JP3763735B2 - 空気調和機およびその故障判定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気調和機およびその故障判定方法に関し、より特定的には、凝縮器から蒸発器に向かう冷媒の流量を調整するための弁を備える空気調和機およびその故障判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気調和機の故障判定方法としては、通常運転中の冷媒の温度変化を測定して、その測定された温度が所定の温度範囲(空気調和機が通常運転中である場合に想定される温度範囲)から外れるかどうかをモニターするといった手法が用いられている。これは、空気調和機の膨張弁などの機器に故障が発生すれば、冷媒流量などの条件が正常運転時に想定される条件範囲からずれるため、結果的に冷媒の温度変化が発生することを利用するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の故障判定方法では、以下のような問題があった。すなわち、上述のように空気調和機において故障が発生した場合、故障個所にもよるが通常運転時での冷媒の温度変化は比較的穏やかなものである。また、空気調和機の環境条件などにより、通常運転時における冷媒の温度にばらつきが発生し、このばらつきと故障による温度変化とを判別することが難しい場合もあった。したがって、従来の故障判定方法では、故障を判別し難く、また故障の判別に時間を要することになっていた。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、環境条件に左右されることなく、迅速かつ正確に空気調和機の故障を検出できる空気調和機およびその故障判定方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に従った空気調和機の故障判定方法は、凝縮器から蒸発器に向かう冷媒の流量を調整するための弁と、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機の運転電流を測定する電流検出器と、弁入口側に設置され、温度差変化量の測定に用いられる入口側温度計と、弁出口側に設置された出口側温度計とを有する空気調和機の故障判定方法であって、空気調和機の運転中に弁を閉動作する工程と、閉動作によって変化する空気調和機の運転条件を測定する測定工程と、測定された運転条件の測定値を用いて空気調和機の故障の有無を判定する判定工程とを備える。測定工程は、出口側温度計を用いて弁の閉動作前後での弁の出口側での冷媒の温度の変化量を測定する工程と、弁の閉動作前後での、弁の入口側での冷媒の温度と弁の出口側での冷媒の温度との差の変化量である温度差変化量を測定する工程と、電流検出器を用いて弁の閉動作前後での圧縮機の運転電流の電流変化量を測定する工程とを有している。判定工程は、出口側温度計による温度の変化量と、入口側温度計および出口側温度計による温度差変化量とがそれぞれ基準値を満たし、電流検出器による電流変化量が基準値を満たさない場合には、電流検出器の故障と判定し、温度の変化量と温度差変化量とがそれぞれ基準値を満たさず、電流変化量が基準値を満たす場合には、出口側温度計または出口側温度計と入口側温度計との両方の故障と判定し、温度の変化量と、温度差変化量と、電流変化量とがそれぞれ基準値を満たさない場合には、弁の故障と判定する。
【0013】
この場合、弁出口側での温度の変化量、温度差変化量、電流変化量という3つのデータを用いることにより、弁における故障の発生の有無のみでなく、運転条件を検出する検出器としての出口側温度計と電流検出器とにおける故障の発生の有無を迅速かつ容易に判定できる。たとえば、弁を閉動作した後、弁出口側での温度の変化量が充分でない一方、電流変化量が基準値を満足する場合、出口側温度計が故障していることがわかる。また、弁を閉動作した後、電流変化量が基準値を満たさない一方で、弁出口側での温度の変化量および温度差変化量がそれぞれ基準値を満たす場合、電流検出器が故障していることがわかる。また、弁を閉動作した後において、電流変化量、弁出口側での温度の変化量および温度差変化量がそれぞれ基準値を満たさない場合、複数の検出器が同じタイミングで故障する確率はきわめて小さいことから、弁が故障していることがわかる。
【0014】
上記空気調和機の故障判定方法は、判定工程を行なった後、一定時間が経過した後に弁を開動作させる復帰工程をさらに備えることが好ましい。
【0015】
ここで、故障判定を行なうために弁を閉動作させた後、弁を閉状態のままにしておくと、空気調和機での正常運転の妨げとなるばかりでなく、充分な冷媒の流量が確保されないことは圧縮機などの機器の破損の原因にもなる。したがって、上記のように一定時間が経過した後に自動的に弁を開動作させることにより、このような機器の破損を防止することができる。
【0016】
上記空気調和機の故障判定方法は、判定工程により空気調和機において故障は発生していないと判定された場合に弁を開動作させる復帰工程をさらに備えることが好ましい。
【0017】
この場合、故障の発生が無いことが判明した後自動的に弁を開動作させて、空気調和機を通常運転に戻すことにより、冷媒の流量不足による圧縮機などの危機の破損を確実に防止できる。
【0018】
上記空気調和機の故障判定方法においては、復帰工程にて、弁の閉動作を行なう前の弁の開度に基づいて決定された開度となるように、弁を開動作させることが好ましい。
【0019】
この場合、故障判定動作を行なう前の通常運転状態における弁の開度に基づいて、復帰工程での弁の開度を決定することにより、故障判定動作前の通常運転状態を高い精度で再現できる。したがって、故障判定動作の前後におい空気調和機の運転状態が大きく変化することを防止できる。
【0026】
この場合、弁を閉動作することにより冷媒の流量が急激に減少すると、それに伴って圧縮機の運転電流も低下する。したがって、圧縮機の運転電流の低下量が予め設定された基準値以上となれば、弁は正常に動作している(閉動作を行なっている)ことがわかる。また、運転電流の低下量が基準値以下である場合は、弁の閉動作の指令が出ているにもかかわらず、弁の閉動作が充分ではない(弁の開度が充分小さくなっていない)ことを示しており、弁に故障が発生していることがわかる。
【0027】
この発明に従った空気調和機は、凝縮器から蒸発器に向かう冷媒の流量を調整するための弁と冷媒を圧縮する圧縮機とを有する空気調和機であって、空気調和機の運転中に弁を閉動作する手段と、閉動作によって変化する空気調和機の運転条件を測定する測定手段と、測定された運転条件の測定値を用いて空気調和機の故障の有無を判定する判定手段とを備える。測定手段は、弁の入口側に設置された入口側温度計と、弁の出口側に設置された出口側温度計と、圧縮機の運転電流を測定する電流検出器とを有している。判定手段は、出口側温度計による温度の変化量と、入口側温度計および出口側温度計による弁の入口側での冷媒の温度と弁の出口側での冷媒の温度との差の変化量である温度差変化量とがそれぞれ基準値を満たし、電流検出器による電流変化量が基準値を満たさない場合には、電流検出器の故障と判定し、温度の変化量と温度差変化量とがそれぞれ基準値を満たさず、電流変化量が基準値を満たす場合には、出口側温度計または出口側温度計と入口側温度計との両方の故障と判定し、温度の変化量と、温度差変化量と、電流変化量とがそれぞれ基準値を満たさない場合には、弁の故障と判定する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明による空気調和機の実施の形態1を示す模式図である。図1を参照して、本発明による空気調和機の実施の形態1を説明する。
【0031】
図1を参照して、空気調和機では、凝縮器1と膨張弁2と蒸発器3と圧縮機4とが、冷媒が循環する循環管路によってそれぞれ接続されている。膨張弁2はステッピングモーターなどを用いて、マイコンで開度調整が可能な電子式の膨張弁である。送風ファン6は凝縮器1へと送風するために用いられ、送風ファン5は蒸発器3へと送風するために用いられる。図1において、矢印で示す方向に冷媒を循環させることにより、ヒートポンプサイクルが実現される。
【0032】
凝縮器1から蒸発器3に向かう管路に設置され、冷媒の流量を調整するための膨張弁2では、その入口側に位置する循環管路に、測定手段の一つとしての入口側温度検出器(温度計)8が設置されている。また、膨張弁2の出口側に位置する循環管路には測定手段の一つとしての出口側温度検出器(温度計)9が設置されている。また、冷媒を圧縮する圧縮機4には、圧縮機4の運転電流を測定する測定手段の一つとしての運転電流検出器10が設置されている。入口側温度検出器8、出口側温度検出器9および運転電流検出器10は、それぞれ後述する故障判定を行なう判定手段としての制御装置7と接続されている。
【0033】
図2は、図1で示した空気調和機における故障判定方法の制御フローを示すフローチャートである。図2を参照して、本発明による空気調和機の故障判定方法の実施の形態1を説明する。
【0034】
図2を参照して、本発明による空気調和機の故障判定方法においては、故障判定制御がスタートすると、制御装置7(図1参照)において故障判定(故障診断)指令が受信されているかどうかを確認する工程(S1)が実施される。ここで、故障判定指令が受信されていない場合、故障判定指令を受信するまで工程S1を繰り返す。
【0035】
工程S1において制御装置7が故障判定指令を受信していることが確認された場合、図1に示した空気調和機の運転サイクル(運転条件)が安定しているかどうかを確認する工程(S2)が実施される。運転サイクルが安定していない場合、所定の条件を満足し運転サイクルが安定していることが確認できるまで、工程S2を繰り返す。運転サイクルが安定していることが確認できた場合、後述する故障判定制御に用いる判定時間を設定する工程(S3)を実施する。次に、故障判定を行なう前の運転サイクルが安定している状態における膨張弁2の開度(N)を記憶する工程(S4)を実施する。その後、膨張弁2を急閉する工程(S5)を実施する。
【0036】
その後、測定工程として、出口側温度検出器9により膨張弁2の出口側の温度を検出する。そして、出口側温度検出器9から測定値を制御装置7に伝送し、制御装置7において、判定工程として、膨張弁出口側の温度が一定値低下したかどうかを判断する工程(S6)を実施する。
【0037】
ここで、膨張弁2を急閉することにより、膨張弁2の出口側での冷媒流量が減少する。そして、膨張弁2の出口付近において冷媒の蒸発現象が起きることにより、膨張弁2の出口付近の温度が急激に低下する。このため、膨張弁2が正常に動作していれば、膨張弁2の出口側の温度は急激に低下することになるので、その温度低下を検出することにより膨張弁2が正常に動作しているかどうかを判断することができる。
【0038】
そして、膨張弁2の出口側温度の低下量(変化量)が一定値(基準値)以上である場合、上述のように膨張弁2は正常に動作していることがわかる。この結果、故障なしの判定を行なう(S8)。一方、膨張弁2の出口側の温度が所定の温度まで低下しなかった場合(出口側温度の低下量が基準値以下である場合)、工程S3において設定した判定時間が経過したかどうかを判断する工程(S7)を実施する。判定時間が経過するまで膨張弁2の出口側温度をモニタし続けるため、工程S6と工程S7とを繰り返す。そして、判定時間が経過しても膨張弁2の出口側温度が一定値以上低下しなかった場合、膨張弁2が指令通りに閉動作を行なっていないと考えられる。この結果、膨張弁2において動作不良が発生していると考えられ、故障有りの判定を行なう(S9)。なお、このような故障有り判定がされた場合、警告灯の表示等空気調和機の使用者に故障の発生を通知することが好ましい。
【0039】
このようにすれば、膨張弁2を強制的に閉動作することにより、空気調和機において通常運転時とは異なる故障判定用の運転条件(サイクル条件)として、冷媒の流量を急激に低下させ、冷媒の温度を通常運転時ではありえない程度に低下させるという条件をつくることができる。膨張弁2が正常に動作している状態では、このような冷媒の温度が急激に低下する条件を速やかに実現できる。一方、膨張弁2に故障が発生していることにより膨張弁2の閉動作が正常に行なわれない場合、すでに述べたように冷媒の温度は充分低下しないことになる。
【0040】
したがって、この故障判定用の運転条件としての膨張弁2の急閉による冷媒流量の急減および冷媒温度の低下という条件を実現できるかどうかを検出することにより、膨張弁2の故障の有無を迅速かつ確実に判定できる。また、このような膨張弁2の急閉による冷媒の温度低下の程度は通常の運転条件における冷媒の温度のばらつきの程度より充分大きなものであるので、空気調和機の環境条件の変動に伴って空気調和機の通常運転時の運転条件が変動しても、確実に空気調和機の膨張弁2の故障判定を行なうことができる。
【0041】
そして、故障無し判定(S8)または故障有り判定(S9)を行なってから一定時間が経過した後、膨張弁2を判定前の開度(N)を基準に開動作させ、通常運転に戻る工程(S10)を実施する。
【0042】
ここで、膨張弁2の閉動作を行なった状態のままでは、空気調和機において冷媒の流量不足により圧縮機4などの機器の破損が発生することも考えられる。したがって、上記のように一定時間経過した後に自動的に弁を開動作させることにより、このような機器の破損を防止できる。
【0043】
また、通常運転に戻る工程(S10)において膨張弁2を開動作させる際の開度は、上述のように判定前の開度(N)に基づいて決定されることが好ましい。このようにすれば、判定前の通常運転状態を高い精度で再現できる。したがって、故障判定動作の前後におい空気調和機の運転状態が大きく変化することを防止できる。
【0044】
なお、故障有り判定がなされた場合、その故障の程度によってはすぐに空気調和機の運転を停止し、故障個所の点検・修理など必要な対応を取ることが好ましい。
【0045】
(実施の形態2)
図3は、本発明による空気調和機の故障判定方法の実施の形態2を示すフローチャートである。図3を参照して、本発明による空気調和機の故障判定方法の実施の形態2を説明する。
【0046】
図3を参照して、空気調和機の故障判定方法は、基本的には図2に示した本発明による空気調和機の故障判定方法の実施の形態1と同様の工程を備える。但し、図2に示したフローチャートにおける膨張弁出口温度が一定値低下したかどうかを判断する工程(S6)に代えて、図3に示した故障判定方法では圧縮機4の運転電流が一定値低下したかどうかを判断する工程(S11)を実施する。これは、膨張弁2を急閉したする工程(S5)を実施すると、図1に示した空気調和機のサイクルにおける冷媒の循環量が減少するため、圧縮機4の運転電流も低下することを利用したものである。具体的には、圧縮機4に設置された運転電流検出器10によりこの圧縮機4の運転電流を検出する。膨張弁2を急閉する工程(S5)の後、上述のように圧縮機4の運転電流が急減する。そして、検出された運転電流の測定値は制御装置7へと伝送される。制御装置7では、圧縮機4の運転電流の測定値から、膨張弁2の急閉動作前後における運転電流の変化量を算出する。制御装置7において、運転電流の膨張弁2の急閉動作前後における運転電流の変化量と、予め設定した基準値とを比較することにより、運転電流が一定値低下したかどうかを判断する工程(S11)を実施する。
【0047】
この場合も、本発明の実施の形態1における空気調和機の故障判定方法と同様の効果を得ることができる。すなわち、圧縮機4の運転電流の低下量が、予め設定された基準値以上となれば、膨張弁2は正常に動作している(閉動作を行なっている)ことがわかる。また、運転電流の低下量が基準値以下である場合は、膨張弁2に対して閉動作の指令が出ているにもかかわらず、膨張弁2の閉動作が充分ではない(膨張弁2の開度が充分小さくなっていない)ことを示している。このようにして、膨張弁2に故障が発生しているかどうかを容易かつ確実に判定できる。また、膨張弁2を急閉するという通常運転とは異なる運転条件を利用することにより、空気調和機の環境条件に左右されず、安定して故障の判定を行なうことができる。
【0048】
(実施の形態3)
図4は、本発明による空気調和機の故障判定方法の実施の形態3を示すフローチャートである。図4を参照して、本発明による空気調和機の故障判定方法の実施の形態3を説明する。
【0049】
図4を参照して、故障判定方法は基本的には図2に示した本発明による空気調和機の故障判定方法の実施の形態1と同様の工程を備えるが、膨張弁の出口側温度が一定値低下したかどうかを確認する工程(S6)に代えて、膨張弁2の急閉に伴って空気調和機の運転条件が所定の変化をしているかどうかを確認する工程(S12)を実施する。工程S12において用いる運転条件の評価用データとしては、たとえば、(a)膨張弁2を急閉した前後において出口側温度検出器9により測定されたデータに基づく膨張弁2の出口側温度の低下量、(b)入口側温度検出器8により検出される膨張弁入口側温度と出口側温度検出器9により検出される膨張弁2の出口側温度との温度差についての、膨張弁2を急閉した前後におけるその温度差の変化量、(c)膨張弁2を急閉した前後において運転電流検出器10により検出される圧縮機4の運転電流の減少量、といった3種類の評価用データを用いる。膨張弁2が正常に動作し、かつ入口側温度検出器8、出口側温度検出器9、運転電流検出器10のそれぞれが正常に動作している場合は、上述した3つの評価用データは予め設定しておいた基準値を満足するような変化を示す。
【0050】
一方、たとえば入口側温度検出器8、出口側温度検出器9および運転電流検出器10はそれぞれ正常に動作しているが、膨張弁2において動作不良が発生しており急閉の指令に対して十分に膨張弁2が閉となっていない場合、膨張弁2の出口側温度が十分に下がらない、温度差の変化量が充分大きな値とならない、さらに圧縮機4の運転電流の低下量が所定の値ほど大きくはなっていないなど上述した3つの評価用データはそれぞれ所定の変化を示さないことになり、膨張弁2において故障が発生していることがわかる。
【0051】
また、運転電流検出器10、入口側温度検出器8および出口側温度検出器9のいずれかが動作不良を起こしているような場合、膨張弁2を急閉した後圧縮機4の運転電流に関する評価用データ(運転電流の減少量)と膨張弁2の前後に設置された温度検出器8、9の測定値に基づく評価用データ(出口側温度の低下量および温度差の変化量)とのいずれか一方のみが所定の変化を示し、他方については予想される変化を示さないといったことが発生する。この場合、所定の変化を示さない評価用データを導出するために用いられた検出器において動作不良が発生していることがわかる。たとえば、運転電流の減少量は所定の基準値を満たす一方、出口側温度計の低下量および温度差の変化量が所定の基準値を満たさない場合、出口側温度検出器9または出口側温度検出器9と入口側温度検出器8との両方において故障が発生していることがわかる。一方、出口側温度計の低下量および温度差の変化量は所定の基準値を満たす一方、運転電流の減少量が所定の基準値を満たさない場合、運転電流検出器10に故障が発生していることがわかる。
【0052】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、弁を閉動作することにより実現される故障判定用の運転条件を利用することにより、環境条件に左右されず弁などの故障の有無を迅速かつ確実に判定できる空気調和機およびその故障判定方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による空気調和機の実施の形態1を示す模式図である。
【図2】 図1で示した空気調和機における故障判定方法の制御フローを示すフローチャートである。
【図3】 本発明による空気調和機の故障判定方法の実施の形態2を示すフローチャートである。
【図4】 本発明による空気調和機の故障判定方法の実施の形態3を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 凝縮器、2 膨張弁、3 蒸発器、4 圧縮機、5,6 送風ファン、7制御装置、8 入口側温度検出器(温度計)、9 出口側温度検出器(温度計)、10 運転電流検出器。
Claims (5)
- 凝縮器から蒸発器に向かう冷媒の流量を調整するための弁と、前記冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機の運転電流を測定する電流検出器と、前記弁入口側に設置された入口側温度計と、前記弁出口側に設置された出口側温度計とを有する空気調和機の故障判定方法であって、
空気調和機の運転中に前記弁を閉動作する工程と、
前記閉動作によって変化する空気調和機の運転条件を測定する測定工程と、
前記測定された運転条件の測定値を用いて前記空気調和機の故障の有無を判定する判定工程とを備え、
前記測定工程は、
前記出口側温度計を用いて前記弁の閉動作前後での前記弁の出口側での冷媒の温度の変化量を測定する工程と、
前記弁の閉動作前後での、前記弁の入口側での冷媒の温度と前記弁の出口側での冷媒の温度との差の変化量である温度差変化量を測定する工程と、
前記電流検出器を用いて前記弁の閉動作前後での前記圧縮機の運転電流の電流変化量を測定する工程とを有し、
前記判定工程は、
前記出口側温度計による前記温度の変化量と、前記入口側温度計および前記出口側温度計による前記温度差変化量とがそれぞれ基準値を満たし、前記電流検出器による前記電流変化量が基準値を満たさない場合には、前記電流検出器の故障と判定し、
前記温度の変化量と前記温度差変化量とがそれぞれ基準値を満たさず、前記電流変化量が基準値を満たす場合には、前記出口側温度計または前記出口側温度計と前記入口側温度計との両方の故障と判定し、
前記温度の変化量と、前記温度差変化量と、前記電流変化量とがそれぞれ基準値を満たさない場合には、前記弁の故障と判定する、空気調和機の故障判定方法。 - 前記判定工程を行なった後、一定時間が経過した後に前記弁を開動作させる復帰工程をさらに備える、請求項1に記載の空気調和機の故障判定方法。
- 前記判定工程により、空気調和機において故障は発生していないと判定された場合に前記弁を開動作させる復帰工程をさらに備える、請求項1に記載の空気調和機の故障判定方法。
- 前記復帰工程では、前記弁の閉動作を行なう前の前記弁の開度に基づいて決定された開度となるように、前記弁を開動作させる、請求項2または3に記載の空気調和機の故障判定方法。
- 凝縮器から蒸発器に向かう冷媒の流量を調整するための弁と前記冷媒を圧縮する圧縮機とを有する空気調和機であって、
空気調和機の運転中に前記弁を閉動作する手段と、
前記閉動作によって変化する前記空気調和機の運転条件を測定する測定手段と、
前記測定された運転条件の測定値を用いて前記空気調和機の故障の有無を判定する判定手段とを備え、
前記測定手段は、
前記弁の入口側に設置された入口側温度計と、
前記弁の出口側に設置された出口側温度計と、
前記圧縮機の運転電流を測定する電流検出器とを有し、
前記判定手段は、
前記出口側温度計による温度の変化量と、前記入口側温度計および前記出口側温度計による前記弁の入口側での冷媒の温度と前記弁の出口側での冷媒の温度との差の変化量である温度差変化量とがそれぞれ基準値を満たし、前記電流検出器による前記電流変化量が基準値を満たさない場合には、前記電流検出器の故障と判定し、
前記温度の変化量と前記温度差変化量とがそれぞれ基準値を満たさず、前記電流変化量が基準値を満たす場合には、前記出口側温度計または前記出口側温度計と前記入口側温度 計との両方の故障と判定し、
前記温度の変化量と、前記温度差変化量と、前記電流変化量とがそれぞれ基準値を満たさない場合には、前記弁の故障と判定する、空気調和機。
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