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JP3704833B2 - 対物レンズ及び記録再生装置 - Google Patents

対物レンズ及び記録再生装置 Download PDF

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JP3704833B2
JP3704833B2 JP25504796A JP25504796A JP3704833B2 JP 3704833 B2 JP3704833 B2 JP 3704833B2 JP 25504796 A JP25504796 A JP 25504796A JP 25504796 A JP25504796 A JP 25504796A JP 3704833 B2 JP3704833 B2 JP 3704833B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対物レンズ及びこの対物レンズを有して構成され光ディスクの如き光学記録媒体に対して情報信号の記録再生を行う記録再生装置に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスクの如き光学記録媒体は、動画情報、音声情報、コンピュータ用データなどのデータ保存のために、その量産性と低コストの故に広く用いられている。そして、その高密度化、大容量化への要求は、情報化社会の急激な進歩により、近年ますます強くなっている。
【0003】
この光学記録媒体における記録密度を上げるには、情報信号を読み出すための光束の短波長化と、この光束を該光学記録媒体上に集光させるための対物レンズの高NA化(高いい開口数(NA)の対物レンズを使う)との2つが有効である。
【0004】
いわゆる「コンパクトディスク(CD)」(オーディオ信号用、または、コンピュータデータ用のデジタル光ディスク)用の対物レンズのNAが0.45であるのに対し、この「コンパクトディスク」よりも記録密度が向上されたいわゆる「デジタルビデオディスク(DVD)」(ビデオ信号用のデジタル光ディスク)用の対物レンズのNAは、0.6となっている。
【0005】
これら光ディスク用の対物レンズは、合成樹脂材料やガラス材料により、非球面単レンズ(単玉非球面レンズ)として構成されている。
【0006】
なお、「デジタルビデオディスク(DVD)」は、ディスクの傾きによるコマ収差の影響を低減させるために、「コンパクトディスク」や光磁気ディスクのディスク基板の厚さの半分の厚さ、すなわち、0.6mm厚のディスク基板を有して構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような光学記録媒体よりの情報信号の読み出しに用いられる対物レンズにおいては、現在使用されているもの以上の高い開口数(NA)の非球面単レンズを作ることは困難であるといわれている。
【0008】
その理由の一つは、金型の加工にある。すなわち、レンズ面の傾きが光軸に対して垂直な状態を基準として45度を越えると、ダイヤモンドバイトの先端の大きさから、非球面金型の加工が困難となる。また、曲率がきつくなると、レンズの頂点から最外周までの光軸方向に沿った深さ(「ザグ」と呼ばれる)が大きくなり、金型の切削加工が困難になる。
【0009】
よしんば、このような加工が可能となっても、単レンズとして開口数(NA)を0.7以上とした領域では、7次以上の高次の収差補正が不可欠である。それにはさらに多くの設計の自由度が必要である。この補正のために、これまでよりも高次の非球面係数を活用することも考えられるが、加工上及び設計上の困難があり、有効な手段とはいえない。
【0010】
このような事情から、設計としては開口数(NA)0.8以上の非球面レンズも報告されているが、開口数0.7以上のレンズを単レンズとして作製したという報告はない。
【0011】
他方、従来の顕微鏡などにおいて用いられる開口数0.7以上の高開口数のレンズは、複数種類の硝材を用いた複数枚の球面レンズからなる組レンズである。顕微鏡と光ディスク用光学ピックアップ装置との光学的な類似性から、顕微鏡用のレンズと同様なレンズを該光学ピックアップ装置の対物レンズに応用することは容易に考えられる。また、光ディスクの実用化の黎明期においては、上記対物レンズとして、2群3枚の球面レンズからなる組レンズが使われていた。
【0012】
しかし、これらの組レンズは、精密な組立が必要であり、性能の不安定さやコスト高を避けられない。
【0013】
この問題を解決したのが非球面モールド単レンズであった。非球面モールドレンズにおいては、高精度の非球面形状が得られるのみならず、単玉故に組立てが不要であり、偏芯や倒れに対しても充分な公差が得られる。しかし、非球面モールド単レンズにおいては、上述したように、現在使用されているもの以上の高い開口数(NA)の非球面単レンズを作ることは困難である。
【0014】
そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、開口数0.7以上の対物レンズを非球面2枚組レンズとして実現し、記録再生装置においてこの対物レンズを用いて高い情報記録密度の光学記録媒体の実用化を図るという課題を解決しようとするものである。
【0015】
ここで、上記記録再生装置は、大量生産を前提とした装置であるため、特に、生産及び組立が容易であること、簡便な構造であることが必要である。また、光学ピックアップ装置は上記対物レンズの位置をサーボ制御することでフォーカシング動作及びトラッキング動作を行うため、対物レンズの小型軽量化は、製品の小型化のみならず、性能の向上のためにも重要な課題の一つである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
レンズ系における面の非球面形状について、以下の如く定義したとき、
h:光軸からの高さ
x:光軸からの高さがhの非球面上の点の非球面頂点の接平面からの距離
c:非球面頂点の曲率(曲率半径Rの逆数(1/R))
k:円錐定数
A:第4次の非球面係数
B:第6次の非球面係数
C:第8次の非球面係数
D:第10次の非球面係数
非球面形状は、
【0017】
【数11】
Figure 0003704833
【0018】
で示される曲線の光軸回りの回転体として示される。
【0019】
この非球面形状は、上記円錐定数kによって、以下のように分類される。
【0020】
k<−1:双曲面
k=−1:放物面
k>−1:楕円面(<0:x軸長軸、>0:x軸短軸)
k=0:球面
そして、レンズ系をなす各面の面間隔等の距離は、すべて各面の像側にあるときを正、各面の物体側にあるときを負とする。面の曲率半径は、その曲率中心が各面の像側にある時を正、各面の物体側にあるときを負とする。また、面の屈折力は、その面の曲率中心が各面の像側にある時を正、各面の物体側にあるときを負とする。
【0021】
本発明に係る対物レンズは、上述の課題を解決するため、物体側に配設され物体側の第1面及び像側の第2面を有する第1のレンズと、像側に配設され物体側の第3面及び像側の第4面を有する第2のレンズとからなり、該第1面は、正の屈折力を有し円錐定数kについて、
−1≦k<0
を満足する回転楕円面であり、該第1のレンズをなす硝材の屈折率をn、該第1面の曲率半径をR1、上記各レンズ全体の主平面間隔をd、有効焦点距離をFとしたとき、
【0022】
【数12】
Figure 0003704833
【0023】
【数13】
Figure 0003704833
【0024】
【数14】
Figure 0003704833
【0025】
が満足され、上記対物レンズにおいて、上記第2面は、負の屈折力を有し円錐定数kが0より大なる回転楕円面であり、上記第3面は、正の屈折力を有し円錐定数kが−1以上0未満の回転楕円面であり、開口数が0.7以上となされていることとしたものである。
【0027】
さらに、本発明は、上記対物レンズにおいて、上記第1面と上記第2面との面間隔をd1とし、該第2面と上記第3面との面間隔をd2としたとき、
【0028】
【数15】
Figure 0003704833
【0029】
【数16】
Figure 0003704833
【0030】
が満足されていることとしたものである。
【0031】
そして、本発明に係る記録再生装置は、光源と、この光源より発せられた光束を光学記録媒体の信号記録面上に集光させる対物レンズとを備え、
上記対物レンズは、上述した本発明に係る対物レンズであることとしたものである。
【0032】
また、本発明は、上記記録再生装置において、上記光学記録媒体の信号記録面の上記対物レンズの光軸に対する傾きを検出するスキュー検出手段を設けたものである。
【0033】
さらに、本発明は、上記信号記録装置において、上記信号記録面を支持しこの信号記録面と上記対物レンズとの間に位置する透明基板の厚さが0.6mm以下である光学記録媒体に対して使用されることとしたものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら、次の順序で説明する。
【0035】
〔1〕対物レンズの構成の概略
〔2〕収差論によるレンズのパワー配置の解析、最適条件の導出
〔2−1〕厚肉単レンズ近似による収差論
(1)厚肉単レンズ近似における近軸関係
(2)厚肉単レンズ近似の球面収差
(3)厚肉レンズ近傍のコマ収差
(4)厚肉単レンズ近似による第1面の最適曲率と全系の最適主平面間隔
〔2−2〕偏芯を考慮した近軸配置
〔2−3〕ダブレットとしての作動距離を考慮した近軸配置
〔2−4〕厚肉単レンズ近似から導かれる近軸配置の必要条件
〔3〕第1エレメントの肉厚最適化による偏芯不感条件
〔4〕変形例
【0036】
〔1〕対物レンズの構成の概略
本発明に係る対物レンズは、図1に示すように、非球面ダブレットレンズであって、開口数0.7以上の高開口数対物レンズである。すなわち、この対物レンズは、物体側に配置される第1のレンズである第1エレメント1と、像側に配置される第2のレンズである第2エレメント2とから構成されている。この対物レンズにおいては、物体側に臨む第1面は正の屈折力を有し円錐定数kが−1以上0未満の回転楕円面、第2面は負の屈折力を有し円錐定数kが0よりも大きい回転楕円面、第3面は正の屈折力を有し円錐定数kが−1以上0未満の回転楕円面である。
【0037】
この対物レンズの第1面を絞りであるとすれば、主光線は、該第1面の中心を通過するので像高が0だから、該第1面では、非球面項によるコマ収差は生じない。したがって、第1面の非球面は主に球面収差の補正に寄与することがわかる。
【0038】
特に、本発明に係る対物レンズにおいては、第1面が大きなパワーを持つので、ここで球面項による大きな球面収差が生ずる。これを過不足なく補正するには、第1面の非球面円錐定数が−1以上0未満の回転楕円面であればよい。これ以外の範囲であれば、他の面の非球面係数をもって補正するほかなく、その場合には、非球面係数が大きくなり、加工が困難な形状となってしまう。
【0039】
第2面、第3面では、入射光束の入射角は小さく、ほとんど屈折しないので、大きな収差は発生しない。しかし、これら第2面、第3面を非球面化すれば、高次までの球面収差とコマ収差とに対する補正を行うことができる。特に、第2面は第4面と、第3面は第1面と、略々反転した球面収差とコマ収差とを持つような対称な配置とすることが有効である。
【0040】
第4面は、第1面乃至第3面の面形状、各エレメント1,2をなす硝材、光学記録媒体(光ディスク)のディスク基板(透明基板)101の厚さが決定されれば、必然的に決定される。この第4面の形状を加工可能な形状とし、かつ、全系の偏芯公差を充分に確保するには、第2面を負の屈折力を有し円錐定数kが0より大きい回転楕円面とし、第3面を正の屈折力を有し円錐定数kが−1以上0未満の回転楕円面とすればよい。
【0041】
〔2〕収差論によるレンズのパワー配置の解析、最適条件の導出
〔2−1〕厚肉単レンズ近似による収差論
上述の〔1〕(対物レンズの構成の概略)における議論は、定量的に論じることができる。高開口数のレンズを偏芯などの製造公差を確保して設計するには、まずそのパワー配置を最適化することが必要である。高次の収差はいずれも低次の収差の関数だから、低次から収差を抑える必要がある。低次の収差をより高次の収差を発生させて打ち消してゆくと、面形状は作成困難になり、製造公差も狭まるからである。
【0042】
そこで、本発明は、非球面ダブレットレンズに関するものだが、まずは、図2に示すように、第2面以降の面を1面に合成した厚肉単レンズを仮想的に考えて、第1面の形状と主平面間隔とを最適化することを考える。
【0043】
この厚肉単レンズの主平面間隔dは、もとの非球面ダブレットレンズ全体の主平面間隔dに相当するものと考えればよい。
【0044】
(1)厚肉単レンズ近似における近軸関係
例えば、「光学」(久保田広著、岩波書店刊)などには、非球面まで含めた薄肉単レンズのを収差論が詳しく述べられている。しかし、これらは、あくまで薄肉近似なので、現実のレンズを充分に解析するには、これを厚肉レンズの場合について拡張する必要がある。そこで、まず、厚肉単レンズ(屈折率n、厚みd、有効焦点距離f)の収差係数を求める。
【0045】
この単レンズの第1面、第2面の曲率半径をそれぞれr1、r2、第1面、第2面への入射光線高をそれぞれh1、h2とする。第1面入射光線の延長線と光軸との交点と、第1面との距離をs1、第2面入射光線の延長線と光軸との交点と、第2面との距離をs2とする。第1面屈折後の光線の延長線と光軸との交点と、第1面との距離をs1′、第2面屈折後の光線の延長線と光軸との交点と、第2面との距離をs2′とする。これらの量はいずれも、各面の入射側を負、出射側を正にとる。このとき、レンズ全体のパワーは、
【0046】
【数17】
Figure 0003704833
【0047】
【数18】
Figure 0003704833
【0048】
【数19】
Figure 0003704833
【0049】
【数20】
Figure 0003704833
【0050】
【数21】
Figure 0003704833
【0051】
【数22】
Figure 0003704833
【0052】
【数23】
Figure 0003704833
【0053】
【数24】
Figure 0003704833
【0054】
【数25】
Figure 0003704833
【0055】
【数26】
Figure 0003704833
【0056】
【数27】
Figure 0003704833
【0057】
(2)厚肉単レンズ近似の球面収差
これらを用いて、厚肉単レンズの球面収差係数Aは、以下のように与えられる。
【0058】
【数28】
Figure 0003704833
【0059】
【数29】
Figure 0003704833
【0060】
【数30】
Figure 0003704833
【0061】
【数31】
Figure 0003704833
【0062】
である。〔数29〕乃至〔数31〕の和が厚肉レンズの球面収差である。
【0063】
ここで、各面の収差係数は、それぞれが略々0になっていることが望ましい。理想的な状態では、最終的に各面の収差係数を足し合わせた全体が0になっていれば収差は補正されるが、現実には、偏芯や面精度などの製造誤差が生じる。このとき、各面の収差係数が小さければ、こうした誤差要因に対する変動がある程度抑えられる。また、設計としても、どこかの面にしわ寄せが生じないので、優れた性能が得易い。
【0064】
それには、第1面の非球面係数ε1は、〔数29〕より、−1/n2近傍であればよい。光学ガラスの多くの屈折率nは可視光域においておおよそ1.4乃至1.8の範囲に分布しているから、ε1は、−0.3乃至−0.5程度であればよい。
【0065】
また、第2面の場合は、〔数30〕で、
【0066】
【数32】
Figure 0003704833
【0067】
のとき、球面収差は0になるが、以下のような四つの理由から、左辺は右辺より小さいほうがよい。第一に、光ディスクにおいては、ディスク基板101の厚さにより生じる球面収差(>0)を補正する必要がある。第二に、全系のパワーを1として正規化された厚肉レンズについて、第1面の曲率ρ1(=1/R1)と主平面間隔dの関数として厚肉レンズ全体の球面収差係数を数値計算すると、図4及び図5に示すように、〔数32〕の条件の近傍では傾きが大変に大きい。すなわち、第1面の曲率ρ1や主平面間隔dに製造誤差が生じたときに、大きな球面収差が生じるということである。したがって、非球面係数を活用して、この領域以外で球面収差を補正したほうが、製造上も作り易い安定な解となる。第三に、後述するように、コマ収差の補正の観点からも、〔数32〕の条件の近傍の第1面の曲率ρ1と主平面間隔dは望ましくない。第四に、dρ1>n/(n−1)では、第1面の曲率半径R1が小さくなり、光ディスク用の大きさのレンズとしては、作成が現実的には困難なうえ、作動距離が確保できない。したがって、
【0068】
【数33】
Figure 0003704833
【0069】
でなければならない。この場合、非球面係数ε2を用いて、第2面の球面収差を補正すればよいが、球面項の球面収差をできるだけ小さくすれば、非球面項が小さな値で補正できるので製造上有利である。それには、〔数30〕において、
【0070】
【数34】
Figure 0003704833
【0071】
【数35】
Figure 0003704833
【0072】
を得る。n=1.4乃至1.8、ρ1=0.5乃至1.9程度の本発明で主に考えている領域では、〔数35〕の右辺は〔数33〕の右辺より小さい。前記と同様の理由から、この近傍であれば、
【0073】
【数36】
Figure 0003704833
【0074】
(3)厚肉レンズ近傍のコマ収差
次に、コマ収差係数Bを求める。Bは、
【0075】
【数37】
Figure 0003704833
【0076】
【数38】
Figure 0003704833
【0077】
ここで、非球面項については、非球面係数の寄与を無視した。また、ディスク基板101は平行平板なので、コマ収差については寄与しないと考えてよい。
【0078】
まず、この〔数37〕から特殊な場合について、上記ρ1及びd1を求めることができる。すなわち、
i)ρ1→0のとき、レンズ全体のパワーを1と正規化すれば、〔数17〕より、r2=1−nになる。このとき、d1=n−1である。
【0079】
ii)また、d=0(薄肉近似)の場合にコマ収差が0になる(B=0となる)ようなρ1は、D=1として〔数17〕を〔数38〕のρ2へ代入して、
【0080】
【数39】
Figure 0003704833
【0081】
これらの特殊な場合を留意して、コマ収差がρ1とdに対してどのような値をとるか、その挙動を調べる。コマ収差が0になるdの一般解は、〔数37〕で、B=0とおいて、
【0082】
【数40】
Figure 0003704833
【0083】
を満たす。したがって、上記〔数40〕の3次曲線と右辺の定数の交点がコマ収差を0にするdの解である。これを数値計算すれば、図6及び図7に示すように、ρ1の変化に応じて3つの領域A,B,Cの境界上においてB=0となるdの解が存在する。
【0084】
コマ収差係数Bは、図6中の斜線部で示す領域A,B,C内で正の値をとる。領域Aは、d=n−1に漸近する曲線をdの下限とする領域である。領域Bは、ρ1=n2/(n2−1)に漸近する曲線をρ1の上限とする領域である。領域Cは、d=n−1をdの上限としρ1=n2/(n2−1)をρ1の下限とする曲線で囲まれた領域である。これら領域の境界で、コマ収差は0になる。領域Aと領域Cの間は鞍状の領域となり、コマ収差が小さい。
【0085】
この3つの領域を比較検討してみると、最も望ましいのは領域Aであることがわかる。領域Bでは、焦点距離に比べて主平面間隔dが長いため、レンズが大型化してしまう。領域Cでは、第1面の曲率半径R1が小さくなりすぎて、作成が困難である。したがって、領域Aの境界近辺がコマ収差補正のためには望ましい。また、屈折率が1.4から1.8程度の可視光用硝材では、さきに述べたように、球面収差の観点からも望ましいのは領域Aであることがわかる。具体的には、
【0086】
【数41】
Figure 0003704833
【0087】
を、それぞれdの下限とρ1の上限とする領域Aの境界近傍であれば、充分にコマ収差が補正できる。
【0088】
(4)厚肉単レンズ近似による第1面の最適曲率と全系の最適主平面間隔
〔数36〕と〔数41〕の領域を図示すると、図8に示すように、この図8中の斜線部の境界近傍が、収差論から見た最適値であることとなる。以上から分かるように、d=d1=n−1の近傍では、広いρ1の範囲に亘って、コマ収差を小さな値に抑えることができるので、設計の自由度がある。また、これは、ρ1、すなわち、第1面の曲率の誤差に対しても、公差が広くなるということである。実用的にも、これは双曲線近傍よりdが小さい解なので、小型軽量化が求められる用途においては、望ましい解である。
【0089】
実際に重要なのは、このコマ収差が小さな領域である。後述する〔実施例〕においても示すように、球面収差については、非球面項で充分な補正が容易にできる。しかし、コマ収差については、非球面の効果は球面収差に対するほどの大きな効果はない。したがって、球面項によるコマ収差自体も充分に補正されていることが望ましい。また、偏芯が生じた場合を考慮すれば、偏芯コマ収差は低次のコマ収差の関数として表されるので、コマ収差については低次から充分に高次まで補正を行うことが必要である。
【0090】
〔2−2〕偏芯を考慮した近軸配置
より詳しくは、第ν面の偏芯Eνにより生じる偏芯コマ収差は、
【0091】
【数42】
Figure 0003704833
【0092】
で与えられる(「偏芯の存在する光学系の3次の収差論」松居吉哉著、日本オプトメカトロニクス協会刊)。ここで、
ΔY′:像面の横倍率
Y′ :像高
β :横倍率
Y :物体高
α′ :物体近軸光線の像面への入射角
R :物体平面上に換算した入射瞳半径
φ :入射瞳でのアジマス角
N :物界の屈折率
ω :物点と物体側主点を結ぶ直線が基準軸となす角度
IIμ :第μ面のコマ収差係数
Eν :第ν面の偏芯量
IIEν:第ν面の偏芯コマ係数
である。第ν面の偏芯コマ係数IIEνは、一般には次の〔数43〕で与えられる。
【0093】
【数43】
Figure 0003704833
【0094】
である。この〔数43〕からもわかるように、偏芯公差の観点からは、各面の収差係数が充分小さくなければならない。しかも、偏芯が生じ易い面の前後の収差係数が偏芯に対しても互いに打ち消し合うような対称的な収差を持っていることが理想である。
【0095】
加えて、球面収差及びコマ収差ともに、曲率や面間隔の変動に対して、充分な公差が確保されねばならない。以上の要件を満たすには、d=d1近傍の領域が最適である。この領域では、R、dのどちらの微小変位に対しても球面収差の変化は少ない。また、コマ収差も小さく、面間のバランスで充分に補正ができる。
【0096】
〔2−3〕ダブレットとしての作動距離を考慮した近軸配置
一般に、厚肉レンズの像側主点位置Δ′は、図2に示すように、第2面からの距離として、
【0097】
【数44】
Figure 0003704833
【0098】
【数45】
Figure 0003704833
【0099】
【数46】
Figure 0003704833
【0100】
したがって、屈折率nと作動距離WD(図1中のd4)とが決まれば、dρ1は一定で双曲線上の点となる。作動距離WDが0のとき、dρ1=1/(n−1)となる。一般に、高開口数のレンズにおいては、収差補正のために、必然的に焦点距離は短くなる。それにつれて、作動距離WDも短くなるので、dρ1は増加する。
【0101】
本発明で考えているのは、高い開口数(NA)、すなわち、NAが0.7以上のダブレットレンズである。しかし、最大のパワーは、第1面に集中しているので、ここまで同様厚肉単レンズと近似して考えることで、特性を把握できる。このような高開口数では、dρ1は、
【0102】
【数47】
Figure 0003704833
【0103】
でなければならない。これ以下では、軸外でのコマ収差の補正が困難になり視野が著しく狭くならざるを得ない。これを非球面化により補正しようとすると、第2面以降の形状が作成困難になる。この上記〔数47〕の範囲では、nを1.5程度とすれば、この厚肉単レンズ近似の作動距離WDは焦点距離の0.55倍から0.7倍程度になるが、光ディスクの場合、ディスク基板101の厚さ以上の作動距離WDが必要なので、光ディスクと対物レンズとの間の実質的な作動距離WDは、この条件を満たしていても、焦点距離が3mm弱とした場合に1mm以下にしかならない。
【0104】
また、第1面のパワーが小さくなると、第2面以降のパワーが増加して曲率半径が小さくなり、加工が困難になること、主平面間隔dが増加してレンズの全長が長くなることから、実用上は、
【0105】
【数48】
Figure 0003704833
【0106】
〔2−4〕厚肉単レンズ近似から導かれる近軸配置の必要条件
以上をまとめると、〔数36〕、〔数41〕、〔数47〕、〔数48〕より、
【0107】
【数49】
Figure 0003704833
【0108】
【数50】
Figure 0003704833
【0109】
【数51】
Figure 0003704833
【0110】
〔3〕第1エレメントの肉厚最適化による偏芯不感条件
実用上は、さらに以下の条件を満たすことが望ましい。第1面と第2面との面間隔をd1、第2面と第3面との面間隔をd2とすれば、
【0111】
【数52】
Figure 0003704833
【0112】
【数53】
Figure 0003704833
【0113】
2が大きくなると、全長が長くなるうえ、第1面にパワーが集中して作動距離WDが短くなる。また、第2面以降の面間隔の公差が厳しくなり、作成及び組立時に球面収差が発生し易い。また、第2エレメント2ではビーム径が狭まるので、各エレメンツ1,2間の偏芯も敏感になるので、偏芯コマ収差が発生し易い。したがって、第2面と第3面との面間隔d2はできるだけ短いほうがよい。
【0114】
このとき、〔数53〕をさらに満たすと、第2面と第3面の全系に対するパワーの寄与が小さくなる。したがって、この第2面の偏芯の全系に対する影響は小さくなるので、偏芯公差が広がる。これは、以下のような理由による。第2面及び第3面を合成して1枚の薄肉レンズとみれば、この対物レンズは、薄肉レンズのトリプレットとみなせる。3枚の薄肉レンズ(それらのパワーをψ1、ψ2、ψ3、第1面と第2面との面間隔をd1、第2面と第3面との面間隔をd2とする)の全系のパワーψは、次の〔数54〕で表される。
【0115】
【数54】
Figure 0003704833
【0116】
この〔数54〕で、ψ2を含む項はいずれも(1−d1ψ1)を含む。したがって、1−d1ψ1=0なら、ψ2は、如何なる値であっても、全系のパワーには影響しない。したがって、この薄肉レンズに偏芯や倒れが生じても、全体のパワー配置は変わらないので、収差も発生せず、公差が広がる。実用的には、1−d1ψ1が0近傍であれば、充分にこの効果を得ることができる。実際の設計例について調べると、近軸和は1.0前後であり、0.8以下、もしくは1.3以上では第2面、第3面の偏芯に対するトレランスが失われる。
【0117】
〔4〕変形例
ここまでは、第1エレメント1と第2エレメント2とが同じ硝材からできていると考えて、そのまま厚肉単レンズとして近似し第1面の曲率ρ1と主平面間隔dを論じた。その場合、このダブレットレンズのパワーは第1面に大きく依存するので、第1エレメント1の硝材の屈折率で厚肉単レンズの議論に用いたnを代用してかまわない。
【0118】
また、ここまで物体(すなわち光源)は無限遠とした無限共役の場合を扱ってきた。これも、上述した各数式が有効な範囲において、有限系の場合に拡張できる。しかし、実用上は、有限系の場合は、高い開口数(NA)の場合においては、取扱いが困難であると思われる。
【0119】
そして、上述した対物レンズを用いて、光学記録媒体に対する情報信号の記録再生を行う記録再生装置の要部となる光学ピックアップ装置を構成することができる。すなわち、この光学ピックアップ装置は、図3に示すように、光源となる半導体レーザ3を有し、この半導体レーザ3から射出された光束を、上述の対物レンズ6を介して、光学記録媒体である光ディスク102上に集光させる。上記半導体レーザ3から出射された光束は、まず、コリメータレンズ4により略々平行光束となされる。そして、この平行光束は、ビームスプリッタ5を透過し、上記対物レンズ6に入射されて、上記光ディスク102の信号記録面上に集光される。
【0120】
上記信号記録面で反射された光束は、もとの光路を逆に辿り、上記対物レンズ6を透過し、上記ビームスプリッタ5で反射されて、上記半導体レーザ3に戻る光路より分岐される。上記ビームスプリッタ5で反射された光束は、集光レンズ9によって集光され、光検出部を構成する光検出器10に入射する。この光検出部は、上記光検出器10及びこの光検出器10の出力信号が送られてこの出力信号に基づく演算処理を行う演算装置11を有して構成されている。この光検出部においては、上記演算装置11によって、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などの制御誤差信号が得られる。上記フォーカスエラー信号は、上記対物レンズ6による上記光束の集光点と上記信号記録面との該対物レンズ6の光軸方向の距離を示す信号である。上記トラッキングエラー信号は、上記対物レンズ6による上記光束の集光点と上記信号記録面上において情報信号が記録される記録トラックとの該記録トラックの方向に直交する方向の距離を示す信号である。これら制御誤差信号は、アクチュエータ8に送られる。このアクチュエータ8は、上記対物レンズ6を移動操作可能に支持しており、上記各制御誤差信号に基づいて該対物レンズ6を移動操作することにより、この対物レンズによる上記光束の集光点を上記記録トラック上に位置させる。
【0121】
ここで、ディスクスキューサーボ機構を用いるならば、このスキューサーボ機構を構成するコマ収差補正板は、上記半導体レーザ3と上記ビームスプリッタ5との間、もしくは、該ビームスプリッタ5と上記対物レンズ6との間に置けばよい。このスキューサーボ機構は、別途設けられたディスクスキューセンサと、上記コマ収差補正板とを有して構成される。
【0122】
上記ディスクスキューセンサは、上記光ディスク102の信号記録面の上記対物レンズ6の光軸に対する傾き角度を検出するセンサである。上記コマ収差板は、上記光束の光路上に配置され、この光束の光軸に直交する方向に移動操作されてコマ収差を発生させることにより、上記光ディスク102の傾きによって生ずるコマ収差を相殺するものである。このコマ収差補正板は、上記ディスクスキューセンサからの出力信号に応じて、移動制御される。
【0123】
そして、この光学ピックアップ装置は、上記ディスク基板101の厚みが0.6mm以下である光ディスク102に対して情報信号の書き込み読み出しを行う装置として構成することができる。このように、上記ディスク基板101の厚みを薄くすると、上記光ディスク102の傾きによるコマ収差の影響を低減させることができる。このように、上記光ディスク102のディスク基板101の厚みが従来の光ディスクのディスク基板の厚みとは異なる場合には、上記対物レンズ6の第1面を回折型レンズ一体型の面として回折次数に対して異なる球面収差を与えることや、本発明に係る対物レンズ6と従来の対物レンズとを併設して機械的に切換えるなどの構成を採用し、該光ディスク102と従来の光ディスクとの双方に対して情報信号の書き込み読み出しが行えるようにしてもよい。
【0124】
【実施例】
以下、本発明に係る対物レンズの具体的な実施例を挙げる。以下の各実施例においては、ディスク基板101は、ポリカーボネイト(Polycarbonate)(屈折率1.581637)であることとした。
【0125】
〔実施例1〕BaCD5(HOYA社製)を使った設計例
BaCD5(HOYA社製)(屈折率1.586422)を用いた設計例を以下に示す。この設計例において、
【0126】
【数55】
Figure 0003704833
【0127】
である。
【0128】
光路図を、図10に示す。縦収差図を、図11に示す。また、横収差図を、図12に示す。設計条件は、以下の通りである。
【0129】
設計波長:650nm
有効焦点距離F:2.5716mm
開口数:0.85
【0130】
【表1】
Figure 0003704833
【0131】
【表2】
Figure 0003704833
【0132】
【表3】
Figure 0003704833
【0133】
〔実施例2〕LaC13(HOYA社製)を使った設計例
LaC13(HOYA社製)(屈折率1.689867)を用いた設計例を以下に示す。この設計例において、
【0134】
【数56】
Figure 0003704833
【0135】
である。
【0136】
光路図を、図13に示す。縦収差図を、図14に示す。また、横収差図を、図15に示す。設計条件は、以下の通りである。
【0137】
設計波長:650nm
有効焦点距離F:2.3645mm
開口数:0.85
【0138】
【表4】
Figure 0003704833
【0139】
【表5】
Figure 0003704833
【0140】
【表6】
Figure 0003704833
【0141】
〔実施例3〕LaF20(SCHOTT)を使った設計例
LaF20(HOYA社製)(屈折率1.739431)を用いた設計例を以下に示す。この設計例において、
【0142】
【数57】
Figure 0003704833
【0143】
である。
【0144】
光路図を、図16に示す。縦収差図を、図17に示す。また、横収差図を、図18に示す。設計条件は、以下の通りである。
【0145】
設計波長:650nm
有効焦点距離F:2.4137mm
開口数:0.85
【0146】
【表7】
Figure 0003704833
【0147】
【表8】
Figure 0003704833
【0148】
【表9】
Figure 0003704833
【0158】
【発明の効果】
上述のように、本発明は、開口数(NA)0.7以上の対物レンズを非球面2枚組レンズとして実現し、記録再生装置においてこの対物レンズを用いることにより高い情報記録密度の光学記録媒体の実用化を図ることを可能とするものである。
【0159】
すなわち、本発明においては、高い開口数(NA)の対物レンズを、2枚組という比較的簡単な構成で実現できる。2枚程度であれば、内面反射や吸収による光量の損失やフレアも抑えられる。
【0160】
また、本発明に係る対物レンズは、比較的小型のアクチュエータによる駆動が可能な大きさで、かつ、光ディスク用の対物レンズとして使用できる作動距離を確保できるものである。
【0161】
さらに、本発明に係る対物レンズは、製造及び組立の誤差に対して充分な公差を確保できるものである。
【0162】
また、本発明に係る対物レンズは、非球面モールドレンズとしても作成できるので、大量生産が可能であり低コスト化が期待できるものである。
【0163】
そして、本発明に係る対物レンズにおいては、第4面への入射角が液浸型のレンズ構成に比べて小さいために、フレネル反射損を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る対物レンズの構成を示す側面図である。
【図2】上記対物レンズを厚肉単レンズに近似した状態を示す側面図である。
【図3】上記対物レンズを用いて構成された本発明に係る記録再生装置の構成を示す側面図である。
【図4】上記厚肉単レンズの球面収差の分布を示すグラフである。
【図5】上記厚肉単レンズの球面収差の分布を3次元的に示したグラフである。
【図6】上記厚肉単レンズのコマ収差の分布を示すグラフである。
【図7】上記厚肉単レンズのコマ収差の分布を3次元的に示したグラフである。
【図8】収差論から見た最適領域を示すグラフである。
【図9】高NAのレンズとしての実用性を考慮した最適領域を示すグラフである。
【図10】〔実施例1〕における光路図を示す側面図である。
【図11】〔実施例1〕における縦収差を示すグラフである。
【図12】〔実施例1〕における横収差を示すグラフである。
【図13】〔実施例2〕における光路図を示す側面図である。
【図14】〔実施例2〕における縦収差を示すグラフである。
【図15】〔実施例2〕における横収差を示すグラフである。
【図16】〔実施例3〕における光路図を示す側面図である。
【図17】〔実施例3〕における縦収差を示すグラフである。
【図18】〔実施例3〕における横収差を示すグラフである。
【符号の説明】
1 第1エレメント、2 第2エレメント、3 半導体レーザ、6 対物レンズ、10 光検出器、101 光ディスク基板、102 光ディスク

Claims (5)

  1. レンズ系における面の非球面形状について、光軸からの高さをhとし、光軸からの高さがhの非球面上の点の非球面頂点の接平面からの距離をxとし、非球面頂点の曲率をcとし、円錐定数をkとし、第4次の非球面係数をAとし、第6次の非球面係数をBとし、第8次の非球面係数をCとし、第10次の非球面係数をDとして、この非球面形状を、
    Figure 0003704833
    で示される曲線の光軸回りの回転体として示し、
    距離については、光軸に沿って像側を正、物体側を負とし、面の曲率半径については、曲率中心が像側にあるときを正、物体側にあるときを負とし、面の屈折力については、曲率中心が像側にあるときを正、物体側にあるときを負としたとき、
    物体側に配設され物体側の第1面及び像側の第2面を有する第1のレンズと、
    像側に配設され物体側の第3面及び像側の第4面を有する第2のレンズとからなり、
    上記第1面は、正の屈折力を有し、円錐定数kについて、
    −1≦k<0
    を満足する回転楕円面であり、
    上記第1のレンズをなす硝材の屈折率をn、上記第1面の曲率半径をR、上記各レンズ全体の主平面間隔をd、有効焦点距離をFとしたとき、
    Figure 0003704833
    Figure 0003704833
    Figure 0003704833
    を満たし
    上記第2面は、負の屈折力を有し、円錐定数kが0より大なる回転楕円面であり、
    上記第3面は、正の屈折力を有し、円錐定数kが−1以上0未満の回転楕円面であり、
    開口数が0.7以上となされた対物レンズ。
  2. 第1面と第2面との面間隔をdとし、第2面と第3面との面間隔をdとしたとき、
    Figure 0003704833
    Figure 0003704833
    が満足されている請求項1記載の対物レンズ。
  3. 光源と、
    上記光源より発せられた光束を光学記録媒体の信号記録面上に集光させる対物レンズとを備え、
    レンズ系における面の非球面形状について、光軸からの高さをhとし、光軸からの高さがhの非球面上の点の非球面頂点の接平面からの距離をxとし、非球面頂点の曲率をcとし、円錐定数をkとし、第4次の非球面係数をAとし、第6次の非球面係数をBとし、第8次の非球面係数をCとし、第10次の非球面係数をDとして、この非球面形状を、
    Figure 0003704833
    で示される曲線の光軸回りの回転体として示し、
    距離については、光軸に沿って像側を正、物体側を負とし、面の曲率半径については、曲率中心が像側にあるときを正、物体側にあるときを負とし、面の屈折力については、曲率中心が像側にあるときを正、物体側にあるときを負としたとき、
    上記対物レンズは、物体側に配設され物体側の第1面及び像側の第2面を有する第1のレンズと、像側に配設され物体側の第3面及び像側の第4面を有する第2のレンズとからなり、
    上記第1面は、正の屈折力を有し、円錐定数kについて、
    −1≦k<0
    を満足する回転楕円面であり、
    上記第1のレンズをなす硝材の屈折率をn、上記第1面の曲率半径をR、上記各レンズ全体の主平面間隔をd、有効焦点距離をFとしたとき、
    Figure 0003704833
    Figure 0003704833
    Figure 0003704833
    を満たし
    上記第2面は、負の屈折力を有し、円錐定数kが0より大なる回転楕円面であり、
    上記第3面は、正の屈折力を有し、円錐定数kが−1以上0未満の回転楕円面であり、
    開口数が0.7以上となされた記録再生装置。
  4. 光学記録媒体の信号記録面の対物レンズの光軸に対する傾きを検出するスキュー検出手段を備えている請求項記載の記録再生装置。
  5. 信号記録面を支持しこの信号記録面と対物レンズとの間に位置する透明基板の厚さが0.6mm以下である光学記録媒体に対して使用されることとなされた請求項記載の記録再生装置。
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