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JP3749859B2 - シラスウナギ用魚道システム - Google Patents

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JP3749859B2
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    • Y02A40/60Ecological corridors or buffer zones

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  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シラスウナギすなわち鰻の稚魚を遡上させるために河口堰等に設けるシラスウナギ用魚道システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、鰻の稚魚は体長が10cm前後の柳葉波状をしたシラスウナギとして、暖かい海から海流に乗って各地の河川に来遊する。日本では、概ね11月から4月にかけて来遊するが、河口に到着したシラスウナギは、河川水温、満潮時刻、日没時刻、潮高などの遡上に適する条件が熟したところで河川への遡上を始めるようである。シラスウナギの遡上は、ほとんど夜間に行なわれている。すなわち、シラスウナギは、日没とともに動き出し、満潮に乗って河川を昇り、明け方近くになると魚礁等に隠れて休息に入る習性を有している。こうしてシラスウナギは、このような遡上を繰り返して河川等を遡上しながら成長し、さらに最終目的である小溝、湖沼、沢又は潟などに遡上して成魚(鰻)となる。上流で成鰻になってある期間そこで成長した鰻は、秋になって水温が下り始めると、河川を下って暖かい海へ帰って産卵する習性を持っている。遡上して河川等でシラスウナギから成長した鰻は、天然鰻としてばかりではなく、シラスウナギの母体として貴重な存在となるものである。
【0003】
他方、大部分の河川には、その下流部に種々の目的から河口堰あるいは水門等が設けられている。これらの河口堰あるいは水門等は、河川の水流を横断方向に遮断することにより、そこに生息する魚介類の上流方向への移動を妨げてしまうことから、魚介類の移動を確保するための魚道(魚用人口水路)が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在設けられている魚道は、水産経済上、有用と考えられる鮭や鮎のように、比較的遊泳力のある遡上魚用に設計されており、階段式魚道に代表されるように、魚道の流れは比較的速いものとなっている。ところが、緩やかな流れに沿って、又は僅かな湿気や小さな流れのあるところを遡上する習性を有するシラスウナギにとって、上記したような流れの速い魚道を通って遡上することはほとんど不可能である。天然ものの鰻の数が激減しているといわれて久しいが、これはシラスウナギが河口付近で養殖用に捕獲されてしまうことにも原因はあるが、シラスウナギが河口堰などに妨げられて遡上できないことに最大の原因であるといえる。特に河口堰又は水門にシラスウナギ用の魚道が設けられていないことは、その上流における天然鰻の不存在の原因となっているものといえる。
【0005】
そこで本発明の目的は、河口堰や水門に到達したシラスウナギが容易に遡上可能とし、上流側における鰻の存在を増加させることができるようにするシラスウナギ用魚道システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用することにより、以下のような作用効果を発揮するようにしたものである。
【0007】
(請求項1に記載した発明の特徴)
この発明のシラスウナギ用魚道システムは、誘導水供給ユニットと、水路ユニットと、集魚ユニットと、誘導ユニットとの4つの要素により構成することにより、シラスウナギが河口堰等によって遡上が妨げられることなく遡上できるようにしたものである。誘導水供給ユニットは、シラスウナギの遡上用水を本システムに供給するための装置である。このユニットは、ポンプ等の誘導水供給手段と、汲み上げた誘導水を貯めておくための誘導水タンクとを備えている。誘導水タンクは、水路ユニットと誘導ユニットとに誘導水を供給可能としてある。また、上記した水路ユニットは、堰堤の下流側に傾斜状に設けられる水路管を含むユニットであり、上記の誘導水供給ユニットから供給された誘導水を、堰堤上から下流側に流下可能に設けてある。誘導水は、この水路管を通って上記の集魚ユニットから堰堤の下流側へ流下することによりシラスウナギを遡上可能としてある。
【0008】
集魚ユニットは、多くのシラスウナギを集めて昇り口から水路ユニットへ誘導するために、河口堰の下流側の水面上に設置されるユニットである。集魚ユニットの構成は、上記の水路管に接続してある入り口管と、この入り口管の入り口でもある昇り口を部分的に水面上に浮上させる浮き体と、昇り口の周辺にシラスウナギを集める集魚手段とを備えているところに特徴がある。これは、シラスウナギが水際を遊泳する習性を有することから、昇り口を水際に設けて入り口管内へ誘導容易としたものである。これととともに、シラスウナギも他の魚類と同様に明かりや水の落下音に対して反応する習性を有することを利用し、集魚手段を設けることにより入り口管へ誘導容易としてある。
【0009】
誘導ユニットは、水路ユニットを遡上したシラスウナギを上流端部から堰堤の上流側に移動するように誘導するための装置である。シラスウナギは上流に向かって移動する習性を有するため、堰堤上に到達した後、こんどは上流側の水面を目掛けて飛び降りることは好まないことから、上流に向かうように錯覚を起こさせ、あるいは上流端部を飛び越えるように誘導するためのものである。
【0010】
本発明に係るシステムの設置により、集魚ユニット周辺に集魚したシラスウナギは、昇り口から入り口管内に入り、誘導水供給ユニットから供給された誘導水が流れている水路ユニットを昇って誘導ユニットまで遡上する。そしてさらに、この誘導ユニットの上流側端部を乗り越えて飛び出し、河口堰の上流側へ移動可能としてある。こうして、シラスウナギが河口堰を乗り越えて遡上可能とすることにより、上流の河川や湖沼等に天然鰻を生息させ、シラスウナギの再生産を可能とする基盤を築くことが可能となる。
【0011】
(請求項2に記載した発明の特徴)
請求項2に記載した発明における誘導ユニットは、誘導水供給ユニットに接続してある第1注水管から供給された誘導水の水量の一部をこの誘導ユニットの上流側端部から堰堤の上流側に流下させ、残量は堰堤の下流側に流下可能に設けてあるとともに、誘導水供給ユニットに接続してある第2注水管から供給された誘導水を上流側端部の外側に流下可能としてあるところに特徴がある。第1注水管から供給される誘導水は、水量の一部をこの誘導ユニットの上流側端部から堰堤の上流側と下流側とに同時に流下するように注がれるようにしてあるため、シラスウナギはさらに遡上を続けようとして上流側端部を乗り越えようとすることを誘導する作用を行なう。こうして上流側端部を乗り越えたシラスウナギは、堰堤の上流側に飛び出すが、これに対しては、第2注水管から供給された誘導水を上流側端部の外側に流すことにより堰堤の上流側へ誘導容易としてある。
【0012】
(請求項3に記載した発明の特徴)
この発明におけるシラスウナギ用魚道システムは、水路ユニットを、堰堤に固定してある固定水路管と、集魚ユニットの昇降に対応して揺動するように設けてある可動水路管とにより構成してあるところに特徴がある。集魚ユニットは、河口堰等の下流側に設けられるものであることから、潮位の変化に応じて昇降するため、これに接続してある水路管もこの昇降に対応して姿勢を変化させ、集魚ユニットを常に水際に位置させかつ水平に保持する必要がある。これを実現する手段として水路ユニットを堰堤に固定される部分である固定水路管と、この固定水路管と集魚ユニットとを結ぶ可動水路管とにより構成し、可動水路管の揚動により集魚ユニットを常に集魚可能な状態に維持するようにしたものである。
【0013】
(請求項4に記載した発明の特徴)
この発明におけるシラスウナギ用魚道システムは、水路ユニットの水路管を、堰堤に固定された支持部材によって保持可能に設けてあるところに特徴がある。ここで支持部材とは、水路管及び集魚ユニットを堰堤に対して所定の位置を保持するように支持するために設けられる部材をいう。集魚ユニットは、河口堰の下流側に設けられるものであり、潮流や風浪により翻弄される環境におかれるため、本来の設置位置に繋留しておくことが困難となっていることが多い。そこで、これらを支持部材で支持することにより、集魚ユニットによるシラスウナギの遡上を誘導可能としたものである。
【0014】
(請求項5に記載した発明の特徴)
請求項5に記載した発明は、請求項1から請求項4に記載した発明における水路管には、いずれもシラスウナギの遡上を容易にする阻流物が設けてあるところに特徴がある。ここで阻流物とは、水路管内の流れを弱めかつシラスウナギの遡上を容易にするために水路管の底部に設ける模擬海藻等をいうものとする。シラスウナギは、勾配の大きい傾斜面を急流に逆らって遡上する能力を有しないことから、これらの水路管に阻流物を設けて、水流の勢いを弱めるとともにシラスウナギが阻流物の間をくねくねしながら傾斜面を昇ることを助ける働きをする。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1実施の形態例)
図1に示すように、この形態例は、シラスウナギ用魚道システムの基本的構成をなすものであり、主に潮の千満差の大きくない河口に設けられた河口堰に設置することを考慮した構成である。このシステムは、河口堰の堰堤1上に、給水ユニット3が設けてあり、堰堤の下流側(図1右側)の水際には、集魚ユニット5が設けてある。また、給水ユニット3と集魚ユニット5との間には、これらの両者を結ぶ水路ユニット7が介在しており、給水ユニットから出た誘導水は、この水路ユニットの水路管8を通って集魚ユニットへ流れ出すようになっている。また、水路ユニット7の上流端部は、誘導ユニット9に接続してある。これにより、水路管8を通って遡上して来たシラスウナギが、この誘導ユニット9から堰堤1の上流側へ誘導されるようになっている。こうして、海洋から河口堰の堰堤1の下流側に達したシラスウナギは、集魚ユニット5から水路ユニット7を通り、誘導ユニット9に入り、ここから堰堤の上流側へ誘導されて遡上するようになっている。
【0016】
給水ユニット3は、堰堤1上に設置された誘導水タンク3aと、このタンクに誘導水を供給するための給水手段4とを備えている。給水手段4は、水中ポンプ4aと、これと誘導水タンク3aとを結ぶ給水管4bとにより構成されている。水中ポンプ4aの設置場所は、特に制限されないが、誘導水がシラスウナギの向かう先の水と同質水であることが望ましいこと、及び水源が得やすいなどの条件があるため、堰堤1の上流側(図1左側)とすることが望ましい。誘導水タンク3aの一側部には、誘導ユニット9へ誘導水を注水するための2本の注水管が設けてある。内側に位置する第1注水管12aは、主に水路ユニット7側に注水可能としてあり、外側に位置する第2注水管12bは、堰堤1の傾斜面に注水可能としてある。各注水管の注水量は調整弁12cにより調整可能としてある。
【0017】
集魚ユニット5は、河口堰に到達したシラスウナギを集めて誘導し、水路ユニット7へ送り出すための装置である。この集魚ユニット5は、入り口管5a、浮き体5b、集魚手段6を構成するライト6a及びシャワー6bを主な構成要素としている。入り口管5aは、直径300〜400mmの塩化ビニル(PVC)等のプラスチック管を長さ約1mに切断したものを採用してある。図2に示すように、入り口管5aの上流側端部は、フレキシブル管5dに接続してあり、これにより潮位の変化に対応可能となっている。浮き体5bは、発泡スチロール等の浮揚体を入り口管5aの両側に固定したものを採用してある。また、入り口管5aは、水面上に長手方向が水平になるように浮き体5bを介して配置されるが、図3に示すように、昇り口5cの断面の上部からほぼ3分の1が水面上になるようにすることが望ましい。これは水際を遊泳するシラスウナギの習性に対応したもので、シラスウナギの魚道システムへの誘導を容易にするものである。図1に示してある集魚手段6を構成するライト6aは、シラスウナギが明るい場所に集まる習性や水音のする場所に集まる習性を利用して、昇り口5cの周囲に呼び集める作用をする。ライトとしては100W程度の白熱灯を採用し、昇り口5cの周囲を照らすようにすることが望ましい。また、シャワー6bもライトの照明範囲と重複して散水するようにするとよい。
【0018】
水路ユニット7は、上記したように、給水ユニット3と集魚ユニット5との間に介在する魚道用水路である。水路管8としては、PVC製の直径約300〜400mmの円形管を採用することが望ましい。なお、鋳鉄管や鋼管は錆を発生するので、本システムの水路管としては好ましくない。図4,5に示すように、水路管8は、管路部8aと上蓋部8bとを組み合わせて管状とし、上蓋部の着脱により内部のメンテナンスを容易化してある。また、上蓋部8bの要所には、窓部8cを設けることにより採光及び給気を可能としてある。水路管8は、堰堤1の下流側傾斜面に沿ってアンカー部材8dを介して設置されるが、上下の設置角度は60°以内として、シラスウナギの遡上を可能なものとする必要がある。水路管8は管継手8eを介して、フレキシブル管5d及びこれに続く入り口管5aと接続してある。また、水路管8の底部には、シラスウナギの遡上を容易にするために阻流物として岩石を配置し、さらに擬似海藻等を植え付けてある。
【0019】
図1において、誘導ユニット9は、堰堤1上に固定設置されており、その構成は、水路管8の上端部に接続されている蓄養水槽10と、上記した2本の注水管12a,12bとからなる。この蓄養水槽10は、幅が約400mm、長さが約2m程度の水槽を約10分の1の勾配にしたものを堰堤1上に載置してあり、下流側端部が水路管8の上端部に接続してある。蓄養水槽10の上流側端部は後述の誘導部10aになっている。また、この蓄養水槽10は、急勾配の水路管8を遡上して来たシラスウナギを休養させるための設備であるので、小石を散在させ、あるいは擬似水生植物を植え付けておくなどするとよい。また、蓄養水槽10の蓋を透明板で構成して遡上したシラスウナギの状態を観察可能とし、あるいは水槽に魚影検知センサを設けてシラスウナギの遡上量を測定可能とすることも可能である。さらに、付属施設としてバイパスを設けておき、シラスウナギを採補して他の養鰻場へ供給可能とすることもできる。
【0020】
誘導部10aは、蓄養水槽10の上流部に設けられた蓋無しの部分であり、第1注水管12aからの誘導水の供給を可能としてあるとともに、上端部の縁部をシラスウナギが乗り越えて脱出可能としてある。こうして2本の注水管12a,12bのうち、内側の注水管12aは、誘導部10aの縁板上に注がれ、注水量の約半分は槽外へ流れ落ちるように設けてある。そして残りの注水量は、誘導部10a内に注がれて、ここから蓄養水槽10を経て水路管8へ流れ込むようにしてある。このように、注水量の一部が槽外へ落ちるようにしたのは、シラスウナギに誘導部10aの上流端部の外側に遡上路が続いているように錯覚させ、その縁板を乗り越えて飛び出すように誘導する作用を期待したものである。これに対し他方の注水管12bは、上流を目指して遡上中のシラスウナギが内側の注水管12bから注水されている部分で槽の上縁を乗り越えて槽外へ飛び出したときに、これを一気に洗い流して、堰堤1の上流側へ落下させる働きをするものである。誘導部10aの下方の堰堤1には、傾斜面1aを設けておき、誘導部を乗り越えたシラスウナギをこの勾配に沿って滑り落ちてから水面上へ小さな衝撃で落下させるようにするとよい。さらに水面と傾斜面1aとの間には、逆遡上を阻止するための垂直壁からなる逆遡上防止部1bを設けるようにするとよい。
【0021】
シラスウナギは、夕方暗くなるとともに動き出し、明け方明るくなるとともに活動を停止する習性があるので、このシステムの運転は、この時間帯だけ行うようにすればよい。また、上述の通り、シラスウナギの遡上期間も日本国内においては、11月から4月に限られるので、このシステムの開設もこの期間に限定するようにしてもよい。したがって、この期間以外の期間は場合によりこのシステム一式を分解し、倉庫等に保管しておき、11月の遡上期に合わせて再構築することも可能である。
【0022】
このシステムの運転は、水中ポンプ4aを始動し、誘導水タンク3aに誘導水を貯め、注水管12aの調整弁12cを調整することにより、誘導ユニット9へ誘導水を供給する。これとともに集魚ユニット5のライト6aを点灯し、シャワー6bで散水して昇り口5cの周囲にシラスウナギを呼び集める。ここに集まったシラスウナギたちは、昇り口5cから排出される水流を感知し、ここから水路ユニット7を目指して遡上を開始する。シラスウナギは、僅かな水量さえあれば、極言すれば湿気があればその方向に向かって移動する習性があるので、誘導水の水量は僅かでよい。水路管8中には、模擬水生植物等の阻流物が設けてあるので、シラスウナギはこれらの阻流物を伝わって遡上し、やがて蓄養水槽10に到達する。畜養水槽10に到達したシラスウナギは、ここで休養した後、さらに遡上を続けて誘導部10aに至り、ここで第1注水管12aからの注水に乗って、槽の上縁を乗り越えて槽外へ飛び出す。槽外へ飛び出したシラスウナギは、既述したように、第2注水管12bからの注水により押し流され、堰堤の傾斜面1aを滑り落ちて上流側の水面上に落下する。こうして堰堤1を乗り越えて上流側に到達したシラスウナギは、さらに遡上を続けながら成長し、やがて成鰻となる。
【0023】
(第2実施の形態例)
図6に示すように、この形態例の基本的構成や作用は第1実施の形態例と同様であるが、この形態例では、設備の構成や構築方法を簡易化してあるところに第1の特徴がある。すなわち、各ユニットの解体及び組み立てが容易であり、このシステムを低コストで構築し、又は撤去可能とすることによりシラスウナギの遡上期間だけ設置し、それ以外の期間については、河口堰の有効利用や台風時における被害防止を図るようにしたものである。そして第2の特徴は、水路ユニット27を構成する水路管28を、固定水路管28aと可動水路管28bとにより構成し、集魚ユニット25の昇降運動が大きくなっても入り口管25aの水平状態を維持したまま対応可能としてあることである。
【0024】
この形態例の構成は、第1実施の形態例に準じたものとなっているので、図6に示すように、同一名称の各ユニットの符号は、第1実施の形態例で用いた符号に20を加えたものとしてある。また、各ユニット以外の構成要素については、20以上40未満の数値を採用してある。また、各ユニットの構成も図示上は、第1実施の形態例のそれと異なるようになっているが、これらの相違は種々の条件に対応して行なわれる変更の範囲内のものである。
【0025】
この形態例の構成の概要は、河口堰の堰堤21上に給水ユニット23が設けてあり、堰堤の下流側の水面には、集魚ユニット25が設けてある。給水ユニット23と集魚ユニット25とを結ぶ水路ユニット27は、堰堤21上に水平に設けられた固定水路管28aと、この固定水路管と集魚ユニット25とを結ぶ可動水路管28bとにより構成してある。集魚ユニット25は、可動水路管28bの先端部に接続してある入り口管25aを、両側部に設けられた浮き体25b,25bにより昇り口25cを集魚容易な姿勢を保持するようにしてある。浮き体25bの上には櫓25fを築き、これに集魚手段26を構成するライト26a及びシャワー26bが設けてある。
【0026】
固定水路管28aと可動水路管28bとの間、及びこの可動水路管と集魚ユニット25との間は可撓管を介して接続されている。このため、下流側の潮の干満その他により水位が大きく変化した場合にも、集魚ユニット25を常に水面上に水平に保持可能となっている。この可動水路管28bは、堰堤21上から下流側に張り出すように設けた点検歩廊22にロープ27c,…で吊り下げられている。これは集魚ユニット25が波や風によって漂流しようとするのを抑制するために採用されたものであるが、簡単な構成の採用により設備のコストダウンを実現するものでもある。
【0027】
その他、この形態例では、誘導ユニット29に備え付けられていた畜養水槽30は、堰堤21上に水平に設けてあり、上流端部が堰堤の上部から上流側へ張り出しており、固定水路管28aとの接続部30bは段差状になっている。そして集魚ユニット25から供給された誘導水を、固定水路管28aへ給水する第1注水管32aと、畜養水槽30へ給水する第2注水管32bとを別々に設けてある。まず、第1注水管32aから供給される誘導水は、固定水路管28aの中程に注水されるようにしてあり、ここから斜めに配置されている可動水路管28bに流れ込むようにしてある。第1注水管32aから供給される誘導水は、この注水位置の上流側にも少しは流れるが、これはシラスウナギの遡上を助ける程度の量とすることが望ましい。また、上記の接続部30bでは、ここを通過したシラスウナギは後戻りできないような構造とすれば、全てのシラスウナギが畜養水槽30内に移動可能となる。畜養水槽30には、第2注水管32bからの誘導水が注水されるようにしてあり、その最端部には低い堰を設け、その先端部を誘導部30aとし、シラスウナギがここから槽外に出られるようにしてある。
【0028】
この形態例における可動水路管28bは、堰堤21から下流側に対して直角方向に突出するように設けてあるが、これを図7に示すように、堰堤と平行するように設けるようにしてもよい。これは可動水路管28bも集魚ユニット25もともに堰堤1の近くに位置するので、メンテナンスが容易化する利点がある。
【0029】
(第3実施の形態例)
この形態例は、上述の第2実施の形態例がシステムの設置及び除去が容易となることに主眼が置かれるのに対し、基本構成はほぼ同一としてあるが、設備に恒久性を持たせることに主眼を置いたものである。そこで図面の説明に用いる符号は、第2実施の形態例と同一性を有するものについては、その符号にさらに20を加えた数値を用いることとしてある。図8,9に示すように、水路ユニット47を支持部材47a,47bによって保持してある。すなわち、固定水路管48aは、堰堤41に固定された固定支持部材47aによって支持され、可動水路管48bは、この固定支持部材に支軸47cを介して上下方向に揺動自在に取り付けられた可動支持部材47bにより保持してある。このため、集魚ユニット45が潮位の変化により昇降しても十分に対応可能であることは元より、風浪により押し流されようとしても本来の設置位置に留置可能となっている。
【0030】
また、集魚ユニット45は、入り口管45a、浮き体45b及び集魚手段46とを備えたものであるが、この集魚手段は浮き体により水面上に浮上している筏47d上に設置してある。これとともに、入り口管45aは、この筏47dに取り付けられており、昇り口45cは常に3分の1ほどが水面上に出るように設けてある。筏47d上に設置されている集魚手段46は、ライト46a及びシャワー46bを備えていることについては第1,2実施の形態例と同様である。筏47dは、可動支持部材47bの先端部に、支軸45eを介して可動支持部材47bに揺動自在に支持されている。したがって、筏47dは潮位の変化により昇降運動しても、この可動支持部材47bを介して水平状態を保持した状態で浮上可能となっている。なお、固定水路管48aは、通常のPVC管を採用してあるが、可動水路管48bは可撓管を採用し、潮位の変動により入り口管45aが昇降する際における水平状態を保持可能としてある。可動水路管48bは両端部に可撓管を介して揺動自在としてもよい。その他の構成は、上記第2実施の形態例と同様である。
【0031】
なお、上記3つの形態例における各構成要素の形状や配置はあくまでも例として説明したものであり、実際には河口堰の設置状態や堰堤の構造などにより変化させることが望ましい。また、昇り口や水路管の寸法や阻流物なども実際の状況に応じて対処することが望ましい。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、既存の河口堰等に簡易な設備からなるシラスウナギの遡上用魚道を容易に設けることが可能となるので、河口堰の下流側から上流側へシラスウナギを遡上させることができる。したがってこれまで鮎や鮭などの魚道しか設けられていないためにシラスウナギの遡上が不可能であったが、この魚道システムの設置により河口堰を乗り越え、上流側からさらに遡上して成鰻として上流側で生息可能となるので、貴重な天然鰻の保護に貢献する。また、天然鰻が河川を下って海に還って産卵すれば、スラスウナギの再生産にも寄与するので、シラスウナギの再遡上及び鰻の再生産に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態例の構成を示す説明図である。
【図2】入り口管の設置状態を示す説明図である。
【図3】図2のB−B線断面図である。
【図4】水路管の構成を示す平面図である。
【図5】図4のD−D線断面図である。
【図6】第2実施の形態例の構成を示す説明図である。
【図7】第2実施の形態例の他の構成を示す説明図である。
【図8】第3実施の形態例の構成を示す説明図である。
【図9】第3実施の形態例の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1,21,41 河口堰(堰堤)
3,23,43 給水ユニット
4,24,44 誘導水供給手段(給水手段)
5,25,45 集魚ユニット
5a,25a,45a 入り口管
5b,25b,45b 浮き体
5c,25c,45c 昇り口
6,26,46 集魚手段
7,27,47 水路ユニット
8,28,48 水路管
9,29,49 誘導ユニット
12a,32a,52a 第1注水管
12b,32b,52b 第2注水管
28a,48a 固定水路管
28b,48b 可動水路管
47a,47b 支持部材

Claims (5)

  1. 誘導水供給ユニットと、水路ユニットと、集魚ユニットと、誘導ユニットとを備え、
    上記誘導水供給ユニットは、河口堰等の堰堤上に設けてある誘導水タンクと、この誘導水タンクに誘導水を供給する誘導水供給手段とを備えており、
    上記水路ユニットは、上記誘導水供給ユニットから供給された誘導水を上記堰堤の下流側に流下可能な水路管を備えており、
    上記集魚ユニットは、上記水路管の下流端部に接続してある入り口管と、この入り口管の開口部である昇り口を部分的に水面上に浮上させる浮き体と、上記昇り口の周辺に上記シラスウナギを集める集魚手段とを備えており、
    上記誘導ユニットは、上記水路ユニットを遡上した上記シラスウナギを上流端部から上記堰堤の上流側に誘導可能に設けてあり、
    上記集魚ユニット周辺に集魚した上記シラスウナギは、上記昇り口から上記入り口管に入り、上記水路管を通って上記誘導ユニットまで遡上し、この誘導ユニットの上流側端部を乗り越えて上記河口堰の上流側へ移動可能としてある
    ことを特徴とするシラスウナギ用魚道システム。
  2. 請求項1において、上記誘導ユニットは、上記誘導水供給ユニットに接続してある第1注水管から供給された上記誘導水の水量の一部を上記誘導ユニットの上流側端部から上記堰堤の上流側に流下させ、残量は上記堰堤の下流側に流下可能に設けてあるとともに、上記誘導水供給ユニットに接続してある第2注水管から供給された上記誘導水を上記上流側端部の外側に流下可能としてあることを特徴とするシラスウナギ用魚道システム。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかにおいて、上記水路管は上記堰堤に固定してある固定水路管と、この固定水路管に接続してあるとともに、上記集魚ユニットの昇降に対応して揺動するように設けてある可動水路管とにより構成してあることを特徴とするシラスウナギ用魚道システム。
  4. 請求項3において、上記水路管は上記堰堤上に固定された支持部材によって保持可能に設けてあることを特徴とするシラスウナギ用魚道システム。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、上記水路管にはシラスウナギの遡上を容易にする阻流物が設けてあることを特徴とするシラスウナギ用魚道システム。
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