JP3797192B2 - Drilling and rolling tool - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、継目無鋼管の製造に係り、とくに継目無鋼管の穿孔圧延に使用するプラグ等の穿孔圧延用工具の耐久性向上に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、継目無鋼管の製造方法として、マンネスマン式製管法が広く実施されている。この方法は、所定の温度に加熱された圧延素材（丸鋼材）を、まず、穿孔圧延機による穿孔圧延工程を経て中空素材としたのち、エロンゲータ、プラグミル、またはマンドレルミル等の延伸圧延機により肉厚を減少し、さらに必要に応じ再加熱したのち、絞り圧延機あるいはその他の成形機により、主として外径を減じ所定の寸法の継目無鋼管を得る方法である。
【０００３】
穿孔圧延機としては、２本の傾斜ロールと穿孔用プラグおよび２個のガイドシュウを組み合わせた、いわゆるマンネスマンピアサ、３本の傾斜ロールと穿孔用プラグを組み合わせた、いわゆる３ロールピアサ、あるいは２本の孔型ロールと穿孔用プラグを組み合わせた、いわゆるプレスロールピアサが知られている。
このような穿孔圧延機による穿孔圧延工程では、ピアサは、高温の圧延素材や中空素材との絶え間ない接触により、高温、高負荷の環境下に長時間晒され、摩耗、溶損等を生じやすい。このため、従来から、穿孔用プラグに高温でのスケール処理を施し、プラグ表面に数十〜数百μm 厚の酸化スケール被膜を形成させて、プラグの損耗を防止していた。
【０００４】
しかしながら、最近では、熱間変形抵抗が高く、しかも表面に酸化スケールが形成されにくい、13Cr鋼や、ステンレス鋼等の高合金鋼製継目無鋼管の需要が増加している。これら13Cr鋼や、ステンレス鋼等の高合金鋼の素材を穿孔圧延すると、プラグ表面の酸化スケール被膜の消耗が激しく、とくにプラグ先端部の変形や焼付きを伴うプラグ損傷が早期に多発し、プラグコストの増加や、生産性の低下等を招いていた。このため、プラグ組成の変更、あるいは酸化スケール被膜形成のための熱処理条件の改良等が提案されてきた。
【０００５】
例えば、特公昭59-9628 号公報には、COガス５％未満を含む酸化性の炉内雰囲気中で、焼入れ処理、焼きなまし処理、または固溶体化処理を施す塑性加工装置用被摺動部品の熱処理方法が提案されている。この方法によれば、内部酸化被膜を厚くかつ均一にでき、酸化被膜と地金との密着性が向上するとしている。
また、特開昭59-9154 号公報には、Ｃ：0.20〜0.50％、Si：0.10〜2.0 ％、Mn：0.30〜2.0 ％、Cr：1.0 〜6.0 ％、Ni：1.0 〜6.0 ％、Mo：0.50〜5.0 ％、Nb：0.20〜1.5 ％を含有する鋳造合金を成形後、酸化雰囲気中において、900 〜1250℃の温度範囲の加熱処理を施す継目無鋼管製造用工具材料の製造方法が提案されている。しかし、特開昭59-9154 号公報に記載された技術では、13Cr鋼のような高合金鋼を穿孔圧延すると早期に工具が損傷し焼付きが発生するという問題があった。
【０００６】
また、特開昭63-69948号公報には、Ｃ：0.26〜0.35％、Si：0.10〜1.0 ％、Mn：0.20〜2.00％、Cr：2.00〜4.00％、Ni：0.50〜2.00％、Nb：0.10〜0.50％、さらに、Ｗ：0.50〜2.00％、Co：0.50〜2.00％、Ｖ：0.10〜0.50％のうちの１種または２種以上を含有する鋳造合金に、酸化雰囲気中において、800 〜1100℃の温度範囲の加熱保持後、450 ℃まで30℃／ｈ以下の速度で冷却する熱処理を施す継目無鋼管製造用工具材料の製造方法が提案されている。しかし、特開昭63-69948号公報に記載された技術では、13Cr鋼のような高合金鋼を圧延すると早期に工具が損傷し焼付きが発生し、工具寿命が短いという問題があった。
【０００７】
また、特開平8-193241号公報には、加熱炉の炉内酸素分圧を工具の加熱温度との関係で所定の低い範囲内に調整した雰囲気内で、900 〜1050℃で２〜15時間保持し、その後800 〜500 ℃まで冷却し空冷するウスタイト生成処理を１回以上行い、さらに400 〜500 ℃で１時間以上保持するマグネタイト生成処理を行う、熱間加工用工具の製造方法が提案されている。しかし、特開平8-193241号公報に記載された技術では、一定レベルの寿命向上効果は得られるが、炉内酸素分圧を10-17 〜10 -10atm に調整するという厳しい雰囲気制御が必要であり、プラグ製造コストの増加とプラグ生産性が低下するという問題があった。また、特開平８−193241号公報には、スケール層中のマグネタイト量以外に、組成、気孔量、金属析出物量、スケール厚み等を所定の範囲内となるようにすることが示されているが、雰囲気抑制なしでこのようなスケール形態としても、13Cr鋼のような高合金鋼を圧延すると、比較的早期に工具が損傷し、工具寿命が依然として短いという問題があった。
【０００８】
また、特開平10-5821 号公報には、低合金鋼で形成されたプラグ素材を酸化性雰囲気中で、1050〜1250℃に加熱した後、同じ酸化性雰囲気中で素材のＡc3変態温度とＡc1変態温度の間の温度で保持する継目無鋼管製造用プラグの熱処理方法が提案されている。これにより、プラグ表面にスケール層が形成され、穿孔時のプラグ寿命が向上するとしている。しかし、この方法で製造されたプラグは、スケールの密着性がまだ不十分であり、13Cr鋼のような高合金鋼を圧延する過酷な圧延に供すると、スケール層が早期に剥離し、工具が損傷し工具寿命が短いという問題があった。
【０００９】
また、特開平11-179407 号公報には、Ｃ：0.1 〜0.4 ％、Si：0.1 〜3 ％、Mn：0.20〜2 ％、Cr：0.5 〜5 ％、Ni：0.5 〜10％、Cu：0.05〜5 ％、Mo：0.5 〜5 ％、Ｗ：0.5 〜5 ％、Co：0.5 〜5 ％、Ti：0.015 〜１％、sol.Al：0.01〜0.1 ％を含有し、かつ７（Co％）−10（Ｃ％）−（Ni％）が０〜18を満足する範囲とする組成を有し、スケール付け熱処理を施されてなる継目無鋼管製造用工具が提案されている。しかし、特開平11-179407 号公報に記載された工具によっても、最近の過酷な13Cr鋼圧延においては十分なプラグ寿命を確保できなかった。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
最近では、13Cr鋼やステンレス鋼等の高合金鋼製継目無鋼管の需要増加に伴い、更なるプラグ等穿孔圧延用工具の長寿命化が要望されている。
本発明は、このような状況に鑑み、安定して更に長い工具寿命を有する継目無鋼管穿孔圧延用工具を提案することを目的とする。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、穿孔圧延用工具の表面層の形態と工具寿命の関係について鋭意検討した。その結果、基材の表面に形成されるスケール層のうち、基材側に形成されるスケール層を地鉄と複雑に絡み合うネット状スケール層とし、さらに、このスケール層と基材との界面から基材側に深さ方向に500 μm の範囲の基材組織を、面積率で、50％以上のフェライト相を有する組織とすることにより、スケール層の剥離や摩滅が抑制され、穿孔圧延用工具の寿命が顕著に向上することを見いだした。
【００１２】
本発明は、上記下知見に基づいてさらに検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明は、基材の表面層にスケール層を有する穿孔圧延用工具であって、前記基材が、質量％で、Ｃ：0.05〜0.5 ％、Si：0.1 〜1.5 ％、Mn：0.1 〜1.5 ％、Cr：0.1 〜1.0 ％、Mo：0.5 〜3.0 ％、Ｗ：0.5 〜3.0 ％、Nb：0.1 〜1.5 ％を含み、さらに、Co：0.1 〜3.0 ％、Ni：0.5 〜2.5 ％を次 (１) 式
１＜（Ni＋Co）＜４ ………（１）
（ここに、Ni,Co ：各元素の含有量 (質量％））
を満足する条件で含み、さらに、Al：0.05％以下（ただし、 0.05 ％は除く）、あるいはさらに、Ｖ：1.5 ％以下、Ti：0.3 ％以下のうちから選ばれた１種または２種を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、前記スケール層のうち基材側に形成されるスケール層を深さ方向で30〜200 μm の厚さを有する地鉄と複雑に絡み合うネット状スケール層とし、前記スケール層と基材との界面から深さ方向に基材側に500 μm の範囲の基材組織を、面積率で、50％以上のフェライト相を有する組織とすることを特徴とする耐久性に優れた穿孔圧延用工具であり、また、本発明では、前記ネット状スケール層中の地鉄の含有量は、面積率で、10〜80％であることが好ましい。
【００１３】
また、本発明では、前記スケール層が、前記ネット状スケール層の上層として、粒状および／または紐状の金属析出物または合金析出物を含む金属析出物含有スケール層を有することが好ましく、また、本発明では、前記金属析出物含有スケール層の厚さが、 深さ方向で40μm 以上であることが好ましい。なお、本発明では、前記金属析出物含有スケール層の金属析出物または合金析出物の最大長さは0.5 〜５μm となる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の穿孔圧延用工具は、特定組成を有する基材の表面層にスケール層を有する穿孔圧延用工具である。
まず、穿孔圧延用工具の基材の組成限定理由について、説明する。以下、組成に関する質量％は、単に％で記す。
【００１５】
Ｃ：0.05〜0.5 ％
Ｃは、固溶して材料の強度を増加させ、あるいは炭化物を形成して材料の高温強度の低下を抑制する元素であり、また、 スケールの成長を促進するため、本発明では0.05％以上の含有を必要とする。一方、0.5 ％を超えて含有すると、基材組織にフェライト相の析出が困難となり、また融点が低下し高温強度の低下が著しくなり、工具寿命が低下する。このため、Ｃは0.05〜0.5 ％の範囲に限定した。
【００１６】
Si：0.1 〜1.5 ％
Siは、脱酸剤として作用するとともに、固溶して基地を強化するとともに、炭素活量を増加し基材組織にフェライト相を析出しやすくするとともに、選択酸化を助長し密着性に富む酸化スケールの生成を促進させる元素であり、本発明では、0.1 ％以上の含有を必要とする。一方、1.5 ％を超えて含有すると、基材表面に緻密なSiO2膜を形成して、Feの酸化を阻害しネット状スケール層の成長を阻害する。このため、Siは0.1 〜1.5 ％に限定した。なお、0.1 〜 1.0％とすることが好ましい。
【００１７】
Mn：0.1 〜1.5 ％
Mnは、固溶して高温強度を増加させるとともに、Ｓと結合しMnS を形成し基材の延性を確保する作用を有する元素であり、本発明では0.1 ％以上の含有を必要とする。一方、1.5 ％を超えて含有すると、ネット状スケール層の成長を阻害する。このため、Mnは0.1 〜1.5 ％に限定した。なお、好ましくは 0.1〜１％である。
【００１８】
Cr：0.1 〜1.0 ％
Crは、基地中に固溶し、また炭化物を形成して高温強度を増加させるとともに、選択酸化を促進させてスケール層の密着性を向上させる元素であり、本発明では0.1 ％以上の含有を必要とする。しかし、Crは、1.0 ％を超えて含有すると、基材表面に緻密なCr酸化物を形成し、Feの酸化を阻害してネット状スケール層の成長を阻害する。また、Crの多量含有は、基材の炭素活量を低下させ、基材組織にフェライト相の生成を阻害し、スケール層との界面近傍の基材組織をフェライト相主体の組織とすることが困難となる。このため、Crは0.1 〜1.0 ％に限定した。
【００１９】
Mo：0.5 〜3.0 ％
Moは、フェライト相中に微細なミクロ偏析を形成し、選択酸化を助長しネット状スケール層の形成を促進させる重要な元素である。また、Mo酸化物は650 ℃以上の温度で昇華し、 酸化反応に係るＯ2 ，Ｈ2 ，Ｈ2 Ｏ，ＣＯ，ＣＯ2 の経路を形成して選択酸化および脱炭層の成長を促進する。このような効果は、0.5 ％以上の含有で認められる。一方、3.0 ％を超えて含有すると、ミクロ偏析が粗くなり、ネット状スケール層を粗くするとともに、融点を下げて工具の溶損を助長する。このため、Moは0.5 〜3.0 ％に限定した。
【００２０】
Ｗ：0.5 〜3.0 ％
Ｗは、Moと同様に、フェライト相中に微細なミクロ偏析を形成し、選択酸化を助長するとともに、Ni,Co の負偏析部を形成しやすくして、ネット状スケール層の成長を助長する。また、Ｗは、基地中に固溶し、また炭化物を形成して高温強度を増加させる。このような効果は、0.5 ％以上の含有で認められる。一方、3.0 ％を超えて含有すると、ミクロ偏析が粗くなり、ネット状スケール層を粗くするとともに、融点を下げて工具の溶損を助長する。このため、Ｗは0.5 〜3.0 ％に限定した。
【００２１】
Nb：0.1 〜1.5 ％
Nbは、Ｃとの結合力が大きく基地中の遊離Ｃを減少させ、フェライト相の生成を助長して、スケール層との界面近傍の基材組織をフェライト主体の組織とする作用を有する。また、Nbは、結晶粒界にNb炭化物を形成しやすく、また、Nb炭化物は酸化しやすいため、酸素の侵入経路となって、ネット状スケール層の形成を助長する作用も有する。また、Nbは、基地への固溶量が少なく、基地中にミクロ偏析を形成しやすく、またNbはMoとの親和力が大きいため、Moのミクロ偏析を助長するという効果もある。このような効果は0.1 ％以上の含有で認められるが、1.5 ％を超えて含有すると、Nb炭化物が粗大化し、工具の割損が起こりやすくなり、さらに鋳造性が低下する。このため、Nbは0.1 〜1.5 ％の範囲に限定した。
【００２２】
Co：0.1 〜3.0 ％
Coは、基地に固溶して高温強度を増加させ、さらに、Fe, Moより酸化しにくいため、FeやMoの選択酸化を促進し密着性に富むネット状スケール層の形成を促進する重要な働きを持つ。すなわち、Coは、Fe, Moより酸化しにくいため、ネット状スケール層の成長過程で選択酸化部近傍の地鉄中に濃縮される。そして、Coが濃縮された地鉄領域はまた酸化が抑制されるため、地鉄とスケールが複雑に絡み合った形態を形成しやすくする。Coが濃縮された地鉄領域は展延性に富むため、スケールとのなじみが良くなり、 スケール剥離を防止する効果を有する。このような効果を得るためには、Co：0.1 ％以上の含有を必要とする。なお、好ましくは、0.5 ％以上である。一方、3.0 ％を超えて含有すると、Coが基材とスケール層との界面に線状に濃縮するようになるため、Fe, Moの選択酸化を抑制して、 ネット状スケール層の生成を抑制する。このため、Coは0.1 〜3.0 ％に限定した。
【００２３】
Ni：0.5 〜2.5 ％
Niは、固溶して材料の強度、靭性を向上させとともに、さらに、Coと同様に、Fe,Mo より酸化しにくいため、Fe,Mo の選択酸化を促進し密着性に富むネット状スケール層の形成を促進する。Niは、Coと同様に、ネット状スケール層の成長過程で選択酸化部近傍の地鉄に濃縮される。Niが濃縮された地鉄領域は、展延性に富むためスケールとのなじみが良くなり、 スケール剥離を防止する効果を有する。このような効果を得るためには、Ni：0.5 ％以上の含有を必要とする。一方、2.5 ％を超えて含有すると、Niが基材とスケール層との界面に過剰に濃縮するようになるため、Fe, Moの選択酸化を抑制して、 ネット状スケール層の生成を抑制する。このため、Niは0.5 〜2.5 ％に限定した。
【００２４】
なお、Ni,Co は、上記した範囲内で、かつ次（１）式
１＜（Ni＋Co）＜４ ………（１）
（ここに、Ni,Co ：各元素の含有量 (質量％））
を満足する条件で含有される。
Ni,Co は、上記したようにいずれも、ネット状スケールの生成を促進する元素であるが、それらの合計含有量（Ni＋Co）が４％以上となると、基材とスケール層との界面に過剰に濃縮して、Fe, Moの選択酸化を抑制するようになり、ネット状スケール層の生成を困難にする。一方、NiとCoの合計含有量（Ni＋Co）が１％以下では、ネット状スケール層の形成が促進されない。このようなことから、NiとCoの合計含有量（Ni＋Co）を１超え４未満とした。
【００２５】
Al：0.05％以下
Alは、脱酸剤として作用し、このような効果は0.01％以上の含有で顕著に認められるが、0.05％を超えて含有すると、鋳造性が劣化し、ピンホールや引け巣が発生しやすくなるとともに、熱処理時に基材表面に緻密な酸化物を形成しネット状スケールの成長を阻害する。このため、Alは0.05％以下の範囲に限定した。なお、Alに代えて、0.05％以下のREM 、および／または0.01％以下のCaを含有してもよい。
【００２６】
Ｖ：1.5 ％以下、Ti：0.3 ％以下のうちから選ばれた１種または２種
Ｖ、Tiはいずれも、炭化物、窒化物あるいは炭窒化物を形成し、基地を強化する元素であり、選択して含有できる。このような効果は、それぞれ、Ｖ：0.1 ％以上、Ti：0.05％以上の含有で顕著に認められる。 一方、Ｖ：1.5 ％、Ti：0.3 ％を超えて含有すると、工具の割損が起こりやすくなる。このため、Ｖ：1.5 ％以下、Ti：0.3 ％以下の範囲にそれぞれ限定することが好ましい。
【００２７】
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、Ｐ：0.05％以下、Ｓ：0.03％以下、Cu：0.2 ％以下、Zr：0.03％以下、Pb：0.05％以下、Sn：0.05％以下、Zn：0.05％以下、Ｎ：0.05％以下がいずれも許容できる。
そして、本発明の穿孔圧延用工具は、図１に示すように、上記した特定組成を有する基材の表面層に形成されるスケール層のうち基材側に形成されるスケール層を深さ方向で30〜200 μm の厚さを有する地鉄と複雑に絡み合うネット状スケール層とし、さらに該スケール層と基材との界面から深さ方向に基材側に500 μm の範囲の基材組織を、面積率で、50％以上のフェライト相を有する組織（以下、フェライト主体組織ともいう）とする。
【００２８】
本発明でいう、ネット状スケール層とは、基材の地鉄との界面が選択酸化により、 図１に示すように、不均一となり、 凹凸の激しい、地鉄と複雑に絡みあった界面を有するスケール層をいうものとする。
基材の表面層に形成されるスケール層のうち基材側に形成されるスケール層を、 上記したような地鉄とスケールが複雑に絡みあったネット状スケール層とすることにより、穿孔圧延における剪断すべりによるスケール層剥離を抑制することができる。ネット状スケール層は、地鉄とスケール層とが混合した状態となっており、しかもネット状スケール層の近傍の地鉄には、NiとCoが濃縮されており、スケールと地鉄とのなじみが良くなることと合わせて、スケール層の密着性が著しく向上し、スケール層の摩滅、剥離が著しく抑制される。このようなネット状スケール層の存在により、基材表面にスケール層が残存しやすく、そのためスケール層の潤滑作用により工具の焼付きが防止され、工具の長寿命化が図れることになる。
【００２９】
工具の損傷防止、工具の長寿命化のために、ネット状スケール層は、深さ方向で30〜200 μm の厚さとする。ネット状スケール層の厚さが30μm 未満では、圧延に際し圧延材との摩擦でネット状スケール層が早期に消滅し、工具が損傷する。一方、200 μm を超える厚さでは、ネット状スケール層内の歪が増大し、 スケール層の剥離が促進され、工具寿命が低下する。また、スケール層厚さの過度の増大は、工具の寸法精度を低下し、さらに熱処理時間の増大を招き、経済的に不利となる。なお、本発明では、ネット状スケール層の厚さは、スケールと地鉄が複雑に絡み合った層の厚さを示し（図１）、スケール中に食い込んだ地鉄先端から地鉄中に食い込んだスケール先端までの距離をいうものとする。
【００３０】
さらに、本発明では、ネット状スケール層中に混合される地鉄の割合（含有量）を、面積率で、10〜80％とすることが好ましい。ネット状スケール層中の地鉄の含有量が10面積％未満では、スケール層の密着性が低下し、スケール層が剥離しやすくなり、工具摩耗量が増加する。一方、ネット状スケール層中の地鉄の含有量が80面積％を超えると、スケール量が少なくなりすぎて、スケールによる潤滑作用、断熱作用が低下し、焼付き、溶損等が発生しやすくなり、工具寿命が低下する。
【００３１】
さらに、本発明では、基材の表面層には、上記したネット状スケール層の生成に加えて、スケール層と基材との界面から深さ方向に基材側に500 μm の範囲の基材組織を、図１に示すように、フェライト主体組織とする。本発明でいう、フェライト主体組織とは、面積率で、50％以上のフェライト相を有する組織をいうものとする。
【００３２】
スケール層との界面から基材側に500 μm の範囲の組織をフェライト主体組織とすることにより、Moのミクロ偏析が生じやすくなり、その領域が選択的に酸化され、ネット状スケールの形成が容易になり、その後酸化熱処理により、選択酸化された領域近傍の地鉄領域はNi,Co 等がさらに濃縮され、ネット状スケール層の密着性がさらに向上する。このようにスケール層との界面から基材側に所定の範囲内の組織をフェライト主体組織とすることは、スケールの耐剥離性、耐摩滅性を向上させる要因となる。さらに、スケール層との界面から基材側に所定の範囲内の組織をフェライト主体組織とすることにより、フェライト相が軟質で展延性に富む組織であるため、スケール層と基材とのなじみを良好にし、スケールの剥離、 摩滅を直接抑制するという効果もある。フェライト主体組織のフェライト相が、50面積％未満では、スケールの剥離、 摩滅抑制作用が低下する。なお、フェライト主体組織のフェライト相は60面積％以上とすることが好ましい。フェライト主体組織は、フェライト相が100 面積％となっても特に問題はない。なお、フェライト相以外の第２相は、特に限定されない。
【００３３】
また、本発明の穿孔圧延用工具では、表面に形成されるスケール層は、ネット状スケール層の上層として、金属析出物含有スケール層を有することが好ましい。金属析出物含有スケール層は、図１に示すように、スケール層中に、粒状および／または紐状の金属析出物または合金析出物を含むスケール層である。このような粒状および／または紐状の金属析出物または合金析出物が含まれるスケール層は、Si,Cr,Mo, Ｗ，Mn,Nb 等の硬質の酸化物が共存するスケール層であり、耐摩耗性に優れたスケール層となっている。金属析出物または合金析出物がスケール層内に存在することにより、スケール剥離を防止するというアンカー効果が顕著となり、工具寿命を格段に向上させる。なお、金属析出物または合金析出物は、Niおよび／またはCoを主体とする析出物（金属、または合金）であり、大きさが最大長さで0.5 〜５μm 程度である。
【００３４】
また、金属析出物含有スケール層は、深さ方向で40μm 以上の厚さを有することが好ましい。金属析出物含有スケール層の厚さが40μm 未満では、工具寿命の向上効果が少ない。なお、金属析出物含有スケール層の厚みを 200μｍ以上とすると工具寿命の向上効果は飽和する。
上記したように、本発明の穿孔圧延用工具では、特定組成の基材の表面層として、基材側に、フェライトを主体とするフェライト主体組織を有する地鉄領域を有し、その上層として、ネット状スケール層、金属析出物含有スケール層を順に有し、さらにその上層として外面スケール層を有することが好ましい。なお、外面スケール層については、工具寿命に影響を及ぼさないことから、とくに限定しない。外面スケール層は、フェライト主体組織、ネット状スケール層、金属析出物含有スケール層をそれぞれ、上記したような形態とするに際し、 その上層として形成されるスケール層であればよく、特に限定する必要はない。なお、外面スケール層は、 通常、Feの酸化物から形成される。
【００３５】
つぎに、本発明の穿孔圧延用工具の好ましい製造方法について説明する。
上記した組成の溶湯を、電気炉溶解、高周波炉溶解等の通常公知の方法で溶製し、減圧鋳造法、生型鋳造法、シェルモールド鋳造法等の通常公知の鋳造法で鋳造し、所定形状の基材（工具）とすることが好ましい。なお、鋼片から切削加工等で所定形状の基材（工具）としてもよい。
【００３６】
上記した組成を有する基材は、ついで熱処理を施されて、基材表面にスケール層を形成する。熱処理は、基材表面にフェライトを析出させるため、炭素ポテンシャルの低い脱炭性雰囲気中あるいは酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。炭素ポテンシャルの低い脱炭性雰囲気としては、Ｏ2 ，ＣＯ2 ，Ｈ2 Ｏを含有する雰囲気であればよく、一般的な汎用炉である、天然ガス炉、大気雰囲気炉で熱処理すれば良い。
【００３７】
本発明の穿孔圧延用工具の製造に、好ましい熱処理条件は、次のとおりである。
上記した組成を有する基材を、900 〜1100℃に、好ましくは３ｈ〜10ｈ以上加熱保持したのち、700 ℃までの温度領域を平均冷却速度：40℃／ｈ以下で冷却する処理を少なくとも１回以上、好ましくは２回以下施すとよい。とくに、ネット状スケール層とフェライト主体組織については 850〜700 ℃の温度範囲を徐冷することで成長するため 850〜 700℃の範囲を30℃／ｈ以下で徐冷する処理とすることが好ましい。
【００３８】
これにより、フェライトが析出し、および／または基地中に固溶された合金元素が温度と冷却速度に応じて拡散し、炭化物として析出分散したり、結晶粒界近傍に濃縮したりして、素材中にMo，Ｗ等の合金元素のミクロ偏析が発生する。このMo，Ｗ等の合金元素のミクロ偏析の存在により、その後の熱処理により、Fe,Mo 等の不均一な酸化（選択酸化）が誘発され、Ni,Co の地鉄中への濃縮が生じ、地鉄と複雑に入り組んだ界面を有するネット状スケール層が成長する。なお、ネット状スケール層の成長は、この温度範囲の徐冷によってのみ実現し、特定温度での保持ではネット状スケールは生成しない。
【００３９】
また、加熱温度が、1100℃を超えると外面スケールの成長が顕著となり、密着性の良いスケール層の形成が阻害される。一方、加熱温度が900 ℃未満では、合金元素の固溶が促進されず、その後の熱処理による所望の合金元素のミクロ偏析分布を達成できないことから、ネット状スケールの成長が阻害される。
また、加熱保持時間が、３ｈ未満では、十分な合金元素の固溶化が達成できない。一方、加熱保持時間が10ｈを超えると、工具寿命に影響しないスケール量が多くなるうえ、生産性が低下する。
【００４０】
また、冷却速度が平均冷却速度で40℃／ｈを超える速い冷却とすると、フェライト相の析出が抑制され、基地中に固溶した合金元素のミクロ偏析の生成が不十分となり、上記したネット状スケール層の生成が困難になる。
また、700 ℃未満で冷却速度を制御しても、ネット状スケール層の成長は進行せず、プラグ寿命に大きな影響を及ぼさない。したがって上記した冷却速度で冷却する、あるいは急冷しても何ら問題はない。なお、850 ℃を超える温度域では工具寿命にほとんど影響しないスケール層の厚みが増加するだけで工具寿命の顕著な長寿命化は得られないため、850 ℃を超える温度域では特に徐冷を必要としない。
【００４１】
なお、上記した熱処理を行ったのち、さらに、２回目の熱処理を続けて実施してもよい。この場合も、２回目の熱処理を上記の条件で行うことが、フェライト主体組織の生成とネット状スケール層の形成の観点から好ましい。また、加熱温度を400 〜500 ℃とする熱処理を追加すれば、スケール層中のFeO がFe3O4 に変態し、スケール層の密着性がさらに向上する。
【００４２】
【実施例】
(実施例１)
表１に示す組成の鋼を大気雰囲気中で溶製し、減圧鋳造法で鋳型に鋳造したのち、一部を機械研削で仕上げ加工して、鋼製穿孔圧延用工具（ピアーサプラグ：最大外径 174mm）とした。このピアーサプラグを素材として、該素材に、一般的な天然ガス燃焼炉（雰囲気制御なし）を用いて、図２に示す熱処理を行い、素材表面にスケール層を形成（スケール付け）した。表面層に形成されたスケール層の構造について断面の組織観察を行った。まず、エッチングを行わない状態で各スケール層の厚さを測定した。また、断面組織写真から、ネット状スケール層中に混合含有される地鉄の含有量（面積％）を画像解析装置を利用して測定した。
【００４３】
ついで、ナイタールで腐食して、スケール層との界面から基材側の組織を観察し、断面組織写真から、画像解析装置を利用して、界面から500 μm の範囲の基材組織中のフェライト相の面積％を測定した。
これら得られたピアーサプラグ (以下、プラグともいう）を用いて、13％Cr鋼製ビレット（直径207mm φ×長さ25ｍ）の穿孔圧延を行った。ビレット１本を穿孔圧延する毎にプラグの表面検査を行った。溶損や焼付きあるいはえぐれ等が発生して寿命と判定されるまでに圧延した圧延本数をプラグ寿命として、プラグの耐久性を評価した。なお、同一水準各４個のプラグについて、各々のプラグ寿命を求め、それらの平均値を算出し、小数点以下を四捨五入して整数値に丸めた値を、各水準のプラグ寿命とした。
【００４４】
得られた結果を表２に示す。
【００４５】
【表１】
【表２】
本発明例はいずれも、厳しい穿孔圧延条件となる13Cr鋼継目無鋼管の穿孔圧延においても、圧延本数８〜15本とプラグ寿命が長寿命化していることがわかる。本発明範囲を外れる比較例はいずれも、圧延本数が１〜３本でありプラグ寿命が短い。
【００４８】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、プラグ等の継目無鋼管穿孔圧延用工具の更なる工具寿命延長が安定して可能となり、継目無鋼管の内面性状が向上するとともに、高合金鋼やステンレス鋼などの熱間変形抵抗が高く、焼付きが生じやすい材料の穿孔圧延の生産性が顕著に向上し、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、雰囲気調整の必要がなく、汎用の熱処理炉を使用でき、製造性が向上し、製造コストが低減するという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図１】スケール層と地鉄との界面形状を模式的に示す断面図である。
【図２】実施例に用いた熱処理条件 (熱処理パターン）を示す説明図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to the manufacture of seamless steel pipes, and more particularly to the improvement of durability of piercing and rolling tools such as plugs used for piercing and rolling of seamless steel pipes.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, the Mannesmann type pipe manufacturing method has been widely practiced as a method for manufacturing seamless steel pipes. In this method, a rolled material (round steel material) heated to a predetermined temperature is first made into a hollow material through a piercing and rolling process using a piercing and rolling machine, and then subjected to a rolling and rolling machine such as an elongator, plug mill, or mandrel mill. This is a method of obtaining a seamless steel pipe having a predetermined size mainly by reducing the outer diameter by a drawing mill or other forming machine after reducing the thickness and further reheating as necessary.
[0003]
As a piercing and rolling mill, a so-called Mannesmann piercer combining two inclined rolls and a piercing plug and two guide shoes, a so-called three-roll piercer combining three inclined rolls and a piercing plug, or two A so-called press roll piercer is known which is a combination of a perforated roll and a perforated plug.
In the piercing and rolling process using such a piercing and rolling machine, the piercer is exposed to a high temperature and high load environment for a long time due to constant contact with a high temperature rolling material or hollow material, and is likely to cause wear, erosion, etc. . For this reason, conventionally, a plug for perforation was subjected to a scale treatment at a high temperature to form an oxide scale film with a thickness of several tens to several hundreds of μm on the plug surface, thereby preventing the plug from being worn.
[0004]
However, recently, there is an increasing demand for seamless steel pipes made of high alloy steel such as 13Cr steel and stainless steel, which have high hot deformation resistance and are difficult to form oxide scale on the surface. When these high-alloy steels such as 13Cr steel and stainless steel are pierced and rolled, the oxide scale coating on the plug surface is severely consumed, and in particular, plug damage accompanied by deformation and seizure of the plug tip occurs frequently at an early stage. This resulted in an increase in cost and a decrease in productivity. For this reason, changing the plug composition or improving the heat treatment conditions for forming the oxide scale film has been proposed.
[0005]
For example, Japanese Examined Patent Publication No. S59-9628 discloses heat treatment of sliding parts for plastic working devices that are subjected to quenching, annealing, or solution treatment in an oxidizing furnace atmosphere containing less than 5% CO gas. A method has been proposed. According to this method, the internal oxide film can be made thick and uniform, and the adhesion between the oxide film and the base metal is improved.
JP-A-59-9154 discloses C: 0.20 to 0.50%, Si: 0.10 to 2.0%, Mn: 0.30 to 2.0%, Cr: 1.0 to 6.0%, Ni: 1.0 to 6.0%, Mo: A method for producing a tool material for seamless steel pipe production is proposed in which a cast alloy containing 0.50 to 5.0% and Nb: 0.20 to 1.5% is molded and then subjected to a heat treatment in a temperature range of 900 to 1250 ° C in an oxidizing atmosphere. ing. However, the technique described in Japanese Patent Laid-Open No. 59-9154 has a problem that when high alloy steel such as 13Cr steel is pierced and rolled, the tool is damaged early and seizure occurs.
[0006]
JP-A-63-69948 discloses that C: 0.26 to 0.35%, Si: 0.10 to 1.0%, Mn: 0.20 to 2.00%, Cr: 2.00 to 4.00%, Ni: 0.50 to 2.00%, Nb: A casting alloy containing one or more of 0.10 to 0.50%, W: 0.50 to 2.00%, Co: 0.50 to 2.00%, V: 0.10 to 0.50%, in an oxidizing atmosphere, 800 to There has been proposed a method for manufacturing a tool material for manufacturing a seamless steel pipe, which is subjected to heat treatment in which the temperature is maintained at 1100 ° C. and then cooled to 450 ° C. at a rate of 30 ° C./h or less. However, the technique described in Japanese Patent Laid-Open No. 63-69948 has a problem that when a high alloy steel such as 13Cr steel is rolled, the tool is damaged early and seizure occurs, resulting in a short tool life.
[0007]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 8-193441 discloses that an oxygen partial pressure in a heating furnace is adjusted to a predetermined low range in relation to the heating temperature of the tool at 900 to 1050 ° C. for 2 to 15 hours. A method for manufacturing a tool for hot working is proposed in which a wustite generation process is performed at least once and then cooled to 800 to 500 ° C. and air-cooled once or more, and further a magnetite generation process is performed at 400 to 500 ° C. for 1 hour or more. ing. However, with the technique described in Japanese Patent Laid-Open No. 8-193441, although a certain level of life improvement effect can be obtained, the oxygen partial pressure in the furnace is reduced to 10%.-17~Ten-TenStrict atmosphere control of adjusting to atm is necessary, and there was a problem that plug manufacturing cost increased and plug productivity decreased. Japanese Patent Application Laid-Open No. 8-193241 discloses that the composition, the amount of pores, the amount of metal precipitates, the thickness of the scale, and the like are within a predetermined range in addition to the amount of magnetite in the scale layer. Even in such a scale form without suppressing the atmosphere, rolling a high alloy steel such as 13Cr steel has a problem that the tool is damaged relatively early and the tool life is still short.
[0008]
Japanese Patent Laid-Open No. 10-5821 discloses that a plug material made of low alloy steel is heated to 1050 to 1250 ° C. in an oxidizing atmosphere, and then the material Ac is used in the same oxidizing atmosphere.ThreeTransformation temperature and Ac1A heat treatment method for a seamless steel pipe manufacturing plug that is maintained at a temperature between the transformation temperatures has been proposed. Thereby, a scale layer is formed on the plug surface, and the plug life at the time of drilling is improved. However, plugs manufactured by this method still have insufficient scale adhesion, and when subjected to severe rolling to roll high alloy steel such as 13Cr steel, the scale layer peels off early and the tool becomes There was a problem that the tool life was short due to damage.
[0009]
JP-A-11-179407 discloses C: 0.1 to 0.4%, Si: 0.1 to 3%, Mn: 0.20 to 2%, Cr: 0.5 to 5%, Ni: 0.5 to 10%, Cu: 0.05 -5%, Mo: 0.5-5%, W: 0.5-5%, Co: 0.5-5%, Ti: 0.015-1%, sol.Al: 0.01-0.1%, and 7 (Co%) A tool for manufacturing a seamless steel pipe having a composition in which −10 (C%) — (Ni%) satisfies a range of 0 to 18 and subjected to a heat treatment for scaling has been proposed. However, even with the tool described in Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-179407, a sufficient plug life could not be secured in recent severe 13Cr steel rolling.
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
Recently, along with the increase in demand for seamless steel pipes made of high alloy steel such as 13Cr steel and stainless steel, there has been a demand for longer tool life for piercing and rolling such as plugs.
In view of such circumstances, an object of the present invention is to propose a seamless steel pipe piercing and rolling tool that has a stable and longer tool life.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above-mentioned problems, the present inventors diligently studied the relationship between the form of the surface layer of the tool for piercing and rolling and the tool life. As a result, of the scale layers formed on the surface of the substrate, the scale layer formed on the substrate side is a net-like scale layer intricately entangled with the ground iron.NoBy making the base material structure in the range of 500 μm in the depth direction from the interface between the kale layer and the base material in the depth direction into a structure having a ferrite phase with an area ratio of 50% or more, peeling of the scale layer It has been found that wear is suppressed and the tool life for piercing and rolling is significantly improved.
[0012]
The present invention has been completed by further investigation based on the above findings.
That is, the present invention is a piercing-rolling tool having a scale layer on a surface layer of a base material, wherein the base material is, in mass%, C: 0.05 to 0.5%, Si: 0.1 to 1.5%, Mn: 0.1. -1.5%, Cr: 0.1-1.0%, Mo: 0.5-3.0%, W: 0.5-3.0%, Nb: 0.1-1.5%, Co: 0.1-3.0%, Ni: 0.5-2.5% Next Equation (1)
1 <(Ni + Co) <4 (1)
(Here, Ni, Co: Content of each element (mass%))
In addition, Al: 0.05% or less(However, 0.05 % Excluded)Or, further, V: 1.5% or less, Ti: containing one or two selected from 0.3% or less, the balance consisting of Fe and unavoidable impurities, the base material of the scale layer The scale layer formed on the side is a net-like scale layer intricately intertwined with the ground steel having a thickness of 30 to 200 μm in the depth direction.RecordingDurability characterized by having a substrate structure in the range of 500 μm on the substrate side in the depth direction from the interface between the kale layer and the substrate to a structure having a ferrite phase of 50% or more in area ratio It is an excellent tool for piercing and rolling, and in the present invention, the content of the base iron in the net scale layer is preferably 10 to 80% in terms of area ratio.
[0013]
In the present invention, the scale layer preferably has a metal precipitate-containing scale layer containing granular and / or string-like metal precipitates or alloy precipitates as an upper layer of the net-like scale layer. In the present invention, the thickness of the metal precipitate-containing scale layer is preferably 40 μm or more in the depth direction. In the present invention, the maximum length of the metal precipitate or alloy precipitate of the metal precipitate-containing scale layer is 0.5 to 5 μm.
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The piercing and rolling tool of the present invention is a piercing and rolling tool having a scale layer on the surface layer of a base material having a specific composition.
First, the reason for limiting the composition of the base material of the piercing and rolling tool will be described. Hereinafter, the mass% related to the composition is simply expressed as%.
[0015]
C: 0.05-0.5%
C is an element that solidifies to increase the strength of the material, or forms carbides to suppress a decrease in the high temperature strength of the material. In addition, in order to promote the growth of scale, in the present invention, 0.05% or more Containing is required. On the other hand, if the content exceeds 0.5%, it becomes difficult to precipitate the ferrite phase in the base material structure, the melting point is lowered, the high temperature strength is significantly lowered, and the tool life is shortened. For this reason, C was limited to the range of 0.05 to 0.5%.
[0016]
Si: 0.1 to 1.5%
Si acts as a deoxidizing agent, strengthens the matrix by solid solution, increases the carbon activity, facilitates precipitation of the ferrite phase in the base material structure, promotes selective oxidation and is rich in adhesion. It is an element that promotes the generation of scale, and in the present invention, it is necessary to contain 0.1% or more. On the other hand, if the content exceeds 1.5%, dense SiO2 on the substrate surface2A film is formed to inhibit the oxidation of Fe and the growth of the net-like scale layer. For this reason, Si was limited to 0.1 to 1.5%. In addition, it is preferable to set it as 0.1 to 1.0%.
[0017]
Mn: 0.1 to 1.5%
Mn is an element that has the effect of solid solution to increase the high temperature strength and bind to S to form MnS to ensure the ductility of the substrate. In the present invention, it is required to contain 0.1% or more. On the other hand, if the content exceeds 1.5%, the growth of the net scale layer is inhibited. For this reason, Mn was limited to 0.1 to 1.5%. In addition, Preferably it is 0.1 to 1%.
[0018]
Cr: 0.1 to 1.0%
Cr is an element that dissolves in the matrix and forms carbides to increase the high-temperature strength and promotes selective oxidation to improve the adhesion of the scale layer. In the present invention, it contains 0.1% or more. I need. However, when Cr is contained in an amount exceeding 1.0%, a dense Cr oxide is formed on the surface of the base material, which inhibits the oxidation of Fe and inhibits the growth of the net scale layer. In addition, a large amount of Cr decreases the carbon activity of the base material, inhibits the formation of the ferrite phase in the base material structure, and makes the base material structure near the interface with the scale layer a main structure of the ferrite phase. It becomes difficult. For this reason, Cr was limited to 0.1 to 1.0%.
[0019]
Mo: 0.5-3.0%
Mo is an important element that forms fine microsegregation in the ferrite phase, promotes selective oxidation, and promotes the formation of a net-like scale layer. Mo oxide sublimates at a temperature of 650 ° C or higher, and O2, H2, H2O, CO, CO2To promote selective oxidation and growth of the decarburized layer. Such an effect is recognized when the content is 0.5% or more. On the other hand, if the content exceeds 3.0%, the microsegregation becomes coarse, the net scale layer becomes rough, and the melting point is lowered to promote the melting of the tool. For this reason, Mo was limited to 0.5 to 3.0%.
[0020]
W: 0.5-3.0%
W, like Mo, forms fine microsegregation in the ferrite phase, promotes selective oxidation, facilitates the formation of Ni, Co negative segregation, and promotes the growth of the net-like scale layer. . Further, W dissolves in the base and forms carbides to increase the high temperature strength. Such an effect is recognized when the content is 0.5% or more. On the other hand, if the content exceeds 3.0%, the microsegregation becomes coarse, the net scale layer becomes rough, and the melting point is lowered to promote the melting of the tool. For this reason, W was limited to 0.5 to 3.0%.
[0021]
Nb: 0.1-1.5%
Nb has a large binding force with C, reduces free C in the base, promotes the formation of a ferrite phase, and has a function of making the base material structure near the interface with the scale layer a structure mainly composed of ferrite. Further, Nb easily forms Nb carbide at the crystal grain boundary, and Nb carbide easily oxidizes, so that it has an action of promoting the formation of a net-like scale layer as an oxygen penetration path. In addition, Nb has a small amount of solid solution in the base and easily forms micro-segregation in the base, and Nb has a large affinity with Mo, and thus has an effect of promoting micro-segregation of Mo. Such an effect is recognized when the content is 0.1% or more. However, when the content exceeds 1.5%, the Nb carbides are coarsened, the tool is likely to break, and the castability is further deteriorated. For this reason, Nb was limited to the range of 0.1 to 1.5%.
[0022]
Co: 0.1-3.0%
Co dissolves in the base to increase the high-temperature strength, and is more difficult to oxidize than Fe and Mo. Therefore, it promotes the selective oxidation of Fe and Mo and promotes the formation of a net-like scale layer rich in adhesion. Have a job. That is, since Co is less oxidized than Fe and Mo, it is concentrated in the ground iron in the vicinity of the selective oxidation part during the growth process of the net scale layer. In addition, since the oxidation is suppressed in the region where the Co is enriched, the formation of the complex intertwined state of the earth and the scale is facilitated. Since the Co-enriched steel region is rich in ductility, it becomes more compatible with the scale and has the effect of preventing scale peeling. In order to obtain such an effect, it is necessary to contain Co: 0.1% or more. In addition, Preferably, it is 0.5% or more. On the other hand, if the content exceeds 3.0%, Co will concentrate linearly at the interface between the base material and the scale layer, thus suppressing the selective oxidation of Fe and Mo and suppressing the formation of a net-like scale layer. To do. For this reason, Co was limited to 0.1 to 3.0%.
[0023]
Ni: 0.5-2.5%
Ni dissolves to improve the strength and toughness of the material, and, like Co, is less susceptible to oxidation than Fe and Mo. Therefore, it promotes selective oxidation of Fe and Mo and has a highly adhesive net-like scale layer. Promote the formation of Similar to Co, Ni is concentrated in the base iron near the selective oxidation part during the growth of the net scale layer. Since the Ni-enriched steel region is highly malleable, it has better compatibility with the scale and has the effect of preventing scale peeling. In order to obtain such an effect, the content of Ni: 0.5% or more is required. On the other hand, if the content exceeds 2.5%, Ni will be excessively concentrated at the interface between the base material and the scale layer, so the selective oxidation of Fe and Mo is suppressed, and the formation of a net-like scale layer is suppressed. . For this reason, Ni was limited to 0.5 to 2.5%.
[0024]
Ni and Co are within the above-mentioned range, and the following formula (1)
1 <(Ni + Co) <4 (1)
(Here, Ni, Co: Content of each element (mass%))
Is contained under conditions that satisfy
Ni and Co are elements that promote the formation of net-like scale as described above, but when their total content (Ni + Co) is 4% or more, it is excessive at the interface between the substrate and the scale layer. Concentrates to prevent selective oxidation of Fe and Mo, making it difficult to form a net-like scale layer. On the other hand, when the total content of Ni and Co (Ni + Co) is 1% or less, the formation of the net scale layer is not promoted. For this reason, the total content of Ni and Co (Ni + Co) is set to be more than 1 and less than 4.
[0025]
Al: 0.05% or less
Al acts as a deoxidizer, and such an effect is noticeable with a content of 0.01% or more. However, when it exceeds 0.05%, castability deteriorates, and pinholes and shrinkage cavities tend to occur. At the same time, a dense oxide is formed on the surface of the substrate during the heat treatment to inhibit the growth of the net scale. For this reason, Al was limited to the range of 0.05% or less. Instead of Al, 0.05% or less of REM and / or 0.01% or less of Ca may be contained.
[0026]
One or two selected from V: 1.5% or less, Ti: 0.3% or less
V and Ti are elements that form carbides, nitrides or carbonitrides and strengthen the matrix, and can be selected and contained. Such effects are remarkably recognized when V: 0.1% or more and Ti: 0.05% or more, respectively. On the other hand, if the content exceeds V: 1.5% and Ti: 0.3%, tool breakage tends to occur. For this reason, it is preferable to limit to V: 1.5% or less and Ti: 0.3% or less, respectively.
[0027]
The balance other than the above components is Fe and inevitable impurities. As unavoidable impurities, P: 0.05% or less, S: 0.03% or less, Cu: 0.2% or less, Zr: 0.03% or less, Pb: 0.05% or less, Sn: 0.05% or less, Zn: 0.05% or less, N: Any value of 0.05% or less is acceptable.
And the piercing-rolling tool of the present invention, as shown in FIG. 1, the scale layer formed on the substrate side among the scale layers formed on the surface layer of the substrate having the specific composition described above is in the depth direction. A net-like scale layer intricately intertwined with the steel having a thickness of 30 to 200 μm, andTheA base material structure in the range of 500 μm on the base material side in the depth direction from the interface between the kale layer and the base material, and a structure having a ferrite phase of 50% or more in area ratio (hereinafter also referred to as a ferrite main structure) To do.
[0028]
In the present invention, the net-like scale layer means that the interface with the base metal of the base material is selectively oxidized and becomes non-uniform as shown in FIG. It shall mean the scale layer it has.
Among the scale layers formed on the surface layer of the base material, the scale layer formed on the base material side is a net-like scale layer in which the scale and the scale are entangled in a complicated manner. Scale layer peeling due to shear sliding can be suppressed. The net-like scale layer is in a state where the ground iron and the scale layer are mixed, and Ni and Co are concentrated in the ground iron in the vicinity of the net-like scale layer. In combination with the improvement of the adhesion, the adhesion of the scale layer is remarkably improved, and the abrasion and peeling of the scale layer are remarkably suppressed. Due to the presence of such a net-like scale layer, the scale layer tends to remain on the surface of the substrate, and therefore, the seizure of the tool is prevented by the lubricating action of the scale layer, and the tool life can be extended.
[0029]
In order to prevent damage to the tool and prolong the life of the tool, the net-like scale layer has a thickness of 30 to 200 μm in the depth direction. If the thickness of the net scale layer is less than 30 μm, the net scale layer disappears early due to friction with the rolled material during rolling, and the tool is damaged. On the other hand, when the thickness exceeds 200 μm, the strain in the net-like scale layer increases, the peeling of the scale layer is promoted, and the tool life is reduced. Further, an excessive increase in the scale layer thickness decreases the dimensional accuracy of the tool and further increases the heat treatment time, which is economically disadvantageous. In the present invention, the thickness of the net-like scale layer indicates the thickness of the layer in which the scale and the ground iron are intricately intertwined (FIG. 1), and the thickness of the net-like scale layer has penetrated into the ground iron from the tip of the ground iron that has penetrated into the scale. It shall be the distance to the scale tip.
[0030]
Furthermore, in this invention, it is preferable that the ratio (content) of the ground iron mixed in a net-like scale layer shall be 10 to 80% by an area rate. When the content of the ground iron in the net scale layer is less than 10 area%, the adhesion of the scale layer is reduced, the scale layer is easily peeled off, and the amount of tool wear increases. On the other hand, if the content of the ground iron in the net scale layer exceeds 80 area%, the amount of scale becomes too small, and the lubrication and heat insulation effects of the scale are reduced, and seizure, erosion, etc. are likely to occur. Thus, the tool life is reduced.
[0031]
Furthermore, in the present invention, in addition to the generation of the net scale layer described above, the surface layer of the base material, SuA base material structure in a range of 500 μm on the base material side in the depth direction from the interface between the kale layer and the base material is a ferrite main structure as shown in FIG. In the present invention, the ferrite main structure means a structure having a ferrite phase of 50% or more in area ratio.
[0032]
By making the structure in the range of 500 μm from the interface with the scale layer to the substrate side into a ferrite-based structure, micro segregation of Mo is likely to occur, and the area is selectively oxidized, making it easy to form a net scale Then, by the oxidation heat treatment, Ni, Co 2 and the like are further concentrated in the base iron region near the selectively oxidized region, and the adhesion of the net-like scale layer is further improved. Thus, making the structure within a predetermined range from the interface with the scale layer to the base material side a ferrite-based structure is a factor for improving the peeling resistance and abrasion resistance of the scale. Furthermore, by making the structure within a predetermined range from the interface with the scale layer to the base material side a ferrite main body structure, the ferrite phase is soft and highly ductile, so the familiarity between the scale layer and the base material It has the effect of improving the scale and directly suppressing the peeling and abrasion of the scale. When the ferrite phase of the ferrite main structure is less than 50% by area, the scale peeling and abrasion inhibiting action is reduced. The ferrite phase of the ferrite main structure is preferably 60% by area or more. The ferrite main structure has no particular problem even if the ferrite phase becomes 100 area%. The second phase other than the ferrite phase is not particularly limited.
[0033]
In the piercing and rolling tool of the present invention, the scale layer formed on the surface preferably has a metal precipitate-containing scale layer as an upper layer of the net-like scale layer. As shown in FIG. 1, the metal precipitate-containing scale layer is a scale layer containing granular and / or string-like metal precipitates or alloy precipitates in the scale layer. The scale layer including such granular and / or string-like metal precipitates or alloy precipitates is a scale layer in which hard oxides such as Si, Cr, Mo, W, Mn, and Nb coexist, It is a scale layer with excellent wear characteristics. The presence of metal precipitates or alloy precipitates in the scale layer makes the anchor effect of preventing scale peeling remarkable and greatly improves the tool life. The metal precipitate or alloy precipitate is a precipitate (metal or alloy) mainly composed of Ni and / or Co, and has a maximum length of about 0.5 to 5 μm.
[0034]
The metal precipitate-containing scale layer preferably has a thickness of 40 μm or more in the depth direction. When the thickness of the metal precipitate-containing scale layer is less than 40 μm, the effect of improving the tool life is small. If the thickness of the metal precipitate-containing scale layer is 200 μm or more, the effect of improving the tool life is saturated.
As described above, in the piercing and rolling tool of the present invention, as the surface layer of the base material having a specific composition, the base material side has a ground iron region having a ferrite main structure mainly composed of ferrite, and as an upper layer thereof, It is preferable to have a net-like scale layer and a metal precipitate-containing scale layer in this order, and further to have an outer scale layer as an upper layer. The outer scale layer is not particularly limited because it does not affect the tool life. The outer scale layer may be a scale layer formed as an upper layer when the ferrite main structure, the net-like scale layer, and the metal precipitate-containing scale layer are formed as described above, and need to be specifically limited. Absent. The outer scale layer is usually formed from Fe oxide.
[0035]
Below, the preferable manufacturing method of the tool for piercing-rolling of this invention is demonstrated.
The molten metal having the above composition is melted by a generally known method such as electric furnace melting or high frequency furnace melting, and cast by a generally known casting method such as a vacuum casting method, a green mold casting method, a shell mold casting method, etc. It is preferable to use a shaped substrate (tool). In addition, it is good also as a base material (tool) of a predetermined shape by cutting from a steel piece.
[0036]
The substrate having the above composition is then subjected to a heat treatment to form a scale layer on the substrate surface. The heat treatment is preferably performed in a decarburizing atmosphere or an oxidizing atmosphere having a low carbon potential in order to precipitate ferrite on the substrate surface. As a decarburizing atmosphere with a low carbon potential, O2, CO2, H2Any atmosphere containing O may be used, and heat treatment may be performed in a general-purpose furnace such as a natural gas furnace or an air atmosphere furnace.
[0037]
The preferable heat treatment conditions for manufacturing the piercing and rolling tool of the present invention are as follows.
The substrate having the above composition is heated and held at 900 to 1100 ° C., preferably 3 h to 10 h or more, and then the temperature region up to 700 ° C. is cooled at an average cooling rate of 40 ° C./h or less at least once. As mentioned above, it is preferable to apply it twice or less. In particular, since the net-like scale layer and the ferrite main structure grow by slow cooling in the temperature range of 850 to 700 ° C, it is preferable that the temperature range of 850 to 700 ° C is gradually cooled at 30 ° C / h or less. .
[0038]
As a result, the ferrite precipitates and / or the alloy element dissolved in the matrix diffuses according to the temperature and the cooling rate, precipitates and disperses as carbides, concentrates near the grain boundaries, Micro segregation of alloying elements such as Mo and W occurs inside. The presence of micro-segregation of alloy elements such as Mo and W induces non-uniform oxidation (selective oxidation) of Fe and Mo by subsequent heat treatment, resulting in the concentration of Ni and Co in the base iron. A net-like scale layer with an intricately intertwined interface with the steel is grown. The growth of the net scale layer is realized only by slow cooling in this temperature range, and the net scale is not generated by holding at a specific temperature.
[0039]
On the other hand, when the heating temperature exceeds 1100 ° C., the growth of the outer surface scale becomes remarkable and the formation of a scale layer with good adhesion is hindered. On the other hand, when the heating temperature is less than 900 ° C., the solid solution of the alloy element is not promoted, and the microsegregation distribution of the desired alloy element by the subsequent heat treatment cannot be achieved, so that the growth of the net-like scale is hindered.
Further, when the heating and holding time is less than 3 hours, sufficient alloy element solid solution cannot be achieved. On the other hand, if the heating and holding time exceeds 10 hours, the amount of scale that does not affect the tool life increases, and the productivity decreases.
[0040]
Moreover, if the cooling rate is fast cooling exceeding 40 ° C./h as an average cooling rate, the precipitation of the ferrite phase is suppressed, the generation of microsegregation of the alloy elements dissolved in the matrix becomes insufficient, and the above-described net-like shape Generation of the scale layer becomes difficult.
Even if the cooling rate is controlled at less than 700 ° C., the growth of the net-like scale layer does not proceed and the plug life is not greatly affected. Therefore, there is no problem even if the cooling is performed at the cooling rate described above or the cooling is performed rapidly. Note that in the temperature range above 850 ° C, the thickness of the scale layer, which hardly affects the tool life, only increases, and a significant increase in tool life cannot be obtained. And not.
[0041]
Note that after the above heat treatment, the second heat treatment may be continued. Also in this case, it is preferable to perform the second heat treatment under the above-mentioned conditions from the viewpoints of generating a ferrite main structure and forming a net scale layer. In addition, if a heat treatment with a heating temperature of 400-500 ° C is added, FeO in the scale layer becomes FeThreeOFourTo improve the adhesion of the scale layer.
[0042]
【Example】
(Example 1)
Steel with the composition shown in Table 1 is melted in the air atmosphere, cast into a mold by the reduced pressure casting method, and then a part is finished by mechanical grinding to make a steel piercing and rolling tool (piercer plug: maximum outer diameter 174 mm) ). Using this piercer plug as a material, the material was subjected to the heat treatment shown in FIG. 2 using a general natural gas combustion furnace (without atmosphere control) to form a scale layer (scaling) on the material surface. The structure of the scale layer formed on the surface layer was observed for the structure of the cross section. First, the thickness of each scale layer was measured without etching. Further, from the cross-sectional structure photograph, the content (area%) of the base iron mixed and contained in the net scale layer was measured using an image analysis device.
[0043]
Next, it corrodes with nital and observes the structure on the substrate side from the interface with the scale layer. From the cross-sectional structure photograph, the ferrite phase in the substrate structure in the range of 500 μm from the interface is obtained using an image analyzer. The area% of was measured.
Using these obtained piercer plugs (hereinafter also referred to as plugs), a 13% Cr steel billet (diameter 207 mm φ × length 25 m) was pierced and rolled. The surface of the plug was inspected every time one billet was pierced and rolled. The durability of the plug was evaluated by setting the number of rolls rolled until melt life, seizure, or chipping occurred and the life was judged as the plug life. For each of the four plugs of the same level, the plug life of each was obtained, the average value thereof was calculated, and the value rounded to the integer value by rounding off the decimal point was taken as the plug life of each level.
[0044]
The obtained results are shown in Table 2.
[0045]
[Table 1]
[Table 2]
It can be seen that in all of the examples of the present invention, in the piercing and rolling of 13Cr steel seamless steel pipe, which is a severe piercing and rolling condition, the number of rolling is 8 to 15 and the plug life is extended. In any of the comparative examples outside the scope of the present invention, the number of rolling is 1 to 3, and the plug life is short.
[0048]
【The invention's effect】
As described above in detail, according to the present invention, it is possible to stably extend the tool life of a seamless steel pipe piercing and rolling tool such as a plug, improve the inner surface properties of the seamless steel pipe, The productivity of piercing and rolling of materials such as steel and stainless steel, which have high hot deformation resistance and are likely to be seized, is remarkably improved and has a remarkable industrial effect. Further, according to the present invention, there is no need to adjust the atmosphere, a general-purpose heat treatment furnace can be used, and there is an effect that productivity is improved and manufacturing cost is reduced.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view schematically showing an interface shape between a scale layer and a ground iron.
FIG. 2 is an explanatory diagram showing heat treatment conditions (heat treatment pattern) used in the examples.
Claims (4)
Ｃ：0.05〜0.5 ％、 Si：0.1 〜1.5 ％、
Mn：0.1 〜1.5 ％、 Cr：0.1 〜1.0 ％、
Mo：0.5 〜3.0 ％、 Ｗ：0.5 〜3.0 ％、
Nb：0.1 〜1.5 ％
を含み、さらに、
Co：0.1 〜3.0 ％、 Ni：0.5 〜2.5 ％
を下記 (１) 式を満足する条件で含み、さらにAl：0.05％以下（ただし、 0.05 ％は除く）、あるいはさらに、Ｖ：1.5 ％以下、Ti：0.3 ％以下のうちから選ばれた１種または２種を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、前記スケール層のうち基材側に形成されるスケール層を深さ方向で30〜200 μm の厚さを有する地鉄と複雑に絡み合うネット状スケール層とし、前記スケール層と基材との界面から深さ方向に基材側に500 μm の範囲の基材組織を、面積率で、50％以上のフェライト相を有する組織とすることを特徴とする耐久性に優れた穿孔圧延用工具。
記
１＜（Ni＋Co）＜４ ………（１）
ここに、Ni,Co ：各元素の含有量 (質量％）A piercing and rolling tool having a scale layer on a surface layer of a substrate, wherein the substrate is in mass%,
C: 0.05 to 0.5%, Si: 0.1 to 1.5%,
Mn: 0.1 to 1.5%, Cr: 0.1 to 1.0%,
Mo: 0.5-3.0%, W: 0.5-3.0%,
Nb: 0.1-1.5%
Including,
Co: 0.1-3.0%, Ni: 0.5-2.5%
In a condition that satisfies the following formula (1), and Al: 0.05% or less ( excluding 0.05 %) , or V: 1.5% or less, Ti: 0.3% or less Or the 2 types of base iron which has the composition which consists of remainder Fe and an unavoidable impurity, and has the thickness of 30-200 micrometers in the depth direction in the scale layer formed in the base material side among the said scale layers a net-like scale layer complex intertwined and, before the substrate tissue in the range of 500 [mu] m in the depth direction from the interface to the substrate side of the kissing scale layer and the substrate, an area ratio of 50% or more of ferrite phase A piercing-rolling tool excellent in durability, characterized by having a structure having
Record
1 <(Ni + Co) <4 (1)
Here, Ni, Co: Content of each element (mass%)
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