JP3634960B2 - ジャイレース遺伝子を用いた結核菌群構成細菌の同定・検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、結核菌群を構成する細菌のDNAジャイレースβサブユニットをコードするDNA (以下「gyrB DNA」という)の塩基配列の違いを利用した結核菌群構成細菌の同定・検出法に関するものであり、さまざまな産業分野での利用が可能であるが、とりわけ医学、疫学、獣医学の分野に有用である。
【0002】
【従来の技術】
結核は、世界で9千万人が毎年新たに罹患し、3千万人が毎年死亡する最も重要な感染症にも関わらず、その対策は十分ではない。その原因菌である結核菌群には分類上、ヒトに対して起病性のある結核菌(マイコバクテリウム・ツベルクローシス、Mycobacterium tuberculosis)、ウシ(型)菌(マイコバクテリウム・ボビス、Mycobacterium bovis)及びアフリカ菌(マイコバクテリウム・アフリカヌム、Mycobacterium africanum)とヒトに対する起病性のないネズミ(型)菌(マイコバクテリウム・ミクロティ、Mycobacterium microti)の4菌種が含まれる。従来、これらの結核菌をはじめとする抗酸菌の検査の主たるものはZiehl−Neelsen法による塗抹染色、小川培地を用いた分離培養法ならびに薬剤感受性試験であった。その後の技術の発展によりBACTEC 460 TB システム、Septi−Check AFB、MGIT (Mycobacteria Growth Indicator Tube) などの新規培養技術が開発された。
【0003】
他方、分子生物学的手法を取り入れた方法も新たに開発された。DNAの相同性を利用した菌種の鑑別・同定、ポリメラーゼ連鎖反応(以下、「PCR」という)法による検出、挿入配列IS6110を用いる結核菌の亜分類といった方法がすでに実用段階に入っている。
なかでもPCR法を用いる場合、培養を必要とせず迅速な判定を得るのに適している。その際、用いられる遺伝子は多くの場合rRNA遺伝子であるが、近年、rRNA遺伝子より進化速度の速いタンパク質をコードする遺伝子、なかでもgyrB DNAを用いることによってより詳細で正確な分類・同定ができることが示された。(Yamamoto, S. and S. Harayama 1995 Appl. Environ. Microbiol. 61: 1104−1109. Yamamoto, S. and S. Harayama 1996 Int. J. Syst. Bacteriol. 46: 506−511. Harayama, S. and S. Yamamoto 1996 p250−258 In Molecular Biology of Pseudomonas T. Nakazawa, K. Fukuda, D. Haas, S. Silver (eds) ASM press, Washington, D.C., 山本 敏、原山重明、化学と生物 1996 第34巻 第3号 p. 149−151.,山本 敏、原山重明、農芸化学会誌 1997 第71巻 第9号 p.894−897.)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
結核菌群の細菌は生育速度が通常の細菌よりも遅く、培養を必要とする同定法を用いて結果を得るには二から三週間の時間を必要とする。そこで、培養を必要としないPCR法を用いた方法が結核菌群の細菌を同定する場合必要不可欠な方法といえる。しかしながら、従来用いられてきた rRNA遺伝子を標的とするPCR法に基く同定法では、結核菌群を構成する4菌種のrRNA遺伝子塩基配列の間で違いがないため結核菌群を構成する4菌種を区別することは不可能であった。
本発明は、このような従来法の問題を解決し、結核菌群構成細菌の迅速な同定・検出方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、gyrB DNAの塩基配列の一部が結核菌群を構成する各細菌間で異なっていることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、gyrB DNAを指標として結核菌群を構成する細菌の同定を行うことを特徴とする結核菌群構成細菌の同定方法である。
また、本発明は、gyrB DNAを指標として結核菌群を構成する細菌の検出を行うことを特徴とする結核菌群構成細菌の検出方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の結核菌群構成細菌の同定・検出方法は、gyrB DNAを指標とすることを特徴とする。同定・検出の対象とする結核菌群構成細菌としては、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・アフリカヌム、及びマイコバクテリウム・ミクロティを挙げることができる。gyrB DNAを指標とした同定・検出方法としては、以下に述べる二つの方法を例示することができる。
【0007】
A)PCR を利用する方法
この方法は以下のように行う。
(1)gyrB DNA中の結核菌群構成細菌間で塩基配列の異なる領域を含むオリゴヌクレオチドを合成する。各細菌のgyrB DNAの塩基配列は、図1及び図2に示すように既に決定されているので、上記オリゴヌクレオチドは、この図に基づき合成することができる。好ましいオリゴヌクレオチドとしては、例えば、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、又は配列番号18記載のアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチドを挙げることができ、特に好ましいオリゴヌクレオチドとしては配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、又は配列番号17で表されるオリゴヌクレオチドを挙げることができる。
【0008】
(2)上記で合成したオリゴヌクレオチド、dNTP、DNA ポリメラーゼ及び試料とする細菌のDNA を含む溶液を調製する。溶液中に含まれる各成分の濃度は、通常のPCR に使用する反応溶液と同様でよい。試料とする細菌のDNA は精製されたものである必要はなく、例えば、菌体の破砕物をそのまま使用してもよい。
【0009】
(3)上記で調製した溶液をPCR が起こり得る条件で繰り返し加熱する。加熱の温度、サイクル等はPCR が起こり得る範囲内であれば特に限定されないが、図1及び図2に示すように結核菌群を構成する細菌間のgyrB DNAの相同性が高いので、アニーリング時の温度はかなり高く設定することが望ましい。具体的には、68℃以上に設定することが望ましい。合成したオリゴヌクレオチドと試料として添加した細菌のDNA が、ハイブリダイズすることができれば、加熱の繰り返しによりPCR が起こり、増幅産物が生成する。一方、合成したオリゴヌクレオチドと試料として添加した細菌のDNA が、ハイブリダイズすることができれなければ、PCR は起こらず、増幅産物は生成しない。
(4)上記操作後の溶液について電気泳動を行う。溶液中に増幅産物が含まれていれば、それに対応したバンドが泳動ゲル上に現れる。従って、その電気泳動パターンから細菌の同定、検出を行うことができる。
【0010】
B)制限酵素断片を利用する方法
この方法は、以下のように行う。
(1)結核菌群構成細菌のgyrB DNAの一部と同一なオリゴヌクレオチドと前記DNA の一部と相補的なオリゴヌクレオチドを合成する。各細菌のgyrB DNAの塩基配列は、図1及び図2に示すように既に決定されているので、前記オリゴヌクレオチドは、この図に基づき合成することができる。好ましいオリゴヌクレオチドとしては、例えば、配列番号2記載のアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチドと配列番号4記載のアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチドを挙げることができ、特に好ましいオリゴヌクレオチドとしては配列番号1で表されるオリゴヌクレオチドと配列番号3で表されるオリゴヌクレオチドを挙げることができる。
【0011】
(2)上記で合成した2種類のオリゴヌクレオチドをプライマーとし、試料とする細菌のDNA を鋳型として、PCR を行う。試料とする細菌のDNA は精製されたものである必要はなく、例えば、菌体の破砕物をそのまま使用してもよい。PCR は通常の方法で行うことができる。
(3)上記で増幅されたDNA 断片を制限酵素で消化する。使用する制限酵素は結核菌群を構成する細菌間で異なる断片を生じさせるようなものであれば特に限定されない。このような制限酵素としては、例えば、Rsa I 及びTaq I を挙げることができる。
【0012】
(4)上記で消化された断片について電気泳動を行う。消化されたDNA 断片はその長さに応じた位置に現れる。従って、その電気泳動パターンから細菌の同定、検出を行うことができる。
本発明の同定・検出方法としては、上記の二つの方法を代表例として挙げることができるが、これらの方法以外でも、gyrB DNAを指標とする限り、本発明の同定・検出方法に含まれる。上記の方法以外の同定・検出方法としては、例えば、gyrB DNAをPCR により増幅し、その増幅断片の塩基配列を決定し、細菌の同定・検出を行う方法や、gyrB DNA中の結核菌群構成細菌間で塩基配列の異なる領域を含むオリゴヌクレオチドを合成し、これをプローブとしてサザンブロッティングを行い、細菌の同定・検出を行う方法などを挙げることができる。
【0013】
【実施例】
〔実施例1〕
結核菌群構成細菌4種と他のマイコバクテリウム属に属する細菌5種の合計9種の細菌から純化DNA を10ng調製した。これらのDNA を鋳型とし、配列番号1及び配列番号3記載のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCR を行った。PCR による増幅条件は以下の通りである。
【0014】
Ampli Taq GOLDTM及び添付のPCR buffer Iを使用(米国Perkin Elmer社)
【0015】
PCR による増幅産物をアガロースゲル電気泳動法によって解析した。この結果を図3に示す。なお、レーンと菌種の関係は以下の通りである。
レーン1:マイコバクテリウム・ツベルクローシス
レーン2:マイコバクテリウム・ボビス
レーン3:マイコバクテリウム・アフリカヌム
レーン4:マイコバクテリウム・ミクロティ
レーン5:マイコバクテリウム・カンサシイ(Mycobacterium kansasii)
レーン6:マイコバクテリウム・ガストリ(Mycobacterium gastri)
レーン7:マイコバクテリウム・アブセサス(Mycobacterium abscessus)
レーン8:マイコバクテリウム・ケローネ(Mycobacterium chelonae)
レーン9:マイコバクテリウム・トリビアーレ(Mycobacterium trviale)
【0016】
〔実施例2〕
4種の結核菌群構成細菌から純化DNA を10ng調製した。これらのDNA を鋳型とし、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCR を行った。PCR による増幅条件は実施例1と同じである。
PCR による増幅産物をアガロースゲル電気泳動法によって解析した。この結果を図4に示す。なお、レーンと菌種の関係は以下の通りである。
【0017】
レーン1:マイコバクテリウム・ツベルクローシス
レーン2:マイコバクテリウム・ボビス
レーン3:マイコバクテリウム・アフリカヌム
レーン4:マイコバクテリウム・ミクロティ
図4に示すように、配列番号5及び配列番号7で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとした場合はマイコバクテリウム・ツベルクローシスでのみ増幅産物が観察され、配列番号9及び配列番号11で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとした場合はマイコバクテリウム・ボビスでのみ増幅産物が観察され、配列番号5及び配列番号13で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとした場合はマイコバクテリウム・アフリカヌム及びマイコバクテリウム・ミクロティで増幅産物が観察され、配列番号15及び配列番号17で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとした場合はマイコバクテリウム・ミクロティでのみ増幅産物が観察された。
以上の結果から、プライマーと菌種との関係をまとめると以下のようになる。
【0018】
【表1】
【0019】
〔実施例3〕
4種の結核菌群構成細菌から純化DNA を10ng調製した。これらのDNA を鋳型とし、配列番号1及び配列番号3で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCR を行った。PCR による増幅条件は実施例1と同じである。PCR による増幅産物を制限酵素RsaI及びTaqIで消化し、それによって生ずるDNA 断片をアガロースゲル電気泳動法によって解析した。この結果を図5に示す。なお、レーンと菌種の関係は以下の通りである。
【0020】
レーン1:マイコバクテリウム・ツベルクローシス
レーン2:マイコバクテリウム・ボビス
レーン3:マイコバクテリウム・アフリカヌム
レーン4:マイコバクテリウム・ミクロティ
【0021】
〔実施例4〕
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、及び配列番号17で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとし、結核臨床患者より単離された株 KPM KY631の菌体破砕液を用いてPCRを行った。PCR による増幅産物をアガロースゲル電気泳動法によって解析したところ、配列番号1と配列番号3、及び配列番号5と配列番号7に示した組み合わせでのみ増幅産物が観察されたので、 KPM KY631は結核菌マイコバクテリウム・ツベルクローシスと同定された(表1及び図4)。
【0022】
〔実施例5〕
配列番号1と配列番号3で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとし、結核臨床患者より単離された株 KPM KY590の菌体破砕液を用いてPCRを行い、増幅されたDNA 断片の塩基配列を決定したところ、得られた塩基配列が結核菌マイコバクテリウム・ツベルクローシスの塩基配列と一致したので、KPM KY590は結核菌マイコバクテリウム・ツベルクローシスと同定された(図1及び図2)。
【0023】
〔実施例6〕
配列番号1と配列番号3で表されるオリゴヌクレオチドをプライマーとし、結核に罹患したウシより単離された株の菌体破砕液を用いてPCRを行った。PCR による増幅産物を制限酵素RsaI及びTaqIでそれぞれ消化し、それによって生ずるDNA 断片をアガロースゲル電気泳動法によって解析したところ、マイコバクテリウム・ボビスから得られるパターンと一致したので、この菌株はマイコバクテリウム・ボビスと同定された(図5)。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、従来の方法では迅速に同定及び検出することが困難であった結核菌群を構成する4菌種について迅速な同定及び検出を可能にし、医学、疫学、獣医学の現場でのこれらの菌種の分類を可能にする。
【0025】
【配列表】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】結核菌群を構成する4細菌のgyrB DNAの塩基配列を示す図である(前半部分)。
【図2】結核菌群を構成する4細菌のgyrB DNAの塩基配列を示す図である(後半部分)。
【図3】結核菌群を構成する細菌に特異的なプライマーを用いたPCR による増幅産物の電気泳動写真である。
【図4】結核菌群を構成する各細菌に特異的なプライマーを用いたPCR による増幅産物の電気泳動写真である。
【図5】PCR 産物を制限酵素により消化した断片の電気泳動写真である。
Claims (14)
- マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・アフリカヌム、及びマイコバクテリウム・ミクロティからなる結核菌群を構成する細菌の同定を行う方法が、以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする結核菌群構成細菌の同定方法。
(1)DNA ジャイレースβサブユニットをコードするDNA 中の結核菌群構成細菌間で塩基配列の異なる領域を含むオリゴヌクレオチドを合成する
(2)(1)で合成したオリゴヌクレオチド、dNTP、DNA ポリメラーゼ及び試料とする細菌のDNA を含む溶液を調製する
(3)(2)で調製した溶液をポリメラーゼ連鎖反応が起こり得る条件で繰り返し加熱する
(4)(3)の操作後の溶液について、電気泳動を行い、その電気泳動パターンから細菌の同定を行う - オリゴヌクレオチドが、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、又は配列番号18記載のアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項1記載の結核菌群構成細菌の同定方法。
- オリゴヌクレオチドが、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、又は配列番号17で表されるオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項1記載の結核菌群構成細菌の同定方法。
- マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・アフリカヌム、及びマイコバクテリウム・ミクロティからなる結核菌群を構成する細菌の同定を行う方法が、以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とするの結核菌群構成細菌の同定方法。
(1)結核菌群構成細菌のDNA ジャイレースβサブユニットをコードするDNA の一部と同一なオリゴヌクレオチドと前記DNA の一部と相補的なオリゴヌクレオチドを合成する
(2)(1)で合成した2種類のオリゴヌクレオチドをプライマーとし、試料とする細菌のDNA を鋳型として、ポリメラーゼ連鎖反応を行う
(3)(2)で増幅されたDNA 断片を制限酵素で消化する
(4)(3)で消化された断片について電気泳動を行い、その電気泳動パターンから結核菌群構成細菌の同定を行う - プライマーとして用いる2種類のオリゴヌクレオチドが、配列番号1及び配列番号3で表されるオリゴヌクレオチドであり、かつ用いる制限酵素がRsa I 及びTaq I であることを特徴とする請求項4記載の結核菌群構成細菌の同定方法。
- DNA ジャイレースβサブユニットをコードするDNA 中で、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・アフリカヌム、及びマイコバクテリウム・ミクロティからなる結核菌群構成細菌間で塩基配列の異なる領域を含むオリゴヌクレオチドを有することを特徴とする結核菌群構成細菌用同定キット。
- マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・アフリカヌム、及びマイコバクテリウム・ミクロティからなる結核菌群構成細菌のDNA ジャイレースβサブユニットをコードするDNA の一部と同一なオリゴヌクレオチド、前記DNA の一部と相補的なオリゴヌクレオチド、及び制限酵素を有する結核菌群構成細菌用同定キットであって、前記 DNA の一部と同一なオリゴヌクレオチド、前記 DNA の一部と相補的なオリゴヌクレオチド及び制限酵素は前記4菌種の間で電気泳動パターンがそれぞれ異なる断片を生じさせることができることを特徴とする結核菌群構成細菌用同定キット。
- マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・アフリカヌム、及びマイコバクテリウム・ミクロティからなる結核菌群を構成する細菌の検出を行う方法が、以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする結核菌群構成細菌の検出方法。
(1)DNA ジャイレースβサブユニットをコードするDNA 中の結核菌群構成細菌間で塩基配列の異なる領域を含むオリゴヌクレオチドを合成する
(2)(1)で合成したオリゴヌクレオチド、dNTP、DNA ポリメラーゼ及び試料とする細菌のDNA を含む溶液を調製する
(3)(2)で調製した溶液をポリメラーゼ連鎖反応が起こり得る条件で繰り返し加熱する
(4)(3)の操作後の溶液について、電気泳動を行い、その電気泳動パターンから細菌の検出を行う - オリゴヌクレオチドが、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、又は配列番号18記載のアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項8記載の結核菌群構成細菌の検出方法。
- オリゴヌクレオチドが、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、又は配列番号17で表されるオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項8記載の結核菌群構成細菌の検出方法。
- マイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・アフリカヌム、及びマイコバクテリウム・ミクロティからなる結核菌群を構成する細菌の検出を行う方法が、以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする結核菌群構成細菌の検出方法。
(1)結核菌群構成細菌のDNA ジャイレースβサブユニットをコードするDNA の一部と同一なオリゴヌクレオチドと前記DNA の一部と相補的なオリゴヌクレオチドを合成する
(2)(1)で合成した2種類のオリゴヌクレオチドをプライマーとし、試料とする細菌のDNA を鋳型として、ポリメラーゼ連鎖反応を行う
(3)(2)で増幅されたDNA 断片を制限酵素で消化する
(4)(3)で消化された断片について電気泳動を行い、その電気泳動パターンから結核菌群構成細菌の検出を行う - プライマーとして用いる2種類のオリゴヌクレオチドが、配列番号1及び配列番号3で表されるオリゴヌクレオチドであり、かつ用いる制限酵素がRsa I 及びTaq I であることを特徴とする請求項11記載の結核菌群構成細菌の検出方法。
- DNA ジャイレースβサブユニットをコードするDNA 中のマイコバクテリウム・ツベルクローシス、マイコバクテリウム・ボビス、マイコバクテリウム・アフリカヌム、及びマイコバクテリウム・ミクロティからなる結核菌群構成細菌間で塩基配列の異なる領域を含むオリゴヌクレオチドを有することを特徴とする結核菌群構成細菌用検出キット。
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