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JP3769969B2 - 車輌の制動力制御装置の異常検出方法 - Google Patents

車輌の制動力制御装置の異常検出方法 Download PDF

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JP3769969B2
JP3769969B2 JP06104699A JP6104699A JP3769969B2 JP 3769969 B2 JP3769969 B2 JP 3769969B2 JP 06104699 A JP06104699 A JP 06104699A JP 6104699 A JP6104699 A JP 6104699A JP 3769969 B2 JP3769969 B2 JP 3769969B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の制動力制御装置に係り、更に詳細には制動力制御装置の異常検出方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車輌の制動力制御装置の異常検出装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる特開平10−100884号公報に記載されている如く、イグニッションスイッチがオンに切り替えられる際であって運転者によりブレーキペダルが踏み込まれている状況に於いて、アキュムレータ又はマスタシリンダ内の液圧を油圧回路の所定の部分に導き、その場合の液圧の変化の状態、例えば急増、微増、急減、微減に基づき異常検出を行うよう構成された異常検出装置が従来より知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如き先の提案にかかる異常検出装置によれば、制動力制御装置の種々の異常を検出することができるが、この異常検出装置に於いては、モード1〜18の如く各種の弁装置を所定の順序にて作動させなければならず、そのため検出工程が複雑であり、また異常の検出に時間を要するという不具合がある。
【0004】
本発明は、各種の弁装置を所定の順序にて作動させるよう構成された従来の異常検出装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、車輌の走行開始時に各圧力センサにより検出される圧力を有効に利用して異常判定することにより、各種の弁装置を複雑に操作することなく種々の異常を能率よく検出することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち第一及び第二のマスタシリンダ室を有するマスタシリンダと、高圧液体供給源と、各輪に対応して設けられたホイールシリンダと、非制御時には前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとを連通接続すると共に前記高圧液体供給源と前記ホイールシリンダとの連通を遮断し、制御時には前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとの連通を遮断すると共に前記高圧液体供給源より前記ホイールシリンダに対し高圧液体を給排する液圧回路と、前記第一のマスタシリンダ室内の圧力を検出する第一の圧力センサと前記第二のマスタシリンダ室内の圧力を検出する第二の圧力センサとを有する車輌の制動力制御装置の異常検出方法にして、非制御時に前記第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧が予め設定された第一の正常ゾーン内にないときには前記第一及び第二の圧力センサの何れかが異常であると判定し、前記第一の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定されていることを特徴とする車輌の制動力制御装置の異常検出方法によって達成される。
【0006】
液圧回路は非制御時にはマスタシリンダとホイールシリンダとを連通接続すると共に高圧液体供給源とホイールシリンダとの連通を遮断し、第一及び第二の圧力センサはそれぞれマスタシリンダ室内の圧力を検出するので、非制御時に第一及び第二の圧力センサにより検出されるべき液圧は互いに同一であり、従って第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧により第一及び第二の圧力センサが異常であるか否か判定することができる。
【0007】
上記請求項1の構成によれば、非制御時に第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧が予め設定された第一の正常ゾーン内にないときには第一及び第二の圧力センサの何れかが異常であると判定され、第一の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定されているので、第一又は第二の圧力センサに異常が生じたときには、液圧回路を複雑に制御することなくその異常が確実に検出される。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記液圧回路は前記第一のマスタシリンダこれに対応するホイールシリンダとの連通を制御する第一の連通制御弁と、前記第二のマスタシリンダ室とこれに対応するホイールシリンダとの連通を制御する第二の連通制御弁とを含み、非制御時に前記第一及び第二の圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて、前記第一の圧力センサにより検出された液圧と前記第一の連通制御弁に対しホイールシリンダの側に設けられた第三の圧力センサにより検出された液圧とが予め設定された第二の正常ゾーン内にないときには前記第一の連通制御弁が異常であると判定し、前記第二の圧力センサにより検出された液圧と前記第二の連通制御弁に対しホイールシリンダの側に設けられた第四の圧力センサにより検出された液圧とが前記第二の正常ゾーン内にないときには前記第二の連通制御弁が異常であると判定するよう構成される(請求項の構成)。
【0011】
非制御時には連通制御弁に対しマスタシリンダの側の液圧及び連通制御弁に対しホイールシリンダの側の液圧は互いに同一であるが、連通制御弁に異常が生じると二つの液圧の差が大きくなるので、連通制御弁に対しマスタシリンダの側の液圧を検出する圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて連通制御弁に対しマスタシリンダの側及び連通制御弁に対しホイールシリンダの側の液圧を検出する圧力センサにより検出された液圧が正常ゾーン内にあるか否かの判定により連通制御弁異常であるか否かを判定することができる。
【0012】
請求項の構成によれば、非制御時に第一及び第二の圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて、第一の圧力センサにより検出された液圧と第一の連通制御弁に対しホイールシリンダの側に設けられた第三の圧力センサにより検出された液圧とが予め設定された第二の正常ゾーン内にないときには第一の連通制御弁が異常であると判定され、第二の圧力センサにより検出された液圧と第二の連通制御弁に対しホイールシリンダの側に設けられた第四の圧力センサにより検出された液圧とが第二の正常ゾーン内にないときには第二の連通制御弁が異常であると判定されるので、第一若しくは第二の連通制御弁に異常が生じたときには、液圧回路を複雑に制御することなくその異常が確実に検出される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前記第二の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定されているよう構成される(請求項3の構成)。
【0013】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記液圧回路は各ホイールシリンダに対応して設けられ対応するホイールシリンダに対する高圧液体の給排を制御する増減圧制御弁と、各増減圧制御弁に対し対応するホイールシリンダの側に設けられた第五の圧力センサとを含み、非制御時に前記第一及び第二の圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて、前記第五の圧力センサにより検出された液圧と前記第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧とが予め設定された第三の正常ゾーン内にないときには対応する増減圧制御弁が異常であると判定し、前記第三の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定されているよう構成される(請求項4の構成)。
【0014】
非制御時にもホイールシリンダ内の液体が増減圧制御弁を経て流出する異常や非制御時にも高圧液体供給源よりの高圧液体が増減圧制御弁を経てホイールシリンダ内へ流入する異常が生じると、非制御時にマスタシリンダ室内の液圧と増減圧制御弁に対しホイールシリンダの側に設けられた圧力センサにより検出された液圧との偏差の大きさが大きくなるので、マスタシリンダの側の液圧を検出する圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて該圧力センサにより検出された液圧及び増減圧制御弁に対しホイールシリンダの側に設けられた圧力センサにより検出された液圧が正常ゾーン内にあるか否かの判定により増減圧制御弁に異常が生じたか否かを判定することができる。
【0015】
請求項4の構成によれば、非制御時に第一及び第二の圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて、第五の圧力センサにより検出された液圧と第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧とが予め設定された第三の正常ゾーン内にないときには対応する増減圧制御弁が異常であると判定され、第三の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定されているので、増減圧制御弁に異常が生じたときには、液圧回路を複雑に制御することなくその異常が確実に検出される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記液圧回路は各ホイールシリンダに対応して設けられ対応するホイールシリンダに対する高圧液体の給排を制御する増減圧制御弁と、各増減圧制御弁に対し対応するホイールシリンダの側に設けられた第五の圧力センサとを含み、非制御時に前記第一、第二、第五の圧力センサにより検出された液圧の最大値及び最小値が予め設定された第四の正常ゾーン内になく且つ非制御時に前記最大値及び最大値の次に高い液圧が前記第四の正常ゾーン内にないときには前記最大値に対応する圧力センサが異常であると判定するよう構成される(請求項5の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記液圧回路は各ホイールシリンダに対応して設けられ対応するホイールシリンダに対する高圧液体の給排を制御する増減圧制御弁と、各増減圧制御弁に対し対応するホイールシリンダの側に設けられた第五の圧力センサとを含み、非制御時に前記第一、第二、第五の圧力センサにより検出された液圧の最大値及び最小値が予め設定された第五の正常ゾーン内になく且つ非制御時に前記最小値及び最小値の次に低い液圧が前記第五の正常ゾーン内にないときには前記最小値に対応する圧力センサが異常であると判定するよう構成される(請求項6の構成)。
【0016】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記制動力制御装置はブレーキペダルに対する操作量を検出する操作量検出手段を含み、非制御時に前記第一及び第二の圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて、前記第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧の平均値が前記操作量検出手段により検出された操作量及び予め設定された第六の正常ゾーンにより定まる第一の基準値よりも低いときには何れかのホイールシリンダにエア入りの異常が生じていると判定し、前記液圧の平均値が前記操作量検出手段により検出された操作量及び前記第六の正常ゾーンにより定まる第二の基準値よりも高いときには前記操作量検出手段が異常であると判定し、前記第六の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定されているよう構成される(請求項の構成)。
【0017】
ブレーキペダルに対する操作量とマスタシリンダ内の液圧との間には一定の関係があるが、ホイールシリンダにエア入りの異常が生じると、ブレーキペダル操作量の増大率に対するマスタシリンダ内の液圧の増大率の比が低下するので、マスタシリンダ内の液圧を検出する圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて、検出されたマスタシリンダ内の液圧が正常ゾーン及びブレーキペダル操作量により定まる下限基準値よりも低いか否かによりホイールシリンダにエア入りの異常が生じたか否かを判定することができ、また検出されたマスタシリンダ内の液圧が正常ゾーン及びブレーキペダル操作量により定まる上限基準値よりも高いか否かによりブレーキペダルに対する操作量を検出する手段が異常であるか否かを判定することができる。
【0018】
請求項の構成によれば、非制御時に第一及び第二の圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて、第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧の平均値が操作量検出手段により検出された操作量及び予め設定された第六の正常ゾーンにより定まる第一の基準値よりも低いときには何れかのホイールシリンダにエア入りの異常が生じていると判定され、また前記液圧の平均値が操作量検出手段により検出された操作量及び第六の正常ゾーンにより定まる第二の基準値よりも高いときには操作量検出手段が異常であると判定され、第六の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定されているので、エア入りの異常が生じたとき又は操作量検出手段に異常が生じたときには、液圧回路を複雑に制御することなくその異常が確実に検出される。
【0019】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至7の構成に於いて、前記高圧液体供給源は高圧の液体を貯容するアキュムレータを含むよう構成される(好ましい態様1)。
【0020】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至7の構成に於いて、制動力制御装置は制御時には第一及び第二の圧力センサにより検出されたマスタシリンダ内の液圧に基づき液圧回路を制御することによりホイールシリンダ内の液圧を制御するよう構成される(好ましい態様2)。
【0021】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様2の構成に於いて、制動力制御装置はブレーキペダルに対する操作量を検出する手段を含み、制動力制御装置は検出されたマスタシリンダ内の液圧及び検出された操作量に基づき液圧回路を制御することによりホイールシリンダ内の液圧を制御するよう構成される(好ましい態様3)。
【0030】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、増減圧制御弁は増圧制御弁と減圧制御弁とよりなるよう構成される(好ましい態様)。
【0031】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様の構成に於いて、第五の圧力センサにより検出された液圧と第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧とが予め設定された第三の正常ゾーン内になく且つ第五の圧力センサにより検出された液圧が第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧よりも高いときには対応する増圧制御弁が異常であると判定するよう構成される(好ましい態様)。
【0032】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様3の構成に於いて、第五の圧力センサにより検出された液圧と第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧とが予め設定された第三の正常ゾーン内になく且つ第五の圧力センサにより検出された液圧が第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧よりも低いときには対応する減圧制御弁が異常であると判定するよう構成される(好ましい態様)。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0035】
図1は本発明による異常検出方法が適用された車輌の制動力制御装置の一つの実施形態の油圧回路及び電子制御装置を示す概略構成図である。尚図1に於いては、簡略化の目的で各電磁開閉弁のソレノイドは省略されている。また図には示されていないが、車輌は自動変速機を有し、従ってブレーキペダルが踏み込まれない限りシフトレバーを操作することができないようになっている。
【0036】
図1に於て、10は電気的に制御される油圧式のブレーキ装置を示しており、ブレーキ装置10は運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ14を有している。ブレーキペダル12とマスタシリンダ14との間にはドライストロークシミュレータ16が設けられている。
【0037】
マスタシリンダ14は第一のマスタシリンダ室14Aと第二のマスタシリンダ室14Bとを有し、これらのマスタシリンダ室にはそれぞれ前輪用のブレーキ油圧供給導管18及び後輪用のブレーキ油圧制御導管20の一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導管18及び20の他端にはそれぞれ左前輪及び左後輪の制動力を制御するホイールシリンダ22FL及び22RLが接続されている。
【0038】
ブレーキ油圧供給導管18及び20の途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁(マスタカット弁)24F及び24Rが設けられ、電磁開閉弁24F及び24Rはそれぞれ第一のマスタシリンダ室14A及び第二のマスタシリンダ室14Bと対応するホイールシリンダとの連通を制御する。またマスタシリンダ14と電磁開閉弁24RLとの間のブレーキ油圧供給導管20には常閉型の電磁開閉弁26を介してウェットストロークシミュレータ28が接続されている。
【0039】
マスタシリンダ14にはリザーバ30が接続されており、リザーバ30には油圧供給導管32の一端が接続されている。油圧供給導管32の途中には電動機34により駆動されるオイルポンプ36が設けられており、オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32には高圧の油圧を蓄圧するアキュムレータ38が接続されている。リザーバ30とオイルポンプ36との間の油圧供給導管32には油圧排出導管40の一端が接続されている。
【0040】
オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32は、油圧制御導管42により電磁開閉弁24Fとホイールシリンダ22FLとの間のブレーキ油圧供給導管18に接続され、油圧制御導管44により右前輪用のホイールシリンダ22FRに接続され、油圧制御導管46により電磁開閉弁24Rとホイールシリンダ22RLとの間のブレーキ油圧供給導管20に接続され、油圧制御導管48により右後輪用のホイールシリンダ22RRに接続されている。
【0041】
油圧制御導管42、44、46、48の途中にはそれぞれ常閉型の電磁開閉弁50FL、50FR、50RL、50RRが設けられている。電磁開閉弁50FL、50FR、50RL、50RRに対しホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRの側の油圧制御導管42、44、46、48はそれぞれ油圧制御導管52、54、56、58により油圧排出導管40に接続されており、油圧制御導管52、54、56、58の途中にはそれぞれ電磁開閉弁60FL、60FR、60RL、60RRが設けられている。
【0042】
電磁開閉弁50FL、50FR、50RL、50RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する増圧制御弁として機能し、電磁開閉弁60FL、60FR、60RL、60RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する減圧制御弁として機能し、従ってこれらの電磁開閉弁は互いに共働してアキュムレータ38内より各ホイールシリンダに対する高圧のオイルの給排を制御する増減圧制御弁を構成している。
【0043】
前輪の油圧供給導管18及び右前輪の油圧制御導管44はそれぞれ対応するホイールシリンダ22FL、22FRに近接した位置に於いて接続導管62Fにより互いに接続されている。接続導管62Fの途中には常閉型の電磁開閉弁64Fが設けられ、電磁開閉弁64Fはホイールシリンダ22FLと22FRとの連通を制御する連通制御弁として機能する。
【0044】
同様に、後輪の油圧供給導管20及び右後輪の油圧制御導管48はそれぞれ対応するホイールシリンダ22RL、22RRに近接した位置に於いて接続導管62Rにより互いに接続されている。接続導管62Rの途中には常閉型の電磁開閉弁64Rが設けられ、電磁開閉弁64Rはホイールシリンダ22RLと22RRとの連通を制御する連通制御弁として機能する。
【0045】
図1に示されている如く、第一のマスタシリンダ室14Aと電磁開閉弁24Fとの間のブレーキ油圧制御導管18には該制御導管内の圧力を第一のマスタシリンダ圧力Pm1として検出する圧力センサ66が設けられている。同様に第二のマスタシリンダ室14Bと電磁開閉弁24Rとの間のブレーキ油圧制御導管20には該制御導管内の圧力を第二のマスタシリンダ圧力Pm2として検出する圧力センサ68が設けられている。
【0046】
ブレーキペダル12には運転者の制動操作量としてその踏み込みストロークSpを検出するストロークセンサ70が設けられ、オイルポンプ34の吐出側の油圧供給導管32には該導管内の圧力をアキュムレータ圧力Paとして検出する圧力センサ72が設けられている。
【0047】
それぞれ電磁開閉弁24F及び24Rとホイールシリンダ22FL及び22RLとの間のブレーキ油圧供給導管18及び20には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22FL及び22RL内の圧力Pfl、Prlとして検出する圧力センサ74FL及び74RLが設けられている。またそれぞれ電磁開閉弁50FR及び50RRとホイールシリンダ22FR及び22RRとの間の油圧制御導管44及び48には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22FR及び22RR内の圧力Pfr、Prrとして検出する圧力センサ74FR及び74RRが設けられている。
【0048】
電磁開閉弁24F及び24R、電磁開閉弁26、電動機34、電磁開閉弁50FL、50FR、50RL、50RR、電磁開閉弁60FL、60FR、60RL、60RR、電磁開閉弁64F及び64Rは後に詳細に説明する如く電気式制御装置76により制御される。電気式制御装置76はマイクロコンピュータ78と駆動回路80とよりなっている。
【0049】
各電磁開閉弁及び電動機34には図1には示されていないバッテリより駆動回路80を経て駆動電流が供給され、特に各電磁開閉弁及び電動機34に駆動電流が供給されない非制御時には電磁開閉弁24F及び24R、電磁開閉弁64F及び64Rは開弁状態に維持され、電磁開閉弁26、電磁開閉弁50FL、50FR、50RL、50RR、電磁開閉弁60FL、60FR、60RL、60RRは閉弁状態に維持される。
【0050】
尚マイクロコンピュータ78は図1には詳細に示されていないが例えば中央処理ユニット(CPU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。
【0051】
マイクロコンピュータ78の入出力ポート装置には、圧力センサ66及び68よりそれぞれ第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2を示す信号、ストロークセンサ70よりブレーキペダル12の踏み込みストロークSpを示す信号、圧力センサ72よりアキュムレータ圧力Paを示す信号、圧力センサ74FL〜74RRよりそれぞれホイールシリンダ22FL〜22RR内の圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号が入力されるようになっている。
【0052】
またマイクロコンピュータ78のROMは後述の如く図2乃至図4に示された制動力制御フローを記憶しており、CPUは上述の圧力センサ66及び68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2に基づき後述の如く運転者の制動要求を判定し、運転者の制動要求がないときには各電磁開閉弁を非制御状態に維持し、運転者の制動要求があるときにはマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2及び踏み込みストロークSpに基づき車輌の目標減速度Gtを演算し、目標減速度Gtに基づき各輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、各輪のホイールシリンダ圧力が目標制動圧Ptiになるよう制御する。
【0053】
また電気式制御装置76はアキュムレータ内の圧力が予め設定された下限値以上であって上限値以下の圧力に維持されるよう、圧力センサ72により検出されたアキュムレータ圧力Paに基づき必要に応じて電動機34を駆動してオイルポンプ36を作動させる。
【0054】
また電気式制御装置76はストロークセンサ70により検出されたブレーキペダル12の踏み込みストロークSp及び各圧力センサにより検出された圧力に基づき、圧力センサ等に異常が生じているか否かの判定を行い、制動力を適正に制御することができない異常が生じているときには各電磁開閉弁に対する通電を停止してそれらを非制御状態にもたらす。
【0055】
次に図2乃至図4に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける制動力制御について説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチがオンに切り換えられることにより開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。またイグニッションスイッチがオンに切り換えられると、ステップ10に先立ちフラグFa及びFcが0に初期化される。
【0056】
まずステップ10に於いてはそれぞれ圧力センサ66及び68により検出された第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2を示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いては運転者の制動要求があるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ60へ進み、否定判別が行われたときにはステップ30へ進む。
【0057】
尚運転者の制動要求があるか否かは、例えば第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2の平均値Pmaが基準値以上であり且つストロークセンサ70により検出されたブレーキペダル12の踏み込みストロークSpが基準値以上であるか否かの判別により行われてよい。
【0058】
ステップ30に於いては前回運転者の制動要求がある旨の判別が行われたか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ50へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ40に於いてフラグFcが1にセットされ、ステップ50に於いて各電磁開閉弁が非制御状態の位置に設定される。
【0059】
ステップ60に於いては前回運転者の制動要求がない旨の判別が行われたか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ70に於いてフラグFcが0にリセットされ、否定判別が行われたときにはステップ80へ進む。
【0060】
ステップ80に於いては例えば図には示されていない車速センサにより検出された車速に基づき車輌が停止状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ160へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ90へ進む。
【0061】
ステップ90に於いてはフラグFcが0であるか否かの判別、即ち異常判定が可能な状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ160へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ100に於いて各電磁開閉弁が非制御状態に維持され、ステップ110に於いて図3に示されたルーチンに従って非制御状態時の異常判定が行われる。
【0062】
ステップ160に於いてはフラグFaが1であるか否かの判別、即ち何らかの異常が生じているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ50へ進み、否定判別が行われたときにはステップ170に於いて各電磁開閉弁が制御状態に設定される。
【0063】
ステップ180に於いてはマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pma及びストロークセンサ70により検出されたブレーキペダル12の踏み込みストロークSpに基づき車輌の目標減速度Gtが演算され、目標減速度Gtに基づき各輪の目標制動圧Pti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、各輪のホイールシリンダ圧力が目標制動圧Ptiになるよう制御され、しかる後ステップ200に於いて制御状態時に於ける異常判定が行われる。
【0064】
尚運転者の制動要求がある場合に於ける制動力の制御、即ち各輪のホイールシリンダ圧力の制御及び制御状態に於ける異常判定は本発明の要旨をなすものではなく、これらの制御及び異常判定は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて行われてよい。
【0065】
図3に示された非制御状態時の異常判定ルーチンのステップ112に於いては第一のマスタシリンダ圧力Pm1、第二のマスタシリンダ圧力Pm2、ホイールシリンダ圧力Pfl〜Prrのうちの最大値Pmax及び最小値Pminと、最大値の次に大きい圧力Psmaxと、最小値の次に小さい圧力Psminとが決定される。
【0066】
ステップ114に於いては、最大値Pmax及び最小値Pminの一方がPxに設定され他方がPyに設定され、圧力Px及びPyが図8に示されたグラフに対応するマップより正常ゾーンにあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ132へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ116へ進む。
【0067】
ステップ116に於いては第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2の平均値Pmaが演算されると共に、平均値Pma及びストロークSpが図9に示されたグラフに対応するマップより異常ゾーン1にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ124へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ118に於いて少なくとも何れかのホイールシリンダにエア入りの異常が生じている旨の判定が行われ、ステップ120に於いてエア入りの異常が生じている旨の警報信号が図には示されていない警報装置に出力され、ステップ122に於いてフラグFaが0にリセットされる。
【0068】
ステップ124に於いては平均値Pma及びストロークSpが図9に示されたグラフに対応するマップより異常ゾーン2にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ122へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ126に於いてストロークセンサ70が異常である旨の判定が行われ、ステップ128に於いてストロークセンサが異常である旨の警報信号が警報装置に出力され、ステップ130に於いてフラグFaが2にセットされる。
【0069】
ステップ132に於いては最大値Pmax及び最大値の次に大きい圧力Psmaxの一方がPxに設定され他方がPyに設定され、圧力Px及びPyが図8に示されたグラフに対応するマップより異常ゾーンにあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ134に於いて最大値Pmaxに対応する圧力センサが異常である旨の判定が行われた後ステップ152へ進み、否定判別が行われたときにはステップ136へ進む。
【0070】
ステップ136に於いては最小値の次に小さい圧力Psmin及び最小値Pminの一方がPxに設定され他方がPyに設定され、圧力Px及びPyが図8に示されたグラフに対応するマップより異常ゾーンにあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ138に於いて最小値Pminに対応する圧力センサが異常である旨の判定が行われた後ステップ152へ進み、否定判別が行われたときにはステップ140へ進む。
【0071】
ステップ140に於いては第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2の一方がPxに設定され他方がPyに設定されると共に、圧力Px及びPyが図8に示されたグラフに対応するマップより正常ゾーンにあるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ141に於いて圧力センサ66又は68が異常であると判定された後ステップ150へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ142へ進む。
【0072】
ステップ142に於いては第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2の平均値PmaがPxに設定され左前輪のホイールシリンダ圧力Pfl又は右前輪のホイールシリンダ圧力PfrがPyに設定されると共に、これらの圧力が図8に示されたグラフに対応するマップより異常ゾーンにあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ144に於いて電磁開閉弁24Fに閉弁固着の異常が生じている旨の判定が行われた後ステップ152へ進み、否定判別が行われたときにはステップ146へ進む。
【0073】
ステップ146に於いてはマスタシリンダ圧力の平均値PmaがPxに設定され左後輪のホイールシリンダ圧力Prl又は右後輪のホイールシリンダ圧力PrrがPyに設定されると共に、図8に示されたグラフに対応するマップよりこれらの圧力が異常ゾーンにあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ148に於いて電磁開閉弁24Rに閉弁固着の異常が生じている旨の判定が行われた後ステップ152へ進み、否定判別が行われたときにはステップ150に於いて他の異常が生じている旨の判定が行われた後ステップ152に於いて警報装置にそれぞれ対応する異常が生じている旨の警報が出力されると共に、フラグFaが1にセットされる。
【0074】
尚図8に示されたグラフに於ける二点鎖線は圧力Px及びPyを検出する二つの圧力センサが正常である場合の関係、即ちPy=Pxを示しており、図9に示されたグラフに於ける二点鎖線は第一及び第二のマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2を検出する圧力センサ66、68及びストロークセンサ70が正常である場合の平均値PmaとストロークSpとの関係を示している。
【0075】
図4に示された各輪の目標制動圧Pti演算ルーチンのステップ182に於いては、図5に示されたグラフに対応するマップより踏み込みストロークSpに基づく目標減速度Gstが演算され、ステップ184に於いては図6に示されたグラフに対応するマップより第一及び第二のマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmaに基づく目標減速度Gptが演算される。
【0076】
ステップ186に於いてはフラグFaが0であるか否かの判別、即ち正常な制動力制御を行えるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ192へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ188へ進む。
【0077】
ステップ188に於いては前サイクルに於いて演算された最終目標減速度Gtに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより平均値Pmaに基づく目標減速度Gptに対する重みα(0≦α≦1)が演算され、ステップ190に於いては下記の式1に従って目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として最終目標減速度Gtが演算される。
Gt=αGpt+(1−α)Gst ……(1)
【0078】
ステップ192に於いてはフラグFaが2であるか否かの判別、即ちストロークセンサ70が異常であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ196へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ194に於いて最終目標減速度Gtが目標減速度Gptに設定される。
【0079】
ステップ196に於いては最終目標減速度Gtに対する各輪の目標ホイールシリンダ圧力の係数(正の定数)をKi(i=fl、fr、rl、rr)として、下記の式2に従って各輪の目標ホイールシリンダ圧力Pti(i=fl、fr、rl、rr)が演算され、ステップ198に於いては各輪のホイールシリンダ圧力が目標制動圧Ptiになるよう制御される。
Pti=Ki Gt ……(2)
【0080】
上述の如く構成された制動制御装置が搭載された車輌が走行を開始する場合に於いて、図10に示されている如く、時点t1に於いて運転者によりブレーキペダル12が踏み込まれ、時点t2に於いてイグニッションスイッチがオンに切り替えられ、時点t3に於いて運転者によるブレーキペダル12の踏み込みが解除され、しかる後車輌が走行を開始し、更にその後の時点t4に於いて運転者により再度ブレーキペダル12が踏み込まれたとする。
【0081】
この場合、時点t2に於いて図2に示されたフローチャートによる制御が開始され、時点t2より時点t3までの間ステップ20に於いて肯定判別が行われ、ステップ60に於いて否定判別が行われ、ステップ80及び90に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ100に於いて各電磁開閉弁が非制御状態に維持され、ステップ110に於いて図3に示されたルーチンに従って非制御状態時の異常判定が行われる。
【0082】
時点t3に於いてはブレーキペダル12が踏み込まれた状態より踏み込まれていない状態になるので、ステップ20に於いて否定判別が行われると共にステップ30に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ40に於いてフラグFcが1にセットされ、ステップ50に於いて各電磁開閉弁が非制御状態に維持される。
【0083】
時点t4に於いてはブレーキペダル12が踏み込まれていない状態より踏み込まれた状態になるので、ステップ20及び60に於いて肯定判別が行われ、ステップ70に於いてフラグFcが0にリセットされ、ステップ80に於いて否定判別が行われ、圧力センサ等に異常が生じておらずフラグFaが0であるときにはステップ160に於いて否定判別が行われ、これによりステップ170に於いて各電磁開閉弁が制御状態に設定され、ステップ180に於いて各輪のホイールシリンダ圧力がマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2の平均値Pma及び踏み込みストロークSpに基づく目標制動圧Ptiになるよう制御され、ステップ200に於いて制御状態時に於ける異常判定が行われる。
【0084】
上述の如く図3に示されたルーチンによる非制御状態時の異常判定は、ブレーキペダル12が踏み込まれた状態にあり且つ電磁開閉弁が非制御位置にあり且つ車輌が停止した状態にある状況に於いて、即ち図10に示されている如く時点t2より時点t3までの間に行われる。またブレーキペダル12が踏み込まれた状態にあり且つ電磁開閉弁が非制御位置にあり且つ車輌が停止した状態にある状況に於いては、第一のマスタシリンダ室14A、第二のマスタシリンダ室14B、ホイールシリンダ22FL〜22RRは相互に連通した状態にあるので、圧力センサ66、68、74FL〜74RRによりそれぞれ検出される圧力Pm1、Pm2、Piは互いに等しい。
【0085】
図11に示されている如く、圧力センサ66、68、74FL〜74RRが正常である場合にそれらのセンサにより検出されるべき油圧Pdとセンサの出力電圧Vpとの関係が図11に於いて実線にて示されている如き関係であるとすると、圧力センサに例えば50%のゲイン異常が生じた場合には、そのセンサの出力は図11に於いて二点鎖線にて示されている如く変化し、実質的に正常値の半分に低下する。
【0086】
従って圧力センサ66、68、74FL〜74RRが正常であるときには、これらの圧力センサにより検出される圧力Pm1、Pm2、Pa、Piの任意の組合せは図8の正常ゾーンにあり、何れかの圧力センサにゲインの異常が生じると、該センサにより検出された圧力を含む二つの圧力の組合せは図8の異常ゾーンになるので、二つの圧力の組合せが図8の正常ゾーンにあるか否かの判定により一方の圧力センサにゲインの異常が生じているか否かを判定することができる。
【0087】
例えば全ての圧力センサや電磁開閉弁が正常な場合に於けるマスタシリンダ室14内の圧力が10MPaとして、第一のマスタシリンダ室14A内の圧力Pm1を検出する圧力センサ66にゲインの異常が生じると、図12に示されている如く圧力センサ66の検出値Pm1が例えば5MPaになり、圧力Pm1と他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになり、第二のマスタシリンダ室14B内の圧力Pm2を検出する圧力センサ68にゲインの異常が生じると、図13に示されている如く圧力センサ68の検出値Pm2が例えば5MPaになり、圧力Pm2と他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになる。
【0088】
また左前輪のホイールシリンダ22FL内の圧力を検出する圧力センサ74FLにゲインの異常が生じると、図14に示されている如く圧力センサ74FLの検出値Pflが例えば5MPaになり、圧力Pflと他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになり、右前輪のホイールシリンダ22FR内の圧力Pfrを検出する圧力センサ74FRにゲインの異常が生じたり電磁開閉弁64Fに開弁不良の異常が生じると、図15に示されている如く圧力センサ74FRの検出値Pfrが例えば5MPaになり、圧力Pfrと他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになる。
【0089】
同様に、左後輪のホイールシリンダ22RL内の圧力を検出する圧力センサ74RLにゲインの異常が生じると、図16に示されている如く圧力センサ74RLの検出値Prlが例えば5MPaになり、圧力Prlと他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになり、右後輪のホイールシリンダ22RR内の圧力Prrを検出する圧力センサ74RRにゲインの異常が生じたり電磁開閉弁64Rに開弁不良の異常が生じると、図17に示されている如く圧力センサ74RRの検出値Prrが例えば5MPaになり、圧力Prrと他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになる。
【0090】
また各圧力センサは正常であっても、例えば第一のマスタシリンダ室14Aと右前輪のホイールシリンダ室22FLとの連通を制御する電磁開閉弁24Fに閉弁固着の異常が生じると、図18に示されている如く圧力センサ74FLの検出値Pfl及び圧力センサ74FRの検出値Pfrが例えば1MPaになり、圧力Pfl又はPfrと他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになり、第二のマスタシリンダ室14Bと右後輪のホイールシリンダ室22RLとの連通を制御する電磁開閉弁24Rに閉弁固着の異常が生じると、図19に示されている如く圧力センサ74RLの検出値Prl及び圧力センサ74RRの検出値Prrが例えば1MPaになり、圧力Prl又はPrrと他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになる。
【0091】
また前輪の増圧弁である電磁開閉弁50FL又は50FRに漏れの異常が生じると、第一のマスタシリンダ室14A及び左右前輪のホイールシリンダ室22FL、22FRにアキュムレータ38内の高圧のオイルが導入されるので、図20に示されている如く第一のマスタシリンダ圧力Pm1、左前輪のホイールシリンダ圧力Pfl、右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrが例えば30MPaになり、これらの圧力と他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになる。
【0092】
同様に、後輪の増圧弁である電磁開閉弁50RL又は50RRに漏れの異常が生じると、第二のマスタシリンダ室14B及び左右後輪のホイールシリンダ室22RL、22RRにアキュムレータ38内の高圧のオイルが導入されるので、図21に示されている如く第二のマスタシリンダ圧力Pm2、左後輪のホイールシリンダ圧力Prl、右後輪のホイールシリンダ圧力Prrが例えば30MPaになり、これらの圧力と他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになる。
【0093】
また前輪の減圧弁である電磁開閉弁60FL又は60FRに漏れの異常が生じると、第一のマスタシリンダ室14A及び左右前輪のホイールシリンダ室22FL、22FR内のオイルがリザーバ30へ排出されるので、図22に示されている如く第一のマスタシリンダ圧力Pm1、左前輪のホイールシリンダ圧力Pfl、右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrが例えば1MPaになり、これらの圧力と他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになる。
【0094】
同様に、後輪の減圧弁である電磁開閉弁60RL又は60RRに漏れの異常が生じると、第二のマスタシリンダ室14B及び左右後輪のホイールシリンダ室22RL、22RR内のオイルがリザーバ30へ排出されるので、図23に示されている如く第二のマスタシリンダ圧力Pm2、左後輪のホイールシリンダ圧力Prl、右後輪のホイールシリンダ圧力Prrが例えば1MPaになり、これらの圧力と他の圧力センサの検出値との組合せは図8の異常ゾーンになる。
【0095】
更にホイールシリンダ室22FL〜22RR内にエア入りの異常が生じると、ブレーキペダル12の踏み込み量に対する第一のマスタシリンダ圧Pm1等の油圧の上昇率が正常時よりも低下するので、第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2の平均値Pmaと踏み込みストロークSpとの関係は図9の異常ゾーン1になる。
【0096】
逆にストロークセンサ70にゲイン低下の如き異常が生じると、実際のブレーキペダル12の踏み込み量に対する第一のマスタシリンダ圧Pm1等の油圧の上昇率は正常であるが、検出される踏み込みストロークSpに対する油圧の上昇率が正常時よりも増大し、第一及び第二のマスタシリンダ圧力の平均値Pmaと踏み込みストロークSpとの関係は図9の異常ゾーン2になる。
【0097】
図示の実施形態によれば、図3に示された異常判別ルーチンのステップ112に於いて第一のマスタシリンダ圧力Pm1、第二のマスタシリンダ圧力Pm2、ホイールシリンダ圧力Pfl〜Prrのうちの最大値Pmax及び最小値Pminと、最大値の次に大きい圧力Psmaxと、最小値の次に小さい圧力Psminとが決定され、ステップ114に於いて最大値Pmax及び最小値Pminが図8に示されたグラフに対応するマップより正常ゾーンにあるか否かの判別、即ち全ての圧力センサが正常であるか否かの判別が行われる。
【0098】
ステップ114に於いて肯定判別、即ち全ての圧力センサが正常である旨の判別が行われると、ステップ116に於いて平均値Pma及びストロークSpが図9に示されたグラフに対応するマップより異常ゾーン1にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ118に於いて少なくとも何れかのホイールシリンダにエア入りの異常が生じている旨の判定が行われ、ステップ120に於いてエア入りの異常が生じている旨の警報が運転者に発せられ、ホイールシリンダにエア入りの異常が生じていても応答性は低下するもののブレーキ制御は可能であるので、ステップ122に於いてフラグFaが0にリセットされる。
【0099】
またステップ116に於いて否定判別、即ちエア入りの異常が生じてはいない旨の判別が行われたときには、ステップ124に於いて平均値Pma及びストロークSpが図9に示されたグラフに対応するマップより異常ゾーン2にあるか否かの判別、即ちストロークセンサ70が異常であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ126に於いてストロークセンサ70が異常である旨の判定が行われ、ステップ128に於いてストロークセンサが異常である旨の警報が運転者に発せられ、ステップ130に於いてフラグFaが2にセットされる。
【0100】
またステップ114に於いて否定判別、即ち最大値Pmaxに対応する圧力センサ又は最小値Pminに対応する圧力センサに異常が生じている旨の判別が行われると、ステップ132に於いて最大値Pmax及び最大値の次に大きい圧力Psmaxが図8に示されたグラフに対応するマップより異常ゾーンにあるか否かの判別が行われ、肯定判別、即ち最大値Pmax及び最大値の次に大きい圧力Psmaxに対応する圧力センサが正常ではない旨の判別が行われたときにはステップ134に於いて最大値Pmaxに対応する圧力センサが異常である旨の判定が行われる。
【0101】
またステップ132に於いて否定判別が行われると、ステップ136に於いて最小値の次に小さい圧力Psmin及び最小値Pminが図8に示されたグラフに対応するマップより異常ゾーンにあるか否かの判別が行われ、肯定判別、即ち最小値の次に小さい圧力Psmin及び最小値Pminに対応する圧力センサが正常ではない旨の判別が行われたときにはステップ138に於いて最小値Pminに対応する圧力センサが異常である旨の判定が行われる。
【0102】
ステップ136に於いて否定判別が行われたときには、ステップ140に於いて第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2が図8に示されたグラフに対応するマップより正常ゾーンにあるか否かの判別、即ち圧力センサ66及び68が正常であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ150に於いて圧力センサ66及び68の一方が異常である旨の判別が行われ、ステップ152に於いて圧力センサ66及び68の一方に異常が生じている旨の警報が運転者に発せられると共にフラグFaが1にセットされる。
【0103】
またステップ140に於いて肯定判別、即ち圧力センサ66及び68が正常である旨の判別が行われると、ステップ142に於いて第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2の平均値Pma及び左前輪のホイールシリンダ圧力Pfl又は右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrが図8に示されたグラフに対応するマップより異常ゾーンにあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときには、圧力センサ66及び68が正常でありこれらにより検出された第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2が実際の圧力に対応している状況に於いて左前輪のホイールシリンダ圧力Pfl又は右前輪のホイールシリンダ圧力Pfrが異常な値であるので、ステップ144に於いて電磁開閉弁24Fに閉弁固着の異常が生じている旨の判定が行われる。
【0104】
またステップ142に於いて否定判別が行われると、ステップ146に於いて平均値Pma及び左後輪のホイールシリンダ圧力Prl又は右後輪のホイールシリンダ圧力Prrが図8に示されたグラフに対応するマップより異常ゾーンにあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときには、第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2が実際の圧力に対応している状況に於いて左後輪のホイールシリンダ圧力Prl又は右後輪のホイールシリンダ圧力Prrが異常な値であるので、ステップ148に於いて電磁開閉弁24Rに閉弁固着の異常が生じている旨の判定が行われる。
【0105】
更にステップ146に於いて否定判別が行われたときには、各圧力センサは正常であるが、他の異常、例えば電磁開閉弁24F及び24R以外の電磁開閉弁の漏れや詰まりの如き異常又は複合的な異常が生じている場合であるので、ステップ150に於いてその旨の判定が行われる。
【0106】
かくして図示の実施形態によれば、ブレーキペダル12が踏み込まれた状態にあり且つ電磁開閉弁が非制御位置にあり且つ車輌が停止した状態にある状況に於いて圧力センサ66、68、74FL〜74RRによりそれぞれ検出された圧力Pm1、Pm2、Pi及び踏み込みストロークSpに基づきブレーキ装置の各種の異常を検出することができ、また正常な制動力制御を行えない異常が生じたときにはブレーキ装置を非制御状態に切り替え、これにより異常な制動力制御が行われることを確実に防止することができる。
【0107】
また図示の実施形態によれば、ステップ182に於いてブレーキペダル12の踏み込みストロークSpに基づく目標減速度Gstが演算され、ステップ184に於いて第一及び第二のマスタシリンダ圧力の平均値Pmaに基づく目標減速度Gptが演算される。
【0108】
そしてステップ186に於いて正常な制動力制御を行える旨の判別が行われたときには、ステップ188に於いて前サイクルに於いて演算された最終目標減速度Gtに基づき目標減速度Gptに対する重みαが演算され、ステップ190に於いて目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として最終目標減速度Gtが演算され、ステップ196に於いて各輪の目標制動圧Ptiが最終目標減速度Gtに比例する値として演算され、ステップ198に於いて各輪のホイールシリンダ圧力Piが目標制動圧Ptiになるようフィードバック制御される。
【0109】
従って図示の実施形態によれば、各輪のホイールシリンダ圧力Piを目標制動圧Ptiに制御し、これにより各輪の制動力を運転者によるブレーキペダル12に対する操作量に応じて正確に制御し、従って車輌の制動制御を正確に行うことができる。
【0110】
またステップ186及び192に於いてストロークセンサ70が異常である旨の判別が行われたときには、ステップ194に於いて最終目標減速度Gtがマスタシリンダ圧力に基づく目標減速度Gptに設定されるので、異常なストロークセンサ70により検出された異常な踏み込みストロークSpに基づき不適切な制動力制御が行われることを確実に防止することができると共に、ストロークセンサ70に異常が生じても運転者による制動操作量に応じた制動力制御を確実に継続することができる。
【0111】
特に図示の実施形態によれば、制動力制御装置はブレーキペダル12の踏み込みストロークSpを検出するストロークセンサ70を有し、図3に示されたフローチャートのステップ114に於いて全ての圧力センサが正常である旨の判別が行われたときには、ステップ116及び124に於いてホイールシリンダにエア入りの異常が生じているか否かの判別及びストロークセンサ70が異常であるか否かの判別が行われるので、エア入りの異常又はストロークセンサ70の異常が生じたときにはそれらの異常を確実に検出することができる。
【0112】
また図示の実施形態によれば、制動力制御装置は第一のマスタシリンダ室14A内の圧力Pm1を検出する圧力センサ66及び第二のマスタシリンダ室14B内の圧力Pm2を検出する圧力センサ68の二つの圧力センサを有し、図3に示されたフローチャートのステップ140に於いて圧力センサ66及び68が正常である旨の判別が行われると、ステップ142、146の判別が行われるので、マスタカット弁としての電磁開閉弁が異常であるときにはそれらの異常を確実に検出することができる。
【0113】
また図示の実施形態によれば、車輌が走行を開始した後であって、イグニッションスイッチがオフに切り替えられることなく停車した状態にあり且つ運転者によりブレーキペダル12が踏み込まれた状態にあるときにも、ステップ20、80、90に於いて肯定判別が行われ、ステップ110が実行されるので、車輌の走行開始時以外にも制動制御装置の異常を検出することができる。
【0114】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0115】
例えば上述の実施形態に於いては、ステップ140に於いて否定判別が行われたときには、換言すればマスタシリンダ圧力を検出する圧力センサ66及び68の一方が異常であるときには、ステップ152に於いてフラグFaが1にセットされ、これによりブレーキ装置は非制御状態に切り替えられるようになっているが、ステップ140に於いて否定判別が行われたときには例えばフラグFaが3にセットされ、しかる後第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び踏み込みストロークSpが図9に示されたグラフに対応するマップより正常ゾーンにあるか否かの判別が行われると共に、第二のマスタシリンダ圧力Pm2及び踏み込みストロークSpが図9に示されたグラフに対応するマップより正常ゾーンにあるか否かの判別が行われることにより、圧力センサ66及び68の何れが異常であるかが判定されてもよい。
【0116】
また上述の場合に於いて、図4に示されたフローチャートのステップ192に於いて否定判別が行われたときにフラグFaが3であるか否かの判別が行われ、フラグFaが3であるときには最終目標減速度Gtが踏み込みストロークSpに基づく目標減速度Gstに設定されてもよく、またフラグFaが3であるときには目標減速度Gptが正常な圧力センサ66又は68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1又はPm2に基づき図6に示されたグラフに対応するマップより演算され、しかる後ステップ188へ進むよう修正されてもよい。
【0117】
また上述の実施形態に於いては、ステップ134又は136に於いて異常と判定された圧力センサが圧力センサ66又は68である場合にもステップ152に於いてフラグFaが1にセットされ、これによりブレーキ装置は非制御状態に切り替えられるようになっているが、ステップ134又は136に於いて異常と判定された圧力センサが圧力センサ66又は68である場合にはフラグFaが3にセットされ、上述の場合と同様目標減速度Gptが正常な圧力センサ66又は68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1又はPm2に基づき図6に示されたグラフに対応するマップより演算され、しかる後ステップ188へ進むよう修正されてもよい。
【0119】
更に上述の実施形態に於いては、本発明は自動変速機が搭載された車輌に適用されているが、本発明は手動式変速機が搭載された車輌に適用されてもよく、その場合にはステップ90に先立ちパーキングブレーキがオン状態にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われた場合にステップ90へ進むよう修正されることが好ましい。
【0120】
【発明の効果】
以上の説明より明らかである如く、本発明の請求項1の構成によれば、非制御時に第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧が予め設定された第一の正常ゾーン内にないときには第一及び第二の圧力センサの何れかが異常であると判定され、第一の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定され、液圧回路を複雑に制御する必要がないので、第一及び第二の圧力センサに異常が生じたときにはその異常を迅速に且つ確実に検出することができる。
【0121】
また請求項2の構成によれば、第一若しくは第二の連通制御弁に異常が生じたときには、液圧回路を複雑に制御することなくその異常を確実に検出することができ、請求項4の構成によれば、増減圧制御弁に異常が生じたときには、液圧回路を複雑に制御することなくその異常を確実に検出することができ、請求項5及び請求項6の構成によれば、液圧回路を複雑に制御することなく最大値に対応する圧力センサ及び最小値に対応する圧力センサの異常を確実に検出することができ、請求項の構成によれば、ホイールシリンダにエア入りの異常が生じたときには、液圧回路を複雑に制御することなくその異常を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による異常検出方法が適用された車輌の制動制御装置の一つの実施形態の油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成図である。
【図2】図示の実施形態に於ける制動力制御ルーチンを示すゼネラルフローチャートである。
【図3】図2に示されたフローチャートのステップ100に於ける非制御状態時の異常判定ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図2に示されたフローチャートのステップ180の制動力制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】ブレーキペダルの踏み込みストロークSp と目標減速度Gstとの関係を示すグラフである。
【図6】第一及び第二のマスタシリンダ圧力の平均値Pmaと目標減速度Gptとの関係を示すグラフである。
【図7】前回演算された最終目標減速度Gtと目標減速度Gptに対する重みαとの関係を示すグラフである。
【図8】圧力センサにより検出される二つの圧力Px及びPyの正常ゾーン及び異常ゾーンを示すグラフである。
【図9】マスタシリンダ圧力の平均値Pmaとストロークセンサにより検出されるストロークSpの正常ゾーン及び異常ゾーンを示すグラフである。
【図10】車輌が走行を開始する際に於ける図示の実施形態の作動を示すタイムチャートである。
【図11】正常な圧力センサ及び50%のゲイン異常を生じた圧力センサについて検出されるべき油圧Pdと圧力センサの出力電圧Vpとの関係を示すグラフである。
【図12】第一のマスタシリンダ室14A内の圧力Pm1を検出する圧力センサ66にゲインの異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【図13】第二のマスタシリンダ室14B内の圧力Pm2を検出する圧力センサ68にゲインの異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【図14】左前輪のホイールシリンダ22FL内の圧力を検出する圧力センサ74FLにゲインの異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【図15】右前輪のホイールシリンダ22FR内の圧力Pfrを検出する圧力センサ74FRにゲインの異常が生じたり電磁開閉弁64Fに開弁不良の異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【図16】左後輪のホイールシリンダ22RL内の圧力を検出する圧力センサ74RLにゲインの異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【図17】右後輪のホイールシリンダ22RR内の圧力Prrを検出する圧力センサ74RRにゲインの異常が生じたり電磁開閉弁64Rに開弁不良の異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【図18】第一のマスタシリンダ室14Aと右前輪のホイールシリンダ室22FLとの連通を制御する電磁開閉弁24Fに閉弁固着の異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【図19】第二のマスタシリンダ室14Bと右後輪のホイールシリンダ室22RLとの連通を制御する電磁開閉弁24Rに閉弁固着の異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【図20】前輪の増圧弁である電磁開閉弁50FL又は50FRに漏れの異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【図21】後輪の増圧弁である電磁開閉弁50RL又は50RRに漏れの異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【図22】前輪の減圧弁である電磁開閉弁60FL又は60FRに漏れの異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【図23】後輪の減圧弁である電磁開閉弁60RL又は60RRに漏れの異常が生じた場合の各検出圧力を示す説明図である。
【符号の説明】
10…ブレーキ装置
12…ブレーキペダル
14…マスタシリンダ
22FL〜22RR…ホイールシリンダ
66、68…圧力センサ
70…ストロークセンサ
72、74FL〜74RR…圧力センサ
76…電気式制御装置

Claims (7)

  1. 第一及び第二のマスタシリンダ室を有するマスタシリンダと、高圧液体供給源と、各輪に対応して設けられたホイールシリンダと、非制御時には前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとを連通接続すると共に前記高圧液体供給源と前記ホイールシリンダとの連通を遮断し、制御時には前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとの連通を遮断すると共に前記高圧液体供給源より前記ホイールシリンダに対し高圧液体を給排する液圧回路と、前記第一のマスタシリンダ室内の圧力を検出する第一の圧力センサと前記第二のマスタシリンダ室内の圧力を検出する第二の圧力センサとを有する車輌の制動力制御装置の異常検出方法にして、非制御時に前記第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧が予め設定された第一の正常ゾーン内にないときには前記第一及び第二の圧力センサの何れかが異常であると判定し、前記第一の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定されていることを特徴とする車輌の制動力制御装置の異常検出方法。
  2. 前記液圧回路は前記第一のマスタシリンダこれに対応するホイールシリンダとの連通を制御する第一の連通制御弁と、前記第二のマスタシリンダ室とこれに対応するホイールシリンダとの連通を制御する第二の連通制御弁とを含み、非制御時に前記第一及び第二の圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて、前記第一の圧力センサにより検出された液圧と前記第一の連通制御弁に対しホイールシリンダの側に設けられた第三の圧力センサにより検出された液圧とが予め設定された第二の正常ゾーン内にないときには前記第一の連通制御弁が異常であると判定し、前記第二の圧力センサにより検出された液圧と前記第二の連通制御弁に対しホイールシリンダの側に設けられた第四の圧力センサにより検出された液圧とが前記第二の正常ゾーン内にないときには前記第二の連通制御弁が異常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置の異常検出方法。
  3. 前記第二の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定されていることを特徴とする請求項2に記載の車輌の制動力制御装置の異常検出方法。
  4. 前記液圧回路は各ホイールシリンダに対応して設けられ対応するホイールシリンダに対する高圧液体の給排を制御する増減圧制御弁と、各増減圧制御弁に対し対応するホイールシリンダの側に設けられた第五の圧力センサとを含み、非制御時に前記第一及び第二の圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて、前記第五の圧力センサにより検出された液圧と前記第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧とが予め設定された第三の正常ゾーン内にないときには対応する増減圧制御弁が異常であると判定し、前記第三の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定されていることを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置の異常検出方法。
  5. 前記液圧回路は各ホイールシリンダに対応して設けられ対応するホイールシリンダに対する高圧液体の給排を制御する増減圧制御弁と、各増減圧制御弁に対し対応するホイールシリンダの側に設けられた第五の圧力センサとを含み、非制御時に前記第一、第二、第五の圧力センサにより検出された液圧の最大値及び最小値が予め設定された第四の正常ゾーン内になく且つ非制御時に前記最大値及び最大値の次に高い液圧が前記第四の正常ゾーン内にないときには前記最大値に対応する圧力センサが異常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置の異常検出方法。
  6. 前記液圧回路は各ホイールシリンダに対応して設けられ対応するホイールシリンダに対する高圧液体の給排を制御する増減圧制御弁と、各増減圧制御弁に対し対応するホイールシリンダの側に設けられた第五の圧力センサとを含み、非制御時に前記第一、第二、第五の圧力センサにより検出された液圧の最大値及び最小値が予め設定された第五の正常ゾー ン内になく且つ非制御時に前記最小値及び最小値の次に低い液圧が前記第五の正常ゾーン内にないときには前記最小値に対応する圧力センサが異常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置の異常検出方法。
  7. 前記制動力制御装置はブレーキペダルに対する操作量を検出する操作量検出手段を含み、非制御時に前記第一及び第二の圧力センサが正常であると判定されている状況に於いて、前記第一及び第二の圧力センサにより検出された液圧の平均値が前記操作量検出手段により検出された操作量及び予め設定された第六の正常ゾーンにより定まる第一の基準値よりも低いときには何れかのホイールシリンダにエア入りの異常が生じていると判定し、前記液圧の平均値が前記操作量検出手段により検出された操作量及び前記第六の正常ゾーンにより定まる第二の基準値よりも高いときには前記操作量検出手段が異常であると判定し、前記第六の正常ゾーンは液圧が高いほど大きくなるよう設定されていることを特徴とする請求項1に記載の車輌の制動力制御装置の異常検出方法。
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