JP3756389B2 - 分散補償光ファイバおよび光ファイバ複合伝送路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は分散補償光ファイバに関し、1.3μm用シングルモード光ファイバに代表される、1.45〜1.63μm帯から選択した使用波長帯よりも短波長側に零分散波長を有するシングルモード光ファイバを用いて、前記使用波長帯で光信号を伝送する際に生じる波長分散を広い波長帯域にわたって補償するものである。
【0002】
【従来の技術】
エルビウム添加光ファイバ増幅器が実用化されたことにより、波長1.53〜1.63μm帯では長距離無再生中継など光増幅器を用いたシステムが既に商品化されている。光ファイバ伝送システムにおいては、通信容量の増大に伴い、波長帯域の広帯域化、波長多重数の増加が急激に進められている。
光ファイバ伝送システムとしては、1.3μm帯シングルモード光ファイバに代表される、1.55μm帯で正の波長分散を有する伝送用シングルモード光ファイバと、比較的絶対値が大きい負の波長分散を有する分散補償光ファイバとを組み合わせた分散マネジメントシステムなどが提案されている。
【0003】
前記伝送用シングルモード光ファイバは、波長分散の波長依存性を示す波長分散スロープが比較的小さく、広い波長帯域での伝送を行う波長多重伝送に適している。また、有効コア断面積が比較的大きいため、後述するように非線形効果を抑制することができ、波長多重伝送などに適している。
しかしながら、従来の分散補償光ファイバは、波長分散の波長依存性が大きく、前記伝送用シングルモード光ファイバに対応していないため、広い波長帯域にわたって伝送用シングルモード光ファイバの波長分散を補償できなかった。
【0004】
そこで、特開平10−325913号公報などにおいては、波長分散とともに波長分散スロープも補償することができる波長分散スロープ補償型の分散補償光ファイバが開示されている。
図7は従来の波長分散スロープ補償型の分散補償光ファイバの屈折率プロファイルの一例を示したものである。この分散補償光ファイバは、コア14とその外周上の設けられたクラッド15とからなり、このコア14は、中心に設けられた中心コア部11と、その外周上に設けられた中間コア部12とから構成されている。中心コア部11の屈折率はクラッド15よりも高く、中間コア部12の屈折率はクラッド15よりも低い。このように屈折率プロファイルがW型であるため、この分散補償光ファイバをW型分散補償光ファイバとよぶ。
【0005】
図中、Δ11はクラッド15の屈折率を基準(零)にした中心コア部11の比屈折率差、Δ12はクラッド15の屈折率を基準にした中間コア部12の比屈折率差である。また、a1は中心コア部11の半径、b1は中間コア部12の半径である。
【0006】
図8は、1.3μm用シングルモード光ファイバなどの伝送用シングルモード光ファイバと、このW型分散補償光ファイバ、およびこれらを組み合わせた光ファイバ複合伝送路の波長と波長分散との関係の一例を示したグラフである。なお、波長は、いわゆるC−Bandといわれる1.55μm帯(1530〜1565nm付近の波長帯域)である。
伝送用シングルモード光ファイバの正の波長分散と、正の波長分散スロープ(曲線の傾き)を補償すべく、このW型分散補償光ファイバは負の波長分散と負の分散ロープを備えている。
W型分散補償光ファイバにおいては、Δ11、Δ12、a1、b1の値を適切に選択して設計することにより、このグラフに示したように、1.55μm帯における波長分散が小さい光ファイバ複合伝送路を構築することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のW型分散補償光ファイバは、1.55μm帯以外の波長帯においては、伝送用シングルモード光ファイバの波長分散および波長分散スロープを補償することができなかった。よって、いわゆるS−Band(1450〜1530nm付近の短い波長帯域)、L−Band(1565〜1630nm付近の長い波長帯域)などの他の波長帯域においては、光ファイバ複合伝送路において、例えば数ps/nm/kmの波長分散が残留するという問題があり、波長多重化、高速長距離伝送などに適用するにおいて、不十分であった。
【0008】
また、波長多重伝送、高速長距離伝送に適した光ファイバ伝送システムを構築するためには、非線形効果を抑制することが不可欠である。このためには、光ファイバの有効コア断面積(Aeff)を拡大することが有効である。
しかしながら、従来のW型分散補償光ファイバにおいては、有効コア断面積を拡大すると、波長分散の絶対値が小さくなる傾向があり、伝送用シングルモード光ファイバを補償するために必要な長さが長くなるという問題があった。例えば上述の特開平10−325913号公報に開示されたモードフィールド径5.5μm、有効コア断面積約21μm2の分散補償光ファイバは、伝送用シングルモード光ファイバのファイバ長と同等あるいはそれ以上の長さが必要であった。
【0009】
本発明は前記事情に鑑てなされたもので、広い波長帯域にわたって伝送用シングルモード光ファイバの波長分散を補償することができる分散補償光ファイバを提供すること課題とする。
また、有効コア断面積を拡大し、非線形効果を抑制することができる分散補償光ファイバを提供することを課題とする。
さらには、有効コア断面積を拡大しても波長分散の絶対値が小さくなりにくく、伝送用シングルモード光ファイバを補償するために必要とされる長さが比較的短い分散補償光ファイバを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、第1の発明は、コアと、その外周上に設けられたクラッドとを備え、該コアが、前記クラッドより高い屈折率を有する中心コア部と、該中心コア部の外周上に設けられ、前記クラッドより低い屈折率を有する中間コア部と、該中間コア部の外周上に設けられ、前記クラッドよりも高い屈折率を有するリングコア部とからなる屈折率プロファイルを有する分散補償光ファイバを製造する方法であって、
前記中心コア部と、中間コア部と、リングコア部について、それぞれ半径およびクラッドとの比屈折率差を、(a、Δ1)、(b、Δ2)、(c、Δ3)としたとき、以下の(A)〜(D)の条件を満足する範囲から、
(A)0.95≦Δ1≦1.35、(B)V1=Δ1、V2=Δ2×{(b/a)2−1}、V3=Δ3×{(c/a)2−(b/a)2}としたときに、−3.5≦V2/V1<0、かつ0.5≦V3/V1≦4.5、(C)x=c/b、y=Δ3/Δ2としたとき、α=−y(x−1)/Δ1で表されるαが、0.10≦α≦0.45、(D)波長1.55μmにおける波長分散スロープを波長分散で割った値が0.0025nm−1以上、0.0035nm−1以下。
以下の(ア)〜(イ)の光学特性を満足するように、分散補償光ファイバの構造パラメーターを選択し、当該分散補償光ファイバを製造することを特徴とする分散補償光ファイバの製造方法である。
(ア) 波長1.55μmにおいて、波長分散が−40ps/nm/km以下、−65ps/nm/km以上であり、負の波長分散スロープを有し、有効コア断面積が22.7μm 2 以上、曲げ損失が50dB/m以下であり、かつ実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する。
(イ) 波長1.55μmにおいて、有効コア断面積が40μm2以上であり、+16ps/nm/km〜+18ps/nm/kmの波長分散を有し、かつ実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する伝送用シングルモード光ファイバと、当該伝送用シングルモード光ファイバの長さに対して1/3〜1/5程度の比率の長さを有する当該分散補償光ファイバとを組み合わせた光ファイバ複合伝送路の波長分散が、波長1.45μm〜1.63μmの範囲から選択した連続する0.06μm以上の範囲の使用波長帯において、−0.5ps/nm/km以上、+0.5ps/nm/km以下である。
第2の発明は、前記(イ)において、前記伝送用シングルモード光ファイバの波長1.55μmにおける有効コア断面積が70μm2以上であり、波長分散が+16ps/nm/km以上、+22ps/nm/km以下であることを特徴とする第1の発明の分散補償光ファイバの製造方法である。
第3の発明は、前記(イ)において、前記光ファイバ複合伝送路の波長分散が、波長1.45μm〜1.63μmの範囲から選択した連続する0.10μm以上の範囲の使用波長帯において、−0.5ps/nm/km以上、+0.5ps/nm/km以下であることを特徴とする第2の発明の分散補償光ファイバの製造方法である。
第4の発明は、前記(イ)において、前記光ファイバ複合伝送路の波長分散が、波長1.45μm〜1.63μmの範囲から選択した連続する0.10μm以上の範囲の使用波長帯において、−0.2ps/nm/km以上、+0.2ps/nm/km以下であることを特徴とする第3の発明の分散補償光ファイバの製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の分散補償光ファイバの屈折率プロファイルの一例を示したもので、この屈折率プロファイルはセグメント型と呼ばれる。
この分散補償光ファイバは、コア4と、その外周上に設けられたクラッド5とからなる。このコア4は中心に設けられた中心コア部1と、その外周上に設けられた中間コア部2と、その外周上に設けられたリングコア部3とからなる3層構造を備えている。
【0012】
前記クラッド5は、実質的に一定の屈折率を備えている。
また、中心コア部1とリングコア部3の屈折率はクラッド5よりも高く、中間コア部2の屈折率はクラッド5よりも低い。
中心コア部1とリングコア部3は、例えばゲルマニウム添加石英ガラスなどからなり、中間コア部2は、純粋石英ガラス、またはフッ素添加石英ガラスなどからなり、クラッド5は純粋石英ガラス、またはフッ素添加石英ガラスなどからなる。
【0013】
また、Δ1、Δ2、およびΔ3は、それぞれ、クラッド5の屈折率を基準(零)にした中心コア部1、中間コア部2およびリングコア部3の比屈折率差である。a、b、およびcは、それぞれ、中心コア部1、中間コア部2およびリングコア部3の半径である。
【0014】
このようなセグメント型の屈折率プロファイルを採用し、かつ各層の比屈折率差や半径の比率などを適切に設定することにより、特に波長分散の長波長側における変動が小さく、S−BandからC−Band、あるいはC−BandからL−Bandなどの広い波長帯域で使用可能な分散補償光ファイバを得ることができる。これと同時に有効コア断面積を拡大し、非線形効果を抑制することもできる。
この分散補償光ファイバは、VAD法、MCVD法、PCVD法などの公知の方法によって得られたファイバ母材から線引きすることによって製造することができる。また、実質的に図1に示した屈折率プロファイルを備えていれば、各層の境界が明確な完全なステップ形状である必要はなく、なだらかに変化する形状であってもよい。
【0015】
本発明の分散補償光ファイバの使用波長帯は、波長1.45〜1.63μmから連続する0.06μm以上、好ましくは0.10μm以上の波長幅を備えた範囲が選択される。本発明においては、このように広い波長帯域において、後述する好ましい特性を実現することができる。
【0016】
また、分散補償光ファイバの波長分散の絶対値が大きいほど、伝送用シングルモード光ファイバの長さに対して短い使用長さで波長分散を補償することができ、コスト、伝送損失などの観点から好ましい。
しかし、波長分散の絶対値が大きすぎると有効コア断面積が小さくなるため、非線型効果の抑制の観点から不都合である。
そのため、本発明の分散補償光ファイバの波長分散は、波長1.55μmにおいて、−40ps/nm/km以下、−65ps/nm/km以上に設定するのが望ましい。
また、本発明の分散補償光ファイバは、伝送用シングルモード光ファイバの正の波長分散と正の波長分散スロープを補償するため、負の波長分散スロープをもつ必要がある。伝送用シングルモード光ファイバの特性にもよるが、例えば使用波長帯において、−0.22〜−0.11の範囲の負の波長分散スロープを有すると好ましい。
【0017】
また、本発明の分散補償光ファイバは、波長1.55μmにおいて、有効コア断面積を18μm2以上、好ましくは20μm2以上に拡大することができるため、非線形光学効果の抑制の観点から好ましい。有効コア断面積の上限値は特に限定しないが、他の特性とのバランスの観点から30μm2 程度とされる。
なお、有効コア断面積(Aeff)は以下の式によって定義されるものである。
【0018】
【数1】
【0019】
また、曲げ損失は、波長1.55μmにおいて、曲げ直径(2R)が20mmの条件の値であり、本発明においては、曲げ損失が50dB/m以下、好ましくは20dB/m以下の分散補償光ファイバが得られる。50dB/m以下をこえると製造時、敷設時などに印加されるマクロベンドによって伝送損失が劣化する場合がある。
【0020】
また、本発明の分散補償光ファイバはシングルモード光ファイバなので、実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有することが必要である。カットオフ波長は一般にCCITT法などの2m法による値が用いられるが、実際の長尺の状態では、2m法による値が1.55μmよりも長くてもシングルモード伝搬を行うことができる。したがって、使用長さなどの実際の使用条件によって適切なカットオフ波長が得られるように設計する必要がある。
【0021】
図2(a)〜図2(c)は、本発明のセグメント型の分散補償光ファイバと図7に示したW型分散補償光ファイバの分散補償特性を波長区間毎に比較したグラフである。
グラフの縦軸の残留分散の幅とは、以下の表1に示した特性を備えた伝送用シングルモード光ファイバと組み合わせて光ファイバ複合伝送路を構成し、例えば図3に示したグラフのように波長と波長分散との関係を測定し、波長の区間毎に波長分散の最大値から最小値を引いて求めた値(d1)である。
グラフのプロットは、セグメント型、W型のそれぞれについて、構造パラメータを変更して複数のものを製造して光ファイバ複合伝送路を構築し、測定した結果である。
これらの分散補償光ファイバは、いずれもこれらの波長区間において実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有し、かつ曲げ損失は50dB/m以下であり、側圧に対する充分な耐性を備えている。
また、分散補償光ファイバの使用長さは、光ファイバ複合伝送路全体の波長1.55μmにおける波長分散が零になるように設計した。また、各分散補償光ファイバにおいて、伝送用シングルモード光ファイバとの長さの比率は等しく設計した。
【0022】
【表1】
なお、表中、2mλcとは2m法によるカットオフ波長の測定値である。
【0023】
残留分散の幅が小さい程、光ファイバ複合伝送路の波長分散の波長依存性が小さく、すなわち広い波長帯域において伝送用シングルモード光ファイバの波長分散と波長分散スロープが補償され、分散補償特性が優れていることを意味する。
横軸は、分散補償光ファイバの波長1.55μmにおける有効コア断面積であり、大きいほど非線型効果抑制の観点から好ましい。
したがって、グラフの右下部分にプロットされる特性を備えていると好ましい。
【0024】
これらのグラフを比較すると、セグメント型の分散補償光ファイバの特性を表わす点は、W型分散補償光ファイバよりも右下に分布している。よって、広い波長帯域において分散補償特性に優れ、かつ有効コア断面積が大きいものが得られることがわかる。
【0025】
また、本発明の分散補償光ファイバにおいては、構造パラメータが以下の(A)〜(D)の条件を満足すると好ましい。
(A)0.95≦Δ1≦1.35、
(B)V1=Δ1、V2=Δ2×{(b/a)2−1}、V3=Δ3×{(c/a)2−(b/a)2}としたとき、−3.5≦V2/V1<0、かつ0.5≦V3/V1≦4.5、
(C)x=c/b、y=Δ3/Δ2としたとき、α=−y(x−1)/Δ1で表されるαが、0.10≦α≦0.45、
(D)波長1.55μmにおける波長分散スロープを波長分散で割った値が0.0025nm-1以上、0.0035nm-1以下。
【0026】
前記(A)については、Δ1が1.35をこえると有効コア断面積が小さくなり、0.95未満では広い波長帯域での分散補償効果が低減するためである。
前記(B)については、V2/V1が−3.5未満であると伝送損失が大きくなるという問題があり、また、V3/V1が4.5をこえるとカットオフ波長が長くなり、また、大きすぎても、小さすぎても、波長分散スロープの補償ができなくなるためである。
前記(C)は、広い波長帯域で波長分散を補償するための条件であり、αが大きすぎると広い波長帯域での補償ができなくなり、小さすぎると曲げ損失が大きくなり、マクロベンドに対する耐性が弱くなるためである。
前記(D)は補償対象とする一般的な伝送用シングルモード光ファイバの波長分散スロープを波長分散で割った値とほぼ同等の範囲であり、この伝送用シングルモード光ファイバの波長分散を広い波長帯域で補償するための条件である。
【0027】
なお、これら(A)〜(D)の条件を満足していても、必ずしも上述のような好ましい特性を備えた本発明の分散補償光ファイバを得ることはできない。本発明の分散補償光ファイバは好ましくは(A)〜(D)を満足するものから適切な複数の構造パラメータの組み合わせについて試行錯誤を行い、選択することによって得られるものだからである。そのため、本発明の分散補償光ファイバは、屈折率プロファイルおよび特性値によって特定することとした。このように広い波長帯域において、一般的に用いられている1.3μm用シングルモード光ファイバも含む伝送用シングルモード光ファイバの正の波長分散を補償できる特性は、従来の分散補償光ファイバでは得ることができなかったことを言うまでもない。
【0028】
本発明の分散補償光ファイバは、具体的には例えば以下のような伝送用シングルモード光ファイバの波長分散を補償することができる。
すなわち、波長1.55μmにおいて、有効コア断面積が40μm2以上であり、正の波長分散を有し、かつ実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有するものである。
そして、この伝送用シングルモード光ファイバと組み合わせて光ファイバ複合伝送路を構築し、その全体の波長分散を、波長1.45μm〜1.63μmの範囲から選択した連続する0.06μm以上の範囲の使用波長帯において、−0.5ps/nm/km以上、+0.5ps/nm/km以下とすることができる。
【0029】
光ファイバ複合伝送路における分散補償光ファイバの使用長さは伝送用シングルモード光ファイバの波長分散および使用長さによって異なる。
例えば1.55μmにおける単位長さ当たりの波長分散が+16ps/nm/km〜+18ps/nm/kmの一般的な伝送用シングルモード光ファイバを補償するにあたっては、この伝送用シングルモード光ファイバ光ファイバの長さに対して1/3〜1/5倍程度の比率で本発明の分散補償光ファイバを用いることにより、上述のような広い波長帯域において、小さい波長分散を備えた光ファイバ複合伝送路を構築することができる。
【0030】
さらに好ましくは、本発明の分散補償光ファイバは、波長1.55μmにおける有効コア断面積が70μm2以上であり、波長分散が+16ps/nm/km以上、+22ps/nm/km以下の伝送用シングルモード光ファイバと組み合わせたときに、波長1.45μm〜1.63μmの範囲から選択した連続する0.06μm以上、好ましくは0.10μm以上の範囲の使用波長帯において、光ファイバ複合伝送路全体の波長分散を、−0.5ps/nm/km以上、+0.5ps/nm/km以下、好ましくは−0.2ps/nm/km以上、+0.2ps/nm/km以下にすることができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
(実施例1)
図1に示したセグメント型の分散補償光ファイバを作製した。その光学特性は表2に示す通りであり、良好であった。
【0032】
【表2】
【0033】
そして、この分散補償光ファイバ3.3kmと表1に示した特性を備えた伝送用シングルモード光ファイバ8.8kmとを組み合わせて光ファイバ複合伝送路を構築した。なお、これらの光ファイバの使用長さは波長1.55μmにおける光ファイバ複合伝送路全体の波長分散が零となるように設定した。
図4(a)は分散補償光ファイバと伝送用シングルモード光ファイバの波長と波長分散との関係、図4(b)は光ファイバ複合伝送路の波長と波長分散との関係を示したグラフである。
C−BandからL−Bandまでの約0.1μmの広い範囲において、−0.15〜+0.1ps/nm/kmの範囲の小さい波長分散を備えた光ファイバ複合伝送路を構築することができた。
【0034】
(実施例2)
図1に示したセグメント型の分散補償光ファイバを作製した。その光学特性は表3に示す通りであり、良好であった。
【0035】
【表3】
【0036】
そして、この分散補償光ファイバ3.3kmと表1に示した特性を備えた伝送用シングルモード光ファイバ8.8kmとを組み合わせて光ファイバ複合伝送路を構築した。なお、これらの光ファイバの使用長さは波長1.55μmにおける光ファイバ複合伝送路全体の波長分散が0となるように設定した。
図5(a)は分散補償光ファイバと伝送用シングルモード光ファイバの波長と波長分散との関係、図5(b)は光ファイバ複合伝送路の波長と波長分散との関係を示したグラフである。
S−BandからC−Bandまでの約0.115μmの広い範囲にわたり、−0.4〜+0.4ps/nm/kmの範囲の小さな波長分散を備えた光ファイバ複合伝送路を構築することができた。
【0037】
(比較例1)
図7に示したW型分散補償光ファイバを作製した。その光学特性は表4に示す通りであり、良好であった。
【0038】
【表4】
【0039】
そして、この分散補償光ファイバ3.3kmと表1に示した特性を備えた伝送用シングルモード光ファイバ8.8kmとを組み合わせて光ファイバ複合伝送路を構築した。なお、これらの光ファイバの使用長さは波長1.55μmにおける光ファイバ複合伝送路全体の波長分散が0となるように設定した。
図6(a)は分散補償光ファイバと伝送用シングルモード光ファイバの波長と波長分散との関係、図6(b)は光ファイバ複合伝送路の波長と波長分散との関係を示したグラフである。
C−Bandでは伝送路全体の波長分散を−0.3〜0ps/nm/kmと小さくすることができたが、その他の波長帯域では数ps/nm/kmであった。
【0040】
以上の実施例および比較例の結果より、本発明に係る実施例においては、広い波長帯域にわたって伝送用シングルモード光ファイバの波長分散を補償することができ、かつ有効コア断面積を拡大し、非線形効果を抑制することができることが明らかとなった。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明の分散補償光ファイバは、広い波長帯域にわたって伝送用シングルモード光ファイバの波長分散を補償することができ、かつ有効コア断面積を拡大し、非線形効果を抑制することができる。よって、波長多重伝送、長距離高速伝送に適した光ファイバ複合伝送路を提供することができる。
また、有効コア断面積を拡大しても波長分散の絶対値が小さくなりすぎないため、比較的短い使用長さで伝送用シングルモード光ファイバの波長分散を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のセグメント型の分散補償光ファイバの屈折率プロファイルの一例を示した説明図である。
【図2】 図2(a)〜図2(c)は、本発明のセグメント型の分散補償光ファイバとW型分散補償光ファイバの分散補償特性を波長区間毎に比較したグラフであって、図2(a)は波長1.53〜1.57μm、図2(b)は波長1.45〜1.53μm、図2(c)は波長1.53〜1.63μmの区間のグラフである。
【図3】 残留分散の測定例を示したグラフである。
【図4】 実施例1において、図4(a)は分散補償光ファイバと伝送用シングルモード光ファイバの波長と波長分散との関係、図4(b)は光ファイバ複合伝送路の波長と波長分散との関係を示したグラフである。
【図5】 実施例2において、図5(a)は分散補償光ファイバと伝送用シングルモード光ファイバの波長と波長分散との関係、図5(b)は光ファイバ複合伝送路の波長と波長分散との関係を示したグラフである。
【図6】 比較例1において、図6(a)は分散補償光ファイバと伝送用シングルモード光ファイバの波長と波長分散との関係、図6(b)は光ファイバ複合伝送路の波長と波長分散との関係を示したグラフである。
【図7】 従来の分散補償光ファイバの屈折率プロファイルの一例を示した図である。
【図8】 1.3μm用シングルモード光ファイバなどの伝送用シングルモード光ファイバと、このW型分散補償光ファイバ、およびこれらを組み合わせた伝送路全体の波長と波長分散との関係の一例を示したグラフである。
【符号の説明】
1…中心コア部、2…中間コア部、3…リングコア部、4…コア、5…クラッド。
Claims (4)
- コアと、その外周上に設けられたクラッドとを備え、該コアが、前記クラッドより高い屈折率を有する中心コア部と、該中心コア部の外周上に設けられ、前記クラッドより低い屈折率を有する中間コア部と、該中間コア部の外周上に設けられ、前記クラッドよりも高い屈折率を有するリングコア部とからなる屈折率プロファイルを有する分散補償光ファイバを製造する方法であって、
前記中心コア部と、中間コア部と、リングコア部について、それぞれ半径およびクラッドとの比屈折率差を、(a、Δ1)、(b、Δ2)、(c、Δ3)としたとき、以下の(A)〜(D)の条件を満足する範囲から、
(A)0.95≦Δ1≦1.35、(B)V1=Δ1、V2=Δ2×{(b/a)2−1}、V3=Δ3×{(c/a)2−(b/a)2}としたときに、−3.5≦V2/V1<0、かつ0.5≦V3/V1≦4.5、(C)x=c/b、y=Δ3/Δ2としたとき、α=−y(x−1)/Δ1で表されるαが、0.10≦α≦0.45、(D)波長1.55μmにおける波長分散スロープを波長分散で割った値が0.0025nm−1以上、0.0035nm−1以下。
以下の(ア)〜(イ)の光学特性を満足するように、分散補償光ファイバの構造パラメーターを選択し、当該分散補償光ファイバを製造することを特徴とする分散補償光ファイバの製造方法。
(ア) 波長1.55μmにおいて、波長分散が−40ps/nm/km以下、−65ps/nm/km以上であり、負の波長分散スロープを有し、有効コア断面積が22.7μm 2 以上、曲げ損失が50dB/m以下であり、かつ実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する。
(イ) 波長1.55μmにおいて、有効コア断面積が40μm2以上であり、+16ps/nm/km〜+18ps/nm/kmの波長分散を有し、かつ実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する伝送用シングルモード光ファイバと、当該伝送用シングルモード光ファイバの長さに対して1/3〜1/5程度の比率の長さを有する当該分散補償光ファイバとを組み合わせた光ファイバ複合伝送路の波長分散が、波長1.45μm〜1.63μmの範囲から選択した連続する0.06μm以上の範囲の使用波長帯において、−0.5ps/nm/km以上、+0.5ps/nm/km以下である。 - 前記(イ)において、前記伝送用シングルモード光ファイバの波長1.55μmにおける有効コア断面積が70μm2以上であり、波長分散が+16ps/nm/km以上、+22ps/nm/km以下であることを特徴とする請求項1に記載の分散補償光ファイバの製造方法。
- 前記(イ)において、前記光ファイバ複合伝送路の波長分散が、波長1.45μm〜1.63μmの範囲から選択した連続する0.10μm以上の範囲の使用波長帯において、−0.5ps/nm/km以上、+0.5ps/nm/km以下であることを特徴とする請求項2に記載の分散補償光ファイバの製造方法。
- 前記(イ)において、前記光ファイバ複合伝送路の波長分散が、波長1.45μm〜1.63μmの範囲から選択した連続する0.10μm以上の範囲の使用波長帯において、−0.2ps/nm/km以上、+0.2ps/nm/km以下であることを特徴とする請求項3に記載の分散補償光ファイバの製造方法。
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