JP3733598B2 - 白金族元素の回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅、ニッケル製錬工程や、白金鉱石、廃触媒から得られる白金族混合物から個々の白金族元素、特にロジウム、パラジウム、白金を分離回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、工業的に白金族元素の相互分離を行う場合は、白金族元素錯塩の溶解度差を利用した分別結晶法、あるいは溶媒抽出法による粗分離と分別結晶法による精製とを組み合わせた方法が主に用いられている。しかしながら、分別結晶法では人手に頼る作業が多く、且つ収率が低いという問題点があり、他方、溶媒抽出法では分離する元素ごとに溶媒の種類を変える必要があるため、設備的にも操作的にも複雑で、且つ抽出剤の多くが危険物であるという問題があった。
【0003】
これに対して、イオン交換法では、危険性のない一種類のイオン交換樹脂により、白金族元素を連続的に相互分離することが可能である。しかしながら、下記のような理由から、イオン交換法は粗精製段階で補助的に使用されているに過ぎない。
【0004】
その第一の理由としては、相互分離性が不完全であったことがあげられる。特開平4−18053号公報や特開平3−158426号公報に示されているように、白金族元素2種類相互の粗分離、あるいは2種類の内1種類の精製を目的とする場合にはイオン交換法は効果的であるが、2種類以上の白金族元素をいずれも製品化可能な99.9%以上の品位まで分離精製することは困難であった。これは、白金族元素の化学的性質が互いに類似していることに加え、種々の原子価、錯イオンを形成しやすいため、一つの元素が同一の樹脂に対して多様な反応性を示すためである。
【0005】
第二の理由としては、白金族元素の樹脂への残留性が高いことが上げられる。白金族元素は通常陰イオンとして存在しているため、陰イオン交換樹脂又はキレート樹脂によって吸着されるが、強力な錯形成剤を使用しても吸着している白金族元素を完全に溶離することは難しい。そのため、これにより収率が低下するばかりでなく、樹脂を2回以上繰り返し使用すると、特定の白金族元素の溶離する際に、樹脂中に残存している他の白金族元素が微量溶離して品位を下げるという問題があった。
【0006】
特定のキレート樹脂の中には白金族元素の残存率が低いとされるものも知られているが、いずれも不安定である。例えば、ピリジン系のキレート樹脂は、特開平1−111826号公報において白金族元素の溶離率が高いとされるが、常温で長期保管したものを使用して白金族元素を吸着させると、樹脂量の150倍以上の最適な溶離液で溶離を行っても、ロジウム、白金、パラジウムのいずれも10〜20%程度しか溶離できなくなってしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したイオン交換法特有の諸問題を解決し、化学的に安定な一種類のイオン交換樹脂を用いて、白金族元素であるロジウム、パラジウム、白金を含む溶液から、ロジウム、パラジウム、白金をいずれもほぼ製品化可能な純度まで精製し、且つ各元素の溶離後に樹脂中に白金族元素を残存させず、高い収率で各元素を分離回収すると共に、樹脂を繰り返し使用可能とする方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明が提供する白金族元素の回収方法は、ロジウム、パラジウム、白金を含む溶液を、水酸基を持たない第4アンモニウム塩型陰イオン交換樹脂と接触させて、ロジウム、パラジウム、白金を陰イオン交換樹脂に吸着させた後、濃度が6モル/リットル以上の塩酸溶液を用いてロジウムを溶離し、次に4価の錯陰イオンの形態で吸着されているパラジウムを2価の錯陰イオンに還元する還元剤を含み且つ塩酸濃度が3〜6モル/リットルの塩酸溶液を用いてパラジウムを溶離し、その後チオ尿素溶液あるいはアミノポリ酸溶液を用いて白金を溶離することを特徴とする。
【0009】
この白金族元素の回収方法において、前記ロジウム、パラジウム、白金を含む溶液と陰イオン交換樹脂の接触時の温度を40〜70℃とし、且つロジウムの溶離時の温度を40〜70℃、パラジウムの溶離時の温度を30℃以下、白金の溶離時の温度を60℃以下とすることが好ましい。
【0010】
本発明が提供する白金族元素の他の回収方法は、ロジウム、パラジウム、白金を含む溶液を、該溶液の塩素イオン濃度を6モル/リットル以上とした後、水酸基を持たない第4アンモニウム塩型陰イオン交換樹脂と接触させて、ロジウムを吸着させずに流出させると共に、パラジウムと白金を陰イオン交換樹脂に吸着させ、次に4価の錯陰イオンの形態で吸着されているパラジウムを2価の錯陰イオンに還元する還元剤を含み且つ塩酸濃度が3〜6モル/リットルの塩酸溶液を用いてパラジウムを溶離し、その後チオ尿素溶液あるいはアミノポリ酸溶液を用いて白金を溶離することを特徴とする。
【0011】
また、上記白金族元素の他の回収方法においては、前記ロジウム、パラジウム、白金を含む溶液と陰イオン交換樹脂の接触時の温度を40〜70℃とし、且つパラジウムの溶離時の温度を30℃以下、白金の溶離時の温度を60℃以下とすることが好ましい。
【0012】
上記した本発明による白金族元素の回収方法及び白金族元素の他の回収方法において、前記パラジウムの溶離に用いる、4価の錯陰イオンの形態で吸着されているパラジウムを2価の錯陰イオンに還元する還元剤は、ヒドラジニウム塩又は亜硫酸であることが好ましい。また、前記白金の溶離に用いるアミノポリ酸溶液が、アミノポリ酸のアンモニウム塩を含むpH9のアンモニア性溶液であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
白金族元素イオンは、イオン交換樹脂中の1〜3級アミンとは溶離しにくいキレートを形成するが、第4アンモニウム塩とはキレートを生成しないという性質がある。この性質を利用することにより、白金族元素であるロジウム、パラジウム、白金の樹脂への残留を防止できることを見出した。
【0014】
即ち、白金族元素の内、ロジウムについては第4アンモニウムイオンと塩を形成しにくい錯体に変換させることによって、イオン交換樹脂に吸着させず、流出させることが可能である。また、パラジウムは樹脂に吸着した錯陰イオンが塩化物イオンと置換され、特にパラジウムの原子価が4価で吸着している場合には還元剤により吸着力の弱い2価の錯塩に変化させれば、容易に溶離することができる。そして、白金は強力な錯形成剤を用いなければ、溶離は困難である。本発明方法は、これらの性質を利用して、ロジウム、パラジウム、白金を相互に分離回収するものである。
【0015】
次に、本発明方法を各工程毎に詳細に説明する。
(1)樹脂への吸着工程
a.樹脂の選定
白金族元素は種々の陰イオンと陰イオン錯体を形成しやすく、特に最も一般的に使用される塩化物溶液中ではクロロ錯体を形成しているため、陰イオン交換基を持つ樹脂であればどのような樹脂でも吸着させることができる。
【0016】
問題となるのはむしろ溶離性であり、通常市販されているアミン系の陰イオン交換樹脂の場合、アミンと白金族元素のクロロ錯体とからなる塩の安定性は、アミンの級数が上がるほど高くなるとされている。しかし、実際にカラムにより白金族元素を溶離する場合、この差はあまり大きな問題にならず、むしろ副反応であるキレート生成反応が溶離を妨害する大きな原因の一つになっている。
【0017】
従って、このキレートの生成をいかに防止するかが、白金族元素の完全溶離の鍵となる。1〜3級アミンは基本的にキレートを形成しうる孤立電子対を持っているため、原理的に完全なキレート生成防止は困難である。この理由から、本発明においては、水酸基を持たない第4アンモニウム塩型陰イオン交換樹脂を使用することにより、ロジウム、パラジウム、白金のキレート生成を防止し、溶離時に樹脂への残留を防止することができる。
【0018】
なお、用いる第4アンモニウム塩型陰イオン交換樹脂の官能基の一部が1〜3級アミンになっている場合には、ベンゼンスルホン酸アルキル、あるいは、アルキルベンゼンスルホン酸アルキルなどのアルキル化剤を作用させ、これらの1〜3級アミンを4級化すれば良い。
【0019】
また、第4アンモニウム塩型陰イオン交換樹脂としては、I型とII型の樹脂が市販されている。白金を含む系では、II型の樹脂は水酸基を持つため繰り返し使用により白金と酸化還元反応を起こし、白金が金属単体として樹脂中に残存するようになるため、水酸基を持たないI型の樹脂を使用する。
【0020】
第4アンモニウム塩型陰イオン交換樹脂に対して望まれる他の特性としては、多孔性が高いことが上げられる。樹脂の吸着溶離反応は、樹脂内部への拡散が律速とされるため、樹脂の多孔度が高くなるほど溶離速度が増し、シャープに相互分離しやすくなるからである。
【0021】
b.吸着
上記の第4アンモニウム塩型陰イオン交換樹脂に、ロジウム、パラジウム、白金を含む溶液を接触させることによって、溶液中のロジウム、パラジウム、白金を樹脂に吸着させることができる。
【0022】
また、樹脂とロジウム、パラジウム、白金を含む溶液とを接触させる前に、溶液の塩素イオン濃度を6モル/リットル以上に調整すれば、ロジウムを吸着させずに流出させると共に、パラジウムと白金は樹脂に吸着させることができる。これは、溶液中のロジウムイオンがヘキサクロロロジウム(III)酸イオン[RhCl6]3−に変換されるためである。
【0023】
即ち、三塩基酸型陰イオンである[RhCl6]3−は、樹脂中の第四アンモニウムイオンと塩を形成する場合、一つの陰イオンが3つの官能基と同時に反応する必要があり、その結果3つの嵩高い第四アンモニウムイオンどうしの反発が生じるため、安定な塩を形成することができなくなる。従って、ロジウムが十分吸着されないという現象が起きる。一方、パラジウムや白金は、そのクロロ錯体が価数を問わず二塩基酸型の陰イオンを形成し、[RhCl6]3−よりもはるかに安定な錯塩を第四アンモニウム塩と形成するため、塩酸では溶離されず樹脂に吸着するのである。
【0024】
この吸着工程は温度が高いほど反応速度が速くなり、吸着帯の幅が狭くなる。従って、樹脂及び配管の耐熱性なども考慮し、溶液と陰イオン交換樹脂との接触時の温度を40〜70℃程度にすることが好ましい。
【0025】
(2)ロジウムの溶離工程
陰イオン交換樹脂に吸着されたロジウムを溶離するには、溶離液として6モル/リットル以上の塩酸溶液を用いる。これにより容易にロジウムを溶離することができ、また塩素イオン濃度が高いほど溶離は迅速に行われる。なお、吸着工程前に予め溶液の塩素イオン濃度を6モル/リットル以上に調整した場合には、上記のごとくロジウムは吸着せずに流出するため、このロジウムの溶離工程を行わなくても良い。
【0026】
ロジウムの溶離工程は、温度が高いほど反応速度が速くなる。従って、迅速に溶離が完了するためには、樹脂及び配管の耐熱性なども考慮し、溶離時の温度を40〜70℃程度に加温することが好ましい。
【0027】
ロジウムの溶離の終点は、赤桃色のイオンが溶出しなくなることにより判断できる。しかしながら、完全に溶離できたことを確認しなければ、後のパラジウムの溶離液を汚染するため、吸光光度計などで1mg/リットル未満まで溶離できたことを確認する必要がある。
【0028】
(3)パラジウムの溶離工程
上記ロジウムの溶離工程の後に、酸でパラジウムの溶離を行う。通常、白金族元素は酸化浸出により溶液中に浸出されるため、パラジウムの一部は4価の錯陰イオン[PdCl6]2−の形態で樹脂に吸着される場合が多い。この4価の錯陰イオンは、2価の錯陰イオンに還元することにより、容易に溶離することができる。錯陰イオンの中心イオンの価数が低いほど錯イオン酸の酸解離定数が低くなり、第4アンモニウム塩と安定な塩を形成しにくくなるためである。
【0029】
使用する還元剤としては、4価の錯陰イオンの形態で吸着されているパラジウムを2価の錯陰イオンに還元できるものであれば良い。過度に還元反応が進みすぎないように還元力が弱く、且つ常温でも反応が進行しやすいように活性化エネルギーの低い化合物が適しており、例えば、工業的に入手容易なヒドラジニウム塩、亜硫酸があげられる。
【0030】
還元剤と併用する酸としては、還元によって生成した2価の錯陰イオンである[PdCl4]2−と選択的に陰イオン交換するという点で、塩酸が最も適している。いずれの還元剤の還元力もpH依存性があるため、塩酸で酸濃度を調整することにより、溶離速度を自由に変えることができる。しかし、塩酸濃度が高いと還元剤の溶解度が低下し、また塩酸濃度が低すぎると4価の白金イオンが還元溶離したり、パラジウムイオンが金属まで還元されたりする恐れがあるため、塩酸濃度は3〜6モル/リットルとすることが最も好ましい。なお、還元剤濃度については高い程よいが、酸濃度ほど溶離速度に影響を与えない。
【0031】
吸着工程やロジウム溶離工程と異なり、パラジウムの溶離工程では、温度が高いと塩酸が希薄な場合と同様の副反応が起こる。従って、選択的にパラジウムの溶離のみを進行させるためには、溶離時の温度を30℃以下に保つことが望ましい。また、パラジウムの溶離の終点も、溶離液の色が濃厚であるため肉眼でほぼ確認できるが、補助的に吸光分析を行うとより高精度の確認ができる。
【0032】
(4)白金の溶離工程
上記パラジウムの溶離工程後に、白金の溶離を行う。白金の溶離は、パラジウムの還元溶離と全く同様の反応機構で、より溶離条件を強くすることによって達成可能である。なお、白金の錯陰イオンは白金族元素のなかでも特に陰イオン交換樹脂に強く吸着するため、完全に溶離するためにはかなり還元条件を強化する必要があり、白金の一部が金属まで還元される恐れが生じてくる。しかし、この白金溶離工程では、他に白金族元素は存在しないのであるから、強力な錯形成剤により溶離することが最も望ましい。
【0033】
白金族元素と安定な錯形成をする錯形成剤は数多く知られているが、本発明で白金の溶離に用いる錯形成剤としては、生成する錯イオンが樹脂に吸着されにくく且つ工業的に入手が容易な、チオ尿素、あるいはEDTAなどのアミノポリ酸類が適している。特に、繰り返し回収して反復使用できるという点ではアミノポリ酸が優れ、全ての白金族元素を完全に溶離可能であるという点ではチオ尿素が優れている。
【0034】
なお、アミノポリ酸の錯形成能力はpH依存性があり、分子中の解離可能な水素が全て解離しうるような高いpHで最も強い錯形成能力を示すが、溶離剤として使用する場合、溶液のpHが始めは高くてもイオン交換樹脂に吸着している酸と反応するとpHが下がり、錯形成力が低下するばかりか、溶離中に結晶析出するようになる。そのため予めアミノポリ酸に過剰のアルカリを添加して溶離終了までpHを高く保とうとすると、第四アンモニウム塩型陰イオン交換樹脂が高pHで一部分解されやすいという問題がある。このような場合には、アミノポリ酸を予めアンモニウム塩とし、これをアンモニア水でpH9程度に調整したアンモニア性溶液を使用することができる。この方法であれば、実質的にはアンモニアを高濃度に含む液でもアンモニウムイオンにより電離が抑制されるため、溶離終了までpH9程度の高いpHに保たれる。
【0035】
上記白金の溶離工程では選択性は必要ないため、温度が高いほど溶離速度が速くなる。しかし、アルカリ性では高温で樹脂が分解しやすいため、溶離時の温度は最高でも60℃に抑えるべきである。また、白金の溶離の終点は、チオ尿素錯体も白金錯体もあまり色が濃くないため直接肉眼による判定は難しいが、吸光分析試薬で発色させることにより容易に肉眼で判定することが可能である。
【0036】
なお、上記した各溶離工程とも、溶離液通過直後に濃厚な溶離液が得られ、その後急激に濃度が低下し、mg/lオーダーの白金族元素イオンを含む液がしばらく溶出する。この後半に溶出した各希薄液は保管し、それぞれ次回の溶離時に溶離液として使用すれば、いずれも溶離液の量を1/4ほどに低減することができる。
【0037】
一連の溶離工程で得られたロジウム、パラジウム、及び白金は、還元によって溶液から金属粉として容易に回収できる。具体的には、ロジウムは還元剤を加えることにより、また、パラジウムは既に還元剤を含むためpHを上げるだけで金属まで定量的に還元できる。白金は強く錯形成しているため、特に溶離液としてアミノポリ酸を用いた場合は一度pHを1〜2まで下げて遊離のアミノポリ酸を分離し、その後還元を行うとより迅速に還元回収することが可能である。
【0038】
【実施例】
(実施例1)
直径11mmのガラスカラムに、イオン交換樹脂として第四アンモニウムI型ハイポラース樹脂であるDIAION HPA25(三菱化成製)40mlを充填し、40mlの6NHClを通液後、カラムの温度を56℃に昇温した。その温度を維持したまま、カラムにRh:1.61、Pd:55.2、Pt:9.36(g/l)を含む6NHCl溶液7.5mlを通過させ、溶液中のRh、Pd、Ptを吸着させた。
【0039】
次いで、カラムに6NHClを通過させ、6NHClの通過液量が224mlに達した時点で溶離液中のRh濃度が1mg/lになった。このときまでの全溶離液を混合し、分析したところRh濃度は42mg/1であり、全Rhの89.0%が溶離し、回収できたことが解った。また、Pd及びPtはいずれも検出されず、検出限界の1mg/l未満であることが解った。
【0040】
この全溶離液をNaOHにてpH12に調整し、全溶離液の0.7%相当のN2H4・H2Oを添加し、80℃に昇温して1時間撹拌した。その結果、Rhはメタル粉として析出した。このRhメタル粉を固液分離し、乾燥し、分析したところRh品位は99.96%であった。
【0041】
次に、カラムの加温をやめ、40mlの4.5NHClを通液して、カラム内温度を19℃まで下げた。その温度にて、二塩化ヒドラジニウムを4.1%の割合で含む4.5NHCl溶液を通過させ、通過液量が1284mlに達した時点で、溶離液中のPd濃度が検出限界の1mg/l未満となった。このときまでの全溶離液を混合し、そのPd濃度を測定したところ271mg/lであり、全Pdの99.91%が溶離していた。また、Rh及びPtはいずれも検出されず、検出限界の1mg/l未満であることが解った。
【0042】
この全溶離液をNH3水にてpH9に調整し、1時間常温で撹拌して、Pdをメタル粉として析出させた。得られたPdメタル粉を固液分離し、乾燥し、分析したところPd品位は99.98%であった。
【0043】
次に、カラムに60℃の4.5NHClと温水をそれぞれ40mlずつ通液し、カラム内を54℃まで昇温した。そして、NH3水にてpH9に調整した5%EDTAの55℃のHCl溶液を通液した。通過液量が1152mlに達した時点で、溶離液中のPt濃度が検出限界の1mg/l未満となった。このときまでに得られた全溶離液を混合し、そのPt濃度を測定したところ48mg/lであり、全Ptの89.6%が溶離していた。Rh及びPdはいずれも検出されず、検出限界の1mg/l未満であることが解った。
【0044】
得られた全溶離液のpHをHClを用いて1.5とし、生成したEDTA塩酸結晶を分離した後、濾液の0.7%相当のN2H4・H2Oを添加し、NaOHにてpH13に調整し、80℃に昇温して1時間撹拌した。生成したPtメタル粉を固液分離し、乾燥し、分析したところPt品位は99.1%であった。
【0045】
なお、上記のRh、Pd、Ptの各溶離工程の終了後に、用いた第四アンモニウムI型ハイポラース樹脂を分析したところ、吸着させた全Rhの11.0%、また全Pdの0.09%、及び全Ptの10.4%が、それぞれ樹脂に残存していることが解った。
【0046】
(実施例2)
上記実施例1に用いた陰イオン交換樹脂(DIAION HPA25)の70gを、2NNaOH200ml中に懸濁し、10分間撹拌した後、濾過し、エタノール50mlにて洗浄後、200mlのベンジルアルコール中に懸濁した。これにメチル化剤であるp−トルエンスルホン酸25gと、アルカリとして水酸化テトラメチルアンモニウムの10%メタノール溶液10mlとを加え、常温にて24時間撹拌した。懸濁液は濾過し、エタノール50mlにて洗浄後、更に6NHClにて洗浄した。
【0047】
このメチル化処理を行った陰イオン交換樹脂40mlを用い、実施例1と同じ原液(Rh:1.61、Pd:55.2、Pt:9.36(g/l)を含む6NHCl溶液)により、実施例1と同様の試験を実施した。
【0048】
ロジウム溶離工程では、6NHClが72ml通過の時点で、溶離液中のRh濃度が検出限界以下となった。これまでの全溶離液を混合してRh濃度を求めたところ、全Rhの99.6%以上が溶離していた。Pd及びPtは、いずれも検出限界以下であった。また、還元により回収したRhメタル粉の品位は、99.94%であった。
【0049】
パラジウム溶離工程では、二塩化ヒドラジニウムのHCl溶液が1062ml通過の時点で、溶離液中のPd濃度は検出限界以下となった。これまでの全溶離液を混合してPd濃度を求めたところ、全Pdの99.99%が溶離していた。Rh及びPtは、いずれも検出限界以下であった。また、還元により回収したPdメタル粉の品位は、99.98%であった。
【0050】
白金溶離工程では、樹脂を保護するため温度を実施例1よりも低い45℃に下げて、同じEDTAのHCl溶液を通過させた。1584ml通過の時点で、溶離液中のPt濃度は検出限界以下となった。これまでの全溶離液を混合し、Pt濃度を求めたところ、全Ptの95.0%が溶離していた。Ph及びPdは、いずれも検出限界以下であった。
【0051】
Ptのみが樹脂中に残留していることが解ったため、27℃の5%チオ尿素水溶液を300ml通液した後、樹脂を分析したところ、Ptの残留は全Pt量の0.07%未満となった。チオ尿素中のPtは、王水にて酸化分解後、先に回収し且つ実施例1と同様にEDTAのHCl結晶を分離した溶離液と合わせ、ヒドラジン還元を行った。得られたPtメタル粉の品位は、99.90%であった。
【0052】
以上の結果から、市販の陰イオン交換樹脂中の1〜3級アミンをメチル化により第4アンモニウム塩に変換すると、白金族元素の残留が低減し、同じ温度で溶離したロジウム、パラジウムの場合を比較すると溶離液量も減少しており、更にロジウム、パラジウムが完全に溶離されることにより、最後に溶離する白金の品位も上昇することが解る。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、ロジウム、パラジウム、白金を含む溶液から、イオン交換樹脂を用いて、それぞれの元素を効率よく分離し、ほぼ製品化可能な純度で回収することができ、また樹脂は繰返し使用可能であるため、本発明の工業的意味は大きい。
Claims (6)
- ロジウム、パラジウム、白金を含む溶液を、水酸基を持たない第4アンモニウム塩型陰イオン交換樹脂と接触させて、ロジウム、パラジウム、白金を陰イオン交換樹脂に吸着させた後、濃度が6モル/リットル以上の塩酸溶液を用いてロジウムを溶離し、次に4価の錯陰イオンの形態で吸着されているパラジウムを2価の錯陰イオンに還元する還元剤を含み且つ塩酸濃度が3〜6モル/リットルの塩酸溶液を用いてパラジウムを溶離し、その後チオ尿素溶液あるいはアミノポリ酸溶液を用いて白金を溶離することを特徴とする白金族元素の回収方法。
- 前記ロジウム、パラジウム、白金を含む溶液と陰イオン交換樹脂の接触時の温度を40〜70℃とし、且つロジウムの溶離時の温度を40〜70℃、パラジウムの溶離時の温度を30℃以下、白金の溶離時の温度を60℃以下とすることを特徴とする、請求項1に記載の白金族元素の回収方法。
- ロジウム、パラジウム、白金を含む溶液を、該溶液の塩素イオン濃度を6モル/リットル以上とした後、水酸基を持たない第4アンモニウム塩型陰イオン交換樹脂と接触させて、ロジウムを吸着させずに流出させると共に、パラジウムと白金を陰イオン交換樹脂に吸着させ、次に4価の錯陰イオンの形態で吸着されているパラジウムを2価の錯陰イオンに還元する還元剤を含み且つ塩酸濃度が3〜6モル/リットルの塩酸溶液を用いてパラジウムを溶離し、その後チオ尿素溶液あるいはアミノポリ酸溶液を用いて白金を溶離することを特徴とする白金族元素の回収方法。
- 前記ロジウム、パラジウム、白金を含む溶液と陰イオン交換樹脂の接触時の温度を40〜70℃とし、且つパラジウムの溶離時の温度を30℃以下、白金の溶離時の温度を60℃以下とすることを特徴とする、請求項3に記載の白金族元素の回収方法。
- 前記パラジウムの溶離に用いる、4価の錯陰イオンの形態で吸着されているパラジウムを2価の錯陰イオンに還元する還元剤が、ヒドラジニウム塩又は亜硫酸であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の白金族元素の回収方法。
- 前記白金の溶離に用いるアミノポリ酸溶液が、アミノポリ酸のアンモニウム塩を含むpH9のアンモニア性溶液であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の白金族元素の回収方法。
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