材103の空間105内に流入し、周壁101の内部に戻される。これにより、印刷領域102の後端102bの位置でのインク漏れを防いでいる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の孔版印刷装置では、多数の印刷を行うにつれ、スクリーン106に含まれたインクが、インク遮蔽部材103の上面を伝って孔版原紙Mの後端から漏れることがあった。このインクの漏れは、僅かであるが、版胴100のメンテナンス作業を阻害し、且つ、印刷用紙に付着した場合には印刷汚れとなる。
【0007】
上記インク漏れは、インクの変質あるいは組み立てバラツキにより生じると考えられる。インクの変質とは、画像品質を向上させる為のインクの処方変更、長期の放置によるインク中の水分の蒸発、温度変化によるインクの粘度の変化などがある。また、組み立てバラツキとは、主に、スクリーン106の後端106bにあるハンガー107の取り付け位置の誤差などによる張力のバラツキにある。その他、組み立てバラツキには、インク供給ローラと周壁との間隔からなる版胴内インク供給圧の設定、インク供給ローラによるインク供給量の設定、押圧手段による押圧力の設定などの変更などもある。
【0008】
そこで本発明は、上記課題を解消するために、インクの変質や組み立てバラツキによるインク漏れを防止することができる孔版印刷装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による請求項1に記載の孔版印刷装置は、
インクが通過する印刷領域とインクが通過しない非印刷領域を有した周壁を円筒形にして自身の軸線回りに回転可能とされた版胴と、前記印刷領域を覆うように前記周壁の外周面に巻かれて、その外周面に孔版原紙が着版されるインク通過性のスクリーンとを備えた孔版印刷装置において、
前記スクリーンの後端に取り付けられたハンガーと、
前記ハンガーを前記版胴の回転方向の後方に向かって引張する張力付与手段と、
前記周壁の外周面であって前記版胴の回転方向に関して前記印刷領域の後端位置に突設されたインク遮蔽部材と、
前記インク遮蔽部材よりも前記版胴の回転方向の後方に位置し、前記インク遮蔽部材が周壁の外周面から突設した高さよりも高く突設して形成され、前記ハンガーを載せて前記周壁の外周面から離間させるスペーサと、
を備えたことを特徴とする
【0010】
請求項2に記載の孔版印刷装置は、請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記版胴の回転方向に関する前記印刷領域の後端位置にて、前記スクリーンの後端を前記周壁の外周面から離間させ、前記スクリーンの後端が、前記インク遮蔽部材に一部だけ接触していることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の孔版印刷装置は、請求項記載の孔版印刷装置において、
前記スクリーンの後端が、前記インク遮蔽部材における前記周壁の外周面から突設する高さよりも高い位置で前記周壁の外周面から離間していることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明の孔版印刷装置の一例を示す側面図である。
この孔版印刷装置は、原稿読取部1と、製版部2と、印刷部3と、給紙部4と、排紙部5と、排版部6とを有している。
【0014】
原稿読取部1は、本状の綴じた原稿(以下ブック原稿と言う)及びシート状の一枚の原稿(以下シート原稿と言う)が読み取れるように構成されている。
【0015】
ブック原稿及び一枚毎のシート原稿を読み取る構成は、主にガイドレール7により支持されて図にて左右方向に水平移動するラインイメージセンサ8と、ブック原稿が載置される原稿載置ガラス台9と、原稿載置ガラス台9上に開閉可能に設けられた圧板10とからなる。
【0016】
各原稿を読み取る際には、ブック原稿あるいはシート原稿の読み取るべき面を原稿載置ガラス台9に下向きに載置し、圧板10で上から押さえる。そして、ラインイメージセンサ8を不図示の駆動装置によりガイドレール7に沿って移動させる。ラインイメージセンサ8は、図1に示すホームポジション位置Aからスキャンエンド位置Bの間を所定速度にて走査移動する。これにより、原稿載置ガラス台9上の原稿の画像が読み取られる。
【0017】
また、本孔版印刷装置は、複数枚のシート原稿を読み取るため、自動原稿供給装置12を備えている。自動原稿供給装置12は、孔版印刷装置の上側にて、複数枚のシート原稿を積層載置する原稿セットトレイ13を有する。原稿セットトレイ13上のシート原稿は、各原稿ピックアップローラ14によって一枚ずつターゲットガラス板15上へ向けて送り込まれる。原稿セットトレイ13から送られたシート原稿は、ターゲットガラス板15の両側に配された原稿送りローラ16,17によってターゲットガラス板15上を所定速度で走査送りされる。この際、ターゲットガラス板15の真下位置C(図1で示す)には、前記ガイドレール7に沿って移動したラインイメージセンサ8が固定配置される。これにより、走査送りされたシート原稿の画像が読み取られる。読み取り完了後のシート原稿は、原稿送りローラ16,17によって原稿排紙トレイ19に送り出される。
【0018】
製版部2は、連続シートからなる感熱性の孔版原紙Mを、ロール状にして貯容した原紙ロール部20と、横一列に配置された複数個の点状発熱体により構成されたサーマルヘッド21と、サーマルヘッド21に対向配置されたプラテンローラ22と、原紙送りローラ23と、原紙案内ローラ24と、原紙カッタ25とを有している。
【0019】
製版部2は、原紙ロール部20から引き出された孔版原紙Mを、プラテンローラ22の回転にてサーマルヘッド21とプラテンローラ22の間に挟んで送る。また、上記ラインイメージセンサ8にて読み取った原稿の画像にかかる画像情報は、サーマルヘッド21に入力される。サーマルヘッド21は、この画像情報に応じて各点状発熱体を各々個別に選択的に発熱作動し、孔版原紙Mにドットマトリクス状の感熱穿孔製版を行う。原稿案内ローラ24は、サーマルヘッド21とプラテンローラ22の間で送られる孔版原紙Mに適宜テンションを付与する。原紙送りローラ23は、製版された孔版原紙Mを先の印刷部3に送る。また、製版された孔版原紙Mは、原紙カッタ25で一版分に切断される。
【0020】
印刷部3は、版胴26を有している。版胴26は、インク通過性の周壁27を円筒形にし、自身の軸線の周りに図1で示す反時計廻り方向に回転駆動される。周壁27の内部には、周壁27の内周面にインクを供給するインク供給手段が設けられている。インク供給手段は、主にスキージローラ28とドクタロッド29からなる。版胴26の外周面の一部には、上記製版部2より送られた孔版原紙Mの端部をクランプする原紙クランプ部30が設けられている。原紙クランプ部30にクランプされた孔版原紙Mは、版胴26の回転によって周壁27の外周面に巻装される。
【0021】
また、印刷部3は、版胴26の軸線と平行するプレスローラ31を有している。プレスローラ31は、回転軸31aを介して不図示の駆動装置に支持されている。プレスローラ31は、この駆動装置によって版胴26の外周面より引き離された退避位置と、版胴26の外周面に対して押し付けられる圧接位置との間を略上下方向に移動可能とされている。
【0022】
給紙部4は、印刷前の印刷用紙Pが積み重ね載置される給紙台32を有している。給紙台32に載置された印刷用紙Pは、給紙ローラ33によって一枚ずつ取り出される。さらに、取り出された印刷用紙Pは、版胴26の回転に同期したタイミングローラ対34により、所定のタイミングで版胴26とプレスローラ31の間に送り出される。
【0023】
排紙部5は、印刷部3にて印刷された印刷用紙Pを、版胴26から剥ぎ取る剥ぎ取り爪35を有している。版胴26から剥ぎ取られた印刷用紙Pは、ベルトコンベア式の排紙搬送機構36によって排紙台37に搬送される。排紙台37上には、順次印刷済の印刷用紙Pが印刷画像面を上面として積載される。
【0024】
排版部6は、版胴26の外周面に巻装された使用済みの孔版原紙Mを、版胴26から引き剥がす排版分離爪38を有している。孔版原紙Mを版胴26から引き剥がす際には、上記原紙クランプ部30による孔版原紙Mのクランプを解除し、版胴26の回転とともに開放された孔版原紙Mの端部を、排版分離爪38で引っかけるようにする。排版分離爪38に引っかかる孔版原紙Mは、版胴26のさらなる回転によって版胴26の外周面から引き剥がされる。排版分離爪38によって引き剥がされた孔版原紙Mは、排版ローラ39によって搬送され、排版ボックス40内に収容される。
【0025】
上述した孔版印刷装置では、印刷に際し、原紙クランプ部30を開放するとともに版胴26を回転し、排版分離爪38にて先に使用した孔版原紙Mを版胴26から剥ぎ取り、排版ローラ39にて排版ボックス40内に収容する。その後、一連の印刷動作が行われる。即ち、製版部2にて製版された一版分の孔版原紙Mを、版胴26側に搬送する。そして、搬送された孔版原紙Mの先端を原紙クランプ部30にてクランプするとともに、版胴26の回転によって周壁27の外周面に巻き付け着版する。次に、給紙台32にある印刷用紙Pを一枚取り出し、タイミングローラ対34のニップ部まで搬送する。次に、版胴26の回転に際してタイミングローラ対34が、印刷用紙Pを所定タイミングで版胴26とプレスローラ31との間に送り込む。これとともにプレスローラ31が圧接位置に移動して、、印刷用紙Pを版胴26の外周面にある孔版原紙Mに対して押し付ける。これにより、インク供給手段にて周壁27の内周面に供給されたインクが、周壁27のインク通過性部分を介して孔版原紙Mの穿孔部を通過し、印刷用紙Pに所望の画像が転写されて印刷が行われる。続いて、印刷された印刷用紙Pを、剥ぎ取り爪35にて版胴26から剥ぎ取り、排紙搬送機構36を介して排紙台37に排出する。
【0026】
以下、上記孔版印刷装置の版胴の詳細について説明する。
図2は版胴を示す斜視図、図3は前記版胴の要部を示す側断面図である。
上述したように、版胴26は、円筒形の周壁27を有している。この周壁27は、円板状とされた対向する二枚の側板42の外周面に巻かれて円筒形をなす。また、周壁27は、図3に示すような多孔構造によりインクが通過する印刷領域43と、印刷領域43の周りにインクが通過しない非印刷領域44とを有している。印刷領域43は、周壁27を展開した際に周壁27の中央にて矩形状をなし、版胴26の回転方向(図2中矢印方向)に関する先方が前端43aとなり、後方が後端43bとなる。非印刷領域44は、印刷領域43以外の部位となる。
【0027】
印刷領域43の前端43aと後端43bの間である非印刷領域44には、上述した原紙クランプ部30が設けられている。原紙クランプ部30は、主にクランプベース板45と、クランプ板46とからなる。クランプベース板45は、版胴26の軸線に沿う長手板状とされ、その端部を周壁27とともに各ネジ47a,47bによって各側板42に固定されている。クランプ板46は、その下面がクランプベース板45の上面に接離可能となるようにクランプベース板45に枢着されている。クランプベース板45の上面には、不図示の磁石板が固定され、クランプ板46の下面は、この磁石板に常に磁着される。また、クランプ板46は、不図示の開閉機構によってテコの作用点46aが押されることにより磁石板から離間する。クランプ板46は、磁石板に磁着している時、その間にて孔版原紙Mの先端をクランプする。また、クランプ板46は、磁石板から離間している時、製版部2から搬送される孔版原紙Mの先端を待ち受け、あるいは孔版原紙Mの先端を排版部6に向けて開放する。なお、図2で示す原紙クランプ部30では、クランプ板46が磁石板から離間して孔版原紙Mの先端を排版部6に向けて開放する際、孔版原紙Mの先端をクランプ板46の上面側にはね上げるはね上げ部材48を有している。
【0028】
また、周壁27には、インク遮蔽部材50が設けられている。インク遮蔽部材50は、図2および図3に示すように、ブロックシート51とシールテープ52とからなる。ブロックシート51は、樹脂材などからなる長手状のシート材である。ブロックシート51は、周壁27の外周面であって、印刷領域43の後端43b位置にて、版胴26の軸線と平行にして突設されている。ブロックシート51は、略半部が印刷領域43の後端43bを覆い、残りの半部が印刷領域43の後端43b側の非印刷領域44に固着されている。また、ブロックシート51の印刷領域43の後端43bを覆う半部は、版胴26の回転方向の前方に向けて開口するとともに印刷領域43を介して版胴26の内部に連通する空間51aを有している。シールテープ52は、樹脂材などからなる長手状のシート材である。シールテープ52は、ブロックシート51の上面であって、印刷領域43の後端43bと非印刷領域44を跨ぐように、版胴26の軸線と平行にして突設されている。
【0029】
また、周壁27には、メッシュ状のスクリーン54が巻かれている。スクリーン54は、メッシュの粗さの異なる第一スクリーン54Aと第二スクリーン54Bとが二重にして構成されている。これら第一スクリーン54Aと第二スクリーン54Bは、版胴26の回転方向に関するスクリーン54の前端54aと後端54bにて、折り返し状にして連続形成されている。スクリーン54の前端54aには、折り返し部分に対し、版胴26の軸線に沿うように長手状に形成されたハンガー55が挿通して取り付けられている。スクリーン54の前端54aは、ハンガー55の両端がネジ47aによって周壁27とともに側板42に固定されることにより版胴26に取り付けられる。また、スクリーン54の後端54bには、折り返し部分に対し、版胴26の軸線に沿うように長手状に形成されたハンガー56が挿通されて取り付けられている。このハンガー56の両端には、フック56aが形成されている。スクリーン54の後端54bは、ハンガー56の各フック56aが、張力付与手段としての引張バネ57を介して、ネジ47bの頭部およびネジ47cの頭部に掛け止められることにより版胴26に取り付けられる。スクリーン54の後端54bには、引張バネ57の引張力によって版胴26の回転方向の後方に張力が付与される。これにより、スクリーン54は、皺を生じることなく周壁27の印刷領域43を覆う。
【0030】
上記スクリーン54の後端54bに挿通されたハンガー56は、上述したインク遮蔽部材50よりも版胴26の回転方向の後方に位置する。ゆえにスクリーン54は、インク遮蔽部材50をも覆う。そして、ハンガー56が位置する周壁27の外周面には、スペーサ58が固定されている。スペーサ58は、版胴26の軸線に沿って長手状に形成されている。また、スペーサ58は、周壁27の外周面からの高さが、インク遮蔽部材50が周壁27の外周面から突設した高さ(シールテープ52の上面の高さ)よりも高く形成されている。ハンガー56は、スペーサ58の上に位置決め載置される。
【0031】
図3に示すように、スクリーン54(第二スクリーン54B)の後端54bは、ハンガー56がスペーサ58の上に載置されることで周壁27の外周面から離間する。これにより、スクリーン54の後端54bは、インク遮蔽部材50の突設した高さよりもさらに高い位置で周壁27の印刷領域43の後端43bから離れ、インク遮蔽部材50であるブロックシート51およびシールテープ52に一部だけ接触する。
【0032】
また、原紙クランプ部30によって先端がクランプされた孔版原紙Mは、スクリーン54(第一スクリーン54A)の外周面に巻かれ、図3に示すように後端が印刷領域43の後端43bの位置に至る。
【0033】
このような構成の孔版印刷装置では、印刷の際、図3の矢印方向に回転する版胴26の回転とともに、上述の如く圧接位置にあるプレスローラ31が、印刷用紙Pをスクリーン54の外周面に巻かれた孔版原紙Mに対して押し付ける。また、プレスローラ31は、印刷領域43の後端43b付近において、図3のR1の位置で退避位置へと移動し始め、R2の位置で退避位置となって版胴26側から離れる。この印刷動作において、プレスローラ31の押圧によって周壁27の印刷領域43からしみ出たインクは、周壁27の外周面にて版胴26の回転方向と反対方向に移動する。このインクは、印刷領域43の後端43bにおいて、インク遮蔽部材50(ブロックシート51)の空間51a内に流入し、周壁27の内部に戻される。また、インク遮蔽部材50のシールテープ52は、ブロックシート51の上面にインクが乗り上げた際の堰として作用する。
【0034】
さらに、インクは、多数の印刷を行うにつれてスクリーン54(第一スクリーン54Aと第二スクリーン54Bとの間)に含まれる。上述したように、スクリーン54の後端54bは、スペーサ58によってインク遮蔽部材50の上部に一部接触しつつ周壁27の外周面から離間している。このため、スクリーン54に含まれたインクは、後端54bにおいてインク遮蔽部材50から離れた部分から版胴26の回転方向の後方に進行しにくくなる。即ち、スクリーン54が接触している部分に生じる毛細管現象が抑えられる。これにより、スクリーン54の外周面に着版された孔版原紙Mの後端からのインク漏れが防止される。
【0035】
また、図3に示すように、スペーサ58がインク遮蔽部材50の高さよりも高く形成され、ハンガー56がスペーサ58の上に位置決め載置される構成では、スクリーン54の後端54bが、インク遮蔽部材50であるブロックシート51およびシールテープ52に一部だけ接触しつつ周壁27の外周面から離れる。このため、スクリーン54に含まれたインクの後方への進行を的確に止めることが可能である。
【0036】
このように、スクリーン54の後端54bを周壁27の外周面から離間させたことにより、画像品質を向上させる為のインクの処方変更、長期の放置によるインク中の水分の蒸発、温度変化によるインクの粘度の変化などによってインクの変質があっても孔版原紙Mの後端からのインク漏れを防止することが可能である。
【0037】
また、スペーサ58は、スクリーン54を周壁27の外周面から離間させるだけでなく、スクリーン54の後端54に取り付けられたハンガー56の位置決めをしている。このため、ハンガー56の取り付け位置の誤差がなくなって、引張バネ57による張力が略均等に維持される。これにより、スクリーン54の後端54を版胴26に取り付ける組み立てバラツキが低減するので、組み立てバラツキによる孔版原紙Mの後端からのインク漏れが防止できる。なお、スペーサ58の材質は特に限定はないが、ハンガー56が版胴26の円周方向に動く時に摩擦を少なくしハンガー56の姿勢を維持するため、硬質な樹脂材や金属材であることが好ましい。
【0038】
また、組み立てバラツキに関し、その他、インク供給手段(スキージローラ28)と周壁27との間隔からなる版胴26内インク供給圧の設定、インク供給手段(スキージローラ28とドクタロッド29)によるインク供給量の設定、プレスローラ31による押圧力の設定などの変化が考えられるが、上記の如くハンガー56が位置決めされているので、各設定を調整することにより孔版原紙Mの後端からのインク漏れが防止できる。
【0039】
なお、上述した実施の形態では、インク遮蔽部材50がブロックシート51とシールテープ52からなる構成としている。これに限らず、図示しないが、上記スクリーン54の後端54bの取り付けを実施するにあたり、インク遮蔽部材50をブロックシート51あるいはシールテープ52の何れか一方のみの構成としてもよい。また、インク遮蔽部材50を設けずに上記スクリーン54の後端54bの取り付けを実施することも可能である。この場合、スクリーン54の後端54bが周壁27の外周面から離れる位置を、印刷領域43の後端43bの後方に越えた位置とする。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の孔版印刷装置は、版胴の回転方向に関する周壁の印刷領域の後端位置にて、周壁の外周面に巻かれたスクリーンの後端を周壁の外周面から離間させている。このため、スクリーンに含まれたインクが周壁から離れた部分から版胴の回転方向の後方に進行しにくくなる。これにより、インクの変質があっても、スクリーンの外周面に着版された孔版原紙の後端からのインク漏れを防止することができる。
【0041】
本発明の孔版印刷装置は、スクリーンの後端に取り付けたハンガーを、版胴の回転方向の後方に向かって引張する構成とし、このハンガーを印刷領域の後端位置に突設されたスペーサによって周壁の外周面から離間させている。このため、スペーサがハンガーの位置決めをしているので、ハンガーの取り付け位置の誤差がなくなり、張力付与手段による張力が略均等に維持される。これにより、スクリーンの後端を版胴に取り付ける組み立てバラツキが低減するので、組み立てバラツキによる孔版原紙の後端からのインク漏れを防止することができる。
【0042】
本発明の孔版印刷装置は、周壁の外周面であって版胴の回転方向に関して印刷領域の後端位置に突設されたインク遮蔽部材を備え、スクリーンの後端をインク遮蔽部材の後方位置にて周壁の外周面から離間させている。そして印刷の際、周壁の印刷領域からしみ出して版胴の回転方向と反対方向に移動したインクをインク遮蔽部材で止め、さらにスクリーンに含まれたインクの後方への進行を止める。これにより、スクリーンの外周面に着版された孔版原紙の後端からのインク漏れを二重に防止することができる。
【0043】
本発明の孔版印刷装置は、スクリーンの後端が、インク遮蔽部材における周壁の外周面から突設する高さよりも高い位置で周壁の外周面から離間している。このため、スクリーンの後端がインク遮蔽部材に一部だけ接触しつつ周壁の外周面から離間する。これにより、スクリーンに含まれたインクの後方への進行を的確に止め、スクリーンの外周面に着版された孔版原紙の後端からのインク漏れを的確に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の孔版印刷装置の一例を示す側面図。
【図2】版胴を示す斜視図。
【図3】前記版胴の要部を示す側断面図。
【図4】従来の孔版印刷装置における版胴の要部を示す側断面図。
【符号の説明】
26…版胴、27…周壁、43…印刷領域、43b…後端、50…インク遮蔽部材、54…スクリーン、54b…後端、56…ハンガー、57…引張バネ(張力付与手段)、58…スペーサ。

Claims (3)

  1. インクが通過する印刷領域とインクが通過しない非印刷領域を有した周壁を円筒形にして自身の軸線回りに回転可能とされた版胴と、前記印刷領域を覆うように前記周壁の外周面に巻かれて、その外周面に孔版原紙が着版されるインク通過性のスクリーンとを備えた孔版印刷装置において、
    前記スクリーンの後端に取り付けられたハンガーと、
    前記ハンガーを前記版胴の回転方向の後方に向かって引張する張力付与手段と、
    前記周壁の外周面であって前記版胴の回転方向に関して前記印刷領域の後端位置に突設されたインク遮蔽部材と、
    前記インク遮蔽部材よりも前記版胴の回転方向の後方に位置し、前記インク遮蔽部材が周壁の外周面から突設した高さよりも高く突設して形成され、前記ハンガーを載せて前記周壁の外周面から離間させるスペーサと、
    を備えたことを特徴とする孔版印刷装置。
  2. 前記版胴の回転方向に関する前記印刷領域の後端位置にて、前記スクリーンの後端を前記周壁の外周面から離間させ、前記スクリーンの後端が、前記インク遮蔽部材に一部だけ接触していることを特徴とする請求項1に記載の孔版印刷装置。
  3. 前記スクリーンの後端が、前記インク遮蔽部材における前記周壁の外周面から突設する高さよりも高い位置で前記周壁の外周面から離間していることを特徴とする請求項に記載の孔版印刷装置。
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