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JP3796317B2 - 電子ビーム露光方法及びそれを用いたデバイス製造方法 - Google Patents

電子ビーム露光方法及びそれを用いたデバイス製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子ビーム露光方法及びそれを用いたデバイス製造方法に関し、特にウエハ直接描画またはマスク、レチクル露光の為に、複数の電子ビームを用いてパターン描画を行う電子ビーム露光方法及びそれを用いたデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ビーム露光装置には、ビームをスポット状にして使用するポイントビーム型、サイズ可変の矩形断面にして使用する可変矩形ビーム型、ステンシルを使用して所望断面形状にするステンシルマスク型等の装置がある。
【0003】
ポイントビーム型の電子ビーム露光装置ではスループットが低いので、研究開発用にしか使用されていない。可変矩形ビーム型の電子ビーム露光装置では、ポイント型と比べるとスループットが1〜2桁高いが、0.1μm程度の微細なパターンが高集積度で詰まったパターンを露光する場合などではやはりスループットの点で問題が多い。他方、ステンシルマスク型の電子ビーム露光装置は、可変矩形アバーチャに相当する部分に複数の繰り返しパターン透過孔を形成したステンシルマスクを用いる。従つて、ステンシルマスク型の電子ビーム露光装置では繰り返しパターンを露光する場合のメリットが大きいが、1枚のステンシルマスクに納まらない多数の転写パターンが必要な半導体回路に対しては、複数牧のステンシルマスクを作成しておいてそれを1枚ずつ取り出して使用する必要があり、マスク交換の時間が必要になるため、著しくスループットが低下するという問題ある。
【0004】
この間顕点を解決する装置として、複数の電子ビームを設計上の座標に沿つて試料面に照射し、設計上の座標に沿つてその複数の電子ビームを偏向させて試料面を走査させるとともに、描画するパターンに応じて複数の電子ビームを個別にon/offしてパターンを描画するマルチ電子ビーム型露光装置がある。マルチ電子ビーム型露光装置は、ステンシルマスクを用いずに任意の描画パターンを描画できるのでスルーブットがより改善できるという特徴がある。
【0005】
図18(A)に、マルチ電子ビーム型露光装置の概要を示す。501a、501b、501cは、個別に電子ビームをon/offできる電子銃である。502は、電子銃501a、501b、501cからの複数の電子ビームをウエハ503上に縮小投影する縮小電子光学系で、504は、ウエハ503に縮小投影された複数の電子ビームを偏向させる偏向器である。
【0006】
図18(B)に示すように、電子銃501a、501b、501cからの電子ビームB1,B2,B3は、偏向器504によって同一の偏向量を与えられる。それにより、それぞれのビーム基準位置を基準として、各電子ビームは偏向器504が定める配列(小露光領域)に従ってウエハ上での位置を順次整定して移動する。すなわち、同一の配列に従つて露光すべきパターンを露光する様子を示している。各電子ビームは、同時刻の配列上の位置を(1,1)、(1,2)....(1,16)、(2,1)、(2,2)....(2,16),(3,1)..となるように位置を整定して移動していく。ここで、それぞれの電子ビームの小露光領域ES1、ES2、ES3は、偏向器504によって定まり、各小露光領域は隣接される。そして、各小露光領域では、電子ビームを偏向するとともに電子ビームの照射を制御することによって露光すべきパターン(Pl,P2,P3)が露光される。
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】
各電子ビームB1,B2,B3が露光するパターンP1,P2,P3によって図18(B)のような連続するパターンPOを露光しようとする場合がある。しかしながら、偏向器504の偏向精度もしくは縮小電子光学系502の経時変化等により、図18(C)のように各小露光領域ES1、ES2、ES3が隣接せず、互いに離れることがある。その結果、連続するべきパターンPOは、互いに接しないP1,P2,P3に分断されて、露光される。よって、このようなパターンが露光されたウエハから製造された半導体素子においては、配線の断線等により所望の動作を達成できず、半導体素子製造の歩留まりを著しく低下させるという問題がある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子ビーム露光方法のある形態は、縮小電子光学系を介して、 複数の電子ビームを基板上の互いに異なる位置に入射させ、主偏向器もしくは副偏向器により各電子ビームを偏向させるとともに、各電子ビームの照射を個別に制御することによって、前記基板上にパターンを露光する電子ビーム露光方法において、前記副偏向器により前記複数の電子ビームを偏向し、各電子ビーム毎の小露光領域を露光する段階と、複数の小露光領域で構成されるサブフィールドを露光した後、前記主偏向器によって前記複数の電子ビームを偏向し、再度、前記副偏向器によって前記複数の電子ビームを偏向して各電子ビームの小露光領域を露光することにより次のサブフィールドを露光する段階と、サブフィールド内の前記小露光領域同士が隣接する部分では露光領域が重複するように前記副偏向器を制御する段階と、前記サブフィールド同士が隣接する部分では、サブフィールド内の前記小露光領域が重複する幅より広い幅で露光領域が重複するように前記主偏向器を制御する段階と
を有することを特徴とする。
【0018】
前記小露光領域は、矩形状の露光領域であって、前記副偏向器が前記小露光領域内で各電子ビームを2次元に偏向させる段階を有することを特徴とする。
【0019】
前記重複部分に照射する電子ビームの照射量を、前記重複部分の重複度に基づいて制御する段階を有することを特徴とする。
【0020】
前記重複部分に照射する電子ビームの照射量を、前記小露光領域の境界からの前記電子ビームの照射位置の距離に応じて制御する段階を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の電子ビーム露光装置のある形態は、複数の電子ビームを基板面上の互いに異なる位置に入射させる縮小電子光学系と、前記複数の電子ビームの照射を個別に制御する照射制御手段と、前記複数の電子ビームを偏向し、各電子ビーム毎の小露光領域を露光させる副偏向器と、前記副偏向器より大きい偏向幅で前記複数の電子ビームを偏向する主偏向器と、前記副偏向器によって形成された複数の小露光領域で構成されるサブフィールドを露光した後、前記主偏向器によって前記複数の電子ビームを偏向し、再度、前記副偏向器によって前記複数の電子ビームを偏向して各電子ビーム毎の小露光領域を露光することにより次のサブフィールドを露光するとともに、サブフィールド内の前記小露光領域同士が隣接する部分では露光領域が重複するように前記副偏向器を制御し、前記サブフィールド同士が隣接する部分では、サブフィールド内の前記小露光領域が重複する幅より広い幅で露光領域が重複するように前記主偏向器を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0022】
前記小露光領域は、矩形状の露光領域であって、前記副偏向器は各電子ビームを前記小露光領域内で2次元に偏向させること特徴とする。
【0023】
前記制御手段は、前記照射制御手段によって、前記重複部分に照射する電子ビームの照射量を、前記重複部分の重複度に基づいて制御することを特徴とする。
【0024】
前記制御手段は、前記照射制御手段によって、前記重複部分に照射する電子ビームの照射量を、前記小露光領域の境界からの前記電子ビームの照射位置の距離に応じて制御することを特徴とする。
【0025】
本発明のデバイス製造方法は、上記電子ビーム露光方法若しくは電子ビーム露光装置を用いてデバイスを製造することを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
(電子ビーム露光装置の構成要素説明)
図1は本発明に係る電子ビーム露光装置の要部概略図である。
【0027】
図1において、1は、カソード1a、グリッド1b、アノード1cよりなる電子銃であって、カソード1aから放射された電子はグリッド1b、アノード1cの間でクロスオーバ像を形成する。(以下、このクロスオーバ像を電子源と記す)
【0028】
この電子源から放射される電子は、その前側焦点位置が電子源位置にあるコンデンサーレンズ2によって略平行の電子ビームとなる。略平行な電子ビームは、要素電子光学系アレイ3に入射する。要素電子光学系アレイ3は、ブランキング電極と開口と電子レンズで構成される要素電子光学系が光軸AXに直交する方向に複数配列されて形成されたものである。要素電子光学系アレイ3の詳細については後述する。
【0029】
要素電子光学系アレイ3は、電子源の中間像を複数形成し、各中間像は後述する縮小電子光学系4によって縮小投影され、ウエハ5上に電子源像を形成する。
【0030】
その際、ウエハ5上の電子源像の間隔が電子源像の大きさの整数倍になるように、要素電子光学系アレイ3の各要素は設定されている。更に、要素電子光学系アレイ3は、各中間像の光軸方向の位置を縮小電子光学系4の像面湾曲に応じて異ならせるとともに、各中間像が縮小電子光学系4よってウエハ5に縮小投影される際に発生する収差を予め補正している。
【0031】
縮小電子光学系4は、第1投影レンズ41(43)と第2投影レンズ42(44)とからなる対称磁気タブレットで構成される。第1投影レンズ41(43)の焦点距離をf1、第2投影レンズ42(44)の焦点距離をf2とすると、この2つのレンズ間距離はf1+f2になっている。光軸上AXの物点は第1投影レンズ41(43)の焦点位置にあり、その像点は第2投影レンズ42(44)の焦点に結ぶ。この像は-f2/f1に縮小される。また、2つのレンズ磁界が互いに逆方向に作用する様に決定されているので、理論上は、球面収差、等方性非点収差、等方性コマ収差、像面湾曲収差、軸上色収差の5つの収差を除いて他のザイデル収差および回転と倍率に関する色収差が打ち消される。
【0032】
6は、要素電子光学系アレイ3からの複数の電子ビームを偏向させて、複数の電子源像をウエハ5上でX,Y方向に略同一の変位量だけ変位させる偏向器である。偏向器6は、偏向幅が広い場合に用いられる主偏向器61と偏向幅が狭い場合に用いられる副偏向器62で構成されていて、主偏向器61は電磁型偏向器で、副偏向器62は静電型偏向器である。
【0033】
7は偏向器6を作動させた際に発生する偏向収差による電子源像のフォーカス位置のずれを補正するダイナミックフォーカスコイルであり、8は、ダイナミックフォーカスコイル7と同様に、偏向により発生する偏向収差の非点収差を補正するダイナミックスティグコイルである。
【0034】
9は、要素電子光学系アレイ3からの電子ビームが、ウエハ5上に形成された位置合わせマークもしくはステージ基準板13上のマークを照射した際に生じる反射電子又は2次電子を検出する反射電子検出器である。
【0035】
10は、X及びY方向にのびる2つのシングルナイフエッジを有するファラデーカップで要素電子光学系からの電子ビームが形成する電子源像の電荷量を検出する。
【0036】
11は、ウエハを載置し、光軸AX(Z軸)方向とZ軸回りの回転方向に移動可能なθ-Zステージであって、前述したステージ基準板13とファラデーカップ10が固設されている。
【0037】
12は、θ-Zステージを載置し、光軸AX(Z軸)と直交するXY方向に移動可能なXYステージである。
【0038】
次に、図2を用いて要素電子光学系アレイ3について説明する。
【0039】
要素電子光学系アレイ3は、複数の要素電子光学系をグループ(サブアレイ)とし、そのサブアレイが複数形成されている。そして、本実施例では7つのサブアレイA〜Gが形成されている。各サブアレイは、複数の要素電子光学系が2次元的に配列されている。そして、本実施例の各サブアレイではD(1,1)〜D(5,5)のように25個の要素電子光学系が形成されていて、各要素電子光学系は縮小電子光学系4を介してウエハ上にはX方向もY方向もピッチPb(μm)の間隔で配列する電子源像を形成する。
【0040】
各要素電子光学系の断面図を図3に示す。
【0041】
図3において、301は一対の電極で構成され、偏向機能を有するブランキング電極であり、302は、透過する電子ビームの形状を規定する開口(AP)を有する基板で他の要素電子光学系と共通である。その上にブランキング電極301とブランキング電極301をon/offするための配線(W)が形成されている。303は、3つの開口電極で構成され、上下の電極を加速電位V0と同じにし、中間の電極を別の電位V1またはV2に保った収斂機能を有するユニポテンシャルレンズ303a、303bの2つを用いた電子レンズ群である。
【0042】
ユニポテンシャルレンズ303aの上、中、下の電極及びユニポテンシャルレンズ303bの上、下の電極の形状は図4(A)に示すような形状であり、ユニポテンシャルレンズ303a、303bの上下電極は、後述する焦点・非点制御回路1によって全ての要素電子光学系において共通の電位に設定している。
【0043】
ユニポテンシャルレンズ303aの中間電極は、焦点・非点制御回路1によって要素電子光学系毎に電位が設定出来る為、ユニポテンシャルレンズ303aの焦点距離が要素電子光学系毎に設定できる。
【0044】
また、ユニポテンシャルレンズ303bの中間電極は、図4(B)に示すような4つの電極で構成され、焦点・非点制御回路によって各電極の電位が個別に設定でき、要素電子光学系毎にも個別設定出来るため、ユニポテンシャルレンズ303bは直交する断面において焦点距離が異なるようにでき、かつ要素電子光学系毎にも個別に設定出来る。
【0045】
その結果、要素電子光学系の中間電極の電位をそれぞれ制御することによって、要素電子光学系の電子光学特性(中間像形成位置、非点収差)を制御することができる。
【0046】
コンデンサーレンズ2で略平行にされた電子ビームは、ブランキング電極301と開口(AP)を介し、電子レンズ303によって、電子源の中間像を形成する。この時、ブランキング電極301の電極間に電界をかけていないと電子ビーム束305の様に偏向されない。一方、ブランキング電極301の電極間に電界をかけると電子ビーム束306の様にに偏向される。すると、電子光束305と電子ビーム束306は、縮小電子光学系4の物体面で互いに異なる角度分布を有するので、縮小電子光学系4の瞳位置(図1のP面上)では電子ビーム束305と電子ビーム束306は互いに異なる領域に入射される。したがって、電子ビーム束305だけを透過させるブランキング開口BAを縮小電子光学系の瞳位置(図1のP面上)に設けてある。
【0047】
また、各要素電子光学系は、それぞれが形成する中間像が縮小電子光学系4によって被露光面に縮小投影される際に発生する像面湾曲・非点収差を補正するために、各要素電子光学系の2つの中間電極の電位を個別に設定して、各要素電子光学系の電子光学特性(中間像形成位置、非点収差)を異ならしめている。ただし、本実施例では、中間電極と焦点・非点制御回路1との配線を減らす為に同一サブアレイ内の要素電子光学系は同一の電子光学特性にしてあり、要素電子光学系の電子光学特性(中間像形成位置、非点収差)をサブアレイ毎に制御している。
【0048】
さらに、複数の中間像が縮小電子光学系4によって被露光面に縮小投影される際に発生する歪曲収差を補正するために、予め縮小電子光学系4の歪曲特性を予め知り、それに基づいて、縮小電子光学系4の光軸と直交する方向の各要素電子光学系の位置を設定している。
【0049】
次に電子ビーム露光装置のシステム構成図を図5に示す。
【0050】
ブランキング制御回路14は、要素電子光学アレイ3の各要素電子光学系のブランキング電極のon/offを個別に制御する制御回路、焦点・非点制御回路1(15)は、要素電子光学アレイ3の各要素電子光学系の電子光学特性(中間像形成位置、非点収差)を個別に制御する制御回路である。
【0051】
焦点・非点制御回路2(16)は、ダイナミックスティグコイル8及びダイナミックフォーカスコイル7を制御して縮小電子光学系4の焦点位置、非点収差を制御する制御回路で、偏向制御回路17は偏向器6(主偏向器61、副偏向器62)を制御する制御回路、倍率調整回路18は、縮小電子光学系4の倍率を調整する制御回路、光学特性回路19は、縮小電子光学系4を構成する電磁レンズの励磁電流を変化させ回転収差や光軸を調整する制御回路である。
【0052】
ステージ駆動制御回路20は、θ-Zステージを駆動制御し、かつXYステージ12の位置を検出するレーザ干渉計21と共同してXYステージ12を駆動制御する制御回路である。
【0053】
制御系22は、描画パターンが記憶されたメモリ23からのデータに基づく露光及び位置合わせの為に上記複数の制御回路および反射電子検出器9・ファラデーカップ10を同期して制御する。制御系22は、インターフェース24を介して電子ビーム露光装置全体をコントロールするCPU25によって制御されている。
【0054】
(動作の説明)
図5を用いて本実施例の電子ビーム露光装置の動作について説明する。
【0055】
CPU25は、ウエハに露光するパターンデータが入力されると、ウエハに露光するパターンの最小線幅、線幅の種類、形状に基づいて、偏向器6が電子ビームに与える最小偏向量を決定する。次に偏向器6が定める、各要素電子光学系のからの電子ビームの小露光領域毎のパターンデータに分割し、最小偏向量を配列間隔として、配列要素FMEで構成される共通の配列を設定し、各要素電子光学系毎にパターンデータを共通の配列上で表したデータに変換する。以下、説明を簡略にするために、2つの要素電子光学系a,bを用いて露光する際のパターンデータに関する処理について説明する。
【0056】
図6にウエハ上に露光すべき連続した一つのパターンPOを示す。従前では、パターンPOに対して、要素電子光学系a,bの矩形状の小露光頭城ESa,ESbを、小露光領域ESa,ESbの境界が接するように設定していた。そして最小偏向量を配列間隔として、配列要素FMEで構成される共通の配列を設定し、各要素電子光学系毎にパターンデータを共通の配列上で表したデータに変換し、それに基づいて、各要素電子光学系が、パターンが存在するハッチングされた配列位置で、ブランキング電極をoffにして電子ビームをウエハ上に照射するように制御する要素電子光学系毎の露光制御データを作成していた。
【0057】
本発明では、図6に示すように、パターンPOに対して、要素電子光学系a,bの露光領域ESA,ESBを、露光領域同士が隣接する部分では露光領域が重複するように設定している。すなわち、従前の露光領域ESa,ESbより広い露光領域ESA,ESBを電子ビームが偏向するように、偏向器6を制御している。また重複部分の幅は、偏向器6の位置設定精度(偏向精度)に基づいて設定されている。
【0058】
本発明をより詳細に説明する。図6に示したパターンPOのパターンデータが与えられると、前述したように要素電子光学系a,bの小露光領域ESA,ESBを、小露光領域同士が隣接する部分では露光領域が重複するように設定する。そして、図7(A)に示すようなそれぞれの小露光領域で露光するパターンデータを作成する。
【0059】
また、各電子ビーム毎の小露光領域は副偏向器62によって対応する電子ビームを偏向することにより露光される。そして、副偏向器62によって形成された複数の小露光領域で構成されるサブフィールドを露光した後、主偏向器61によって複数の電子ビームを偏向し、再度、副偏向器62によって複数の電子ビームを偏向して各電子ビームの小露光領域を露光することにより次のサブフィールドを露光する。その際、サブフィールド同士が隣接する部分の小露光領域では、小露光領域(サブフィールド内)が重複する幅より広い幅で露光領域が重複するように設定する。すなわちサブフィールド内で隣接する小露光領域同士の重複する幅に比べ、隣接し互いに異なるサブフィールドの露光領域同士が重複する幅の方をより広く設定している。これは、サブフィールド内で隣接する小露光領域同士に比べ、隣接し互いに異なるサブフィールドの小露光領域同士は、隣接する小露光領域の露光時刻がより異なるので偏向器等の経時変化を受け小露光領域にまたがるパターンの連続性が確保しにくいための対策である。
【0060】
次に、図7(B)に示すように、要素電子光学系a,bのうち少なくとも一つがパターンを露光する時の配列位置から成る領域PP(ハッチング部)を決定する。
【0061】
ここで、複数の電子ビームが配列上の領域PPに位置する時に、電子ビームの位置を整定して露光することにより、ウエハ上に露光すべき全てのパターンが露光できる。また、複数の電子ビームが配列上の領域PP以外の位置(複数の電子ビームが共通して露光しない位置)する時は、電子ビームの位置を整定せずに偏向することにより、電子ビームの無駄な偏向を減らして露光できる。
【0062】
そこで、図7(B)に示す領城PPに関するデータから、電子ビームを整定するべき配列位置を決定し、整定すべき配列位置(領域PPに属する配列位置)のみに電子ビームの位置を整定する偏向制御データを作成する。
【0063】
また、パターンを露光する為には、複数の電子ビームそれぞれの整定される配列位置に応じて、ブランキング電極を制御して各要素電子光学系からの電子ビームの照射を行う必要がある。図7(A)は、それぞれの要素電子光学系からの電子ビームの配列位置に対応した電子ビームの照射を示すものでもあるから、図7(A)を示すデータから、要素電子光学系毎の配列位置に対応したブランキング制御データを作成する。
【0064】
この時、露光するべき位置での露光量を一定にすると、すなわち電子ビームの位置が整定されている時間内に電子ビームの照射時間が一定であると、露光領域が重複する部分での照射量は他の部分のそれの2倍になってしまう。そこで要素電子光学系毎に、露光領域が重複する部分での電子ビームの照射量を減ずるように制御することが必要である。その具体的方法を図8を用いて説明する。
【0065】
前述までは、説明を簡略化するために2つの小露光領域を対象としていたが、本発明の装置では複数の要素電子光学の小露光領域が2次元に配列されているので、図8ではより実際的にするために、4つの小露光領域ES1,ES2,ES3,ES4を2次元に配列している。勿論、ここでも小露光領域同士が隣接する部分では露光領域が重複するように設定している。すると小露光領域ES1において、露光領域が重複していない領域Rと、露光領域が2重に重複している領域DRと、露光領域が4重に重複している領域QRとに分類できる。そこで、小露光頭城ESIを露光する要素電子光学系においては、露光すべき配列位置がどの領域に位置するかによって電子ビームの照射量を変えるように制御されている。すなわち、N重(Nは整数)に重複することを重複度Nとすると、重複度2の領域Rでは基準の照射量を、領域DRでは基準の照射量の0.5を、重複度4の領域QRでは基準の照射量の0.25を、照射するように制御される。言い換えれば、露光領域の重複度に応じた、もしくは露光領域の重複度に反比例した、要素電子光学系からの電子ビーム照射量を照射するように制御されている。
【0066】
また、図9に示すように、重複部分を、露光領域の境界からの距離に応じた領域R1,R2,R3,R4に分類し、領域Rでは基準の照射量を、領域R4では基準の照射量の0.8を、領域R3では基準の照射量の0.6を、領域R2では基準の照射量の0.4を、領域RIでは基準の照射量の0.2を照射するように制御しても良い。言い換えれば、露光領域の境界からの距離に応じた、もしくは露光領域の境界からの距離に比例した、要素電子光学系からの電子ビーム照射量を照射するように制御されている。勿論、前述の重複度に応じた係数をも乗じて照射量を設定しても良い。
【0067】
以上の偏向制御データ、及び要素電子光学系毎のブランキング制御データより、CPU25は、図10に示すような、少なくとも一つの電子ビームが露光する配列位置、その配列位置での各要素電子光学系のブランキング電極の動作時間(電子ビームの照射量を決定する)を要素とする露光制御データを作成する。本実施例では、これらの処理を電子ビーム露光装置のCPU25で処理したが、それ以外の処理装置で行い、その露光制御データをCPU25に転送してもその目的・効果は変わらない。
【0068】
次に、CPU25は、インターフェース24を介して制御系22に「露光の実行」を命令すると、制御系22は上記の露光制御データが転送されたメモリ23上のデータに基づいて下記のステップを実行する。
【0069】
(ステップ1)
制御系22は、内部の基準クロックに同期して順次露光制御データを各制御回路に送る。すなわち、内部の基準クロックに同期して、偏向制御回路17に命じ、偏向器6の副偏向器62によって、要素電子光学系アレイからの複数の電子ビームを各電子ビームに対応する小露光領域内で2次元に偏向させるとともに、ブランキング制御回路14に命じ各要素電子光学系のブランキング電極をウエハ5に露光すべきパターンに応じてon/offさせるとともにその動作時間を制御する。この時XYステージ12はX方向に連続移動しており、偏向制御回路17は、XYステージ12の移動量も含めて電子ビームの偏向位置を制御している。
【0070】
その結果、複数の要素電子光学系からの2つの電子ビームでは、図11に示すように、矩形状の小露光領域(EF1、EF2)が、露光領域同士が隣接する部分では露光領域が重複するように設定されていて、各小露光領域で、それぞれの電子ビーム位置を整定するとともにその照射を行ってパターンを露光する。ここで2つの小露光領域にまたがる連続なパターンPOは、たとえ小露光領域同士の相対的位置関係が設計上の関係から多少ずれても、パターンPOの斜線部(重複部分のパターン)を2つの小露光領域で露光しているので、その形状が歪むだけで、連続パターンは連続パターンとして露光できる。
【0071】
そして、図12に示すように、サブアレイ内の複数の要素電子光学系の小露光領域(EF)も小露光領域同士が隣接する部分では露光領域が重複するように設定されていて、ウエハ5上において、小露光領域同士が隣接する部分では露光領域が重複露光された複数の小露光領域(EF)で構成されるサブアレイ露光フィールド(SEF)が露光される。同時に、ウエハ5上において、図13に示すようなサブアレイAからGのそれぞれが形成するサブアレイ露光フィールド(SEF)で構成されるサブフィールドが露光される。
【0072】
(ステップ2)
制御系22は、図14に示すサブフィールド▲1▼を露光後、サブフィールド▲2▼を露光する為に、偏向制御回路17に命じ、偏向器6の主偏向器61によって、要素電子光学系アレイからの複数の電子ビームを偏向させる。前述したようにサブフィールド▲1▼とサブフィールド▲2▼の隣接する部分では露光領域が重複するように設定されている。その際、サブフィールド内で隣接する小露光領域同士の重複する幅に比べ、隣接し互いに異なるサブフィールドの小露光領域同士が重複する幅の方をより広く設定している。具体的例を、図15(A)、(B)に示す。図15(A)は、同じサブフィールド▲1▼の小露光領域EF1-1,EF1-2の重複領域(斜線領域)を示す図で、図15(B)は、サブフィールド▲1▼の小露光領域EF1-3とサブフィールド▲2▼の小露光領域EF2-1との重複領域(斜線領域)を示す図である。図15(A)(B)に示すように、サブフィールド内で隣接する小露光領域同士(EF1-1,EF1-2)の重複する領域の幅に比べ、隣接し互いに異なるサブフィールドの小露光領域同士(EF1-3,EF2-1)が重複する領域の幅の方を2倍広く設定している。
【0073】
制御系22は、焦点・非点制御回路2に命じ、予め求められた動的焦点補正データに基づいてダイナミックフォーカスコイル7を制御して縮小電子光学系4の焦点位置を補正するとともに、予め求められ動的非点補正データに基づいてダイナミックスティグコイル8を制御して、縮小電子光学系の非点収差を補正する。そして、ステップ1の動作を再度行い、サブフィールド▲2▼を露光する。
【0074】
以上のステップ1、2を繰り返して、図14に示すようにサブフィールド▲3▼▲4▼というようにサブフィールドを順次露光してウエハ全面を露光する。
【0075】
次に上記説明した電子ビーム露光装置及び露光方法を利用したデバイスの生産方法の実施例を説明する。
【0076】
図16は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(露光制御データ作成)では設計した回路パターンに基づいて露光装置の露光制御データを作成する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意した露光制御データが入力された露光装置とウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0077】
図17は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によって回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0078】
本実施例の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを低コストに製造することができる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、各電子ビームが露光するパターンの繋ぎが確実にできるマルチ電子ビーム型の電子ビーム露光方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子ビーム露光装置の要部概略を示す図
【図2】要素電子光学系アレイ3について説明する図
【図3】要素電子光学系を説明する図
【図4】要素電子光学系の電極を説明する図
【図5】本発明に係るシステム構成を説明する図
【図6】各要素電子光学系の小露光領域を説明する図
【図7】各要素電子光学系の小露光領域上で露光されるパターンをを説明する図
【図8】小露光領域の重複を説明する図
【図9】小露光領域内の分類を説明する図
【図10】露光制御データを説明する図
【図11】ウエハ上での各要素電子光学系の小露光領域と露光パターンを説明する図
【図12】サブアレイ露光フィールド(SEF)を説明する図
【図13】サブフィールドを説明する図
【図14】ウエハ全面露光を説明する図
【図15】サブフィールド内で隣接する小露光領域同士の重複する幅と、隣接し互いに異なるサブフィールドの小露光領域同士が重複する幅との違いを説明する図
【図16】微小デバイスの製造フローを説明する図
【図17】ウエハプロセスを説明する図
【図18】従来のマルチビーム型電子ビーム露光装置を説明する図
【符号の説明】
1 電子銃
2 コンデンサーレンズ
3 要素電子光学系アレイ
4 縮小電子光学系
5 ウエハ
6 偏向器
7 ダイナミックフォーカスコイル
8 ダイナミックスティグコイル
9 反射電子検出器
10 ファラデーカップ
11 θ−Zステージ
12 XYステージ
13 ステージ基準板
14 ブランキング制御回路
15 焦点・非点制御回路1
16 焦点・非点制御回路2
17 偏向制御回路
18 倍率調整回路
19 光学特性回路
20 ステージ駆動制御回路
21 レーザ干渉計
22 制御系
23 メモリ
24 インターフェース
25 CPU

Claims (10)

  1. 縮小電子光学系を介して、 複数の電子ビームを基板上の互いに異なる位置に入射させ、主偏向器もしくは副偏向器により各電子ビームを偏向させるとともに、各電子ビームの照射を個別に制御することによって、前記基板上にパターンを露光する電子ビーム露光方法において、
    前記副偏向器により前記複数の電子ビームを偏向し、各電子ビーム毎の小露光領域を露光する段階と、
    複数の小露光領域で構成されるサブフィールドを露光した後、前記主偏向器によって前記複数の電子ビームを偏向し、再度、前記副偏向器によって前記複数の電子ビームを偏向して各電子ビームの小露光領域を露光することにより次のサブフィールドを露光する段階と、
    サブフィールド内の前記小露光領域同士が隣接する部分では露光領域が重複するように前記副偏向器を制御する段階と、
    前記サブフィールド同士が隣接する部分では、サブフィールド内の前記小露光領域が重複する幅より広い幅で露光領域が重複するように前記主偏向器を制御する段階と
    を有することを特徴とする電子ビーム露光方法。
  2. 前記小露光領域は、矩形状の露光領域であって、前記副偏向器が前記小露光領域内で各電子ビームを2次元に変更させる段階を有することを特徴とする請求項1の電子ビーム露光方法。
  3. 前記重複部分に照射する電子ビームの照射量を、前記重複部分の重複度に基づいて制御する段階を有することを特徴とする請求項1または2の電子ビーム露光方法。
  4. 前記重複部分に照射する電子ビームの照射量を、前記小露光領域の境界からの前記電子ビームの照射位置の距離に応じて制御する段階を有することを特徴とする請求項1または2の電子ビーム露光方法。
  5. 請求項1乃至4の電子ビーム露光方法を用いてデバイスを製造することを特徴とするデバイス製造方法。
  6. 複数の電子ビームを基板面上の互いに異なる位置に入射させる縮小電子光学系と、
    前記複数の電子ビームの照射を個別に制御する照射制御手段と、
    前記複数の電子ビームを偏向し、各電子ビーム毎の小露光領域を露光させる副偏向器と、
    前記副偏向器より大きい偏向幅で前記複数の電子ビームを偏向する主偏向器と、
    前記副偏向器によって形成された複数の小露光領域で構成されるサブフィールドを露光した後、前記主偏向器によって前記複数の電子ビームを偏向し、再度、前記副偏向器によって前記複数の電子ビームを偏向して各電子ビーム毎の小露光領域を露光することにより次のサブフィールドを露光するとともに、サブフィールド内の前記小露光領域同士が隣接する部分では露光領域が重複するように前記副偏向器を制御し、前記サブフィールド同士が隣接する部分では、サブフィールド内の前記小露光領域が重複する幅より広い幅で露光領域が重複するように前記主偏向器を制御する制御手段とを有することを特徴とする電子ビーム露光装置。
  7. 前記小露光領域は、矩形状の露光領域であって、前記副偏向器は各電子ビームを前記小露光領域内で2次元に偏向させることを特徴とする請求項6の電子ビーム露光装置。
  8. 前記制御手段は、前記照射制御手段によって、前記重複部分に照射する電子ビームの照射量を、前記重複部分の重複度に基づいて制御することを特徴とする請求項6または7の電子ビーム露光装置。
  9. 前記制御手段は、前記照射制御手段によって、前記重複部分に照射する電子ビームの照射量を、前記小露光領域の境界からの前記電子ビームの照射位置の距離に応じて制御することを特徴とする請求項6または7の電子ビーム露光装置。
  10. 請求項6乃至9の電子ビーム露光装置を用いてデバイスを製造することを特徴とするデバイス製造方法。
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