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JP3748189B2 - スナバ回路 - Google Patents

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JP3748189B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力変換器のスナバ回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図32は、例えば「スイッチングコンバータの基礎」(1992年2月25日発行、コロナ社、原田、二宮、顧著)の104頁に示された従来のRCDスナバ回路付きのフォワード形DC/DCコンバータを示す回路図である。図32において、1は直流電源、2はトランスであり、2aは第1の巻線、2bは第2の巻線、2cはリセット巻線、3はスイッチング素子、4は整流用ダイオード、5は電流の環流手段としての環流用ダイオード、6はチョークコイル、7は平滑コンデンサであり、チョークコイル6と平滑コンデンサ7とで出力LCフィルタを構成している。8はトランスのリセット用のダイオードであり、9はスナバ用ダイオード、10はスナバ用コンデンサ、11はスナバ用の放電抵抗である。スナバ用ダイオード9とスナバ用コンデンサ10、およびスナバ用放電抵抗11でRCDスナバ回路12を構成している。
【0003】
次に動作について説明する。RCDスナバ回路12はスイッチング素子3をターンオフすると、スナバ用ダイオード9が導通状態となり、配線の寄生インダクタンスやトランスの漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーをスナバ用コンデンサ10に充電し、スイッチング素子3に発生するスパイク電圧を抑制する。スイッチング素子3の電圧がスナバ用コンデンサ10の電圧より低くなると、スナバ用コンデンサ10に充電されたエネルギー、即ちスナバエネルギーがスナバ用放電抵抗11により放電される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成では、トランスの漏れインダクタンスや配線の寄生インダクタンスに蓄積されたエネルギーをスナバ用コンデンサ10に充電した後、スナバ用放電抵抗11により消費することになるため、損失が大きくなり、効率が低下し、発熱が増加する問題があった。
【0005】
また、スイッチング素子3のターンオフ時の電圧上昇率を抑制することによりスイッチング損失や発生ノイズを低減するためには、スナバ用コンデンサ10の容量値を大きくする必要があるが、容量値を大きくすればするほどますますRCDスナバ回路12での損失が大きくなり、効率低下、発熱増加を招くという問題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、その目的は、抵抗を使わないLCスナバによる損失の低減が可能な電力変換器のスナバ回路を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るスナバ回路は、直流電源と、低電位側端子が上記直流電源の低電位側端子に接続された第1のスイッチング手段とを備えた電力変換手段のスナバ回路において、
アノード端子が上記第1のスイッチング素子の高電位側端子に接続された第1のダイオードと、一方の端子が上記第1のダイオードのカソード端子に接続され他方の端子が上記第1のスイッチング手段の低電位側端子に接続された第1のコンデンサと、上記第1のダイオードおよび第1のコンデンサの接続点と上記直流電源の高電位側端子との間に接続された、誘導性素子と第2のスイッチング手段との直列接続体とを備え、
上記第1のスイッチング手段のターンオン直前の上記第1のコンデンサの電圧を直流電源の電圧の2倍以下とし、
上記第1のスイッチング手段のオン期間内で上記第2のスイッチング手段をオンすることにより、上記第1のスイッチング手段のオフ期間に上記第1のコンデンサに充電された電荷を、上記第1のコンデンサと誘導性素子との共振現象を利用して上記直流電源に回生するようにしたものである。
【0008】
この発明に係るスナバ回路は、第1のスイッチング手段の高電位側端子と直流電源の高電位側端子との間に電力変換手段のトランスの巻線が挿入されたものである。
【0009】
この発明に係るスナバ回路は、直流電源と、高電位側端子が上記直流電源の高電位側端子に接続された第1のスイッチング手段とを備えた電力変換手段のスナバ回路において、
カソード端子が上記第1のスイッチング素子の低電位側端子に接続された第1のダイオードと、一方の端子が上記第1のダイオードのアノード端子に接続され他方の端子が上記第1のスイッチング手段の高電位側端子に接続された第1のコンデンサと、上記第1のダイオードおよび第1のコンデンサの接続点と上記直流電源の低電位側端子との間に接続された、誘導性素子と第2のスイッチング手段との直列接続体とを備え、
上記第1のスイッチング手段のターンオン直前の上記第1のコンデンサの電圧を直流電源の電圧の2倍以下とし、
上記第1のスイッチング手段のオン期間内で上記第2のスイッチング手段をオンすることにより、上記第1のスイッチング手段のオフ期間に上記第1のコンデンサに充電された電荷を、上記第1のコンデンサと誘導性素子との共振現象を利用して上記直流電源に回生するようにしたものである。
【0010】
この発明に係るスナバ回路は、第1のスイッチング手段の低電位側端子と直流電源の低電位側端子との間に電力変換手段のトランスの巻線が挿入されたものである。
【0011】
この発明に係るスナバ回路は、第1のスイッチング手段のオン期間内において第2のスイッチング手段をオン状態にし、かつ、上記第2のスイッチング手段のオン時間を第1のコンデンサと誘導性素子とで決まる共振周期の1/2以上としたものである。
【0012】
この発明に係るスナバ回路は、第2のスイッチング手段の電流を検出し、オン状態から上記電流が零になった後上記第2のスイッチング手段をオフ状態にするようにしたものである。
【0013】
この発明に係るスナバ回路は、第2のスイッチング手段を極性を有するものとし、オン状態から電流が零になると自動的にオフするようにしたものである。
【0014】
この発明に係るスナバ回路は、第1のスイッチング手段のオン、オフ動作と、第2のスイッチング手段のオン、オフ動作をそれぞれ同期させるものである。
【0015】
この発明に係るスナバ回路は、第2のスイッチング手段は、電界効果型トランジスタと逆流防止用のダイオードとの直列接続体であるものである。
【0016】
この発明に係るスナバ回路は、第2のスイッチング手段がターンオンしたときに誘導性素子にかかる電圧値VLを、上記誘導性素子のインダクタンス値Lを第1のコンデンサの容量値Cで割った値の平方根で表される特性インピーダンスで割って得られる電流値(VL/√(L/C))において、上記誘導性素子が磁気飽和を起こさないようにしたものである。
【0017】
この発明に係るスナバ回路は、第2のスイッチング手段がターンオンしたときに誘導性素子にかかる電圧値VLを、上記誘導性素子のインダクタンス値Lを第1のコンデンサの容量値Cで割った値の平方根で表される特性インピーダンスで割って得られる電流値(VL/√(L/C))が、上記第2のスイッチング手段の許容可能な繰り返しピーク電流値以下となるようにしたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施例を図について説明する。図1はこの発明の実施の形態1によるスナバ回路を示す構成図である。従来の図32で説明したものと同様、例えばフォワード形DC/DCコンバータ等の電力変換器に適用されるもので、1はその直流電源、また1’は直流電源と同様に機能する第2のコンデンサである。3は上記コンバータの主回路要素である、例えば、トランジスタやIGBT等の第1のスイッチング手段である。13は第1のダイオード、14は第1のコンデンサであり、これらは直列接続されており、第1のスイッチング手段3と並列に接続されている。15は誘導性素子としてのリアクトル、16は補助スイッチング手段である第2のスイッチング手段でありこれらは直列接続され、その一端は第1のダイオード13と第1のコンデンサ14との接続点に接続されている。また、その他端側は直流電源1の高電位側端子、または平滑コンデンサなどの第2のコンデンサ1’の高電位側端子に接続されている。直流電源1の低電位側端子、または第2のコンデンサ1’の低電位側端子は第1のスイッチング手段3の低電位側端子に接続されており、第1のスイッチング手段3の高電位側端子には第1のダイオード13のアノード端子が接続されている。また、第1のスイッチング手段3と逆並列に第2のダイオード17が接続され、スナバ回路18が構成されている。
【0019】
なお、図1で直流電源1と別に第2のコンデンサ1’を表示しているのは、以下に詳述するように、本願発明になるスナバ回路18において、第1のスイッチング手段3のオフ期間中に第1のコンデンサ14に蓄積された電荷を回生する回生先が、図1の直流電源1に限られるものではないことを意味している。即ち、第1のスイッチング手段3を備えて動作する電力変換器が、入力側直流電源(第1の直流電源)からの電力を変換して出力側トランス(第2の直流電源)に出力する場合、上記した回生は、上記いずれかの直流電源また、その双方に行うことができる。
但し、この回生先の具体的な変形例については、後段の実施の形態15以降で説明し、それに至る形態例では、回生先としては、第2のコンデンサ1’を直流電源1とほぼ同様の扱いにして説明するものとする。
【0020】
次に動作について説明する。図2は本発明のスナバ回路動作の一実施例を示す動作波形図である。図中の図(a)は第1のスイッチング手段3の駆動波形、図(b)は第2のスイッチング手段16の駆動波形、図(c)は第1のコンデンサ14の電圧波形Vc、図(d)はリアクトル15または第2のスイッチング手段16に流れる電流iLの波形、図(e)は第2のダイオード17に流れる電流iDの波形、図(f)はリアクトル15の電圧VLの波形である。
【0021】
電力変換器の第1のスイッチング手段3がターンオフすると、電力変換器の配線の寄生インダクタンス等に蓄積されていたエネルギーが第1のダイオード13を介して、第1のコンデンサ14に充電され、第1のスイッチング手段3にかかる電圧を緩やかに上昇させて、ターンオフ時のスパイク電圧を吸収する。また、ターンオフ時の第1のスイッチング手段3の電圧・電流の重なりが少なくなってスイッチング損失が低減され、スイッチングノイズも低減される。第1のコンデンサ14に充電されたエネルギーは第1のスイッチング手段3のオフ期間中保持される。
【0022】
図2(a)(b)に示すように第1のスイッチング手段3がターンオンしたと同時に、第2のスイッチング手段16をターンオンすると、第1のコンデンサ14に蓄積され保持されていたエネルギーが図2(c)のように放電を開始する。この放電は第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振により行なわれ、リアクトル15や第2のスイッチング手段16に流れる電流波形は図2(d)のように正弦波状となる。第1のコンデンサ14に蓄積されていたスナバエネルギーは第1のコンデンサ14→リアクトル15→第2のスイッチング手段16→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第1のコンデンサ14の経路で直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生される。
【0023】
図2(c)に示すように第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になると、第2のダイオード17がオン状態になり、リアクトル15に残っているエネルギーをリアクトル15→第2のスイッチング手段16→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第2のダイオード17→第1のダイオード13→リアクトル15の経路で直流電源1または第2のコンデンサ1’に引き続き回生する。図2(c)および図2(d)に示すようにリアクトル15または第2のスイッチング手段16に流れる電流iLが零になった後に、第2のスイッチング手段16をオフする。
【0024】
以上のように電力変換器の配線の寄生インダクタンス等に蓄積されたエネルギーを第1のコンデンサ14に充電し、そのエネルギーを直流電源1や第2のコンデンサ1’に回生するので、損失にはならず、効率の低下を防ぎ、発熱を防止する。また、第1のコンデンサ14により第1のスイッチング手段3にかかる電圧が緩やかに変化し、ターンオフ時のスパイク電圧が吸収され、ターンオフ時の第1のスイッチング手段の電圧・電流の重なりが少なくなってスイッチング損失が低減され、スイッチングノイズも低減される。
【0025】
更に、上記第2のスイッチング手段16がターンオンした時に上記リアクトル15にかかる電圧値VLを、上記リアクトル15のインダクタンス値Lを上記第1のコンデンサ14の容量値Cで割った値の平方根√(L/C)で表わされる特性インピーダンスで割った値VL/√(L/C)とほぼ等価な電流値において、上記リアクトル15が磁気飽和を起こさないようにすることにより、過大な電流による第2のスイッチング素子16の破壊を防止し、効率良く第1のコンデンサ14に蓄積されたエネルギーを直流電源1や第2のコンデンサ1’に回生できる効果がある。
【0026】
また更に、上記第2のスイッチング手段16がターンオンした時に上記リアクトル15にかかる電圧値VLを、上記リアクトル15のインダクタンス値Lを上記第1のコンデンサ14の容量値Cで割った値の平方根√(L/C)で表わされる特性インピーダンスで割った値VL/√(L/C)とほぼ等価な電流値が、上記第2のスイッチング手段16の許容可能な繰り返しピーク電流値以下にすることにより、第2のスイッチング素子16の破壊を防止できる効果がある。
【0027】
なお、リアクトル15と第2のスイッチング手段16との接続関係は逆であっても良い。また、第2のスイッチング手段16のターンオンは、第1のスイッチング手段3のターンオンと同時でなくても第1のスイッチング手段3のターンオン後であれば同様の動作、効果を得ることができる。
【0028】
また、上記の説明では、第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になった後の、リアクトル15に残っているエネルギーの回生は、第2のダイオード17を経由して行うとしているが、次の条件が成立する場合は、第2のダイオード17を省略しても上記リアクトル15の残留エネルギーの回生が可能となる。即ち、第1のスイッチング手段3がそのオンの期間に流れる電流の絶対値が、上記したリアクトル15の残留エネルギーの回生時に流れる電流の絶対値より大きければ、第2のダイオード17がなくても、リアクトル15→第2のスイッチング手段16→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第1のスイッチング手段3→第1のダイオード13→リアクトル15の経路が成立して回生動作が可能となるからである。
【0029】
実施の形態2.
上記実施の形態1ではリアクトル15または第2のスイッチング手段16に流れる電流iLが零になったのを検出し、その後に第2のスイッチング手段16をオフするものについて示したが、電流検出手段を用いずに第1のスイッチング手段3の最小オン時間以内で、第2のスイッチング手段16のオン時間を第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期のほぼ半分以上の時間にあらかじめ設定しておいても良く、上記実施の形態1と同様の効果を奏すると共に、電流検出手段が不要になり低コスト化できる効果がある。
【0030】
図3はこの発明の実施の形態2によるスナバ回路動作を示す動作波形図である。図中の図(a)〜(e)は上記図2と同一部分の波形である。この図を用いて動作を説明する。
【0031】
上記図1の第1のスイッチング手段3のオフ期間の動作は上記実施の形態1と全く同様であり、説明は省略する。第1のスイッチング手段3がターンオンした後、あらかじめ設定された時刻Td後に図3(b)のように第2のスイッチング手段16をターンオンする。第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期のほぼ半分の時間が、第1のスイッチング手段3の最小オン時間Ton1以内になるように、あらかじめ第1のコンデンサ14の容量値Cとリアクトル15のインダクタンス値Lとを設定しておき、第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期のほぼ半分の時間以上に第2のスイッチング手段16のオン時間Ton2を設定しておく。第2のスイッチング手段16がターンオンすると、第1のコンデンサ14に蓄積され保持されていたエネルギーが図3(c)のように放電を開始する。この放電は第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振により行なわれ、リアクトル15や第2のスイッチング手段16に流れる電流波形は図3(d)のように正弦波状となる。第1のコンデンサ14に蓄積されていたスナバエネルギーは第1のコンデンサ14→リアクトル15→第2のスイッチング手段16→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第1のコンデンサ14の経路で直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生される。
【0032】
図3(c)に示すように第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になると、第2のダイオード17がオン状態になり、リアクトル15の残りのエネルギーをリアクトル15→第2のスイッチング手段16→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第2のダイオード17→第1のダイオード13→リアクトル15の経路で直流電源1または第2のコンデンサ1’に引き続き回生する。第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期のほぼ半分以上の時間が経過すると、図3(d)に示すようにリアクトル15または第2のスイッチング手段16に流れる電流iLが零になっており、あらかじめ設定された第2のスイッチング手段16のオン時間Ton2で第2のスイッチング手段16をオフする。この動作により、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0033】
第1のスイッチング手段3と第2のスイッチング手段16とは、ハードウエアとしては一般に、異なったものとなり、通常、前者の容量は後者のそれより大きくなる。従って図示しない制御系から両スイッチング手段3,16に対し、同時にターンオンの信号を送出すると、両者のハードウエアの相違に基づくターンオン動作特性の差から第2のスイッチング手段16が第1のスイッチング手段3より先にターンオンする可能性が否定できない。この場合には、第2のスイッチング手段16のターンオンにより、電力変換器の主回路動作への影響が発生しうる。
ところが、図3(b)に示すように、第2のスイッチング手段16のターンオンのタイミングを、第1のスイッチング手段3のそれより時間Tdだけ遅らせるよう設定し、このTdの値を両者の特性を考慮して適当に選定すれば、第2のスイッチング手段16のターンオンのタイミングが第1のスイッチング手段3のそれより必ず遅くなり、上述した不具合の懸念が解消される訳である。
【0034】
なお、上記実施の形態2では第1のスイッチング手段3がターンオンした後、あらかじめ設定された時刻Td後に第2のスイッチング手段16をターンオンするものについて示したが、上記実施例1と同様に、第1のスイッチング手段3がターンオンと同時に第2のスイッチング手段16をターンオンしても同様の効果が得られる。
【0035】
実施の形態3.
上記実施の形態2では第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期のほぼ半分の時間以上に第2のスイッチング手段16のオン時間Ton2をあらかじめ設定しておくものについて示したが、共振周期のほぼ半分の時間以上であれば良いので、第1のスイッチング手段3のターンオフに同期して第2のスイッチング手段16をターンオフするものであっても良く、上記実施の形態2と同様の効果を奏する。
【0036】
図4はこの発明の実施の形態3によるスナバ回路動作を示す動作波形図である。図中の図(a)〜(e)は上記図2および図3と同一部分の波形である。この図を用いて動作について説明する。
【0037】
第1のスイッチング手段3のオフ期間の動作は上記実施の形態1および実施の形態2と全く同様であり、説明は省略する。上記図1の第1のスイッチング手段3がターンオンした後、あらかじめ設定された時刻Td後に図4(b)のように第2のスイッチング手段16をターンオンする。第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期のほぼ半分の時間が、第1のスイッチング手段3の最小オン時間Ton1以内になるように、あらかじめ第1のコンデンサ14の容量値Cとリアクトル15のインダクタンス値Lを設定しておく。第1のスイッチング手段3の最小オン時間Ton1と第1のスイッチング手段3のターンオンから第2のスイッチング手段16をターンオンするまでの遅延時間Tdの差の時間Ton2が、第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期のほぼ半分の時間以上になるようにあらかじめ遅延時間Tdを設定しておく。エネルギーの回生動作は上記実施の形態2と同様の動作をするので詳細説明は省略するが、第2のスイッチング手段16のターンオン後、第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期のほぼ半分以上の時間が経過すると、図4(d)に示すようにリアクトル15または第2のスイッチング手段16に流れる電流iLが零になっており、第1のスイッチング手段3のターンオフに同期して第2のスイッチング手段16をターンオフしても、上記実施の形態1あるいは実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0038】
実施の形態4.
上記実施の形態2と実施の形態3では、第1のスイッチング手段3のターンオンから遅延時間Tdを設けて第2のスイッチング手段16をターンオンするものについて示したが、第2のスイッチング手段16のオン時間Ton2は第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期のほぼ半分の時間以上であれば良いので、第1のスイッチング手段3のオン、オフ動作に同期して第2のスイッチング手段16をオン、オフ動作させるものであっても良く、上記実施の形態2、実施の形態3と同様の効果を奏すると共に、第1のコンデンサ14の容量値Cとリアクトル15のインダクタンス値Lをより広い範囲で選定できる効果がある。
【0039】
図5はこの発明の実施の形態4によるスナバ回路動作を示す動作波形図である。図中の図(a)〜(e)は上記図2〜図4と同一部分の波形である。この図を用いて動作について説明する。
【0040】
第1のスイッチング手段3のオフ期間の動作は上記実施の形態1〜3と全く同様であり、説明は省略する。上記図1の第1のスイッチング手段3のターンオンに同期して、図5(b)のように第2のスイッチング手段16をターンオンする。第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期のほぼ半分の時間が、第1のスイッチング手段3の最小オン時間Ton1以内になるように、あらかじめ第1のコンデンサ14の容量値Cとリアクトル15のインダクタンス値Lとを設定しておく。エネルギーの回生動作は上記実施の形態2、実施の形態3と同様の動作をするので詳細説明は省略するが、第2のスイッチング手段16のターンオン後、第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期のほぼ半分以上の時間が経過すると、図5(c)に示すように第1のコンデンサ14の電圧Vcは零になっており、また図5(d)に示すようにリアクトル15または第2のスイッチング手段16に流れる電流iLが零になっているので、第1のスイッチング手段3のターンオフに同期して第2のスイッチング手段16をターンオフすることができる。これにより容易に上記実施の形態2、実施の形態3と同様の効果を得ることができると共に、第2のスイッチング手段16のオン時間Ton2が許容可能な最大時間にしたので、第1のコンデンサ14の容量値Cとリアクトル15のインダクタンス値Lをより広い範囲で選定できる効果が得られる。
【0041】
なお、第2のスイッチング手段16のターンオフのタイミングについては、第2のスイッチング手段16自体を極性を有するものとし、第1のスイッチング手段3のターンオフのタイミングと関連させることなく、第2のスイッチング手段16の電流が零となったタイミングでオフさせるようにしてもよいことは勿論である。
【0042】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では第1のスイッチング手段3の低電位側端子が直流電源1の低電位側端子、または第2のコンデンサ1’の低電位側端子に接続されたものについて示したが、第1のスイッチング手段3の高電位側端子が直流電源1の高電位側端子、または第2のコンデンサ1’の高電位側端子に接続されたものでも良く、上記実施の形態1〜4と同様の効果を奏する。
【0043】
図6はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、13〜17は上記図1に示した実施の形態1の構成要素と同等のものである。14は第1のコンデンサ、13は第1のダイオードであり、これらは直列接続されており、第1のスイッチング手段3と並列に接続されている。15はリアクトル、16は補助スイッチング手段である第2のスイッチング手段でありこれらは直列接続され、その一端は第1のコンデンサ14と第1のダイオード13との接続点に接続されている。また、その他端側は直流電源1の低電位側端子、または平滑コンデンサなどの第2のコンデンサ1’の低電位側端子に接続されている。直流電源1の高電位側端子、または第2のコンデンサ1’の高電位側端子は第1のスイッチング手段3の高電位側端子に接続されており、第1のスイッチング手段3の低電位側端子には第1のダイオード13のカソード端子が接続されている。また、第1のスイッチング手段3と逆並列に第2のダイオード17が接続され、スナバ回路19が構成されている。なお、リアクトル15と第2のスイッチング手段16の接続関係は逆であっても良い。
【0044】
次に動作について説明する。基本的な動作は、上記実施の形態1〜4とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、第2のスイッチング手段16をターンオンした時の第1のコンデンサ14に蓄積され保持されていたエネルギーの放電経路であり、第1のコンデンサ14→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第2のスイッチング手段16→リアクトル15→第1のコンデンサ14の経路で直流電源1または第2のコンデンサ1’にスナバエネルギーが回生される。
【0045】
また、第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になった後の電流経路は、リアクトル15→第1のダイオード13→第2のダイオード17→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第2のスイッチング手段16→リアクトル15の上記実施の形態1〜4と逆向きの経路で直流電源1または第2のコンデンサ1’に引き続き回生する。
【0046】
なお、第1のスイッチング手段3のオン期間における通電状態の条件によっては、第2のダイオード17を省略し得ることは実施の形態1で説明したと同様である。
【0047】
実施の形態6.
上記実施の形態1〜4では第1のスイッチング手段3と逆並列に第2のダイオード17が接続されたものについて示したが、第2のダイオードが第1のコンデンサ14と並列に接続されたものでも良く、上記実施の形態1〜4と同様の効果を奏すると共に、第1のコンデンサ14の電圧が零になった後の電流経路に第1のダイオード13が含まれず、回生時に第1のダイオード13の導通損失分のエネルギー損失が発生せず、その分、有効に直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生できる効果がある。
【0048】
図7はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、13〜16は上記図1に示した実施の形態1の構成要素と同等のものである。異なる点は、第1のスイッチング手段3と逆並列に接続された第2のダイオード17の代わりに、第1のコンデンサ14と並列に第2のダイオード20が接続され、スナバ回路21が構成されているところである。
【0049】
次に動作について説明する。基本的な動作は、上記実施の形態1〜4とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になった後の電流経路であり、リアクトル15→第2のスイッチング手段16→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第2のダイオード20→リアクトル15の経路で第1のダイオード13を通らずに直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生するところであり、第1のダイオード13の導通損失分のエネルギーを有効に直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生できる。
【0050】
実施の形態7.
上記実施の形態5では第1のスイッチング手段3と逆並列に第2のダイオード17が接続されたものについて示したが、上記実施の形態6と同様に第2のダイオード20が第1のコンデンサ14と並列に接続されたものでも良く、上記実施の形態6と同様の効果を奏する。
【0051】
図8はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、13〜16は上記図6に示した実施の形態5の構成要素と同等のものである。異なる点は、第1のスイッチング手段3と逆並列に接続された第2のダイオード17の代わりに、第1のコンデンサ14と並列に第2のダイオード20が接続され、スナバ回路22が構成されているところである。
【0052】
次に動作について説明する。基本的な動作は、上記実施の形態5とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になった後の電流経路であり、リアクトル15→第2のダイオード20→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第2のスイッチング手段16→リアクトル15の経路で第1のダイオード13を通らずに直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生するところであり、第1のダイオード13の導通損失分のエネルギーを有効に直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生できる。
【0053】
実施の形態8.
ところで、第1のスイッチング手段3のターンオン直前の第1のコンデンサ14の電圧は、回路の寄生インダクタンスや漏れインダクタンスの大きさや流れる電流により決まる。従って、回路の構成や電力変換器としての定格が決まれば上記した第1のコンデンサ14の電圧はほぼ決定される。
既述した実施の形態1〜7では、第1のスイッチング手段3のターンオン直前の第1のコンデンサ14の電圧は、直流電源1の電圧Eの2倍以上であり、原理上、第2のスイッチング手段16のターンオンで減少し始める第1のコンデンサ14の電圧Vcが零までになるケースについて説明したが、第1のスイッチング手段3のターンオン直前の第1のコンデンサ14の電圧が直流電源1の電圧または第2のコンデンサ1’の電圧の2倍未満である場合には、第1のコンデンサ14の電圧が零にならず、第2のダイオード17および20の無いスナバ回路であっても良く、上記実施の形態1〜7と同様の効果を奏すると共に、部品点数を低減でき低コスト化できる効果がある。
【0054】
図9はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、13〜16は上記図1あるいは図7に示した構成要素と同等のものである。異なる点は、第2のダイオード17または20を使用せずにスナバ回路23が構成されているところである。
【0055】
図10はこの発明の実施の形態8によるスナバ回路動作の一例を示す動作波形図である。図中の図(a)〜(d)は上記図2〜図5と同一部分の波形である。この図を用いて動作を説明する。基本的な動作は、上記実施の形態1〜4や実施の形態6とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、第1のスイッチング手段3のターンオン直前の第1のコンデンサ14の電圧が直流電源1の電圧または第2のコンデンサ1’の電圧の2倍未満である場合には、図10(c)に示すように第1のコンデンサ14の電圧Vcが零にならずに、図10(d)に示すようにリアクトル15の電流が零となってスナバエネルギーの回生が終了するところである。なお、第1のスイッチング手段3のターンオン直前の第1のコンデンサ14の電圧が直流電源1の電圧または第2のコンデンサ1’の電圧のちょうど2倍の場合に、抵抗成分を無視するとリアクトル15の電流が零となると同時に、第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になるため、少なくとも2倍以下迄は第2のダイオード17または20を不要にできる。
【0056】
なお、図10(c)で第1のコンデンサ14の電圧Vcが零にならず残留した電荷量は、直流電源1への回生の対象外となる。
【0057】
実施の形態9.
上記実施の形態8では第1のスイッチング手段3の低電位側端子が直流電源1の低電位側端子、または第2のコンデンサ1’の低電位側端子に接続されたものについて示したが、第1のスイッチング手段3の高電位側端子が直流電源1の高電位側端子、または第2のコンデンサ1’の高電位側端子に接続されたものでも良く、上記実施の形態8と同様の効果を奏する。
【0058】
図11はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、13〜16は上記図6あるいは図8に示した構成要素と同等のものである。異なる点は、第2のダイオード17または20を使用せずにスナバ回路24が構成されているところである。
【0059】
基本的な動作は、上記実施の形態5や実施の形態7とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、上記実施の形態8と同様に第1のスイッチング手段3のターンオン直前の第1のコンデンサ14の電圧が直流電源1の電圧または第2のコンデンサ1’の電圧の2倍未満である場合には、上記図10(c)に示すように第1のコンデンサ14の電圧Vcが零にならずに、上記図10(d)に示すようにリアクトル15の電流が零となってスナバエネルギーの回生が終了するところである。なお、第1のスイッチング手段3のターンオン直前の第1のコンデンサ14の電圧が直流電源1の電圧または第2のコンデンサ1’の電圧のちょうど2倍の場合に、抵抗成分を無視するとリアクトル15の電流が零となると同時に、第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になるため、少なくとも2倍以下迄は第2のダイオード17または20を不要にできる。
【0060】
実施の形態10.
ところで、第1のスイッチング手段3の最小オン時間が例えば電力変換器の無負荷時や軽負荷時等で非常に短い時間になる場合があるが、一方において第1のスイッチング手段3のターンオフ時のスパイク電圧の抑制、スイッチングノイズの低減、スイッチング損失の低減をするために第1のコンデンサ14の容量値をある程度大きくする必要から、第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期の半分の時間が第1のスイッチング手段3の最小オン時間より長くなってしまう場合が起こりうる。この場合、リアクトル15に電流が流れている状態、即ちエネルギーが残っている状態で第2のスイッチング手段16をオフすることになり、第2のスイッチング手段16にはそのターンオフ時に過大なスパイク電圧が発生し、ノイズの増加、効率の低下、あるいは発熱を引き起こす問題があり、第2のスイッチング手段16が破壊に到る場合もあると言った問題もある。
【0061】
この実施の形態10はこの問題を解消するために検討されたもので、第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になった後、第2のスイッチング手段16を経由することなくリアクトル15のエネルギーを直流電源1に回生することを可能とするものである。
【0062】
図12はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、13〜16は上記図7に示した構成要素と同等のものである。電力変換器の第1のスイッチング手段3と並列に、直列接続した第1のダイオード13と第1のコンデンサ14とを接続し、第1のダイオード13と第1のコンデンサ14との接続点に第2のスイッチング手段16、リアクトル15を順に直列に接続し、リアクトル15の他端側を直流電源1の高電位側端子、または第2のコンデンサ1’の高電位側端子に接続し、また直流電源1の低電位側端子、または上記第2のコンデンサ1’の低電位側端子は第1のスイッチング手段3の低電位側端子に接続した回路であり、第2のスイッチング手段16とリアクトル15との接続点と直流電源1の低電位側端子、または第2のコンデンサ1’の低電位側端子との間に第2のダイオード25を接続してスナバ回路26が構成されている。
【0063】
基本的な動作は、上記実施の形態6とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になった後の電流経路が、リアクトル15→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第2のダイオード25→リアクトル15の経路となり第2のスイッチング手段16を通らずに、第2のスイッチング手段16の導通損失分のエネルギーを有効に直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生できるところである。
【0064】
以上のように、第2のスイッチング手段16をオフした後の電流経路が、リアクトル15→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第2のダイオード25→リアクトル15の経路となるようにすることにより、リアクトル15に残ったエネルギーが上記経路で直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生できる効果があり、第2のスイッチング手段16にはターンオフ時のスパイク電圧の防止、ノイズ発生の防止、効率低下の防止、あるいは発熱防止、第2のスイッチング手段16の破壊防止の効果がある。この場合、第2のスイッチング手段16のオン時間は第1のスイッチング手段3のオン時間以内にする。
【0065】
また、第1のスイッチング手段3の最小オン時間が、第1のコンデンサ14と誘導性素子15との共振周期の半分の時間より短い場合においては、第2のスイッチング手段16をオフした後の電流経路が、リアクトル15→直流電源1または第2のコンデンサ1’→第2のダイオード25→リアクトル15の経路となり、リアクトル15に残ったエネルギーが直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生できる。
【0066】
また、第1のスイッチング手段3の最小オン時間が、第1のコンデンサ14と誘導性素子15との共振周期の半分の時間より短い場合においては、第1のスイッチング手段3のオン、オフ動作に、第2のスイッチング手段16のオン、オフを同期させることにより、第2のスイッチング手段16のオン時間が第1のスイッチング手段3のオン時間と同一の、許容できる最大オン時間にできるため、第1のコンデンサ14に蓄積したエネルギーを最大限、直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生でき、第1のコンデンサ14の残留電荷を最小にすることができる。
【0067】
実施の形態11.
上記実施の形態10では第1のスイッチング手段3の低電位側端子が直流電源1の低電位側端子、または第2のコンデンサ1’の低電位側端子に接続されたものについて示したが、第1のスイッチング手段3の高電位側端子が直流電源1の高電位側端子、または第2のコンデンサ1’の高電位側端子に接続されたものでも良く、上記実施の形態10と同様の効果を奏する。
【0068】
図13はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、13〜16は上記図8に示した構成要素と同等のものである。電力変換器の第1のスイッチング手段3と並列に、直列接続した第1のコンデンサ14と第1のダイオード13とを接続し、第1のコンデンサ14と第1のダイオード13との接続点に第2のスイッチング手段16、リアクトル15を順に直列に接続し、リアクトル15の他端側を直流電源1の低電位側端子、または第2のコンデンサ1’の低電位側端子に接続し、また直流電源1の高電位側端子、または上記第2のコンデンサ1’の高電位側端子は第1のスイッチング手段3の高電位側端子に接続した回路であり、第2のスイッチング手段16とリアクトル15との接続点と直流電源1の高電位側端子、または第2のコンデンサ1’の高電位側端子との間に第2のダイオード25を接続してスナバ回路27が構成されている。
【0069】
基本的な動作は、上記実施の形態7とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になった後の電流経路が、リアクトル15→第2のダイオード25→直流電源1または第2のコンデンサ1’→リアクトル15の経路となり第2のスイッチング手段16を通らずに、第2のスイッチング手段16の導通損失分のエネルギーを有効に直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生できるところである。
【0070】
また、第1のスイッチング手段3の最小オン時間が、第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期の半分の時間より短い場合においては、第2のスイッチング手段16をオフした後の電流経路が、リアクトル15→第2のダイオード25→直流電源1または第2のコンデンサ1’→リアクトル15の経路となり、リアクトル15に残ったエネルギーが直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生できる。
【0071】
また、上記実施の形態10と同様に、第1のスイッチング手段3の最小オン時間が、第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期の半分の時間より短い場合においては、第1のスイッチング手段3のオン、オフ動作に、第2のスイッチング手段16のオン、オフを同期させることにより、第2のスイッチング手段16のオン時間が許容できる最大オン時間にできるため、第1のコンデンサ14に蓄積したエネルギーを最大限、直流電源1または第2のコンデンサ1’に回生でき、第1のコンデンサ14の残留電荷を最小にすることができる。
【0072】
実施の形態12.
上記実施の形態1〜11では配線の寄生インダクタンスに蓄積されたエネルギーを第1にコンデンサ14に吸収し、直流電源1、または第2のコンデンサ1’に回生するものについて示したが、配線の寄生インダクタンスに蓄積されたエネルギーだけでなく、トランスの漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーも第1のコンデンサ14に吸収し、直流電源1、または第2のコンデンサ1’に回生するものであっても良く、上記実施の形態1〜11と同様の効果を奏すると共に、トランスの漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーも直流電源1、または第2のコンデンサ1’に回生するので、損失にはならず、効率の低下を防ぎ、発熱を防止する。また、第1のコンデンサ14により第1のスイッチング手段3にかかる電圧が緩やかに変化し、ターンオフ時のスパイク電圧が吸収され、ターンオフ時の第1のスイッチング手段の電圧・電流の重なりが少なくなってスイッチング損失が低減され、スイッチングノイズも低減される。
【0073】
図14はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、1〜3は上記従来例の図32に示した構成要素と同等のものであり、13〜18は上記図1に示した構成要素と同等のものである。異なる点は、直流電源1とトランスの巻線2aと第1のスイッチング手段3とからなる直列回路における、第1のスイッチング手段3にスナバ回路18が接続されているところである。基本的な動作は、上記実施の形態1〜4とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、トランス2の漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーも第1にコンデンサ14に吸収し、直流電源1に回生するところである。
【0074】
図15はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、1〜3は上記従来例の図32に示した構成要素と同等のものであり、13〜17、および19は上記図6に示した構成要素と同等のものである。異なる点は、直流電源1とトランスの巻線2aと第1のスイッチング手段3とからなる直列回路における、第1のスイッチング手段3にスナバ回路19が接続されているところである。基本的な動作は、上記実施の形態5とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、トランス2の漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーも第1にコンデンサ14に吸収し、直流電源1に回生するところである。
【0075】
図16はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、1〜3は上記従来例の図32に示した構成要素と同等のものであり、13〜16および20、21は上記図7に示した構成要素と同等のものである。異なる点は、直流電源1とトランスの巻線2aと第1のスイッチング手段3とからなる直列回路における、第1のスイッチング手段3にスナバ回路21が接続されているところである。基本的な動作は、上記実施の形態6とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、トランス2の漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーも第1にコンデンサ14に吸収し、直流電源1に回生するところである。
【0076】
図17はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、1〜3は上記従来例の図32に示した構成要素と同等のものであり、13〜16および20、22は上記図8に示した構成要素と同等のものである。異なる点は、直流電源1とトランスの巻線2aと第1のスイッチング手段3とからなる直列回路における、第1のスイッチング手段3にスナバ回路22が接続されているところである。基本的な動作は、上記実施の形態7とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、トランス2の漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーも第1にコンデンサ14に吸収し、直流電源1に回生するところである。
【0077】
図18はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、1〜3は上記従来例の図32に示した構成要素と同等のものであり、13〜16は上記図14に示した構成要素と同等のものである。異なる点は、第1のスイッチング手段3が電界効果型トランジスタであって、第2のダイオード17の代わりに電界効果型トランジスタ3の寄生ダイオード28が使用されて、スナバ回路29が構成されているところである。
16a、16bは第2のスイッチング手段であり、ダイオード16bは逆流を防止して一方向のスイッチング手段を構成している。なお、リアクトル15、ダイオード16b、電界効果型トランジスタ16aの接続順序は任意にできる。
【0078】
基本的な動作は、上記図14に示した実施の形態とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、第2のダイオード17の代わりに電界効果型トランジスタ3の寄生ダイオード28が使用しているところで、これにより部品点数の削減ができ、低コスト化ができる効果がある。
【0079】
図19はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、1〜3は上記従来例の図32に示した構成要素と同等のものであり、13〜16は上記図15に示した構成要素と同等のものである。異なる点は、上記図18と同様に第1のスイッチング手段3が電界効果型トランジスタであって、第2のダイオード17の代わりに電界効果型トランジスタ3の寄生ダイオード30が使用されて、スナバ回路31が構成されているところである。16a、16bは第2のスイッチング手段であり、ダイオード16bは逆流を防止して一方向のスイッチング手段を構成している。なお、リアクトル15、ダイオード16b、電界効果型トランジスタ16aの接続順序は任意にできる。
【0080】
基本的な動作は、上記図15に示した実施の形態とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、第2のダイオード17の代わりに電界効果型トランジスタ3の寄生ダイオード30が使用しているところで、これにより部品点数の削減ができ、低コスト化できる効果がある。
【0081】
図20、図21はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、1〜3は上記従来例の図32に示した構成要素と同等のものであり、13〜16、および23、24は上記図9または図11に示した構成要素と同等のものである。異なる点は、直流電源1とトランスの巻線2aと第1のスイッチング手段3とからなる直列回路における、第1のスイッチング手段3にスナバ回路23または24が接続されているところである。基本的な動作は、上記実施の形態8または実施の形態9とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、トランス2の漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーも第1にコンデンサ14に吸収し、直流電源1に回生するところである。
【0082】
図22、図23はこの発明の他の実施の形態を示す図である。図において、1〜3は上記従来例の図32に示した構成要素と同等のものであり、13〜16および25〜27は上記図12または図13に示した構成要素と同等のものである。異なる点は、直流電源1とトランスの巻線2aと第1のスイッチング手段3とからなる直列回路における、第1のスイッチング手段3にスナバ回路26または27が接続されているところである。基本的な動作は、上記実施の形態10または実施の形態11とほぼ同様の動作をするので詳細な説明は省略する。異なる点は、トランス2の漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーも第1にコンデンサ14に吸収し、直流電源1に回生するところである。
【0083】
実施の形態13.
図24は、この発明の他の実施の形態としてフォワード形DC/DCコンバータに適用したスナバ回路を示す構成図である。図において、1〜8は上記従来例の図32に示した構成要素と同等のものであり、13〜16および25、26は上記実施の形態12の図22に示した構成要素と同等のものである。16a、16bは第2のスイッチング手段であり、ダイオード16bは逆流を防止して一方向のスイッチング手段を構成している。なお、ダイオード16bはリアクトル15と直列に接続しても良いし、電界効果型トランジスタ16aと接続関係が逆でも良い。
【0084】
次に動作について説明する。図25は本発明のスナバ回路26を適用したフォワード形DC/DCコンバータとスナバ回路の動作の一実施の形態を示す図である。図中の図(a)は第1のスイッチング手段3の駆動波形、図(b)は第2のスイッチング手段16aの駆動波形、図(c)は第1のスイッチング手段3の電流idと電圧vdsの波形、図(d)は第1のコンデンサ14に流れる電流波形、図(e)は第1のコンデンサ14の電圧波形、図(f)はリアクトル15に流れる電流波形である。
【0085】
第1のスイッチング手段3がターンオフすると、配線の寄生インダクタンスとトランス2の漏れインダクタンスに蓄積されていたエネルギーが第1のダイオード13を介して、第1のコンデンサ14に充電され、第1のスイッチング手段3にかかる電圧を緩やかに上昇させて、ターンオフ時のスパイク電圧を吸収する。また、ターンオフ時の第1のスイッチング手段3の電圧・電流の重なりが少なくなってスイッチング損失が低減され、スイッチングノイズも低減される。第1のコンデンサ14に充電されたエネルギーは第1のスイッチング手段3のオフ期間中保持される。
【0086】
図25(a)(b)に示すように第1のスイッチング手段3がターンオンしたと同時に、第2のスイッチング手段16aをターンオンすると、第1のコンデンサ14に蓄積され保持されていたエネルギーが図25(e)のように放電を開始する。この放電は第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振により行なわれ、リアクトル15や第2のスイッチング手段16aに流れる電流波形は図25(f)のように正弦波状となる。第1のコンデンサ14に蓄積されていたスナバエネルギーは第1のコンデンサ14→第2のスイッチング手段16a、16b→リアクトル15→直流電源1→第1のコンデンサ14の経路で直流電源1に回生される。
【0087】
図25(e)に示すように第1のコンデンサ14の電圧Vcが零になると、第2のダイオード25がオン状態になり、リアクトル15の残りのエネルギーをリアクトル15→直流電源1→第2のダイオード25→リアクトル15の経路で直流電源1に引き続き回生する。図25(e)および図25(f)に示すようにリアクトル15または第2のスイッチング手段16aに流れる電流が零になった後に、第2のスイッチング手段16aを第1のスイッチング手段3と同期してオフする。
【0088】
以上のように配線の寄生インダクタンスとトランスの漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーを第1のコンデンサ14に充電し、そのエネルギーを直流電源1に回生するので、損失にはならず、効率の低下を防ぎ、発熱を防止する。また、第1のコンデンサ14により第1のスイッチング手段3にかかる電圧が緩やかに変化し、ターンオフ時のスパイク電圧が吸収され、ターンオフ時の第1のスイッチング手段の電圧・電流の重なりが少なくなってスイッチング損失が低減され、スイッチングノイズも低減される。
【0089】
また、第1のスイッチング手段3の最小オン時間が、第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振周期の半分の時間より短い場合においては、第2のスイッチング手段16をオフした後の電流経路が、リアクトル15→直流電源1→第2のダイオード25→リアクトル15の経路となり、リアクトル15に残ったエネルギーが直流電源1に回生できる。
【0090】
実施の形態14.
図26は、この発明の他の実施の形態としてブーストフォワード形DC/DCコンバータに適用したスナバ回路を示す構成図である。図において、1〜3および8は上記従来例の図32に示した構成要素と同等のものであり、13〜16および25、26は上記実施の形態13の図24に示した構成要素と同等のものである。33は整流用ダイオード、34は環流用ダイオード、35はチョークコイル、36は出力平滑コンデンサである。
【0091】
基本的な動作は、上記図24に示した実施の形態13とほぼ同様の動作をし、同様の効果を奏するので詳細な説明は省略する。
【0092】
実施の形態15.
以下の形態例では、先に直流電源1と同様に扱った第2のコンデンサ1’の変形例、即ち、先の形態例とは異なる直流電源を回生先とするスナバ回路について説明する。
先ず、図27はAC/DC/DCコンバータに適用したスナバ回路を示す構成図である。このコンバータは、交流電源50の電圧を整流用ダイオードブリッジ51a〜51dで整流しその出力電圧が入力平滑コンデンサ52で平滑される。この入力平滑コンデンサ52が後段のDC/DCコンバータの直流電源として機能する。
【0093】
このDC/DCコンバータの部分は、先の実施の形態13の図24の構成と全く同一であり説明は省略する。
ここでは、第1のスイッチング手段3のオフ期間に第1のコンデンサ14に充電された電荷は、第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振現象を利用して直流電源である入力平滑コンデンサ52に回生される。即ち、この入力平滑コンデンサ52が既述した第2のコンデンサ1’に相当する訳である。
【0094】
実施の形態16.
図28はこの発明の実施の形態16におけるスナバ回路を示す構成図で、スナバ回路の回生先の更なる変形例を示すものである。これは非絶縁形のDC/DCコンバータである降圧形のチョッパ装置である。チョッパとしての動作は周知であるので説明は省略するが、第1のスイッチング手段3のオンオフ動作により、直流電源(第1の直流電源)1の電圧が変換(降圧)されて平滑コンデンサ(第2の直流電源)7に出力される。
【0095】
第1のスイッチング手段3の両極間に接続された、第1のダイオード13と第1のコンデンサ14との直列接続体、およびこの第1のダイオード13と第1のコンデンサ14との接続点とリアクトル6と平滑コンデンサ7との接続点との間に接続された、リアクトル15と第2のスイッチング手段16との直列接続体からスナバ回路60を構成している。
【0096】
ここでは、第1のスイッチング手段3のオフ期間に第1のコンデンサ14に充電された電荷は第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振現象を利用して第2の直流電源である平滑コンデンサ7に回生される、即ち、この平滑コンデンサ7が既述した第2のコンデンサ1’の相当する。
【0097】
実施の形態17.
図29はこの発明の実施の形態17におけるスナバ回路を示す構成図で、スナバ回路の回生先の更なる変形例を示すものである。先の実施の形態13の図24で説明したフォワード形DC/DCコンバータのトランス2に補助電源用巻線2dを追設したものである。
直流電源1からの電力を変換して平滑コンデンサ7に出力する主たる変換動作は先の図24と同一であるので説明を省略する。補助電源用巻線2dの電圧は整流用ダイオード71で整流されその出力電圧が平滑コンデンサ72で平滑される。そして、この平滑コンデンサ72が第1のスイッチング手段3の駆動回路73の直流電源として機能する。
【0098】
第1のスイッチング手段3の両極間に接続された第1のダイオード13と第1のコンデンサ14との直列接続体、およびこの第1のダイオード13と第1のコンデンサ14との接続点と整流用ダイオード71と平滑コンデンサ72との接続点との間に接続された、リアクトル15と第2のスイッチング手段16との直列接続体からスナバ回路70を構成している。
【0099】
ここでは、第1のスイッチング手段3のオフ期間に第1のコンデンサ14に充電された電荷は第1のコンデンサ14とリアクトル15との共振現象を利用して補助電源(第2の直流電源)である平滑コンデンサ72に回生される。即ち、この平滑コンデンサ72が既述した第2のコンデンサ1’に相当する。
【0100】
実施の形態18.
図30はこの発明の実施の形態18におけるスナバ回路を示す構成図で、スナバ回路の回生先の更なる変形例を示すものである。
昇降圧形のチョッパに適用したもので、チョッパとしての動作は周知であるので説明を省略するが、ここでは、第1のダイオード13a、第1のコンデンサ14a、リアクトル15a、第2のスイッチング手段16aからなり第1のコンデンサ14aに充電された電荷を出力側の第2の直流電源である出力平滑コンデンサ82に回生するスナバ回路80aと、第1のダイオード13b、第1のコンデンサ14b、リアクトル15b、第2のスイッチング手段16bからなり第1のコンデンサ14bに充電された電荷を入力側の第1の直流電源1に回生するスナバ回路80bとを備えている。
【0101】
入力直流電源1の電圧が出力平滑コンデンサ82の電圧より低い、昇圧動作の場合には、入力直流電源1に回生するスナバ回路80bがメインのスナバとして動作する。逆に、入力直流電源1の電圧が出力平滑コンデンサ82の電圧より高い、降圧動作の場合には、出力平滑コンデンサ82に回生するスナバ回路80aがメインのスナバとして動作する。これにより、入力電圧の変動に対して、スナバエネルギーを回生し易い方に自動的に回生することができる。
即ち、この形態例では、第1の直流電源(直流電源1)と第2の直流電源(出力平滑コンデンサ82)との両者への回生が可能となる訳である。
【0102】
実施の形態19.
図31はこの発明の実施の形態19におけるスナバ回路を示す構成図で、スナバ回路の回生先の更なる変形例を示すものである。DC/AC変換装置に適用したもので、直流電源1からの電力を交流に変換してランプ93を点灯するものである。92はランプ93と直列に接続されたリアクトル、94はランプ93と並列に接続されたコンデンサである。91a、91bは平滑コンデンサで、直流電源1からの電力が一旦この平滑コンデンサ91a、91bに変換される形となる。
【0103】
そして、第1のスイッチング手段3aの両極間に接続された第1のダイオード13aと第1のコンデンサ14aとの直列接続体とこの第1のダイオード13aと第1のコンデンサ14aとの接続点とランプ93と平滑コンデンサ91aとの接続点との間に接続されたリアクトル15aと第2のスイッチング手段16aとの直列接続体からスナバ回路90aを構成し、第1のスイッチング手段3bの両極間に接続された第1のダイオード13bと第1のコンデンサ14bとの直列接続体とこの第1のダイオード13bと第1のコンデンサ14bとの接続点とランプ93と平滑コンデンサ91bとの接続点との間に接続されたリアクトル15bと第2のスイッチング手段16bとの直列接続体からスナバ回路90bを構成する。
【0104】
ここでは、第1のスイッチング手段3aのオフ期間に第1のコンデンサ14aに充電された電荷は第1のコンデンサ14aとリアクトル15aとの共振現象を利用して平滑コンデンサ91aに回生され、第1のスイッチング手段3bのオフ期間に第1のコンデンサ14bに充電された電荷は第1のコンデンサ14bとリアクトル15bとの共振現象を利用して平滑コンデンサ91bに回生される。
【0105】
以上、各実施の形態で説明したように、この発明によるスナバ回路は、直流電源を有する各種の電力変換手段に適用することができ、第1のスイッチング手段のオフ期間にそのスナバ回路のコンデンサに充電された電荷の回生先も、入力側の直流電源に限らず、出力側の直流電源(コンデンサ)、更には、入力/出力両側の直流電源に設定することができる。
【0106】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係るスナバ回路は、直流電源と、低電位側端子が上記直流電源の低電位側端子に接続された第1のスイッチング手段とを備えた電力変換手段のスナバ回路において、
アノード端子が上記第1のスイッチング素子の高電位側端子に接続された第1のダイオードと、一方の端子が上記第1のダイオードのカソード端子に接続され他方の端子が上記第1のスイッチング手段の低電位側端子に接続された第1のコンデンサと、上記第1のダイオードおよび第1のコンデンサの接続点と上記直流電源の高電位側端子との間に接続された、誘導性素子と第2のスイッチング手段との直列接続体とを備え、
上記第1のスイッチング手段のターンオン直前の上記第1のコンデンサの電圧を直流電源の電圧の2倍以下とし、
上記第1のスイッチング手段のオン期間内で上記第2のスイッチング手段をオンすることにより、上記第1のスイッチング手段のオフ期間に上記第1のコンデンサに充電された電荷を、上記第1のコンデンサと誘導性素子との共振現象を利用して上記直流電源に回生するようにしたので、簡便な構成により、損失、発熱を伴うことなく、第1のスイッチング手段のターンオフ時のスパイク電圧が吸収でき、ターンオフ時の電圧・電流の重なりが少なくなってスイッチング損失・スイッチングノイズが低減できるスナバ回路を実現でき、一旦誘導性素子に蓄えられたエネルギーをすべて直流電源に回生することができる。
【0107】
また、この発明に係るスナバ回路は、第1のスイッチング手段の高電位側端子と直流電源の高電位側端子との間に電力変換手段のトランスの巻線が挿入されたので、トランスの漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーも第1のコンデンサに吸収し、直流電源に回生することができる。
【0108】
また、この発明に係るスナバ回路は、直流電源と、高電位側端子が上記直流電源の高電位側端子に接続された第1のスイッチング手段とを備えた電力変換手段のスナバ回路において、
カソード端子が上記第1のスイッチング素子の低電位側端子に接続された第1のダイオードと、一方の端子が上記第1のダイオードのアノード端子に接続され他方の端子が上記第1のスイッチング手段の高電位側端子に接続された第1のコンデンサと、上記第1のダイオードおよび第1のコンデンサの接続点と上記直流電源の低電位側端子との間に接続された、誘導性素子と第2のスイッチング手段との直列接続体とを備え、
上記第1のスイッチング手段のターンオン直前の上記第1のコンデンサの電圧を直流電 源の電圧の2倍以下とし、
上記第1のスイッチング手段のオン期間内で上記第2のスイッチング手段をオンすることにより、上記第1のスイッチング手段のオフ期間に上記第1のコンデンサに充電された電荷を、上記第1のコンデンサと誘導性素子との共振現象を利用して上記直流電源に回生するようにしたので、簡便な構成により、損失、発熱を伴うことなく、第1のスイッチング手段のターンオフ時のスパイク電圧が吸収でき、ターンオフ時の電圧・電流の重なりが少なくなってスイッチング損失・スイッチングノイズが低減できるスナバ回路を実現でき、一旦誘導性素子に蓄えられたエネルギーをすべて直流電源に回生することができる。
【0109】
また、この発明に係るスナバ回路は、第1のスイッチング手段の低電位側端子と直流電源の低電位側端子との間に電力変換手段のトランスの巻線が挿入されたので、トランスの漏れインダクタンスに蓄積されたエネルギーも第1のコンデンサに吸収し、直流電源に回生することができる。
【0110】
また、この発明に係るスナバ回路は、第1のスイッチング手段のオン期間内において第2のスイッチング手段をオン状態にし、かつ、上記第2のスイッチング手段のオン時間を
第1のコンデンサと誘導性素子とで決まる共振周期の1/2以上としたので、常に、第1のコンデンサに蓄積されたエネルギーの直流電源への回生が確実になされる。
【0111】
また、この発明に係るスナバ回路は、第2のスイッチング手段の電流を検出し、オン状態から上記電流が零になった後上記第2のスイッチング手段をオフ状態にするようにしたので、第2のスイッチング手段の適切なオフ動作が確実になされる。
【0112】
また、この発明に係るスナバ回路は、第2のスイッチング手段を極性を有するものとし、オン状態から電流が零になると自動的にオフするようにしたので、電流検出手段を必要とすることなく、第2のスイッチング手段のオフ動作が確実になされる。
【0113】
また、この発明に係るスナバ回路は、第1のスイッチング手段のオン、オフ動作と、第2のスイッチング手段のオン、オフ動作をそれぞれ同期させるので、スイッチング手段を駆動する構成が簡便となり、第1のコンデンサの容量値と誘導性素子のインダクタンス値をより広い範囲で選定することができる。
【0114】
また、この発明に係るスナバ回路は、第2のスイッチング手段は、電界効果型トランジスタと逆流防止用のダイオードとの直列接続体であるので、第2のスイッチング手段の適切なオフ動作が確実になされる。
【0115】
また、この発明に係るスナバ回路は、第2のスイッチング手段がターンオンしたときに誘導性素子にかかる電圧値VLを、上記誘導性素子のインダクタンス値Lを第1のコンデンサの容量値Cで割った値の平方根で表される特性インピーダンスで割って得られる電流値(VL/√(L/C))において、上記誘導性素子が磁気飽和を起こさないようにしたので、誘導性素子の磁気飽和による過大な電流の発生を未然に防止して第2のスイッチング手段の安定した動作が確保される。
【0116】
また、この発明に係るスナバ回路は、第2のスイッチング手段がターンオンしたときに誘導性素子にかかる電圧値VLを、上記誘導性素子のインダクタンス値Lを第1のコンデンサの容量値Cで割った値の平方根で表される特性インピーダンスで割って得られる電流値(VL/√(L/C))が、上記第2のスイッチング手段の許容可能な繰り返しピーク電流値以下となるようにしたので、第2のスイッチング手段の使用条件が適正化され、その信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるスナバ回路を示す回路図である。
【図2】 図1のスナバ回路の各部動作波形図である。
【図3】 この発明の実施の形態2によるスナバ回路の各部動作波形図である。
【図4】 この発明の実施の形態3によるスナバ回路の各部動作波形図である。
【図5】 この発明の実施の形態4によるスナバ回路の各部動作波形図である。
【図6】 この発明の実施の形態5によるスナバ回路を示す回路図である。
【図7】 この発明の実施の形態6によるスナバ回路を示す回路図である。
【図8】 この発明の実施の形態7によるスナバ回路を示す回路図である。
【図9】 この発明の実施の形態8によるスナバ回路を示す回路図である。
【図10】 図9のスナバ回路の各部動作波形図である。
【図11】 この発明の実施の形態9によるスナバ回路を示す回路図である。
【図12】 この発明の実施の形態10によるスナバ回路を示す回路図である。
【図13】 この発明の実施の形態11によるスナバ回路を示す回路図である。
【図14】 この発明の実施の形態12によるスナバ回路を示す回路図である。
【図15】 この発明の実施の形態12によるスナバ回路を示す他の回路図である。
【図16】 この発明の実施の形態12によるスナバ回路を示す他の回路図である。
【図17】 この発明の実施の形態12によるスナバ回路を示す他の回路図である。
【図18】 この発明の実施の形態12によるスナバ回路を示す他の回路図である。
【図19】 この発明の実施の形態12によるスナバ回路を示す他の回路図である。
【図20】 この発明の実施の形態12によるスナバ回路を示す他の回路図である。
【図21】 この発明の実施の形態12によるスナバ回路を示す他の回路図である。
【図22】 この発明の実施の形態12によるスナバ回路を示す他の回路図である。
【図23】 この発明の実施の形態12によるスナバ回路を示す他の回路図である。
【図24】 この発明の実施の形態13によるスナバ回路を適用したフォワード形DC/DCコンバータを示す回路図である。
【図25】 図24のスナバ回路の各部動作波形図である。
【図26】 この発明の実施の形態14によるスナバ回路を適用したブーストフォワード形DC/DCコンバータを示す回路図である。
【図27】 この発明の実施の形態15におけるスナバ回路を示す構成図である。
【図28】 この発明の実施の形態16におけるスナバ回路を示す構成図である。
【図29】 この発明の実施の形態17におけるスナバ回路を示す構成図である。
【図30】 この発明の実施の形態18におけるスナバ回路を示す構成図である。
【図31】 この発明の実施の形態19におけるスナバ回路を示す構成図である。
【図32】 従来のスナバ回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1 直流電源、2 トランス、2a トランス2の第1の巻線、
3,3a,3b 第1のスイッチング手段、4a 補助電源用巻線、
7,72,91a,91b 平滑コンデンサ、
13,13a,13b 第1のダイオード、14,14a,14b 第1のコンデンサ、
15,15a,15b リアクトル、16,16a,16b 第2のスイッチング手段、
17,20,25 第2のダイオード、
18,19,21,22,23,24,26,27,29,31,60,70,80a,80b,90a,90b スナバ回路、
28,30 電界効果型トランジスタの寄生ダイオード、
52 入力平滑コンデンサ、82 出力平滑コンデンサ。

Claims (11)

  1. 直流電源と、低電位側端子が上記直流電源の低電位側端子に接続された第1のスイッチング手段とを備えた電力変換手段のスナバ回路において、
    アノード端子が上記第1のスイッチング素子の高電位側端子に接続された第1のダイオードと、一方の端子が上記第1のダイオードのカソード端子に接続され他方の端子が上記第1のスイッチング手段の低電位側端子に接続された第1のコンデンサと、上記第1のダイオードおよび第1のコンデンサの接続点と上記直流電源の高電位側端子との間に接続された、誘導性素子と第2のスイッチング手段との直列接続体とを備え、
    上記第1のスイッチング手段のターンオン直前の上記第1のコンデンサの電圧を直流電源の電圧の2倍以下とし、
    上記第1のスイッチング手段のオン期間内で上記第2のスイッチング手段をオンすることにより、上記第1のスイッチング手段のオフ期間に上記第1のコンデンサに充電された電荷を、上記第1のコンデンサと誘導性素子との共振現象を利用して上記直流電源に回生するようにしたことを特徴とするスナバ回路。
  2. 第1のスイッチング手段の高電位側端子と直流電源の高電位側端子との間に電力変換手段のトランスの巻線が挿入されたことを特徴とする請求項1記載のスナバ回路。
  3. 直流電源と、高電位側端子が上記直流電源の高電位側端子に接続された第1のスイッチング手段とを備えた電力変換手段のスナバ回路において、
    カソード端子が上記第1のスイッチング素子の低電位側端子に接続された第1のダイオードと、一方の端子が上記第1のダイオードのアノード端子に接続され他方の端子が上記第1のスイッチング手段の高電位側端子に接続された第1のコンデンサと、上記第1のダイオードおよび第1のコンデンサの接続点と上記直流電源の低電位側端子との間に接続された、誘導性素子と第2のスイッチング手段との直列接続体とを備え、
    上記第1のスイッチング手段のターンオン直前の上記第1のコンデンサの電圧を直流電源の電圧の2倍以下とし、
    上記第1のスイッチング手段のオン期間内で上記第2のスイッチング手段をオンすることにより、上記第1のスイッチング手段のオフ期間に上記第1のコンデンサに充電された電荷を、上記第1のコンデンサと誘導性素子との共振現象を利用して上記直流電源に回生するようにしたことを特徴とするスナバ回路。
  4. 第1のスイッチング手段の低電位側端子と直流電源の低電位側端子との間に電力変換手段のトランスの巻線が挿入されたことを特徴とする請求項3記載のスナバ回路。
  5. 第1のスイッチング手段のオン期間内において第2のスイッチング手段をオン状態にし、かつ、上記第2のスイッチング手段のオン時間を第1のコンデンサと誘導性素子とで決まる共振周期の1/2以上としたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスナバ回路。
  6. 第2のスイッチング手段の電流を検出し、オン状態から上記電流が零になった後上記第2のスイッチング手段をオフ状態にするようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスナバ回路。
  7. 第2のスイッチング手段を極性を有するものとし、オン状態から電流が零になると自動的にオフするようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスナバ回路。
  8. 第1のスイッチング手段のオン、オフ動作と、第2のスイッチング手段のオン、オフ動作をそれぞれ同期させることを特徴とする請求項5記載のスナバ回路。
  9. 第2のスイッチング手段は、電界効果型トランジスタと逆流防止用のダイオードとの直列接続体であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のスナバ回路。
  10. 第2のスイッチング手段がターンオンしたときに誘導性素子にかかる電圧値VLを、上記誘導性素子のインダクタンス値Lを第1のコンデンサの容量値Cで割った値の平方根で表される特性インピーダンスで割って得られる電流値(VL/√(L/C))において、上記誘導性素子が磁気飽和を起こさないようにしたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のスナバ回路。
  11. 第2のスイッチング手段がターンオンしたときに誘導性素子にかかる電圧値VLを、上記誘導性素子のインダクタンス値Lを第1のコンデンサの容量値Cで割った値の平方根で表される特性インピーダンスで割って得られる電流値(VL/√(L/C))が、上記第2のスイッチング手段の許容可能な繰り返しピーク電流値以下となるようにしたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のスナバ回路。
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