JP3787478B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、積層体に関し、さらに詳しくは、シュリンク(延伸)フィルム(シュリンクラベルなどの収縮性フィルムを含む)などの用途に用いられる積層体であって、70〜100℃という高温における熱収縮率が急激に増加し、かつ20〜40℃という低温での後収縮率が小さい積層体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
シュリンクフィルム(本明細書ではシートも含む)は、熱可塑性樹脂たとえばポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂から形成される延伸フィルムであり、加熱により収縮する性質を利用して、工業用品、日用品、食料品等を密着包装する、いわゆるシュリンク(収縮)包装に広く用いられている。
【0003】
従来より、ポリプロピレン樹脂に石油樹脂などを混合して延伸成形することにより、得られるフィルムの高温での熱収縮率を増加させることができることは、よく知られている。しかしながら、このようにして得られるフィルムは、室温下での後収縮(自然収縮)が大きいため、フィルム寸法が変化したり、ロール巻きした状態では変形などが起きたりして包装時や二次加工時にトラブルが生じる場合がある。フィルムの後収縮を抑えるには、製膜時に熱固定を施せばよいが、熱固定を施したフィルムは、高温での熱収縮特性が損なわれてしまい、使用に耐えられない。ポリオレフィン、特にポリプロピレン製のシュリンクフィルムでは、高温での熱収縮性を維持しながら、後収縮を小さくすることは極めて困難であり、この問題を解決することが技術的課題として掲げられていた。
【0004】
ポリオレフィン、特にポリプロピレン系のシュリンクフィルム(シュリンクラベルを含む)では、高温で熱収縮率が急激に増加し、かつ低温たとえば25℃での後収縮率(自然収縮率)が小さく、しかも、層間接着性および耐衝撃性に優れる比重1以下のシュリンク(延伸)フィルムの出現が望まれている。
【0005】
シュリンクフィルムの比重を1以下としたのは、ポリオレフィンの特徴である「軽量」という利点を維持するためである。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、シュリンク(延伸)フィルム(シュリンクラベルなどの収縮性フィルムを含む)などの用途に用いられる積層体であって、70〜100℃という高温における熱収縮率が急激に増加し、かつ20〜40℃という低温での後収縮率が小さく、しかも、層間接着性および耐衝撃性に優れる比重1以下の積層体を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係る積層体は、90℃未満かつ20℃を超えるガラス転移点(Tg)を有し、GPC法により測定される数平均分子量(Mn)が1,000を超える非晶質の環状オレフィン系樹脂(A)および密度 (ASTM D 1505 )が0.90g/cm 3 以上であるポリエチレン系樹脂(D)を60/40〜99/1の重量比〔(A)/(D)〕で含有する樹脂組成物からなる層[I]と、
ポリプロピレン樹脂(B)および密度(ASTM D 1505)が0.80〜0.89g/cm3
であるエチレン・α- オレフィン共重合体(C)を51/49〜99/1の重量比〔(B)/(C)〕で含有する樹脂組成物からなる層[II]とが、積層された多層構造の延伸物であることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る積層体は、シュリンク(延伸)フィルム(シュリンクラベルなどの収縮性フィルムを含む)などの用途に好適に用いられる。
本発明において、Tgが20℃以下の非晶質の環状オレフィン系樹脂を使用すると、シュリンクフィルムの保管時の温度に相当する20℃以上の雰囲気下では、分子の収縮運動が起き、後収縮の増加につながるため、Tgが20℃以下の非晶質の環状オレフィン系樹脂は実用に適さない。一方、Tgが90℃以上の非晶質の環状オレフィン系樹脂を使用すると、シュリンクフィルムの熱収縮時の温度に相当する90℃以下のシュリンクトンネル中では、分子の収縮運動が極めて小さく、シュリンクフィルム全体の熱収縮の阻害につながるため、Tgが90℃以上の非晶質の環状オレフィン系樹脂もまた実用に適さない。したがって、本発明で使用する非晶質の環状オレフィン系樹脂は、Tgが20℃を超え、かつ、90℃未満であることが望ましい。
【0009】
前記層[II]を形成するポリプロピレン樹脂(B)とエチレン・α- オレフィン共重合体(C)とをドライブレンドして調製してもよいし、またメルトブレンドして調製してもよい。
【0011】
前記ポリプロピレン樹脂(B)としては、プロピレンと、3〜10モル%の他のα- オレフィンとをランダム共重合した二元ないし三元プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体が好ましく用いられる。
【0012】
前記層[II]を形成する樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(B)およびエチレン・α- オレフィン共重合体(C)の他に、直鎖状低密度ポリエチレン(E)および/または高圧法低密度ポリエチレン(F)を含有していてもよい。
【0013】
前記ポリエチレン系樹脂(D)としては、直鎖状低密度ポリエチレン(D1)、高圧法低密度ポリエチレン(D2)および高密度ポリエチレン(D3)が用いられる。
【0014】
前記層[II]中に、石油樹脂(C5系水添石油樹脂、C9系水添石油樹脂、テルペン樹脂など)がブレンドされていてもよい。
上記のような、本発明に係る積層体は、通常、TD方向における90℃での熱収縮率が25%以上であり、かつ、25℃での後収縮率が0.7%以下である。
【0015】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る積層体について具体的に説明する。
本発明に係る積層体は、非晶質の環状オレフィン系樹脂(A)、または環状オレフィン系樹脂(A)およびポリエチレン系樹脂(D)を含有する樹脂組成物からなる層[I]と、ポリプロピレン樹脂(B)およびエチレン・α- オレフィン共重合体(C)を含有する樹脂組成物からなる層[II]とを積層した構造を含む多層構造の延伸積層体である。前記層[II]を形成する樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(B)およびエチレン・α- オレフィン共重合体(C)の他に、直鎖状低密度ポリエチレン(E)および/または高圧法低密度ポリエチレン(F)を含有していてもよい。
【0016】
層[I]
本発明に係る積層体の層[I]は、上記したように、環状オレフィン系樹脂(A)、または環状オレフィン系樹脂(A)およびポリエチレン系樹脂(D)を含有する樹脂組成物からなる。
【0017】
[環状オレフィン系樹脂(A)]
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂(A)は、非晶性樹脂であって、90℃未満かつ20℃を超えるガラス転移点(Tg)、好ましくは80〜50℃のガラス転移点(Tg)を有し、GPC法により測定される数平均分子量(Mn)が1,000を超える好ましくは1,000を超え100万以下の樹脂である。
【0018】
本発明において、数平均分子量(Mn)が1,000以下である非晶質の環状オレフィン系樹脂を用いると、積層フィルム化することが困難であるため、非晶質の環状オレフィン系樹脂の数平均分子量(Mn)は1,000を超えていることがよい。
【0019】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂(A)としては、たとえば
(a-1) エチレンと下記一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・環状オレフィンランダム共重合体、
(a-2) 下記一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンの開環重合体または共重合体、
(a-3) 上記(a-2)の開環重合体または共重合体の水素化物、または
(a-4) 上記(a-1) 、(a-2) または(a-3) のグラフト変性物
であって、90℃未満かつ20℃を超えるガラス転移点(Tg)を有し、GPC法により測定される数平均分子量(Mn)が1,000を超える樹脂が挙げられる。
【0020】
まず、本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂(A)を調製するために使用される単量体である一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンについて説明する。
【0021】
環状オレフィン系樹脂(A)の調製で使用される環状オレフィンは、下記一般式(I)または(II)で表わすことができる。
【0022】
【化1】
【0023】
上記一般式(I)中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、kは0または1である。なお、kが1の場合には、Ra およびRb は、それぞれ独立に、下記の原子または炭化水素基であり、kが0の場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成する。
【0024】
R1 〜R18ならびにRa およびRb は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0025】
また、炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基を挙げることができる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基などを挙げることができ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などを挙げることができ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。これらの炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0026】
さらに上記式(I)において、R15〜R18がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環または多環を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環は二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環の具体例を下記に示す。
【0027】
【化2】
【0028】
なお、上記例示において、1または2の番号が付された炭素原子は、上記一般式(I)においてそれぞれR15(R16)またはR17(R18)が結合している炭素原子を示している。
【0029】
また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基を挙げることができる。
【0030】
【化3】
【0031】
上記一般式(II)中、pおよびqは0または正の整数であり、rおよびsは0、1または2である。
またR21〜R39は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基である。
【0032】
ハロゲン原子は、上記式(I)におけるハロゲン原子と同じ意味である。
また、炭化水素基としては、それぞれ独立に炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基を挙げることができる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基などを挙げることができ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などを挙げることができ、芳香族炭化水素基としては、アリール基およびアラルキル基、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基などを挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などを挙げることができる。
【0033】
これらの炭化水素基およびアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されていてもよい。
ここでR29およびR30が結合している炭素原子と、R33が結合している炭素原子またはR31が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R29およびR33で表わされる基が、またはR30およびR31で表わされる基が互いに共同して、メチレン基(-CH2-) 、エチレン基(-CH2CH2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-) のうちのいずれかのアルキレン基を形成している。
【0034】
さらに、r=s=0のとき、R35とR32またはR35とR39とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多環の芳香族環として、たとえば下記のようなr=s=0のときR35とR32がさらに芳香族環を形成している基を挙げることができる。
【0035】
【化4】
【0036】
ここで、qは一般式(II)におけるqと同じ意味である。
上記のような一般式(I)または(II)で示される環状オレフィンを、より具体的に下記に例示する。
【0037】
環状オレフィン系樹脂(A)を形成する環状オレフィンの例としては、
【0038】
【化5】
【0039】
で示されるビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(=ノルボルネン)(上記式中において、1〜7の数字は、炭素の位置番号を示す。)およびこの化合物に炭化水素基が置換した誘導体を挙げることができる。
【0040】
この炭化水素基としては、5-メチル、5,6-ジメチル、1-メチル、5-エチル、5-n-ブチル、5-イソブチル、7-メチル、5-フェニル、5-メチル-5-フェニル、5-ベンジル、5-トリル、5-(エチルフェニル)、5-(イソプロピルフェニル)、5-(ビフェニリル)、5-(β-ナフチル)、5-(α-ナフチル)、5-(アントリル)、5,6-ジフェニルのような基を例示することができる。
【0041】
さらに他の誘導体としては、シクロペンタジエン-アセナフチレン付加物、
1,4-メタノ-1,4,4a,9a- テトラヒドロフルオレン、
1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン誘導体を例示することができる。
【0042】
この他、
トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、
2-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、
5-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセンなどのトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、
トリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデセン、
10-メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、
【0043】
【化6】
【0044】
で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(上記式中において、1〜12の数字は、炭素の位置番号を示す。)およびこれに炭化水素基が置換した誘導体ならびに水素原子の少なくとも一部が他の原子で置換された化合物を挙げることができる。
【0045】
ここで炭化水素基または置換原子として、8-メチル、8-エチル、8-プロピル、8-ブチル、8-イソブチル、8-ヘキシル、8-シクロヘキシル、8-ステアリル、5,10-ジメチル、2,10-ジメチル、8,9-ジメチル、8-エチル-9-メチル、11,12-ジメチル、2,7,9-トリメチル、2,7-ジメチル-9-エチル、9-イソブチル-2,7-ジメチル、9,11,12-トリメチル、9-エチル-11,12-ジメチル、9-イソブチル-11,12-ジメチル、5,8,9,10-テトラメチル、8-エチリデン、8-エチリデン-9-メチル、8-エチリデン-9-エチル、8-エチリデン-9-イソプロピル、8-エチリデン-9-ブチル、8-n-プロピリデン、8-n-プロピリデン-9-メチル、8-n-プロピリデン-9-エチル、8-n-プロピリデン-9-イソプロピル、8-n-プロピリデン-9-ブチル、8-イソプロピリデン、8-イソプロピリデン-9-メチル、8-イソプロピリデン-9-エチル、8-イソプロピリデン-9-イソプロピル、8-イソプロピリデン-9-ブチル、8-クロロ、8-ブロモ、8-フルオロ、8,9-ジクロロ、8-フェニル、8-メチル-8-フェニル、8-ベンジル、8-トリル、8-(エチルフェニル)、8-(イソプロピルフェニル)、8,9-ジフェニル、8-(ビフェニリル)、8-(β-ナフチル)、8-(α-ナフチル)、8-(アントリル)、5,6-ジフェニル等の基または原子を例示することができる。
【0046】
さらには、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導体、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデセンおよびその誘導体、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ペンタデセンおよびその誘導体、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ヘキサデセンおよびその誘導体、
ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセンおよびその誘導体、
ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセンおよびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]--5- エイコセンおよびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エイコセンおよびその誘導体、
ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセンおよびその誘導体、
オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセンおよびその誘導体、
ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]-5-ペンタコセンおよびその誘導体などを挙げることができる。
【0047】
本発明で使用することができる一般式(I)または一般式(II)で示される環状オレフィンの具体例は上記の通りであるが、これら化合物のより具体的な構造については、本出願人の出願に係る特開平7−145213号公報の段落番号[0032]〜[0054]に示されており、本発明においてもここに例示されるものを本発明における環状オレフィンとして使用することができる。
【0048】
上記のような一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンは、シクロペンタジエンと対応する構造を有するオレフィン類とのディールス・アルダー反応により製造することができる。
【0049】
これらの環状オレフィンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂(A)は、上記のような一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンを用いて、たとえば特開昭60−168708号、同61−120816号、同61−115912号、同61−115916号、同61−271308号、同61−272216号、同62−252406号および同62−252407号などの公報において本出願人が提案した方法に従い、適宜条件を選択することにより製造することができる。
【0050】
(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体は、エチレンと上記環状オレフィンとがランダムに結合した共重合体であり、エチレンから誘導される構成単位を通常は20〜95モル%、好ましくは30〜90モル%の割合で、そして、環状オレフィンから誘導される構成単位を通常は5〜80モル%、好ましくは10〜70モル%の割合で含有している。なお、エチレンから誘導される構成単位および環状オレフィンから誘導される構成単位の組成比は、13C−NMRによって測定される。
【0051】
この(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体では、上記のようなエチレンから誘導される構成単位と環状オレフィンから誘導される構成単位とが、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を有している。この共重合体が実質的に線状であって、実質的にゲル状架橋構造を有していないことは、この共重合体が有機溶媒に溶解した際に、この溶液に不溶分が含まれていないことにより確認することができる。たとえば極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体が135℃のデカリンに完全に溶解することにより確認することができる。
【0052】
本発明で用いられる(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体において、上記一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンの少なくとも一部は、下記一般式(III)または(IV)で示される繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0053】
【化7】
【0054】
上記一般式(III)において、n、m、kおよびR1〜R18ならびにRaおよびRbは一般式(I)と同じ意味である。
【0055】
【化8】
【0056】
上記一般式(IV)において、p、q、r、sおよびR21〜R39は、一般式(II)と同じ意味である。
また、本発明で用いられる(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて他の共重合可能なモノマーから誘導される構成単位を有していてもよい。
【0057】
このような他のモノマーとしては、上記のようなエチレンまたは環状オレフィン以外のオレフィンを挙げることができ、具体的には、
プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンなどの直鎖状または分岐状の炭素原子数3〜20のα−オレフィン;
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロペンテン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチル)-1-シクロヘキセンおよびシクロオクテン、3a,5,6,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンなどのシクロオレフィン;
1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエンおよび5-ビニル-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン類を挙げることができる。
【0058】
これらの他のモノマーは、単独であるいは組み合わせて用いることができる。
(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体において、上記のような他のモノマーから誘導される構成単位は、通常は20モル%以下、好ましくは10モル%以下の量で含有されていてもよい。
【0059】
本発明で用いられる(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体は、エチレンと前記一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンとを用いて上記公報に開示された製造方法により製造することができる。これらのうちでも、この共重合を炭化水素溶媒中で行ない、触媒として該炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用いて(a-1) エチレン・環状オレフィンランダム共重合体を製造することが好ましい。
【0060】
また、この共重合反応では固体状4族メタロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状4族メタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミニウム化合物とからなる触媒である。ここで4族の遷移金属としては、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、これらの遷移金属は少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有している。ここで、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としては、アルキル基が置換していてもよいシクロペンタジエニル基またはインデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル基を挙げることができる。これらの基は、アルキレン基など他の基を介して結合されてもよい。また、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン等である。
【0061】
さらに有機アルミニウムオキシ化合物および有機アルミニウム化合物は、通常オレフィン系樹脂の製造に使用されるものを用いることができる。このような固体状4族メタロセン系触媒については、例えば特開昭61−221206号、同64−106号および特開平2−173112号公報等に記載されている。
【0062】
(a-2) 環状オレフィンの開環重合体または開環共重合体において、上記一般式(I)または(II)で表わされる環状オレフィンの少なくとも一部は、下記一般式(V)また(VI)で表わされる繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0063】
【化9】
【0064】
上記一般式(V)において、n、m、kおよびR1〜R18ならびにRaおよびRbは前記一般式(I)と同じ意味である。
【0065】
【化10】
【0066】
上記一般式(VI)において、p、q、r、sおよびR21〜R39は、前記一般式(II)と同じ意味である。
このような開環重合体または開環共重合体は、前記公報に開示された製造方法により製造することができ、例えば、上記一般式(I)で表わされる環状オレフィンを開環重合触媒の存在下に、重合または共重合させることにより製造することができる。
【0067】
このような開環重合触媒としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウムまたは白金のような金属の、ハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、パラジウム、ジルコニウムまたはモリブテンのような金属の、ハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
【0068】
本発明で用いられる(a-3) 開環重合体または共重合体の水素化物は、上記のようにして得られる開環重合体または共重合体(a-2) を、従来公知の水素添加触媒の存在下に水素化して得られる。
【0069】
この(a-3) 開環重合体または共重合体の水素化物において、前記一般式(I)または前記一般(II)で表わされる環状オレフィンのうち少なくとも一部は、下記一般式(VII)または(VIII)で表わされる繰り返し単位を有していると考えられる。
【0070】
【化11】
【0071】
上記一般式(VII)において、n、m、kおよびR1〜R18ならびにRaおよびRbは、前記一般式(I)と同じ意味である。
【0072】
【化12】
【0073】
上記一般式(VIII)において、p、q、r、s、R21〜R39は前記一般式(II)と同じ意味である。
(a-4) 環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物は、上記エチレン・環状オレフィンランダム共重合体(a-1) のグラフト変性物、上記環状オレフィンの開環重合体または共重合体(a-2) のグラフト変性物、あるいは上記開環重合体または共重合体の水素化物(a-3) のグラフト変性物である。
【0074】
この変性剤としては、通常は不飽和カルボン酸類が用いられる。ここで使用される不飽和カルボン酸類の例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびエンドシス-ビシクロ[2.2.1] ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)などの不飽和カルボン酸、ならびに、これらの不飽和カルボン酸の誘導体、たとえば不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミドおよび不飽和カルボン酸のエステル化合物などを挙げることができる。
【0075】
上記不飽和カルボン酸の誘導体の具体的な例としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化マレニル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどを挙げることができる。
【0076】
これらの変性剤うちでも、α,β−不飽和ジカルボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水物、たとえばマレイン酸、ナジック酸およびこれら酸の無水物が好ましく用いられる。これらの変性剤は、2種以上を組合わせて用いることもできる。
【0077】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物における変性率は、10モル%以下であることが望ましい。
このような環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物は、所望の変性率になるように環状オレフィン系樹脂に変性剤を配合してグラフト重合させて製造することもできるし、予め高変性率の変性物を調製し、次いでこの変性物と未変性の環状オレフィン系樹脂とを混合することにより製造することもできる。
【0078】
環状オレフィン系樹脂と変性剤とから環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物を得るには、従来公知のポリマーの変性方法を広く適用することができる。たとえば溶融状態にある環状オレフィン系樹脂に変性剤を添加してグラフト重合(反応)させる方法、あるいは環状オレフィン系樹脂の溶媒溶液に変性剤を添加してグラフト反応させる方法などによりグラフト変性物を得ることができる。
【0079】
このようなグラフト反応は、通常60〜350℃の温度で行なわれる。
またグラフト反応は、有機過酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始剤の共存下に行なうことができる。
【0080】
本発明では、環状オレフィン系樹脂(A)として、上記のような(a-1) 、(a-2) 、(a-3) および(a-4) のいずれかを単独で用いることができ、またこれらを組み合わせて用いることもできる。これらのうち、エチレン・環状オレフィンランダム共重合体(a-1) が好ましく用いられる。
【0081】
このような環状オレフィン系樹脂(A)は、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,260℃、2.16kg荷重)は、通常0.1〜60g/10分、好ましくは2〜50g/10分、より好ましくは10〜35g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0082】
[ポリエチレン系樹脂(D)]
本発明に係る積層体の層[I]は、上記したように、環状オレフィン系樹脂(A)にポリエチレン系樹脂(D)を配合した樹脂組成物から形成されている。
【0083】
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂(D)は、密度(ASTM D1505)が好ましくは0.90g/cm3以上、通常は、0.90〜0.98g/cm3、最も好ましくは0.91〜0.97g/cm3である。密度(ASTM D 1505)が0.90g/cm3未満のポリエチレン系樹脂を、上記層[I]を形成する環状オレフィン系樹脂(A)に添加すると、環状オレフィン系樹脂(A)との相溶性が悪く、透明性を損なうことがある。
【0084】
また、ポリエチレン系樹脂(D)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重)は、通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分、さらに好ましくは1〜10g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0085】
このようなポリエチレン系樹脂(D)としては、直鎖状低密度ポリエチレン(D1)、高圧法低密度ポリエチレン(D2)、高密度ポリエチレン(D3)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエチレンが用いられる。
【0086】
<直鎖状低密度ポリエチレン(D1)>
本発明で用いられる直鎖状低密度ポリエチレン(D1)は、エチレンと炭素原子数3以上のα- オレフィンとの共重合体である。
【0087】
炭素原子数3以上のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1- ペンテンなどが挙げられる。中でも、炭素原子数5〜8のα- オレフィンが好ましく、特に1-ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセンが好ましい。
【0088】
これらのα- オレフィンは、単独で、または2種以上組合わせて用いることができる。
直鎖状低密度ポリエチレン(D1)としては、具体的には、エチレン・1-ペンテン共重合体、エチレン・4-メチル-1- ペンテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体が好ましい。
【0089】
直鎖状低密度ポリエチレン(D1)の密度(ASTM D 1505)は、好ましくは0.90g/cm3以上、通常は、0.90〜0.95g/cm3、最も好ましくは0.91〜0.94g/cm3である。
【0090】
密度が上記範囲内にある直鎖状低密度ポリエチレン(D1)を層[I]形成用樹脂組成物の一成分として用いると、層[I]と層[II]との間の層間接着性および耐衝撃性、さらに延伸特性に優れる積層体が得られる。
【0091】
この密度は、直鎖状低密度ポリエチレン(D1)におけるエチレンとα- オレフィンとの共重合割合に大きく依存しており、エチレンから導かれる構成単位の割合は、好ましくは99〜90モル%、さらに好ましくは98〜94モル%であり、炭素原子数3以上のα- オレフィンから導かれる構成単位の割合は、好ましくは1〜10モル%、さらに好ましくは2〜6モル%である。これらの構成単位の割合は、赤外線分光法、NMR法などの常法によって測定される値である。
【0092】
この直鎖状低密度ポリエチレン(D1)のメルトフローレート(MFR;ASTM D1238,190℃、荷重2.16kg)は、通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分、さらに好ましくは1〜10g/10分である。
【0093】
MFRが上記範囲内にある直鎖状低密度ポリエチレン(D1)を層[I]形成用樹脂組成物の一成分として用いると、透明性を損なうことなく、層[I]の延伸性を良好にし、かつ、層[I]と層[II]との層間接着強度を向上させることができる。
【0094】
上記のような直鎖状低密度ポリエチレン(D1)は、従来公知の製造法により調製することができる。
<高圧法低密度ポリエチレン(D2)>
本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレン(D2)は、密度(ASTM D 1505)が好ましくは0.90g/cm3以上、通常は、0.90〜0.95g/cm3、最も好ましくは0.91〜0.94g/cm3の範囲にある。
【0095】
密度が上記範囲内にある高圧法低密度ポリエチレン(D2)を層[I]形成用樹脂組成物の一成分として用いると、層[I]と層[II]との間の層間接着性および耐衝撃性に優れる積層体が得られる。
【0096】
また、高圧法低密度ポリエチレン(D2)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)は、通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分、さらに好ましくは1〜10g/10分の範囲にある。
【0097】
MFRが上記範囲内にある高圧法低密度ポリエチレン(D2)を層[I]形成用樹脂組成物の一成分として用いると、透明性を損なうことなく、層[I]の延伸性を良好にし、かつ、層[I]と層[II]との層間接着強度を向上させることができる。
【0098】
なお、本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレン(D2)は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、エチレンから導かれる構成単位とともに他の重合性単量体から導かれる構成単位を少量含むエチレン共重合体であってもよく、たとえば酢酸ビニルあるいはアクリル酸エステルなどから導かれる構成単位を20重量%以下の量で含むエチレン共重合体であってもよい。
【0099】
<高密度ポリエチレン(D3)>
本発明で用いられる高密度ポリエチレン(D3)の密度(ASTM D 1505)は、通常0.941〜0.970g/cm3である。密度が上記のような範囲にある高密度ポリエチレン(D3)を用いると、層[I]と層[II]との間の層間接着性および耐衝撃性、さらに透明性と延伸特性に優れる積層体が得られる。
【0100】
このような高密度ポリエチレン(D3)は、メルトフローレート(MFR:ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)が通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分、さらに好ましくは1〜10g/10分である。メルトフローレートが上記のような範囲にある高密度ポリエチレン(D3)を層[I]形成用樹脂組成物の一成分として用いると、透明性を損なうことなく、層[I]の延伸性を良好にし、かつ、層[I]と層[II]との層間接着強度を向上させることができる。
【0101】
上記のような高密度ポリエチレン(D3)は、たとえばチーグラー・ナッタ触媒による低圧法、メタロセン系触媒による低圧法、フィリップス法等の中圧法により製造することができる。
【0102】
ポリエチレン系樹脂(D)は、環状オレフィン系樹脂(A)およびポリエチレン系樹脂(D)の合計量100重量部に対して、1〜40重量部、好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部の割合で用いられる。ポリエチレン系樹脂(D)を上記割合で用いると、層[I]と層[II]との間の層間接着性および耐衝撃性ならびに延伸特性、透明性に優れる積層体を提供できる層[I]形成用樹脂組成物が得られる。
【0103】
[その他の成分]
本発明に係る積層体を構成する層[I]を形成する環状オレフィン系樹脂(A)に、あるいは環状オレフィン系樹脂(A)およびポリエチレン系樹脂(D)を含有する樹脂組成物に、必要に応じて、従来公知の酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、核剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲内で含有させることができる。
【0104】
層[ II ]
本発明に係る積層体の層[II]は、ポリプロピレン樹脂(B)と、エチレン・α- オレフィン共重合体(C)と、任意に直鎖状低密度ポリエチレン(E)および/または高圧法低密度ポリエチレン(F)とを含有する樹脂組成物からなる。
【0105】
[ポリプロピレン樹脂(B)]
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂(B)は、通常、プロピレンと、20モル%以下の他のα- オレフィンとをランダム共重合したプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体、好ましくは二元ないし三元プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体である。
【0106】
このようなプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体は、プロピレンと、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα- オレフィンから選ばれた1種または2種以上のα- オレフィンとからなるランダム共重合体である。
【0107】
このプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体のコモノマーとしては、エチレンまたは炭素原子数4〜20のα−オレフィン、具体的には、エチレンの他、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどが挙げられる。これらのα- オレフィン(エチレンも含む)は、コモノマーとして1種単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
【0108】
上記のようなα- オレフィン含有量は、プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体100モル%に対して、10モル%以下、通常3〜10モル%、好ましくは3〜6モル%、さらに好ましくは4〜6モル%の範囲にある。このようなα- オレフィン含有量は、赤外線分光法、NMR法などの常法によって測定される値である。
【0109】
本発明で用いられるプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)は、通常0.1〜20g/10分、好ましくは1〜10g/10分、さらに好ましくは1〜5g/10分である。
【0110】
また、プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体の密度(ASTM D 1505、23℃)は、通常0.85〜0.93g/cm3、好ましくは0.88〜0.92g/cm3であることが望ましい。
【0111】
上記のようなポリプロピレン樹脂(B)を製造する際に使用される重合触媒は、チタン系またはバナジウム系のチーグラー・ナッタ触媒や、チタン系、ジルコニウム系、ハフニウム系のメタロセン触媒、クロム系のフィリップス触媒、その他のいかなるオレフィン重合用触媒でもよい。
【0112】
ポリプロピレン樹脂(B)は、ポリプロピレン樹脂(B)およびエチレン・α- オレフィン共重合体(C)の合計量100重量部に対して、99〜51重量部、好ましくは95〜60重量部、さらに好ましくは85〜65重量部の割合で用いられる。
【0113】
[エチレン・α - オレフィン共重合体(C)]
本発明で層[II]の形成にポリプロピレン樹脂(B)とともに用いられるエチレン・α- オレフィン共重合体(C)は、エチレンと、炭素原子数3〜10のα-オレフィンから選ばれた1種または2種以上のα- オレフィンとからなるランダム共重合体である。
【0114】
この炭素原子数3〜10のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどが挙げられる。中でも、プロピレン、1-ブテンが好ましく用いられる。
【0115】
これらのα- オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
エチレン・α- オレフィン共重合体(C)としては、具体的には、エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム(EPR)、エチレン・1-ブテンランダム共重合体(EBR)が好ましく用いられる。
【0116】
エチレン・α- オレフィン共重合体(C)におけるエチレンから導かれる構成単位の割合は、好ましくは95〜60モル%、さらに好ましくは85〜70モル%であり、炭素原子数3〜10のα- オレフィンから導かれる構成単位の割合は、好ましくは5〜40モル%、さらに好ましくは15〜30モル%である。これらの構成単位の割合は、赤外線分光法、NMR法などの常法によって測定される値である。
【0117】
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン共重合体(C)の密度(ASTM D 1505、23℃)は、0.80〜0.89g/cm3、好ましくは0.86〜0.88g/cm3の範囲にある。
【0118】
密度が上記範囲内にあるエチレン・α- オレフィン共重合体(C)を層[II]形成用樹脂組成物の一成分として用いると、層[I]と層[II]との間の層間接着性および耐衝撃性に優れる積層体が得られる。
【0119】
また、エチレン・α- オレフィン共重合体(C)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重)は、通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分、さらに好ましくは1〜10g/10分の範囲にある。
【0120】
上記のようなエチレン・α- オレフィン共重合体(C)は、従来公知の方法により製造することができ、その製造の際に使用される重合触媒は、チタン系またはバナジウム系のチーグラー・ナッタ触媒や、チタン系、ジルコニウム系、ハフニウム系のメタロセン触媒、クロム系のフィリップス触媒、その他のいかなるオレフィン重合用触媒でもよい。
【0121】
上記のようなエチレン・α- オレフィン共重合体(C)は、ポリプロピレン樹脂(B)およびエチレン・α- オレフィン共重合体(C)の合計量100重量部に対して、1〜49重量部、好ましくは5〜40重量部、さらに好ましくは15〜35重量部の割合で用いられる。
【0122】
エチレン・α- オレフィン共重合体(C)を上記割合で用いると、層[I]と層[II]との間の層間接着性および耐衝撃性に優れる積層体を提供できる樹脂組成物が得られる。
【0123】
[直鎖状低密度ポリエチレン(E)]
本発明で必要に応じて用いられる直鎖状低密度ポリエチレン(E)は、エチレンと炭素原子数3以上のα- オレフィンとの共重合体であり、上述した直鎖状低密度ポリエチレン(D1)と同じである。
【0124】
炭素原子数3以上のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1- ペンテンなどが挙げられる。中でも、炭素原子数5〜8のα- オレフィンが好ましく、特に1-ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセンが好ましい。
【0125】
これらのα- オレフィンは、単独で、または2種以上組合わせて用いることができる。
直鎖状低密度ポリエチレン(E)としては、具体的には、エチレン・1-ペンテン共重合体、エチレン・4-メチル-1- ペンテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体が好ましい。
【0126】
直鎖状低密度ポリエチレン(E)の密度(ASTM D 1505)は、好ましくは0.90g/cm3以上、通常は、0.90〜0.95g/cm3、最も好ましくは0.91〜0.94g/cm3である。
【0127】
密度が上記範囲内にある直鎖状低密度ポリエチレン(E)を層[II]形成用樹脂組成物の一成分として用いると、層[I]と層[II]との間の層間接着性および耐衝撃性、さらに延伸特性に優れる積層体が得られる。
【0128】
この密度は、直鎖状低密度ポリエチレン(E)におけるエチレンとα- オレフィンとの共重合割合に大きく依存しており、エチレンから導かれる構成単位の割合は、好ましくは99〜90モル%、さらに好ましくは98〜94モル%であり、炭素原子数3以上のα- オレフィンから導かれる構成単位の割合は、好ましくは1〜10モル%、さらに好ましくは2〜6モル%である。これらの構成単位の割合は、赤外線分光法、NMR法などの常法によって測定される値である。
【0129】
この直鎖状低密度ポリエチレン(E)のメルトフローレート(MFR;ASTM D1238,190℃、荷重2.16kg)は、通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分、さらに好ましくは1〜10g/10分である。
【0130】
MFRが上記範囲内にある直鎖状低密度ポリエチレン(E)を層[II]形成用樹脂組成物の一成分として用いると、透明性を損なうことなく、層[II]の延伸性を良好にし、かつ、層[I]と層[II]との層間接着強度を向上させることができる。
【0131】
上記のような直鎖状低密度ポリエチレン(E)は、従来公知の製造法により調製することができる。
上記のような直鎖状低密度ポリエチレン(E)は、ポリプロピレン樹脂(B)およびエチレン・α- オレフィン共重合体(C)の合計量100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは10〜20重量部の割合で用いられる。
【0132】
直鎖状低密度ポリエチレン(E)を上記割合で用いると、層[I]と層[II]との間の層間接着性および耐衝撃性に優れる積層体を提供できる樹脂組成物が得られる。
【0133】
[高圧法低密度ポリエチレン(F)]
本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレン(F)は、密度(ASTM D 1505)が好ましくは0.90g/cm3以上、通常は、0.90〜0.95g/cm3、最も好ましくは0.91〜0.94g/cm3の範囲にある。
【0134】
密度が上記範囲内にある高圧法低密度ポリエチレン(F)を層[II]形成用樹脂組成物の一成分として用いると、層[I]と層[II]との間の層間接着性および耐衝撃性に優れる積層体が得られる。
【0135】
また、高圧法低密度ポリエチレン(F)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)は、通常0.1〜50g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分、さらに好ましくは1〜10g/10分の範囲にある。
【0136】
MFRが上記範囲内にある高圧法低密度ポリエチレン(F)を層[II]形成用樹脂組成物の一成分として用いると、透明性を損なうことなく、層[I]と層[II]との層間接着強度を向上させることができる。
【0137】
なお、本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレン(F)は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、エチレンから導かれる構成単位とともに他の重合性単量体から導かれる構成単位を少量含むエチレン共重合体であってもよく、たとえば酢酸ビニルあるいはアクリル酸エステルなどから導かれる構成単位を20重量%以下の量で含むエチレン共重合体であってもよい。
【0138】
上記のような高圧法低密度ポリエチレン(F)は、ポリプロピレン樹脂(B)およびエチレン・α- オレフィン共重合体(C)の合計量100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは10〜20重量部の割合で用いられる。
【0139】
高圧法低密度ポリエチレン(F)を上記割合で用いると、層[I]と層[II]との間の層間接着性および耐衝撃性に優れる積層体を提供できる樹脂組成物が得られる。
【0140】
[その他の成分]
本発明に係る積層体を構成する層[II]を形成するポリプロピレン樹脂(B)およびエチレン・α- オレフィン共重合体(C)を含有する樹脂組成物に、必要に応じて、従来公知の酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、核剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲内で含有させることができる。
【0141】
また、上記樹脂組成物中に、必要に応じて、石油樹脂を、本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
このような石油樹脂としては、従来公知の石油樹脂を用いることができ、たとえばC9系水添石油樹脂、C5系水添石油樹脂、テルペン樹脂などが用いられる。
【0142】
石油樹脂は、ポリプロピレン樹脂(B)の種類、エチレン・α- オレフィン共重合体(C)の種類および石油樹脂の種類により異なるが、通常は、ポリプロピレン樹脂(B)およびエチレン・α- オレフィン共重合体(C)の合計量100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは15〜80重量部の割合で用いられる。石油樹脂を上記のような割合で用いると、熱収縮性に優れた多層フィルムが得られる。
【0143】
層[I]または層[ II ]を形成する樹脂組成物の調製
本発明に係る積層体を構成する層[I]または層[II]を形成する樹脂組成物の調製方法については、特に制限されないが、たとえば以下のような調製方法を挙げられる。
【0144】
すなわち、層[I]形成用樹脂組成物は、環状オレフィン系樹脂(A)とポリエチレン系樹脂(D)とを60/40〜99/1の重量比〔(A)/(D)〕で、ドライブレンド、またはヘンシェルミキサーもしくはタンブラーミキサー等により、溶融混練する前に適度に配合成分を分散させた後、単軸または二軸混練機にて溶融混合し、ペレット化することにより得られる。
【0145】
また、環状オレフィン系樹脂(A)、または環状オレフィン系樹脂(A)とポリエチレン系樹脂(D)とからなる樹脂組成物中に、必要に応じて、従来公知の酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、核剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲内で含有させることができる。
【0146】
層[II]形成用樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(B)とエチレン・α- オレフィン共重合体(C)とを51/49〜99/1の重量比〔(B)/(C)〕で、ドライブレンド、またはヘンシェルミキサーもしくはタンブラーミキサー等により、溶融混練する前に適度に配合成分を分散させた後、単軸または二軸混練機にて溶融混合し、ペレット化することにより得られる。
【0147】
また、ポリプロピレン樹脂(B)とエチレン・α- オレフィン共重合体(C)とからなる樹脂組成物中に、必要に応じて、直鎖状低密度ポリエチレン(E)、高圧法低密度ポリエチレン(F)、従来公知の石油樹脂、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、核剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲内で含有させることができる。
【0148】
積 層 体
本発明に係る積層体は、2層以上の層を有する多層構造の、一軸または二軸延伸した延伸物である。この積層体は、層[II]に対して層[I]が存在していれば、層構成は何層でもよい。層[I]と層[II]との間に接着層を設けても良い。
【0149】
本発明に係る積層体、たとえばシュリンクフィルムとして用いられる多層フィルムは、上述した環状オレフィン系樹脂(A)および必要に応じてポリエチレン系樹脂(D)を含有する、樹脂または樹脂組成物からなる層[I]と、上述したポリプロピレン樹脂(B)、エチレン・α- オレフィン共重合体(C)および必要に応じて直鎖状低密度ポリエチレン(E)、高圧法低密度ポリエチレン(F)を含有する樹脂組成物からなる層[II]とを積層した構造を含む多層構造の一軸または二軸延伸フィルムである。
【0150】
層構造の例として、たとえば層[I]/層[II]/層[I]の3層構造、層[II]/層[I]/層[II]の3層構造などが挙げられる。
本発明に係る積層体、たとえばシュリンクフィルムは、層[II]で使用するポリプロピレン樹脂(B)、エチレン・α- オレフィン共重合体(C)および必要に応じて上述した直鎖状低密度ポリエチレン(E)、高圧法低密度ポリエチレン(F)、石油樹脂、添加剤等の成分をドライブレンド、またはバンバリーミキサーもしくはロールミル、押出機等で溶融混合し、次いで、得られた溶融混合物と層[I]で使用する環状オレフィン系樹脂(A)および必要に応じてポリエチレン系樹脂(D)を用い、共押出しフィルム成形法たとえばT−ダイ成形法またはインフレーション成形法により、たとえば層[I]/層[II]/層[I]、あるいは層[II]/層[I]/層[II]からなる3層フィルム等の多層フィルムを製造し、得られた多層フィルムを一軸または二軸延伸することによって得ることができる。
【0151】
上記フィルムの延伸方法としては、従来より通常に行なわれているポリオレフィン樹脂フィルムの延伸方法、たとえば二軸延伸方法については、同時二軸延伸法や逐次二軸延伸法等を採用することができる。同時二軸延伸方法には、テンター法(フラット法)とブローン法(チューブラー法)があるが、いずれの方法でもよい。
【0152】
また、多層フィルムの延伸倍率は、特に制限されないが、十分なシュリンク特性が得られる程度の延伸倍率で、かつ、シュリンク包装後の仕上がりにおいて皺および弛みが無くなる程度の倍率に延伸しておく必要がある。
【0153】
上記のようにして得られる多層フィルムたとえば層[I]/層[II]/層[I]からなるシュリンクフィルムの厚みについては、具体的用途により異なるが、通常は、層[I]の厚みが1〜30μm、好ましくは3〜15μmの範囲にあり、層[II]の厚みが10〜100μm、好ましくは40〜70μmの範囲にある。フィルムとして比重が1以下となればよい。
【0154】
上記のような積層体は、ポリプロピレン樹脂(B)およびエチレン・α- オレフィン共重合体(C)を含有する樹脂組成物からなる層[II]と、90℃未満かつ20℃を超えるガラス転移点(Tg)を有し、数平均分子量(Mn)が1,000を超える非晶性の環状オレフィン系樹脂(A)からなる層[I]とが積層された多層構造であるので、TD方向における高温たとえば90℃での熱収縮率が通常25%以上と大きく、しかも、低温たとえば25℃での後収縮率(自然収縮率)が通常0.7%以下と小さい。その結果、この積層体をシュリンクフィルムとして用いた場合に、この積層体は、室温でロール巻き状態になっていても、変形がほとんど起こらない。
【0155】
【発明の効果】
本発明に係る積層体は、ポリプロピレン樹脂(B)および密度が0.80〜0.89g/cm3のエチレン・α- オレフィン共重合体(C)を含有する樹脂組成物から形成される層[II]と、90℃未満かつ20℃を超えるガラス転移点(Tg)を有し、数平均分子量(Mn)が1,000を超える非晶性の環状オレフィン系樹脂(A)から形成される層[I]とを積層した構造を含む多層構造の延伸物であるので、層[I]と層[II]との間の層間接着性および耐衝撃性に優れ、TD方向における高温(70〜100℃)での熱収縮率が大きく、しかも、20〜40℃という低温での後収縮率が小さく、室温でロール巻き状態になっていても、寸法の変化、変形がほとんど起こらない。
【0156】
したがって、本発明に係る積層体をたとえばシュリンクフィルムとして用いる場合、この積層体は、室温下での保管が可能で取り扱い易く、シュリンク包装の作業性を向上させることができる。また、このシュリンクフィルム(積層体)は、比重が1以下となるポリオレフィン系のフィルムであるので、軽量である特徴は保持される。その結果として、たとえばシュリンクラベルの水中分離回収法といったリサイクルにも適している。
【0157】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0158】
なお、実施例および比較例で用いた積層体の原料成分は、次の通りである。
非晶性樹脂(A)
○エチレン−テトラシクロドデセン共重合体(E−TCD)
(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンを、単に「テトラシクロドデセン」と記載する。)
・MFR(ASTM D 1238,260℃、2.16kg)=15g/10分
・Tg=70℃
ポリプロピレン樹脂(B)
○プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP)
・エチレン含量=4.5モル%
・MFR(ASTM D 1238,230℃、2.16kg)=2.5g/10分
・密度(ASTM D 1505) =0.90g/cm3
エチレン・α - オレフィン共重合体(C)
○エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム(EPR)
・エチレン含量=74モル%
・プロピレン含量=26モル%
・MFR(ASTM D 1238,190℃、2.16kg)=2.9g/10分
・密度(ASTM D 1505) =0.87g/cm3
○エチレン・1-ブテンランダム共重合体ゴム(EBR)
・エチレン含量=81モル%
・1-ブテン含量=19モル%
・MFR(ASTM D 1238,190℃、2.16kg)=3.6g/10分
・密度(ASTM D 1505) =0.88g/cm3
ポリエチレン系樹脂(D)
○直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
・エチレン含量=95.5モル%
・コポリマー=4-メチル-1- ペンテン
・MFR(ASTM D 1238,190℃、2.16kg)=2.3g/10分
・密度(ASTM D 1505) =0.915g/cm3
石油樹脂
○荒川化学社製の石油樹脂(商品名 P140)
また、実施例および比較例で得られた延伸フィルムの収縮率試験は、次の方法に従って、行なった。
(1)収縮率試験(A)
延伸フィルムを1cm(MD方向)×12cm(TD方向)にスリットして得られた試験片を所定温度(60℃、80℃、90℃、100℃)のオーブンに5分間入れ、この熱処理前後の延伸フィルムの寸法からTD方向における熱収縮率を求めた。
【0159】
また上記試験片と同じサイズの別の試験片を40℃のオーブンに5日間入れ、この熱処理前後の延伸フィルムの寸法からTD方向における熱収縮率を求めた。
(2)収縮率試験(B)
延伸フィルムを1cm(MD方向)×12cm(TD方向)にスリットして得られた試験片を室温(25℃)下に5日間放置し、TD方向における後収縮率(自然収縮率)を求めた。
(3)層間剥離強度試験
延伸フィルムを1.5cm(MD方向)×10cm(TD方向)でサンプリングし、このフィルムの端を少しめくって剥離させた。
【0160】
次いで、このフィルムを剥離試験機で300mm/分の速度でTD方向に剥がし、その応力を求めた。(180゜剥離)
(4)衝撃強度試験
延伸フィルムを5cm×5cmでサンプリングし、室温(25℃)下でインパクトテスター(下から上へハンマーを突き上げる方式、(株)東洋精機製作所製)を用いて面衝撃強度を測定した。
【0161】
ハンマーの条件:1インチの半球状のハンマー
ハンマーの容量=30kg・cm
【0162】
【実施例1】
表層[I]、コア層[II]および裏層[I]からなる3層フィルムの表層[I]および裏層[I]形成用樹脂組成物として、上記エチレン−テトラシクロドデセン共重合体(E−TCD)90重量部と、上記直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)10重量部とのブレンド物(耐ブロッキング剤としてのシリカとスリップ剤としてのオレイン酸アミドをそれぞれ2000重量ppm含む)、およびコア層[II]形成用樹脂組成物として、上記プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP)45重量部と、上記エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム(EPR)20重量部と、上記石油樹脂35重量部とのブレンド物から、65mmφの3層Tダイ成形機を用い、ダイス温度230℃、チルロール30℃、シート引き取り速度2.0m/分の条件で、厚み0.4mmの3層シートを作製した。
【0163】
上記のようにして作製した3層シートの原反を8cm角にカットした。
次いで、このカットした3層シートを、卓上二軸延伸機で延伸し、厚み70μmの一軸延伸フィルムを作製した。一軸延伸は、シートを95℃で2分間予熱した後、10mm/秒の延伸速度で延伸倍率が6倍になるようにして行なった。
【0164】
上記のようにして得られた一軸延伸フィルムは、全体の厚みが70μmであり、表層[I]/コア層[II]/裏層[I]の厚み構成が1/10/1であった。
この一軸延伸フィルムについて、収縮率試験、層間剥離試験(表層[I]とコア層[II]との間の剥離)、およびフィルム全体の衝撃強度試験を上記方法に従って行なった。
【0165】
その結果を第1表に示す。
【0166】
【実施例2】
実施例1において、コア層[II]形成用樹脂組成物として、上記プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP)55重量部と、上記エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム(EPR)20重量部と、上記石油樹脂25重量部とのブレンド物を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み0.4mmの3層シートを作製した。
【0167】
以下、この3層シートを用い、実施例1と同様にして、全体の厚みが70μmの一軸延伸フィルムを得た。
得られた一軸延伸フィルムは、表層[I]/コア層[II]/裏層[I]の厚み構成が1/10/1であった。
【0168】
この一軸延伸フィルムについて、収縮率試験、層間剥離試験(表層[I]とコア層[II]との間の剥離)、およびフィルム全体の衝撃強度試験を上記方法に従って行なった。
【0169】
その結果を第1表に示す。
【0170】
【実施例3】
実施例1において、コア層[II]形成用樹脂組成物として、上記プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP)55重量部と、上記エチレン・1-ブテンランダム共重合体ゴム(EBR)20重量部と、上記石油樹脂25重量部とのブレンド物を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み0.4mmの3層シートを作製した。
【0171】
以下、この3層シートを用い、実施例1と同様にして、全体の厚みが68μmの一軸延伸フィルムを得た。
得られた一軸延伸フィルムは、表層[I]/コア層[II]/裏層[I]の厚み構成が1/10/1であった。
【0172】
この一軸延伸フィルムについて、収縮率試験、層間剥離試験(表層[I]とコア層[II]との間の剥離)、およびフィルム全体の衝撃強度試験を上記方法に従って行なった。
【0173】
その結果を第1表に示す。
【0174】
【実施例4】
実施例2において、コア層[II]形成用樹脂組成物を構成するプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP)の配合量を65重量部に変更し、かつ、エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴム(EPR)の配合量を10重量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、厚み0.4mmの3層シートを作製した。
【0175】
以下、この3層シートを用い、実施例2と同様にして、全体の厚みが68μmの一軸延伸フィルムを得た。
得られた一軸延伸フィルムは、表層[I]/コア層[II]/裏層[I]の厚み構成が1/10/1であった。
【0176】
この一軸延伸フィルムについて、収縮率試験、層間剥離試験(表層[I]とコア層[II]との間の剥離)、およびフィルム全体の衝撃強度試験を上記方法に従って行なった。
【0177】
その結果を第1表に示す。
【0178】
〔比較例〕
実施例1において、表層[I]および裏層[I]形成用樹脂組成物として、上記エチレン−テトラシクロドデセン共重合体(E−TCD)(耐ブロッキング剤としてのシリカとスリップ剤としてのオレイン酸アミドをそれぞれ2000重量ppm含む)を用い、かつ、コア層[II]形成用樹脂組成物として、上記プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP)65重量部と、上記石油樹脂35重量部とのブレンド物を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み0.4mmの3層シートを作製した。
【0179】
以下、この3層シートを用い、実施例1と同様にして、全体の厚みが70μmの一軸延伸フィルムを得た。
得られた一軸延伸フィルムは、表層[I]/コア層[II]/裏層[I]の厚み構成が1/10/1であった。
【0180】
この一軸延伸フィルムについて、収縮率試験、層間剥離試験(表層[I]とコア層[II]との間の剥離)、およびフィルム全体の衝撃強度試験を上記方法に従って行なった。
【0181】
その結果を第1表に示す。
【0182】
【表1】
Claims (7)
- 90℃未満かつ20℃を超えるガラス転移点(Tg)を有し、GPC法により測定される数平均分子量(Mn)が1,000を超える非晶質の環状オレフィン系樹脂(A)および密度 (ASTM D 1505 )が0.90g/cm 3 以上であるポリエチレン系樹脂(D)を60/40〜99/1の重量比〔(A)/(D)〕で含有する樹脂組成物からなる層[I]と、
ポリプロピレン樹脂(B)および密度(ASTM D 1505)が0.80〜0.89g/cm3
であるエチレン・α- オレフィン共重合体(C)を51/49〜99/1の重量比〔(B)/(C)〕で含有する樹脂組成物からなる層[II]とが、積層された多層構造の延伸物であることを特徴とする積層体。 - 前記ポリプロピレン樹脂(B)が、プロピレンと、3〜10モル%の他のα-オレフィンとをランダム共重合した二元ないし三元プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記ポリエチレン系樹脂(D)が、直鎖状低密度ポリエチレン(D1)、高圧法低密度ポリエチレン(D2)および高密度ポリエチレン(D3)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記層[II]中に、石油樹脂がブレンドされていることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 一軸または二軸延伸されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- TD方向における90℃での熱収縮率が25%以上であり、かつ、25℃での後収縮率が0.7%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- シュリンクフィルムとして用いられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
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