JP3714655B2 - Seat belt retractor - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシートベルトリトラクタに関し、特に、車両緊急時、先ずクランプ機構によりウエビングをクランプしその滑り摩擦を介してエネルギー吸収を行い、その後更にクランプ機構によるエネルギー吸収と並行してエネルギー吸収機構によりエネルギー吸収を行うようにしたシートベルトリトラクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車に装備されるシートベルトリトラクタにおいては、巻取りドラムから引出されたウエビングを、シートに着座している乗員の腰部や胸部等にセットするようになっており、車両衝突等による車両緊急時には、緊急ロック機構により巻取りドラムが回転不能にロックされて、巻取りドラムからのウエビングの引出しが阻止され、そのウエビングにより乗員がステアリングホイールやフロントウインド等へ2次衝突しないように拘束される。
【0003】
しかし、車両緊急時において、車両の減速度が非常に大きく乗員に作用する慣性力が非常に大きくなる場合には、乗員がウエビングから受ける荷重が非常に大きくなり望ましくない。そこで、最近のシートベルトリトラクタにおいては、緊急ロック機構により巻取りドラムの回転がほぼロックされ、ウエビングに作用する荷重が大きくなると、エネルギーを吸収しつつウエビングを徐々に引出し、乗員に作用する荷重を緩和するようにしたものが多い。
【0004】
例えば、特開平7−285416号公報のシートベルトリトラクタにおいては、緊急ロック機構の他に、巻取りドラムを収容するハウジング内においてウエビングの通過経路付近に固定的に設けられたプレート部材、プレート部材と協働してウエビングをクランプするクランプ部材、当初はクランプ部材をプレート部材に対して接近・離隔させる方向へガイドし且つウエビングをクランプした状態ではクランプ部材のウエビング引出し方向への移動を阻止するガイド部材、巻取りドラムの胴部の外周側に設けられた変形部材等を備えている。
【0005】
車両緊急時には、緊急ロック機構により巻取りドラムの回転がロックされるとともに、クランプ部材とプレート部材により、クランプ部材に形成された複数の突起がウエビングに食込んだ状態で、ウエビングがクランプされる。その後、ウエビングに作用する荷重が大きくなると、先ず、クランプ部材がウエビングと一体にウエビング引出し方向へ移動してガイド部材を塑性変形させ、エネルギー吸収が行われる。
【0006】
クランプ部材がウエビング引出し方向へ所定距離移動すると、クランプ部材がガイド部材の先端部の規制部に当接しその移動が規制され、更にウエビングに作用する荷重が大きくなると、次に、クランプ部材の突起が破断又は変形して、ウエビングがクランプ解除され、続いて、巻取りドラムにおいてウエビングの巻締まりが生じてウエビングが引出された後、ウエビングと巻取りドラムの胴部とで変形部材が挟圧されて縮径方向へ塑性変形してエネルギー吸収が行われる。
【0007】
このように、ウエビングを繰出しつつエネルギー吸収を2段階的に行うこの種のシートベルトリトラクタにおいては、エネルギー吸収量も多いことから、車両緊急時、特に、車両の減速度が非常に大きくなる場合等、乗員に大きな荷重を作用させることなく、エネルギー吸収を行えるという面で優れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特開平7−285416号公報のシートベルトリトラクタでは、クランプ部材のウエビング引出し方向への移動によりガイド部材を変形させてエネルギー吸収を行った後、クランプ部材の突起の破断又は変形によりウエビングがクランプ解除されてから、巻取りドラムの外周部側に設けられた変形部材が更に変形するため、変形する部材が2部材必要になる。
【0009】
更に、このシートベルトリトラクタでは、クランプ部材のウエビング引出し方向への移動により塑性変形するガイド部材を設けなければならないこと、クランプ解除の為にクランプ部材に複数の突起を形成しなければならないこと等により、構造が複雑化し製作コストが高価になるという問題があるし、クランプ部材をウエビング引出し方向へ移動させる為の移動スペースを設けなければならないため、シートベルトリトラクタが大型化するという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、シートベルトリトラクタにおいて、エネルギー吸収を効率よく確実に行うこと、更に、構造を簡単化・小型化し製作コストを低減すること、等である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1のシートベルトリトラクタは、車両緊急時にウエビングの途中部を挟持してウエビングに摩擦抵抗を付加しながらウエビングの引出しを許容してエネルギー吸収を行うクランプ機構を設け、このクランプ機構に、ウエビングに作用する荷重が所定値よりも増大しないようにクランプ機構のウエビング挟持力を制限する挟持力制限機構を設けたものである。
【0012】
車両緊急時、クランプ機構により、ウエビングの途中部を挟持してウエビングに摩擦抵抗を付加しながらウエビングの引出しを許容してエネルギー吸収を行うことができ、このとき、挟持力制限機構により、ウエビングに作用する荷重が所定値よりも増大しないようにクランプ機構のウエビング挟持力を制限するので、乗員に大きな荷重を作用させることなく、エネルギー吸収を効率よく確実に行うことができる。尚、車両緊急時にウエビングを巻付ける巻取りドラムの回転をロックするように構成した場合、巻取りドラムにおけるウエビングの巻締まりによってもエネルギー吸収が可能である。
また、前記クランプ機構は、ウエビングを挟んで相対向する1対のクランプ部材を有し、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けたことを特徴とするものである。従って、これら挟持部全体から均等にクランプ力をウエビングに作用させることができ、クランプ機構の性能を向上させることができる。従って、前記所定値も設定し易くなる。
【0013】
請求項2のシートベルトリトラクタは、車両緊急時にウエビングの途中部を挟持してウエビングに摩擦抵抗を付加しながらウエビングの引出しを許容してエネルギー吸収を行うクランプ機構と、前記クランプ機構によるエネルギー吸収の開始よりも遅れて作動を開始し、クランプ機構によるエネルギー吸収と並行してエネルギー吸収を行うエネルギー吸収機構とを備えたものである。
【0014】
車両緊急時に、クランプ機構によりウエビングの途中部を挟持してウエビングに摩擦抵抗を付加しながらウエビングの引出しを許容してエネルギー吸収を行い、その後、エネルギー吸収機構がクランプ機構によるエネルギー吸収の開始よりも遅れて作動を開始し、このエネルギー吸収機構により、クランプ機構によるエネルギー吸収と並行してエネルギー吸収を行うことができる。従って、ウエビングに作用する荷重が全く低下する虞がなくなり、エネルギー吸収を非常に効率よく確実に行うことができる。
また、前記クランプ機構は、ウエビングを挟んで相対向する1対のクランプ部材を有し、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けたことを特徴とするものである。従って、これら挟持部全体から均等にクランプ力をウエビングに作用させることができ、クランプ機構の性能を向上させることができる。
【0015】
請求項3のシートベルトリトラクタは、ウエビングを巻取る巻取りドラムと、車両緊急時に巻取りドラムの回転をロックする緊急ロック機構と、前記緊急ロック機構のロック動作に連動してウエビングの途中部をクランプし且つウエビングに第1所定値以上の荷重が作用する際にはウエビングの引出しを許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行うクランプ機構と、前記巻取りドラムに巻付けられたウエビングの内側に位置するように巻取りドラムの胴部の外周側に設けられ、ウエビングに第1所定値よりも大きな第2所定値以上の荷重が作用する際にはウエビングと巻取りドラムの胴部とで挟圧されて縮径方向へ変形してエネルギー吸収を行う変形部材とを備えたものである。
【0016】
車両緊急時、先ず、緊急ロック機構により、巻取りドラムの回転がロックされ、緊急ロック機構のロック動作に連動してクランプ機構が作動し、ウエビングの途中部がクランプされると、ウエビングの引出しが阻止され、そのウエビングで乗員が拘束される。その後、ウエビングに作用する荷重が上昇して第1所定値以上になると、クランプ機構により、ウエビングの引出しが許容され摩擦を介してエネルギー吸収が行われる。但し、この間のウエビングの引出しは、巻取りドラムにおけるウエビングの巻締まりによるものである。
【0017】
その後、ウエビングに作用する荷重が第2所定値以上になると、ウエビングと巻取りドラムの胴部とで変形部材が挟圧されて縮径方向へ変形し、ウエビングを徐々に繰出しながらエネルギー吸収が行われ、変形部材が完全に変形すると、ウエビングが繰出されなくなり、ウエビングで乗員が強固に拘束される。
【0018】
つまり、クランプ機構によりウエビングの摩擦を介してエネルギー吸収を継続的に行いつつ、ウエビングと巻取りドラムの胴部とで変形部材を挟圧して縮径方向へ変形させてエネルギー吸収を行うことができるため、ウエビングに作用する荷重が全く低下する虞がなくなり、エネルギー吸収が非常に効率よく確実に行われる。
また、前記クランプ機構は、ウエビングを挟んで相対向する1対のクランプ部材を有し、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けたことを特徴とするものである。従って、これら挟持部全体から均等にクランプ力をウエビングに作用させることができ、クランプ機構の性能を向上させることができる。従って、前記所定値も設定し易くなる。
請求項4のシートベルトリトラクタは、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記各挟持部は、一方のクランプ部材に形成され且つウエビング通過方向に狭幅の凹部と、他方のクランプ部材に形成され且つ前記凹部に係合する凸部とからなることを特徴とするものである。各挟持部において、凹部と凸部の係合によりウエビングをクランプするため、ウエビングを確実に挟持することができ、クランプ機構の性能を一層向上させることができる。
【0019】
請求項5のシートベルトリトラクタは、ウエビングを巻取る巻取りドラムと、車両緊急時に巻取りドラムの回転をロックする緊急ロック機構と、前記緊急ロック機構のロック動作に連動してウエビングの途中部をクランプし且つウエビングに第1所定値以上の荷重が作用する際にはウエビングの引出しを許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行うクランプ機構と、車両緊急時に基端部が緊急ロック機構で回転拘束されるとともに先端部が巻取りドラムと一体的に回転するトーションバーであって、ウエビングに第1所定値よりも大きな第2所定値以上の荷重が作用する際には捩じり変形してエネルギー吸収を行うトーションバーとを備えたものである。
【0020】
車両緊急時、先ず、緊急ロック機構により、トーションバーの基端部が回転拘束され、トーションバーを介して巻取りドラムの回転がロックされ、緊急ロック機構のロック動作に連動してクランプ機構が作動し、ウエビングの途中部がクランプされると、ウエビングの引出しが阻止され、そのウエビングで乗員が拘束される。その後、ウエビングに作用する荷重が上昇して第1所定値以上になると、クランプ機構により、ウエビングの引出しが許容され摩擦を介してエネルギー吸収が行われる。但し、この間のウエビングの引出しは、巻取りドラムにおけるウエビングの巻締まりによるものである。
【0021】
その後、ウエビングに作用する荷重が第2所定値以上になると、トーションバーが捩じり変形して、トーションバーの先端部とともに回転ドラムが回転し、ウエビングを徐々に引出しながらエネルギー吸収が行われる。尚、トーションバーの捩じり変形量が所定値になったときに、トーションバーの先端部の回転もロックするように構成することで、トーションバーの捩じり変形量が所定値になると、巻取りドラムの回転が拘束され、ウエビングが繰出されなくなり、ウエビングで乗員が強固に拘束される。
【0022】
つまり、クランプ機構によりウエビングの摩擦を介してエネルギー吸収を継続的に行いつつ、トーションバーを捩じり変形させてエネルギー吸収を行うことができるため、請求項1と同様に、ウエビングに作用する荷重が全く低下する虞がなくなり、エネルギー吸収が非常に効率よく確実に行われる。
また、前記クランプ機構は、ウエビングを挟んで相対向する1対のクランプ部材を有し、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けたことを特徴とするものである。従って、これら挟持部全体から均等にクランプ力をウエビングに作用させることができ、クランプ機構の性能を向上させることができる。従って、前記所定値も設定し易くなる。
【0023】
請求項6のシートベルトリトラクタは、請求項3又は5の発明において、前記クランプ機構は、このクランプ機構によりウエビングに作用する荷重が第1所定値よりも増大しないように、ウエビング挟持力を制限する挟持力制限機構を有することを特徴とするものである。従って、ウエビングに第1所定値以上の荷重が作用する際に、クランプ機構によりウエビングの引出しを確実に許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行うことができる。また、挟持力制限機構により、ウエビング挟持力を調整することにより、第1所定値を所望の値に設定することが可能になる。その他請求項3又は5と同様の作用を奏する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、図1における前後左右を前後左右として説明する。
【0029】
図1〜図3に示すように、シートベルトリトラクタ1は、車体に固定される金属製のハウジング2、ハウジング2に回転自在に支持された巻取軸3、巻取軸3を常時巻取り方向へ回動付勢する回動付勢機構(図示略)、車両衝突等の車両緊急時に巻取軸3の回転をロックする緊急ロック機構4、ハウジング2内において巻取軸3に外嵌装着されウエビングWを巻取る合成樹脂製の巻取りドラム5、巻取りドラム5の胴部51,61の外周側に設けられた合成樹脂製の変形部材6、巻取りドラム5側に設けられ変形部材6が変形したことを報知する報知部材7(図5参照)、緊急ロック機構4のロック動作に連動して巻取りドラム5から延びるウエビングWの途中部をクランプするクランプ機構8等で構成されている。
【0030】
図1に示すように、ハウジング2は、左側壁10と、右側壁11と、左側壁10と右側壁11の後上部を連結する後上壁部12と、左側壁10と右側壁11の後下部を連結する後下壁部13とを一体形成してなり、後上壁部12と後下壁部13とがボルト等で車体に固定される。左側壁10と右側壁11の前端部は、左右方向向きのバー部材14により連結され補強されている。
【0031】
左側壁10と右側壁11には、巻取りドラム5よりも小径の円形開口15,16が同心状に形成され、その上側に枢支孔17,18が同心状に形成されている。右側壁11には、枢支孔18の後下側に湾曲状の軸挿通孔19が形成され、右面下部に緊急ロック機構4のパウル35とホルダ42が装着されている。後上壁部12と後下壁部13の間には矩形状の開口2aが形成され、図示していないが、巻取りドラム5にウエビングWが殆ど巻取られると、径が大きくなるウエビングWの後端部分が開口2a内に達し、ハウジング2と相互干渉しないようになっている。
【0032】
図3に示すように、巻取軸3は、巻取りドラム5の略矩形断面の挿通孔53,63(図4、図5参照)に挿通可能に形成され、その右端部分に緊急ロック機構4のラチェットホイール30が一体形成され、その右端部に連結軸部21が一体形成されている。巻取軸3にはウエビング挿通孔20が形成され、このウエビング挿通孔20にウエビングWの基端部分が挿通され、ウエビングWの基端部のループ部に内嵌された被係止部材が、ウエビング挿通孔20に挿通不能になり巻取軸3に係止され固定される。巻取軸3の先端部には1対の係合溝22が形成されている。
【0033】
前記緊急ロック機構4について説明する。
図1〜図3に示すように、緊急ロック機構4は、車両緊急時に巻取軸3を介して巻取りドラム5の回転をロックし、巻取りドラム5の回転によるウエビングWの引出しを阻止する機構で、巻取軸3に一体形成されたラチェットホイール30と、ウエビングWの急激な引出しに感応してラチェットホイール30の回転をロックする第1ロック機構と、車両の急減速に感応してラチェットホイール30の回転をロックする第2ロック機構を有する。尚、緊急ロック機構4は、ハウジング2の右側壁11に固定されるカバー部材4aでカバーされる。
【0034】
第1ロック機構は、ハウジング2の右側壁11に固着の軸部36に回動可能に枢支され且つラチェットギヤ30aに係合可能なパウル35と、巻取軸3の連結軸部21に枢支されパウル35をラチェットギヤ30aに対して係合・係合解除方向に案内するガイド部37aが形成されたクラッチ部材37と、連結軸部21に連結されクラッチ部材37の筒部37bに収容されたロックアームベース45と、このロックアームベース45に揺動可能に支持されクラッチ部材37の筒部37bの内部に形成された内歯37cに係合する突起38aが形成され且つ通常時はこの突起38aが内歯37cに係合しない方へ付勢されたロックアーム38と、連結軸部21に枢支されリベット41で抜け止めされたロッキンクギヤ40と、ロックアーム38に当接しロッキングギヤ40に摩擦結合されたロックアームガイド(図示略)等で構成されている。
【0035】
通常状態において、パウル35は、捩じりバネ39によりラチェットギヤ30aに係合しない非係合位置に回動付勢され、急激にウエビングWが引出され連結軸部21が回動すると、ロックアームベース45に対してロッキングギヤ40の回転遅れが生じ、ロックアームガイドも回転遅れが生じる。その結果、ロックアーム38はバネ力に抗して回転し、その突起38aが内歯37cに係合する。すると、クラッチ部材37が回動し、クラッチ部材37のガイド部37aにガイドされパウル35が捩じりバネ39の付勢力に抗して回動してラチェットギヤ30aに係合し、ラチェットホイール30とともに巻取軸3を介して巻取りドラム5の回転がロックされる。
【0036】
第2ロック機構は、第1ロック機構と共通のパウル35及びクラッチ部材37及びロックアームベース45及びロックアーム38及びロックアーム38の右側において連結軸部21に枢支されリベット41で抜け止めされたロッキングギヤ40と、ハウジング2の右側壁10に固定されたホルダ42と、ホルダ42に収容された球状の慣性質量体43と、ホルダ42に揺動可能に連結され且つロッキングギヤ40に係合可能な揺動レバー44を有する。
【0037】
通常状態において、ロッキングギヤ40は摩擦力を介して巻取軸3の連結軸部21と一体的に回動し、車両が急減速すると、ホルダー42に収容されている慣性質量体43が移動し、揺動レバー44が揺動してロッキングギヤ40に係合し、ロッキングギヤ40の回転がロックされる。すると、ロッキングギヤ40のロックアームガイドに対するロックアーム38の相対回転によりその突起38aが内歯37cに係合してクラッチ部材37が回動し、前記同様、ラチェットホイール30とともに巻取軸3を介して巻取りドラム5の回転がロックされる。
【0038】
尚、前記回動付勢機構は、ハウジング2の左側に設けられ、巻取軸3を介して巻取りドラム5を回動付勢するように構成してあるが、周知のものであるためその詳細な説明を省略する。
【0039】
前記巻取りドラム5、変形部材6、報知部材7について説明する。
図4〜図9に示すように、巻取りドラム5は、その軸心方向の途中部で約1:2に分割された巻取りドラム左分割体50と巻取りドラム右分割体60からなり、各巻取りドラム分割体50,60の胴部51,61の外周部に、変形部材6に対応する変形部材分割部70,75が夫々一体形成されている。尚、巻取りドラム左分割体50と巻取りドラム右分割体60の分割位置、つまりそれらの長さに関しては、適宜変更することが可能である。
【0040】
図6、図7に示すように、巻取りドラム左分割体50は、胴部51とその左端部に一体形成されたフランジ52を有し、胴部50には、巻取軸3が挿通する挿通孔53と、胴部50の全長に亙って挿通孔53に外周側から連通する開口54,55が対向状に形成されている。胴部51の右端部には、右方へ突出する1対のピン部56と、1対の係合部57が形成されている。
【0041】
また、胴部51には、外周側から挿通孔53の端部に直交状に連通するピン孔51aが形成され、挿通孔53に巻取軸3の左部を挿通した状態で、ピン状の杭51bをピン孔51aに圧入し巻取軸3の係合溝22に係合させることで、巻取りドラム左分割体50に対して巻取軸3が抜止めされる。フランジ52には、報知部材7が軸方向へ伸長するとき報知部材7の左端部により破断可能な脆弱部58が形成され、その脆弱部58には報知部材7の左端部の1対の爪部81が係合する1対の係合孔59が形成されている。
【0042】
一方、図8、図9に示すように、巻取りドラム右分割体60は、胴部61とその右端部に一体形成されたフランジ62を有し、胴部61には、巻取軸3の右部が挿通する挿通孔63と、胴部61の全長に亙って挿通孔63に外周側から連通する開口64,65が対向状に形成されている。胴部61の左端部には、突出する1対の係合爪66と、1対のピン孔67が形成されている。フランジ62には、報知部材7が軸方向へ伸長するとき報知部材7の右端部により破断可能な脆弱部68が形成され、その脆弱部68には報知部材7の右端部の1対の爪部81が係合する1対の係合孔69が形成されている。
【0043】
巻取りドラム左分割体50の1対のピン部56が、巻取りドラム右分割体60の1対のピン孔67に挿入され、巻取りドラム右分割体60の1対の係合爪66が、巻取りドラム左分割体50の1対の係合部57に係合して、巻取りドラム左分割体50と巻取りドラム右分割体60が一体的に連結され、胴部51,61、挿通孔53,63、開口54,64、開口55,65が夫々連結状態になる。
【0044】
図4〜図9に示すように、前記変形部材6は、巻取りドラム5に巻付けられたウエビングWの内側に位置するように巻取りドラム5の胴部51,52の外周側に設けられ、ウエビングWに第1所定値F1よりも大きな第2所定値F2以上の荷重が作用する際にはウエビングWと巻取りドラム5の胴部51,52とで挟圧されて縮径方向へ変形してエネルギー吸収を行う部材であり、巻取りドラム分割体50,60に夫々一体形成された変形部材左分割部70と変形部材右分割部75からなる。ここで、前記第1所定値F1については、後述するクランプ機構8により、クランプされたウエビングWの引出しを摩擦を介して許容する荷重である。
【0045】
図6、図7に示すように、変形部材左分割部70は、巻取りドラム左分割体50の胴部51の外周部からほぼ径方向外側へ延びる矩形板状の複数の起立部71a〜71iと、2対の起立部71b,71c、71d,71eの先端部を夫々連結する部分円筒状の架橋部72a,72bを有し、1対の起立部71b,71cと架橋部72aの内側に、報知部材7の左部を収容する収容部73が形成され、収容部73の左端に前記脆弱部58が位置している。
【0046】
図8、図9に示すように、変形部材右分割部75は、巻取りドラム右分割体60の胴部61の外周部からほぼ径方向外側へ延びる矩形板状の複数の起立部76a〜76jと、4対の起立部76b,76c、71d,71e、76f,76g、76h,76iの先端部を夫々連結する部分円筒状の架橋部77a〜77dを有し、1対の起立部76b,76cと架橋部77aの内側に、報知部材7の右部を収容する収容部78が形成され、収容部78の右端に前記脆弱部68が位置している。
【0047】
図6、図8に示すように、変形部材左分割部70の起立部71b〜71e,71g〜71iと、変形部材右分割部75の起立部76b〜76jは、巻取りドラム5の径方向に対して矢印で示すウエビング引出し方向へ約10度傾斜している。巻取りドラム左分割体50と巻取りドラム右分割体60が一体的に連結されると、変形部材左分割部70と変形部材左分割部75の対応する起立部及び架橋部等が略連続的になる。
【0048】
尚、起立部71a,71fは、巻取りドラム5の径方向に対して矢印で示すウエビング引出し方向へ傾斜していないが、前記起立部同様に傾斜させることも可能である。尚、変形部材6の設計如何により、前記第2所定値F2を適宜設定することが可能である。
【0049】
図5、図10、図11に示すように、前記報知部材7は、巻取りドラム5の胴部51,61と変形部材6の間に設けられ、変形部材6の縮径方向への変形により巻取りドラム5を貫いて突出してハウジング2の10,11側壁に当接し、変形部材6が変形したことを報知するように構成されている。
【0050】
前記報知部材7は、アルミニウム板のバー部材からなり、この報知部材7は、変形部材6の縮径方向への変形により伸長する2つの屈曲状の伸長部80を有し、前記変形部材6の収容部73,78に収容され巻取りドラム5の軸心方向向きに配設されている。報知部材7は巻取りドラム5の胴部51,61と略同じ長さを有し、報知部材7の左右両端部には、1対の爪部81が夫々形成され、収容部73,78に収容された報知部材7の1対の爪部81は前記脆弱部58,68が形成された1対の係合孔59,69に夫々係合されている。
【0051】
前記クランプ機構8について説明する。
クランプ機構8は、緊急ロック機構4のロック動作に連動してウエビングWの途中部をクランプし且つウエビングWに第1所定値F1以上の荷重が作用する際にはウエビングWの引出しを許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行う機構である。
【0052】
図1、図2、図12〜図15に示すように、クランプ機構8は、ハウジング2の1対の側壁10,11にそれらの間において一端部が枢支されたアーム90と、アーム90の他端部に回動可能に連結された可動クランプ部材91と、ハウジング2の後上壁部12の前面に沿って上下動可能でクランプ部材91と協働してウエビングWを挟持可能なベースクランプ部材92と、緊急ロック機構4に作動的に連結され且つその上端部がアーム90の他端部に回動可能に連結された作動部材93と、クランプ部材91,92によりウエビングWに作用する荷重が第1所定値F1よりも増大しないようにウエビング挟持力を制限する挟持力制限機構95等を有する。
【0053】
アーム90の一端部には枢支軸90aが挿通され、その枢支軸90aの端部がアーム90の端部から突出し、ハウジング2の1対の側壁10,11の枢支孔17,18に回動可能に枢支されている。アーム90の他端部には右方へ突出する軸部90bが固着され、この軸部90bが右側壁11の軸挿通孔19を挿通して右方へ延び、その右端部分に作動部材93の上端部が枢支されている。
【0054】
ベースクランプ部材92は第1ガイド部材97に固着されており、この第1ガイド部材97に、可動クランプ部材91がベースクランプ部材92に対して接近・離隔させ方向(前後方向)へ移動自在にガイド支持されている。また、第1ガイド部材97は、ハウジング2の後上壁部12の前面に固着された第2ガイド部材98に、上下に移動自在にガイド支持されている。
【0055】
通常状態では、作動部材93がコイルバネ94により付勢され、ベースクランプ部材92と可動クランプ部材91の間に隙間があるが、車両緊急時、緊急ロック機構4が作動すると、作動部材93がコイルバネ94の付勢力に抗して上方へ移動して、アーム90が可動クランプ部材91とともに枢支軸90a回りに右側面視にて反時計回りに揺動し、可動クランプ部材91とベースクランプ部材92とでウエビングWがクランプされる。
【0056】
挟持力制限機構95は、第2ガイド部材98の上端部分に形成された係止部96を有し、この係止部96で第1ガイド部材97の上端部を係止することにより、ウエビング挟持力を制限している。即ち、可動クランプ部材91は、アーム90の枢支軸90aの高さ位置に至る間において上方へ移動する程ベースクランプ部材92側へ接近し、ウエビング挟持力は増大するが、係止部96で第1ガイド部材97を係止し、第1ガイド部材97とともに可動クランプ部材91の上方への移動を規制することで、クランプ部材91,92によりウエビングWに作用する荷重が第1所定値F1よりも増大しないようにウエビング挟持力を制限するように構成してある。
【0057】
前記シートベルトリトラクタ1の作動について、図12〜図15及び図16のウエビングの荷重特性を参照しながら説明する。
通常の状態では、緊急ロック機構4が作動せず、図12に示すように、クランプ機構8により巻取りドラム5から延びるウエビングWの途中部がクランプされず、ウエビングWを巻取りドラム5から自由に引出すことができる。
【0058】
ウエビングWを乗員の胸部や腰部等にセットした状態において、車両衝突等の車両緊急時、先ず、緊急ロック機構4により、巻取軸3を介して巻取りドラム5の回転がロックされると、その直後に、図13に示すように、第1ガイド部材97とともに可動クランプ部材91とベースクランプ部材92とが僅かに上方へ移動し、クランプ機構8により、巻取りドラム5から延びるウエビングWの途中部がクランプされる。
【0059】
その後、ウエビング挟持力を増大させながら、第1ガイド部材97とともに可動クランプ部材91とベースクランプ部材92とが更に上方へ移動し、図14に示すように、第1ガイド部材97の上端部が挟持力制限機構95の係止部96に係止され、ウエビングWに作用する荷重が上昇して第1所定値F1以上になると、クランプ機構8によりクランプされたウエビングWが、クランプ部材91,92から作用する挟持摩擦力に抗して滑り出してエネルギーが吸収される。
【0060】
車両緊急時直後、緊急ロック機構4により巻取りドラム5の回転はロックされているため、この間のウエビングWの引出しは、巻取りドラム5におけるウエビングWの巻締まりによるものであるが、ウエビングWがL1(例えば、L1=4cm)繰出されウエビングWの巻取締まりが略完了するまで、クランプ機構8により、ウエビングWの引出しが許容され摩擦を介してエネルギー吸収が行われ、乗員に作用する衝撃が緩和される
【0061】
その後、ウエビングWの荷重が上昇して第2所定値F2以上になると、変形部材6がウエビングWと胴部51,61とで挟圧されて縮径方向へ変形し、ウエビングWを引出しながらエネルギー吸収が行われ、乗員に作用する衝撃が緩和される。その後、図15に示すように、変形部材6が縮径方向へ完全に変形し、ウエビングWがL2(例えば、L2=30cm)引出された後には、ウエビングWが殆ど引出されなくなり、ウエビングWで乗員が強固に拘束される。
【0062】
ここで、図10の状態から、変形部材6がウエビングWと巻取りドラム5の胴部51,61とで挟圧されて縮径方向へ変形すると、その変形により報知部材7の2つの伸長部80が塑性変形して伸長し、報知部材7の長さが長くなるため、図11に示すように、報知部材7の両端部が巻取りドラム5の1対の脆弱部58,68を破断し、巻取りドラム5のフランジ52,62を貫いて突出してハウジング2の側壁10,11に強力に当接する。
【0063】
変形部材6が縮径方向へ一旦変形すると、その後は報知部材7の両端部がハウジング2の側壁10,11に強力に当接した状態が保持され、報知部材7と側壁10,11の間に作用する摩擦力により巻取りドラム5が回動しにくくなり、ウエビングWの巻取りドラム5からの引出し、ウエビングWの巻取りドラム5への巻取りがスムースにいかなくなるため、或いは、巻取りドラム5が回動する際に異音が発生するため、変形部材6が変形したことを簡単且つ確実に確認でき、その結果、シートベルトリトラクタの交換の要否を容易に判断することができる。
【0064】
このシートベルトリトラクタ1によれば、車両緊急時、緊急ロック機構4により巻取りドラム5の回転をロックした後、先ず、クランプ機構8により、ウエビングWの途中部をクランプし、ウエビングWに第1所定値F1以上の荷重が作用する際に、ウエビングWの引出しを許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行い、次に、ウエビングWに第2所定値F2以上の荷重が作用する際に、エビングWと巻取りドラム5の胴部51,61とで変形部材6を挟圧して縮径方向へ変形させてエネルギー吸収を行うことができる。
【0065】
つまり、クランプ機構8によりウエビングWの摩擦を介してエネルギー吸収を継続的に行いつつ、ウエビングWと巻取りドラム5の胴部51,61とで変形部材6を挟圧して縮径方向へ変形させてエネルギー吸収を行うことができるため、ウエビングWに作用する荷重が全く低下する虞がなくなり、エネルギー吸収を非常に効率よく確実に行うことができる。
【0066】
更に、変形部材6以外には、エネルギー吸収の為の部材を必要とせず、又、クランプ機構8の作動も従来通りシンプルであるため、構造を簡単化・小型化でき製作コストを低減することができる。しかも、クランプ機構8は、このクランプ機構8によりウエビングWに作用する荷重が第1所定値F1よりも増大しないように、ウエビング挟持力を制限する挟持力制限機構85を有するので、ウエビングWに第1所定値F1以上の荷重が作用する際に、クランプ機構8によりウエビングWの引出しを確実に許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行うことができ、また、挟持力制限機構85により、ウエビング挟持力を調整することにより、第1所定値F1を所望の値に設定することが可能になる。
【0067】
次に、第1別実施形態について説明する。尚、前記実施形態と同じものには同一符号を付して説明する。但し、図17における前後左右を前後左右として説明する。
【0068】
図17、図18に示すように、シートベルトリトラクタ1Aは、車体に固定される金属製のハウジング100 、ハウジング100 に装着されウエビングWを巻取る巻取りドラム101 と、巻取りドラム101 に挿通するように配設されて左端部が巻取りドラム101 に相対回転不能に係合されたトーションバーとしてのスピンドル軸102 、巻取ドラムり101 を常時巻取り方向へ回動付勢する回動付勢機構(図示略)、車両緊急時にスピンドル軸102 の右端近傍部を回転不能にロックする緊急ロック機構4、緊急ロック機構4のロック動作に連動して巻取りドラム5から延びるウエビングWの途中部をクランプするクランプ機構8、車両緊急時にスピンドル軸102 の左端部の右端近傍部に対する捩じり変形回転量が所定値になるまでスピンドル軸102 の捩じり変形を許し、且つ前記捩じり変形回転量が所定値に達したときスピンドル軸102 の右端近傍部と巻取りドラム101 とを相対回転不能に締結する締結機構103 (図21〜23参照)等で構成されている。
【0069】
図17に示すように、ハウジング100 の左側壁10と右側壁11には、前記実施形態のハウジング2の円形開口15,16よりも若干大きめで、しかも巻取りドラム101 よりも小径の円形開口15A,16Aが同心状に形成されている。このハウジング100 について、その他の構造は前記実施形態のハウジング2と同様であるので説明を省略する。
【0070】
図17、図19〜図23に示すように、巻取りドラム101 は、外周部にウエビングWが巻付けられる胴部110 と、左鍔部111 と、右鍔状部112 を有し、その軸心部分にスピンドル軸102 が挿通する左右方向向きの挿通孔113 が形成されている。左鍔部111 には、スプライン穴114 が形成され、また、巻取りドラム101 の左端部分には、挿通孔113 とスプライン穴114 に連通し且つ挿通孔113 よりも大径の挿入穴115 が形成されている。
【0071】
右鍔状部112 は左右幅広に形成され、その中央部分には、挿通孔113 に連通し且つ挿通孔113 よりも大径のスプライン状の嵌合穴116 が形成され、この嵌合穴116 に、締結機構103 のリング部材130 が相対回転不能に且つ左右に相対移動可能に内嵌されている。また、胴部110 には、ウエビングWの基端を嵌合固定する為のウエビング挿通開口117 が形成されている。
【0072】
図17〜図23に示すように、スピンドル軸102 は、ウエビングWに第1所定値F1よりも大きな第2所定値F2以上の荷重が作用する際に捩じり変形してエネルギー吸収を行うトーションバー部120 と、トーションバー部120 の左端側のローレット軸部121 と、トーションバー部120 の右端側のスプライン軸部122 と、スプライン軸部122 の右端側の連結軸部123 とを一体形成したものであって、ローレット軸部121 が、キャップ部材125 を介して巻取りドラム101 の左端部に相対回転不能に係合され、スプライン軸部122 に緊急ロック機構4のラチェットホイール30Aが相対回転不能に外嵌され連結されている。
【0073】
キャップ部材125 は、スプライン状の係合部126 と、係合部126 から右方へ延びる筒部127 と、筒部127 の内部に形成されたローレット穴部128 とを有し、係合部126 が巻取りドラム101 のスプライン穴114 に係合され、筒部127 が挿入穴115 に内嵌挿入され、ローレット穴部128 にスピンドル軸102 のローレット軸部121 が係合されている。また、キャップ部材125 には係合部126 から左方へ延びる断面正方形状の連結軸部129 が一体形成され、この連結軸部129 が回動付勢機構に作動的に連結されている。
【0074】
尚、図示していないが、スピンドル軸102 のトーションバー部120 に、ウエビングWの基端部の筒状部が外嵌され、ウエビングWはトーションバー部120 から、巻取りドラム101 の胴部110 のウエビング挿通開口117 を貫通して延び、胴部110 に巻付けられている。
【0075】
尚、回動付勢機構については、周知技術であるためその説明を省略し、緊急ロック機構4とクランプ機構8の構造及び作用については、前記実施形態と同様であるので説明を省略する。但し、前記実施形態のラチェットホイール30が巻取軸3に一体形成されているのに対して、本実施形態のラチェットホイール30Aはスピンドル軸102 と別体である。尚、ラチェットホイール30Aの円筒状のガイド部119 が、ハウジング100 の円形開口16Aにリング状の低摩擦部材119aを介して内嵌され回転自在に支持されている。
【0076】
前記締結機構103 について説明する。
図19、図21〜図23に示すように、締結機構103 は、スピンドル軸102 のスプライン軸部122 に相対回転不能に連結されたラチェットホイール30Aの筒部118 に螺合機構135 を介して外嵌螺合されたリング部材130 を有する。このリング部材130 は、巻取りドラム101 の嵌合穴116 に内嵌され、巻取りドラム101 に対して相対回転不能に且つその軸心方向(左右方向)へ相対移動可能に設けられている。
【0077】
前記螺合機構135 は、リング部材130 の内周に形成された雌ネジ部136 と、ラチェットホイール30Aの筒部118 の外周に形成され雌ネジ部136 に螺合した雄ネジ部137 とからなり、筒部118 の雄ネジ部137 及びリング部材130 の雌ネジ部136 は正ネジに形成され、リング部材130 が筒部118 に対して、図21に矢印Aで示す方向へ回動すると、図19、図22に矢印Bで示す右方向へ移動し、図23に示すように、リング部材130 の右端面がラチェットホイール30Aのガイド部119 の左端面に当接し、リング部材130 と筒部118 とが一体化され相対回転不能になる。
【0078】
この締結機構103 においては、車両緊急時に、スピンドル軸102 のローレット軸部121 のスプライン軸部122 に対する捩じり変形回転量が、前記リング部材130 が回転不能になる所定値になるまでスピンドル軸102 のトーションバー部120 の捩じり変形を許し、且つ前記捩じり変形回転量が所定値に達したときスピンドル軸102 のスプライン軸部122 と巻取りドラム101 とを、リング部材130 とラチェットホイール30Aを介して相対回転不能に締結するように構成してある。
【0079】
ここで、リング部材130 の右端面がガイド部119 の左端面に当接するまでにリング部材130 が筒部118 に対して回転可能な回転数、つまり前記捩じり変形回転量は、リング部材130 の組付け時、リング部材130 の右端面をガイド部119 の左端面に当接させた状態から、リング部材130 を前記と逆方向へ所望の回転数だけ回転させることにより簡単に設定できる。尚、この場合、リング部材130 を容易に回動させないように、筒部118 に樹脂コーティングを施し、筒部118 とリング部材130 間に摩擦力をある程度作用させておくのが望ましい。
【0080】
次に、シートベルトリトラクタ1Aの作動について説明する。尚、前記実施形態と同じ動作については簡単に説明する。また、ウエビングWに作用する荷重特性も図16と略同様であるので、この図を参照して説明する。
通常状態においては、緊急ロック機構4が作動しないため、巻取りドラム101 からウエビングWを自由に引出し、シートに着座している乗員の腰部や胸部等にセットすることができる。
【0081】
ウエビングWを乗員の胸部や腰部等にセットした状態において、車両衝突等の車両緊急時、先ず、緊急ロック機構4により、スピンドル軸102 のスプライン軸部122 が回転不能にロックされ、スピンドル軸102 を介して巻取りドラム101 の回転もロックされると、その直後に、クランプ機構8により、巻取りドラム101 から延びるウエビングWの途中部がクランプされる。その後、ウエビングWに作用する荷重が上昇して第1所定値F1以上になると、クランプ機構8によりクランプされたウエビングWが、クランプ部材91,92から作用する挟持摩擦力に抗して滑り出してエネルギーが吸収される。
【0082】
その後、ウエビングWがL1繰出されウエビングWの巻取締まりが略完了するまで、クランプ機構8により、ウエビングWの引出しが許容され摩擦を介してエネルギー吸収が行われ、乗員に作用する衝撃が緩和される。その後、ウエビングWの荷重が上昇して第2所定値F2以上になると、スピンドル軸102 のトーションバー部120 が捩じり変形してエネルギー吸収が行われる。
【0083】
この場合、スピンドル軸102 のトーションバー部120 が捩じり変形し、スピンドル軸102 のロックされたスプライン軸部122 に対してローレット軸部121 が巻取りドラム101 とともに回動し、ウエビングWが繰出されていく。このとき、巻取りドラム101 とともに回動するリング部材130 は、図19の状態から図22の状態を経て右側へ移動していく。
【0084】
通常、ウエビングWの繰出し量がL2になるまでの間に全ての運動エネルギーが吸収される。しかし、万一スピンドル軸102 のトーションバー部120 の前記捩じり変形回転量が所定値に達すると、図23に示すように、リング部材130 の右端面がガイド部119 の左端面に当接して、リング部材130 がラチェットホイール30Aと一体化し、スプライン軸部123 がラチェットホイール30Aとリング部材130 を介して巻取りドラム101 と相対回転不能に締結され、トーションバー部120 の破断を防止する。こうして、巻取りドラム101 が完全に回転拘束され、ウエビングWの繰出しが阻止され、ウエビングWで乗員が確実に拘束される。
【0085】
このシートベルトリトラクタ1Aによれば、車両緊急時、緊急ロック機構4により巻取りドラム100 の回転をロックした後、先ず、クランプ機構8により、ウエビングWの途中部をクランプし、ウエビングWに第1所定値以上の荷重が作用する際に、ウエビングWの引出しを許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行い、次に、ウエビングWに第2所定値以上の荷重が作用する際に、トーションバー部120 を捩じり変形させてエネルギー吸収を行うことができる。
【0086】
つまり、クランプ機構8によりウエビングWの摩擦を介してエネルギー吸収を継続的に行いつつ、トーションバー部120 を捩じり変形させてエネルギー吸収を行うことができるため、前記実施形態同様に、ウエビングWに作用する荷重が全く低下する虞がなくなり、エネルギー吸収を非常に効率よく確実に行うことができる。
【0087】
また、締結機構103 を設けたので、緊急ロック機構4の作動後にスピンドル軸102 のローレット軸部121 のスプライン軸部132 に対するウエビング引出し方向への捩じり変形回転量が所定値になるまでトーションバー部120 の捩じり変形を許し、前記捩じり変形回転量が所定値に達したときスピンドル軸102 のスプライン軸部122 と巻取りドラム101 とを相対回転不能に締結することができる。
【0088】
その結果、車両緊急時にウエビングWに大きな荷重が作用した場合や、車両が一度に複数回衝突してスピンドル軸102 が繰返し捩じり変形した場合でも、乗員の運動エネルギーを吸収するとともに、スピンドル軸102 の破断を確実に防止し、最終的には乗員をウエビングWで確実に拘束できるため、乗員がステアリングホイールやフロントウインド等に2次衝突するのを確実に防止して、乗員の安全性を確保することができる。その他前記実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0089】
次に、前記第1別実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。但し、前記別実施形態と同じものには同一符号を付して説明する。
【0090】
1〕変形例1・・・図24参照
このシートベルトリトラクタ1Bは、締結機構103Bにおいて、巻取りドラム101Bに形成された雌ネジ部141 とスピンドル軸102 の右端近傍部に相対回転不能に連結されたラチェットホイール30Bに形成され雌ネジ部141 と螺合した雄ネジ部142 とを有する螺合機構140 を備え、ラチェットホイール30Bと巻取りドラム101Bとを当接させることにより、ラチェットホイール30Bを介して、スピンドル軸102 のスプライン軸部122 と巻取りドラム101Bとを締結するように構成したものである。
【0091】
巻取りドラム101Bの右鍔状部112 には、その中央部分に嵌合穴143 が形成され、その嵌合穴143 の周面部に雌ネジ141 が形成され、ラチェットホイール30Bにはガイド部144 が一体形成され、そのガイド部144 の左部に雄ネジ部142 が形成され、嵌合穴143 の内端面とガイド部144 の左端面が当接可能になっている。
【0092】
2〕変形例2・・・図25参照
このシートベルトリトラクタ1Cは、締結機構103Cにおいて、巻取りドラム101Cに形成された雌ネジ部151 とスピンドル軸102Cの他端近傍部に形成され雌ネジ部152 に螺合した雄ネジ部152 とを有する螺合機構150 を備え、スピンドル軸102Cとラチェットホイール30Cとを一体形成し、スピンドル軸102Cの右端近傍部と巻取りドラム101Cとを当接させることによりスピンドル軸102Cの右端近傍部と巻取りドラム101Cとを締結するように構成したものである。
【0093】
巻取りドラム101Cの右鍔状部112 には、その中央部分に嵌合穴153 が形成され、その嵌合穴153 の周面部に雌ネジ151 が形成され、スピンドル軸102Cの右端部分にガイド部154 が一体形成され、そのガイド部154 の左部に雄ネジ部152 が形成され、嵌合穴153 の内端面とガイド部154 の左端面が当接可能になっている。尚、ラチェットホイール30Cは、ガイド部154 の右側においてスピンドル軸102Cと一体形成されている。
【0094】
次に、第2別実施形態について説明する。
第2別実施形態は、前記実施形態のクランプ機構8のクランプ部材91,92の形状を変更したものである。
【0095】
第2別実施形態のクランプ機構8Dにおいて、可動クランプ部材91D及びベースクランプ部材92Dの相対向する面のうちウエビング通過方向(上下方向)の両端部分に左右に長い1対の挟持部160,165 が設けられ、1対の挟持部160,165 同士間に非挟持部169 が設けられている。
【0096】
下側の挟持部160 は、可動クランプ部材91Dに形成され且つ上下方向に狭幅の凸部161 と、ベースクランプ部材92Dに形成され且つ前記凸部161 に係合する凹部162 とからなり、上側の挟持部165 は、可動クランプ部材91Dに形成され且つ上下方向に狭幅の凹部166 と、ベースクランプ部材92Dに形成され且つ前記凹部161 に係合する凸部167 とからなり、各凸部161,167 と凹部162,166 及びその近傍部には、非常に複数の微小突起が形成されている。
【0097】
つまり、このクランプ機構8Dにおいては、可動クランプ部材91D及びベースクランプ部材92Dの上下両端部分に1対の挟持部160,165 を設け、1対の挟持部160,165 同士間に非挟持部169 を設けたので、1対の挟持部160,165 全体から均等にクランプ力をウエビングWに作用させることができ、更に、各挟持部160,165 において、凹部162,166 と凸部161,167 の係合によりウエビングWをクランプするため、クランプ機構8Dの性能を高めることができ、前記第1所定値F1も設定し易くなる。このクランプ機構8Dによれば、1対の挟持部160,165 の各挟持部でエネルギー吸収を行うものであるので、通常のクランプ機構よりも高いエネルギー吸収が行える。
【0098】
そして、クランプ機構8Dが実際に作動したときには、両挟持部160,165 が同時にウエビングWを挟持するのであるが、ウエビングWに第1所定値の荷重が作用すると、先ず引出し側の挟持部165 がウエビングWの引出しを許容し非挟持部169 のウエビング部分が伸ばされつつ摩擦を解してエネルギー吸収を行い、次に第2所定値の荷重が作用すると挟持部160 もウエビングWの引出しを許容する。従って、両挟持部160,165 によってエネルギー吸収が行われるため、一方の挟持部に荷重が集中することがないので、ウエビングWに対する損傷を防止できる。
【0099】
このクランプ機構8Dは、前述の実施形態及び別実施形態と組合わせて使用することもでき、また、単独でも使用することができる。尚、単独で使用する場合には、ウエビングWの引出しを許容する為にリール(回転ドラム)の回転を拘束しないように緊急ロック機構を除けばよい。
【0100】
尚、本発明に係るシートベルトリトラクタは、前記実施形態及び別実施形態で説明したものに限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を付加して、種々の形式のシートベルトリトラクタに適用することができる。
【0101】
【発明の効果】
請求項1のシートベルトリトラクタによれば、クランプ機構により、ウエビングの途中部を挟持してウエビングに摩擦抵抗を付加しながらウエビングの引出しを許容してエネルギー吸収を行うことができ、このとき、挟持力制限機構により、ウエビングに作用する荷重が所定値よりも増大しないようにクランプ機構のウエビング挟持力を制限するので、乗員に大きな荷重を作用させることなく、エネルギー吸収を効率よく確実に行うことができる。
また、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けたので、これら挟持部全体から均等にクランプ力をウエビングに作用させることができ、クランプ機構の性能を向上させることができ、前記所定値も設定し易くなる。また、両挟持部にウエビングに加わる荷重が分散されるので、一方の挟持部に荷重が集中することなくウエビングの損傷を防止できる。
【0102】
請求項2のシートベルトリトラクタによれば、クランプ機構によりウエビングの途中部を挟持してウエビングに摩擦抵抗を付加しながらウエビングの引出しを許容してエネルギー吸収を行い、その後、エネルギー吸収機構がクランプ機構によるエネルギー吸収の開始よりも遅れて作動を開始し、このエネルギー吸収機構により、クランプ機構によるエネルギー吸収と並行してエネルギー吸収を行うことができるため、ウエビングに作用する荷重が全く低下する虞がなくなり、エネルギー吸収を非常に効率よく確実に行うことができる。
また、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けたので、これら挟持部全体から均等にクランプ力をウエビングに作用させることができ、クランプ機構の性能を向上させることができる。また、両挟持部にウエビングに加わる荷重が分散されるので、一方の挟持部に荷重が集中することなくウエビングの損傷を防止できる。
【0103】
請求項3のシートベルトリトラクタによれば、車両緊急時、緊急ロック機構により巻取りドラムの回転をロックした後、先ず、クランプ機構により、ウエビングの途中部をクランプし、ウエビングに第1所定値以上の荷重が作用する際に、ウエビングの引出しを許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行い、次にウエビングに第2所定値以上の荷重が作用する際に、エビングと巻取りドラムの胴部とで変形部材を挟圧して縮径方向へ変形させてエネルギー吸収を行うことができる。
【0104】
つまり、クランプ機構によりウエビングの摩擦を介してエネルギー吸収を継続的に行いつつ、ウエビングと巻取りドラムの胴部とで変形部材を挟圧して縮径方向へ変形させてエネルギー吸収を行うことができるため、ウエビングに作用する荷重が全く低下する虞がなくなり、エネルギー吸収を非常に効率よく確実に行うことができる。更に、前記変形部材以外には、エネルギー吸収の為の部材を必要とせず、又、クランプ機構の作動も従来通りシンプルであるため、構造を簡単化・小型化でき製作コストを低減することができる。
また、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けたので、これら挟持部全体から均等にクランプ力をウエビングに作用させることができ、クランプ機構の性能を向上させることができ、前記所定値も設定し易くなる。また、両挟持部にウエビングに加わる荷重が分散されるので、一方の挟持部に荷重が集中することなくウエビングの損傷を防止できる。
請求項4のシートベルトリトラクタによれば、請求項1〜3の何れか1項と同様の効果を奏するが、各挟持部は、一方のクランプ部材に形成され且つウエビング通過方向に狭幅の凹部と、他方のクランプ部材に形成され且つ前記凹部に係合する凸部とからなるので、各挟持部において、凹部と凸部の係合によりウエビングをクランプするため、ウエビングを確実に挟持することができ、クランプ機構の性能を一層向上させることができる。
【0105】
請求項5のシートベルトリトラクタによれば、車両緊急時、緊急ロック機構により巻取りドラムの回転をロックした後、先ず、クランプ機構により、ウエビングの途中部をクランプし、ウエビングに第1所定値以上の荷重が作用する際に、ウエビングの引出しを許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行い、次に、ウエビングに第2所定値以上の荷重が作用する際に、トーションバーを捩じり変形させてエネルギー吸収を行うことができる。
【0106】
つまり、クランプ機構によりウエビングの摩擦を介してエネルギー吸収を継続的に行いつつ、トーションバーを捩じり変形させてエネルギー吸収を行うことができるため、請求項1と同様に、ウエビングに作用する荷重が全く低下する虞がなくなり、エネルギー吸収を非常に効率よく確実に行うことができる。更に、前記トーションバー以外には、エネルギー吸収の為の部材を必要とせず、又、クランプ機構の作動も従来通りシンプルであるため、構造を簡単化・小型化でき製作コストを低減することができる。
また、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けたので、これら挟持部全体から均等にクランプ力をウエビングに作用させることができ、クランプ機構の性能を向上させることができ、前記所定値も設定し易くなる。また、両挟持部にウエビングに加わる荷重が分散されるので、一方の挟持部に荷重が集中することなくウエビングの損傷を防止できる。
【0107】
請求項6のシートベルトリトラクタによれば、請求項3又は5と同様の効果を奏するが、クランプ機構は、このクランプ機構によりウエビングに作用する荷重が第1所定値よりも増大しないように、ウエビング挟持力を制限する挟持力制限機構を有するので、ウエビングに第1所定値以上の荷重が作用する際に、クランプ機構によりウエビングの引出しを確実に許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行うことができ、また、挟持力制限機構により、ウエビング挟持力を調整することにより、第1所定値を所望の値に設定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシートベルトリトラクタの分解斜視図である。
【図2】シートベルトリトラクタの右側面図である。
【図3】緊急ロック機構の分解斜視図である。
【図4】巻取りドラムの斜視図である。
【図5】巻取りドラムの分解斜視図である。
【図6】巻取りドラム左分割体の右側面図である。
【図7】図6のVII −VII 矢視図である。
【図8】巻取りドラム右分割体の左側面図である。
【図9】図8のIX−IX矢視図である。
【図10】巻取りドラムの部分断面図である。
【図11】巻取りドラムの部分断面図である。
【図12】シートベルトリトラクタの作動説明図である。
【図13】シートベルトリトラクタの作動説明図である。
【図14】シートベルトリトラクタの作動説明図である。
【図15】シートベルトリトラクタの作動説明図である。
【図16】ウエビングに作用する荷重特性を示す図である。
【図17】第1別実施形態に係るシートベルトリトラクタの分解斜視図である。
【図18】シートベルトリトラクタの要部斜視図である。
【図19】シートベルトリトラクタの要部断面図である。
【図20】図19のXX−XX線断面図である。
【図21】図19のXXI −XXI 線断面図である。
【図22】シートベルトリトラクタの要部断面図である。
【図23】シートベルトリトラクタの要部断面図である。
【図24】第1別実施形態の変形例のシートベルトリトラクタの断面図である。
【図25】第1別実施形態の変形例のシートベルトリトラクタの断面図である。
【図26】第2別実施形態のクランプ機構の側面図である。
【図27】図26のXXVII −XXVII 矢視図である。
【図28】図26のXXVIII−XXVIII矢視図である。
【符号の説明】
W ウエビング
1,1A〜1C シートベルトリトラクタ
4 緊急ロック機構
5,101 ,101B,101C 巻取りドラム
6 変形部材
8,8D クランプ機構
51,61 胴部
95 挟持力制限機構
91,91D 可動クランプ部材
92,92D ベースクランプ部材
102 スピンドル軸(トーションバー)
160,165 挟持部
169 非挟持部
161,167 凸部
162,166 凹部[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a seat belt retractor, and in particular, in a vehicle emergency, first a webbing is clamped by a clamping mechanism and energy is absorbed through sliding friction, and then energy is absorbed by an energy absorbing mechanism in parallel with energy absorption by the clamping mechanism. The present invention relates to a seat belt retractor.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, in a seat belt retractor installed in an automobile, a webbing drawn from a take-up drum is set on a waist or a chest of an occupant seated on the seat. Sometimes, the take-up drum is locked to be non-rotatable by the emergency lock mechanism, and the webbing is prevented from being pulled out from the take-up drum, and the occupant is restrained from secondary collision with the steering wheel, the front window, etc. by the webbing. .
[0003]
However, in the event of a vehicle emergency, if the vehicle deceleration is very large and the inertial force acting on the occupant becomes very large, the load that the occupant receives from the webbing becomes very large, which is not desirable. Therefore, in recent seat belt retractors, when the rotation of the take-up drum is almost locked by the emergency lock mechanism and the load acting on the webbing increases, the webbing is gradually pulled out while absorbing energy, and the load acting on the occupant is reduced. Many things are designed to be relaxed.
[0004]
For example, in the seat belt retractor disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 7-285416, in addition to the emergency lock mechanism, a plate member, a plate member, and a plate member fixedly provided near the passage of the webbing in the housing that houses the winding drum A clamp member that clamps the webbing in cooperation, initially guides the clamp member in the direction of approaching / separating the plate member and preventing the clamp member from moving in the webbing pull-out direction when the webbing is clamped And a deformable member provided on the outer peripheral side of the body portion of the winding drum.
[0005]
In the event of a vehicle emergency, the rotation of the winding drum is locked by the emergency lock mechanism, and the webbing is clamped by the clamp member and the plate member with the plurality of protrusions formed on the clamp member biting into the webbing. Thereafter, when the load acting on the webbing increases, the clamp member first moves in the webbing pull-out direction integrally with the webbing, plastically deforms the guide member, and energy is absorbed.
[0006]
When the clamp member moves a predetermined distance in the webbing pull-out direction, the clamp member comes into contact with the restricting portion at the distal end portion of the guide member and its movement is restricted, and when the load acting on the webbing further increases, the protrusion of the clamp member The webbing is unclamped by breaking or deforming, and then, after the webbing is tightened by the winding drum and the webbing is pulled out, the deforming member is clamped between the webbing and the drum part of the winding drum. Energy absorption is performed by plastic deformation in the direction of diameter reduction.
[0007]
As described above, in this type of seat belt retractor that absorbs energy in two stages while feeding webbing, the amount of energy absorption is large, so that in the event of a vehicle emergency, particularly when the deceleration of the vehicle becomes very large. It is excellent in that it can absorb energy without applying a large load to the occupant.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the seat belt retractor disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 7-285416, after absorbing the energy by deforming the guide member by moving the clamp member in the webbing pull-out direction, the webbing is performed by breaking or deforming the protrusion of the clamp member. Since the deformable member provided on the outer peripheral side of the winding drum is further deformed after the clamp is released, two deformable members are required.
[0009]
Furthermore, in this seat belt retractor, a guide member that is plastically deformed by movement of the clamp member in the webbing pull-out direction must be provided, and a plurality of protrusions must be formed on the clamp member for releasing the clamp. There is a problem that the structure is complicated and the manufacturing cost is high, and a movement space for moving the clamp member in the webbing pull-out direction has to be provided, so that the seat belt retractor is increased in size.
[0010]
An object of the present invention is to efficiently and reliably absorb energy in a seat belt retractor, and to simplify and reduce the size of the structure and reduce manufacturing costs.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
The seat belt retractor of
[0012]
In the event of a vehicle emergency, it is possible to absorb the energy by allowing the webbing to be pulled out while clamping the middle part of the webbing by the clamping mechanism and adding frictional resistance to the webbing. Since the webbing clamping force of the clamp mechanism is limited so that the applied load does not increase beyond a predetermined value, energy absorption can be performed efficiently and reliably without applying a large load to the occupant. In addition, when it comprises so that rotation of the winding drum which winds webbing in the case of a vehicle emergency may be locked, energy absorption is also possible by winding tightening of the webbing in a winding drum.
The clamp mechanism has a pair of clamp members opposed to each other with the webbing interposed therebetween, and a pair of clamping parts are provided at least at both end portions in the webbing passage direction of the opposing surfaces of the both clamp members and sandwiched. A non-clamping portion is provided between the portions. Therefore, the clamping force can be applied uniformly to the webbing from the entire clamping portion, and the performance of the clamping mechanism can be improved. Therefore, it is easy to set the predetermined value.
[0013]
The seat belt retractor according to
[0014]
In the event of a vehicle emergency, the intermediate part of the webbing is clamped by the clamp mechanism to allow the webbing to be pulled out while adding frictional resistance to the webbing, and then the energy absorption mechanism is more than the start of energy absorption by the clamp mechanism. The operation is started with a delay, and the energy absorption mechanism can absorb energy in parallel with the energy absorption by the clamp mechanism. Therefore, there is no possibility that the load acting on the webbing is reduced at all, and energy absorption can be performed very efficiently and reliably.
The clamp mechanism has a pair of clamp members opposed to each other with the webbing interposed therebetween, and a pair of clamping parts are provided at least at both end portions in the webbing passage direction of the opposing surfaces of the both clamp members and sandwiched. A non-clamping portion is provided between the portions. Therefore, the clamping force can be applied uniformly to the webbing from the entire clamping portion, and the performance of the clamping mechanism can be improved.The
[0015]
The seat belt retractor according to
[0016]
In the event of a vehicle emergency, first, the rotation of the winding drum is locked by the emergency lock mechanism, the clamp mechanism is activated in conjunction with the locking operation of the emergency lock mechanism, and when the middle part of the webbing is clamped, the webbing is pulled out. The occupant is restrained by the webbing. Thereafter, when the load acting on the webbing rises to a value equal to or greater than the first predetermined value, the clamping mechanism allows the webbing to be pulled out, and energy is absorbed through friction. However, the withdrawal of the webbing during this period is due to tightening of the webbing in the winding drum.
[0017]
Thereafter, when the load acting on the webbing exceeds the second predetermined value, the deforming member is pinched by the webbing and the drum portion of the winding drum and deformed in the direction of diameter reduction, and energy absorption is performed while gradually feeding the webbing. When the deformable member is completely deformed, the webbing is not paid out and the occupant is firmly restrained by the webbing.
[0018]
That is, while the energy absorption is continuously performed by the clamping mechanism through the friction of the webbing, the energy can be absorbed by sandwiching the deformable member between the webbing and the drum portion of the take-up drum and deforming in the reduced diameter direction. Therefore, there is no possibility that the load acting on the webbing is reduced at all, and energy absorption is performed very efficiently and reliably.
The clamp mechanism has a pair of clamp members opposed to each other with the webbing interposed therebetween, and a pair of clamping parts are provided at least at both end portions in the webbing passage direction of the opposing surfaces of the both clamp members and sandwiched. A non-clamping portion is provided between the portions. Therefore, the clamping force can be applied uniformly to the webbing from the entire clamping portion, and the performance of the clamping mechanism can be improved. Therefore, it is easy to set the predetermined value.
According to a fourth aspect of the present invention, there is provided the seat belt retractor according to any one of the first to third aspects, wherein each of the clamping portions is formed in one clamp member and has a narrow recess in the webbing passage direction and the other clamp. It consists of a convex part which is formed in a member and engages with the concave part. In each clamping part, the webbing is clamped by the engagement of the concave part and the convex part, so that the webbing can be securely clamped and the performance of the clamping mechanism can be further improved.
[0019]
Claim5The seat belt retractor includes a winding drum that winds up the webbing, an emergency lock mechanism that locks the rotation of the winding drum in the event of a vehicle emergency, and clamps the middle part of the webbing in conjunction with the locking operation of the emergency locking mechanism. When a load greater than a first predetermined value is applied to the webbing, a clamp mechanism that allows the webbing to be pulled out and absorbs energy through friction, and a base end portion is rotationally restrained by an emergency lock mechanism in the event of a vehicle emergency, and the distal end A torsion bar whose portion rotates integrally with the take-up drum and torsionally deforms and absorbs energy when a load greater than a second predetermined value larger than the first predetermined value acts on the webbing With a bar.
[0020]
In the event of a vehicle emergency, first, the base end of the torsion bar is rotationally restricted by the emergency lock mechanism, the rotation of the take-up drum is locked via the torsion bar, and the clamp mechanism is activated in conjunction with the locking operation of the emergency lock mechanism. When the middle part of the webbing is clamped, the webbing is prevented from being pulled out and the occupant is restrained by the webbing. Thereafter, when the load acting on the webbing rises to a value equal to or greater than the first predetermined value, the clamping mechanism allows the webbing to be pulled out, and energy is absorbed through friction. However, the withdrawal of the webbing during this period is due to tightening of the webbing in the winding drum.
[0021]
Thereafter, when the load acting on the webbing exceeds the second predetermined value, the torsion bar twists and deforms, the rotating drum rotates together with the tip of the torsion bar, and energy is absorbed while gradually pulling out the webbing. When the torsional deformation amount of the torsion bar reaches a predetermined value, the torsional deformation amount of the torsion bar becomes a predetermined value by locking the rotation of the tip of the torsion bar. The rotation of the winding drum is constrained, the webbing is not paid out, and the occupant is firmly restrained by the webbing.
[0022]
That is, since the energy can be absorbed by twisting the torsion bar while continuously absorbing the energy through the friction of the webbing by the clamp mechanism, the load acting on the webbing as in the first aspect. There is no risk of a decrease in energy, and energy absorption is performed very efficiently and reliably.
The clamp mechanism has a pair of clamp members opposed to each other with the webbing interposed therebetween, and a pair of clamping parts are provided at least at both end portions in the webbing passage direction of the opposing surfaces of the both clamp members and sandwiched. A non-clamping portion is provided between the portions. Therefore, the clamping force can be applied uniformly to the webbing from the entire clamping portion, and the performance of the clamping mechanism can be improved. Therefore, it is easy to set the predetermined value.
[0023]
Claim6The seat belt retractor of
[0028]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. However, the front and rear and right and left in FIG.
[0029]
As shown in FIGS. 1 to 3, the
[0030]
As shown in FIG. 1, the
[0031]
The
[0032]
As shown in FIG. 3, the winding
[0033]
The emergency lock mechanism 4 will be described.
As shown in FIGS. 1 to 3, the emergency lock mechanism 4 locks the rotation of the winding
[0034]
The first locking mechanism is pivotally supported by a
[0035]
In the normal state, the
[0036]
The second lock mechanism is pivotally supported by the connecting
[0037]
In a normal state, the
[0038]
The rotation urging mechanism is provided on the left side of the
[0039]
The winding
As shown in FIGS. 4 to 9, the winding
[0040]
As shown in FIGS. 6 and 7, the winding drum left divided
[0041]
Further, the
[0042]
On the other hand, as shown in FIGS. 8 and 9, the winding drum right divided
[0043]
A pair of
[0044]
As shown in FIGS. 4 to 9, the
[0045]
As shown in FIGS. 6 and 7, the deformable member left divided
[0046]
As shown in FIGS. 8 and 9, the deformable member right dividing
[0047]
As shown in FIGS. 6 and 8, the standing
[0048]
The
[0049]
As shown in FIGS. 5, 10, and 11, the
[0050]
The
[0051]
The
The
[0052]
As shown in FIGS. 1, 2, and 12 to 15, the
[0053]
A
[0054]
The
[0055]
In the normal state, the actuating
[0056]
The clamping
[0057]
The operation of the
In a normal state, the emergency lock mechanism 4 does not operate, and as shown in FIG. 12, the intermediate portion of the webbing W extending from the winding
[0058]
In a state where the webbing W is set on the chest or waist of the occupant, in the event of a vehicle emergency such as a vehicle collision, first, when the rotation of the winding
[0059]
Thereafter, while increasing the webbing clamping force, the
[0060]
Immediately after the vehicle emergency, the rotation of the winding
[0061]
Thereafter, when the load of the webbing W increases and becomes equal to or greater than the second predetermined value F2, the
[0062]
Here, when the
[0063]
Once the
[0064]
According to the
[0065]
That is, while the energy is continuously absorbed by the
[0066]
Further, no member for energy absorption other than the
[0067]
Next, a first alternative embodiment will be described. In addition, the same code | symbol is attached | subjected and demonstrated to the same thing as the said embodiment. However, the description will be made assuming that front and rear and right and left in FIG.
[0068]
As shown in FIGS. 17 and 18, the
[0069]
As shown in FIG. 17, the
[0070]
As shown in FIGS. 17 and 19 to 23, the take-
[0071]
The starboard-shaped
[0072]
As shown in FIGS. 17 to 23, the
[0073]
The
[0074]
Although not shown, the cylindrical portion of the base end portion of the webbing W is externally fitted to the
[0075]
In addition, since it is a well-known technique, the description is abbreviate | omitted about the rotation urging mechanism, Since the structure and effect | action of the emergency lock mechanism 4 and the
[0076]
The
As shown in FIGS. 19 and 21 to 23, the
[0077]
The screwing
[0078]
In this
[0079]
Here, the rotational speed at which the
[0080]
Next, the operation of the
In the normal state, since the emergency lock mechanism 4 does not operate, the webbing W can be freely pulled out from the take-
[0081]
In the state where the webbing W is set on the chest, waist, etc. of the occupant, in the event of a vehicle emergency such as a vehicle collision, the emergency lock mechanism 4 first locks the
[0082]
Thereafter, until the webbing W is unwound L1 and winding up of the webbing W is substantially completed, the
[0083]
In this case, the
[0084]
Normally, all the kinetic energy is absorbed until the feeding amount of the webbing W reaches L2. However, if the torsional deformation rotation amount of the
[0085]
According to this
[0086]
In other words, the energy can be absorbed by twisting and deforming the
[0087]
Further, since the
[0088]
As a result, even when a large load is applied to the webbing W in an emergency of the vehicle, or even when the vehicle collides a plurality of times at once and the
[0089]
Next, a modification in which the first alternative embodiment is partially changed will be described. However, the same components as those in the other embodiment will be described with the same reference numerals.
[0090]
1]
The seat belt retractor 1B includes a
[0091]
A fitting hole 143 is formed in the center portion of the starboard-shaped
[0092]
2]
The seat belt retractor 1C includes, in a
[0093]
A
[0094]
Next, a second alternative embodiment will be described.
In the second alternative embodiment, the shapes of the
[0095]
In the clamp mechanism 8D according to the second alternative embodiment, a pair of
[0096]
The
[0097]
That is, in the clamp mechanism 8D, the pair of sandwiching
[0098]
When the clamp mechanism 8D actually operates, both the clamping
[0099]
The clamp mechanism 8D can be used in combination with the above-described embodiment and another embodiment, or can be used alone. When used alone, the emergency lock mechanism may be omitted so as not to restrain the rotation of the reel (rotary drum) in order to allow the webbing W to be pulled out.
[0100]
The seat belt retractor according to the present invention is not limited to that described in the embodiment and the other embodiments, and various modifications are made without departing from the gist of the present invention, and various types of seat belt retractors are provided. Can be applied to.
[0101]
【The invention's effect】
According to the seat belt retractor of the first aspect, the clamping mechanism can hold the middle portion of the webbing to add the frictional resistance to the webbing and allow the webbing to be pulled out to absorb energy. The force limiting mechanism limits the webbing clamping force of the clamp mechanism so that the load acting on the webbing does not increase beyond a predetermined value, so that energy can be absorbed efficiently and reliably without applying a large load to the occupant. it can.
In addition, since a pair of sandwiching portions are provided at least at both ends in the webbing passage direction of the opposing surfaces of both clamp members and a non-nip portion is provided between the sandwiching portions, the clamping force is evenly applied from the entire sandwiching portion. Can be applied to the webbing, the performance of the clamping mechanism can be improved, and the predetermined value can be easily set. In addition, since the load applied to the webbing is distributed to both the sandwiching portions, the webbing can be prevented from being damaged without the load being concentrated on one sandwiching portion.
[0102]
According to the seat belt retractor of the second aspect, the intermediate portion of the webbing is clamped by the clamp mechanism to allow the webbing to be pulled out while applying a frictional resistance to the webbing, and then the energy absorption mechanism is used as the clamp mechanism. Since this energy absorption mechanism can absorb energy in parallel with the energy absorption by the clamp mechanism, there is no possibility that the load acting on the webbing will be reduced at all. Energy absorption can be performed very efficiently and reliably.
In addition, since a pair of sandwiching portions are provided at least at both ends in the webbing passage direction of the opposing surfaces of both clamp members and a non-nip portion is provided between the sandwiching portions, the clamping force is evenly applied from the entire sandwiching portion. Can act on the webbing and improve the performance of the clamping mechanismTheIn addition, since the load applied to the webbing is distributed to both the sandwiching portions, the webbing can be prevented from being damaged without the load being concentrated on one sandwiching portion.
[0103]
According to the seat belt retractor of
[0104]
That is, while the energy absorption is continuously performed by the clamping mechanism through the friction of the webbing, the energy can be absorbed by sandwiching the deformable member between the webbing and the drum portion of the take-up drum and deforming in the reduced diameter direction. Therefore, there is no possibility that the load acting on the webbing is reduced at all, and energy absorption can be performed very efficiently and reliably. Furthermore, no energy absorbing member is required other than the deformable member, and the operation of the clamp mechanism is as simple as before, so the structure can be simplified and miniaturized, and the manufacturing cost can be reduced. .
In addition, since a pair of sandwiching portions are provided at least at both ends in the webbing passage direction of the opposing surfaces of both clamp members and a non-nip portion is provided between the sandwiching portions, the clamping force is evenly applied from the entire sandwiching portion. Can be applied to the webbing, the performance of the clamping mechanism can be improved, and the predetermined value can be easily set. In addition, since the load applied to the webbing is distributed to both the sandwiching portions, the webbing can be prevented from being damaged without the load being concentrated on one sandwiching portion.
According to the seat belt retractor of the fourth aspect, the same effect as in any one of the first to third aspects is obtained, but each clamping portion is formed in one clamp member and has a narrow recess in the webbing passage direction. And a convex portion that is formed on the other clamp member and engages with the concave portion. In each clamping portion, the webbing is clamped by the engagement of the concave portion and the convex portion, so that the webbing can be securely clamped. This can further improve the performance of the clamp mechanism.
[0105]
Claim5According to this seat belt retractor, in the event of a vehicle emergency, after locking the rotation of the take-up drum by the emergency lock mechanism, first, the middle part of the webbing is clamped by the clamp mechanism, and a load of the first predetermined value or more is applied to the webbing. When acting, the webbing is allowed to be pulled out and energy is absorbed through friction. Next, when a load of a second predetermined value or more is applied to the webbing, the torsion bar is twisted and deformed to absorb the energy. It can be carried out.
[0106]
That is, since the energy can be absorbed by twisting the torsion bar while continuously absorbing the energy through the friction of the webbing by the clamp mechanism, the load acting on the webbing as in the first aspect. There is no risk of a decrease in energy, and energy absorption can be performed very efficiently and reliably. In addition to the torsion bar, no member for energy absorption is required, and the operation of the clamp mechanism is as simple as before, so the structure can be simplified and reduced in size, and the manufacturing cost can be reduced. .
In addition, since a pair of sandwiching portions are provided at least at both ends in the webbing passage direction of the opposing surfaces of both clamp members and a non-nip portion is provided between the sandwiching portions, the clamping force is evenly applied from the entire sandwiching portion. Can be applied to the webbing, the performance of the clamping mechanism can be improved, and the predetermined value can be easily set. In addition, since the load applied to the webbing is distributed to both the sandwiching portions, the webbing can be prevented from being damaged without the load being concentrated on one sandwiching portion.
[0107]
Claim6According to the seat belt retractor of
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an exploded perspective view of a seat belt retractor according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a right side view of the seat belt retractor.
FIG. 3 is an exploded perspective view of an emergency lock mechanism.
FIG. 4 is a perspective view of a winding drum.
FIG. 5 is an exploded perspective view of a winding drum.
6 is a right side view of a winding drum left divided body. FIG.
7 is a view taken along arrow VII-VII in FIG. 6;
FIG. 8 is a left side view of a winding drum right divided body.
9 is a view taken along arrow IX-IX in FIG.
FIG. 10 is a partial cross-sectional view of a winding drum.
FIG. 11 is a partial cross-sectional view of a winding drum.
FIG. 12 is an operation explanatory diagram of the seat belt retractor.
FIG. 13 is an operation explanatory view of the seat belt retractor.
FIG. 14 is an operation explanatory view of the seat belt retractor.
FIG. 15 is an operation explanatory view of the seat belt retractor.
FIG. 16 is a diagram showing load characteristics acting on webbing.
FIG. 17 is an exploded perspective view of a seat belt retractor according to a first alternative embodiment.
FIG. 18 is a perspective view of a main part of the seat belt retractor.
FIG. 19 is a cross-sectional view of a main part of the seat belt retractor.
20 is a cross-sectional view taken along line XX-XX in FIG.
21 is a cross-sectional view taken along line XXI-XXI in FIG.
FIG. 22 is a cross-sectional view of a main part of the seat belt retractor.
FIG. 23 is a cross-sectional view of a main part of the seat belt retractor.
FIG. 24 is a cross-sectional view of a seat belt retractor according to a modification of the first alternative embodiment.
FIG. 25 is a cross-sectional view of a seat belt retractor according to a modification of the first alternative embodiment.
FIG. 26 is a side view of a clamp mechanism according to a second alternative embodiment.
27 is a view taken along the line XXVII-XXVII in FIG.
28 is a view taken in the direction of arrows XXVIII-XXVIII in FIG.
[Explanation of symbols]
W webbing
1,1A ~ 1C Seat belt retractor
4 Emergency lock mechanism
5,101,101B, 101C Winding drum
6 Deformation member
8,8D clamping mechanism
51, 61 trunk
95 Clamping force limiting mechanism
91, 91D Movable clamp member
92,92D Base clamp member
102 Spindle shaft (torsion bar)
160,165 clamping part
169 Non-clamping part
161,167 Convex
162,166 recess
Claims (6)
前記クランプ機構は、ウエビングを挟んで相対向する1対のクランプ部材を有し、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けた
ことを特徴とするシートベルトリトラクタ。In the event of a vehicle emergency, a clamping mechanism is provided that absorbs energy by allowing the webbing to be pulled out while pinching the middle part of the webbing to add frictional resistance to the webbing, and the load acting on the webbing is greater than a predetermined value. In order not to increase, a clamping force limiting mechanism for limiting the webbing clamping force of the clamp mechanism is provided,
The clamp mechanism has a pair of clamp members facing each other across the webbing, and a pair of sandwiching portions are provided at least at both end portions in the webbing passage direction of the opposing surfaces of the both clamp members and A seat belt retractor having a non-clamping portion therebetween.
前記クランプ機構によるエネルギー吸収の開始よりも遅れて作動を開始し、クランプ機構によるエネルギー吸収と並行してエネルギー吸収を行うエネルギー吸収機構と、を備え、
前記クランプ機構は、ウエビングを挟んで相対向する1対のクランプ部材を有し、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けた
ことを特徴とするシートベルトリトラクタ。A clamp mechanism that absorbs energy by allowing the webbing to be pulled out while pinching the middle part of the webbing and applying frictional resistance to the webbing in a vehicle emergency;
An energy absorption mechanism that starts operation later than the start of energy absorption by the clamp mechanism and performs energy absorption in parallel with energy absorption by the clamp mechanism;
The clamp mechanism has a pair of clamp members facing each other across the webbing, and a pair of sandwiching portions are provided at least at both end portions in the webbing passage direction of the opposing surfaces of the both clamp members and A seat belt retractor having a non-clamping portion therebetween.
車両緊急時に巻取りドラムの回転をロックする緊急ロック機構と、
前記緊急ロック機構のロック動作に連動してウエビングの途中部をクランプし且つウエビングに第1所定値以上の荷重が作用する際にはウエビングの引出しを許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行うクランプ機構と、
前記巻取りドラムに巻付けられたウエビングの内側に位置するように巻取りドラムの胴部の外周側に設けられ、ウエビングに第1所定値よりも大きな第2所定値以上の荷重が作用する際にはウエビングと巻取りドラムの胴部とで挟圧されて縮径方向へ変形してエネルギー吸収を行う変形部材と、を備え、
前記クランプ機構は、ウエビングを挟んで相対向する1対のクランプ部材を有し、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けた
ことを特徴とするシートベルトリトラクタ。A winding drum for winding the webbing;
An emergency lock mechanism for locking the rotation of the winding drum in the event of a vehicle emergency;
A clamping mechanism that clamps the middle part of the webbing in conjunction with the locking operation of the emergency locking mechanism and absorbs energy through friction by allowing the webbing to be pulled out when a load greater than a first predetermined value is applied to the webbing. When,
When a load greater than a second predetermined value greater than a first predetermined value is applied to the webbing so as to be positioned on the outer peripheral side of the body portion of the winding drum so as to be positioned inside the webbing wound around the winding drum. And a deformable member that absorbs energy by being compressed between the webbing and the drum portion of the take-up drum and deformed in the reduced diameter direction,
The clamp mechanism has a pair of clamp members facing each other across the webbing, and a pair of sandwiching portions are provided at least at both end portions in the webbing passage direction of the opposing surfaces of the both clamp members and A seat belt retractor having a non-clamping portion therebetween.
車両緊急時に巻取りドラムの回転をロックする緊急ロック機構と、
前記緊急ロック機構のロック動作に連動してウエビングの途中部をクランプし且つウエビングに第1所定値以上の荷重が作用する際にはウエビングの引出しを許容し摩擦を介してエネルギー吸収を行うクランプ機構と、
車両緊急時に基端部が緊急ロック機構で回転拘束されるとともに先端部が巻取りドラムと一体的に回転するトーションバーであって、ウエビングに第1所定値よりも大きな第2所定値以上の荷重が作用する際には捩じり変形してエネルギー吸収を行うトーションバーと、を備え、
前記クランプ機構は、ウエビングを挟んで相対向する1対のクランプ部材を有し、両クランプ部材の相対向する面のうちウエビング通過方向の少なくとも両端部分に1対の挟持部を設けるとともに挟持部同士間に非挟持部を設けた
ことを特徴とするシートベルトリトラクタ。A winding drum for winding the webbing;
An emergency lock mechanism for locking the rotation of the winding drum in the event of a vehicle emergency;
A clamping mechanism that clamps the middle part of the webbing in conjunction with the locking operation of the emergency locking mechanism and absorbs energy through friction by allowing the webbing to be pulled out when a load greater than a first predetermined value is applied to the webbing. When,
A torsion bar whose base end is rotationally restrained by an emergency lock mechanism and whose front end rotates integrally with the take-up drum in the event of a vehicle emergency, and the webbing has a load greater than a second predetermined value greater than a first predetermined value. And a torsion bar that absorbs energy by torsional deformation when acting ,
The clamp mechanism has a pair of clamp members facing each other across the webbing, and a pair of sandwiching portions are provided at least at both end portions in the webbing passage direction of the opposing surfaces of the both clamp members and A seat belt retractor having a non-clamping portion therebetween .
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