JP3765665B2 - 多孔性フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は多孔性フィルム及びその製造方法に関する。詳しくは、全光線透過率が高く、かつ透湿性も良好な多孔性フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリオレフィン樹脂と無機充填剤との組成物からなるフィルムを一軸あるいは二軸方向に延伸し、フィルムに連通したボイドを発生させて多孔性フィルムを製造する方法は多数提案されている。この多孔性フィルムは、衛生材料、医療用材料、衣料用材料、建築用材料、電池用セパレーター等多種用途材料として使用されている。
しかしながら、ポリオレフィン樹脂と無機充填剤だけの配合系ではしなやかな風合いを有する多孔性フィルムは得られず、布様のソフト感、しなやかな風合い等を要求される分野には使用できなかった。かかる問題点を解決する方法として、ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤の配合系に第三成分として脂肪酸エステル等の添加剤を添加する方法が提案されている。
【0003】
しかしながら、本発明者らの知見によればこれらの多孔性フィルムは多数の微多孔を有しているため、フィルム全体が白化しており、全光線透過率の低いものである。従って、これを例えば、使い捨てオムツのバックシートとして使用した場合、オムツ着用者が尿をしても外観が変わらず、オムツを付け替える時期がよく判らず、場合によっては長時間汚れたオムツを着用させられたままとなり、その結果、多孔性フィルムを用いたにも関わらず、オムツ着用者にムレ、カブレを生じさせる可能性がある。そのため、オムツメーカーによっては全光線透過率が高くオムツの付け替え時期がわかる機能(以下、シースルー性という)を優先するために非多孔性フィルムを採用しているところもあるのが実情である。一方、このようなメーカーにおいても多孔性フィルムについての関心は強く、シースルー機能と透湿性の両方の機能を有する多孔性フィルムへの期待は大きい。
【0004】
これを解決するものとして、例えば、特開平5−168660号公報には、全光線透過率が少なくとも30%で、かつ、透湿度が少なくとも1000g/m2・24hrである通気性フィルムを防漏シートとして用いた使い捨てオムツが開示されている。この通気性フィルムとしては、全光線透過率を高めるために該フィルムを部分的に溶融させるエンボス加工を行ったものを使用しており、実施例では全光線透過率32〜64%、透湿度1020〜1850g/m2の通気性フィルムが記載されている。
【0005】
しかしながら、エンボス加工することにより透湿性は低下する傾向にあり、上記公報においても、全光線透過率を50%近くにするためには、フィルムの透湿度は1000g/m2・24hr程度まで低下している。また、従来は、使い捨てオムツのバックシートは多孔性フィルム単独で使用されていたが、最近では、多孔性フィルムと不織布とをラミネートしたクロスライクタイプのバックシートが主流になってきており、ラミネート時に透湿性の低下、および全光線透過率の低下が起こることから、多孔性フィルムに要求される全光線透過率および透湿性はこれまで以上に高い数値となってきているのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、全光線透過率及び透湿度が共に高い多孔性フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、メタロセン触媒を用いて重合され、且つ、特定の特性を有するポリエチレン(A)、及び、特定の特性を有する分岐状低密度ポリエチレン(B)とを混合して用い、且つ、混合樹脂中に占める(B)の含有量を後述する添加量指数が5〜30となるように制御することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、メタロセン触媒を用いて重合され、温度上昇溶離分別による溶出曲線の相対強度ピークを溶出温度70〜90℃の範囲に1個、90℃を超える温度〜110℃の範囲に1個有し、密度が0.860〜0.945g/cm3、メルトインデックスが0.1〜20g/10分であるポリエチレン(A)、及び、密度が0.900〜0.945g/cm3、メルトインデックスが0.01〜5g/10分である分岐状低密度ポリエチレン(B)との混合樹脂100重量部、及び無機充填剤10〜300重量部を含み、少なくとも一軸方向に1.05〜5倍延伸された多孔性フィルムであって、前記混合樹脂中に(B)が下記数式(1)〔数5〕
【0009】
【数5】
〔式中、Sは添加量指数、Tは混合樹脂中に占める分岐状低密度ポリエチレンの量(重量%)、Mは分岐状低密度ポリエチレンのメルトインデックス(g/10分)〕で表される添加量指数が5〜30となる範囲で含まれ、且つ、全光線透過率が50%以上、透湿度が1300〜5000g/m2・24hrであることを特徴とする多孔性フィルムである。
【0010】
また、本発明の他の発明は、前記ポリエチレン(A)、及び、前記分岐状低密度ポリエチレン(B)との混合樹脂100重量部、及び無機充填剤10〜300重量部を含むフィルムを少なくとも一軸方向に1.05〜5倍延伸する多孔性フィルムの製造方法であって、前記混合樹脂中に占める(B)の量を、上記数式(1)で表される添加量指数が5〜30となる範囲で制御することを特徴とする多孔性フィルムの製造方法である。
【0011】
本発明により提供される多孔性フィルムは、従来公知の多孔性フィルムと同様の透湿性、厚み均一性を有し、しかも全光線透過率が高い。すなわち、透湿度と全光線透過率が共に高い多孔性フィルムである。具体的には、全光線透過率(L)と透湿度(V)との積(L×V/100)で表される透過透湿指数が900〜4000の範囲にある多孔性フィルムである。
【0012】
そのため、衛生材料、医療用材料、衣料用材料、建築用材料、包装用材料などの分野において好適に使用することができる。特に、使い捨てオムツのような製品の資材、また全光線透過率が低いために今まで参入できなかった、絆創膏用、食品包装用等にも使用することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の多孔性フィルムは、メタロセン触媒を用いて重合され、特定の特性を有するポリエチレン(A)(以下、メタロセン触媒ポリエチレンという)と、特定の特性を有する分岐状低密度ポリエチレン(B)とを混合して用い、且つ、混合樹脂中に占める(B)の量を前記数式(1)で表される添加量指数が5〜30となる範囲で用い、該混合樹脂と無機充填剤を含む樹脂組成物を溶融製膜した後、少なくとも一軸方向に延伸することにより製造することができる。
【0014】
本発明に使用されるメタロセン触媒ポリエチレンは、エチレンと炭素数3〜8個のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。メタロセン触媒ポリエチレンの密度は0.860〜0.940g/cm3が好ましく、0.890g/cm3〜0.930g/cm3がより好ましい。メルトインデックス(以下、MIという)は0.1〜20g/10分が好ましく、0.5〜10g/10分がより好ましい。数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn、以下、分子量分布指数という)は1.5〜3.5が好ましく、2〜3がより好ましい。メタロセン触媒ポリエチレンとして、実施例に示した温度上昇溶離分別(Temperature Rising Elution Fraction:TREF)による溶出曲線の相対強度ピークが溶出温度70〜90℃の範囲に1個、90℃を超える温度〜110℃の範囲に1個それぞれ存在するものが好ましく用いられる。上記特性を有するメタロセン触媒ポリエチレンの市販品として、三井化学(株)製、商品名:エボリューSP2040、エボリューSP1540等が挙げられる。
【0015】
また、本発明に使用される分岐状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900〜0.940g/cm3が好ましく、0.905〜0.930g/cm3がより好ましい。また、MIは0.01〜5g/10分が好ましく、0.05〜3g/10分がより好ましい。かかる特性を有する分岐状低密度ポリエチレンの市販品として、三井化学(株)製、商品名:ミラソン102、ミラソン27等が挙げられる。
【0016】
本発明では、上記メタロセン触媒ポリエチレンと、上記分岐状低密度ポリエチレンとの混合樹脂を用いる。両樹脂を混合する際には、上記数式(1)で表される添加量指数が5〜30となる範囲で上記分岐状低密度ポリエチレンが用いられる。好ましい添加量指数の範囲は6〜30である。添加量指数が5以上となるような量の分岐状低密度ポリエチレンを用いると、得られる多孔性フィルムの透湿性が向上する。その理由については定かではないが、メタロセン触媒ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレンの混合性、相互の分散性等の関係で、フィルムを延伸した時に樹脂と無機充填剤との界面での剥離により形成される微孔の他に、メタロセン触媒ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレンの界面でも亀裂が形成され、これが添加量指数が大きくなるにつれて増加し、5以上となるような量の分岐状低密度ポリエチレンを用いると、その亀裂が2つ以上の微孔を貫きはじめ、その結果、フィルムの透湿性が向上するものと推定される。
【0017】
また、この亀裂によって孔径が従来の多孔性フィルムよりも大きくなる。従って、従来の多孔性フィルムと同じ透湿性をを得るためには孔の数は少なくて良い。一般的に、光は屈折率の異なる相の界面で反射及び屈折する。多孔性フィルムの場合、樹脂と孔(空気層)の界面で反射、屈折が起こるので、界面の少ない、すなわち孔数の少ない方が全光線透過率が高くなる。本発明の多孔性フィルムの全光線透過率が高いのはこのためと考えている。
【0018】
また、添加量指数が30を超える様な量の分岐状低密度ポリエチレンを用いると、溶融粘度が高くなり、成形時の押出速度と冷却速度の調整が困難となる傾向を示し、フィルムが破れることがあるので好ましくない。本発明では、上記事項を総合的に勘案して、上記メタロセン触媒ポリエチレンと、上記分岐状低密度ポリエチレンとを混合する際に、上記数式(1)で表される添加量指数が5〜30となる範囲で上記分岐状低密度ポリエチレンが用いられる。
【0019】
無機充填剤としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、マイカ、ゼオライト、タルク、クレー、ガラスビーズ、アルミニウム粉、鉄粉、カーボンブラック、などが使用される。特に、硫酸バリウム、および炭酸カルシウムが好ましい。これらは、単独、または、複合して使用してもよい。無機充填剤の平均粒径は10μm以下のものが好ましく、特に0.5〜5.0μmのものが好ましい。無機充填剤の表面処理は、脂肪酸または、その金属塩などで処理されたものが好ましい。
【0020】
さらに本発明の効果を妨げない範囲で可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
【0021】
次いで、本発明に用いる多孔性フィルムの好ましい製造方法を例示する。上記メタロセン触媒ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、無機充填剤、及び必要に応じて他の添加剤をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて混合した後、一軸あるいは二軸スクリュー型押出機を用いて混練してペレット化する。次いで、これらのペレットをベースレジンの融点以上、好ましくは融点+20℃以上、分解温度未満の温度範囲でTダイ成形機、インフレーション成形機等公知の成形機を用いて溶融製膜する。場合によっては、ペレット化せず直接押出機で製膜することもできる。
【0022】
製膜されたフィルムは、ロール法、テンター法等の公知の方法により、室温〜樹脂の軟化点(JIS K−6760に規定される方法により測定した値)において、少なくとも一軸方向に延伸を行い、樹脂と無機充填剤との界面剥離をおこさせることにより多孔性フィルムを製造する。延伸は多段階に分けて行ってもよい。
【0023】
本発明における延伸倍率は少なくとも一軸方向に1.05〜5倍、好ましくは、1.1〜3倍である。また、延伸後必要に応じて、得られた開孔の形態を安定させるために熱固定処理を行っても良い。熱固定処理としては、樹脂の軟化点以上、融点未満の温度において、0.1〜100秒間熱処理する方法が挙げられる。
【0024】
本発明の多孔性フィルムの厚みには特に制限はないが、通常、5〜100μmが好ましく、10〜70μmが更に好ましい。5μm未満では破れ易くなり、100μmを超えると全光線透過率が低下するので好ましくない。
【0025】
本発明における透湿度は、ASTM E−96に基づき、温度40℃、相対湿度60%、純水法の条件で1300〜5000g/m2・24hrである。1300g/m2・24hr未満では、通気性が低すぎて、通気性フィルムとしての性能を発揮できない。また、5000g/m2・24hrを超える場合、通気性としては申し分ないが、この透湿度を達成させるために延伸倍率を上げる、フィラー量を上げる等が必要となり生産性が低下する傾向にある。また、高光線透過率が達成しにくくなるので好ましくない。
【0026】
また、得られた多孔性フィルムの全光線透過率は50%以上である。全光線透過率の上限は高いほど好ましい。全光線透過率が50%以上であるものは、例えば、使い捨てオムツのバックシート等として使用した場合、シースルー性に優れたフィルムとなる。
【0027】
また、全光線透過率と透湿度との関係が下式(2)〔数6〕
【0028】
【数6】
〔式中、Xは透過透湿指数、Lは全光線透過率、Vは透湿度〕で表される透過透湿指数が900〜4000である。
【0029】
透過透湿指数が900以上であるフィルムは全光線透過率および透湿度とも良好なフィルムとなる。また、透過透湿指数が4000以上を超える場合は、全光線透過率および透湿度とも申し分ないが、この数値を達成させるためにはフィルムが薄くなりすぎるために生産性が低下する傾向にある。
【0030】
尚、本発明の多孔性フィルムは、処方、延伸倍率等の条件によって、全光線透過率および透湿度を調整すると良いが、熱エンボス等によって調整してもよい。ただし、全光線透過率は50%以上、透湿度は1300〜5000g/m2・24hrでかつ、前述の透過透湿指数が900〜4000の範囲に入るように調整する必要がある。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するため、実施例、比較例をあげて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例に示したメルトインデックス、温度上昇溶離分別、分子量分布指数、全光線透過率、透湿度、フィルム厚みの均一性の評価は以下の方法で行った。
(1)メルトインデックス〔g/10分〕
ASTM D−1238−57T(E)に規定される方法により、温度190℃、荷重2160gの条件下で測定する。
(2)温度上昇溶離分別(TREF)試験
温度上昇溶離分別(Temperature Rising Elution Fraction:TREF)の測定は、TREF用カラムオーブン、バルブオーブン、SEC(Size Exclusion Chromatograph)カラムオーブンを備えたクロス分別装置〔三菱化学(株)製、形式:CFCT150A〕を用いた。メタロセン触媒ポリエチレンをo−ジクロロベンゼン〔和光純薬工業(株)製〕に濃度が4mg/mlとなるように140℃で加熱溶解させ、この樹脂溶液をクロス分別装置に注射器を用いて注入し、測定を開始する。樹脂溶液はTREF用カラムに導入され、TREF用カラムは140℃から0℃まで1℃/minの速度で冷却され、樹脂がカラム内の表面処理された不活性担体(ガラスビーズ)表面にコーティングされる。この時、分岐の少ない結晶性のものから分岐の多い低結晶性のものの順にガラスビーズ表面に樹脂層を形成する。TREF用カラムは、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、49、52、55、58、61、64、67、70、73、76、79、82、85、88、91、94、97、100、102、120および140℃の各溶出温度で30分ずつ昇温され、各温度で溶出した樹脂はSECカラムで分子サイズの分別が行われる。分離された樹脂溶液は赤外検出で濃度が検出され、コンピューターにより相対強度として出力される。
【0032】
(3)分子量分布指数(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(ミリポア社製、形式:GPC−150C、分離カラム:TSK GNH HT、カラムサイズ:直径72mm、長さ600mm、検出器:示差屈折計式)を用い、カラム温度140℃において測定する。測定条件は以下の通りとした。移動相:o−ジクロロベンゼン〔和光純薬工業(株)製〕、酸化防止剤:BHT(武田薬品)0.025重量%、移動速度:1.0ml/分、試料濃度:0.1重量%、試料注入量:500μl、標準ポリスチレン:重量平均分子量がMw<1000、および、Mw>4×106の場合については、(株)東ソー社製、1000<Mw<4×106については、プレッシャーケミカル(株)社製を用いた。
(4)全光線透過率(%)
霞度計〔日本電色工業(株)製、形式:NDH−300A〕を用いて測定する。
(5)透湿度〔g/m2・24h〕
ASTM E−96に規定される方法に基づき、温度40℃、相対湿度60%、純水法の条件で測定する。測定時間は24時間とする。
(6)フィルム厚みの均一性
多孔性フィルムから試料〔機械方向(以下、縦方向という):101cm、機械方向と直角方向(以下、横方向という):5cm〕を3枚採取し、縦方向に1cm間隔で合計300ヶ所の測定点について、厚み測定機(PEACOCK社製、UPRIGHT DIAL GUAGE NO.25)を用いて厚みを測定し、平均厚み(X)、最高厚み(MAX)及び最低厚み(MIN)を求め、〔(MAX)−(MIN)〕/(X)を算出して、これをフィルム厚みの均一性とする。
【0033】
実施例1〜14、比較例1〜6
メタロセン触媒ポリエチレンとして、密度0.920g/cm3、メルトインデックス(MI)4.0g/10分、TREFの溶出曲線のピーク数2個(約84℃に相対強度0.0072のピーク1個、約99℃に相対強度0.0014のピーク1個)、Mw/Mnが2.2である、三井化学(株)製、商品名:エボリューSP2040を用いた。
また、分岐状低密度ポリエチレンとして、密度が0.919g/cm3、MIが0.35g/10分である三井化学(株)製、商品名:ミラソン102、または、密度が0.918g/cm3、MIが2.0g/10分である三井化学(株)製、商品名:ミラソン27をそれぞれ用いた。
実施例1〜14においては前記数式(1)を用いて算出した添加量指数が5〜30の範囲となるように、比較例1〜6においては同数式を用いて算出した添加量指数が前記範囲外となるように、メタロセン触媒ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレンとをそれぞれ〔表1〕に示した重量部混合した。
得られた混合樹脂に対し、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウム〔同和カルファイン(株)製、商品名:SST−40〕を〔表1〕に示した重量部混合した。尚、実施例13では、第3成分としてエチレンビスステアリルアミド〔日本化成(株)製、商品名:スリバックスE〕0.3重量部、実施例14では、第3成分として脂肪酸ジアルカノールアミドと脂肪族二塩基酸とのジエステル〔伊藤製油(株)製、商品名:ITOWAX J45〕0.5重量部をそれぞれ混合した。
【0034】
上記各原料をタンブラーミキサーにて混合した後、タンデム型押出機で均一に混練しペレット状に加工した。このペレットをTダイ成形機を用いて、240℃で溶融製膜した後、70℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールとの間で〔表1〕に示す延伸倍率で縦方向に一軸延伸し、厚さ20μmの多孔性フィルムを得た。実施例11では、厚さ40μmの多孔性フィルムを得た。得られた多孔性フィルムの全光線透過率、透湿度、透過透湿指数および厚みの均一性を〔表2〕に示す。尚、使用したメタロセン触媒ポリエチレンのTREFの溶出曲線を〔図1〕に示した。
混合樹脂中に占める分岐状低密度ポリエチレンの量が、添加量指数が5〜30となる範囲内のものは、全光線透過率、透湿度、透過透湿指数および厚みの均一性が良好であった。一方、混合樹脂中に占める分岐状低密度ポリエチレンの量が、添加量指数が前記範囲外のものについては、透過透湿指数が良好ではなく、全光線透過率および透湿度が共に良好なものが得られなかった。また、添加量指数が33.7であったものは、製膜によりフィルムに穴があき、サンプルが得られなかった。
【0035】
【表1】
〔表1〕中の略号は、下記の通りである。
LL A:メタロセン触媒ポリエチレン:三井化学(株)製 SP2040(密度0.920g/cm3、MI4.0g/10分)
LL B:メタロセン触媒ポリエチレン:三井化学(株)製 SP1540(密度0.915g/cm3、MI4.0g/10分)
LD a:分岐状低密度ポリエチレン:三井化学(株)製 ミラソン102(密度0.919g/cm3、MI0.35g/10分)
LD b:分岐状低密度ポリエチレン:三井化学(株)製 ミラソン27(密度0.918g/cm3、MI2.0g/10分)
第三成分 I:エチレンビスステアリルアミド:日本化成(株)製 商品名 スリバックスE
第三成分 II:脂肪酸ジアルカノールアミドと脂肪族二塩基酸とのジエステル:伊藤製油(株)製 商品名 ITOWAX J45
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
本発明により提供される多孔性フィルムは、従来公知のものと同様の透湿性、厚み均一性等を有し、しかも優れた全光線透過率を有する。そのため、衛生材料、医療用材料、衣料用材料、建築用材料、包装用材料などの分野において好適に使用することが出来る。特に、使い捨てオムツのような製品の資材、絆創膏用、食品包装用等の如き優れた全光線透過率が要求される分野において好適に使用するすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例1で用いたメタロセン触媒ポリエチレンのTREFの溶出曲線を示す。
【符号の説明】
1 70〜90℃の範囲に存在する相対強度のピーク
2 90℃を超える温度〜110℃の範囲に存在する相対強度のピーク
Claims (9)
- メタロセン触媒を用いて重合され、温度上昇溶離分別による溶出曲線の相対強度ピークを溶出温度70〜90℃の範囲に1個、90℃を超える温度〜110℃の範囲に1個有し、密度が0.860〜0.945g/cm3、メルトインデックスが0.1〜20g/10分であるポリエチレン(A)、及び、密度が0.900〜0.945g/cm3、メルトインデックスが0.01〜5g/10分である分岐状低密度ポリエチレン(B)との混合樹脂100重量部、及び無機充填剤10〜300重量部を含み、少なくとも一軸方向に1.05〜5倍延伸された多孔性フィルムであって、前記混合樹脂中に(B)が下記数式(1)〔数1〕
- メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレンが数平均分子量に対する重量平均分子量の比が1.5〜3.5である請求項1記載の多孔性フィルム。
- メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレンが、α−オレフィン単位を1〜20重量%含むエチレン−α−オレフィン共重合体である請求項1記載の多孔性フィルム。
- メタロセン触媒を用いて重合され、温度上昇溶離分別による溶出曲線の相対強度ピークを溶出温度70〜90℃の範囲に1個、90℃を超える温度〜110℃の範囲に1個有し、密度が0.860〜0.945g/cm3、メルトインデックスが0.1〜20g/10分であるポリエチレン(A)、及び、密度が0.900〜0.945g/cm3、メルトインデックスが0.01〜5g/10分である分岐状低密度ポリエチレン(B)との混合樹脂100重量部、及び無機充填剤10〜300重量部を含むフィルムを少なくとも一軸方向に1.05〜5倍延伸する多孔性フィルムの製造方法であって、前記混合樹脂中に占める(B)の量を、下記数式(1)〔数3〕
- メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレンが数平均分子量に対する重量平均分子量の比が1.5〜3.5である請求項5記載の多孔性フィルムの製造方法。
- メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレンが、α−オレフィン単位を1〜20重量%含むエチレン−α−オレフィン共重合体である請求項5記載の多孔性フィルムの製造方法。
- 多孔性フィルムの全光線透過率が50%以上、透湿度が1300〜5000g/m2・24hrである請求項5記載の多孔性フィルムの製造方法。
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