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JP3747989B2 - 車両の走行制御装置 - Google Patents

車両の走行制御装置 Download PDF

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JP3747989B2
JP3747989B2 JP15014398A JP15014398A JP3747989B2 JP 3747989 B2 JP3747989 B2 JP 3747989B2 JP 15014398 A JP15014398 A JP 15014398A JP 15014398 A JP15014398 A JP 15014398A JP 3747989 B2 JP3747989 B2 JP 3747989B2
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Controls For Constant Speed Travelling (AREA)
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  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の走行制御装置に係り、詳しくは走行制御のうちの減速制御技術に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
近年、自動車の運転操作を軽減するために、先行車の追尾走行を行うべく車間距離制御装置を備えた走行制御装置が開発され実用化されている。
【0003】
この車間距離制御装置を備えた走行制御装置は、例えば、カメラ、レーザレーダ等の前方認識装置からの情報に基づいて自車と先行車との間の車間距離を検出し、この車間距離が予め設定された目標車間距離となるようエンジン出力や制動力を調整し、これにより車両を加減速させ先行車を追尾するよう構成されている。
【0004】
通常このような走行制御装置では、自車速と先行車速との相対速度に基づいて目標減速度を算出するようにしており、車両を減速させる際には、該目標減速度に基づいて制動力を調整し車両を減速制御するようにしている。
【0005】
ところで、追尾走行制御をしている際、先行車が常に同一の車両であればよいのであるが、当該先行車は他の車両の割り込みによって入れ代わる場合が多い。
【0006】
このように当該他の車両が本来の目標車間距離の範囲内に割り込んでくると、車間距離が不連続的に急激に小さくなり、これに応じて自車が急制動し、車両の乗員が減速ショック等の違和感を感じる可能性がある。
【0007】
そこで、このように他の車両が割り込んできた場合に、車間距離が不連続とならず緩やかに変位するような疑似車間距離を仮に想定するようにし、当該疑似車間距離に基づいて車速を制御し車両の急減速を回避するよう構成した装置が特開平8−127268号公報等に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示された装置は、実際には存在しない疑似車間距離という概念を用いて制御を行っており、車両の走行安全性に問題がある。
【0009】
つまり、当該装置の制御では、他の車両の割り込みにより実際には車間距離が急激に短くなっているにも拘わらず、自車は、暫時当該短くなった車間距離よりもはるかに長い距離である疑似車間距離、即ち他の車両よりもかなり前方の位置を目標にして追尾制御され、実際には当該割り込んだ他の車両を一切視ずに走行していることになり安全上好ましいことではないのである。
【0010】
当該装置によれば、例えば他の車両が割り込み後に減速したような場合において、自車が当該他の車両の減速に追従することなく当該他の車両に不用意に接近し過ぎてしまう虞もある。
【0011】
本発明は、上述した事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、自車と先行車との間に他の車両が割り込んだ場合において、自車を急減速させることなく且つ安全性を高く維持可能な車両の走行制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、請求項1の発明によれば、自車と先行車との車間距離が目標車間距離となるよう自車の車速を制御し走行制御を行う車両の走行制御装置において、目標減速度演算手段により、自車の目標減速度が自車速と先行車速との相対速度、車間距離及び目標車間距離に基づいて演算され、制動制御手段により、制動装置が上記演算された目標減速度に基づいて作動制御されることになるのであるが、車間距離が自車速及び先行車速のいずれか一方のみに基づき設定される目標車間距離よりも急減し短くなったときには、制動開始距離設定手段により、自車速と相対速度に基づき自車の制動開始距離が設定され、目標車間距離減縮手段により、急減した車間距離の上記制動開始距離に対する割合に応じて目標車間距離が減縮される。
【0013】
つまり、追尾走行制御中に自車と先行車との間に他の車両が割り込んできたような場合には、自車と当該割り込んできた他の車両との車間距離が急に短くなるのであるが、このような場合において、目標車間距離が当該短くなった車間距離に応じて減縮されることになり、目標減速度が小さくされる。
【0014】
従って、自車と先行車との間に他の車両が割り込んできたような場合であっても、自車が急制動なく緩やかに減速させられることになり、乗員が減速ショックを感じることのない滑らかな追尾走行制御が実現される。
【0015】
また、このように減縮するものの常に目標車間距離を存在させることで、割り込んだ他の車両に自車が不用意に接近し過ぎてしまうようなことが好適に防止可能とされ、走行安全性が良好に確保される。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、車両1に搭載された本発明に係る走行制御装置の概略構成図が示されており、以下、同図に基づき本発明に係る走行制御装置の構成を説明する。
【0017】
車両1の前部には、前方に向けてレーザビームを発射し、このレーザビームをスキャニングすることで車両1の前方に位置する物体を認識し、さらに該物体までの距離を計測可能なスキャン式レーザレーダ2が設けられている。また、車室内のルーフ部には、車両1の前方を撮像するCCDカメラ4が取り付けられている。このCCDカメラ4は、前方に位置する物体及び車線(白線)等をも認識可能とされている。
【0018】
エンジン6には、エンジン6への吸気量を制御しエンジン出力を調節するスロットルバルブ8が連結されている。詳しくは、このスロットルバルブ8には、アクセルペダル(図示せず)の開度等に応じ、後述の電子制御ユニット(ECU)50から出力される作動信号に基づき自動的にバルブ開度を調節可能なスロットルアクチュエータ12が設けられている。
【0019】
左右一対の前輪(駆動輪)20,20及び左右一対の後輪(従輪)22,22には油圧ディスクブレーキ等のサービスブレーキ(制動装置)24がそれぞれ設けられており、このサービスブレーキ24は、負圧ブースタを有したブレーキマスタシリンダ26を介してブレーキペダル28に接続されている。また、ブレーキマスタシリンダ26には、ブレーキペダル28からの入力に拘わらず、ECU50からの作動信号に応じて自動的にサービスブレーキ24を作動可能な負圧式のブレーキアクチュエータ30が設けられている。
【0020】
また、従輪である上記後輪22,22近傍には、右車輪速VSR、左車輪速VSLを検出する車輪速センサ32がそれぞれの車輪に対応して設けられている。これら車輪速センサ32,32は、自車速Veを検出するための自車速検出手段として機能する。
【0021】
車両1の車室内に設けられたステアリングホイール34のステアリングコラム36には、車両1の走行制御装置を通常の走行状態と追尾走行制御による走行状態とに切換える追尾走行切換操作スイッチ38が設けられている。追尾走行切換操作スイッチ38をセット側に操作すると車間距離制御、即ち追尾走行制御が開始され、一方リセット側に操作するとその車間距離制御が解除されることになる。
【0022】
ECU50は、車両1の各種制御を司る主制御装置である。同図に示すように、ECU50の入力側には、上記スキャン式レーザレーダ2、CCDカメラ4、車輪速センサ32,32、追尾走行切換操作スイッチ38等の各種センサ、スイッチ類が接続され、一方、出力側には、スロットルアクチュエータ12、ブレーキアクチュエータ30等の各種駆動装置類が接続されている。
【0023】
以下、このように構成された走行制御装置の制御内容、即ち本発明に係る作用及び効果について説明する。
【0024】
図2を参照すると、追尾走行制御ルーチンのフローチャートが示されており、以下、図2を参照して本発明に係る追尾走行制御の制御手順を説明する。
【0025】
追尾走行切換操作スイッチ38がセット側に操作され、追尾走行制御が開始されると、先ず、ステップS10において、先行車の判定処理が行われる。詳しくは、当該ステップS10では、スキャン式レーザレーダ2やCCDカメラ4からの情報に基づき車両1の前方に物体が認識されると、この物体が車両であるか否かを判別し、該物体が車両であると判別された場合には当該車両を先行車と判定する。先行車が複数存在するような場合には、例えばCCDカメラ4により認識された自車レーン上或いは自車ハンドル角により推定された自車レーン上に位置する車両を先行車と判定する。これにより、先行車が確定される。なお、当該先行車の判定方法は本発明とは直接関わりがないため、その詳細についての説明は省略する。
【0026】
ステップS12では、上記車輪速センサ32,32からの情報に基づき、車両1の車速、即ち自車速Veを算出する(自車速検出手段)。ここでは、自車速Veは例えば次式(1)より算出される。
【0027】
Ve=(VSR+VSL)/2 …(1)
つまり、自車速Veは右車輪速VSRと左車輪速VSLの平均値とされる。
【0028】
そして、ステップS14において、スキャン式レーザレーダ2からの情報に基づき、自車から先行車までの距離、即ち車間距離Lが精度よく計測される(車間距離検出手段)。
【0029】
次のステップS16では、上記車間距離情報Lに基づき、自車と先行車との相対速度Vrが演算される。詳しくは、相対速度Vrは、当該ルーチンを前回実行したときの車間距離情報Lの値、即ち前回値と今回値との変化量ΔLに基づいて演算される。このとき、変化量ΔLが正で相対速度Vrが正であれば自車は先行車から離れつつあるとみなせ、変化量ΔLが負で相対速度Vrが負であれば自車は先行車に接近しているとみなすことができる。
【0030】
ステップS18では、上記自車速Veと相対速度Vrとに基づき、次式(2)から先行車速Vfが演算される(先行車速検出手段)。
【0031】
Vf=Ve+Vr …(2)
ここでは、さらに、先行車速Vfを微分処理することで先行車加速度αfも演算される。詳しくは、先行車加速度αfは、当該ルーチンを前回実行したときの先行車速情報Vfの前回値と今回値との変化量ΔVfから演算される。
【0032】
次のステップS20では、自車の目標減速度αeを演算する。
【0033】
図3を参照すると、目標減速度αeの演算処理ルーチンが示されており、以下、当該フローチャートに基づき目標減速度αeの演算手順を説明する。
【0034】
ステップS40では、先ず、先行車減速走行中の自車の目標減速度αerを次式(3)から算出する。
【0035】
αer=−Vr・Ve/(L−Lo) …(3)
ここに、Loは先行車が減速し停止に至ったと仮定した場合に自車と先行車との間に最小限確保されるべき最小車間距離を示している。
【0036】
なお、この最小車間距離Loは車間距離Lに応じて可変するようにされており、車間距離Lが値L1(例えば、25m)以上離れているような場合には、最小車間距離Loは値0とされ、車間距離Lが値L1未満になると、最小車間距離Loは値Lo1(例えば、10m)とされる。
【0037】
つまり、車間距離Lが小さくなり自車が先行車に接近したようなときには、少なくとも最小車間距離Loを確保すべく目標減速度αerを大きくするようにし、これにより自車が先行車に接触することのないようにしているのである。
【0038】
引き続き、ステップS42では、先行車定速走行中の自車の目標減速度αecを次式(4)から算出する(目標減速度演算手段)。
【0039】
αec=Vr2/2・(L−Lf・L/La)+αa …(4)
ここに、Lfは先行車速Vfに応じて算出された先行車速に基づく目標車間距離である。詳しくは、ECU50には図4に示すようなVfとLfとの関係を示すマップが予め設定され記憶されており、目標車間距離Lfは当該マップから求められる(目標車間距離演算手段)。
【0040】
つまり、上述した最小車間距離Loが値0である場合の目標車間距離Lf1と最小車間距離Loが値Lo1(例えば、10m)である場合の目標車間距離Lf2のうちいずれか大きい方の値(実線値)が目標車間距離Lfとして選択されるようにされており、先行車速Vfが大きいときには、目標車間距離Lfは、目標車間距離Lf1に基づいて設定され、先行車速Vfが小さくなると、少なくとも最小車間距離Lo以上を確保すべく目標車間距離Lf2に基づいて設定されることになる。
【0041】
ところで、同式には目標車間距離LfにL/Laが乗算されているが、このL/Laは、図10に示すように、自車と先行車との間に他の車両(割込み車)が急に割り込んできたような場合を考慮して設けられた修正係数である(目標車間距離減縮手段)。
【0042】
ここに、Laは、自車速Veと相対速度Vrとに基づき予め設定され、自車が先行車に接近したときの制動開始距離であり、図5に示すようなVe、VrとLaとの関係を示すマップに基づいて設定されるものである(制動開始距離設定手段)
【0043】
つまり、他の車両が急に割り込んできたような場合、車間距離Lは新たに当該他の車両と自車との車間距離を示すことになり、該新たな車間距離Lは一気に制動開始距離Laの範囲内となる場合が多いのであるが、このような場合には、車間距離Lの制動開始距離Laに対する割り込みの度合、即ちL/Laに応じて目標車間距離Lfを修正(減縮)するのである(図10参照)。
【0044】
これにより、他の車両が急に割り込んできた場合には、目標車間距離が減縮されることで目標減速度αerが小さく変更され、自車が急制動することなく緩やかに減速することになる。
【0045】
つまり、図11を参照すると、他の車両が急に割り込んだ場合の自車速Veと車間距離Lの時間変化が示されており、同図中実線がL/Laに応じて目標車間距離Lfを修正した場合を示し、破線が当該修正を行わなかった場合を示しているが、L/Laを考慮することで、自車速Veが緩やかに減速し、車間距離Lが一時的に小さくなるものの全体的に緩やかに増大することになる。故に、割り込みがあった場合であっても、車両1の乗員が減速ショックを感じることが好適に防止される。
【0046】
なお、他の車両の割り込みなく本来の先行車を良好に追尾している場合、或いは割り込みがあった後当該他の車両との車間距離Lが徐々に広がり制動開始距離Laよりも大きくなった場合のように修正係数L/Laが値1を超える場合には、該修正係数L/Laは値1にクリップされ、目標車間距離は図4のマップに基づく通常の目標車間距離Lfとされる。
【0047】
また、同式中のαaは先行車加速度αfの変動等に基づく補正値であり、次式(5)から算出される。
【0048】
αa=αf・(L−Le・L/La)/(L−Lf・L/La) …(5)
ここに、Leは自車速Veに基づき設定される追従制御時の目標車間距離である。詳しくは、ECU50には、図6に示すように上記図4と同様のVeとLeとの関係を示すマップが予め設定され記憶されており、当該目標車間距離Leは当該マップから求められる。
【0049】
なお、当該補正値αaの算出式においても、目標車間距離Le及び目標車間距離Lfは修正係数L/Laによって修正されており、故に、該補正値αaは他の車両の割り込みを考慮した適正な補正値とされている。
【0050】
以上のようにして先行車減速走行中の自車の目標減速度αerと先行車定速走行中の自車の目標減速度αecとが求められたら、次のステップS44及びステップS46において目標減速度αerと目標減速度αecに対する重みを求める。
【0051】
ステップS44では、先ず先行車加速度αfに基づく重みW1を算出する。
【0052】
詳しくは、ECU50には図7に示すような先行車加速度αfと重みW1との関係を示すマップが予め設定され記憶されており、重みW1は当該マップから求められる。
【0053】
つまり、重みW1は、先行車加速度αfが負側に小さくなり、つまり先行車減速度が大きくなって所定値αf1(例えば、−0.05G)以下になると値0から徐々に増加し、所定値αf2(例えば、−0.2G)に達したところで値1となるよう設定されている。
【0054】
さらに、ステップS46では、追尾状態カウンタCNTに基づく重みW2を算出する。
【0055】
詳しくは、ECU50には上記同様にして図8に示すような追尾状態カウンタCNTと重みW2との関係を示すマップが予め設定され記憶されており、重みW2は当該マップから求められる。
【0056】
ここに、追尾状態カウンタCNTは、車両1が先行車に対し追尾状態にあるときに当該ルーチンの実行周期毎に加算されるカウンタであり、少なくとも下記1)〜3)の条件が満たされると追尾状態と判定され加算されるようにされている。
【0057】
1) (制御状態)≠(制動制御)
2) L<Le・3/2
3) |Vr|<Vr1(例えば、5km/h)
即ち、車両1が追尾状態になると追尾状態カウンタCNTが加算され始めることになるのであるが、重みW2は、該追尾状態カウンタCNTが所定値CNT1(例えば、0.5secに対応する値)を超えると値0から徐々に増加し、所定値CNT2(例えば、2.0secに対応する値)に達すると値1となるよう設定されている。つまり、重みW2は追尾状態の継続時間が長くなるにつれて値1に近づくようにされている。
【0058】
このように、先行車加速度αfに基づく重みW1と追尾状態カウンタCNTに基づく重みW2とが各マップよりそれぞれ求められたら、次のステップS48において、重みW1、重みW2及び前回値Wn-1のうち最大のものを選択し、この値を重みWに設定する。
【0059】
そして、ステップS50において、当該重みWを加味するようにして先行車減速走行中の目標減速度αerと先行車定速走行中の目標減速度αecとの加重平均を次式(6)から求め、当該加重平均値を最終的に目標減速度αeとする。
【0060】
αe=αec・(1−W)+αer・W …(6)
このように、重みWを加味して目標減速度αeを求めるようにすることにより、例えば、自車が遠方から先行車に追いついて定速走行した後、先行車の走行状態に応じて減速走行し、目標減速度αeが目標減速度αecから目標減速度αerに切換わるような場合、該目標減速度αeが目標減速度αecから目標減速度αerへ急激に切換わることがなくなり、車両1の乗員が違和感を感じることが好適に防止されることになる。
【0061】
従って、例えば先行車が定速走行しており、自車が遠方から該先行車に追いつくような状況では、先行車加速度αf、つまり先行車減速度は小さく、重みW1は値0或いはその近傍となり、また、追尾状態カウンタCNTも上記各条件を満たさないことから、重みW2についても値0或いはその近傍となる。故に、この場合には、重みWは値0或いはその近傍とされ、目標減速度αeは主として目標減速度αecに基づいて設定される。
【0062】
一方、自車が上記先行車に追いつき追尾状態となると、追尾状態カウンタCNTが加算され始めることになり、この場合には、重みW2、ひいては重みWが徐々に増加し、目標減速度αeが目標減速度αecから目標減速度αerに徐々に移行することになる。即ち、追尾状態がある程度継続したら、目標減速度αeが徐々に目標減速度αerに基づき算出されるよう予め切換えられる。故に、その後先行車が減速した場合であっても、目標減速度αeが急激に切換えられるようなことがなくなり、乗員が違和感を感じることが好適に防止される。
【0063】
自車が上記先行車に追いつき追尾状態となった直後に先行車が減速したような場合には、先行車加速度αfが負側に小さくなり、つまり先行車減速度が大きくなり、重みW1が徐々に大きくなる。故に、この場合には、上記重みW2の増加を待たずとも重みWが徐々に値1となり、目標減速度αeは速やかにして徐々に目標減速度αecから目標減速度αerに移行することになる。従って、この場合においても、目標減速度αeが急激に切換えられるようなことがなくなり、乗員が違和感を感じることが好適に防止されることになる。
【0064】
ところで、以上のようにして目標減速度αeが演算されることになるが、当該追尾走行制御では、目標減速度αeを実際の制御に適用するにあたり、目標減速度αeの出力値、即ち目標減速度出力αe−outと目標減速度入力αe−inとの間にヒステリシスが設けられている。
【0065】
つまり、図9を参照すると、目標減速度出力αe−outと目標減速度入力αe−in間のヒステリシスの関係(実線矢印)が示されているが、同図に示すように、目標減速度αeが増加するときには、傾きKは値1(K=1)とされて目標減速度出力αe−outが目標減速度入力αe−inと同一の値とされる一方、目標減速度αeが減少する場合には、目標減速度入力αe−inが所定値Xi1以上では傾きKが値1(K=1)であるもののオフセットした線に沿い減少し、目標減速度入力αe−inが所定値Xi1よりも小さく目標減速度出力αe−outが所定値Xo1よりも小さい範囲では、傾きKが値K1(K1>1、例えば1.4)である線に沿って減少する。
【0066】
これにより、通常目標減速度入力αe−inは先行車の挙動変化やスキャン式レーザレーダ2から出力される信号のノイズによる乱れ等によって細かく変動しており、特に自車が先行車に接近するとノイズが大きくなり当該変動が大きくなるのであるが、このように目標減速度入力αe−inが変動するような場合であっても、目標減速度出力αe−out、即ち目標減速度αeが変動してしまうことが好適に防止される。
【0067】
図2に戻り、ステップS22では、上記ステップS12で検出した自車速Veが所定の低車速Ve0(例えば、40km/h)よりも大きいか否かを判別する。判別結果が偽(No)で自車速Veが所定の低車速Ve0以下の場合には、一般的には車両1は街中走行をしており、運転者はブレーキペダル28を操作する頻度が高いと判断でき、追尾走行制御を実施せず当該ルーチンを抜ける。
【0068】
一方、ステップS22の判別結果が真(Yes)で自車速Veが所定の低車速Ve0よりも大きい場合には、次にステップS24に進む。
【0069】
ステップS24では、自車を減速すべきか否かの判別を行う。即ち、ここでは制動制御をすべきかスロットル制御をすべきかの判別を行う。詳しくは、下記1)〜3)の条件が成立した場合に制動制御を行うようにする。
【0070】
1) 追尾走行制御中
2) Vr<0
3) L<La 又は αer>αer1
つまり、当該ステップS24では、追尾走行制御中に相対速度Vrが負となり、車間距離Lが制動開始距離Laを割り込んだか否か、或いは先行車減速走行中の自車の目標減速度αerが予め設定した所定値αer1を超えたか否かを判別する。
【0071】
ステップS24の判別結果が偽(No)で、上記条件のいずれかが成立していない場合には、次にステップS26に進み、スロットル制御を行う。なお、スロットル制御は、走行状態に応じて上記スロットルアクチュエータ12を制御するものであるが、本発明とは直接関係ないためここでは説明を省略する。
【0072】
一方、ステップS24の判別結果が真(Yes)で、上記各条件が成立したと判定された場合には、次にステップS28に進み制動制御を実行する(制動制御手段)。
【0073】
ステップS28では、制動制御の実行にあたり、スロットル閉制御を実施する。つまり、スロットルアクチュエータ12によってスロットルバルブ8を閉作動させ、車両1が制動中に不用意に加速されることを防止する。
【0074】
次のステップS30では、各種クリップ制御を行う。詳しくは、当該ステップS28では、目標減速度αeについての各種クリップ制御、即ち各種制限制御を行う。
【0075】
目標減速度αeの制限制御としては、例えば、制動制御中に運転者がアクセルペダル(図示せず)を操作してオーバライド(加速)した後に目標減速度αeを徐変させる制限制御、追尾走行切換操作スイッチ38を操作し追尾走行制御を開始した直後に目標減速度αeを徐変させる制限制御の他、自車速Veが上記所定の低車速Ve0(例えば、40km/h)以下となった直後にテーリングさせる制限制御、先行車速Vfが所定の低車速Vf0以下となった直後にテーリングさせる制限制御、車間距離Lが大きいときの制限制御等がある。つまり、目標減速度αeを目標減速度αeが急激に変化するような状況のときにおいて各種制限制御を行う。
【0076】
これにより、目標減速度αeの急激な変化が防止され、車両1が急激に減速したり減速状態が急に解除されたりするようなことが排除されることになり、追尾走行制御が違和感なく実現される。なお、これら各種制限制御の詳細についてはここでは説明を省略する。
【0077】
上記各種クリップ制御が実施され、目標減速度αeが各種制限制御により適宜制限されたら、ステップS32に進む。
【0078】
ステップS32では、サービスブレーキ24によって発生させるべき制動力の演算を行う。詳しくは、上記のように求めた目標減速度αeを生起可能な制動力を算出し、該制動力に応じてブレーキアクチュエータ30に供給する信号値を決定する。
【0079】
そして、ステップS34において、ブレーキアクチュエータ30に上記制動力に応じた信号を供給する。これにより、ブレーキアクチュエータ30が適正に作動することになり、サービスブレーキ24によって良好且つ適正な制動力が生起される。
【0080】
以上説明した如く、本発明に係る走行制御装置では、自車の前方に他の車両が制動開始距離Laの範囲内で急に割り込んできたような場合には、当該他の車両との車間距離Lに応じ、該車間距離Lの制動開始距離Laに対する割り込みの度合、即ちL/Laに基づいて目標車間距離Lfを減縮し修正するようにしている。
【0081】
従って、他の車両が急に割り込んできた場合であっても、目標車間距離が一時的に減縮され目標減速度αerが小さく変更されることで自車を緩やかに減速させることが可能となり、乗員が減速ショックを感じることのない追尾走行制御の実現が可能とされる。
【0082】
また、当該走行制御装置では、目標車間距離Lfを車間距離Lに応じて減縮するようにし、常に目標車間距離を存在させ、該目標車間距離を目標に制御を行うようにしている。
【0083】
従って、割り込んだ他の車両に自車が不用意に接近し過ぎてしまうようなことが好適に防止可能となり、走行安全性が良好に確保されることにもなる。
【0084】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1の車両の走行制御装置によれば、自車と先行車との車間距離が目標車間距離となるよう自車の車速を制御し走行制御を行う車両の走行制御装置において、自車の目標減速度を自車速と先行車速との相対速度、車間距離及び目標車間距離に基づいて演算し、制動装置を上記演算された目標減速度に基づいて作動制御することになるが、追尾走行制御中に自車と先行車との間に他の車両が割り込んできたような場合のように車間距離が自車速及び先行車速のいずれか一方のみに基づき設定される目標車間距離よりも急減し短くなったときには、自車速と相対速度に基づき自車の制動開始距離を設定し、急減した車間距離の上記制動開始距離に対する割合に応じて目標車間距離を減縮し、該凝縮した目標車間距離に基づいて目標減速度を小さくするようにしている。
【0085】
従って、他の車両が割り込んできた場合であっても、自車を緩やかに減速させて乗員が減速ショックを感じることがないようにでき、滑らかな追尾走行制御を実現することができる。
【0086】
さらに、当該走行制御装置では、このように常に目標車間距離を存在させておくことで、割り込んだ他の車両に自車が不用意に接近し過ぎてしまうようなことを好適に防止でき、走行安全性を十分確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両に搭載された本発明に係る走行制御装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る追尾走行制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】図2中の目標減速度αeの演算処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】先行車速Vfと先行車に基づく目標車間距離Lfとの関係を示すマップである。
【図5】自車速Veと制動開始距離Laとの関係を示すマップである。
【図6】自車速Veと目標車間距離Leとの関係を示すマップである。
【図7】先行車加速度αfと重みW1との関係を示すマップである。
【図8】追尾状態カウンタCNTと重みW2との関係を示すマップである。
【図9】目標減速度出力αe−outと目標減速度入力αe−in間のヒステリシスの関係を示すグラフである。
【図10】自車と先行車との間に他の車両が割り込んできた場合の目標車間距離(Lf・L/La)を説明する図である。
【図11】自車と先行車との間に他の車両が割り込んできた場合に目標車間距離(Lf・L/La)に基づいて制御を行ったときの自車速Ve(a)及び車間距離L(b)の時間変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 車両(自車)
2 スキャン式レーザレーダ
24 サービスブレーキ(制動装置)
28 ブレーキペダル
30 ブレーキアクチュエータ
32 車輪速センサ
38 追尾走行切換操作スイッチ
50 電子制御ユニット(ECU)

Claims (1)

  1. 自車と先行車との車間距離が目標車間距離となるよう自車の車速を制御し走行制御を行う車両の走行制御装置において、
    自車に制動力を自動的に付加する制動装置と、
    前記車間距離を検出する車間距離検出手段と、
    自車速を検出する自車速検出手段と、
    先行車速を検出する先行車速検出手段と、
    前記自車速及び前記先行車速のいずれか一方のみに基づき前記目標車間距離を演算する目標車間距離演算手段と、
    自車の制動開始距離を自車速と相対速度に基づき設定する制動開始距離設定手段と、
    前記自車速と前記先行車速との相対速度、前記車間距離及び前記目標車間距離に基づき、自車の目標減速度を演算する目標減速度演算手段と、
    前記車間距離が前記目標車間距離よりも急減したとき、該急減した車間距離前記制動開始距離に対する割合に応じて前記目標車間距離を減縮する目標車間距離減縮手段と、
    前記目標減速度に基づき前記制動装置を作動制御する制動制御手段と、
    を備えたことを特徴とする車両の走行制御装置。
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