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JP3711758B2 - トリポード型等速ジョイント用円筒ローラの製造方法 - Google Patents

トリポード型等速ジョイント用円筒ローラの製造方法 Download PDF

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JP3711758B2
JP3711758B2 JP25398298A JP25398298A JP3711758B2 JP 3711758 B2 JP3711758 B2 JP 3711758B2 JP 25398298 A JP25398298 A JP 25398298A JP 25398298 A JP25398298 A JP 25398298A JP 3711758 B2 JP3711758 B2 JP 3711758B2
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21KMAKING FORGED OR PRESSED METAL PRODUCTS, e.g. HORSE-SHOES, RIVETS, BOLTS OR WHEELS
    • B21K1/00Making machine elements
    • B21K1/76Making machine elements elements not mentioned in one of the preceding groups
    • B21K1/762Coupling members for conveying mechanical motion, e.g. universal joints
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D3/00Yielding couplings, i.e. with means permitting movement between the connected parts during the drive
    • F16D3/16Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts
    • F16D3/20Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members
    • F16D3/202Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members one coupling part having radially projecting pins, e.g. tripod joints
    • F16D3/205Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members one coupling part having radially projecting pins, e.g. tripod joints the pins extending radially outwardly from the coupling part
    • F16D3/2055Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members one coupling part having radially projecting pins, e.g. tripod joints the pins extending radially outwardly from the coupling part having three pins, i.e. true tripod joints

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明に係るトリポード型等速ジョイント用円筒ローラの製造方法は、例えば、自動車用トリポード型等速ジョイントの構成部品として利用する円筒ローラの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
独立懸架式サスペンションに駆動輪を支持し、この駆動輪を駆動側回転軸により回転駆動する場合、この駆動側回転軸と被駆動側回転軸との中心軸同士が折れ曲がる。この為、この様な折れ曲がりに拘らず、駆動側回転軸と被駆動側回転軸との間で均一な(回転に伴なって回転角速度が変化する事のない)回転駆動力の伝達を行ない、自動車の運行を滑らかに行なう為に、等速ジョイントを介して、上記両回転軸同士を連結する。
【0003】
この為従来から、例えば特開平2−286920号公報に記載されている様な等速ジョイントを使用して、同一直線上に存在しない1対の回転軸の端部同士を、互いに連結している。この等速ジョイントは、図10〜11に示す様なトリポード1と、図13〜14に示す様なハウジング2とを、ころ3、3、球面ローラ4、円筒ローラ5を介して、図11示す様に組み合わせる事で構成する。このうちのハウジング2は、一端が開口した中空筒状に形成し、互いに回転力を伝達すべき1対の回転軸のうちの一方の回転軸の端部に固定する。このハウジング2の内周面の3箇所位置には凹部6、6を、放射方向に亙って互いに等間隔に形成している。又、これら各凹部6、6の内側面7、7は、それぞれハウジング2の直径方向に対して平行な平坦面としている。
【0004】
一方、上記1対の回転軸のうちの他方の回転軸の端部に固定するトリポード1は、上記他方の回転軸の端部に固定する為のボス部8の外周面に、それぞれが上記ハウジング2に形成した3個の凹部6、6内に進入する、3本のトラニオン9、9を固設している。短円柱状に形成した各トラニオン9、9の先端部外周面には、係止リング10を嵌着する為の係止溝11を、全周に亙って形成している。そして、上記3本のトラニオン9、9の周囲に球面ローラ4を、それぞれ複数本のころ3、3を介して、回転自在に支承している。全体を円輪状に形成したこの球面ローラ4は、内周面13を円筒面とし、外周面14を、トラニオン9の中心線上の点を中心とする球状凸面としている。この様に、複数のころ3、3を介して、球面ローラ4を回転自在に支承したトラニオン9の先端部には、円環状の案内リング15を外嵌している。そして、この案内リング15よりも先端寄り部分に存在する上記係止溝11に係止リング10を嵌着する事により、上記案内リング15がトラニオン9から抜け出るのを防止している。
【0005】
更に、上述の様にしてトラニオン9の外側に、回転自在に支承した球面ローラ4の外側には、円筒ローラ5を外嵌支持している。全体を円環状に形成したこの円筒ローラ5は、外周面に上記各凹部6、6の軌道面17、17(図13〜14)と転接する円筒面部16を、内周面に上記球面ローラ4の外周面14と摺接する球状凹面部18を、それぞれ形成している。更に、上記円筒ローラ5の一端面(図10〜12の上端面)開口縁部の、直径方向反対位置に、上記球面ローラ4を通過させ得る、1対の入れ溝19、19を形成している。これら各入れ溝19、19は、それぞれ上記球状凹面部18から直径方向外方に凹入する状態で設けられており、それぞれの底面37、37を、上記球状凹面部18と同心の円筒面としている。そして、この様な入れ溝19、19の存在に基づき、外周面14を球状凸面とした球面ローラ4と、内周面に球状凹面部18を形成した円筒ローラ5との組み合わせを自在としている。
【0006】
上記両ローラ4、5同士を、図10〜11に示す様な、円筒ローラ5の内側に球面ローラ4が存在する状態に組み合わせる場合には、先ず図12に示す様に、両ローラ4、5の中心軸同士を90度ずらせた状態のまま、両ローラ4、5同士を互いに近付ける。そして、このうちの球面ローラ4の直径方向両端部を、円筒ローラ5の開口縁部に形成した入れ溝19、19の内側を通過させる。この様にして、球面ローラ4の直径方向両端部を入れ溝19、19の内側を通過させ、球面ローラ4を円筒ローラ5の内側に位置させたならば、入れ溝19、19を結ぶ方向の直径を軸として、球面ローラ4を90度回転させる。これにより、この球面ローラ4と円筒ローラ5とが、図10〜11に示した状態に組み合わされる。従って、上記各入れ溝19、19の円周方向に亙る長さ寸法Lは、上記球面ローラ4の厚さ寸法T以上(L≧T)としている。
【0007】
上述の様に構成する自動車用トリポード型等速ジョイントにより、1対の回転軸の間で回転力の伝達を行なう場合、例えばハウジング2に一端を結合固定した駆動側回転軸を回転させると、この回転力は、上記ハウジング2から円筒ローラ5、球面ローラ4、複数のころ3、3、トラニオン9を介して、トリポード1のボス部8に伝わる。そして、このボス部8を端部に固定した被駆動側回転軸を、上記駆動側回転軸と等速で回転させる。1対の回転軸同士が直線上に位置せず、上記トリポード1の中心軸と上記ハウジング2の中心軸とが折れ曲がっている状態の場合には、各円筒ローラ5が前記軌道面17上で変位する事により、この折れ曲がりを許容する。
【0008】
ところで、上述の様な自動車用トリポード型等速ジョイントを構成する円筒ローラ5は、図15に示す様な工程を経て製造する。即ち、先ず、金属製の素材に鍛造加工を施す事により、この素材を円環状に形成する。次いで、この素材の内外両周面に旋削加工を施す事により、この素材の外周面に円筒面部16(図10〜12)を、同じく内周面に球状凹面部18(図10〜12)を、それぞれ形成する。これと共に、次述する1対の入れ溝19、19(図10〜12)を形成する部分以外の個所にも旋削加工を施して、当該個所に所望の形状を与える。次いで、上記素材の開口縁部の直径方向反対位置にフライス加工を施す事により、これら両部分に入れ溝19、19を形成する。更に、各部に必要な硬さを与える為の熱処理を施した後、各部に必要な精度を与える為の研削加工を施す事により、上記円筒ローラ5を完成させる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した様な従来の円筒ローラ5の製造方法の場合、1対の入れ溝19、19部分は、旋削加工により形成する他の部分と異なり、フライス加工により形成している。この為、2種類の切削加工を施す必要があり、加工時間及び製造コストが嵩む。又、上記各入れ溝19、19をフライス加工により形成する結果、鍛造加工により素材の内部に形成された金属組織の流れ(鍛流線)が、これら各入れ溝19、19部分で断ち切られる。この様に鍛流線が切断される事は、上記円筒ローラ5の強度低下につながる為、好ましくない。この為、この様な鍛流線の切断防止を図るべく、上記各入れ溝19、19を鍛造加工により形成する事も考えられる。ところが、通常の鍛造加工では、これら各入れ溝19、19を精度良く形成するのが難しい。
【0010】
即ち、通常の鍛造加工により上記各入れ溝19、19を形成しようとする場合、これら各入れ溝19、19は、鍛造型を構成する上型により、上述した円環状の素材の内外両周面等は、この鍛造型を構成する下型により、それぞれ形成する。ところが、上記鍛造型を構成する上型と下型とは、互いの芯(中心軸)がずれ易い為、上記各入れ溝19、19の底面37、37と、上記素材の内外両周面とを同心に形成できない可能性を生じる。この様に各面同士が同心に形成されない状態で、例えば、上記素材の外周面を旋盤の主軸の先端部に設けたチャックにより抑え付けて、この素材の内周面に球状凹面部18を形成したり、或はこの素材の内周面を上記チャックにより抑え付けてこの素材の外周面に円筒面部16を形成した場合には、上記球状凹面部18の中心軸、或は円筒面部16の中心軸と、上記各入れ溝19、19の底面37、37とを同心に形成できない。
【0011】
この様に入れ溝19、19の底面37、37と上記球状凹面部18及び円筒面部16の中心軸とが同心に形成されない場合には、上記円筒ローラ5の内側に球面ローラ4を挿入できなくなったり、或は挿入できた場合でも、これら円筒ローラ5の中心軸と球面ローラ4の中心軸とが一致せず、前記トリポード型等速ジョイントの性能が悪化する。
本発明のトリポード型等速ジョイント用円筒ローラの製造方法は、上述の様な事情に鑑みて発明したものである。
【0012】
【課題を解決する為の手段】
本発明のトリポード型等速ジョイント用円筒ローラの製造方法により造られるトリポード型等速ジョイント用円筒ローラは、前述した従来の円筒ローラと同様、トリポード型等速ジョイントを構成するハウジング内に設けた各凹溝の軌道面と転接する円筒面部を外周面に、この円筒面部と同心で且つ上記トリポード型等速ジョイントを構成するトラニオンに回転自在に支持された球面ローラの外周面である球状凸面と摺接する球状凹面部を内周面に、それぞれ有すると共に、上記球面ローラを上記球状凹面部の内側に挿入する為、それぞれの底面を上記円筒面部及び球状凹面部と同心の円筒面とした1対の入れ溝を上記内周面の直径方向反対位置に設けている。
【0013】
上述の様なトリポード型等速ジョイント用円筒ローラを造る為の、本発明のトリポード型等速ジョイント用円筒ローラの製造方法は、円環状の金属素材にパンチによる鍛造加工を施す事によりこの金属素材の内径側部分に、完成後の円筒ローラの内周面に形成すべき球状凹面部よりも小径の基準円筒面部を、同じく上記金属素材の軸方向一端面でこの基準円筒面部の開口周縁部に、この基準円筒面部の中心軸と直交する基準平面部を、同じく上記基準円筒面部の一部でこの基準円筒面部の直径方向反対位置に、それぞれが上記各入れ溝となる1対の凹溝を、それぞれ形成する。
上述の様な、基準円筒面部と、基準平面部と、1対の凹溝とを形成する鍛造加工に使用する上記パンチは、内側パンチ及び外側パンチから成る。このうちの内側パンチは、円柱状の本体と、それぞれこの本体の軸方向に亙り形成された1対の突出部とから成り、これら各突出部の外側面をそれぞれ上記本体の外周面と同心の円筒面としている。又、上記外側パンチは、内周面を上記内側パンチに隙間なく、且つ、この内側パンチに、軸方向に亙る相対変位自在に外嵌したものである。上記鍛造加工を行なう際には、上記円環状の金属素材を、ダイスに形成した円筒面状の内周面を有する受孔内にセットする。そして、上記外側パンチの先端縁を上記各突出部の先端寄り部分に位置させた状態で、上記パンチを上記金属素材に押し付ける。そして、上記内側パンチの先端部で上記外側パンチの先端縁から突出した部分を上記金属素材に、この内側パンチの先端部に形成した延出部が、上記受孔の底面中央部に形成した逃げ孔内に進入する状態に迄圧入する。これと共に、上記各突出部の外側面の中心軸と直交する平坦面である上記外側パンチの先端面を上記金属素材の軸方向端面に突き当てる。そして、この金属素材に、上記基準円筒面部と、上記基準平面部と、上記1対の凹溝とを形成する。
その後、上記基準円筒面部を基準として上記金属素材を旋盤の主軸に支持する事で、上記金属素材を上記基準円筒面部の中心軸を中心として回転させつつ、この金属素材の外周面に旋削加工を施す事により、この金属素材の外周面に上記円筒面部を形成する。その後、この円筒面部を基準として旋盤の主軸に上記金属素材を支持する事で、この金属素材をこの円筒面部の中心軸を中心として回転させつつ、この金属素材の内周面に旋削加工を施す事により、この金属素材の内周面に上記球状凹面部を形成する。次いで、各部に必要な硬さを与える為の熱処理と各部に必要な精度を与える為の研削加工とを施して、上記円筒ローラを完成させる。
【0014】
【作用】
上述の様な本発明の製造方法により造られるトリポード型等速ジョイント用円筒ローラの場合、この円筒ローラの内周面に形成する1対の入れ溝は、鍛造加工により形成される。この為、これら各入れ溝をフライス加工により形成する従来構造の様に、これら各入れ溝部分で円筒ローラの内部に形成された鍛流線が切断される事はない。この為、この円筒ローラの強度を十分に向上させる事ができる。
【0015】
又、本発明の製造方法によれば、上記各入れ溝は、円筒ローラの製造工程の初期段階で、金属素材の全体に鍛造加工を施すのと同時に形成できる。従って、製造工程の後の段階で、上記各入れ溝を形成する為のフライス加工を省略できる分、加工工数を削減できる。又、本発明の製造方法の場合、金属素材に各入れ溝を形成すべく、この金属素材に鍛造加工を施す際には、この金属素材の内径側部分に、各入れ溝と同心の基準円筒面部を、同じくこの金属素材の一端面に、各入れ溝の中心軸と直交する基準平面部を、それぞれ形成する様にしている。従って、これら基準円筒面部を基準として上記金属素材を旋盤の主軸に支持すれば、旋削加工により上記金属素材の外周面に円筒面部を、同じく内周面に球状凹面部を、それぞれ上記各入れ溝と同心に形成できる。更に、基準平面部により、上記金属素材の軸方向に亙る位置決めを図れるので、この金属素材の軸方向端面の寸法も、正確に仕上げる事ができる。この結果、円筒ローラの内側に球面ローラを挿入できなくなったり、或はこの円筒ローラの内側に挿入した球面ローラの挿入状態が不正になると言った不都合が生じる事はない。この為、品質の良好な円筒ローラを製造できる。
【0016】
本発明に関する参考例
図1は、本発明に関する参考例の1例を示している。本参考例により造られる円筒ローラ5は、前述した従来の円筒ローラ5(図10〜12)と同様、全体を円環状に形成している。そして、この円筒ローラ5の外周面に、等速ジョイントのハウジング2に設けた各凹部6、6の軌道面17、17(図13〜14)と転接する円筒面部16を、同じく内周面に、上記等速ジョイントを構成する球面ローラ4の外周面14(図10〜12)と摺接する、上記円筒面部16の中心軸上の点を中心とする球状凹面部18を、それぞれ形成している。又、上記円筒ローラ5の軸方向一端部{図1(b)の上端部}内周面で、この内周面の直径方向反対位置に、上記球面ローラ4を通過させ得る、1対の入れ溝19、19を形成している。これら各入れ溝19、19は、それぞれ上記球状凹面部18の一部から直径方向外方に凹入する状態で設けられており、それぞれの底面37、37を、上記球状凹面部18と同心の部分円筒面としている。そして、この様な入れ溝19、19の存在に基づき、前述した従来構造の場合と同様、外周面14を球状凸面とした上記球面ローラ4と、内周面に球状凹面部18を形成した上記円筒ローラ5との組み合わせを自在としている。特に、本参考例の場合、上記各入れ溝19、19は、鍛造加工により形成している。
【0017】
上述の様に構成する本参考例の円筒ローラ5は、図2〜6に示す様にして造る。先ず、金属製の棒材を切断する事により、図2(a)に示す様な短円柱状の前加工素材12を得る。次いで、この前加工素材12を、鍛造型同士の間で軸方向(図2の上下方向)に亙り圧縮し、図2(b)に示す様な円板状の第一の中間素材20とする。更に、この様な第一の中間素材20に鍛造加工を施して、図1(c)に示す様な有底円筒状の第二の中間素材21とする。この様な鍛造加工は、以下の様にして行なう。先ず、図3(a)に示す様に、上記第一の中間素材20を、ダイス22に形成した円筒面状の内周面を有する受孔23内にセットする。図示の例では、この第一の中間素材20を、この受孔23の底面から突出したカウンターパンチ24の上面に載置している。このカウンターパンチ24は、上記ダイス22の内側に、軸方向(図3の上下方向)に亙る変位自在に設けたもので、次述するパンチ25の押し込み時には、図3に示す様に、先端部を上記受孔23の底面から少しだけ突出させる様にしている。又、この状態で、上記第一の中間素材20の上方に、軸方向(図3の上下方向)に亙る変位のみ自在なパンチ25を、上記受孔23と同心に配置している。
【0018】
この様なパンチ25は、内側パンチ26と外側パンチ27とを組み合わせて成る。このうちの内側パンチ26は、円柱状の本体28と、この本体28の外周面の円周方向反対位置に設けた1対の突出部29、29とから成る。これら各突出部29、29は、先端縁(図3の下端縁、図4の手前縁)を上記本体28の先端寄り(図3の下端寄り、図4の手前寄り)部分に位置させた状態で、それぞれこの本体28の軸方向に亙り形成している。又、これら各突出部29、29の外側面30、30は、それぞれ上記本体28の外周面と同心の円筒面としている。一方、上記外側パンチ27は、内周面を上記内側パンチ26に大きな隙間なく、且つ、この内側パンチ26に、軸方向に亙る相対変位自在に外嵌している。但し、次述するパンチ25の押し込み時{図3(b)参照}に於いては、上記外側パンチ27の先端縁が上記各突出部29、29の先端寄り部分に位置する様に、上記内側、外側両パンチ26、27の位置関係を規制(固定自在と)しておく。又、上記外側パンチ27の先端面(図3の下端面)31は、上記各突出部29、29の外側面30、30の中心軸と直交する平坦面としている。
【0019】
上記第一の中間素材20に鍛造加工を施す際には、上記パンチ25の先端部を、上記受孔23内に進入させると共に、図3(b)に示す様に、この第一の中間素材20の一端面である上端面に押し込む。そして、この押し込みに基づき、この第一の中間素材20を塑性変形させて、第二の中間素材21とする。この結果、この第二の中間素材21の上半部内径側部分に、上記内側パンチ26の先端部の押し込みに基づく基準円筒面部32が、上記第二の中間素材21の一端面である、この基準円筒面部32の上端開口周縁部に、上記外側パンチ27の先端面31の押し込みに基づく基準平面部33が、同じく上記基準円筒面部32の上端開口縁部の直径方向反対位置に、上記各突出部29、29の先端部の押し込みに基づく凹溝34、34が、同じく上記基準円筒面部32の下端部に、この基準円筒面部32の下端開口を塞ぐ底部35が、それぞれ形成される。この様に形成した第二の中間素材21の内側面には、上述したパンチ25の先端部の外面形状が転写されている為、上記基準円筒面部32の中心軸と上記基準平面部33を含む仮想平面とは、互いに直交している。又、上記各凹溝34、34の底面37、37は、それぞれ上記基準円筒面部32と同心の部分円筒面になっている。
【0020】
尚、上述の様なパンチ25の押し込み作業の完了後、このパンチ25の先端部を上記第二の中間素材21から引き抜く際には、先ず、この第二の中間素材21の上端面を、上記外側パンチ27の先端部により抑え付けたままの状態で、内側パンチ26の先端部のみを上方に引き抜く。そして、この内側パンチ26の先端部を上記第二の中間素材21から完全に引き抜いた後、上記外側パンチ27の先端部を上方に引き抜く。尚、この外側パンチ27の先端部外周面は、先端縁に向かう程外径寸法が小さくなるテーパ面36としている為、上述の様に外側パンチ27の先端部を上方に引き抜く際、上記第二の中間素材21がこの外側パンチ27の先端部に噛み付いて、この外側パンチ27と共に上記受孔23から引き抜かれる事はない。この様にパンチ25を引き抜いた後、上記受孔23内に残った第二の中間素材21は、前記カウンターパンチ24を上昇させる事により、この受孔23から取り出す。
【0021】
上述の様な第二の中間素材21は、上記底部35をプレス加工により打ち抜いて、図2(d)に示す様な円環状の第三の中間素材38とする。図5は、この様な第三の中間素材38(実線により図示)と、完成後の円筒ローラ5(鎖線により図示)との、大きさ及び形状の関係を示している。この図5から明らかな通り、上記第三の中間素材38の上半部(上下は図による)内径側部分である、基準円筒面部32の内径寸法と、同じく下半部内径側部分である、上記底部35を打ち抜いた部分の内径寸法とは、それぞれ上記完成後の円筒ローラ5の内周面に形成する球状凹面部18の内径寸法よりも小さい。又、上記第三の中間素材38に形成した各凹溝34、34の底面37、37を含む各底部は、それぞれ上記完成後の円筒ローラ5が備えるべき入れ溝19、19として、そのまま利用できる形状及び寸法を有する。又、上記第三の中間素材38の下端面部分及び基準平面部33部分及び外周面部分は、それぞれ上記完成後の円筒ローラ5の下端面及び上端面の一部及び外周面よりも大きくして、これら大きくした部分を、次述する旋削加工を施す為の旋削代としている。但し、これら第三の中間素材38の下端面部分及び基準平面部33部分及び外周面部分は、上記完成後の円筒ローラ5の下端面及び上端面の一部及び外周面として、そのまま利用できる形状及び寸法に形成しても良い。
【0022】
上述の様な形状及び寸法を有する第三の中間素材38は、この第三の中間素材38の各部に旋削加工を施して、図2(e)に示す様な、完成後の円筒ローラ5とほぼ同じ形状を有する第四の中間素材39とする。この様な旋削加工は、以下の様にして行なう。先ず、図6に示す様に、旋盤を構成する主軸の先端部に固定したチャック40の先端部(図6の右端部)に上記第三の中間素材38を、このチャック40の中心軸(上記主軸の中心軸)とこの第三の中間素材38に形成した基準円筒面部32の中心軸とを一致させた状態で、且つ、軸方向(図6の左右方向)に亙る位置を規制した状態で支持する。即ち、この様な状態で第三の中間素材38を支持する際には、上記チャック40の先端寄り部外径側に設けた、このチャック40の中心軸に対して垂直方向に存在する抑え面41を、上記第三の中間素材38に設けた基準平面部33に突き当てる。これと共に、上記第三の中間素材38の内径側に挿入した上記チャック40の先端部(図6の右端部)を拡径させて、この先端部外周面により上記基準円筒面部32を支持する。
【0023】
この様に第三の中間素材38をチャック40の先端部に支持したならば、次いで、この第三の中間素材38を上記基準円筒面部32の中心軸を中心として回転させつつ、この第三の中間素材38の外周面及び軸方向一端面(図6の右端面)に旋削加工を施す。これにより、この外周面に、上記基準円筒面部38と同心の円筒面部16{図2(e)}を形成すると共に、軸方向一端面を基準面として利用可能にする。次いで、上記旋盤を構成するチャックを持ち替えて(或は別構造のチャックを装着した別の旋盤の主軸に)、上記円筒面部16及び軸方向一端面を基準として支持する。そして、上記第三の中間素材38をこの円筒面部16の中心軸を中心として回転させつつ、この第三の中間素材38の内周面及び軸方向他端面(図6の左端面)に旋削加工を施す。これにより、この内周面に、上記円筒面部16と同心の球状凹面部18{図2(e)}を形成する。尚、この様な旋削加工による球状凹面部18の形成と同時に、上記第三の中間素材38の内周面には、前記各凹溝34、34のうち、これら各凹溝34、34の底面37、37を含む各底部のみが残り、これら各凹溝34、34の底部が、そのまま入れ溝19、19となる。前述した通り、これら各入れ溝19、19の底面37、37(上記各凹溝34、34の底面37、37)と、上記基準円筒面部32とは互いに同心である為、これら各入れ溝19、19の底面37、37と上述の様に形成した円筒面部16及び球状凹面部18とは、互いに同心となる。この様に第三の中間素材38の外周面及び内周面に旋削加工を施すと共に、この第三の中間素材38の軸方向両端面等、上記外周面及び内周面以外の部分にも旋削加工を施し、各部に必要な形状を与え、図2(e)に示す様な第三の中間素材39とする。更に、この様な第三の中間素材39に、必要な強度を与える為の熱処理、及び必要な精度を与える為の研削加工を施して、前述の図1に示した円筒ローラ5を完成する。
【0024】
上述の様に構成する本参考例の円筒ローラ5の場合、この円筒ローラ5の内周面に形成した1対の入れ溝19、19は、鍛造加工により形成している。この為、これら各入れ溝19、19をフライス加工により形成する従来構造の様に、これら各入れ溝19、19部分で上記円筒ローラ5を構成する金属材料の内部に形成された鍛流線が切断される事はない。この為、この円筒ローラ5の強度を十分に向上させる事ができる。又、本参考例の製造方法によれば、上記各入れ溝19、19は、上記円筒ローラ5の製造工程の初期段階で、金属素材の全体に鍛造加工を施すのと同時に形成できる。従って、図7に示す本参考例の加工工程を順番に示す図と、前記図15に示した従来の加工工程を順番に示す図とを比較すれば明らかな通り、本参考例の製造方法の場合には、従来の製造方法の様に上記各入れ溝19、19を形成する為のフライス加工を省略できる分、加工工数の減少を図れる。更に、本参考例の製造方法の場合、上述の様に各入れ溝19、19を鍛造加工により形成する場合に、これら各入れ溝19、19の底面37、37と、上記円筒ローラ5の外周面に形成する円筒面部16、及び同じく内周面に形成する球状凹面部18とを、同心に形成できる。この結果、上記円筒ローラ5の内側に前記等速ジョイントを構成する球面ローラ4を挿入できなくなったり、或はこの円筒ローラ5の内側に挿入したこの球面ローラ4の挿入状態が不正になると言った不都合を生じる事はない。この為、品質の良好な円筒ローラ5を製造できる。
【0025】
発明の実施の形態
図8〜9は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合、ダイス22の受孔23内にセットする第一の中間素材20aとして、図8(a)に示す様な円環状のものを使用する。又、本例の場合、パンチ25を構成する内側パンチ26の先端部に、延出部43を形成する事により、この内側パンチ26の先端部で外側パンチ27の先端面31から突出する量を大きくしている。これと共に、上記受孔23の底面中央部に、次述するパンチ25の押し込みの際に、上記延出部43を下方に逃がす為の逃げ孔42を形成している。上記第一の中間素材20aに鍛造加工を施す際には、上記パンチ25を、図8(a)に示した状態から、下方に変位させる。そして、同図(b)に示す様に、上記内側パンチ26の先端部を上記第一の中間素材20aの内径側に挿通すると共に、この内側パンチ26の先端寄り部及び上記外側パンチ27の先端部を、この第一の中間素材20aの上端部に押し込んで、この第一の中間素材20aを塑性変形させる。この結果、前述した参考例の1例の図2(d)に示した様な第三の中間素材38を得られる。この様に本例の場合には、上記第一の中間素材20aを円環状に形成した事に基づき、上述した参考例の1例の図2(c)に示した様な有底円筒状の第二の中間素材21の形成を省略して、鍛造工程の簡略化を図っている。その他の構成及び作用は、上述した参考例の1例の場合と同様である。
【0026】
【発明の効果】
本発明のトリポード型等速ジョイント用円筒ローラの製造方法は、以上に述べた通り構成され作用する為、円筒ローラの強度を向上させる事ができると共に、この円筒ローラの加工工数を削減して、コスト低減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関する参考例の1例を示しており、(a)は端面図、(b)は(a)のA−O−A断面図。
【図2】 円筒ローラの加工工程を示しており、丸付数字の1は端面図、同2は、(a)〜(b)が同1の下方から見た図、(c)〜(e)が同1のB−O−B断面図。
【図3】 第一の中間素材に鍛造加工を施す状態を順番に示す、図4のC−O−C断面に相当する図。
【図4】 内側パンチの斜視図。
【図5】 第三の中間素材と完成後の円筒ローラとの形状及び寸法の関係を示しており、(a)は端面図、(b)は(a)のD−O−D断面図。
【図6】 第三の中間素材をチャックの先端部に支持した状態を示す断面図。
【図7】 本発明に関する参考例の円筒ローラの加工作業を順番に示すフローチャート。
【図8】 本発明の実施の形態の1例を示す、図3と同様の図。
【図9】 同じく、図4と同様の図。
【図10】 本発明の対象となる円筒ローラを組み込む自動車用トリポード型等速ジョイントを、ハウジングを除いて分解した状態で示す斜視図。
【図11】 同じくハウジングと組み合わせた状態を示す要部断面図。
【図12】 同じく球面ローラと円筒ローラとを組み合わせる状態を示す分解斜視図。
【図13】 ハウジングの端面図。
【図14】 図13のE−E断面図。
【図15】 従来の円筒ローラの加工工程を順番に示すフローチャート。
【符号の説明】
1 トリポード
2 ハウジング
3 ころ
4 球面ローラ
5 円筒ローラ
6 凹部
7 内側面
8 ボス部
9 トラニオン
10 係止リング
11 係止溝
12 前加工素材
13 内周面
14 外周面
15 案内リング
16 円筒面部
17 軌道面
18 球状凹面部
19 入れ溝
20、20a 第一の中間素材
21 第二の中間素材
22 ダイス
23 受孔
24 カウンターパンチ
25 パンチ
26 内側パンチ
27 外側パンチ
28 本体
29 突出部
30 外側面
31 先端面
32 基準円筒面部
33 基準平面部
34 凹溝
35 底部
36 テーパ面
37 底面
38 第三の中間素材
39 第四の中間素材
40 チャック
41 抑え面
42 逃げ孔
43 延出部

Claims (1)

  1. トリポード型等速ジョイントを構成するハウジング内に設けた凹溝の軌道面と転接する円筒面部を外周面に、この円筒面部と同心で且つ上記トリポード型等速ジョイントを構成するトラニオンに回転自在に支持された球面ローラの外周面である球状凸面と摺接する球状凹面部を内周面に、それぞれ有すると共に、上記球面ローラを上記球状凹面部の内側に挿入する為、それぞれの底面を円筒面とした1対の入れ溝を上記内周面の直径方向反対位置に設けたトリポード型等速ジョイント用円筒ローラの製造方法であって、円環状の金属素材をダイスに形成した円筒面状の内周面を有する受孔内にセットした状態で、この金属素材に、円柱状の本体と、それぞれこの本体の軸方向に亙り形成された1対の突出部とから成り、これら各突出部の外側面をそれぞれ上記本体の外周面と同心の円筒面とした内側パンチと、内周面をこの内側パンチに隙間なく、且つ、この内側パンチに、軸方向に亙る相対変位自在に外嵌した外側パンチとから成るパンチを、この外側パンチの先端縁を上記各突出部の先端寄り部分に位置させた状態で押し付け、上記内側パンチの先端部で上記外側パンチの先端縁から突出した部分を上記金属素材に、この内側パンチの先端部に形成した延出部が、上記受孔の底面中央部に形成した逃げ孔内に進入する状態に迄圧入すると共に、上記各突出部の外側面の中心軸と直交する平坦面である上記外側パンチの先端面を上記金属素材の軸方向端面に突き当てる鍛造加工を施す事により、この金属素材の内径側部分に、完成後の円筒ローラの内周面に形成すべき球状凹面部よりも小径の基準円筒面部を、同じく上記金属素材の軸方向一端面でこの基準円筒面部の開口周縁部に、この基準円筒面部の中心軸と直交する基準平面部を、同じく上記基準円筒面部の一部でこの基準円筒面部の直径方向反対位置に、それぞれが入れ溝となる1対の凹溝を、それぞれ形成した後、上記基準円筒面部を基準として上記金属素材を旋盤の主軸に支持する事で、上記金属素材を上記基準円筒面部の中心軸を中心として回転させつつ、この金属素材の外周面に旋削加工を施す事により、この金属素材の外周面に上記円筒面部を形成した後、この円筒面部を基準として旋盤の主軸に上記金属素材を支持する事で、この金属素材をこの円筒面部の中心軸を中心として回転させつつ、この金属素材の内周面に旋削加工を施す事により、この金属素材の内周面に上記球状凹面部を形成し、次いで各部に必要な硬さを与える為の熱処理と各部に必要な精度を与える為の研削加工とを施して上記円筒ローラを完成させる、トリポード型等速ジョイント用円筒ローラの製造方法。
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