JP3747853B2 - 弾性表面波装置を備えた分波器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話等の電子部品として使用される、分波器用の弾性表面波装置、及びそれを有する分波器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の弾性表面波装置(以下、SAWデバイスという)では、図9に示すように、弾性表面波フィルタ(以下、SAWフィルタという)を内表面上に収納する、略直方体形状のパッケージ27が設けられ、SAWフィルタの入出力用の各信号端子27a、27bが、各信号端子27a、27bや各接地端子27cが整列している端子群の中心に位置、つまり上記パッケージ27の外表面の各辺部の中央部に設けられている。
【0003】
上記SAWフィルタでは、圧電基板上に、くし型電極部(すだれ状電極ともいう、Inter-Digital Transducer、以下、IDTという)が、複数、フィルタ機能を発揮できるように、入出力用の各信号端子や接地端子に接続されて設けられている。よって、上記SAWフィルタにおいては、電気信号(交流)が一つのIDTに入力されると、そのIDTにて弾性表面波が圧電基板上に発生して、圧電基板上を伝搬し、伝搬した弾性表面波が他のIDTにて検出されて電気信号となり出力されることにより、フィルタ機能を発揮することが可能となる。
【0004】
このようなSAWデバイスとしては、例えば図10に示すように、上記SAWフィルタ37の各信号電極とパッケージ27の各信号用内部電極37a、37bとを各ワイヤボンディング30、31によりそれぞれ接続したSAWデバイスが特開平7−264000号公報に開示されている。
【0005】
また、特開平6−97759号公報には、図11に示すように、SAWフィルタ42の信号電極とパッケージ27の各電極47a、47bとを各バンプボンディング48によりそれぞれ接続したSAWデバイスが開示されている。
【0006】
このようなSAWデバイスを、送信側と受信側とに2つ、回路基板上に搭載した分波器が知られている。アンテナからの信号を初めにフィタリングすることになる分波器のSAWデバイスにおいては、互いに通過周波数帯域が相違する送信側、受信側のそれぞれのSAWフィルタは、相手側の通過周波数帯域における減衰量を大きくとれている必要がある。
【0007】
このようなSAWデバイスをそれぞれ有する分波器を小型化する場合、特開平9−181567号公報では、図12及び図13に示すように、SAWデバイスのパッケージ27の各辺を、回路基板51の各辺に対し45°回転させて、上記パッケージ27を回路基板51上に搭載し、回路基板51の外部端子とSAWデバイスの各端子とを回路基板51上の配線パターンにより接続していた。
【0008】
更に、特開平11−17495号公報でも、図9に示す形状のSAWデバイスのパッケージ27を使用して、図14に示すように、上記パッケージ27を回路基板61上に搭載していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のSAWデバイスを用いた分波器では、信号端子間をつなぐ電極が長くなり、相手側の通過周波数帯域において減衰量が大きくとれないという問題を生じている。
【0010】
一方、SAWフィルタをプリント基板やセラミック基板上に実装し、モジュール化することを特徴とした電子部品においては、サイズの小型化のトレンドから十分なグランド面積を設けることができず、相手側の通過周波数帯域において減衰量が大きくとれないという問題を生じている。
【0011】
また、従来のSAWデバイスは、他の電子部品とのパッケージの共有化と、ワイヤボンディングが簡単であったために、パッケージの辺部の中央に信号端子が配置されていた。しかし、中央に信号端子が配置されていると、グランド端子が上記辺部の両端部に配置されるため、各グランド端子に接続されるダイアタッチ面が分断されて、その面積が狭くなり、また、グランド電極の分散からグランドが十分にとれないという問題を生じている。その上、パッケージの信号端子とIDTとを結ぶワイヤとが入出力端子のそれぞれで近くなることから、相互に干渉して特性が悪化するという問題も生じている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のSAWデバイスは、上記課題を解決するために、SAWフィルタを搭載するパッケージが、略直方体の外形を有するように設けられ、パッケージの外底面における2つの各第1隅部に、SAWフィルタのための入力用と出力用との各信号端子がそれぞれ配置され、パッケージの外底面における2つの各第1隅部であって上記パッケージの外底面における互いに対向する2辺部上に、SAWフィルタのための入力用と出力用との各信号端子がそれぞれ配置され、パッケージの外底面における、上記各第1隅部と異なる2つの各第2隅部と、上記2辺部上における上記各第1隅部および上記各第2隅部の間とに、SAWフィルタのための接地端子がそれぞれ配置されていることを特徴としている。
【0013】
上記SAWデバイスでは、上記各第1隅部の各信号端子は、上記外底面の対角線上にそれぞれ配置されていてもよい。
【0014】
上記SAWデバイスでにおいては、上記各第1隅部の各信号端子は、上記外底面の1辺部上にそれぞれ配置されていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、各信号端子を、パッケージの1辺部の端部に、または、パッケージの1辺部の隅部、または、上記パッケージにおける互いに対向する上記2辺部の対角線上、かつ上記2辺部の端部にそれぞれ配置することで、信号端子に接続される配線パターンを短くできて、通過周波数帯域外にて生じる干渉を抑制でき、通過周波数帯域外における減衰量が大きくできる。
【0016】
また、上記構成では、信号端子を端部や隅部に配置することにより、接地端子を集中させることができ、例えば、PCB基板等の回路基板に搭載したとき、上記回路基板のダイアタッチ面のグランドを強化できて、減衰特性などの伝送特性を向上できる。
【0017】
さらに、上記構成においては、各信号端子を端部や隅部や対角上にそれぞれ配置することにより、各信号端子間の距離を従来より大きく確保でき、よって、各信号端子に接続される、例えばワイヤ間の間隔を大きくできて、伝送特性の改善が可能となる。
【0018】
その上、上記構成では、各信号端子間の距離を確保できるから、例えば、受信側の信号が送信側に回り込むことを防止する効果を得ることができて、各信号端子にそれぞれ接続されたワイヤ間に生じる直達波を従来より抑えて、伝送特性を改善できる。
【0019】
本発明の分波器は、前記課題を解決するために、上記に何れかのSAWデバイスが回路基板上に設けられていることを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、本発明に係るSAWデバイスを用いたことにより、通過周波数帯域外における減衰量が大きくできるので、例えば、2つの互いに異なる通過周波数帯域を有する2つのSAWデバイスを用いた場合、相手側の通過周波数帯域における減衰量が大きくできて、伝送特性を改善できる。
【0021】
上記分波器においては、送信用と受信用の少なくとも2つのSAWデバイスを互いに隣合うように備え、2つのSAWデバイスのアンテナ側で共通化されるそれぞれの信号端子が互いに隣合うように、2つのSAWデバイスはそれぞれ配置されていることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、2つのSAWデバイスのアンテナ側で共通化されるそれぞれの信号端子が互いに隣合うように、2つのSAWデバイスをそれぞれ配置したので、信号端子に接続される配線パターンをより確実に短くできて、相手側の通過周波数帯域において干渉を抑制でき、相手側の通過周波数帯域における減衰量を大きくできる。
【0023】
上記分波器では、送信用と受信用の少なくとも2つのSAWデバイスを備え、受信用のSAWデバイスにおける入力用と出力用との各信号端子がパッケージの対角線上となるようにそれぞれ配置されていてもよい。
【0024】
上記構成によれば、受信用のSAWデバイスにおいて、各信号端子をパッケージの対角線上となるようにそれぞれ配置したことによって、各信号端子間の距離を従来より大きく確保できる。このことから、各信号端子に接続される、例えばワイヤ間の間隔を大きくできて、各ワイヤ間の結合を抑制でき、送信側の通過帯域周波数における減衰量を受信用のSAWデバイスにて大きくできる。
【0025】
また、上記構成では、前述したようにダイアタッチ面の面積を広く設定することが可能となって、グランドが強化されるので、送信側の通過帯域周波数における減衰量を受信用のSAWデバイスにて大きくできる。
【0026】
上記分波器においては、送信用のSAWデバイスにおける入力用と出力用との各信号端子がパッケージの同じ辺部の両端にそれぞれ配置されていてもよい。
【0027】
上記構成によれば、従来のパッケージの2辺の中央に入出力用の各信号端子のあるSAWフィルタを用いた場合と比べて、配線が容易、かつ短くなり、小型化が可能となる。
【0028】
上記分波器では、送信用と受信用の少なくとも2つのSAWデバイスを備え、送信用のSAWデバイスの入力側端子と受信用のSAWデバイスの出力側端子とが、各SAWデバイスにおける互いに隣合う辺部と反対側の辺部にそれぞれ配置されていることが望ましい。
【0029】
上記構成によれば、上記の配置により、信号端子に接続される配線パターンをより確実に短くできて、相手側の通過周波数帯域において干渉を抑制でき、相手側の通過周波数帯域における減衰量が大きくできる。
【0030】
上記分波器においては、送信用のSAWデバイスの入力側端子と受信用のSAWデバイスの出力側端子とが、互いに回路基板の対角線上に沿ってそれぞれ配置されていることが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、上記の配置により、信号端子に接続される配線パターンをより確実に短くできて、相手側の通過周波数帯域において干渉を抑制できて、相手側の通過周波数帯域における減衰量が大きくできる。
【0032】
さらに、上記構成では、上記配置によって、送信用のSAWデバイスの入力側端子と受信用のSAWデバイスの出力側端子とを、より一層確実に離間させるので、送信側から受信側へのアイソレーションを良好に保つことができる。
【0033】
その上、上記構成においては、分波器の各信号端子(ANT.、Tx.、Rx.)間の間隔を従来より大きく確保できて、分波器内の直達波、ユーザの回路基板における直達波を抑制できる。
【0034】
上記分波器では、送信用のSAWデバイスのパッケージと、該パッケージと同じ大きさの受信用のSAWデバイスのパッケージとが互いにずらして回路基板上に実装されていることが望ましい。
【0035】
上記分波器においては、送受信用の各SAWデバイスにおける、アンテナ側の結合部に接続される整合用電子部品が設けられ、上記整合用電子部品と各SAWデバイスとを覆うように導電性のカバー材が搭載されていてもよい。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図1乃至図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0037】
本発明に係るSAWデバイスでは、図2に示すように、例えば40±5°YcutX伝搬LiTaO3からなる圧電基板1上に、複数、例えば5個のIDT2〜6が、例えば横結合共振子型にて設けられている。
【0038】
IDT2〜6は、帯状の基端部(バスバー)と、その基端部の一方の側部から直交する方向に延びる複数の、互いに平行な帯状の電極指とを備えた電極指部を2つ備えており、上記各電極指部の電極指の側部を互いに対面するように互いの電極指間に入り組んだ状態にて上記各電極指部を有するものである。
【0039】
このようなIDT2〜6では、各電極指の長さや幅、隣り合う各電極指の間隔、互いの電極指間での入り組んだ状態の対面長さを示す交叉幅を、それぞれ設定することにより信号変換特性や、通過帯域の設定が可能となっている。
【0040】
また、上記SAWデバイスにおいては、略直方体の外形を有する有底箱状に形成されたパッケージ7が圧電基板1を内表面7gの中央部上に収納して設けられている。さらに、パッケージ7の上における、圧電基板1の収納位置と異なる、内表面7gの周辺部には、入出力用の各信号用内部電極7a、7bが、略長方形状の内表面7gの対角線上の各隅部にそれぞれ設けられている。
【0041】
また、上記内表面7gでは、他の2つの各隅部に、各接地用内部電極7c、7dが、さらに、信号用内部電極7aと、接地用内部電極7dとの間に接地用内部電極7eが、信号用内部電極7bと接地用内部電極7cとの間に接地用内部電極7fが、それぞれ設けられている。
【0042】
一方の入出力用の信号用内部電極7aと、IDT2とIDT3との共通電極である信号電極8とがワイヤ10によりパッケージ7内にてワイヤボンディングされている。他方の入出力用の信号用内部電極7bと、IDT5とIDT6との共通電極である信号電極9とがワイヤ11によりパッケージ7内にてワイヤボンディングされている。また、IDT2の他方のバスバー2aは、接地用内部電極7cとワイヤ12によりパッケージ7内にてワイヤボンディングされて接地(アース)されている。IDT4の一方のバスバー4aは、接地用内部電極7eとワイヤ13によりパッケージ7内にてワイヤボンディングされて接地されている。IDT6の他方のバスバー6aは、接地用内部電極7dとワイヤ14によりパッケージ7内にてワイヤボンディングされて接地されている。
【0043】
図3に示すように、パッケージ7における、上記内表面7gの反対面である外表面(外底面)17gには、各信号用内部電極7a、7bに対面する位置に、それぞれ外部との接続のための、信号端子17a、17bが設けられ、各接地用内部電極7c〜7fに対面する位置に、各接地端子17cがそれぞれ設けられている。よって、信号端子17a、17bは、略長方形状の外表面17gの対角線上となる、各隅部に設けられていることになる。
【0044】
なお、上記では、信号端子17a、17bを外表面17gの対角線上となる、各隅部に設けた例を挙げたが、図4に示すように、外表面17gの一辺部の両端部(隅部)に信号端子17h、17iを設けてもよい。信号端子17h、17iは、機能的には信号端子17a、17bと同様なものである。
【0045】
このようなSAWデバイスにおいては、入出力用の各信号端子の内、少なくとも一方の信号端子を一辺部の端部に設けたので、隣り合う各接地端子17c間に信号端子が配置されることを防止できるので、各接地端子17cを互いに隣り合わせて集中させることができる。これにより、パッケージ7における、外表面17gであるダイアタッチ面のグランドを強化させることが可能となり、伝送特性を向上できる。
【0046】
ところで、従来のSAWデバイスでは、図9に示すように、パッケージ7と同様なパッケージ27において、各信号端子27a、27bが互いに対向する各辺部の中央部にそれぞれ設けられていた。そこで、比較のために、図5に示すように、ワイヤ10に対応するワイヤ30、ワイヤ11に対応するワイヤ31を用いて、入出力用の信号用内部電極37aと信号電極8とが、他方の入出力用の信号用内部電極37bと信号電極9とがパッケージ27内にてワイヤボンディングされた比較SAWデバイスを作製した。
【0047】
このような比較SAWデバイスでは、ワイヤ30とワイヤ31とが、それぞれ、中央部の各信号用内部電極37a、37bに接続されているので、互いに近づくようにボンディングされることになる。
【0048】
一方、本発明では、各隅部に配置された各信号用内部電極7a、7bにワイヤ10とワイヤ11とが、それぞれ接続されているので、各ワイヤ10、11同士の距離を従来より離すと共に、各ワイヤ10、11間の距離を設けつつ、互いに平行にする事ができるので、受信側の信号が送信側に回り込むことを防止する効果を得ることができる。これにより、本発明では、各ワイヤ10、11間に生じる直達波を比較SAWデバイスより抑えて、伝送特性を改善できる。
【0049】
その伝送特性の改善について、図2及び図3に示した本発明に係るSAWデバイスと、図5に示した比較SAWデバイスの伝送特性とをそれぞれ調べた。それらの結果を図6に合わせて示した(本発明を実線にて示し、比較SAWデバイスを破線にて示した)。
【0050】
その結果から明らかなように、本発明は、ダイアタッチ面でのグランド(アース)面積を広くとることができてグランドを強化できるので、通過帯域外の減衰量を大きくできる。よって、本発明のSAWデバイスを、後述するように分波器に用いることにより、分波器において相手側の減衰量を大きくなるように改善できる。
【0051】
また、本発明では、図6に示すように、減衰の極が、比較SAWデバイスより大きいことが分かる。このように減衰の極が大きいことで、本発明のSAWデバイス及びそれを有する後述する分波器(DPX)に限らず、本発明の各信号用内部電極(信号端子)の配置を有する電子部品の製造公差を広くでき、上記電子部品の歩留りを向上できる。
【0052】
本発明に係る分波器では、図1に示すように、回路基板21上に送受信用の2つのSAWデバイス22、23と、アンテナ結合部の接続用である配線パターン21aに整合用LC素子である各整合素子24、25、26が接続されてそれぞれ搭載されている。
【0053】
SAWデバイス22、23は、上述した本発明に係るSAWデバイスであって、入出力端子用の各信号端子の内、少なくとも一方の信号端子をパッケージにおける一辺部の端部に設けたものである。さらに、図1及び図3に示す様に受信側のSAWデバイス22のパッケージ7では、信号端子17a、17bはパッケージ7の2辺部で、かつ対角線上に配置されている。一方、送信側のSAWデバイス23パッケージでは、信号端子17h、17iがパッケージの1辺部にのみで、かつ1辺部の両端部にそれぞれ配置されている。
【0054】
以上のような2つのSAWデバイス22、23をプリント基板である回路基板21上に互いに並べて、互いに対面する各辺部を平行となり、かつ、対面する辺部に隣接する各辺部を略同一直線上となるように実装した場合、送受信側の各SAWデバイス22、23におけるアンテナ側の各信号端子17a、17iは、配線パターン21aに対しバンプボンディングにより接続すると共に、各SAWデバイス22、23を互いに近接して隣合うように回路基板21上に実装できる。
【0055】
また、SAWデバイス22の他方の信号端子17bは、回路基板21上の受信側の配線パターン21bに接続されている。SAWデバイス23の他方の信号端子17hは、回路基板21上の送信側の配線パターン21cに接続されている。
【0056】
さらに、配線パターン21aは、回路基板21のANT側の辺部中央の第一スルーホールを介して回路基板21の裏面側(配線パターンの形成面の反対面)のANT外部端子(図示せず)に接続されている。配線パターン21bは、ANT側の辺部に隣接する辺部中央の第二スルーホールを介して回路基板21の裏面側のRx外部端子(図示せず)に接続されている。配線パターン21cは、ANT側の辺部に隣接し、かつ第二スルーホールの辺部とは対向する位置の辺部中央の第三スルーホールを介して回路基板21の裏面側のTx外部端子(図示せず)に接続されている。
【0057】
ところで、従来、分波器の小型化のためSAWデバイスのパッケージを45度回転させて配置しているが(図12、図13参照)、アンテナ結合部の接続用の配線パターンが複雑であり、更にパッケージの送信側入力端子や受信側出力端子から分波器の信号端子への配線にも余分な配線パターンの領域が必要となっていた。
【0058】
それに対し、本発明では、信号端子を隅部に設けたことにより、従来に比べ小型の分波器、及び複合電子部品の実現が可能となる。分波器以外でも、より大きな回路ブロックに複数のSAWデバイスを実装し電気的に接続する場合においても、その回路ブロックの配線が容易となり、小型化が図れる。
【0059】
また、本発明では、回路基板21上において、送信入力と受信出力端子が互いに対角線上に、互いに最も離れた位置に配置されているので、送信側から受信側に対する、アイソレーションを良好に保つことができる。
【0060】
さらに、図7に示すように、信号端子17a、17bはパッケージ7の2辺部で、かつ対角線上に配置されているSAWデバイス22、22’を回路基板21上に密に(各SAWデバイス22、22’の合計搭載面積と回路基板21の搭載面の面積とが略同一に)搭載して、極力小型化を図った場合においては、アンテナ端子側となる送受信の信号端子17aは互いに近接して隣り合い、他方の信号端子17bは互いに分波器の各コーナ部(隅部)へ最も離間して配置されるので、送信側から受信側に対する、アイソレーションをより一層良好に保つことができる。
【0061】
その上、上記構成では、回路基板21上の一辺部の中央部に、アンテナ端子用の配線パターン21a、上記一辺部に対向する他の一辺部の両隅部に受信側の配線パターン21b、送信側の配線パターン21cを設ければよく、よって、受信側及び送信側端子面への従来必要であった配線パターンを回路基板21上から除くことができて、接地用の配線パターン21dの面積を増加でき、送信側から受信側に対する、アイソレーションをより一層良好に保つことができる。
【0062】
ところで、一定の面積の中で分波器の特性を発揮させるには、SAWデバイス22、23と整合素子24、25、26の実装レイアウトが特性に大きく効いてくる。例えば、既存の設計で使用部品が比較的多い場合において、小型化を目的として再設計するには使用部品の小型化、削除が考えられるが、SAWデバイスを小型にするには耐電力、インピーダンスの面からかなり大掛かりな設計変更が予想される。
【0063】
また、信号ラインである各配線パターン21a、21b、21cや各整合素子24、25、26のシールドの問題から、図8(b)に示すように、金属カバー15も取り付けなくてはならず、つまりはSAWデバイスのパッケージ7、整合回路24、25、26、金属カバー15のハンダしろを考慮した面積が製品面積となる。
【0064】
そこで、本発明では、図8(a)に示すように、SAWデバイス22、23を、それらの対向面の長手方向に沿って互いにずらして実装し、受信(Rx)側のSAWデバイス22と回路基板21の辺部との間の回路基板21上に整合素子24、25、26を、送信(Tx)側のSAWデバイス23と回路基板21の辺部との間の回路基板21上に金属カバーしろ21eを配置させている。このような回路基板21上に、図8(b)に示すように、各SAWデバイス22、23及び各整合素子24、25、26を覆うように金属カバー15を金属カバーしろ21eにより装着することによって、各整合素子24、25、26、金属カバー15を搭載しつつ小型化を図ることができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明のSAWデバイスは、以上のように、SAWフィルタを搭載するパッケージが、略直方体の外形を有するように設けられ、パッケージの外底面における2つの各第1隅部であって上記パッケージの外底面における互いに対向する2辺部上に、SAWフィルタのための入力用と出力用との各信号端子がそれぞれ配置され、パッケージの外底面における、上記各第1隅部と異なる2つの各第2隅部と、上記2辺部上における上記各第1隅部および上記各第2隅部の間とに、SAEフィルタのための接地端子がそれぞれ配置されている構成である。
【0066】
それゆえ、上記構成では、信号端子の上記配置により信号端子に接続される配線パターンを短くできて、相手側の通過周波数帯域において干渉を抑制できることから、相手側の通過周波数帯域における減衰量が大きくできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の分波器の要部平面部である。
【図2】 上記分波器に用いるSAWデバイスの要部平面図である。
【図3】 上記SAWデバイスのパッケージの各信号端子及び各接地端子の配置を示す説明図である。
【図4】 上記配置の一変形例を示す説明図である。
【図5】 比較SAWデバイスの要部平面図である。
【図6】 本発明のSAWデバイスと比較SAWデバイスとの各伝送特性を示すグラフである。
【図7】 上記分波器の一変形例を示す要部平面部である。
【図8】 上記分波器の他の変形例を示す説明図であって、(a)は金属カバーを外して各SAWデバイスを互いにずらした状態を示す要部斜視部であり、(b)は金属カバーを装着した状態を示す要部斜視部である。
【図9】 従来のSAWデバイスのパッケージの各信号端子及び各接地端子の配置を示す説明図である。
【図10】 上記SAWデバイスの一例の説明図であって、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図である。
【図11】 上記SAWデバイスの他の例の説明図であって、(a)は分解斜視図、(b)は概略断面図である。
【図12】 従来の分波器の一例を示す要部平面部である。
【図13】 従来の分波器の他の例を示す要部平面部である。
【図14】 従来の分波器のさらに他の例を示す要部平面部である。
【符号の説明】
17a、17b、17h、17i 信号端子
21 回路基板
21a 配線パターン
22、23 SAWデバイス(弾性表面波装置)
Claims (4)
- 弾性表面波フィルタを搭載するパッケージが、略直方体の外形を有するように設けられ、パッケージの外底面における2つの各第1隅部であって上記パッケージの外底面における互いに対向する2辺部上に、弾性表面波フィルタのための入力用と出力用との各信号端子がそれぞれ配置され、パッケージの外底面における、上記各第1隅部と異なる2つの各第2隅部と、上記2辺部上における上記各第1隅部および上記各第2隅部の間とに、弾性表面波フィルタのための接地端子がそれぞれ配置されている弾性表面波装置が、回路基板上に設けられている分波器であって、
上記弾性表面波装置は、上記各第1隅部の各信号端子が上記外底面の対角線上にそれぞれ配置されている受信用の弾性表面波装置と、上記各第1隅部の各信号端子が上記外底面の1辺部上にそれぞれ配置されている送信用の弾性表面波装置とを有しており、
上記送信用と受信用の少なくとも2つの弾性表面波装置を互いに隣合うように備え、2つの弾性表面波装置における上記回路基板のアンテナ側で共通化されるそれぞれの信号端子が、当該アンテナ側で互いに隣合うように、かつ、送信用の弾性表面波装置の入力側端子と受信用の弾性表面波装置の出力側端子とが、各弾性表面波装置における互いに隣合う辺部と反対側の辺部にそれぞれ配置されるように、2つの弾性表面波装置はそれぞれ配置されていることを特徴とする分波器。 - 請求項1記載の分波器であって、
上記送信用の弾性表面波装置の入力側端子と、上記受信用の弾性表面波装置の出力側端子とが、互いに上記回路基板の対角線上に沿ってそれぞれ配置されていることを特徴とする分波器。 - 請求項1または2に記載の分波器であって、
上記送信用の弾性表面波装置の上記パッケージと、該パッケージと同じ大きさの上記受信用の弾性表面波装置の上記パッケージとが、互いにずらして上記回路基板上に実装されていることを特徴とする分波器。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の分波器であって、
送受信用の各弾性表面波装置における、アンテナ側の結合部に接続される整合用電子部品が設けられ、上記整合用電子部品と各弾性表面波装置とを覆うように導電性のカバー材が搭載されていることを特徴とする分波器。
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