JP3796387B2 - Method for forming post-installation anchor mounting hole and pilot hole diameter expanding tool - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はあと施工アンカーを取付けるための孔を形成する方法、特にコンクリート、石材、岩盤等の母材に穿設した下穴を拡径してあと施工アンカーの引抜抵抗を大きくする取付孔を形成する方法および前記下穴を拡径する器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より接着系アンカーの引抜抵抗を大きくするためにコンクリート、石材、岩盤等の母材に穿設した均一径の下穴の壁面に複数の拡径部を削成することが知られている。
【0003】
また前記複数の拡径部を削成する下穴拡径具として、特公平2−23323号公報には図6で示すようにシャフト50の先端にカッター30を形成するとともにシャフト50に球面のフランジ51を取付け、しかもフランジ51に対してシャフト50を軸方向に移動可能に取付けたものが開示され、また特開昭52−86902号公報には図7で示すようにシャフト50の先端周面の一側にカッター31を形成するとともにカッター31側の重量を大きくしたものが開示されている。
【0004】
そして前者の場合には均一径の下穴40にシャフト50を挿入し、シャフト50をフランジ51を介してストッパ52で支持しつつ旋回し、壁面41に当て付けたカッター30で壁面41を切削して第1の拡径部42aを削成し、しかる後シャフト50を垂直に立て、シャフト50をフランジ51を貫通しつつ上下方向に移動し、再びカッター30による前記作業を行なって第2の拡径部42bを削成し、さらに前記工程を繰り返して所望数の拡径部42a、42b、42cを削成している。
【0005】
後者の場合には均一径の下穴40にシャフト50を挿入し、シャフト50を回動することにより遠心力でカッター31を外方に弯曲させ、前記弯曲したカッター31で壁面41を切削して第1の拡径部42aを削成することが開示されており、このことから複数の拡径部を削成するには前記第1の拡径部42aの削成後シャフト50の回動を停止し、シャフト50を上下方向に移動し、再びカッター31による前記作業を行なって第2の拡径部42bを削成し、さらに前記工程を繰り返して所望数の拡径部42a、42b・・・を削成することが推認される。なお前記従来両例の用語および図面上の表現は本明細書の説明の便宜上、前記公報の表現と一部異なるが、実質上、同義である。
【0006】
このように従来両例の下穴拡径具を用いてあと施工アンカーの取付孔を形成するには、複数の拡径部をそれぞれ削成するごとに当該位置にカッターを移動して同一作業を繰り返さねばならず、容易かつ迅速に拡径することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は下穴に複数の拡径部を同時に削成し、引抜抵抗の大きい取付孔を容易かつ迅速に形成することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1の発明は常時は筒体に没し、しかも前記筒体の軸方向に間隔をおいて配置した複数のピン状カッターを有する下穴拡径具を、母材に穿設した均一径の下穴に挿入し、前記複数のピン状カッターをそれぞれ同時に前記筒体の中心の周りに回動させ、かつ前記筒体から半径方向に突出させるとともに前進させて前記下穴の壁面を切削し、前記壁面に複数の拡径部を同時に削成することを特徴とするものである。
【0009】
前記手段によれば、ピン状カッターが常時は筒体に没しているため筒体は下穴にスムーズかつ容易に挿入され、しかる後複数のピン状カッターが同時に突出して壁面を切削していくので、一度の切削作業で下穴の壁面に複数の拡径部が同時に削成されていく。
【0010】
請求項2の発明はシャフトに筒体を軸方向可動に外挿し、前記筒体の軸方向に間隔をおいて複数個の透孔を設け、前記シャフトに先端に向かうに従って漸次径大となる複数のテーパ部分を連設し、前記各テーパ部分を摺動して前記各透孔より出没するピン状カッターを第1の弾性体により常時は没方向に付勢し、またロッドを前記筒体に接続し、前記ロッドと前記シャフトとの間に前記シャフトを突出方向に付勢する第2の弾性体を介在させることを特徴とするものである。
【0011】
この手段によれば、ピン状カッターが第1の弾性体により常時は没方向に付勢されているので、ピン状カッターは確実に没しており、筒体を下穴に容易、迅速かつ確実に挿入することができ、前記筒体を前記下穴に挿入し、下穴の孔底にシャフトを当てた状態でロッドを介して前記筒体を回動させるとともに前記筒体を前進させれば、各ピン状カッターは筒体の中心の周りに同時に回動するとともに各テーパ部分に沿って漸次前進しながら第1の弾性体に抗して透孔より突出して壁面を切削し、前記壁面に複数の拡径部を削成する。なお、ロッドの前進により第2の弾性体は収縮する。
【0012】
前記拡径部の削成後、ロッドを介して筒体を引き出し始めても第2の弾性体の弾性圧によりシャフトは支持状態を保持しており、ここに筒体をさらに引き出せば第1の弾性体の弾性圧により各ピン状カッターは各テーパ部分に押圧されつつ漸次後退して筒体に没し、しかる後、筒体を取付孔より引き出せばシャフトも筒体と一体となって取付孔より抜き出される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明における下穴拡径具1について説明すると、金属製の円筒よりなる筒体2の中心孔21から図4で示すように半径方向に透孔20を複数、例えば4個等配する。さらに前記等配した複数の透孔20、20・・・を図1で示すように筒体2の軸方向に一定の間隔Lをおいて複数組、設ける。具体的には4個で1組の透孔20、20、20、20を5組、一定の間隔Lをおいて設ける。なお図2で示すように各透孔20の開口端に螺設しためねじ部20′におねじを切ったリング20″を螺入して各透孔20を段付孔に形成する。図1で示すように筒体2の前面を円錐面22に形成し、筒体2の後端に、中心孔21に連通するとともに中心孔21より大径のねじ孔23を螺設する。また筒体2の表面に螺旋溝24、好ましくは図3、5で示すように複数条の螺旋溝24、24・・を凹設する。この実施の形態では4条の螺旋溝24、24・・を凹設するものである。
【0014】
金属製の丸棒よりなるシャフト5の先端を円錐状にして尖鋭部53を形成し、シャフト5に先端に向かうに従って漸次径大となる複数、例えば5個のテーパ部分5a、5a・・・を連設する。
【0015】
図2で示すように段付きの透孔20の大径部20aに嵌挿され、しかも底部をテーパ部分5aに当接する基台部32に、先端を円錐状にしてカッター部33を形成したピン部34を一体形成若しくは固着等の手段により一体化して金属製のピン状カッター3を形成し、ピン部34を透孔20の小径部20b、つまりリング20″の孔に嵌挿可能に形成し、各ピン状カッター3のピン部34に第1の弾性体6としてコイルばね60を巻装する。
【0016】
金属製のロッド7(図1で示す)の先端外周に雄ねじ71を螺設するとともに先端面より収容孔72を形成し、この収容孔72に第2の弾性体8としてコイルばね80を入れる。
【0017】
そして筒体2の中心孔21にシャフト5を挿通し、また各透孔20に、第1の弾性体6であるコイルばね60を巻装したピン状カッター3を入れ、各透孔20のめねじ部20′にリング20″を螺入し、常時は第1の弾性体6であるコイルばね60のばね圧で付勢して各ピン状カッター3を筒体2内に没入させ、基台部32底部を各テーパ部分5aの最小径部に押圧するとともに基台部32側面を後続のテーパ部分5aとの段部5b若しくは後端部5a′との段部5b′に係止する。さらにロッド7の雄ねじ71をねじ孔23に螺着して接続し、第2の弾性体8であるコイルばね80をシャフト5の後端に接触させる。なおリング20″には差込溝20cを形成してあり、この差込溝20cにドライバーの先を差込んで螺動作業をするものである。
【0018】
前述のように筒体2の中心孔21から半径方向に段付の透孔20、20・・・を複数、等配し、各透孔20にピン状カッター3を入れることが好ましく、このようにすれば中心孔21から半径方向に単数のピン状カッターを設けるよりも切削効率が良好となり、また各透孔20の開口端にリング20″を螺入することが好ましく、このようにすれば、リング20″を着脱することにより損耗したピン状カッター3を容易に交換することができ、さらにシャフト5の先端に尖鋭部53を形成することが好ましく、このようにすれば下穴拡径具1を下穴1に挿入したときに後述のようにシャフト5の静止状態を確実に保持することができる。また前述のように筒体2の表面に螺旋溝24を凹設することが好ましく、このようにすれば後述のように切削により生じた切粉を外方に送ることができ、筒体2は支障なく、スムーズに回転する。この螺旋溝24を複数条にすることにより、さらに効率よく前記効果を奏することができる。
【0019】
次に本発明におけるあと施工アンカーの取付孔を形成する方法について説明すると、まず石材、コンクリート、ブロック、岩盤等、あと施工アンカーを定着するべき各種の母材4にハンマードリル、振動ドリル、タイヤモンドコアドリル、砕岩機等、汎用されている穴あけ機械工具(図示せず)で均一径の下穴40を穿設する(図5最上段に示す)。次に図示を省略した回転工具にロッド7を接続し、図5第2段目に示すように下穴拡径具1を下穴40に挿入し、シャフト5の尖鋭部53を孔底44に押付ける。ここに尖鋭部53は孔底44に刺着され、シャフト5の静止状態は確実に保持される。このとき各ピン状カッター3は図1の実線で示すように各テーパ部分5aの最小径部の位置で、第1の弾性体6であるコイルばね60により没方向に付勢されており、筒体2に没入している。その後、回転工具によりロッド7およびロッド7と一体の筒体20を回転させるとともに押し込み、すべてのピン状カッター3、3、3・・を同時に筒体2の中心0の周りに回転させつつ筒体2から徐々に突出させ、すべてのピン状カッター3、3、3・・・で下穴40の壁面41を同時に切削していく。なお筒体2の押し込みにより、図1、2で示すようにすべてのピン状カッター3、3、3・・は静止しているシャフト5の各テーパ部分5aを最大径部に向かって摺動していき、第1の弾性体6であるコイルばね60を収縮させながら各透孔20から突出するものである。このようにしてすべてのピン状カッター3、3、3・・で下穴40の壁面41を同時に切削していき、ピン状カッター3ごとに複数の拡径部42、42、42・・を壁面41へ同時に削成して取付孔を形成する。また前記切削により螺旋溝24、24・・に入った切粉は、筒体2の図5矢印方向の回動により外方に送られ、切粉により筒体2の回動が阻害されることがなく、筒体2はスムーズに回動する。なおロッド7の押し込みにより第2の弾性体8であるコイルばね80は収縮する。
【0020】
拡径部42、42、42・・の削成後、ロッド7およびロッド7と一体の筒体2を前記取付孔から引き抜いていく。このときシャフト5は第2の弾性体8であるコイルばね80のばね圧を受けて静止状態を保持しており、前記筒体2の引き抜きにより各ピン状カッター3は第1の弾性体6であるコイルばね60のばね圧により各テーパ部分5aに押しつけられつつテーパ部分5aを最小径部に向かって摺動していき筒体2に没する。さらにロッド7とともに筒体2を引き抜けば、各ピン状カッター3の基台部32側面が段部5b、5b′に係止されているのでシャフト5も一体となって引き抜かれる。その後、図5の第3段目に示す取付孔a内をブラシ、ブロアー、集塵機等の清掃器(図示せず)により清掃し、孔内の切粉を完全に取り除く。
【0021】
拡径部が削成された取付孔a内にあと施工アンカーを取付ける方法は公知であり、その一例を説明すれば、図5の4段目で示すように取付孔a内に接着剤入りカプセルbを挿入し、ボルト、鉄筋等のあと施工アンカーcを回転・打撃させながらカプセルbを破壊し、図5の最下段で示すように接着剤をすべての拡径部42、42、42・・を含む取付孔a内に充填し、接着剤を硬化させてあと施工アンカーcを母材4に固着させる。ここに均一径の取付孔に接着系アンカーを固着する場合に比べて本発明では複数の拡径部42、42、42・・にも接着剤による硬化部分ができ、接着系のあと施工アンカーの引抜き抵抗は遥かに大きくなる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、拡径部ごとに繰り返して切削する必要がなく、複数の拡径部を有する引抜抵抗の大きい取付孔を一回の切削作業で容易かつ迅速に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の下穴拡径具の使用状態を示す断面図である。
【図2】同上の要部を示す部分拡大断面図である。
【図3】同上の一部を切欠いた平面図である。
【図4】A−A断面図である。
【図5】本発明方法を示す説明図である。
【図6】従来例の断面図である。
【図7】従来他例の断面図である。
【符号の説明】
1 下穴拡径具 2 筒体
3 ピン状カッター 4 母材
5 シャフト 5a テーパ部分
6 第1の弾性体 7 ロッド
8 第2の弾性体 20 透孔
40 下穴 41 壁面
42 拡径部[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention is a method of forming a hole for attaching a post-construction anchor, and in particular, forming a mounting hole that increases the pull-out resistance of the post-construction anchor by expanding the diameter of a prepared hole drilled in a base material such as concrete, stone, or rock. And a device for expanding the pilot hole.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, in order to increase the pulling resistance of an adhesive anchor, it has been known to cut a plurality of expanded portions on a wall surface of a pilot hole with a uniform diameter drilled in a base material such as concrete, stone, or rock.
[0003]
In addition, as a pilot hole expanding tool for cutting the plurality of expanded portions, Japanese Patent Publication No. 2-33323 discloses that a
[0004]
In the former case, the
[0005]
In the latter case, the
[0006]
In this way, in order to form the mounting hole for the post-construction anchor using the pilot hole diameter increasing tool in both conventional examples, the cutter is moved to the corresponding position each time a plurality of diameter enlarged parts are respectively cut. It must be repeated and the diameter cannot be expanded easily and quickly.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
It is an object of the present invention to form a mounting hole having a large pulling resistance easily and quickly by simultaneously cutting a plurality of enlarged diameter portions in a pilot hole.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
In the present invention, the invention according to claim 1 is provided with a base-hole expanding tool having a plurality of pin-shaped cutters that are normally immersed in a cylinder and spaced apart in the axial direction of the cylinder. The plurality of pin-shaped cutters are simultaneously rotated around the center of the cylindrical body and protruded radially from the cylindrical body and moved forward so that the pilot holes are inserted into the prepared uniform-diameter prepared holes. A wall surface is cut and a plurality of enlarged diameter portions are simultaneously cut on the wall surface.
[0009]
According to the above means, since the pin-shaped cutter is always submerged in the cylinder, the cylinder is smoothly and easily inserted into the pilot hole, and then the plurality of pin-shaped cutters project simultaneously to cut the wall surface. Therefore, a plurality of enlarged diameter portions are simultaneously cut on the wall surface of the prepared hole by a single cutting operation.
[0010]
In the invention of
[0011]
According to this means, since the pin-shaped cutter is always biased by the first elastic body in the sunk direction, the pin-shaped cutter is surely sunk and the cylindrical body can be easily and quickly and reliably placed in the pilot hole. If the cylindrical body is inserted into the pilot hole, the cylindrical body is rotated through the rod while the shaft is applied to the bottom of the pilot hole, and the cylindrical body is advanced Each pin-shaped cutter simultaneously rotates around the center of the cylindrical body and gradually advances along each tapered portion while projecting from the through hole against the first elastic body to cut the wall surface. A plurality of enlarged diameter portions are cut. The second elastic body contracts as the rod advances.
[0012]
Even after starting to pull out the cylindrical body through the rod after the diameter-enlarged portion has been cut, the shaft maintains the support state by the elastic pressure of the second elastic body, and if the cylindrical body is further pulled out, the first elasticity Each pin-shaped cutter is gradually retreated while being pressed by each taper portion due to the elastic pressure of the body and then submerged in the cylinder, and after that, if the cylinder is pulled out from the mounting hole, the shaft is integrated with the cylinder from the mounting hole. Extracted.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The pilot hole expanding tool 1 according to the present invention will be described. A plurality of, for example, four through
[0014]
The tip of the
[0015]
As shown in FIG. 2, a pin that is inserted into the large-
[0016]
A
[0017]
Then, the
[0018]
As described above, it is preferable that a plurality of stepped through
[0019]
Next, a method for forming the post-installation anchor mounting hole in the present invention will be described. First, a hammer drill, a vibration drill, a tire mond, etc. are applied to
[0020]
After the cutting of the
[0021]
A method of attaching a post-construction anchor in the mounting hole a in which the expanded diameter portion has been cut is known. For example, as shown in the fourth stage of FIG. 5, a capsule containing an adhesive in the mounting hole a After inserting b, rotating and hitting the construction anchor c such as bolts and reinforcing bars, the capsule b is broken, and as shown in the lowermost part of FIG. 5, all the
[0022]
【The invention's effect】
According to the present invention, it is not necessary to repeatedly cut each enlarged diameter portion, and a mounting hole having a plurality of enlarged diameter portions and having a large pulling resistance can be easily and quickly formed by a single cutting operation.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing a use state of a pilot hole diameter increasing tool of the present invention.
FIG. 2 is a partial enlarged cross-sectional view showing the main part of the above.
FIG. 3 is a plan view in which a part of the above is cut away.
FIG. 4 is a cross-sectional view taken along line AA.
FIG. 5 is an explanatory diagram showing a method of the present invention.
FIG. 6 is a cross-sectional view of a conventional example.
FIG. 7 is a cross-sectional view of another conventional example.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Pilot hole
Claims (2)
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