JP3754237B2 - 外周駆動形スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方のロータが旋回運動することによって圧縮作動室の容積を減じながら気体を圧縮する旋回運動形容積式圧縮機であって、特に渦巻状に構成されたスクロール部材によって三日月状の圧縮室が複数個形成される特徴を有するスクロール圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スクロール圧縮機の基本的な動作原理を説明する。この圧縮機は鏡板に渦巻状のラップを直立して設けた2つのスクロール部材を互いに噛み合わせて、一方のスクロール部材を他方のスクロール部材に対して自転しないように拘束しながら相対的に旋回運動させることによって、前記両スクロール部材で構成される圧縮作動室の大きさを順次変化させる形式のもので、旋回スクロールを旋回運動させることによってスクロール部材の外周部から中央部に向かって気体を移送・圧縮させるものである。
【0003】
この種のスクロール圧縮機においては、スクロールラップによって構成される圧縮室内の気体の圧力によって旋回スクロールと固定スクロールとが相互に離反する力を受ける構造のものや、旋回スクロール鏡板の両面にラップを有しそれぞれの面に圧縮作動室を形成して、旋回スクロールに作用する圧縮気体によるスラスト力をキャンセルさせる構造のものがある。
【0004】
本発明に近い公知技術としては後者の技術であり、例えば特開平7−310682号公報に開示されている。この公知技術によれば、一対の固定スクロールの間に配置され、鏡板の両側にスクロールラップを配設した旋回スクロールは、その外周部に設けられた偏心部を有する複数の駆動軸によって駆動されることにより、旋回スクロールが円滑に旋回運動して圧縮動作が行われるように構成されている。
【0005】
公知技術のように旋回スクロールの鏡板の両側に圧縮室を形成する構造の圧縮機における基本的な設計思想として、圧縮作動室を形成させるときの隙間の設定、特にラップ先端面に形成される軸方向隙間は、旋回鏡板の両側に形成される圧縮作動室に対してはほぼ同様に設定されることが多い。
【0006】
また、前記公知技術によれば旋回スクロールと一対の固定スクロールは共にアルミニウム合金等で構成されている。一方、スクロールの外周部に配置された複数の駆動軸の材質は明確に示されていないが、一般的には負荷変動を受けて駆動力を受ける機械部品は鉄系金属材料で構成されることが多い。
【0007】
また、旋回スクロールの両側に構成されている圧縮作動室は、共に同等の大きさで構成されていて気体を圧縮するときに生ずるガス圧によるスラスト力が等しくなるようになっている。また、圧縮作動室内には一切潤滑油が混在していないので、圧縮性能を高く維持するために両スクロールのラップ先端面には4弗化エチレン樹脂材料などを主成分とする樹脂材料で構成されたシール部材、すなわちチップシールが装着されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術では、旋回スクロールが外周部に配置された複数の駆動軸で固定スクロールに対して位置決めされ、支持するように構成されているので、次のような課題が発生する。すなわち、スクロール圧縮機が圧縮動作を開始するにしたがって気体が断熱圧縮されるため、吐出気体は圧力が高まると共に高温の状態になる。この高温の圧縮気体によってスクロール部材をはじめとする圧縮機構成部品が加熱され、高温の状態になる。また、駆動部品は軸受などでも回転によって発生する摩擦力によっても加熱される。
【0009】
一方、旋回スクロールは外周部を駆動軸によって位置決めされ、支持されているので、固定スクロールとの相対位置関係が適正に保たれている。しかし、圧縮機を運転すると、前述したように全ての部品が加熱され、駆動時軸も同様に加熱される。この結果、駆動軸が熱膨張すると駆動軸に支持された旋回スクロールも駆動軸の熱膨張分だけ軸方向に移動する。従って、旋回スクロールと固定スクロール間の相対位置関係がずれるという問題があった。
【0010】
旋回スクロールの鏡板の両側には固定スクロールが配置されていて、その鏡板の両側に圧縮作動室が構成されているが、一方の圧縮作動室では両スクロール間の軸方向隙間が拡大し、他方の圧縮作動室では両スクロールの軸方向隙間が減少することになる。このような状況になると、軸方向隙間が拡大する側では、圧縮作動室間における圧縮気体の漏れが大きくなり、圧縮機性能の低下を引き起こす。さらには、漏れ気体の再圧縮によって高圧側の気体の温度がさらに上昇し、スクロール部材などの変形量を増加させる恐れが生じる。
【0011】
他方、スクロールラップ間の軸方向隙間が減少する側では、設計時にもくろんでいた以上に隙間が減少する恐れがあり、このような状態になるとチップシールに悪影響を及ぼすことになる。すなわち、チップシールは通常それ自身の背面に高圧の圧縮気体が作用するので、その力をシール力として利用しその先端部で圧縮ガスの漏れを防止するようになっている。
【0012】
ところが一方で、この種のチップシール材料はアルミニウム合金に比べ3〜5倍程度も大きな線膨張係数を有しているため、チップシール自身が加熱されて熱膨張すると、チップシール装着溝内に充満しきれず外側にはみ出るようになる。この時、チップシールの背面圧力によってチップシール先端面と相手スクロールの歯底面とは接触しているので、熱膨張するとチップシール背面の空間を減少させることになる。
【0013】
熱膨張が進行することによって前記空間が減少し、ある温度以上になると空間が無くなって、チップシール先端面が相手歯底面に接触するような事態が発生する。そして、熱膨張が更に進行すると熱膨張分を吸収する余裕が無くなり、チップシール先端面の接触面圧が急激に増大することになる。
【0014】
チップシールは、たいていの場合、複合樹脂材料で構成されていて、相手面と接触しながら摺動するためにチップシール自身の摩耗が避けられない。しかしながら、圧縮機運転中においてチップシールに作用するシール面圧が設計的に与えられた接触面圧であれば、チップシールはいわゆるマイルドな摩耗状態になっているため摩耗速度は小さく、シール性能に対しては長期に渡って十分な機能を発揮することができる。
【0015】
ところで、チップシールの摩耗量は、摺動面のすべり速度と接触面圧が大きく影響する。公知技術のような圧縮機を必要放熱量を確保しないまま連続的に運転を続けると、大きな熱膨張が発生し前記したように旋回スクロールが軸の熱膨張を受けて一方の固定側に移動したり、チップシール自身の熱膨張量も加算されて相手歯底面に接触してしまうと、チップシールの接触面圧が急激に増大する。この結果、チップシールの摩耗速度が急激に大きくなる等、いわゆる異常摩耗が発生してしまう恐れがあった。
【0016】
さらに、駆動軸の熱膨張量がより大きくなると旋回スクロール鏡板の一方側に構成されたスクロールラップは、相手方固定スクロールに必要以上に接近するためラップ先端面と相手歯底面とが直接接触する恐れが生じてくる。スクロール部材はアルミニウム合金で構成されていること、ならびに無潤滑状態で接触することになるため、一定以上の押し付け力が作用するとラップ先端面と相手歯底面との間に凝着摩耗などの異常摩耗状態が引き起こされ、スクロールラップが焼きついたり、折損したりするので圧縮機としての機能が損なわれる事態が発生する。
【0017】
本発明の目的は、上記問題点を解消することにあり、圧縮機運転時に、旋回スクロールの両側に形成される圧縮作動室のスラスト隙間が好適に維持され、かつ両圧縮作動室の圧力状態を等しく安定に保つことができる外周駆動型スクロール圧縮機を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第一の手段は、平行に配置された固定スクロールがあって、それらは互いにフランジ面で固定さていて、その内側に内包されるように配置された旋回スクロールがあり、旋回スクロール鏡板の両面に圧縮作動室が構成され、旋回スクロールを該旋回スクロール鏡板の外周部で駆動軸ならびに補助駆動軸で位置決めされながら支持されるように構成された外周駆動形スクロール圧縮機に対して、旋回スクロールを駆動する駆動軸ならびに補助駆動軸の熱膨張量とスクロール部材の熱膨張量を考慮して、旋回スクロール鏡板の両側に形成される圧縮作動室に対して、組立て時のスクロールラップ先端部と該先端部に対向する前記歯底面との隙間を、あらかじめアンバランスになるようにして、圧縮機を構成し、運転時における圧縮作動室のスクロールラップ先端部と該先端部に対向する前記歯底面との隙間が好適に維持されるようにすることにある。
【0019】
また、本発明の第二の手段は、それぞれのスクロールラップ先端部にチップシールを装着しているので、旋回スクロールを駆動する駆動軸ならびに補助駆動軸の熱膨張量とスクロール部材の熱膨張量を考慮して、旋回スクロール鏡板の両側に配置されるチップシールの飛び出し量を組立て時においてアンバランスになるように構成し、運転時におけるチップシールのシール面圧を適正に保つことにある。
【0020】
すなわち、第1の手段においては、前記課題で説明したように以下の状況を回避するために発明されたものである。それは、駆動軸や、補助駆動軸はそれぞれを回転支持する軸受によって、いずれか一方の固定スクロールに対して軸方向には固定された状態で組立てられ、他方の固定スクロールに対しては熱膨張に対する寸法の逃げなどを考慮して、可動状態に組立てられる。
【0021】
従って、駆動軸や、補助駆動軸が固定支持される側に近いほうの圧縮作動室では、駆動軸や、補助駆動軸が熱膨張すると旋回スクロールの位置が軸の熱膨張分だけ固定スクロールから離れるように移動してしまうためスクロールラップ先端部と該先端部に対向する前記歯底面との隙間が大きくなるような傾向になる。
【0022】
反対に、駆動軸や、補助駆動軸が可動可能な状態で支持される側に近いほうの圧縮作動室では、旋回スクロールの位置が軸の相対的熱膨張量分だけ固定スクロールに近づくように移動してしまうためスクロールラップ先端部と該先端部に対向する前記歯底面との隙間が小さくなるような傾向になる。
【0023】
従って、前者の場合、すなわち駆動軸の固定側に近いほうで、あらかじめスクロールラップ先端部と該先端部に対向する前記歯底面との隙間を小さくする場合には幾つか方法があるが、その1つに、旋回スクロールの支持位置を軸受の固定側に近づける方法があり、第2に、旋回スクロールの位置は変えないでスクロールラップの高さを大きくする方法、もしくはラップ底面の位置を上げる方法等がある。
【0024】
後者の場合、すなわち、あらかじめスクロールラップ先端部と該先端部に対向する前記歯底面との隙間を大きく設定するには、上記と反対にまず固定スクロールをわずかに旋回スクロールから離して固定する方法があり、第2に旋回スクロールの位置は変えないで固定スクロールラップの高さを小さくする方法、もしくは旋回スクロールの位置は変えないで固定側ラップ底面の位置を離す方法等がある。
【0025】
これらの設定寸法は、駆動軸のサイズや圧縮機の温度上昇値によって設計的に選択することができるが、これらの物理量は圧縮機構を決定すれば概略圧縮機容量と大まかな相関性が有る。
【0026】
ここで、前記設定寸法の例を挙げると、本発明で対象にしている圧縮機は外周駆動形スクロール圧縮機であるがこれを圧縮作動室内に潤滑油を供給しないいわゆるオイルフリー機として利用する場合では、圧縮機の容量で一例を挙げるとすると7.5kWないし11kW容量のクラスであれば概略0.15mm〜0.05mm程度の微少量を採ることができる。
【0027】
次に、第2の方法としてスクロールラップ先端部に装着したチップシールの飛び出し量の調整で対応する場合について述べる。すなわち、前記した寸法はチップシールの設定によって圧縮気体の漏れを抑えることができる量である。したがって、駆動軸や、補助駆動軸が固定スクロール等に固定される側に近いほうでは、チップシールがスクロールラップ先端部から多く飛び出せるようにチップシールの装着溝の深さを浅くすることで達成される。
【0028】
反対に、駆動軸や、補助駆動軸が固定スクロール等に固定される側から遠いほうでは、チップシールのスクロールラップ先端部からの飛び出し量が小さくなるようチップシールの装着溝の深さを深くすることで達成することができる。
【0029】
さらに、第3の手段は、チップシール溝深さを変えないで前記該駆動軸を支持する軸受を固定した側の固定スクロールに近いほうで圧縮作動室を形成する側に設けたチップシールの高さを、前記該駆動軸を支持する軸受を軸方向に移動可能なごとく装着した側の固定スクロールに近いほうで圧縮作動室を形成する側に設けたチップシールの高さより高くして、それぞれチップシールの装着溝に装着することにある。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態例に係わる外周駆動形スクロール圧縮機の基本構成について、以下、図に従って説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施の形態例に係わる外周駆動形スクロール圧縮機の全体構造を表す縦断面図である。
【0032】
図1に示すように、本外周駆動形スクロール圧縮機は、旋回スクロールの鏡板外周部に2本の駆動軸を配設して旋回スクロールを駆動する形式のものであり、渦巻き状に形成されたスクロールラップ1bを有する固定スクロール1とこれに同じように形成されたスクロールラップ2bを有する固定スクロール2が平行に配置されており、その間に鏡板3aの両側に同じく渦巻き状に形成されたスクロールラップ3bならびに3cを有する旋回スクロール3がそれぞれの固定スクロールに噛み合っている。
【0033】
実質的には、旋回と固定両ラップは非接触状態を保って噛み合うように構成され、旋回スクロール3の鏡板3aの両側に圧縮作動室14と15を形成している。この圧縮作動室14と15は、旋回スクロールの旋回運動に伴って外周から中央へとその容積を減じながら移動する(図5でこの様子を更に詳しく述べる)。
【0034】
旋回スクロール鏡板の中央部付近にはこの圧縮作動室を連通させる連通孔19が設けてある。また、固定スクロール1及び、固定スクロール2はそのほぼ中央部に吐出ポート9ならびに10が設けられ、固定スクロール1ならびに2の外表面には放熱フィン1d、2dが設けられている。
【0035】
鏡板3aには圧縮作動室14や15とは独立した貫通孔4が複数個設けられており、この貫通孔4に外部から空気を流すことによって旋回スクロール3を冷却することができる。
【0036】
旋回スクロール3の鏡板外周部には偏心部を有する駆動軸5と同じ偏心量の偏心部を有する補助駆動軸6とが配置されており、旋回スクロール3はそれらの駆動軸の偏心部分で軸受11a及び11bを介して回転可能に係合している。
【0037】
駆動軸5は、その一部分を固定スクロール2に固定された転がり軸受10aと固定スクロール1に設けた軸受12aによって回転可能な状態で軸支されており、補助駆動軸6は、その一部分を固定スクロール2に固定された転がり軸受10bと固定スクロール1に設けた軸受12bによって回転可能な状態で軸支されている。転がり軸受10は、駆動軸5や補助駆動軸6を固定スクロール2に対して固定するため、軸方向移動を阻止された状態に維持されている。
【0038】
一方、軸受12は、その側面部に与圧ばねなどを配設して、軸方向に移動できるように配慮されている。さらに、駆動軸5や6には、旋回スクロール3の旋回運動に伴う不釣り合いを相殺するためにバランスウエイト7aと7bとが固定配置されている。
【0039】
他方、駆動軸5とは対称の反対側に位置している補助駆動軸6も、同様に旋回スクロール3の旋回運動に伴う不釣り合いを相殺するためにバランスウエイト8aと8bとが固定配置されている。
【0040】
駆動軸5の端部には、プーリ16が相対滑りを防止するための連結手段、例えばキー手段等を介して設けてあり、他に設置した動力源すなわち電動要素(図6参照)から回転動力が供給されるようになっている。
【0041】
さらに、駆動軸5と補助駆動軸6とはタイミングベルト17によって両駆動軸の回転の同期性を保つように、それぞれの軸に設けた歯付きプーリ13a、13bなどを介して連結されている。
【0042】
固定スクロール1と固定スクロール2は、外周のフランジ面で互いの平行度を保った状態で固定されるが、両者のフランジ高さが大きく異なっている。固定スクロール1のほうは、ラップ高さより低い位置に構成されていて、固定スクロール2はラップ高さより十分に高く構成され、旋回スクロール全体を包むようにケーシング構造となっている。
【0043】
このため、固定スクロール2の内側には大気と連通した空間18が存在している。この空間18は旋回スクロール3が固定スクロール2内で運動するのに必要な空間であると同時に、圧縮機の冷却を促進させるために冷却空気を流すための空間でもある。この空間18と圧縮作動室14、15とが連通状態にならぬように、固定スクロールラップ1の外周部にはダストラップ20が設けてある。
【0044】
このダストラップ20は、図5に示すように環状に形成されており、なおかつ、そのダストラップ20の先端面には、ラップ先端部のチップシールのように構成されたダストシールがダストラップ20の先端面の凹部溝内に勘合して設けられていて、旋回スクロール3の鏡板面と接触しながらシール機能を備えている。
【0045】
また、反対側に配置している固定スクロール2にも同様にダストラップ21とその先端にダストシールが設けられていて、空間19の外気と圧縮作動室15が連通状態になることを防止している。
【0046】
前記したように、固定スクロール2の外周部にはフランジ部があり、固定スクロール1の外周部にもフランジ部が配置されている。そして、互いの固定スクロール1と2がこのフランジ部においてボルト等によって結合されている。
【0047】
結合の際、両固定スクロールのX−Y方向ならびに回転方向等の相対位置を合わせる位置決め手段によって、両固定スクロール1、2同志ならびに旋回スクロール3との相対位置関係が適正に保たれて組み立てられ、圧縮動作に好適な圧縮作動室14や15が形成されると同時に、旋回スクロール3がスムーズに旋回運動できるようになっている。
【0048】
図2は、図1の外周駆動形スクロール圧縮機の側面図である。ただし、説明の都合上、放熱フィンのカバーをはずした状態を示している。放熱フィン2dは圧縮作動室の位置にほぼ対応させて固定スクロール2の外表面中央部分に設けてあり、圧縮に伴って発生する熱を効果的に除去できるように考慮され配置ている。
【0049】
冷却空気は、図面上、上から下へと流れるように設計されている(詳細は後述する)。固定スクロール2の側面には圧縮作動室15に連通する二つの吸入口22、23が設けられている。
【0050】
図には示していないが、固定スクロール1にも同様な位置に吸入口が設けられ、圧縮作動室14に気体が吸い込まれるように構成されている。固定スクロール2はアルミ合金で製作されており、強度を補うために外表面にはリブ24が複数配置されている。
【0051】
図3は、旋回スクロール3の概観を模式的に示した図であり、スクロールラップ3bには固定スクロールラップ1bが噛み合う様子を表わしている。スクロールラップは鏡板3aを挟んで同じように形成されたスクロールラップ3cが設けられている。
【0052】
図3に示すラップの噛み合い状況は、ある回転角における状態を示したものであり、圧縮作動室14は、図示したように、両スクロールラップ1b、3bによって三日月状に形成される。しかも同時に、複数の圧縮作動室が形成される。
【0053】
スクロールラップの先端部にはチップシールの装着溝30があり、圧縮作動室内の気体が半径方向に漏れ、より外側の圧縮作動室内に流入するのを阻止するためのチップシールを配設するようになっている。
【0054】
軸受ホルダ穴25、26はスクロールラップの外周にあって、鏡板3aと一体に構成されている。旋回スクロールの鏡板3aには貫通孔4が複数個設けられており、内部ではそれぞれの貫通孔4が互いに合流できるようになっている。
【0055】
図4は、図1の外周駆動形スクロール圧縮機40を模式的に示した鳥瞰図である。旋回スクロール3は固定スクロール1、2内に収納されて見えないが、ここでは説明の都合上、必要部分のみ内部から取り出して示している。
【0056】
固定スクロール2の上面には冷却空気取り入れ口27が設けてあり、ここから流入する冷却空気は旋回スクロール3の周囲や駆動軸5ならびに補助駆動軸6の周りを流れると共に、旋回スクロール3の貫通孔4の中にも流れる。また、固定スクロール1、2の放熱フィンの外側にはカバーが設けてあり(図示せず)、該フィンの周りも冷却空気の流路が構成されている。
【0057】
圧縮機が運転されるとこれらの流路に冷却空気が流れ、圧縮機を効果的に冷却することができる。圧縮機の下部には支持足28a、28bが設けられ、これによって架台等に固定され圧縮機は安定支持される。
【0058】
図5は、圧縮機の内部構造の概略を説明するため、固定スクロール2に対して旋回スクロール3を重ね合わせて示した模式図である。固定スクロールラップ2bと旋回スクロールラップ3cとが噛み合って圧縮作動室15を形成している。
【0059】
図5に示するように、スクロール圧縮機では、圧縮作動室15が同時に多数が形成されているが、圧縮機運転中は外周部が最も圧力が低く、中心部で最も高い圧力になっている。
【0060】
そして、スクロールラップを取り囲むように固定スクロール側にダストラップ21が円環状に構成されていて、その頂部にはチップシールと同様なシール部材が配置されており、内部の作動室と外側の空間18とは、概略遮断されている。
【0061】
空間18には、上部に設けられた冷却空気取り入れ口27から流入した空気が流れ込み、冷却空気は、図5中に矢印で示したように、ダストラップ21の周りや駆動軸5、6の周り、そして旋回スクロール3の周りを流れ、下部に設けた排気口31から機外へ流出する。この間、高温部と効果的に熱交換し、スクロール部材等を好適な温度に保つことができる。
【0062】
図6は、図1の外周駆動形スクロール圧縮機40を搭載した圧縮機ユニット装置の基本要素などの一部を示す図である。コモンベース53の上に防振装置44を介して圧縮機架台43と電動要素50が配置され、圧縮機架台43の上には更に圧縮機40が配設されている。
【0063】
電動要素50は、一方にプーリ51を備え、他方にファン54を備えている。プーリ51には、圧縮機側プーリ16に連結するベルト52が配設され動力伝達ができるようになっている。電動要素50の周りには圧縮機40の冷却に必要な風量を得るためにファン54に接続される流路45ならびに55が配設されている。
【0064】
これらの流路に沿った矢印は、冷却空気の流れを示すものであり、ファン54の回転によって流入する空気は、これらと平行して電動要素50周りを流れる冷却風もある。ファン54の出口側には排風ダクト56が設けられており、その内部には圧縮機からの吐出ガスを冷却するための熱交換器46が設けられている。
【0065】
外周駆動形スクロール圧縮機40には、上部の矢印で示したように、冷却空気は上から下へと流れるようになっていて、冷却空気取り入れ口27から圧縮機内部を流れるものと、カバー41ならびにカバー42で構成されたフィン周りの流路を流れるものとがある。
【0066】
吐出ガスは高温高圧になっているので、圧力調整弁47の手前側で排風ダクト56内に配設した熱交換器46を設けて好適に冷却するようになっている。
【0067】
通常、圧縮機ユニット装置は、前述した要素全体を化粧を施した板金等で囲われているので、外観からはこのように見ることはできない。なお、図6では説明の都合上電源装置、運転制御装置、圧縮空気中の湿分を調整するドライヤ装置なども省略している。
【0068】
図7は、旋回スクロール3と一対の固定スクロール1、2の組み合わせ状況を示す模式図である。図7に示すように、固定スクロール1、固定スクロール2及び旋回スクロール3のそれぞれのスクロールラップ先端部には4フッ化エチレン樹脂もしくはポリイミド樹脂を主成分とする複合樹脂材料で形成されたチップシール1c、2c、3d、3eがそれぞれ渦巻きに沿って設けられている。
【0069】
それぞれのチップシール1c、2c、3d、3eは、スクロールラップ先端面に配置されているわけであるが、各チップシール背面には圧縮作動室内の高圧の気体が入り込んでいるため、この圧力によってチップシールが装着溝30から飛び出して相手歯底面に当接している。この結果、チップシール先端部では好適なシール性能を維持できる。
【0070】
また、本実施の形態例として、チップシールをスクロールラップの渦巻きに沿った長さ方向でみると、全体が複数個に分割して設けられている。このチップシールは、機能・性能上に特に問題が無ければ分割しなくてもよいが、分割することによりチップシールの成形性、組立性さらには、圧縮機運転時の熱膨張量の逃げを好適に設定することができるので、シール性能や信頼性の向上を図ることができる。
【0071】
また、前述したように、固定スクロール1、2、それに旋回スクロール3は、それぞれアルミニウム合金等に代表されるように軽くて、熱伝導性の良い材料で構成されている。さらに、オイルフリー式圧縮機を提供するためには、特にシリコンが多めに含有された線膨張係数の小さいアルミニウム合金を適用することもできる。
【0072】
さらには、スクロールラップ接触時の摺動性の向上、あるいは接触時の焼き付きなどに対して信頼性の高いオイルフリー式外周駆動形スクロール圧縮機を提供するため、図示してないが、スクロールラップの側面や鏡板面などほぼ全面的にアルミニウム合金に適合する陽極酸化皮膜処理や無潤滑摺動条件下で摩擦・摩耗特性に優れたコーティング等の表面処理を施すこともできる。
【0073】
図7において、駆動軸5は、軸受10aによって固定スクロール2に対して軸方向の相対位置関係が固定されている。旋回スクロール3も同様に軸受け11によって相対位置関係が固定されている。軸受12aは固定スクロール1に対して移動できるように軸受側面に与圧ばねなどを介して配設されている。
【0074】
ところで、本発明で着目している所は、図中、丸印で囲んだA、B、C、Dそれぞれのスクロールラップ先端部における相対寸法である。駆動軸5ないし6の熱膨張量と固定スクロール2のケーシングの熱膨張量が同じ状態であれば、圧縮動作中、圧縮作動室14、15は、鏡板上下の圧縮作動室内のガス圧力の均衡が保たれ圧縮ガスのスラスト力の総和がほぼ等しくなるため、旋回スクロール3の軸方向移動は発生しない。
【0075】
このため、旋回スクロール3はいずれの固定スクロール1、2に対しても強く押しつけられることはなく、ラップの先端面には大きなスラスト荷重は作用しないはずである。従って、スクロールラップ先端部での摺動損失を最小に維持することができるし、チップシールの摩耗量も少ない状態で維持できる。
【0076】
しかしながら、圧縮機運転中は、前記した熱膨張量が同じような状態、すなわち固定スクロール2を基準位置にしてみた場合、駆動軸5、6の熱膨張量と固定スクロール1の位置の変化量とを同じに維持できることは少ない。従って、駆動軸5が熱膨張すると、これに固定係止された旋回スクロール3はその熱膨張量に応じて、固定スクロール1側に移動することになる。
【0077】
この結果、公知技術等にあっては、丸印で囲んだC部及びD部でスクロールラップ先端部と相手歯底面との隙間が大きくなる傾向にあり、A部、B部では反対にスクロールラップ先端部と相手歯底面との隙間が小さくなる傾向にある。従って、C部及びD部では圧縮作動室15の気体が低圧側に漏れやすくなり、圧縮機性能の低下を引き起こす恐れがあった。
【0078】
また、A部やB部ではチップシール3dや1cが潰されて大きな面圧が作用したり、場合によってはスクロールラップ先端部と歯底部分が直接接触するような事態が生じる恐れがあった。
【0079】
さらには、これらの結果、圧縮作動室14と圧縮作動室15の圧力レベルが不均衡になり旋回スクロール3に圧縮ガスによるスラスト力が作用したり、固定スクロール1側の接触による摩擦力増大の結果、軸受負荷が大きくなってその信頼性を損なう恐れがあった。本発明は、未然にそれらの課題を回避する技術であり、以下に述べる基本動作の後に、説明する。
【0080】
次に、図1の外周駆動形スクロール圧縮機の動作について説明する。図6の電動要素50に電力が供給されると、ベルト52によって圧縮機プーリー16に動力が伝達される。この結果、図1に示した駆動シャフト5が回転し、同時にタイミングベルト17によって連結された補助駆動シャフト6が回転する。
【0081】
二つの駆動シャフトに係合されている旋回スクロール3は、自転を防止された状態で駆動シャフトの偏心量に等しい半径の旋回運動がもたらされる。旋回スクロール3の運動に伴って吸入ポート22、23等から空気が吸入室22a、23a内等に流入する。
【0082】
流入した空気は、圧縮作動室14と15によって体積を減じながら所定の圧力まで圧縮される。高圧になった空気は、旋回スクロール鏡板に設けた連通孔8によってほぼ等しい圧力で両方の固定スクロールに設けた吐出ポート9、10から機外へ供給される。
【0083】
この吐出圧力のレベルは、図6に示した圧力調整弁47の開度によってほぼ一義的に決定されている。圧縮動作中、圧縮作動室14、15は鏡板上下の圧縮作動室内のガス圧力の均衡が保たれるため、場合によっては両方のスクロール中心部でも圧力がほぼ等しくなるので鏡板に設けた連通孔19は設けなくてもよい。
【0084】
一方、圧縮機の冷却風は、図6に示したファン54の回転により所定の流量が確保され、固定スクロールや旋回スクロールの内外面が同時に冷却され、圧縮に伴って発生する熱量を適度に取り除くことができる。
【0085】
図8は図7のA部に相当する部位の一実施形態の拡大図、図9は図7のD部に相当する部位の一実施形態の拡大図であり、室温状況下での組み合わせ状態を示す図である。図8、図9に示すように、一方の旋回スクロールラップ3bの先端面と相手固定スクロール1の歯底面との距離をX1とし、他方の旋回スクロールラップ3cの先端面と相手固定スクロール2の歯底面との距離をX4とする時、X1>X4の関係を保って構成させている。
【0086】
これを達成すための具体的手法として、まず第1に、固定スクロール1及び固定スクロール2のラップ高さを同じにして、旋回スクロールラップ3bと3cとの高さ寸法に差を与えることで達成できる。
【0087】
第2の手法として、固定スクロールラップ1、2のラップ高さを同じに設定すると共に、旋回スクロールラップ3bと3cとの高さを同じにして軸受11との係合部(固定位置)を固定スクロール2の側に寄せることによって達成できる。
【0088】
第3の手法として、旋回スクロールラップ3bと3cの高さを同じにして、固定スクロールラップ1、2のラップ高さに差を与えるように設定することで達成できる。
【0089】
以上のように組み立てることにより、圧縮機運転時は駆動軸5などの熱膨張によってX1とX4がほぼ等しいか、少なくともX1>0の関係を維持することができる。本実施の形態例によって、運転時のラップ先端隙間が好適な状態に維持されるので、高い圧縮機性能を有するオイルフリースクロール圧縮機を提供できると共に、駆動軸の熱膨張量が大きくなってもスクロールラップ先端面での接触を未然に防止することができる。
【0090】
図10は、図7のB部に相当する部位の一実施形態の拡大図、図11は図7のC部に相当する部位の一実施形態の拡大図であり、固定スクロール1及び固定スクロール2の両スクロールラップ先端部における旋回スクロール3との組み合わせ状況を示す図である。また、室温状況下での組み合わせ状態を示す図でもある。
【0091】
図10、図11に示すように、一方の固定スクロールラップ1bの先端面と相手旋回スクロール3の歯底面3aとの距離をX2とし、他方の固定スクロールラップ2bの先端面と相手旋回スクロール3の歯底面3aとの距離をX3とする時、X2>X3の関係を保って構成させている。
【0092】
これを達成すための具体的手法として、まず第1に、固定スクロール1及び固定スクロール2のラップ高さを同じにして、旋回スクロール3の歯底面の位置を調節して(たとえば外周面に対して段差を設けるなど)ラップ3bと3cの高さ寸法に差を与えることで達成できる。
【0093】
第2の手法として、固定スクロールラップ1、2のラップ高さを同じに設定すると共に、旋回スクロールラップ3bと3cの高さも同じにして軸受11との係合部(固定位置)を固定スクロール2の側に寄せることによって達成できる。これは、前記第1の手法と実質的には同じようであるがX1=X2が成り立っている時であり、さらに、旋回スクロール3のラップ高さと固定スクロールのラップ高さが等しい場合に限られる。実際的には前記条件が満たされることが少なくX1≠X2となっている場合が多い。
【0094】
第3の手法として、旋回スクロールラップ3bと3cの高さも同じにして、固定スクロールラップ1、2のラップ高さに差を与えるように設定することで達成できる。
【0095】
前記第1の手法や第2の手法は、それぞれのスクロール部材において、部分的に基準面を設定し、その面を基準にスクロールラップ噛み合い面(歯底面)を一段と高く、もしくは低く構成することで達成できる。
【0096】
図12は、第1の手法や第2の手法を採用した時の旋回スクロール3と一対の固定スクロール1、2の組み合わせ状況を示す模式図を示したものである。
【0097】
図12において、旋回スクロール3に設けた基準面3Zは、旋回スクロール3の外周面で固定スクロール側のチップシール1cが摺動しない面である。これに対してラップ底面3Yは一段と低く構成され、例えば図10における設定寸法X2を得ている。
【0098】
同様に、固定スクロール1に設けた基準面1Zも旋回スクロール側に設けたチップシール3dが摺動しない面である。これに対してラップ底面1Yは一段と低く構成され、例えば図8における設定寸法X1を得ている。このように段差を設定することによって組立て時において上記寸法の確認作業が容易になるなど、作業性が改善されると共に、メンテナンス時においても段差寸法を測定することによって容易に設定寸法X1やX2を知り得ることができる。
【0099】
図13、図14は、旋回スクロール3のラップ先端部における固定スクロール1、2との組み合わせ状況の他の例を示す部分拡大図であり、室温状況下での組み合わせ状態を示す図でもある。
【0100】
本例では、設定寸法X1やX4に対しては、図8、図9の状況と同様であり、ここでの説明は省略する。以下、図8、図9の例と異なる点について説明する。ここではチップシール背面部に設けた空間の寸法をX5≧X6の関係に設定したことにある。
【0101】
これを達成するための具体的手法は、チップシール溝深さを同じにしてチップシール高さを変える方法と、もう一つの手法は、チップシール高さを同じにしてチップシール溝深さを変える方法がある。
【0102】
この方法によると、チップシールの熱膨張量とスクロール材料であるアルミニウム合金材の熱膨張量に差がある場合に特に有効である。すなわち、アルミニウム合金と上記したチップシール材料では線膨張係数が概略4倍程度と大きいことが知られている。
【0103】
したがって、チップシールがラップと共に加熱されると、先端部が相手歯底面に当接すると、その後には背面の空間を減少させるように変形する。この時、固定スクロール2の側では駆動軸5の熱膨張によって設定寸法X4が大きくなる傾向にあり、チップシールの熱膨張分の逃げを分担することができる。また、X6を大きく取りすぎると運転中は常に大きな空間が生じて圧縮気体も漏れの原因となるので適度な寸法に設定する必要がある。
【0104】
また、図13の旋回スクロール3bのラップ先端部では設定寸法X1は駆動軸5の熱膨張によって小さくなる寸法であり、仮にX5をあらかじめ小さな寸法に設定するとチップシール3dの熱膨張分の逃げが取れなくなり、その当接面では接触面圧が過大になってしまう恐れがあったが、本例ではX5を大きく取ることによって、チップシール3dの熱膨張分を吸収できるので上記当接面での面圧上昇を防止することができる。
【0105】
本例により、旋回スクロール3や固定スクロール1、2のラップ先端に設けたチップシールの摺動面圧が適度なレベルに保たれるので、長期に渡ってその摩耗量を微小に保つことができ、圧縮機としても長期に渡って高い性能を維持することができる。
【0106】
また、チップシール交換時間を長く設定でき、一定期間中の交換回数を削減できるので、チップシール交換のための作業費も安価にすることができる。
【0107】
また、本例を適用することにより、圧縮機の信頼性や、チップシールの信頼性を公知技術の場合と同じように設定すれば、逆にさらに高い吐出圧力(言い換えれば高い吐出温度)が得られる圧縮機を提供することができる。
【0108】
【発明の効果】
本発明によれば、圧縮機運転中における圧縮作動室の軸方向隙間を好適に維持することができるので、圧縮作動室間の漏れを抑えて、高い性能のオイルフリー式外周駆動形スクロール圧縮機を提供することができる。
【0109】
また、ラップ先端面における気体の漏れ状況が同じようになるので、運転時における両圧縮作動室の圧力分布をほぼ等しくする作用が保たれ、旋回スクロールの鏡板に作用するスラストガス力がキャンセルされる。この結果、軸受のスラスト力も小さくなるので軸受の信頼性を高く保つことができる。
【0110】
さらには、スクロールラップ先端部と相手スクロール部材の底面との距離を運転時の駆動軸などの熱膨張量を考慮して異なる寸法に設定したので、チップシール接触面における面圧を適度な大きさに保つことができ、チップシールの摩耗寿命を長く維持できる。
【0111】
また、さらには、スクロールラップの先端面と相手歯底面とのいわゆるスクロール母材同士の接触を回避でき、信頼性の高いオイルフリー式の外周駆動形スクロール圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態例に係わるオイルフリー式の外周駆動形スクロール圧縮機の全体構造を表す縦断面図である。
【図2】図1の外周駆動形スクロール圧縮機の側面図である。
【図3】図1の旋回スクロールの概観を模式的に示した図であり、固定スクロールラッを噛み合わせた状態を示す図である。
【図4】図1の外周駆動形スクロール圧縮機40を模式的に示した鳥瞰図と、便宜的に内部から旋回スクロールを取り出して示した概略の立体図である。
【図5】図1の外周駆動形スクロール圧縮機の内部構造を示す模式図である。
【図6】図1の外周駆動形スクロール圧縮機を搭載した圧縮機ユニット装置の基本構成を示す図で、圧縮機と電動要素を一体化して冷却風の流路を示した圧縮機ユニットの部分図である。
【図7】図1のスクロールラップの噛み合い状況を示す断面図。
【図8】図7のA部の拡大図である。
【図9】図7のD部の拡大図である。
【図10】図7のB部の拡大図である。
【図11】図7のC部の拡大図である。
【図12】本発明の他の実施の形態例に係わる外周駆動形スクロール圧縮機のスクロールラップの噛み合い状況を示す断面図である。
【図13】図7のA部の他の例の拡大図である。
【図14】図7のD部の他の例の拡大図である。
【符号の説明】
1…固定スクロール、2…固定スクロール、3…旋回スクロール、4…冷却孔、5…主駆動軸、6…補助駆動軸、7…バランスウエイト、8…バランスウエイト、9…吐出ポート、10…吐出ポート、11…旋回軸受、12…軸受、13…タイミングプーリ、14、15…圧縮作動室、16…プーリ、17…タイミングベルト、18…空間、19…連通孔、20…ダストラップ、22、23…吸入孔、25…旋回軸受ボア、30…装着溝、40…外周駆動形スクロール圧縮機、43…圧縮機架台、44…防振部材、45…冷却空気の流路、46…熱交換器、47…吐出圧力調整弁、50…電動要素、51…プーリー、52…ベルト、53…コモンベース、54…ファン、矢印(--->)…冷却空気の流れ
Claims (3)
- 内面に渦巻き状に形成されたスクロールラップと歯底面とを有し互いに平行に配置された一対の固定スクロールの間に、鏡板の両面に渦巻き状に形成されたスクロールラップと歯底面とを有する旋回スクロールを配置し、前記両固定スクロールに回転可能に係止した複数の駆動軸によって前記旋回スクロールを旋回運動させることにより、前記鏡板の両側で前記両スクロールラップが噛み合って形成される圧縮作動室で気体を圧縮させる構成の外周駆動形スクロール圧縮機において、前記旋回スクロールが係合する前記駆動軸を支持する軸受を、一方の固定スクロールには軸方向に動かないように固定し、他方の固定スクロールには前記駆動軸が軸方向に移動可能なように配設し、かつ、前記軸受を固定した固定スクロール側にある圧縮作動室の前記スクロールラップの先端部と該先端部に対向する前記歯底面との隙間が、前記軸受を配設した固定スクロール側にある圧縮作動室の前記スクロールラップの先端部と該先端部に対向する前記歯底面との隙間より小さくなるようにしたことを特徴とする外周駆動形スクロール圧縮機。
- 内面に渦巻き状に形成されたスクロールラップと歯底面とを有し互いに平行に配置された一対の固定スクロールの間に、鏡板の両面に渦巻き状に形成されたスクロールラップと歯底面とを有する旋回スクロールを配置し、かつ前記両スクロールラップの先端面に該先端面に対向する前記歯底面に当接するようにチップシールを装着し、前記両固定スクロールに回転可能に係止した複数の駆動軸によって前記旋回スクロールを旋回運動させることにより、前記鏡板の両側で前記両スクロールラップが噛み合って形成される圧縮作動室で気体を圧縮させる構成の外周駆動形スクロール圧縮機において、前記旋回スクロールが係合する前記駆動軸を支持する軸受を、一方の固定スクロールには軸方向に動かないように固定し、他方の固定スクロールには前記駆動軸が軸方向に移動可能なように配設し、かつ、前記軸受を固定した固定スクロール側にある圧縮作動室の前記スクロールラップの先端部に設けた前記チップシールの装着溝の深さを、前記軸受を配設した固定スクロール側にある圧縮作動室の前記スクロールラップの先端面に設けたチップシールの装着溝の深さより浅くしたことを特徴とする外周駆動形スクロール圧縮機。
- 内面に渦巻き状に形成されたスクロールラップと歯底面とを有し互いに平行に配置された一対の固定スクロールの間に、鏡板の両面に渦巻き状に形成されたスクロールラップと歯底面とを有する旋回スクロールを配置し、かつ前記両スクロールラップの先端面に該先端面に対向する前記歯底面に当接するようにチップシールを装着し、前記両固定スクロールに回転可能に係止した複数の駆動軸によって前記旋回スクロールを旋回運動させることにより、前記鏡板の両側で前記両スクロールラップが噛み合って形成される圧縮作動室で気体を圧縮させる構成の外周駆動形スクロール圧縮機において、前記旋回スクロールが係合する前記駆動軸を支持する軸受を、一方の固定スクロールには軸方向に動かないように固定し、他方の固定スクロールには前記駆動軸が軸方向に移動可能なように配設し、かつ、前記軸受を固定した固定スクロール側にある圧縮作動室の前記スクロールラップの先端部に装着した前記チップシールの高さを、前記軸受を配設した固定スクロール側にある圧縮作動室の前記スクロールラップの先端面に装着したチップシールの高さより高くしたことを特徴とする外周駆動形スクロール圧縮機。
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