JP3702763B2 - 走行車輌用二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等に使用される走行車両用二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車には走行車両用二次電池として12V系鉛蓄電池が搭載される電源システム(14Vシステム)が用いられてきた。該14Vシステムでは、12V系鉛蓄電池から自動車のエンジンを始動する起動装置(スターターモータ)に電流を供給(放電)し、前記エンジンが始動した後は、該エンジンの回転力によって作動する発電機から12V系鉛蓄電池に電流が常時供給(充電)される。ところが、自動車の減速時のエネルギーは、熱として消費されていた。
近年、12V系鉛蓄電池に代って、36V系鉛蓄電池を搭載する新しい電源システム(42Vシステム)が提案されている。該42Vシステムでは、自動車のエンジンを始動する車輌起動装置として、高出力なモータジェネレータを使用することが可能になり、該モータジェネレータにより、従来、熱として消費されていた自動車の減速時におけるエネルギーを、回生エネルギーとして電気エネルギーに変換して36V系鉛蓄電池に電流を回生(充電)し、エネルギー効率を高め、自動車の燃費向上を可能にしようとするものである。
この36V系鉛蓄電池は、図3に示すように構成されている。すなわち、2行9列に区切られたセル室を有するモノブロック電槽が用いられており、計18の各セル室にはそれぞれ2V鉛蓄電池の単セルが収納されており、該18個の単セルは、第1行第1列目、第1行第2列目、第1行第3列目、第1行第4列目、第1行第5列目、第1行第6列目、第1行第7列目、第1行第8列目、第1行第9列目、第2行第9列目、第2行第8列目、第2行第7列目、第2行第6列目、第2行第5列目、第2行第4列目、第2行第3列目、第2行第2列目、第2行第1列目の順に隣接セル室間のセル間接続部分によって直列に接続されている。前記第1行第1列目のセル室と第2行第1列目のセル室には、36V鉛蓄電池としての外部端子を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、該42Vシステムに使用されるモータジェネレータは、3〜4kWと高出力であり、回生時の電流値は40〜80A(2〜4CA相当)に達するが、従来の鉛蓄電池で、このような大電流充電を受け入れることは難しい。即ち、鉛蓄電池は、充電率が1C以上の電流値になると充電時の副反応である水の分解反応が促進され、充電効率が落ちて電池寿命に悪影響を及ぼすためである。
また、図3に示されたような構成では、2行9列に区切られたセル室を有するモノブロック電槽で、第1行第1列目のセル室と第2行第1列目のセル室に、36V鉛蓄電池としての外部端子が配置されて、該外部端子間の距離が接近して短かくなるため、36Vの端子間をリーク電流が流れ易く、また、電源システム(42Vシステム)内で36V鉛蓄電池を接続する際に、プラスケーブルとマイナスケーブルの誤接続が発生し易いという懸念がある。
本発明は、自動車等の走行車輌の減速時におけるエネルギーを、回生エネルギーとして充分且つ安全に受け入れることができる走行車輌用二次電池を提供することを目的とする。
【0004】
【発明が解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたもので、2行10列に区切られた計20のセル室を有するモノブロック電槽を用いた走行車輌用二次電池であって、第1行第1列目のセル室と第1行第10列目のセル室の両方又はいずれか一方は、10〜11セルの非水系二次電池が互いに直列に接続された非水系二次電池群を収納した非水系二次電池群用スペースであり、第1行目第2〜9列目の各セル室と第2行目全列の計18の各セル室は、それぞれ水溶液系二次電池の単セルを収納したスペースであり、該18個の単セルは、第2行第1列目、第2行第2列目、第1行第2列目、第1行第3列目、第2行第3列目、第2行第4列目、第1行第4列目、第1行第5列目、第2行第5列目、第2行第6列目、第1行第6列目、第1行第7列目、第2行第7列目、第2行第8列目、第1行第8列目、第1行第9列目、第2行第9列目、第2行第10列目の順に隣接セル室間のセル間接続部分によって直列に接続されて水溶液系二次電池群を構成しており、該水溶液系二次電池群と前記非水系二次電池群とは並列に接続され、前記第2行第1列目のセル室と第2行第10列目のセル室には、前記走行車輌用二次電池としての外部端子を有していることを特徴とするものである。
前記水溶液系二次電池群は、直列に接続された18セルの鉛蓄電池で構成され、前記非水系二次電池群は、直列に接続された10〜11セルのリチウム二次電池で構成されていることが望ましい。また、前記鉛蓄電池は、制御弁式鉛蓄電池であることが望ましく、前記リチウム二次電池は、リチウムイオン二次電池であることが望ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施することができる。ここで、前記水溶液系二次電池群又は前記非水系二次電池群とは、水溶液系二次電池又は非水系二次電池のそれぞれ複数セルを結合した組電池を意味する。
〔水溶液系二次電池の説明〕
本発明で使用する水溶液系二次電池としては、いわゆる鉛蓄電池、特に制御弁式鉛蓄電池を例示することができる。この電池は次のようにして準備される。正極には二酸化鉛、負極には海面状鉛を使用し、正、負極及びガラス繊維セパレータを用いて、積層した極板群を作製し、角型電槽内に挿入する。これに制御弁を開放した蓋をつけ、電解液である希硫酸を注入し、前記制御弁を取付けて電池を密閉化する。
〔非水系二次電池の説明〕
本発明で使用する非水系二次電池としては、いわゆるリチウム二次電池、特にリチウムイオン二次電池が使用可能である。この電池は次のようにして準備される。正極にはリチウムを含んだマンガン酸化物、負極には活物質である炭素粉末を使用し、この正、負極及びセパレータを用いて、捲回式の電極体を作製し、円筒型電池缶に挿入する。これに電解液を注入し、正極端子を兼ねる封口体にて密閉する。
〔走行車輌用二次電池を含む電源システムの構成〕
水溶液系二次電池群1と非水系二次電池群2とが並列に接続された走行車輌用二次電池5と、モータジェネレータ3、負荷4を組み合わせた電源システムを図1に示す。
図1中、水溶液系二次電池群1には18セルからなる36V系制御弁式鉛蓄電池(36V−18Ah)が使用され、また、非水系二次電池群2にはリチウムイオン二次電池(3.6V−3.5Ah)が10セル又は11セル直列で使用され、非水系二次電池群2の電池電圧としては36V又は39.6Vである。モータジェネレータ3から発電される電圧は42Vで、全体として42Vシステムを構成している。
〔電源システムの作動〕
車輌起動時においては、走行車輌用二次電池5の内の水溶液系二次電池群1からの出力によって起動させる。
一方、制動時に生じる回生エネルギーは、モータジェネレータ3から電気エネルギーとして該水溶液系二次電池群1に一部が回生(充電)されるが、より回生能力の大きい非水系二次電池群2に回生(充電)されるため、電源システムとしてのエネルギー効率を高めている。
【0006】
【実施例】
実施例の走行車輌用二次電池5は、図2に示すように構成されている。すなわち、2行10列に区切られた計20のセル室を有するモノブロック電槽が用いられており、第1行第1列目のセル室及び第1行第10列目のセル室は、10〜11セルの非水系二次電池が互いに直列に接続された非水系二次電池群2を収納した非水系二次電池群用スペース8であり、第1行目第2〜9列目の各セル室と第2行目全列の計18の各セル室は、それぞれ水溶液系二次電池の単セルを収納したスペースであり、該18個の単セルは、第2行第1列目、第2行第2列目、第1行第2列目、第1行第3列目、第2行第3列目、第2行第4列目、第1行第4列目、第1行第5列目、第2行第5列目、第2行第6列目、第1行第6列目、第1行第7列目、第2行第7列目、第2行第8列目、第1行第8列目、第1行第9列目、第2行第9列目、第2行第10列目の順に隣接セル室間のセル間接続部分9によって直列に接続されて水溶液系二次電池群1を構成しており、該水溶液系二次電池群1と前記非水系二次電池群2とは、並列に接続されている。また、前記第2行第1列目のセル室と第2行第10列目のセル室には、前記走行車輌用二次電池5の外部端子(正極外部端子6と負極外部端子7)を兼ねる水溶液系二次電池群1の外部端子を有している。
非水系二次電池群用スペース8を、第1行第1列目のセル室又は第1行第10列目のセル室のいずれか一方とした場合は、他方のセル室を、例えば非水系二次電池群のコントローラを収納するコントローラ用スペースとすることができる。
また、2行10列に区切られた計20のセル室を有するモノブロック電槽を用いることにより、走行車輌用二次電池5の外部端子(正極外部端子6と負極外部端子7)を兼ねる水溶液系二次電池群1の外部端子を、前記第2行第1列目のセル室と第2行第10列目のセル室に設けることができるようになり、しかも、その位置は、それぞれに隣接する第1行第1列目のセル室側と第1行第10列目のセル室側に寄って配置できるので、外部端子は、第1列目のほぼ中央と第10列目のほぼ中央に位置することとなり、正極外部端子6と負極外部端子7の間の距離が長くなるため、リーク電流が流れ難く、また、電源システム(42Vシステム)内で走行車輌用二次電池を接続する際に、プラスケーブルとマイナスケーブルの誤接続が発生し難くなる。
【0007】
【発明の効果】
上述したように、本発明は、水溶液系二次電池群と非水系二次電池群との効果的な組み合わせによって、自動車等の走行車輌の制動時におけるエネルギーを回生エネルギーとして充分且つ安全に受け入れることができ、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の走行車輌用二次電池を含む電源システムのブロック図である。
【図2】実施例の走行車輌用二次電池における水溶液系二次電池群のセル配列と非水二次電池群用スペースの位置を示す模式図である。
【図3】従来例の走行車輌用二次電池における水溶液系二次電池群のセル配列を示す模式図である。
【符号の説明】
1:水溶液系二次電池群、2:非水系二次電池群、3:モータジェネレータ、4:負荷、5:走行車輌用二次電池、6:正極外部端子、7:負極外部端子、8:非水系二次電池群用スペース、9:セル間接続部分
Claims (4)
- 2行10列に区切られた計20のセル室を有するモノブロック電槽を用いた走行車輌用二次電池であって、第1行第1列目のセル室と第1行第10列目のセル室の両方又はいずれか一方は、10〜11セルの非水系二次電池が互いに直列に接続された非水系二次電池群を収納した非水系二次電池群用スペースであり、第1行目第2〜9列目の各セル室と第2行目全列の計18の各セル室は、それぞれ水溶液系二次電池の単セルを収納したスペースであり、該18個の単セルは、第2行第1列目、第2行第2列目、第1行第2列目、第1行第3列目、第2行第3列目、第2行第4列目、第1行第4列目、第1行第5列目、第2行第5列目、第2行第6列目、第1行第6列目、第1行第7列目、第2行第7列目、第2行第8列目、第1行第8列目、第1行第9列目、第2行第9列目、第2行第10列目の順に隣接セル室間のセル間接続部分によって直列に接続されて水溶液系二次電池群を構成しており、該水溶液系二次電池群と前記非水系二次電池群とは並列に接続され、前記第2行第1列目のセル室と第2行第10列目のセル室には、前記走行車輌用二次電池としての外部端子を有していることを特徴とする走行車輌用二次電池。
- 前記水溶液系二次電池群は、直列に接続された18セルの鉛蓄電池で構成され、前記非水系二次電池群は、直列に接続された10〜11セルのリチウム二次電池で構成されていることを特徴とする請求項1記載の走行車輌用二次電池。
- 前記鉛蓄電池は、制御弁式鉛蓄電池であることを特徴とする請求項2記載の走行車輌用二次電池。
- 前記リチウム二次電池は、リチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項2記載の走行車輌用二次電池。
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