JP3700528B2 - プログラマブル・コントローラにおける異常発生時にラダー回路を表示する装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力要素から入力される信号の状態が所定の状態になったときに出力要素に信号を出力して、機械、装置、設備等の制御対象に意図した動作を行なわせるプログラマブル・コントローラにおける表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
装置類の制御の為にプログラマブル・コントローラがよく用いられる。このプログラマブル・コントローラは、入力要素から入力される信号の状態が所定の状態になったときに出力要素に信号を出力して、装置類に意図した動作を行なわせる。
【0003】
例えば、主軸に工具をクランプする場合、工具を主軸に挿入したときにオンするリミットスイッチ(入力要素)を設けておき、この入力要素から入力される信号がオン状態に変化したときに、1つの出力要素にオン信号を送る。この出力要素が、オンすることで工具クランプ用の油圧シリンダに油圧を送り込む電磁弁をオンさせるものであれば、工具が主軸に挿入されたときにクランプ用シリンダが動作して工具を主軸にクランプする動作が実現される。
【0004】
ここで、出力要素が同時に入力要素となることがあり、例えば、工具クランプ用シリンダが動作するときに油圧ポンプを作動させる場合には、工具クランプ用シリンダを作動させる前記出力要素が入力要素としても用いられ、この入力要素がオンしたときに油圧ポンプ用の出力要素にオン信号を送る。
【0005】
図1にこの様子が模式的に示され、プログラマブル・コントローラには、どの入力要素からどの信号が入力されたときに、どの出力要素にどの信号を出力するかを決めるラダープログラムが記憶されている。
【0006】
ラダープログラムは、一つの出力要素に信号を送る処理を単位に記述されており、複雑な装置類をコントロールする場合には、極めて多数の単位を備えている。以下ラダープログラムの一つ一つの単位で記述されている内容を図式化したものをラダー回路という。
【0007】
図1ではプログラマブル・コントローラで制御されるものを総称して設備としているが、これは機械、装置を含むものである。これらは、プログラマブル・コントローラと直接関係する部分のみを示している為に、入力要素と出力要素を内蔵する特徴で図示されている。出力要素のうちのあるものは同時に入力要素となることがある。
【0008】
プログラマブル・コントローラで設備を制御している間に、異常現象が発生することがある。例えば油圧回路や空圧回路のフィルタの目詰まり、電磁弁のソレノイドコイルの焼付き、スプールの作動不良、ポンプユニットの油量の減少、潤滑油の圧力低下、リミットスイッチの故障等の各種原因によって異常現象が生じる。
【0009】
プログラマブル・コントローラには、前記した種々の異常現象の発生をモニタするモニタ用のラダープログラムが用意されている。この異常モニタ用のラダープログラムは所定のタイムインターバルで繰り返し実行される。プログラマブル・コントローラがこの異常モニタ用のラダープログラムを実行して異常現象の発生を検出すると、各種異常現象に割当てられている異常表示ランプ類を点灯させる。図1の場合、Aという名称の異常現象がおこったために、Aという名称の異常現象の発生をモニタするラダー回路によってA異常ランプを点灯させるAリレー(出力要素)がオンした様子を図示している。
【0010】
従来のプログラマブル・コントローラでは、異常がおきたときにその異常の種類に対応する異常表示が行なわれるために、作業者は異常がおきた事実とおきた異常現象の種類を知ることができるが、それがなぜおきたかは表示されない。
そこで、従来のプログラマブル・コントローラでは、異常がおきた場合に、システムの保守担当者が予め用意されているラダー回路図面集を参照しながら、異常表示を点灯させたラダー回路を発見し、そのラダー回路にしたがって異常をもたらした原因を探求していく。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
一般にラダー回路図面集は100頁以上に及ぶ分厚いものであり、異常表示をもたらしたラダー回路を探すのに多大の時間を要する。
しかも、真の異常原因を特定するまでにいくつかのラダー回路を探さなければならないことが多く、ラダー回路図面集から必要なラダー回路を探し出すまでに長い時間を浪費しやすい。
そこで、本発明は、異常現象の発生時に、その異常をもたらしたラダー回路を表示するようにして、上記の不具合を解消し、もって速やかに復旧処理できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段と作用】
この発明に係る表示装置は、機械・装置・設備等の制御対象を制御するプログラマブル・コントローラにおいて用いられるものであり、制御対象の異常現象の発生をモニタするプログラムと、そのプログラムで異常現象の発生がモニタされたときにモニタされた異常現象に対応する異常種類を表示する手段と、表示された1又は複数の異常種類から1の異常種類を指定する手段と、異常種類が指定されたときにその指定された異常種類に対応する異常現象の発生をモニタしたラダー回路を表示する手段と、を有する。
そして、ラダー回路を表示する手段は、表示されたラダー回路の入出力要素を指定することができるタッチパネルと、表示されたラダー回路の入力要素が指定されたときにその入力要素を出力要素とするラダー回路を検索して表示し、表示されたラダー回路の出力要素が指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示する手段を含んでいる。
【0013】
この表示装置は、制御対象に異常現象が発生すると、発生した異常現象に対応する異常種類を表示する。異常種類が表示されると、作業者は表示された1又は複数の異常種類から1の異常種類を指定する。作業者によって異常種類が指定されると、その指定された異常種類に対応するラダー回路を表示する。この表示装置は、制御対象に異常現象が発生したときに、異常表示をもたらしたラダー回路を表示するために、作業者は異常がおきた事実とおきた異常の種類を知るだけでなく、その異常表示をもたらした入力要素をも知ることができ、速やかに復旧処理に取り組むことができる。分厚いラダー回路図面集から問題のラダー回路を探すのに時間を浪費することが避けられる。
【0014】
ここで、ラダー回路を表示する手段は、プログラマブル・コントローラの本体に一体に設けられているものであっても良いし、プログラマブル・コントローラの本体に外付けのものであっても良い。さらに、プログラマブル・コントローラ本体にコンピュータが接続され、そのコンピュータのディスプレイにラダー回路が表示されるものであってもよい。
【0015】
異常表示されたときにその異常表示をもたらしたラダー回路が表示されると、その異常に至った入力要素が直ちに特定されることから、復旧処理がやりやすくなる。ここで、ある入力要素は同時に出力要素であり得ることから、その異常をもたらした入力要素が真の原因でなく、その入力要素を出力要素とする別の入力要素が真の異常原因であることがある。例えば、入力要素1が異常表示をもたらした場合に、その入力要素1(同時に出力要素1でもある)の動作状態を切換える入力要素2が真の異常原因であることがある。しかもその連鎖がさらに遡ることがある。
【0016】
このような事態があり得る場合に、前記の表示装置は、表示されたラダー回路の入出力要素をタッチパネルを利用して指定することができる。表示されたラダー回路の入力要素が指定されたときは、その指定された入力要素を出力要素とするラダー回路が検索されて表示される。また、表示されたラダー回路の出力要素が指定されたときは、その指定された出力要素を入力要素とするラダー回路が検索されて表示される。このため、真の原因を特定できるまで次々にラダー回路を読み出していくことができる。しかもその操作は、タッチパネルに手を触れるだけですみ、極めて簡単である。
【0018】
【発明の実施の形態】
最初に以下に説明する実施例の特徴を列記する。
(形態1) 請求項1に記載の表示装置であり、この表示装置はプログラマブル・コントローラに接続されたコンピュータで構成され、そのコンピュータの表示装置にラダー回路が表示される。
この形態によると、プログラマブル・コントローラに表示装置がないような場合にも本発明の利点を享受することが可能となる。
【0019】
【実施例】
図3は、プログラマブル・コントローラ20本体と操作盤10とで生産設備の一種である工作機械MTを意図したように動作させるシステムを示している。工作機械MTは、プログラマブル・コントローラ本体20と操作盤10とで制御されるために、プログラマブル・コントローラ本体20と操作盤10とでプログラマブル・コントローラが構成されていることになる。
【0020】
プログラマブル・コントローラ本体20はRAM23を有し、そのRAM23には図1に関連して説明した工作機械の制御用ラダープログラムと、異常モニタ用ラダープログラムが記憶されている。またRAM23の特定アドレスは、工作機械MTに内蔵されている入力要素群27と出力要素群28に対応して割当てられており、対応するアドレスに対応する入力要素群27と出力要素群28の状態を示すデータが記憶されるようになっている。プログラマブル・コントローラ本体20には、RAM23の他に、CPU21と、ROM22と、CPU21と工作機械MTを接続するI/O制御回路24と、CPU21と操作盤10を接続する通信I/F25が設けられている。CPU21がROM22に記憶されているシステムプログラムに従って動作することで、工作機械MTが工作機械制御用のラダープログラムに従って動作し、工作機械MTに内蔵されている入力要素群27と出力要素群28の状態を示すデータがRAM23の対応するアドレスに記憶される。
【0021】
工作機械MTはマシニングセンタであり、ワークと工具が直交する3軸に沿って相対移動しながら加工する。この3軸の位置制御もプログラマブル・コントローラ本体20のRAM23に記憶されている数値制御プログラムに従って制御されるが、この構成は周知技術であるので説明を省略する。このマシニングセンタMTは、位置が数値制御されるほか、例えば、主軸の起動と停止、主軸に取り付けられる工具のクランプとアンクランプ、ワークパレットの割出し、そのワークパレットのクランプとアンクランプ、クーラントポンプの起動と停止、潤滑油ポンプの起動と停止、エアーブロー弁の開閉、工具交換装置の起動と停止の各動作が、プログラマブル・コントローラ本体20のRAM23に記憶されている動作制御用のラダープログラムに従って制御される。
【0022】
工作機械MTには、制御対象の動作確認のための各種センサやスイッチ類、作業者が操作する切換スイッチや押ボタンスイッチ類が設けられており、これらが図3では集合的に入力要素群27として示される。また、工作機械MTには、主軸の起動と停止等の前記した各種動作を最終的に実施させるための機器であり、プログラマブル・コントローラ本体20で動作状態が切換えられる各種電磁リレー等が組み込まれており、これらが図3では集合的に出力要素28で示される。これらの出力要素28がプログラマブル・コントローラ本体20で制御されることによって、モータ、ソレノイド、電磁弁等が駆動され、工作機械MTが意図した動作を実行する。
【0023】
操作盤10は概ね筐体形状のもので、ヒンジによって開閉可能な蓋を持ち、その蓋にタッチパネル33と重ね合わされたLCD表示板32を持つ。以下では、タッチパネル33とそれに重ね合わされたLCD表示板32の全体をタッチパネル30という。このタッチパネル30に隣接して、図4に示す各種のハードウエアスイッチ類とハードウエアランプ類が配置されている。図4は蓋の全体を示し、以下に蓋の全体をいうときには操作パネル40という。ハードウエアスイッチには、自動運転と各個運転を切換えるスイッチ、運転準備スイッチ、起動スイッチ、非常停止スイッチ等が含まれ、ハードウエアランプには、電源ランプ、自動運転中ランプ、総合異常ランプ等が含まれる。
【0024】
図3に示されるように、操作盤10は、CPU11と、図10から12に示す処理手順(異常モニタ処理と異常画面表示処理ならびに回路モニタ表示処理)を実行するシステムプログラムを記憶しているROM12と、後記する画面定義データや異常表示データを記憶するRAM13と、プログラマブル・コントローラ本体20とCPU11を接続する通信I/F16と、CPU11と操作パネル400を接続するI/F14を備えている。
【0025】
CPU11が、異常モニタ処理と異常画面表示処理をすることで状態表示され、回路モニタ表示処理をすることで回路モニタないしラダー回路の表示が行なわれる。操作盤10には、状態表示ソフトウエアと回路モニタソフトウエアが組み込まれている。
【0026】
操作盤10のスイッチを自動運転にしておいて起動スイッチを押すと、その信号がプログラマブル・コントローラ本体20に送られ、プログラマブル・コントローラ本体20は動作制御用ラダープログラムに従って工作機械MTの動作を制御してラダープログラムが意図した動作を行なわせる。
【0027】
工作機械MTがラダープログラムに従って制御されている間、プログラマブル・コントローラ本体20はRAM23に記憶されている異常モニタ用ラダープログラムを所定のタイムインターバル(例えば10ミリ秒間隔)で繰り返し実行しつづける。
【0028】
プログラマブル・コントローラ本体20が動作制御用のラダープログラムに従って工作機械MTを制御している間に、異常現象が発生することがある。例えば油圧回路や空圧回路のフィルタの目詰まり、電磁弁のソレノイドコイルの焼付き、スプールの作動不良、ポンプユニットの油量の減少、潤滑油の圧力低下、リミットスイッチの故障、パレット割出用の位置決めピンの挿入不良といった各種の異常現象が生じ得る。
【0029】
異常モニタ用ラダープログラムには、上記の異常現象が起こったときに、その異常現象の発生によって信号の状態を切換えるものを入力要素とし、異常の種類毎に予め割当てられている出力要素の作動状態を切換えるラダー回路が用意されており、このラダー回路によって、異常現象がおこると、おこった異常現象の種類に対応する出力要素の動作状態を切換える。これらの出力要素の動作状態が切換えられるのに対応して、その出力要素に対して予め割当てられているRAM23内のアドレスに記憶されているデータが書き換えられる。上記したように、異常モニタ用ラダープログラムは所定のタイムインターバルで繰り返し実行されていることから、異常が起こったときに上記の処理が行なわれる。
【0030】
図9は異常現象の種別に応じて割当てられているRAM23内の記憶内容を示している。出力要素EM600をオンさせる異常現象がおきると、その出力要素EM600に対応するアドレスに異常フラグ1を立てる。この出力要素EM600をオンさせる異常現象は、総合異常のうちのパレット異常である。同様の異常データテーブルが異常の種類ごとに用意されている。
【0031】
操作盤10は、所定のタイムインターバル(例えば100ミリ秒間隔)で、プログラマブル・コントローラ本体20の、異常時に動作状態が切換えられる電磁リレー等に対応するRAM23のアドレスの内容を読み込むようにプログラムされており、異常現象が発生したのに対応して対応するアドレスのデータが変化したことを認識する。すなわち、図9に示したのと同様の異常データテーブルが、RAM13にも記憶される。図3ではこれが異常表示データとして示されている。このデータテーブルから操作盤10は発生した異常現象の種類を認識する。
【0032】
図10と11はRAM13内の上記の異常データテーブルを更新する処理手順を示す。ステップS10では変数iをゼロとする。ステップS11は後で説明する図5の右下に示される異常データクリアの領域にタッチされたときにイエスとなり、この場合には、ステップS21で、すべてのフラグをゼロとして異常がおこっていない状態のテーブルに戻す。異常データクリアの領域にタッチされない場合には、テーブルのi番目のアドレスをセットする(ステップS12)。ステップS13では、テーブルから異常要素のアドレスを読み出してプログラマブル・コントローラ本体20に出力する。ステップS14では、プログラマブル・コントローラ本体20から回答があるまで待機する。ステップS15からS17では、プログラマブル・コントローラ本体20のRAM23内の異常データテーブルを操作盤10のRAM13の異常表示テーブルに転写する。これを変数iに1を加えて繰返すことによって、すべての異常種類についてRAM23内のテーブルをRAM13のテーブルに転写する。すべての異常種類についての転写が終了すると、ステップS19で異常画面の表示処理を実行する。
【0033】
ステップS19の詳細手順が図11に示されている。ステップS22では変数iをゼロとし、変数nを1とする。ステップS23では、RAM13内のテーブルのi番目のフラグを判別し、ゼロ(正常)ならノーとなるので、ステップS32でiを1増やしてステップS23を繰返す。ステップS23でi番目の異常が判別されると、変数Senにそのときの変数nの値を書き込む。この処理の内容は後で説明する。
【0034】
次にステップS25で総合異常画面が表示されているか否かを判別し、表示されていなければステップS26で総合異常画面に切換える。この処理によって何らかの異常が生じると総合異常画面に切換えられることになる。ステップS27では異常名称が総合異常名称以外か否か判別し、総合異常内の異常名称ならステップS28で個別異常名称を点灯させる。ステップS29では総合異常グループ以外の異常グループであるときにそれが点灯しているか否かを判断し、点灯していなければステップS30でその異常グループ名称に点灯させる。以上の処理を全部の種類について実行する。
ステップS32で変数nにも1加えられる為に、ステップS24では異常が看視されたとき繰り返しの回数がSenに記憶される。
【0035】
ステップS33は、何らかの異常現象が発生し、総合異常画面が表示されているときに実行される。ステップS33では、ステップS26、28、30で表示されている画面にタッチ入力されたか否かを判別する。タッチ入力されたときには、ステップS34でタッチされたキーを判別する。異常グループ名称がタッチされればステップS39でその為の画面に切換える。総合異常内の個別異常名称がタッチされればステップS35で、後で説明する図6の画面を出力する。ここで「いいえ」が操作されればステップS26に戻って総合異常画面に戻し、「はい」がタッチされれば変数Addにテーブルの出力要素アドレス、例えば、図9のEM600の異常がおこっていれればEM600に対応するフラグを記憶するROM23内のアドレスを記憶する。次に、詳細が図12に示される回路モニタの表示処理が実行される(ステップS38)。これについては後記する。
【0036】
以上の処理によって、操作盤10が異常現象の発生をモニタしたときには、CPU11が表示パネル30に、図5に示す総合異常画面を表示する(ステップS26)。
総合異常画面は、左側の第1領域に、総合異常、ワークセット異常、動作異常・サイクルタイムオーバ異常、NC部異常の内のいずれがおこったかを表示し、総合異常時には、右側の第2領域に、総合異常に関連する個別異常名称を表示する。図5の場合、パレット異常に関連する総合異常が生じたときに表示される画面を例示している。ここで、総合異常、ワークセット異常、動作異常・サイクルタイムオーバ異常、NC部異常は異常種類のグループ名称であり、各グループ内に複数の個別異常種類が存在する。
【0037】
図5の総合異常画面から、作業者はパレット異常が生じたことを知ることができる。しかしながら、なにが入力となってパレット異常となったのかを直ちに知ることはできない。従来技術の欄で説明したように、従来は、ラダー回路図面集から関連するラダー回路を検索しており、探し出すのに時間がかかった。
【0038】
この実施例では、作業者が異常表示をもたらした入力要素を知りたい場合には、点灯している個別異常名称をタッチすることでその異常表示をもたらしたラダー回路を表示させることができる。図6は、作業者が個別異常名称をタッチしたときに現れる画面を示し、ここで作業者が「はい」の場所にタッチすると、図7の画面に切り換わる。図7の画面は、M001の入力要素が変化したために、EM600の出力要素が切換えられ、その結果、図5の示すパレット異常が表示されたことを意味するラダー回路を示している。このラダー回路が表示される為に、作業者には復旧作業のためにはM001の状態をチェックすればよいことが直ちに理解される。
【0039】
この図7の画面は、図12の処理によって表示される。この処理では、ステップS50で、変数Addの値がゼロか否かみる。異常が発生して入れば、その異常の種類に対応するフラグのアドレスが記憶されているので、ステップS50でイエスとなる。このときには、出力要素に対応するフラグを変数Addの値のアドレスに出力するラダー回路が検索される(ステップS51)。図7の場合、出力要素をEM600とする異常が生じているために、図12のステップS51の実行時には出力要素EM600に対応するアドレスがAddに記憶されており、従って、ステップS51の実行によって、要素EM600を出力要素とするラダー回路が検索され、これが表示されることになる。この操作盤10では、表示パネル30に、異常が起こったときにはその異常を出力要素とするラダー回路が表示されるようになっている。
【0040】
さらに、この操作盤10では、ラダー回路を切換えていくことができる。このためには、操作者が入力要素(この場合M001)か出力要素EM600のいずれかにタッチする。
入力要素にタッチすると、図12のステップS54がイエスとなり、ステップS55ではその入力要素に対応するアドレスを変数Addに記憶する。この状態で次にステップS51が実施されるために、このとき実施されるステップS51ではそれまで入力要素(M001)を出力要素とするラダー回路が検索されて表示される。図8はそれを例示しており、いままでの入力要素を出力要素とするラダー回路に置き換わる。
作業者はこの機能を使って真の原因を探求する為にラダー回路を上流に遡行していくことができ、因果関係の連鎖をシステムによってガイドされながら的確に原因を追求することができる。
【0041】
因果関係の連鎖を遡及しすぎた場合には、出力要素をタッチする。すると、今度はステップS57とS58が実行され、今度はそれまでの出力要素を入力要素とするラダー回路に戻すことができる。例えば、図8の状態で出力要素M001にタッチすると、今度は、出力要素M001を入力要素とするラダー回路、すなわち、図7のラダー回路に戻るのである。
【0042】
図12のステップS55とS51によってラダー回路を遡及側へ追求することができ、ステップS57とS58によって遡及しすぎた場合には戻ることができるために、この操作盤は極めて使いやすく、異常時の復旧処理を効果的に実施することを可能とする。
【0043】
図2は第2実施例を示している。これはプログラマブル・コントローラ本体PCにパーソナルコンピュータ2が外付けされてプログラマブル・コントローラの全体システムが構成されており、そのパーソナルコンピュータ2のタッチパネル式ディスプレイを使ってラダー回路を表示し、必要に応じて表示されたラダー回路を追跡してゆく。システム構成は図3に示した実施例を同じである。図2のシステムによると、タッチ式ディスプレイを備えていないプログラマブル・コントローラ本体PCを利用しているときに、パーソナルコンピュータ2を接続して、本発明を具体化することができる。
【0044】
この外、シーケンシャル・コントローラ自体のなかに、タッチ式ディスプレイと、異常状態の発生をモニタしながらモニタされた状態を表示する状態表示ソフトウエアと、異常現象の発生時に関連するラダー回路を表示し、さらに必要に応じてラダー回路を追跡する回路モニタソフトウエアを組み込んでもよい。
【0045】
【発明の効果】
請求項1に記載の装置によると、異常がおきたときにその異常をもたらしたラダー回路が表示されることから、作業者は直ちに復旧処理に着手でき、いままでのように分厚いラダー回路図面集から関連するラダー回路を探し出すのに時間を浪費するといった事態を避けることができる。
また、因果関係の連鎖が複数のラダー回路に亘る場合に、作業者がタッチパネルにタッチするだけで次々に関連するラダー回路を表示させることが可能となり、異常現象が複雑な場合の原因探索を極めて有効に支援することができ、原因探索時間が効果的に短縮化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のプログラマブル・コントローラの構成を示す図。
【図2】 本発明を具現化した一つの実施例の構成を示す図。
【図3】 本発明を具現化した他の実施例の構成を示す図。
【図4】 図3の操作パネルの正面図を示す図。
【図5】 図4の操作パネルのタッチパネルの正面図を示す図。
【図6】 異常名称表示にタッチしたときに表示される画面。
【図7】 回路モニタのイエスにタッチしたときに表示されるラダー回路の一例を示す図。
【図8】 図7のラダー回路の入力要素にタッチしたときに表示されるラダー回路の一例を示す図。図7の入力要素が図8の出力要素。
【図9】 プログラマブル・コントローラのRAMに記憶される異常関連データの一部を示す図。
【図10】 異常モニタのための処理手順図。
【図11】 表示パネルに異常表示する処理手順図。
【図12】 回路モニタのための処理手順図。
Claims (1)
- 機械・装置・設備等の制御対象を制御するプログラマブル・コントローラにおいて、
前記制御対象の異常現象の発生をモニタするプログラムと、
そのプログラムで異常現象の発生がモニタされたときにモニタされた異常現象に対応する異常種類を表示する手段と、
表示された1又は複数の異常種類から1の異常種類を指定する手段と、
異常種類が指定されたときにその指定された異常種類に対応する異常現象の発生をモニタしたラダー回路を表示する手段と、を有し、
前記ラダー回路を表示する手段は、表示されたラダー回路の入出力要素を指定することができるタッチパネルと、表示されたラダー回路の入力要素が指定されたときにその入力要素を出力要素とするラダー回路を検索して表示し、表示されたラダー回路の出力要素が指定されたときにその出力要素を入力要素とするラダー回路を検索して表示する手段を含むことを特徴とする表示装置。
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