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JP3631719B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は反射型(反射モード)と透過型(透過モード)の双方の機能を有する液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置は小型もしくは中型の携帯情報端末やノートパソコンの他に、大型かつ高精細のモニターにまで使用されている。とくに携帯情報端末などのように屋外・屋内両方にわたって使用される機器においては、外光が十分強い環境では表示装置の照明手段として積極的に外光を利用し、外光が弱い環境ではバックライトを使用するという半透過型の液晶表示装置が主流になっている。
【0003】
従来の半透過型液晶表示装置を図2に示す。同図はこの液晶表示装置Aの断面模式図である。
【0004】
液晶表示装置Aによれば、1はコモン側のガラス基板、2はセグメント側のガラス基板であって、ガラス基板2上に多数平行に配列したITOからなるストライプ状透明電極群3と、一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜4とを順次形成している。
【0005】
また、ガラス基板1上にスパッタリングによりアルミニウム金属からなる光半透過層5を形成し、この光半透過層5上にカラーフィルタ6とアクリル系樹脂からなるオーバーコート層7と、多数平行に配列したITOからなるストライプ状透明電極群8とを形成し、さらにストライプ状透明電極群8上に一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜9を形成している。
【0006】
そして、これらガラス基板2とガラス基板1とをたとえば200〜260°の角度でツイストされたカイラルネマチック液晶からなる液晶層10を介して、双方のストライプ状透明電極群3、8が交差(直交)するように、シール部材(図示せず)により貼り合わせる。また、図示していないが、両ガラス基板1、2間には液晶層10の厚みを一定にするためにスペーサを多数個配している。
【0007】
さらにガラス基板2の外側に光散乱材11、ポリカーボネートからなる第1位相差板12、第2位相差板13、ヨウ素系の偏光板14とを順次積み重ね、ガラス基板1の外側にポリカーボネートからなる第3位相差板15、ヨウ素系の偏光板16とを順次積み重ねている。これらの配設にあたっては、アクリル系の材料からなる粘着材を塗布することで貼り付ける。
【0008】
上記構成の液晶表示装置Aにおいては、太陽光、蛍光灯などの外部照明による照射光は偏光板14と第2位相差板13、第1位相差板12、光散乱材11、ガラス基板2とを順次通過し、この入射光がストライプ状透明電極群3と配向膜4と液晶層10、さらに配向膜9とストライプ状透明電極群8とオーバーコート層7とカラーフィルタ6を通して光半透過層5に到達し、ついで反射され、その反射光が入射時と逆の過程を経て光出射される。また、バックライトの光は偏光板16と第3位相差板15、ガラス基板1、光半透過層5、カラーフィルタ6等を順次通過し、光出射される。
【0009】
このような構成の液晶表示装置Aにおいては、光半透過層5としてアルミニウム、クロム、銀などからなる薄膜あるいはアルミニウム合金、クロム合金、銀合金からなる薄膜を用い、その厚みを通常50〜500Å、好適には100〜400Åにすることによって半透過層としての機能を持たせている。
【0010】
あるいは金属薄膜に代えて誘電体ハーフミラーにより半透過層を形成してもよい。すなわち、低屈折率層と高屈折率層とを交互に順次積層構造にし、低屈折率層としては、屈折率が1.3〜1.6のSiO、AlF、CaF、MgFなど、高屈折率層としては、屈折率が2.0〜2.8のTiO、ZrO、SrOなどで形成する構造である。いずれにしても、カラーフィルタ6のRGBに対し、各一画素内で均質な半透過層を形成している。
【0011】
一方、液晶表示装置Aにおいて、上記に示した半透過層に対応するカラーフィルタ6については、従来の透過型液晶装置と同様に、RGB各一画素内にて均一の厚みをもったカラーフィルタを形成し、そのカラーフィルタの全体的な厚みや透過率、色度を調整することで、反射時と透過時の明るさ、色再現性のバランスをとっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の半透過型液晶表示装置Aによれば、RGB各一画素内で均質な半透過層を形成し、対応するカラーフィルタをRGB各一画素内で均一な厚みで形成した場合、次のような課題があった。
【0013】
すなわち、半透過膜をある反射率・透過率の割合で形成し、反射時と透過時の明るさ・色再現性をカラーフィルタによって調整しようとした場合、たとえば反射時の明るさを上げるためにカラーフィルタの厚さを薄くする、あるいは透過率の高いカラーフィルタを用いた場合に、透過時の色再現性が低くなり、あるいは透過時の色再現性を良くするために色の濃いカラーフィルタを用いた場合に、反射時の明るさが低下するという課題があった。
【0014】
要するに、反射時の特性と透過時の特性が相反するものであり、実際には反射時の特性あるいは透過時の特性のいずれか一方を優先したり、双方の特性のバランスをとったりすることで妥協しなければならなかった。これらの課題は、透過時には光がカラーフィルタを1回しか通過しないのに対して、反射時には2回通過することに起因している。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は基板上に透明導電層と光反射性金属層との積層体にてストライプ状積層電極群を形成し、このストライプ状積層電極群上に配向層を積層してなる一方部材と、透明基板上にストライプ状透明電極群と配向層とを順次積層してなる他方部材とを、これらストライプ状積層電極群とストライプ状透明電極群とが交差するようネマチック液晶を介して貼り合わせて画素をマトリクス状に配列せしめた液晶表示装置であって、
上記光反射性金属層に対し画素の端部に対応して光透過部を設けて、この光透過部にて透過領域となし、光透過部以外の領域にて反射領域となし、さらに他方部材に対し画素に対応してカラーフィルタを配するとともに、
遮光膜をこのカラーフィルタの周辺にカラーフィルタの膜厚に比べて大きな膜厚に形成して、前記カラーフィルタを遮光膜の端部上に延在させて、前記光透過部内のカラーフィルタの周囲の厚みを、前記遮光膜への盛り上がりにより増大させたことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、光反射性金属層のうちRGB各一画素内で透過時に利用される領域の金属層を取り除くことでもって、スリットなどの光透過部を設け、この光透過部にて透過モードとなし、光透過部以外の領域にて反射モードとなし、これにより、半透過型の液晶表示装置とする。
【0017】
そして、本発明においては、他方部材に対し画素に対応してカラーフィルタを配し、さらに遮光膜をRGB各一画素に対応するカラーフィルタの周辺に形成するが、その際、遮光膜をカラーフィルタの膜厚に比べて大きな膜厚にて形成し、カラーフィルタを遮光膜の端部上に延在せしめるよう成したことで、次のような作用効果を得ることができる。
【0018】
すなわち、反射モードに必要とされる反射率・色再現性から光反射性金属層の光反射部面積とカラーフィルタの各要素(色の濃さ・厚み)を設定した場合、従来の半透過型液晶表示装置のカラーフィルタの構成によれば、光透過部にも同じ色の濃さ・厚みのカラーフィルタが形成され、これによって透過モードにおいて色再現性が悪くなっていた。しかしながら、本発明では画素間に配する遮光膜を合成樹脂などからなるブラックレジストにて、カラーフィルタに対し厚く形成し、そして、カラーフィルタを遮光膜の端部にまで被着することで、光透過部のカラーフィルタの平均膜厚が増大し、これによって色再現性の低下を抑え、その結果、鮮明な色調が得られる。
【0019】
ちなみに、反射モード用カラーフィルターの厚さを透過モード用カラーフィルターの厚さに比べて薄くする技術が提案されているが(特開2001−166289号参照)、この技術によれば、カラーフィルター形成前に反射領域となる部分にあらかじめ透明層を形成することで、その分、工程が増大するが、これに対する本発明では、画素間遮光膜となる樹脂ブラックレジストを形成する際に、次の工程で形成するカラーフィルタに比べ膜厚を厚くしておくだけでよく、これにより、工程数の増大がなく、製造コストが低減される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明を図面により説明する。
図1は本発明の半透過型液晶表示装置Bの断面模式図である。
【0021】
液晶表示装置Bによれば、1はコモン側のガラス基板、2はセグメント側のガラス基板であって、ガラス基板2上に多数平行に配列したITOからなる前記透明導電層であるストライプ状透明電極群3を形成し、この透明電極群3上にスパッタリングにより一様に成膜したCr膜4、Al膜5をフォトリソグラフィ工程によって、画素間および透過領域部(光透過部)をパターニングして取り除くことで、Cr膜4とAl膜5による前記光反射性金属層を形成する。そして、この上に一定方向にラビングしたポリイミド樹脂からなる配向膜6を形成している。なお、Cr膜4はITO層とAl膜との接着性を高めるために介在させる。
【0022】
このような光反射性金属層の形成方法を図3により説明する。
このストライプ状光反射性金属層は図3に示す如く、スパッタリングにより一様に成膜したCr膜4、Al膜5をフォトリソグラフィ工程によって、画素間および光透過部をパターニングして取り除くことにより得られる。
【0023】
同図によれば、セグメント側ガラス基板2(0.5mm厚)(同図にてGlassと表示する)上に多数平行に配列したITOからなるストライプ状透明電極群(セグメント電極)をフォトリソグラフィによって形成する。この工程は、従来周知のとおりであり、同図にて「レジスト塗布」、「露光、現像」、「ITOエッチング」、「レジスト剥離」として示す。
【0024】
ついでスパッタリングによりCr膜(350Å)、Al膜(1000Å)を一様に成膜し、フォトリソグラフィによって画素間および光透過部を同時にパターニングして取り除くことで、光透過部を設けた光反射性金属層とした。これらの工程は図3に示すとおり、「Cr、Al成膜」、「レジスト塗布」、「露光、現像」、「Al,Crエッチング」、「レジスト剥離」として示す。
【0025】
以上のような工程を経ることで、一方部材が得られ、他方部材については、下記のとおりである。図1に加えて、さらに図4に示す要部の断面図にて構成を詳述する。
【0026】
ガラス基板1(0.5mm厚)上にRGBの配列と平行になるようストライプ状に前記遮光膜である画素間の樹脂ブラックレジストSを形成し、カラーフィルタ7(厚さ1μmでRGB平均透過率58.5%)も形成する。これらはフォトリソグラフィによって形成し、それらの上にアクリル系樹脂からなるオーバーコート層8を被着形成し、この上に多数平行に配列したITOからなるストライプ状透明電極群9(コモン電極)をフォトリソグラフィによって形成し、さらにストライプ状透明電極群9上にポリイミド樹脂からなる配向膜10を形成して一定方向にラビングした。
【0027】
そして、これらガラス基板2とガラス基板1とをたとえば200〜260°(たとえば240°)の角度でツイストされたカイラルネマチック液晶からなる液晶層11を介して、双方のストライプ状透明電極群3、9が交差(直交)するように、シール部材(図示せず)により貼り合わせる。また、図示していないが、両ガラス基板1、2間には液晶層11の厚みを一定にするためにスペーサを多数個配している。
【0028】
さらにガラス基板1の外側に光散乱材12、ポリカーボネートからなる第1位相差板13、第2位相差板14、ヨウ素系の偏光板15とを順次積み重ね、ガラス基板2の外側にポリカーボネートからなる第3位相差板16、ヨウ素系の偏光板17とを順次積み重ねている。これらの配設にあたっては、アクリル系の材料からなる粘着材を塗布することで貼り付ける。
【0029】
なお、前記光反射性金属層としてはCr、Alの積層構造を設けたが、この積層構造に代えて、AlNdなどのAl合金、AgおよびAg合金等の金属膜を使用しても良い。
【0030】
そして、本発明の液晶表示装置Bについては、RGB各一画素の端に透過時に利用される領域(光透過部)となるスリットなどを設けて透過モードと成したが、さらに画素に対応するカラーフィルタ7を設けるに当り、樹脂ブラックレジストSの膜厚をカラーフィルタ7の膜厚に対し厚くし、そして、カラーフィルタ7を樹脂ブラックレジストSの端部にまで被着した構成にしており、これにより、光透過部のカラーフィルタの平均膜厚が増大し、色再現性の低下を抑えることができる。
【0031】
参考までに、図4に示す構造によれば、樹脂ブラックレジストSの膜厚をカラーフィルタ7の膜厚に対し厚くして、さらにカラーフィルタ7を樹脂ブラックレジストSの端部にまで被着した構成であるが、このような構成に対する等価モデルを図5に示す。
【0032】
図4によれば、カラーフィルタ7を樹脂ブラックレジストSの端部に大きく盛り上げていることで、光透過部の一部(樹脂ブラックレジストの周辺部)のカラーフィルタ膜厚が増大し、これにより、図5に示す如く、反射領域部のカラーフィルタの厚みに比べ、透過領域部のカラーフィルタが大きな厚みで樹脂ブラックレジストSの周囲(透過領域部に対応)に配設された構成に相当し、その結果、透過モードにおける色再現性の低下が抑えられる。
【0033】
つぎに樹脂ブラックレジストSの構成による光透過部との関係を図6により述べる。同図はセグメント側基板における光透過部の配置部位を示すとともに、コモン側基板における樹脂ブラックレジストの配置関係を光透過部との関係でもって示す。
【0034】
図6によれば、ガラス基板1上にRGBの各カラーフィルタを帯状に平行にストライプ配列した場合であって、このような帯状カラーフィルタでは、各画素は長方形になり、その長辺が帯に平行になる。よって、画素ごとに設ける光透過部を画素長辺両サイドに配置している。
【0035】
以下、図6に示す構成に対する具体例を述べる。
【0036】
(例1)
長辺L1が230μmであり、短辺M1を70μmにした一画素に対し、M2・M3をそれぞれ8.75μmにする。これにより、M2+M3=17.5μmとなり、光透過部の一画素に対する面積比を25%にした。
【0037】
樹脂ブラックレジスト(ストライプ状)については、幅10μm・厚さ2μmで形成し、カラーフィルタは幅75μm・厚さ1μmにて形成し、これにより、反射領域および透過領域の一部には1μmの厚みのカラーフィルタが形成され、その他の透過領域部分(樹脂ブラックレジストの周辺部)には3μmの厚みのカラーフィルタが形成された。
【0038】
このような構成によれば、透過領域全体でのカラーフィルタの厚みは平均すると、計算上1.23μmになり、これにより、反射領域に比べカラーフィルタを厚く形成したことに相当する。
【0039】
(例2)
セグメント側基板は、例1と同じ構成であるが、樹脂ブラックレジスト(ストライプ状)については、幅10μm・厚さ3μmで形成し、カラーフィルタは幅75μm・厚さ1μmにて形成し、これにより、反射領域および透過領域の一部には1μmの厚みのカラーフィルタが形成され、その他の透過領域部分(樹脂ブラックレジストの周辺部)には4μmの厚みのカラーフィルタが形成された。
【0040】
このような構成によれば、透過領域全体でのカラーフィルタの厚みは平均すると、計算上1.34μmになり、これにより、反射領域に比べカラーフィルタを厚く形成したことに相当する。
【0041】
(比較例)
セグメント側基板は、例1と同じ構成であるが、樹脂ブラックレジスト(ストライプ状)については、幅10μm・厚さ1μmで形成し、カラーフィルタは幅70μm・厚さ1μmにて形成し、これにより、反射領域および透過領域ともに1μmの厚みのカラーフィルタが形成された。
【0042】
以上の各例にて作製した液晶表示パネルの特性を表1に示す。同表によれば、反射モードにて反射率、色域面積、コントラストを測定し、透過モードにおいては、透過率、色域面積、コントラストを測定した。
【0043】
【表1】
Figure 0003631719
【0044】
例1と例2によれば、比較例に比べ、透過色域面積がそれぞれ1.39倍、1.58倍になった。その半面、透過率が若干低下傾向にあるが、実際上にはほとんど問題にならない程度の変化であった。
【0045】
また、本発明のさらに他の特徴を説明する。
上述した構成の液晶表示装置Bによれば、図3に示す如くストライプ状透明電極群と光反射性金属層(反射層スリットなど)とを形成する工程を経ることで、ITOパターンと金属反射層との間にて露光上ズレが生じ、このような露光ズレが生じると、反射層スリットなどの設計によっては一画素内での反射領域が小さくなり、反射率が減少する。一方、透過領域が大きくなり、透過率が増加し、製品上の特性バラツキが生じることが考えられる。
【0046】
この課題に対し、本例の液晶表示装置Bでは、図7に示す如く、光透過部をCr膜4およびAl膜5とからなる光反射性金属層の配列方向と平行するようなスリットにする。
【0047】
このように光透過部をセグメント電極と平行に設けるが、同図に示すように、さらにそのスリット部位を一画素内のサイド部に設けている。
【0048】
すなわち、セグメント側基板によれば、長辺L1と短辺M1の一画素に対し、設計上短辺M1よりも小さな幅の光反射性金属層を帯状に形成することで、各セグメント電極に光透過部を設けた構成にする。M2とM3は、それぞれストライプ状透明電極群3と帯状の光反射性金属層との双方の端部の間隔である。
【0049】
上記のような構成の反射層スリットによれば、図3に示す如くストライプ状透明電極群と光反射性金属層(反射層スリット)とを形成する工程を経ることで、図7Aに示すようにITOパターンと金属反射層との間にて露光上ズレがない場合に比べて、同図Bに示す如く、ITOパターンと金属反射層との間にて露光上ズレが生じることがあっても、一画素内での反射領域に変化がなく、反射率が減少したり、透過領域が大きくなって透過率が増加することもなく、これにより、製品上の一定の品質特性が得られる。
【0050】
つぎに他の液晶表示装置を述べる。
上述した構成の半透過型液晶表示装置Bによれば、その光反射性金属層としてAg合金(たとえばAP)などを用いた場合に、反射表示が透過表示に比べ黄色寄りになる傾向になり、反射モードと透過モードとの双方間にて色調に差がみられる場合がある。
【0051】
このように光反射性金属層にAPを用いた半透過型液晶表示装置Bについて、反射モードと透過モードの色度座標の比較を図8にて示す。
【0052】
同図からわかるように、反射モードと透過モードにてR・G・Bおよび白(Whiteと記す)の色度が大きく異なっている。
【0053】
このような課題に対して、本発明者はカラーフィルタ形成時の成膜条件を調整することで解決できることを知見した。
【0054】
すなわち、叙上の半透過型液晶表示装置Bによれば、図4に示す如く、光反射部・光透過部および樹脂ブラックレジスト端部にわたって、同一の膜厚(たとえば1μm)にてカラーフィルタを一様に形成しているが、これに代えて、成膜条件を変えることで、これらの膜厚を変えることができる。
【0055】
このような構成例を図9に示す。
同図は本発明の他の半透過型液晶表示装置の要部断面図であり、図4に示す部材と同一箇所には同一符号を付す。
【0056】
図9に示す装置によれば、R・G・Bのそれぞれに対しカラーフィルタレジストの粘度・成膜条件を調整することで、光透過部の樹脂ブラックレジストの端部付近にてスロープ状にカラーフィルタを形成し、R・G・Bそれぞれの透過部の平均膜厚を変えることができる。
【0057】
このように透過モードでのR・G・Bの色度をそれぞれ独立に調整することで、透過モードでの色調を反射モードの色調に近づけることができ、これにより、反射モードと透過モードでの色調の差を低減したり、無くすことができる。
【0058】
光半透過層にAPを用いた図9の半透過型液晶表示装置において、反射モードと透過モードの色度座標の比較を図10にて示す。
【0059】
同図からわかるように、反射モードと透過モードのR・G・Bおよび白(Whiteと記する)の色度の差が小さくなっており、反射モードと透過モードの色調の差を低減もしくは無くすことができた。
【0060】
以上のように光透過部の樹脂ブラックレジスト端部に対するカラーフィルタの成膜条件を規定することで、透過モードでの色調の調整ができ、たとえば金属反射層をAg合金等にした場合に透過モード時に比べ反射モード時の表示が黄色寄りの色調になるなどの反射モードと透過モードの色調の差を低減もしくは解消することができた。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更や改良等はなんら差し支えない。たとえば、遮光膜である画素間の樹脂ブラックレジストSについては、上述の如く、RGBの配列と平行になるようストライプ状に樹脂ブラックレジストSを形成し、カラーフィルタ7も同様に形成したが、このように樹脂ブラックレジスト(遮光膜)をストライプ状に配列することに代えて、画素間の樹脂ブラックレジスト(遮光層)をマトリックス状に配置してもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の液晶表示装置によれば、光反射性金属層に対し画素の端部に対応して光透過部を設けて、この光透過部にて透過モードとなし、光透過部以外の領域にて反射モードとなし、さらに他方部材に対し画素に対応してカラーフィルタを配するとともに、遮光膜をこのカラーフィルタの周辺にカラーフィルタの膜厚に比べて大きな膜厚にて形成して、カラーフィルタを遮光膜の端部上に延在せしめるよう成したことで、透過領域のカラーフィルタの平均膜厚が増大し、これによって透過モードでの色再現性の低下を抑え、その結果、反射モードの特性をもとに選択したカラーフィルタを用いた場合でも透過モードで鮮明な色調が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の断面模式図である。
【図2】従来の液晶表示装置の断面模式図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の液晶表示装置の要部構成を説明する断面模式図である。
【図5】本発明の液晶表示装置の要部構成の等価モデルを説明する断面模式図である。
【図6】セグメント側基板とコモン側基板の双方の拡大図である。
【図7】A、Bはそれぞれセグメント側基板の拡大図であり、Aは露光ズレがない場合、Bは露光ズレがある場合である。
【図8】図4に示す液晶表示装置の光反射性金属層に対しAPを用いた場合の透過モードと反射モードの色度座標の線図である。
【図9】本発明の他の液晶表示装置の要部構成を説明する断面模式図である。
【図10】図9に示す液晶表示装置の光反射性金属層に対しAPを用いた場合の透過モードと反射モードの色度座標の線図である。
【符号の説明】
1・・・コモン側のガラス基板
2・・・セグメント側のガラス基板
3・・・ストライプ状透明電極群
4・・・Cr膜
5・・・Al膜
6、10・・・配向膜
7・・・カラーフィルタ
8・・・オーバーコート層
9・・・ストライプ状透明電極群
11・・・液晶層
S・・・樹脂ブラックレジスト

Claims (1)

  1. 基板上に透明導電層と光反射性金属層との積層体にてストライプ状積層電極群を形成し、このストライプ状積層電極群上に配向層を積層してなる一方部材と、透明基板上にストライプ状透明電極群と配向層とを順次積層してなる他方部材とを、これらストライプ状積層電極群とストライプ状透明電極群とが交差するようネマチック液晶を介して貼り合わせて画素をマトリクス状に配列せしめた液晶表示装置であって、
    上記光反射性金属層に対し画素の端部に対応して光透過部を設けて、この光透過部にて透過領域となし、光透過部以外の領域にて反射領域となし、さらに他方部材に対し画素に対応してカラーフィルタを配するとともに、
    遮光膜をこのカラーフィルタの周辺にカラーフィルタの膜厚に比べて大きな膜厚に形成して、
    前記カラーフィルタを遮光膜の端部上に延在させて、前記光透過部内のカラーフィルタの周囲の厚みを、前記遮光膜への盛り上がりにより増大させたことを特徴とする液晶表示装置。
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