JP3711628B2 - 樹脂水性分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水溶性樹脂とエマルジョン樹脂の特徴を兼ね備え、特に従来法と比較して耐水性に優れた樹脂水性分散液の製造方法に関するものであり、塗料、紙加工、繊維加工、土木、建築材料、印刷材料、接着、インキその他各種コーティング剤、バインダー及び添加剤として有用な樹脂水性分散体の製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境の改善が社会的課題として法規制等により急速に進められていることから水性樹脂の需要が年々高まっている。
【0003】
水性樹脂には水溶性樹脂と水分散性樹脂に大別できる。前者により得られたものは成膜性、光沢が良好、乳化剤を含まない、流動特性が溶剤型樹脂に近い等の長所を有するが、その反面、高不揮発分化が困難、溶液重合で合成するために転送乳化、脱溶剤工程を有し、そのため生産性が悪い、樹脂合成の段階では有機溶剤を用いる等の欠点を有する。一方、水分散性樹脂いわゆるエマルジョン樹脂は一般的に乳化重合で合成されることから、分子量が高く物理的強度や耐久性に優れる、有機溶剤を全く用いない、転相乳化、脱溶剤の工程がなく、重合速度が速いため、生産性が良い等の長所を有するが、その反面、乳化剤を用いる、粒子状態であるために成膜性、光沢が悪い等の欠点を有する。また、エマルジョン樹脂はチクソ性を有するという特徴はあるが、この性質は、タレには長所として働くが一方で厚塗り性、レベリング性には欠点として働く。
【0004】
即ち、水溶性樹脂、エマルジョン樹脂それぞれに特徴はあるもののいずれも一長一短があり、溶剤系樹脂から水性樹脂への転換という意味においてはまだいずれも充分ではないというのが現状である。従って水溶性樹脂とエマルジョン樹脂の両方の特徴を兼ね備えた樹脂の開発について、種々検討されている。
【0005】
例えば、特開平6−145262号公報にはアルカリ可溶性ポリマー中またはアルカリ不溶性ポリマー中に不飽和基を複数個有する単量体を共重合し、両ポリマー間を架橋させることにより耐久性良好な水性樹脂が得られる技術が開示されている。
【0006】
また、特開平7−118544号公報では反応性乳化剤の存在下で乳化重合して得られたカルボキシル基含有ポリマーを分散剤としてグリシジル基、アミノ基またはアミド基含有単量体を含む単量体を乳化重合することにより塗被むらがなく、耐ブロッキング性良好な水性樹脂に関する技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開平6−145262号公報記載の方法では安定的に不飽和基を残存させることは困難であることからアルカリ可溶性ポリマーとアルカリ不溶性ポリマー両ポリマーとの間の架橋効率が極めて悪く、得られる塗膜の耐水性に劣るという課題を有していた。
【0008】
また、該公開特許ではアルカリ不溶性ポリマー中にアミノ基を導入することにより耐久性を向上させる旨も報告されているが、本方法は重合条件の選定が極めて困難であるという欠点を有し、またたとえ重合できても得られた樹脂の耐水性は依然として改善されないものであった。
【0009】
また、特開平7−118544号公報記載の方法では反応性乳化剤を使用することによる耐水性の向上を図っている。この方法ではフリーの乳化剤の低減は期待されるが、反応性乳化剤の重合性の問題によりどうしてもフリーの乳化剤が残ってしまうこと、また、反応性乳化剤を共重合することによりポリマー主鎖に親水基を導入することによりかえってポリマーそのものの耐水性を悪くしてしまう等の理由により、やはり充分な耐水性が得られないという課題があった。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、水性樹脂とエマルジョン樹脂の両方の特徴を兼ね備え、特に従来法と比べて極めて耐水性に優れた樹脂水性分散液の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、アニオン性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体を必須成分としたラジカル重合性不飽和単量体を連鎖移動剤の存在下で水中で重合して得られる共重合体水性物(A’)の存在下、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(B−1)とその他のラジカル重合性不飽和単量体(B−2)とを(B−1)/(B−2)の重量比(5〜50)/(95〜50)の割合で含有したラジカル重合性不飽和単量体成分(B)を水中で連鎖移動剤の存在下で重合し、数平均分子量500〜20000の共重合体水性物(B’)を製造した後、得られた共重合体水性物(B’)の存在下でラジカル重合性不飽和単量体成分(C)を重合することにより従来法よりも耐水性が良好な樹脂水性分散体が得られることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明はアニオン性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(A−1)を必須成分としたラジカル重合性不飽和単量体成分(A)を連鎖移動剤の存在下に水中で重合して共重合体水性物(A')を製造し(工程1)、該共重合体水性物(A')の存在下に、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(B−1)とその他のラジカル重合性不飽和単量体(B−2)とを(B−1)/(B−2)の重量比(5〜50)/(95〜50)の割合で含有するラジカル重合性不飽和単量体成分(B)を、水中で連鎖移動剤の存在下、重合し、数平均分子量500〜20,000の共重合体水性物(B')を製造し(工程2)、次いで、共重合体水性物(A')及び共重合体水性物(B')の存在下にカルボキシル基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)を含むラジカル重合性不飽和単量体成分(C)を重合する(工程3)ことを特徴とする樹脂水性分散体の製造方法に関する。
【0013】
以下発明の詳細について説明する。
【0014】
工程1の共重合体水性物(A’)の製造は水中で行うことができ、このときアニオン性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(A−1)が必須成分となる。アニオン性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(A−1)とはカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、スルホン酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体、リン酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体またはこれらの塩を意味し、これらの具体例の一部を挙げるとカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2−メタクリロイルプロピオン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、また、スルホン酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体としてはビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドターシャリーブチルスルホン酸、メタクリル酸ポリオキシエチレンスルホン酸、ポリオキシエチレンアルケニルフェニルスルホン酸及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、リン酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体としてはモノ2−(メタクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。勿論これらを併用することも可能である。
【0015】
また、本発明においては、ラジカル重合性不飽和単量体成分(A)として、
単量体(A−1)の他に、また、これらと共重合可能なその他のラジカル重合性不飽和単量体(A−2)を用いることができる。その他のラジカル重合性不飽和単量体(A−2)は、一般的にラジカル重合反応に用いることができるものであれば特に制限はない。
【0016】
ラジカル重合性不飽和単量体(A−2)の具体例の一例を挙げるとアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸の各エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンの如き芳香族ビニル化合物、ビニルピロリドンの如き複素環式ビニル化合物;塩化ビニル、アクリロニトリル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド等;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等ハロゲン化ビニリデン化合物;エチレン、プロピレン等のαーオレフィン類;ブタジエンの如きジエン類などがあり、また、所望によりアクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド等のα,βーエチレン性不飽和酸のアミド類;グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;2ーヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有モノマー;ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有モノマー;N−メチロールアクリルアミドまたはメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和カルボン酸の置換アミド;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の不飽和結合含有シラン化合物;ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリルアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートの如き1分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体なども挙げることができる。勿論これらを併用することも可能である。
【0017】
アニオン性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(A−1)との使用割合としては、特に限定されるものではないが、ラジカル重合性不飽和単量体成分(A)中、ラジカル重合性不飽和単量体(A−2)が、50重量%以下となる範囲であることが分散安定性の点から好ましい。
【0018】
工程1の共重合体水性物(A’)の製造においては連鎖移動剤を用いることが必須条件となる。用いる連鎖移動剤に特に制限されるものではなく、具体例の一例を挙げるとn−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、t−ヘキサデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、ベンジルメルカプタン、ドデシルベンジルメルカプタン等のアルキルベンジルメルカプタン類、チオグリコール酸、チオリンゴ酸等のチオカルボン酸類またはその塩、n−ブチルチオグリコネート、ドデシル−3−メルカプトプロピオネート、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル等のチオカルボン酸アルキルエステル類、モノエタノールアミンチオグリコレートに代表される含窒素チオール類、トリメトキシシリルプロピルメルカプタンに代表される反応性官能基含有メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー等のダイマー型連鎖移動剤等が挙げられる。また、この他トリエチルアミン、トリブチルアミン等の有機アミン類、n−ブチルアルコール、i−プロピルアルコール等のアルコール類、四塩化炭素、アセトアルデヒド等の有機溶剤類等も挙げられる。勿論これらを併用することも可能である。また、連鎖移動剤の使用量はラジカル重合性不飽和単量体成分(A)100重量部あたり0.1〜50重量部、このましくは1〜20重量部である。
【0019】
即ち0.1重量部以上においては、得られる共重合水性物(A’)の分子量を適切な範囲に調整し易くなり、また、50重量部以下においては、低分子量成分の量を抑制することができ、耐水性等を一層向上させることができる。
【0020】
共重合体水性物(A’)の製造は水中でのラジカル重合で行うことができ、その方法に特に制限はない。例えばラジカル重合性不飽和単量体成分(A)100重量部あたり、ラジカル重合開始剤0.1〜20重量部用い、水媒体50〜1000重量部使用して40〜90℃で重合することが出来る。
【0021】
また、上記開始剤と還元剤0.1〜20重量部併用するレドックス重合にても行うことができる。この際、鉄イオンや銅イオン等の多価金属塩イオンを生成する化合物を促進剤として併用することも可能である。上記反応で用いることが出来るラジカル重合開始剤としては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル及びその塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2ーアミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤、過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。また、これらラジカル開始剤と併用可能な還元剤としてはナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸等が挙げられる。また、ラジカル重合性不飽和単量体、ラジカル開始剤、及び還元剤は一括仕込、連続滴下、分割添加などの公知の技術により行うことができる。
【0022】
次に、本発明では工程2として、工程1で得られた共重合体水性物(A’)を分散安定剤として用い、ラジカル重合性不飽和単量体成分(B)を重合し、共重合体水性物(B’)を製造する。
【0023】
ここで、ラジカル重合性不飽和単量体成分(B)は、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(B−1)、及び、その他のラジカル重合性不飽和単量体(B−2)を必須成分として含有するものである。
【0024】
ここで使用することができるカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(B−1)としては、従来ラジカル重合で使用されているものであれば特に問題なく用いることができる。具体例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2−メタクリロイルプロピオン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸等が挙げられる。勿論これらに限定されるものではなく、またこれらを併用することも可能である。
【0025】
また、その他のラジカル重合性不飽和単量体(B−2)としては特に限定はなく、通常ラジカル重合で使用されているものであればいかなるものでも用いることは可能であり、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸の各エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンの如き芳香族ビニル化合物、ビニルピロリドンの如き複素環式ビニル化合物;塩化ビニル、アクリロニトリル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド等;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等ハロゲン化ビニリデン化合物;エチレン、プロピレン等のαーオレフィン類;ブタジエンの如きジエン類、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリルアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートの如き1分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体等がなどが挙げられる。
【0026】
また、その他のラジカル重合性不飽和単量体(B−2)として、カルボキシル基以外の反応性官能基であって、不飽和基と非反応性の反応性官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(B−2−2)を用いることが後述するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)及び(C−2)の中の官能基との架橋反応により、最終的に得られる樹脂水性分散体の耐水性が著しく向上させることができる点から好ましい。
【0027】
カルボキシル基以外の反応性官能基であって、不飽和基と非反応性の反応性官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(B−2−2)としては特に限定されるものではないが、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体:2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート等の水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体:アミノエチルメタクリレート、N−アルキルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジアルキルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有ラジカル重合性不飽和単量体:N−メチロールアクリルアミド、N−アルコキシメチルアクリルアミド等のアルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド等のアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体:2−アセトアセトキシエチルメタクリレート等のアセトアセトキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体:ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルプロピルジエトキシメチルシラン等の加水分解性シリル基含有ラジカル重合性不飽和単量体:アクリロイルイソシアナート、アクリロイルイソシアナートエチルのフェノール付加物等のイソシアナート基含有ラジカル重合性不飽和単量体:アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、アルキルビニルケトン、クロトンアルデヒド:カルボニル基含有ラジカル重合性不飽和単量体:グリセリルシクロカーボネートアクリレート、グリセリルシクロカーボネートメタクリレート等のグリセリルシクロカーボネート基含有ラジカル重合性不飽和単量体:2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2ービニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0028】
カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(B−1)とその他のラジカル重合性不飽和単量体(B−2)の使用量は(B−1):(B−2)=(5〜50):(95〜50)の範囲であり、好ましくは(B−1):(B−2)=(5〜30):(95〜70)である。
【0029】
即ち(B−1):(B−2)=5以上:95以下においては水性樹脂としての特徴が良好なものとなり、(B−1):(B−2)=50以下:50以上においては耐水性に著しく優れたものとなる。
【0030】
また、上記のラジカル重合性不飽和単量体成分(B)の重合における、共重合体水性物(A’)の使用量は、ラジカル重合性不飽和単量体(B)の合計100重量部あたり固形分重量で0.5〜10重量部、好ましくは1.5〜8重量部であることが好ましい。
【0031】
即ち、0.5重量部以上では共重合体水性物(B’)の重合安定性が良好になり、また10重量部以下となると得られた最終エマルジョンの耐水性が著しく向上する。
【0032】
また、工程2においても共重合体(B’)の数平均分子量を500〜20000に制御するために連鎖移動剤が必須成分として用いられる。
連鎖移動剤としては特に制限はなく、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、t−ヘキサデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、ベンジルメルカプタン、ドデシルベンジルメルカプタン等のアルキルベンジルメルカプタン類、チオグリコール酸、チオリンゴ酸等のチオカルボン酸類またはその塩、n−ブチルチオグリコネート、ドデシル−3−メルカプトプロピオネート、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル等のチオカルボン酸アルキルエステル類、モノエタノールアミンチオグリコレートに代表される含窒素チオール類、トリメトキシシリルプロピルメルカプタンに代表される反応性官能基含有メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー等のダイマー型連鎖移動剤等が挙げられる。また、この他トリエチルアミン、トリブチルアミン等の有機アミン類、n−ブチルアルコール、i−プロピルアルコール等のアルコール類、四塩化炭素、アセトアルデヒド等の有機溶剤類等も挙げられる
【0033】
連鎖移動剤の使用量としてはラジカル重合性不飽和単量体成分(B)の種類、連鎖移動剤の種類により異なるが、ラジカル重合性不飽和単量体100重量部あたり0.5〜50重量部であることが好ましい。
【0034】
工程2の共重合体水性物(B’)の製造においては、耐水性等の観点より乳化剤を使用しないソープフリー乳化重合で行うことが好ましいが、重合安定性等の観点よりやむを得ない場合、乳化剤を使用してもかまわないがその場合乳化剤の使用量は最小限にとどめる必要があり、さらには反応性乳化剤が好ましい。用いることができる乳化剤に特に制限はない。代表的なものをあげるとアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ソーダ、ナトリウムジアルキルスルホサクシネート、アルキルフェニルポリオキシエチレンサルフェートソーダ塩またはアンモニウム塩等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン性乳化剤等が挙げられる。
【0035】
また、反応性乳化剤の具体例としてはビニルスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸ソーダ、アクリル酸ポリオキシエチレン硫酸アンモニウム、メタクリル酸ポリオキシエチレンスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルケニルフェニルスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルケニルフェニル硫酸ソーダ、ナトリウムアリルアルキルスルホサクシネート、メタクリル酸ポリオキシプロピレンスルホン酸ソーダ等のアニオン系反応性乳化剤、ポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンメタクリロイルエーテル等のノニオン系反応性乳化剤が挙げられる。
【0036】
また、一般的に市販されている反応性乳化剤、例えばアクアロンHS−10,ニューフロンティアA−229E(以上第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープSE−3N、SE−5N、SE−10N、SE−20N,SE−30N(以上旭電化工業(株)製)、AntoxMS−60,MS−2N、RA−1120,RA−2614(以上日本乳化剤(株)製)、エレミノールJS−2,RS−30(以上三洋化成工業(株)製)、ラテムルS−120A,S−180A,S−180(以上花王(株)製)等のアニオン型反応性界面活性剤、アクアロンRN−20,RN−30,RN−50,ニューフロンティアN−177E(以上第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープNE−10,NE−20,NE−30,NE−40(以上旭電化工業(株)製)、RMA−564,RMA−568,RMA−1114(以上日本乳化剤(株)製)、NKエステルM−20G、M−40G、M−90G、M−230G(以上新中村化学工業(株)製)等のノニオン型反応性界面活性剤等、一般的に乳化重合反応に用いられているものであれば何等問題なく用いることが出来る。勿論これら以外の市販の反応性界面活性剤を用いることも可能である。
【0037】
共重合体水性物(B’)の製造においては分散安定剤として共重合体水性物(A’)を用いる他は一般的に行われている乳化重合の手法により反応を行うことができる。即ち、ラジカル重合性不飽和単量体成分(B)100重量部あたり、ラジカル重合開始剤0.1〜10重量部用い、水媒体50〜1000重量部使用して40〜90℃で重合することが出来る。また、上記開始剤と還元剤0.1〜10重量部併用するレドックス重合にても行うことができる。この際、鉄イオンや銅イオン等の多価金属塩イオンを生成する化合物を促進剤として併用することも可能である。上記反応で用いることが出来るラジカル重合開始剤としては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル及びその塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系開始剤、過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。また、これらラジカル開始剤と併用可能な還元剤としてはナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸等が挙げられる。また、ラジカル重合性不飽和単量体、ラジカル開始剤、及び還元剤は一括仕込、連続滴下、分割添加などの公知の技術により行うことができる。
【0038】
このようにして得られる共重合体水性物(B’)は、既述の通り数平均分子量が500〜20000の範囲である必要がある。即ち500以下となると水性樹脂としての特徴が発揮されない場合があり、また20000以上となると共重合体水性物(C’)の重合がうまくできない場合がある。
【0039】
次に、本発明においては工程3として、共重合体水性物(A')及び共重合体水性物(B')の存在下にカルボキシル基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)を含むラジカル重合性不飽和単量体成分(C)を重合することにより、目的とする樹脂水性分散体を得ることができる。
【0040】
また、用いることができるラジカル重合性不飽和単量体成分(C)としては、特に限定されるものではなく、一般的にラジカル重合に用いられているものが何れも使用できる。具体例の一例を挙げるとアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸の各エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンの如き芳香族ビニル化合物、ビニルピロリドンの如き複素環式ビニル化合物;塩化ビニル、アクリロニトリル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド等;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等ハロゲン化ビニリデン化合物;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;ブタジエンの如きジエン類などがあり、また、所望によりアクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド等のα,β−エチレン性不飽和酸のアミド類;グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;2ーヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有モノマー;ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有モノマー;N−メチロールアクリルアミドまたはメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和カルボン酸の置換アミド;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の不飽和結合含有シラン化合物;ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリルアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートの如き1分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2−メタクリロイルプロピオン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸等の酸モノマーなどが挙げられる。勿論これらに限定されるものではなく、またこれらを併用することも可能である。
【0041】
また、工程3における共重合体水性物(A’)及び共重合体水性物(B’)の使用量は、特に制限されるものではないが、ラジカル重合性不飽和単量体成分(C)100重量部あたり共重合体水性物(A’)及び共重合体水性物(B’)の合計の固形分重量で10〜1000重量部となる範囲が好ましい。即ち10重量部以上において水性樹脂としての特徴が顕著になり、また1000重量部以下においてはエマルジョン樹脂としての性質が顕著なものとなる
【0042】
工程3においては分散安定剤として共重合体水性物(A’)及び共重合体水性物(B’)を用いる他は一般的に行われている乳化重合の手法により反応を行うことができる。即ち、ラジカル重合性不飽和単量体成分(C)100重量部あたり、ラジカル重合開始剤0.1〜10重量部用い、水媒体50〜1000重量部使用して40〜90℃で重合することが出来る。また、上記開始剤と還元剤0.1〜10重量部併用するレドックス重合にても行うことができる。この際、鉄イオンや銅イオン等の多価金属塩イオンを生成する化合物を促進剤として併用することも可能である。上記反応で用いることが出来るラジカル重合開始剤としては工程2において例示したものが何れも使用できる。また、ラジカル重合性不飽和単量体成分(C)、ラジカル開始剤、及び還元剤は一括仕込、連続滴下、分割添加などの公知の技術により行うことができる。
【0043】
また、本発明は任意の段階で中和し、pH>7とすることにより水性樹脂としての性質をより顕著なものとなる。最終のpHが7以上であれば中和工程は任意の段階で行うことができ、例えば、工程2の前、工程2の途中、工程2終了後で工程3の前、工程3の途中、工程3の終了後、等いかなる工程であってもかまわない。また、これらのうちで数段階に分割して中和してもかまわないし、連続的に中和剤を添加し、中和してもかまわない。
【0044】
この時、使用することができる中和剤としては特に制限はなく、一般的に用いられているものであればいかなるものでも用いることができる。具体例の一例を挙げると水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ボラックス等の無機塩基、メチルアミン、イソブチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、ジメチルエタノールアミン等のアルカノールアミン類、アンモニア等が挙げられる。
勿論これらに限定されるものではなく、またこれらの複数種を併用してもかまわない。
【0045】
また、工程3で使用するラジカル重合性不飽和単量体成分(C)としては、カルボキシル基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)を含むものであり、このラジカル重合性不飽和単量体(C−1)を導入し、自己架橋型とすることにより、より耐久性に優れた樹脂水性分散液を供することが可能となる。
【0046】
カルボキシル基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体:2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート等の水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体:N−メチロールアクリルアミド、N−アルコキシメチルアクリルアミド等のアルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体:アクリロイルイソシアナート、アクリロイルイソシアナートエチルのフェノール付加物等のイソシアナート基含有ラジカル重合性不飽和単量体:アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、アルキルビニルケトン、クロトンアルデヒド等のカルボニル基含有ラジカル重合性不飽和単量体:グリセリルシクロカーボネートアクリレート、グリセリルシクロカーボネートメタクリレート等のグリセリルシクロカーボネート基含有ラジカル重合性不飽和単量体:2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2ービニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。これらの中でも特にグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体が好ましい。
【0047】
この時、カルボキシル基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)の使用量はラジカル重合性不飽和単量体(C)100重量部あたり0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜10重量部がよい。即ち0.1重量部以上において架橋効果が充分発現されることになり、一方、50重量部以下においては重合安定性が良好なものとなる。
【0048】
また、前述した通り、さらに架橋効率を高めるためにラジカル重合性不飽和単量体成分(B−2)として、カルボキシル基以外の反応性官能基であって、不飽和基と非反応性の反応性官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(B−2−2)を導入し、(C−1)と架橋させることにより架橋密度をより高くすることも可能である。ここで(B−2−2)と(C−1)との好ましい組み合わせの具体例としては、
(B−2−2)としてグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、グリシジル基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としては、アルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0049】
(B−2−2)として水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、水酸基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としてはアルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体、カルボニル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、イソシアナート基含有ラジカル重合性不飽和単量体、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、グリセリルシクロカーボネート基含有ラジカル重合性不飽和単量体、オキサゾリン基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0050】
(B−2−2)としてアルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、アルキロールアミド基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としてはイソシアナート基含有ラジカル重合性不飽和単量体、アルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、グリセリルシクロカーボネート基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0051】
(B−2−2)としてアセトアセチル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、アセトアセチル基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としては、アルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、イソシアナート基含有ラジカル重合性不飽和単量体、グリセリルシクロカーボネート基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0052】
(B−2−2)として加水分解性シリル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、シリル基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としては水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体、アルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0053】
(B−2−2)としてカルボニル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、カルボニル基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としては水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体が挙げられる。
【0054】
(B−2−2)としてアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、アミド基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としてはアルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0055】
(B−2−2)としてイソシアナート基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、イソシアナート基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としては水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体、アルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0056】
(B−2−2)としてアミノ基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、アミノ基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としてはグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、イソシアナート基含有ラジカル重合性不飽和単量体、グリセリルシクロカーボネート基含有ラジカル重合性不飽和単量体、アルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体、カルボニル基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0057】
(B−2−2)としてグリセリルシクロカーボネート基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、グリセリルシクロカーボネート基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としては、アルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0058】
(B−2−2)としてオキサゾリン基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、オキサゾリン基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)としては水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0059】
この中でも(C−1)としてグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いた系が重合安定性、架橋効率等の観点より好ましい。
【0060】
反応性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(B−2−2)の使用量はラジカル重合性不飽和単量体(B)100重量部あたり0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜10重量部がよい。即ち0.1重量部以上においては架橋効果が顕著なものとなり、また一方50重量部以下においては重合安定性が良好なものとなる。
【0061】
本発明ではラジカル重合性不飽和単量体(C)中にカルボキシル基と非反応性の反応性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(C−2)を導入し、(C−2)中に存在する官能基とラジカル重合性不飽和単量体(B)中に存在する反応性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(B−2−2)中に存在する官能基とを反応させることにより自己架橋型とすることも好ましい。
【0062】
この様なカルボキシル基と非反応性の反応性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(C−2)としては、特に限定されるものではないが、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート等の水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体:アミノエチルメタクリレート、N−アルキルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジアルキルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有ラジカル重合性不飽和単量体:2−アセトアセトキシエチルメタクリレート等のアセトアセトキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体:ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルプロピルジエトキシメチルシラン等の加水分解性シリル基含有ラジカル重合性不飽和単量体:アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2−メタクリロイルプロピオン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸等のカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体が挙げられる。
【0063】
これらの単量体とラジカル重合性不飽和単量体(B−2−2)との組み合わせの具体例としては、
【0064】
(B−2−2)としてグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、グリシジル基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)としては、アセトアセチル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、アミノ基含有ラジカル重合性不飽和単量体、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0065】
(B−2−2)として水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、水酸基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)としては、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0066】
(B−2−2)としてアルキロールアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、メチロールアミド基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)としてはアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、アセトアセチル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、アミノ基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0067】
(B−2−2)としてアセトアセチル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、アセトアセチル基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)としてはアミノ基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0068】
(B−2−2)として加水分解性シリル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、シリル基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)としては加水分解性シリル基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0069】
(B−2−2)としてカルボニル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、カルボニル基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)としてはアミノ基含有ラジカル重合性不飽和単量体、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0070】
(B−2−2)としてイソシアナート基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、イソシアナート基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)としては、アセトアセチル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、アミノ基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0071】
(B−2−2)としてアミノ基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、アミノ基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)としては、アセトアセチル基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0072】
(B−2−2)としてグリセリルシクロカーボネート基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、グリセリルシクロカーボネート基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)としては、アセトアセチル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、アミノ基含有ラジカル重合性不飽和単量体、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0073】
(B−2−2)としてオキサゾリン基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、オキサゾリン基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)としてはカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0074】
この中でも重合安定性、架橋効果等、特に耐溶剤性の観点より(B−2−2)として加水分解性シリル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用い、(C−2)として加水分解性シリル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いた系が好ましい。
【0075】
反応性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(C−2)の使用量は、特に制限されるものではないが、ラジカル重合性不飽和単量体(C)100重量部あたり0.1〜50重量部、なかでも0.2〜10重量部であることが好ましい。即ち0.1重量部以上においては架橋効果が顕著なものとなり、また50重量部以下においては重合安定性が良好なものとなる。
【0076】
以上の工程1〜工程3を経て得られる樹脂水性分散体は溶剤系樹脂に近い流動特性、即ちシェアを変化させても粘度は変わらないという特徴を有する。本発明で得られる好ましい樹脂水性分散体としては、下記の条件を満たすものである。
【0077】
【式1】
0.5≦η(6)/η(60)≦3.0
η(6) :B型粘度計における6回転での粘度
η(60):B型粘度計における60回転での粘度
【0078】
本発明により得られた樹脂水性分散液は溶剤系樹脂から水性樹脂への転換を考えた場合、極めて有用であり、塗料、紙加工、繊維加工、印刷材料、接着、土木、インキ、その他コーティング用途等のバインダーまたは添加剤として用いることが可能である。
【0079】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の部及び%はいずれも重量に基づく値である。
【0080】
また、実施例並びに比較例における各評価試験は、以下の評価方法に従ったものである。
【0081】
[評価方法]
耐水性:室温・7日の乾燥条件で作製した厚さ0.5mmのフィルムを水道水に7日間浸漬後のフィルム吸水率及び白化度を評価した。
【0082】
フィルム白化度の評価
○:全く白化しない。
△:青白く白化しているが、透明感あり。
【0083】
X:完全に白濁。
【0084】
耐溶剤性:室温・7日の乾燥条件で作製した厚さ0.5mmのフィルムをアセトンに24時間浸漬した後の不溶解分重量百分率を調べた。
【0085】
構造粘性度:B型粘度計で測定した6回転での粘度(η(6))と60回転での粘度(η(60))を測定し、以下の計算式で計算した。
構造粘性度 = η(6)/η(60)
【0086】
数平均分子量:GPC分析によりポリスチレン換算で測定
【0087】
参考例1(共重合体水性物(A’)(B’)の製法)
アクリル酸ブチル(以後BAと略す)140部、メタクリル酸メチル(以後MMAと略す)130部、メタクリル酸(以後MAAと略す)30部、n−ラウリルメルカプタン(以後L−SHと略す)30部を混合したものを単量体成分(B)とした。
【0088】
攪拌機、温度計、冷却機を取り付けた1.2リットル反応容器にイオン交換水470部を仕込、窒素ガスを送入しつつ攪拌しながら反応容器内を80℃に昇温した。昇温後、MAA4.5部、スチレンスルホン酸ナトリウム(以後NaSSと略す)4.5部、L−SH0.45部を順次加え、約5分間保持した後に過硫酸アンモニウム(以後APSと略す)1.5部を加え、1時間攪拌しつつ80℃に保持し、共重合体水性物(A’)を製造した。共重合体水性物(A’)製造後、続けて先に調整した単量体成分(B)、APS1.5部をイオン交換水40部に溶解したものをそれぞれ系内に滴下し、共重合体水性物(A’)及び(B’)の複合水性物を製造した。滴下時間は単量体混合液が3時間、開始剤水溶液が3時間30分とした。また、滴下中は攪拌しながら系内を80℃に保持した。滴下終了後2時間さらに攪拌しながら80℃に保持した後に冷却し、取り出した。
【0089】
得られたエマルジョンは不揮発分40.2%、粘度8cps、pH=1.5だった。また数平均分子量は5580だった。
【0090】
参考例2、3(共重合体水性物(A’)(B’)の製造)
原料組成を第1表に従い製造した他は参考例1と同一の方法で製造した。
【0091】
【表1】
【0092】
比較参考例1
BA140部、MMA130部、MAA30部、L−SH30部、アクアロンHS−10(第一工業製薬(株)製反応性アニオン乳化剤)1部、イオン交換水150部を混合したものを単量体混合液とした。
【0093】
攪拌機、冷却機、温度計を取り付けた1.2リットル反応容器にイオン交換水310部を仕込、窒素ガスを送入しつつ攪拌しながら反応容器内を80℃に昇温した。昇温後、前記単量体混合液、APS1.5部をイオン交換水40部に溶解したものをそれぞれ容器内に滴下した。滴下時間は単量体混合液を3時間、APS水溶液を3時間30分とし、滴下中は攪拌しつつ80℃に保持した。滴下終了後さらに2時間攪拌しつつ80℃に保持した後に冷却し、取り出した。得られたエマルジョンは不揮発分40.1%、粘度11cps、pH1.2だった。また数平均分子量は4150だった。
【0094】
比較参考例2、3
第2表に示した原料を使用した他は比較参考例1と同一の方法で製造した。
【0095】
【表2】
【0096】
実施例1
BA102部、MMA102部、グリシジルメタクリレート(以後GMAと略す)6部を混合したものを単量体混合液とした。
【0097】
攪拌機、温度計、冷却機を取り付けた1リットル反応容器にイオン交換水255部、参考例1により製造された(A’)及び(B’)の複合共重合体水性物体225部を仕込、攪拌を開始した。次に7%アンモニア水溶液32部を徐々に仕込、仕込終了後、昇温を開始し、80℃まで昇温した。80℃に達した後に単量体混合液、過硫酸アンモニウム1.5部をイオン交換水30部に溶解したもののそれぞれを系内に滴下開始した。滴下中攪拌しつつ系内温度を80℃に保持し、滴下時間は単量体混合液が3時間、過硫酸アンモニウム水溶液が3時間30分とした。滴下終了後さらに2時間同一条件で保持した後に冷却し、取り出した。得られたエマルジョンは不揮発分40.2%、粘度2300cps、pH8.8だった。
【0098】
実施例2〜4
第3表に示した原料を使用した他は実施例1と同一の方法で製造した。
【0099】
【表3】
【0100】
実施例5
BA102部、MMA102部、グリシジルメタクリレート(以後GMAと略す)6部を混合したものを単量体混合液とした。
【0101】
攪拌機、温度計、冷却機を取り付けた1リットル反応容器にイオン交換水255部、参考例1により製造された(A’)及び(B’)の複合水性物225部を仕込、攪拌を開始し、80℃まで昇温した。80℃に達した後に単量体混合液、過硫酸アンモニウム1.5部をイオン交換水30部に溶解したもののそれぞれを系内に滴下開始した。滴下中攪拌しつつ系内温度を80℃に保持し、滴下時間は単量体混合液が3時間、過硫酸アンモニウム水溶液が3時間30分とした。滴下終了後さらに2時間同一条件で保持した後に冷却し、7%アンモニア水32部を加え、取り出した。得られたエマルジョンは不揮発分40.0%、粘度810cps、pH9.3だった。
【0102】
比較例1(比較エマルジョンの製法)
BA102部、MMA102部、GMA6部を混合したものを単量体混合液とした。
【0103】
攪拌機、温度計、冷却機を取り付けた1リットル反応容器にイオン交換水255部、比較参考例1により製造された共重合体水性物225部を仕込、攪拌を攪拌を開始した後に7%アンモニア水25部を仕込、80℃まで昇温した。昇温終了後、単量体混合液、過硫酸アンモニウム1.5部をイオン交換水30部に溶解したものをそれぞれ滴下開始した。滴下中攪拌しつつ系内温度を80℃に保持し、滴下時間は単量体混合液が2時間、過硫酸アンモニウム溶液が2時間30分とした。滴下終了後さらに2時間攪拌しつつ80℃に保持した後に冷却し、取り出した。得られたエマルジョンは不揮発分40.3%、粘度1100cps、pH8.7だった。
【0104】
比較例2、3(比較エマルジョンの製法)
第4表に示した原料を使用した他は比較例1と同一の方法で製造した。
【0105】
【表4】
以下の第5表に上記実施例及び比較例で得られたエマルジョンの耐水性、耐溶剤性、造膜性、構造粘性度について調べた結果を示した。
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
【0108】
【発明の効果】
本発明により水性樹脂とエマルジョン樹脂の両方の特徴を兼ね備え、特に従来法と比べて極めて耐水性に優れた樹脂水性分散液の製造方法を提供することができる。
【0109】
その為、本発明で得られる樹脂水性分散体は塗料、紙加工、繊維加工、接着、土木、インキ、印刷材料、その他コーティング用途等に、バインダー、添加剤として極めて有用である。
Claims (14)
- アニオン性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(A−1)を必須成分としたラジカル重合性不飽和単量体成分(A)を連鎖移動剤の存在下に水中で重合して共重合体水性物(A')を製造し(工程1)、該共重合体水性物(A')の存在下に、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(B−1)とその他のラジカル重合性不飽和単量体(B−2)とを(B−1)/(B−2)の重量比(5〜50)/(95〜50)の割合で含有するラジカル重合性不飽和単量体成分(B)を、水中で連鎖移動剤の存在下、重合し、数平均分子量500〜20,000の共重合体水性物(B')を製造し(工程2)、次いで、共重合体水性物(A')及び共重合体水性物(B')の存在下にカルボキシル基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)を含むラジカル重合性不飽和単量体成分(C)を重合する(工程3)ことを特徴とする樹脂水性分散体の製造方法。
- 工程1におけるラジカル重合性不飽和単量体成分(A)が、アニオン性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(A−1)と、その他のラジカル重合性不飽和単量体(A−2)とを、後者が(A)成分中50重量%以下の割合で含有するものである請求項1記載の製造方法。
- アニオン性官能基含有ラジカル重合性不飽和単量体(A−1)中のアニオン性官能基が、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、またはこれらの塩である請求項1又は2記載の製造方法。
- 工程2におけるラジカル重合性不飽和単量体成分(B)と共重合体水性物(A')との使用割合が、ラジカル重合性不飽和単量体成分(B)100重量部あたり、共重合体水性物(A')を固形分重量で0.5〜10重量部用いる請求項1、2又は3記載の製造方法。
- 工程3における各成分の使用割合が、ラジカル重合性不飽和単量体成分(C)100重量部あたり、共重合体水性物(A')及び共重合体水性物(B')を両者の合計の固形分重量で10〜1000重量部となる範囲である請求項1〜4の何れか1つに記載の製造方法。
- 工程2又は工程3の任意の段階で中和する請求項1〜5の何れか1つに記載の製造方法。
- ラジカル重合性不飽和単量体成分(B)中の、その他のラジカル重合性不飽和単量体(B−2)が、カルボキシル基以外の反応性官能基であって、不飽和基とは非反応性の反応性官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(B−2−2)であって、かつ、ラジカル重合性不飽和単量体成分(C)中のラジカル重合性不飽和単量体(C−1)が、カルボキシル基と共に前記単量体(B−2−2)中の反応性官能基とも反応性を有する官能基を有するものである請求項1〜6の何れか1つに記載の製造方法。
- ラジカル重合性不飽和単量体成分(B)中の、ラジカル重合性不飽和単量体(B−2−2)が、カルボキシル基以外の反応性官能基で、不飽和基と非反応性の反応性官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体であって、かつ、ラジカル重合性不飽和単量体成分(C)が、ラジカル重合性不飽和単量体(B−2−2)中に存在する反応性官能基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)を含むものである請求項7記載の製造方法。
- ラジカル重合性不飽和単量体(C−2)中の官能基が、カルボキシル基とは非反応性のものである請求項8記載の製造方法。
- ラジカル重合性不飽和単量体成分(B)中のカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(B−1)の含有率が5〜50重量%であって、かつ、カルボキシル基以外の反応性官能基であって、不飽和基と反応しない官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(B−2−2)の含有率が、0.1〜50重量%である請求項7、8または9記載の製造方法。
- ラジカル重合性不飽和単量体成分(C)中のカルボキシル基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)の含有率が、0.1〜50重量%である請求項1〜10の何れか1つに記載の製造方法。
- ラジカル重合性不飽和単量体成分(B)中の(B−2−2)中に存在する官能基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)の含有率が、0.1〜50重量%である請求項8、9、10または11記載の製造方法。
- カルボキシル基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−1)が、グリシジル基を有するラジカル重合性不飽和単量体である請求項1〜12の何れか1つに記載の製造方法。
- カルボキシ基以外の反応性官能基であって、不飽和基と反応しない官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(B−2−2)が、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性不飽和単量体であって、かつ、(B−2−2)中に存在する官能基と反応性を有する官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体(C−2)が、加水分解性シリル基含有ラジカル重合性不飽和単量体である請求項8、9、10、11、12または13記載の製造方法。
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