JP3789046B2 - 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体並びに該電子写真感光体を備えたプロセスカ−トリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真感光体としてはセレン、酸化亜鉛、カドミウム等を主成分とする感光層を有する無機感光体が広く用いられてきた。これはある程度の基礎特性は備えているが成膜が困難である、可塑性が悪い、製造コストが高い等の問題がある。更に無機光導電性材料は一般的に毒性が強く、製造上並びに取り扱い上にも大きな制約があった。
【0003】
一方、有機光導電性化合物を主成分とする有機感光体は、無機感光体の上記欠点を補う等多くの利点を有し、近年注目を集めており、これまで数多くの提案がされ、いくつかは実用化されてきている。このような有機感光体としては、ポリ−N−ビニルカルバゾ−ルに代表される光導電性ポリマ−等と2,4,8−トリニトロ−9−フルオレノン等のルイス酸とから形成される電荷移動錯体を主成分とする電子写真感光体が提案されている。これ等の有機光導電性ポリマ−は、無機光導電性材料に比べ、軽量性、成膜性等の点で優れてはいるが、感度、耐久性、環境変化による安定性等の面で無機光導電性材料に比べて劣っており、必ずしも満足できるものではない。
【0004】
一方、電荷発生機能と電荷輸送機能とをそれぞれ別々の物質に分担させた機能分離型の電子写真感光体が、従来の有機感光体の欠点とされた感度や耐久性に著しい改善をもたらした。このような機能分離型感光体は、電荷発生物質と電荷輸送物質の各々の材料選択範囲が広く、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作成できるという利点を有している。
【0005】
電荷発生物質としては、種々のアゾ顔料、多環キノン顔料、シアニン色素、スクエアリック酸染料、ピリリウム塩系色素等が知られている。その中でもアゾ顔料は耐光性が強い、電荷発生能力が大きい、材料合成が容易等の点から多くの構造が提案されている。
【0006】
一方、電荷輸送物質としては、例えば特公昭52−4188号公報に開示のピラゾリン化合物、特開昭54−150128号公報、特開昭55−52063号公報、特開昭59−15251号公報及び特開平1−102469号公報に開示のヒドラゾン化合物、特開昭53−27033号公報、特開昭61−132955号公報、特開平2−190862号公報及び特開昭55−52063号公報に開示のトリフェニルアミン化合物、特開昭54−151955号公報及び特開昭58−198043号公報に開示のスチルベン化合物、特開昭62−30255号公報及び特開昭62−287257号公報に開示のスチリル化合物等が知られている。これ等の電荷輸送物質に要求されることは、(1)光及び熱に対して安定であること、(2)コロナ放電により発生するオゾン、NOX、硝酸等に対して安定であること、(3)高い電荷輸送能を有すること、(4)有機溶剤、結着剤との相溶性が高いこと、(5)製造が容易で安価であること等が挙げられる。
【0007】
また、近年の更なる高耐久化に伴い、耐久性向上のために感光層上に保護層を設けたり、複写機やレ−ザ−ビ−ムプリンタ−等で感光体を長期保存すること等により、電荷輸送層にクラックが生じたり、電荷輸送物質が結晶化、相分離するという現象が生じ画像欠陥となることがある。また、近年のデジタル化に対応した反転現像系では、一次帯電と転写帯電が逆極性なため、転写の有無により帯電性が異なるいわゆる転写メモリ−が生じ、画像上濃度むらとして非常に現れやすくなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、第一に大きな感度を有し、しかも繰り返し使用時の電位が安定に維持できる電子写真感光体を提供すること、第二に感光層上に保護層を設けたり、複写機やレ−ザ−ビ−ムプリンタ−等で感光体を長期保存しても電荷輸送層にクラックが生じたり、電荷輸送物質の結晶化等が生じない電子写真感光体を提供すること、第三に反転現像系でも転写メモリ−が生じにくい電子写真感光体を提供することである。第四に製造が容易でかつ安価に提供できる新規な有機光導電性化合物を提供することである。また、該電子写真感光体を使用したプロセスカ−トリッジ並びに電子写真装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記一般式(1)で示されるジアミン化合物及び下記一般式(3)で示されるスチリル化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体から構成される。
一般式(1)
【化3】
(式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アリル基、置換基を有してもよいアリ−ル基、アラルキル基またはハロゲン原子を示し、R5及びR6は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示し、nは独立に1または2の整数を示す)
一般式(3)
【化4】
(式中、R7、R8、R9、R10及びR11は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アリル基、置換基を有してもよい基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン原子を示し、Xは直接結合、−CH2−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−O−、−S−を示し、mは独立に1または2の整数を示す。)
【0010】
また、本発明は前記本発明の電子写真感光体の電子写真感光体、及び帯電手段、現像手段及びクリ−ニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカ−トリッジから構成される。
【0011】
また、本発明は前記本発明の電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置から構成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
感光層に一般式(1)で示されるジアミン化合物と一般式(3)で示されるスチリル化合物を含有させるためには、一般式(1)で示されるジアミン化合物と一般式(3)で示されるスチリル化合物を混合するか、あるいは別個に積層してなる層とすることによって含有させる。
【0013】
一般式(1)及び一般式(3)における上記表現のアルキル基としてはメチル、エチル、プロピル等の基、アリ−ル基としてはフェニル、ナフチル、アンスリル等の基、アラルキル基としてはベンジル、フェネチル等の基が挙げられる。またこれ等の基が有してもよい置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルキル基、メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、フェニル、ナフチル等のアリ−ル基、ピリジル、キノリル、チエニル、フリル等の複素環基、アセチル、ベンジル等のアシル基、ジメチルアミノ等のアルキルアミノ基、トリフルオロメチル等のハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、フェニルカルバモイル基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0014】
一般式(1)及び(3)で示される化合物の代表例を表1〜9に挙げる。ただし、これ等の化合物に限定されるものではない。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】
【表5】
【0020】
【表6】
【0021】
本発明の電子写真感光体は、一般式(1)で示される化合物及び一般式(3)で示される化合物からなる電荷輸送物質と適当な電荷発生物質を組み合わせて構成される。感光層の構成としては例えば下記の形態が挙げられる。
(A)電荷発生物質を含有する層/電荷輸送物質を含有する層
(B)電荷輸送物質を含有する層/電荷発生物質を含有する層
(C)電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する層
(D)電荷発生物質を含有する層/電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する層
【0022】
一般式(1)で示される化合物及び一般式(3)で示される化合物はいずれも正孔にたいし高い輸送能を有するため、上記形態の感光層における電荷輸送物質として用いることができる。感光層の形態が(A)の場合は負帯電、(B)の場合は正帯電が好ましく、(C)、(D)の場合は正、負帯電いずれでも使用することができる。更に本発明の電子写真感光体では、接着性向上や電荷注入制限のために、感光層の表面に保護層や絶縁層を設けてもよい。なお、本発明の感光体の構成は上記基本構成に限定されるものではない。なお、上記構成のうち特に(A)の形態が好ましく、更に詳細に説明する。
【0023】
本発明における導電性支持体としては、例えば下記の形態のものを挙げることができる。
(1)アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、銅等の金属を板形状またはドラム形状にしたもの。
(2)ガラス、樹脂、紙等の非導電性支持体や前記(1)の導電性支持体上にアルミニウム、パラジウム、ロジウム、金、白金等の金属を蒸着もしくはラミネ−トすることにより薄膜形成したもの。
(3)ガラス、樹脂、紙等の非導電性支持体や前記(1)の導電性支持体上に導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性化合物の層を蒸着あるいは塗布することにより形成したもの。
【0024】
本発明に用いられる有効な電荷発生物質としては、例えば下記のような物質が挙げられる。これ等の電荷発生物質は単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせてもよい。
(1)モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ系顔料
(2)インジゴ、チオインジゴ等のインジゴ系顔料
(3)金属フタロシアニン、非金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料
(4)ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミド等のペリレン系顔料
(5)アンスラキノン、ピレンキノン等の多環キノン系顔料
(6)スクアリリウム色素
(7)ピリリウム塩、チオピリリウム塩類
(8)トリフェニルメタン系色素
(9)セレン、非晶質シリコン等の無機物質
【0025】
電荷発生物質を含有する層、即ち電荷発生層は前記のような電荷発生物質を適当な結着剤に分散し、これを導電性支持体上に塗工することにより形成することができる。また、導電性支持体上に蒸着、スパッタ、CVD等の乾式法で薄膜を形成することによっても形成することができる。
【0026】
上記結着剤としては広範囲な結着性樹脂から選択でき、例えば、ポリカ−ボネ−ト、ポリエステル、ポリアリレ−ト、ブチラ−ル樹脂、ポリスチレン、ポリビニルアセタ−ル、ジアリルフタレ−ト樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノ−ル樹脂、シリコン樹脂、ポリスルホン、スチレン−ブタジエン共重合体、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が挙げられるが、これ等に限定されるものではない。これ等の樹脂は単独または共重合体ポリマ−として1種または2種以上混合して用いてもよい。
【0027】
電荷発生層中に含有する樹脂は、80重量%以下、好ましくは40重量%以下である。また、電荷発生層の膜厚は5μm以下、特には0.01〜2μmの範囲の薄膜層とすることが好ましい。また、電荷発生層には種々の増感剤を添加してもよい。
【0028】
電荷輸送物質を含有する層、即ち電荷輸送層は、少なくとも前記一般式(1)で示される化合物及び一般式(3)で示される化合物と適当な結着剤(結着性樹脂)とを組み合わせて形成することができる。ここで、電荷輸送層に用いられる結着剤としては、前記電荷発生層に用いられているものが挙げられ、更に、ポリビニルカルバゾ−ル、ポリビニルアントラセン等の光導電性高分子が挙げられる。
【0029】
この結着剤と電荷輸送物質との配合割合は、結着剤100重量部当り電荷輸送物質を10〜500重量部とすることが好ましい。電荷輸送層の膜厚は5〜40μm、特には10〜30μmの範囲が好ましい。
【0030】
更に、電荷輸送層中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤または公知の電荷輸送物質を必要に応じ添加することができる。
【0031】
このような電荷輸送層を形成する際は、適当な有機溶媒を用い、浸漬コ−ティング法、スプレ−コ−ティング法、スピンナ−コ−ティング法、ロ−ラ−コ−ティング法、マイヤ−バ−コ−ティング法、ブレ−ドコ−ティング法等のコ−ティング法を用いて行うことができる。
【0032】
本発明の電子写真感光体は、電荷輸送層の形成において、一般式(1)で示される化合物ジアミン化合物と一般式(3)で示されるスチリル化合物を混合して形成するか、あるいは別個に積層して形成することができる。混合して形成する場合、別個に積層して形成する場合のいずれにおいても、ジアミン化合物/スチリル化合物の重量比は95/5〜5/95が好ましい。重量比がこの範囲外の場合は目的とする改善効果が不十分である。
【0033】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レ−ザ−ビ−ムプリンタ−、LEDプリンタ−、CRTプリンタ−、液晶プリンタ−、レ−ザ−製版等電子写真応用分野にも広く適用することができる。
【0034】
次に、前記本発明の電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジ並びに電子写真装置について説明する。
【0035】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。図において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレ−ザ−ビ−ム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0036】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナ−現像され、現像されたトナ−現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取りされて給送された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピ−)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体1の表面は、クリ−ニング手段9によって転写残りトナ−の除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理がされた後、繰り返し画像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ロ−ラ−等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0037】
本発明においては、上述の感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリ−ニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカ−トリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカ−トリッジを複写機やレ−ザ−ビ−ムプリンタ−等の電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば一次帯電手段3、現像手段5及びクリ−ニング手段9の少なくとも1つを感光体1と共に一体に支持してカ−トリッジ化し、装置本体のレ−ル12等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカ−トリッジ11とすることができる。また、画像露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンタ−である場合には、原稿からの反射光や透過光を用いる、あるいは、センサ−で原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレ−ザ−ビ−ムの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッタ−アレイの駆動等により照射される光である。
【0038】
【実施例】
実施例1
10%酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾ−ル型フェノ−ル樹脂20部、メチルセロソルブ20部、メタノ−ル5部及びシリコ−ンオイル(ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.003部を1mmφガラスビ−ズを用いたサンドミルで2時間分散して導電層用塗料を調製し、この塗料をアルミニウムシリンダ−(30mmφ×261mm)上に浸漬塗布し、145℃で30分間乾燥させ、膜厚20μmの導電層を形成した。
【0039】
この導電層の上に、メトキシメチル化ナイロン(重量平均分子量52,000)5部とアルコ−ル可溶性共重合ナイロン(重量平均分子量48,000)10部をメタノ−ル95部に溶解した液を浸漬塗布し、乾燥し、膜厚1μmの下引き層を形成した。
【0040】
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°にピ−クを有するTiOPc20部を、ポリビニルブチラ−ル(商品名エスレックBX−1、積水化学(株)製)10部をシクロヘキサノン400部に溶解した液に添加し、1mmφガラスビ−ズを用いたサンドミルで3時間分散し、これに400部の酢酸エチルを加えて希釈した後回収して、これを下引き層上に浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0041】
次に、ジアミン化合物例1−3を8部、スチリル化合物例3−1を2部、ビスフェノ−ルZ型ポリカ−ボネ−ト(重量平均分子量62,000)10部をモノクロロベンゼン70部に溶解した溶液を調製し、この溶液を電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃で20分間乾燥し、膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作成した。
【0042】
実施例2
実施例1で用いたスチリル化合物例3−1に代えて、下記表7に記載した化合物を用いた他は、実施例1と同様にしてそれぞれに対応する電子写真感光体を作成した。
【0043】
比較例1
実施例1で用いたスチリル化合物を用いず、ジアミン化合物を10部に代えた他は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
【0044】
比較例2及び3
実施例1で用いたスチリル化合物の代わりに下記構造式で示される化合物を用いた他は、実施例1と同様にしてそれぞれに対応する電子写真感光体を作成した。
【0045】
化合物A(比較例2)
【化5】
【0046】
化合物B(比較例3)
【化6】
【0047】
比較例4〜6
実施例1で用いたジアミン化合物を用いず、下記構造式で示されるスチリル化合物及び下記表7に記載したスチリル化合物を10部に代えた他は、実施例1と同様にして対応する写真感光体を作成した。
【0048】
化合物C(比較例4)
【化7】
【0049】
化合物D(比較例5)
【化8】
【0050】
このようにして作成した電子写真感光体をレ−ザ−ビ−ムプリンタ−(商品名LBP−SXの改造機、キヤノン(株)製)に装着して、暗部電位を−750Vとし、これに802nmのレ−ザ−光を照射して明部電位が−150Vとなるレ−ザ−光量を測定し、感度を比較した。更に5,000枚連続プリントを行った時の暗部電位の変化量(ΔVD)と明部電位の変化量(ΔVL)を測定した。電位変動における負符号は電位の絶対値の低下を表わし、正符号は電位の絶対値の増加を表わす。
【0051】
また、前記のようにして作成した電子写真感光体をレ−ザ−ビ−ムプリンタ−(前出)に装着して、転写電流OFF時の一次帯電電圧をVd1、転写電流ON時の一次帯電電圧をVd2として、いわゆる転写メモリ−(Vd1−Vd2)を測定し、その画像テストを行った。条件は下記の通りである。
【0052】
一次帯電後の表面電位:−800V、像露光後の表面電位:−150V(露光量1.0μJ/cm2)、転写電位:+800V、現像極性:負極性、プロセススピ−ド:48mm/sec、現像条件(現像バイアス):−450V、像露光後スキャン方式:イメ−ジスキャン、一次帯電前露光:8.0lux・secの赤色全面露光、画像形成はレ−ザ−ビ−ムを文字信号及び画像信号に従ってラインスキャンして行ったが、字、画像共に良好なプリントが得られた。
【0053】
初期感度、繰り返し使用時の電位変動、転写メモリ−の結果を表7に示す。
【表7】
【0054】
この結果から、本発明の電子写真感光体は優れた初期感度、繰り返し特性を有すると共に、転写メモリ−に優れることが知られる。電荷輸送物質として一般式(1)で示されるジアミン化合物、一般式(3)で示されるスチリル化合物を単独で用いたり、別の化合物と組み合わせたりした比較例の電子写真感光体は、本発明の電子写真感光体のような特性は得られていない。
【0055】
実施例3
下記構造式で示されるビスアゾ顔料20部
【化9】
をブチラ−ル樹脂(ブチラ−ル化度68mol%)10部をシクロヘキサノン300部に溶解した液と共にサンドミルで40時間分散し、塗工液を調製した。この塗工液をアルミシ−ト上に乾燥後の膜厚が0.3μmとなるようにマイヤ−バ−で塗布し、電荷発生層を形成した。
【0056】
次に、電荷輸送物質として前記ジアミン化合物例1−18を2部、スチリル化合物例3−15を4部、ビスフェノ−ルZ型ポリカ−ボネ−ト(前出)10部をモノクロロベンゼン80部に溶解し、この液を先の電荷発生層上にマイヤ−バ−で塗布し、乾燥膜厚が25μmの電荷輸送層を形成し、2層の電子写真感光体を作成した。
【0057】
実施例4
実施例3で用いたジアミン化合物及びスチリル化合物を下記の表8に示した化合物を用いた他は、実施例3と同様に電子写真感光体を作成した。
【0058】
比較例7
実施例3で用いたスチリル化合物を用いず、ジアミン化合物を下記の表8に示した化合物10部に代えた他は、実施例3と同様に電子写真感光体を作成した。
【0059】
比較例8
実施例3で用いたジアミン化合物を用いず、スチリル化合物を下記構造式で示されるスチリル化合物10部に代えた他は、実施例3と同様に電子写真感光体を作成した。
【0060】
化合物E(比較例8)
【化10】
【0061】
このようにして作成した電子写真感光体を川口電機(株)製静電複写紙試験装置Model−SP−428を用いてスタチック方式で−5kVでコロナ帯電し、暗所で1秒間保持した後、照度20luxで露光し帯電特性を調べた。帯電特性としては、表面電位(V0)と1秒間暗減衰させた時の電位(V1)を1/5に減衰するのに必要な露光量(E1/5)を測定した。更に、繰り返し使用した時の明部電位と暗部電位の変動を測定するために、上記各例で作成した感光体を、キヤノン(株)製PPC複写機NP−3825の感光体ドラム様シリンダ−に貼り付けて、同機で5,000枚複写を行い、初期と5,000枚複写後の明部電位(VL)の変動分ΔVL及び暗部電位(VD)の変動分ΔVDを測定した。なお、初期のVDとVLはそれぞれ−700V、−200Vとなるように設定した。
【0062】
感光体の初期感度、繰り返し使用時の電位変動の結果を表8に示す。
【表8】
【0063】
この結果から、本発明の電子写真感光体は、複写機用の感光体として初期特性、繰り返し特性に優れていることが知られる。
【0064】
【発明の効果】
本発明の電子写真感光体は、高感度であり、また繰り返し帯電、露光による連続画像形成に際して明部電位と暗部電位の変動が小さく、耐久性に優れているだけでなく、反転現像系においても転写メモリ−が極めて小さく高品位な画像が得られるという顕著な効果を奏する。また該電子写真感光体をプロセスカ−トリッジ並びに電子写真装置に装着して同様に優れた効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す図。
【符号の説明】
1 本発明の電子写真感光体
2 軸
3 一次帯電手段
4 画像露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリ−ニング手段
10 前露光光
11 プロセスカ−トリッジ
12 レ−ル
Claims (3)
- 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記一般式(1)で示されるジアミン化合物と下記一般式(3)で示されるスチリル化合物とを含有することを特徴とする電子写真感光体:
一般式(1)
一般式(3)
- 請求項1記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリ−ニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカ−トリッジ。
- 請求項1記載の電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02521999A JP3789046B2 (ja) | 1999-02-02 | 1999-02-02 | 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP02521999A JP3789046B2 (ja) | 1999-02-02 | 1999-02-02 | 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
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