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JP3628496B2 - 磁気抵抗センサ及び磁気記憶システム - Google Patents

磁気抵抗センサ及び磁気記憶システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的には、磁気媒体に記録された信号を読み取るために磁気抵抗(MR)読取りセンサを用いる型式の直接アクセス記憶装置(DASD)に関し、特に、サーマル・アスペリティ(thermal asperity)の影響を最小限とする新規のMRセンサを有するDASDに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータは、しばしば、データを書き込むことができかつそのデータを後に使用する際に読み取ることができる媒体を具備する補助メモリ装置を有する。回転磁気ディスクを組み込んだ直接アクセス記憶装置(ディスク・ドライブ)は、ディスク表面上に磁気形態でデータを記憶するために通常用いられる。データは、ディスク表面上に同心的に径方向に並べられた情報トラックに記録される。そして、読取りセンサを具備する磁気ヘッドが、ディスク表面上のトラックからデータを読み取るために用いられる。
【0003】
大容量ディスク・ドライブにおいては、磁気抵抗読取りセンサ、いわゆるMRヘッドが普及している。その理由は、ディスク表面からデータを読み取るこの読取りセンサの性能が、薄膜誘導ヘッドよりも線密度において大きいからである。MRセンサは、そのMR感知層(「MR素子」とも称する)の抵抗変化により磁場を検知する。この抵抗変化は、MR層により検知される磁束の強度と方向の関数である。
【0004】
大容量ディスク・ドライブにおいて現在使用されている最も一般的なMRセンサは、異方性磁気抵抗(AMR)効果を呈するAMRセンサである。AMRセンサでは、電子散乱したがってMR層の抵抗が、cosαの関数として変化する。ここで、αは、MR層の磁化とMR層に流れる電流の方向とのなす角度である(図1参照)。電子散乱したがって抵抗は、MR層の磁化と電流が平行であるとき最大となり、MR層の磁化と電流が垂直であるとき最小となる。米国特許第5,018,037号「Magnetoresistive Read Transducer Having Hard Magnetic Bias(硬磁性バイアスを有する磁気抵抗読取り変換器)」(1991年5月21日特許)は、AMR効果により動作するMRセンサを開示している。
【0005】
図1は、従来のAMRセンサ100を示し、中央領域102により分割された端領域104及び106を有する。MR層110は、非磁性導電性スペーサ115により軟隣接層(SAL)120から分離されており、そしてこれら3層は全て中央領域102に形成されている。硬バイアス(hard bias)層130及び135が、端領域104及び106にそれぞれ形成され、MR層110及びSAL120に対して縦バイアスを与えている。硬バイアス層130及び135の上にそれぞれリード140及び145を形成することにより、電流源(図示せず)からMRセンサ100へ検知電流Iを流すための電気的接続を行う。
【0006】
前述の通り、MRセンサは、磁場の変化があるとき抵抗変化を生じる。この抵抗変化は、MR素子に一定の検知電流を通すことにより電圧信号へと変換される。所与のMRセンサにおけるDC電圧の値は、一定検知電流と、MRセンサ・リード間の全抵抗との積である。抵抗変化はMRセンサが動作する主要因であるので、この抵抗変化が実質的にMRセンサ及びこのMRセンサを組み込んだディスク・ドライブの性能に影響する可能性がある。
【0007】
サーマル・アスペリティ(TA)として知られる現象は、MRセンサの温度を突然に100℃以上上昇させることがある。この突然の温度上昇の原因は、トラックから情報を読み取っている間にMRセンサとディスク表面上の突出部とが衝突すること若しくは衝突に近い状態になることである。この衝突により、MRセンサのDCベース電圧が大きくシフトして情報の読取り誤りを引き起こすこととなる。
【0008】
図2は、DCベース(バイアス)電圧210、ベースDC電圧210のシフトしたサーマル・アスペリティ電圧220、並びに、サーマル・アスペリティ電圧220のないときにディスクから読み取られるデータ信号235及びサーマル・アスペリティ電圧220があるときにディスクから読み取られるデータ信号240を示すグラフ200である。サーマル・アスペリティ電圧220は、DCベース電圧における突然のシフト225に続いて指数関数的減衰230があることが特徴である。このDCベース電圧の指数関数的減衰230は、DCベース電圧210に達するまで続く。DCベース電圧における突然のシフト225がデータ信号235の数倍の大きさである場合、MRセンサに直接的又は間接的に接続された電気回路を飽和させてしまい、データ損失を生じることとなる。このデータ損失はサーマル・アスペリティ電圧220の大きさに依存するが、数バイトの大きさとなってしまう可能性がある。
【0009】
読取りデータに対するサーマル・アスペリティの影響を最小限とするためにディスク・ドライブに設けられた従来の機構は、安価な別個のアスペリティ低減回路(ARC)モジュールを用いるか、又は、通常動作モードとアスペリティ回復モードとをもつ複雑なデータ・チャネル(修正された部分応答最大見込み回路)を用いるかのいずれかである。従って、複雑な記録チャネルや別個のARCモジュールを用いることなくサーマル・アスペリティの影響を最小限とすることが要望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、磁気抵抗読取りセンサを用いるディスク・ドライブにおいてサーマル・アスペリティ現象を検知しかつ実質的に排除する手段を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記及び他の目的及び利点を実現するべく、本発明におけるAMRセンサは4個のリードを有する。そのうち2個のリード(第1及び第2のMRリード、「MRリード」とも称される)は、MR層に対してMR検知電流を与えるためであり、2個のリード(第1及び第2のSALリード、「SALリード」とも称される)は、軟隣接層(soft adjacent layer−SAL)に対してSAL電流を与えるためである。さらにAMRセンサは、中央領域により互いに離隔された端領域へと分けられる。端領域に形成される硬バイアス層は、中央領域に形成されるMR層に縦バイアスを与える。各硬バイアス層はさらに、MR層との連続結合を形成する。好適には、MR層に横バイアスを与えるSALは、SAL層全体の幅及び高さに沿った反強磁性(AFM)層との交換結合の結果、横方向(すなわち、エア・ベアリング面に垂直な方向)に固定された磁化ベクトルを有する。さらに、中央領域に形成されるMR層及び端領域に形成される硬バイアス層は、絶縁体によりSALから電気的に絶縁されている。MR材料及びSAL材料は、好適には同じ材料であり、これら2層の間の熱係数が一致することを確保する。
【0012】
DC条件の下では、MR層の抵抗とMR層に流れる電流との積(RMR×IMR)が、SALの抵抗とSALに流れる抵抗との積(RSAL×ISAL)と等しくなるように選択される。MRリード間に生じる電圧は、差動回路の第1の入力端子へ供給され、SALリード間に生じる電圧は、その差動回路の第2の入力端子へ供給される。さらに、差動回路は出力端子及び接地(コモン)端子を有する。
【0013】
サーマル・アスペリティが存在する場合、MR層及びSAL層の双方の抵抗が実質的に同じように変化することにより、サーマル・アスペリティ信号がMRリード間及びSALリード間に生じ、その結果、差動回路の第1及び第2の入力端子へ入力される。しかしながら、ディスクからのデータ磁場が存在する場合にはMR層の抵抗のみが変化する。なぜなら、MR層はSAL層から電気的に絶縁されかつSAL層の磁化はAFM層により固定されているからである。従って、ディスク上へ書き込まれたデータによる電圧はMRリード間にのみ生じ、この電圧は差動回路の第1の入力端子へ与えられる。
【0014】
サーマル・アスペリティ信号が存在しかつ差動回路の双方の入力端子において同相であるので、サーマル・アスペリティ信号は打ち消され、第1の入力端子に存在するデータ信号のみが差動回路により検知され伝送されることとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下の説明は、本発明を実施するために最適と考えられる形態である。この説明及び示された他の実施例は、本発明の一般的原理を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0016】
図3は、本発明を実施したディスク・ドライブ300を示す図である。図3に示すように、少なくとも1つの回転可能な磁気ディスク312が主軸314上に支持され、ディスク・ドライブ(駆動)・モーター318により回転させられる。各ディスク上の磁気記憶媒体は、ディスク312上に同心的データ・トラックの環状パターンの形態で設けられる。
【0017】
少なくとも1つのスライダ313がディスク312上に位置づけられ、各スライダ313は1又は複数の磁気読取り/書込みヘッド321を支持する。ヘッド321は、本発明のMRセンサを組み込んでいる。ディスクが回転すると、スライダ313がディスクの上を半径方向に内外に移動することにより、ヘッド321は、所望のデータが記録されているディスクの異なる場所へアクセスすることができる。各スライダ313は、サスペンション315を用いてアクチュエータ・アーム319へ取り付けられる。サスペンション315は僅かなバネ力を与えることによりスライダ313をディスク表面322の方へ押しやる。各アクチュエータ・アーム319は、アクチュエータ手段327へ取り付けられる。図3に示すようにアクチュエータ手段327は、ボイス・コイル・モーター(VCM)でもよい。VCMは、固定磁場内で移動可能なコイルを有し、コイルの方向及び速度は制御ユニット329により供給されるモーター電流信号により制御される。
【0018】
ディスク記憶システムのオペレーション中、ディスク312の回転は、スライダ313とディスク表面322との間にエア・ベアリングを発生する。このエア・ベアリングは、スライダに対して上向きの力すなわち揚力を与える。通常の動作中、エア・ベアリングは、サスペンション315の小さなバネ力と相殺し合うことにより、僅かな実質的に一定の間隔でスライダをディスク表面から離れたやや上方に支持する。
【0019】
ディスク記憶システムの様々な構成要素は、動作中、制御ユニット329により発生される制御信号により制御される。例えば、アクセス制御信号や内部クロック信号等である。通常、制御ユニット329は、論理制御回路、記憶手段及びマイクロプロセッサを有する。制御ユニット329は、ライン323上のドライブ・モーター制御信号やライン328上のヘッド位置・探査制御信号等の様々なシステム動作を制御するための制御信号を発生する。ライン328上の制御信号は、スライダ313をディスク上の所望のデータ・トラックへ最適に移動させ位置決定するために所望の電流波形を与える。読取り信号及び書込み信号は、記録チャネル325を用いて、読取り/書込みヘッド321へそしてヘッド321から伝達される。
【0020】
通常の磁気ディスク記憶システムについての上記の説明及び図3は、表現する目的のためにのみ示されたものである。ディスク記憶システムは多数のディスクを保有することができ、また、各アクチュエータは多数のスライダを支持することができる。
【0021】
図4及び図5は、本発明の好適な実施例であるAMRセンサ400の斜視図でありエア・ベアリング面から見た図である。ただし、寸法比率は正確ではない。AMRセンサ400は、能動的な中央領域430により分離された受動的な端領域410及び420を有する。磁気シールド層460及び間隙層458は、好適には適宜の基板462上に形成されるが必ずしも必要ではない。シールド層460は、MRセンサ400を磁気的に絶縁する層であり、通常、NiFe若しくはsendust(商標)から作られる。間隙層458は、MRセンサ400を電気的に絶縁する層であり、一般にAl又はSiOから作られる。間隙層458を形成した後、反強磁性層456、軟隣接層(SAL)454、及び絶縁層452が、間隙層の上に形成される。反強磁性(AFM)層456は、SAL454の磁化を一定の方向へ固定するために用いられる。AFM層456は、好適にはNiOから作られ、AFM456の熱係数がSAL454により検知されるサーマル・アスペリティ信号の波形に影響を与えないようにする。別の例として、AFM層456は、FeMn又はNiMnから作ることもできる。SAL454は、好適にはNiFeから作られ、SAL454の磁化は、エア・ベアリング面(ABS)466に対して垂直に固定される。(ABSは、磁気ディスク表面に隣接する、MRセンサを含む磁気ヘッドの面を意味する。)さらにMRセンサ400は、MR層436及び好適にはシード層446を有する。これら双方の層は、絶縁層452の上の中央領域430に形成される。シード層446は、MR層の磁気特性を強化するために用いられ、タンタルから作られる。外部磁場の存在下で回転自在な磁化をもつMR層436は、一般的に、NiFe又はNiFe/Co等の軟強磁性材料から作られる。好適にはNiFeである。一般的にMR層436の磁化は、外部磁場のない場合にエア・ベアリング面に対して平行となるように設定される。
【0022】
端領域410及び420にそれぞれ形成される硬バイアス層442及び444は、MR層436に対して縦バイアス磁場を与えることにより、MR層436における単一磁区状態を確保する。さらに、硬バイアス層442及び444は、MR層436と連続結合を形成する。
【0023】
さらにMRセンサ400は、4個の電気的リードを有する。端領域410及び420にそれぞれ形成されるリード448及び450は、第1及び第2のSALリードと称され、SAL454とSAL電流源570(図6参照)の間を電気的に接続する。SAL電流源570は、SAL454へ電流(SAL電流と称する)を供給することによりSAL454にかかるDCベース(バイアス)電圧を生じさせる。端領域410及び420にそれぞれ形成されるリード438及び440は、第1及び第2のMRリードと称され、MR層436とMR電流原575(図6参照)の間を電気的に接続する。MR電流源575は、MR層436に対して必要な検知電流を与えることによりMR層436にかかるDCベース(バイアス)電圧を生じさせる。
【0024】
本発明のMRセンサ400においては、SAL454が、MR層436並びに硬バイアス層442及び444から電気的に絶縁される。完全な電気的絶縁により、MR電流源575により供給されMR層436を流れる電流は、いかなる場合もSAL454により短絡されることはない。SAL454と、MR層436並びに硬バイアス層444及び442との間の電気的絶縁は、絶縁材料の層452により実現され、この層452は、SAL454と、MR層436並びに硬バイアス層444及び442との間に配置される。絶縁層452は、通常、Al又はSiOから作られる。
【0025】
図6は、本発明の好適な実施例によるサーマル・アスペリティ低減回路500の概略構成図である。回路500は、第1及び第2のMRリード438及び440並びに第1及び第2のSALリード448及び450を有するMRセンサ400と、MR電流源575と、SAL電流源570と、差動回路580とを有する。差動回路580は、第1及び第2の入力端子583及び585と、出力端子588と、接地(基準)端子587とを有する。
【0026】
図6において、MRリード438及び440はMR電流源575へ接続され、MR電流源575は必要な検知電流をMR層436へ供給することにより、MR層436にかかるDCバイアス電圧を生じさせる。SALリード448及び450はSAL電流源570へ接続される。SAL電流源570は、必要な検知電流をSAL454へ供給することにより、このバイアス条件下(外部磁場のない場合)において、MR層436の抵抗とMR層436を流れる電流との積(MR層436における電圧降下)が、SAL454の抵抗とSAL454を流れる電流との積(SALにおける電圧降下)と等しくなるようにする。
【0027】
本発明の好適例においては、次の通りである。
MR層の高さ=1μm
MR層の幅=1μm
MR層の厚さ=150Å
MR層のρ=25μΩcm
MR層の抵抗=32Ω
【0028】
さらに、本発明の好適例では、次の通りである。
SAL層の高さ=1μm
SAL層の幅=4μm
SAL層の厚さ=100Å
SAL層のρ=25μΩcm
SAL層の抵抗=100Ω
本発明の好適例では、MR検知電流が10mAであり、このことは、DCバイアス条件下で下記の要件を確保するためにSAL電流が3.2mAに設定されることを意味する。
MR×IMR=RSAL×ISAL
【0029】
図6に戻ると、第1のMRリード438は配線582を介して差動回路580の第1の入力端子583へも接続され、第1のSALリード448は配線584を介して差動回路580の第2の入力端子585へ接続される。リード440と450は、好適にはコモン配線パッド577へ接続される。コモン・パッド577は、配線586を介して差動回路580の接地587へ接続される。差動回路580の出力端子588は、図3で説明した更なる処理のためにデータ記録チャネル525へ接続される。記録チャネル525及び差動回路580は、共に、記録システム590と称される。差動回路580は、好適には、データ記録チャネル525が集積された同じシリコン・チップに集積されたシリコンベース高速差動増幅器である。さらに、差動回路580が差動利得を有することにより、その第1の端子583と第2の端子585へ入力された電圧間の差に起因するノード588における出力電圧は、次の式で表される。
588=A×(V583−V585
ここで、Aは、差動回路580の差動利得である。
【0030】
図7、図8、及び図9は、差動増幅器580の第1の入力端子583、第2の入力端子585、及び出力端子588に現れる電圧信号を示す図であり、DCバイアス条件下において、磁気ディスクからのデータ磁場が存在する場合、そしてサーマル・アスペリティと磁気ディスクからのデータ磁場とが存在する場合をそれぞれ示す。図6及び図7乃至図9を参照すると、DCバイアス条件下(外部磁場がない場合)での第1の端子583における電圧は、DC電圧605であり、これはRMR×IMR(MR層436での電圧降下)である。このとき、第2の端子585における電圧は、DC電圧610であり、これはRSAL×ISAL(SAL454での電圧降下)である。そしてこのときの出力端子588における電圧は、DC電圧615である。
【0031】
磁気ディスクからのデータ磁場等の磁場が存在する場合、MR層436の抵抗が変化するのでMR層436にかかる電圧が変化する。MR層436の抵抗変化の結果MR層436に発生される電圧は、交流信号の形で表される。その結果、第1
のMRリード438へ接続された第1の入力端子583における電圧信号は、AC成分622とDC成分605をもつ電圧620である。上記のようにAC成分は、ディスクからの磁場の存在によるMR層436の抵抗変化に起因し、以下のように表される。
MR×ΔRMR
そして、DC成分は、上記の通り、以下のように表される。
MR×RMR
従って、電圧620は次のように表される。
620=IMR×ΔRMR+IMR×RMR
【0032】
図6及び図7乃至図9を参照すると、ディスクからの磁場が存在する場合、SAL454にかかる電圧は変化しない。なぜなら、SAL454はMR層436及び硬バイアス層442、444から絶縁されており、かつその磁化がAFM456により固定されているからである。その結果、第2の入力端子585における電圧は、DCバイアス条件下での電圧と同じままである。すなわち、次の通りである。
610=ISAL×RSAL
【0033】
ディスクからの磁場が存在する場合、出力端子588における電圧は、第1と2の入力端子583、585における電圧信号間の差に回路の差動利得を掛けたものに等しくなる。すなわち、以下の通りである。
588=A×(V583−V585
630=A×(V620−V610
630=A×(IMR×ΔRMR+IMR×RMR−ISAL×RSAL
【0034】
SAL454における抵抗及び電流は、IMR×RMR=ISAL×RSALとなるように選択されるので、上記2つの信号からの寄与は互いに打ち消し合い、そして次のようになる。
630=A×(IMR×ΔRMR
【0035】
ここで、ディスクのトラックからデータを読み取る間にMRセンサの温度が上昇することによりサーマル・アスペリティ現象が起きたと仮定する。このような条件下で、第1の入力端子583における電圧は、AC成分637とDC成分638をもつ電圧635となる。AC成分は、ディスクからの磁場が存在する場合にMR層436の抵抗変化に起因するものであり、次の通りである。
MR×ΔRMR
【0036】
DC成分638は、突然のDC電圧のシフトの後、シフトした電圧から指数関数的に減衰するが、DC成分638は次のように表すことができる。
MR×RMR
したがって次のようになる。
635=IMR×ΔRMR+IMR×RMR
【0037】
サーマル・アスペリティが存在する場合、突然の温度変化がSAL454の抵抗を変化させるので、SAL454にかかるバイアス電圧もまた変化する。バイアス電圧(サーマル・アスペリティ信号)の変化は、DC電圧の突然のシフトとそのシフトした電圧からの指数関数的減衰により表される。その結果、第2の入力端子585における電圧は、次のようになる。
640=ISAL×RSAL
【0038】
ここで、ディスクのトラックからデータを読み取る間にサーマル・アスペリティ現象が起きたと仮定する。この条件下で、出力端子588における電圧は、以下の通り、第1と第2の入力端子583、585における電圧信号間の差に回路580の差動利得を掛けたものに等しくなる。
588=A×(V583−V585
645=A×(V635−V640
645=A×(IMR×ΔRMR+IMR×RMR−ISAL×RSAL
【0039】
SAL454における抵抗及び電流は、IMR×RMR=ISAL×RSALとなるように選択され、かつ、MR層436の材料及びSAL454の材料は、同じ熱係数を有するように選択されるので、MR層436及びSAL層454に生じるサーマル・アスペリティ信号は、実質的に同じ形状、大きさ及び位相である。従って、上式においてIMR×RMR及びISAL×RSALの項は、互いに打ち消し合う。このことは次のことを意味する。
645=A×(IMR×ΔRMR
【0040】
実際の装置においては、通常、DC電圧の突然のシフトと同時に出力端子588に細い信号スパイク665が出現する。これは、(1)MR層436の抵抗とSAL454の抵抗、(2)MRリードの抵抗とSALリードの抵抗、(3)SAL電流源570とMR電流源575の間の有限の物理的不一致並びに(4)差動回路の内的不一致に起因する。しかしながら、一般的にこのスパイクは数ビットの長さにすぎないのでデータ損失の原因とはならない。
【0041】
図10は、本発明の別の実施例におけるAMRセンサ700のエア・ベアリング面から見た図である。ただし、寸法比率は正確ではない。AMRセンサ700は、中央能動領域720により分離された側端受動領域705、710を具備する。磁気シールド層762及び間隙層760は、一般に、必須ではないが、適宜の基板764上に形成される。シールド層762は、MRセンサ700のための磁気的絶縁を行い、通常NiFe若しくはsendust(商標)から作られる。間隙層760は、MRセンサ700のための電気的絶縁を行い、通常、Al又はSiOから作られる。間隙層760を形成した後、間隙層の上に反強磁性層758、アスペリティ補償層(ACL)756及び絶縁層754が、一般的に形成される。反強磁性(AFM)層758は、一定の方向へACL756の磁化を固定するために用いられる。AFM層758の熱係数がACL756により検知されるサーマル・アスペリティ信号の形に影響を及ぼさないことを保証するため、AFM層758がNiOから作られることが好ましい。別の例としては、AFM層758をFeMn又はNiMnから作ることもできる。アスペリティ補償層(ACL)756は、好適にはNiFeから作られ、その磁化はエア・ベアリング面746に対して垂直に固定される。別の例として、MR層748と同じか若しくは実質的に類似の熱係数を有する非磁性導電性材料からACL756を作ることもできる。例えば、銅やタンタルである。ここで、ACL756が非磁性材料で作られる場合は、AFM層758が不要となることを注記する。MRセンサ700はさらに、中央領域720に形成されるMR層748を有する。MR層748は、非磁性導電性スペーサ750により軟隣接層(SAL)752から分離されている。SAL752は、中央領域720に形成され、MR層748に対して横方向バイアス磁場を与える。ACL756が磁性材料から作られる場合、ACLの磁化とSAL752の磁化とは、同じ方向でなければならない。外部磁場の存在下で自在に回転する磁化をもつMR層748は、一般的に軟強磁性材料から作られる。例えば、NiFe又はNiFe/Coであり、好ましくはNiFeから作られる。一般的に、MR層748の磁化は、外部磁場のない場合にエア・ベアリング面746に対して平行になるように設定される。MR層748、スペーサ層750及びSAL754は、MR素子770と称される。
【0042】
端領域705及び710に形成される硬バイアス層742及び744は、それぞれ、MR層748に対して縦方向バイアス磁場を与えることにより、MR層748の単一磁区状態を確保する。硬バイアス層742及び744は、好適にはCoPtCrから作られるが、CoPtCrTa若しくはCoPtCrSiOから作ることもできる。さらに硬バイアス層742及び744は、MR層748と連続的結合を形成する。
【0043】
さらにMRセンサ700は、4個の電気的リードを有する。端領域705及び710にそれぞれ形成されるリード728及び730は、第1及び第2のACLリードと称され、ACL756とACL電流源(図示せず)との間を電気的に接続する。ACL電流源は、ACL756にかかるDCベース(バイアス)を生じさせるためにACL756へ電流(ACL電流と称する)を流す。端領域705及び710にそれぞれ形成されるリード738及び740は、第1及び第2のMRリードと称され、MR層748とMR電流源(図示せず)との間を電気的に接続する。MR電流源は、MR層748にかかるDCベース(バイアス)を生じさせるためにMR層748に対して必要な検知電流を与える。
【0044】
本発明のMRセンサ700においては、ACL756が、MR素子770及び硬バイアス層742、744から電気的に絶縁されていることが重要である。完全な電気的絶縁により、MR電流源により与えられたMR素子770を流れる電流がACL756によっては決して短絡されないことを確保する。ACL756と、MR素子770及び硬バイアス層742、744との間の電気的絶縁は、ACL756とMR素子770及び硬バイアス層742、744との間に配置された絶縁材料754の層により実現される。絶縁層754は、通常、Al又はSiOから作られる。
【0045】
本発明の別の実施例では、図6のMRセンサ400が、別のMRセンサ700で置き換えられることにより、サーマル・アスペリティ低減回路500を用いたサーマル・アスペリティの検知及び低減を可能とする。
【0046】
以上、本発明は、好適例に関して図示され説明されたが、当業者であれば、本発明の主旨、範囲、及び教示から逸脱することなく様々な変形をなし得ることは自明であろう。例えば、本発明の好適例では、4個のリードをもちそれらのうち2つのリードが互いに短絡されているMRセンサに関して説明されたが、本発明は、3個のリードのみをもちそれらのリードの1つがMR層とSALとの間のコモン・リード(接地リード)であるMRセンサに対してにも同様に適用可能である。
従って、ここに開示された本発明は、説明された例に限定されるものではなく、特許請求の範囲により定められると解するべきである。
【0047】
まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
【0048】
(1)磁気抵抗(MR)層と、前記MR層により互いに分離されかつ前記MR層と連続的結合を形成する第1及び第2の硬バイアス層と、電気絶縁体と、前記電気絶縁体により前記MR層及び前記硬バイアス層から分離された軟隣接層(SAL)と、前記MR層に対して検知電流を与えるために前記第1及び第2の硬バイアス層と接触して設けられた第1及び第2のMRリードと、前記SALに対してSAL電流を与えるために前記SALと接触して設けられた第1及び第2のSALリードとを有する磁気抵抗センサ。
(2)前記SALの磁化をピン止めするための反強磁性(AFM)層を有し、前記SALが前記AFM層の上に配置される上記(1)に記載のMRセンサ。
(3)前記MR層がNiFeとNiFe/Coとを含む材料群から選択される上記(1)に記載のMRセンサ。
(4)前記電気絶縁体がAlとSiOとを含む材料群から選択される上記(1)に記載のMRセンサ。
(5)前記AFM層がFeMnと、NiMnと、NiOとを含む材料群から選択される上記(2)に記載のMRセンサ。
(6)前記第1及び第2の硬バイアス層がCoPtCrと、CoPtCrTaと、CoPtCrSiOとを含む材料群から選択される上記(1)に記載のMRセンサ。
(7)データを記録するための磁気記憶媒体と、前記磁気記憶媒体から情報を読み取るMRセンサと、前記磁気記憶媒体に記録されたデータを表わす印加磁場に応答して前記MRセンサにおける抵抗変化を検知するために前記MRセンサへ結合された記録チャネルとを有し、上記MRセンサが、MR層と、前記MR層により互いに分離されかつ前記MR層と連続的結合を形成する第1及び第2の硬バイアス層と、電気絶縁体と、前記電気絶縁体により前記MR層及び前記硬バイアス層から分離された軟隣接層(SAL)と、前記MR層に対して検知電流を与えるために前記第1及び第2の硬バイアス層の上に配置された第1及び第2のMRリードと、前記SALに対してSAL電流を与えるために前記SALの上に配置された第1及び第2のSALリードとを有する磁気記憶システム。
(8)前記SALの磁化をピン止めするための反強磁性(AFM)層を有し、前記SALが前記AFM層の上に配置される上記(7)に記載のMRセンサ。
(9)前記MR層がNiFeとNiFe/Coとを含む材料群から選択される上記(7)に記載のMRセンサ。
(10)前記電気絶縁体がAlとSiOとを含む材料群から選択される上記(7)に記載のMRセンサ。
(11)前記AFM層がFeMnと、NiMnと、NiOとを含む材料群から選択される上記(8)に記載のMRセンサ。
(12)前記第1及び第2の硬バイアス層がCoPtCrと、CoPtCrTaと、CoPtCrSiOとを含む材料群から選択される上記(7)に記載のMRセンサ。
(13)前記記録チャネルが、前記磁気記憶媒体のデータを読み取る間のサーマル・アスペリティ現象に応答する前記MR層及び前記SALにおける抵抗変化を検知するために前記第1のMRリード及び第1のSALリードへそれぞれ接続される第1及び第2の入力端子をもつ差動回路を有する上記(7)に記載の磁気記憶システム。
(14)磁気抵抗(MR)層、スペーサ層、及び軟隣接層(SAL)を具備しかつ前記スペーサ層により前記MR層が前記SALから分離されているMR素子と、前記MR素子により互いに分離されかつ前記MR素子と連続的結合を形成する第1及び第2の硬バイアス層と、電気絶縁体と、前記電気絶縁体により前記MR素子及び前記硬バイアス層から分離されているアスペリティ補償層(ASL)と、前記MR素子へ検知電流を与えるために前記第1及び第2の硬バイアス層の上に配置された第1及び第2のMRリードと、前記ACLに電流を与えるために前記ACLの上に配置された第1及び第2のACLリードとを有する磁気抵抗センサ。
(15)前記ACLがNiFeを含む上記(14)に記載のMRセンサ。
(16)前記ACLの磁化をピン止めするための反強磁性(AFM)層を有し、前記ACLが前記AFM層の上に配置される上記(15)に記載のMRセンサ。
(17)前記MR層がNiFeとNiFe/Coとを含む材料群から選択される上記(14)に記載のMRセンサ。
(18)前記ACLが銅とタンタルとを含む材料群から選択される上記(14)に記載のMRセンサ。
(19)前記AFM層がFeMnと、NiMnと、NiOとを含む材料群から選択される上記(16)に記載のMRセンサ。
(20)前記第1及び第2の硬バイアス層がCoPtCrと、CoPtCrTaと、CoPtCrSiOとを含む材料群から選択される上記(14)に記載のMRセンサ。
(21)データを記録するための磁気記憶媒体と、前記磁気記憶媒体から情報を読み取るMRセンサと、前記磁気記憶媒体に記録されたデータを表わす印加磁場に応答して前記MRセンサにおける抵抗変化を検知するために前記MRセンサへ結合された記録チャネルとを有し、上記MRセンサが、磁気抵抗(MR)層、スペーサ層、及び軟隣接層(SAL)を具備しかつ前記スペーサ層により前記MR層が前記SALから分離されているMR素子と、前記MR素子により互いに分離されかつ前記MR素子と連続的結合を形成する第1及び第2の硬バイアス層と、電気絶縁体と、前記電気絶縁体により前記MR素子及び前記硬バイアス層から分離されているアスペリティ補償層(ASL)と、前記MR素子へ検知電流を与えるために前記第1及び第2の硬バイアス層の上に配置された第1及び第2のMRリードと、前記ACLに電流を与えるために前記ACLの上に配置された第1及び第2のACLリードとを有する磁気記憶システム。
(22)前記ACLがNiFeを含む上記(21)に記載の磁気記憶システム。
(23)前記ACLの磁化をピン止めするための前記AFM層の上に配置される反強磁性(AFM)層を有し、前記ACLが前記AFM層の上に配置される上記(22)に記載の磁気記憶システム。
(24)前記MR層がNiFeとNiFe/Coとを含む材料群から選択される上記(21)に記載の磁気記憶システム。
(25)前記ACLが銅とタンタルとを含む材料群から選択される上記(21)に記載の磁気記憶システム。
(26)前記AFM層がFeMnと、NiMnと、NiOとを含む材料群から選択される上記(21)に記載の磁気記憶システム。
(27)前記第1及び第2の硬バイアス層がCoPtCrと、CoPtCrTaと、CoPtCrSiOとを含む材料群から選択される上記(21)に記載の磁気記憶システム。
(28)前記記録チャネルが、前記磁気記憶媒体のデータを読み取る間のサーマル・アスペリティ現象に応答する前記MR層及び前記SALにおける抵抗変化を検知するために前記第1のMRリード及び第1のSALリードへそれぞれ接続される第1及び第2の入力端子をもつ差動回路を有する上記(21)に記載の磁気記憶システム。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術のAMRセンサの斜視図である。
【図2】サーマル・アスペリティ信号及びトラックから読み取られたデータ信号の単純な構成である。
【図3】本発明を実施する磁気ディスク記憶システムの単純な構成図である。
【図4】本発明による好適例のAMRセンサの、寸法比率は厳密でない、エア・ベアリング面から見た斜視図である。
【図5】本発明による好適例のAMRセンサの、寸法比率は厳密でない、エア・ベアリング面から見た斜視図である。
【図6】本発明の好適例によるサーマル・アスペリティ低減方法および手段を示す概略構成図である。
【図7】サーマル・アスペリティとデータ信号がない場合、サーマル・アスペリティがなくデータ信号がある場合、及びサーマル・アスペリティとデータ信号がある場合における本発明の好適例の差動回路の入力端子及び出力端子おける信号を示すグラフである。
【図8】サーマル・アスペリティとデータ信号がない場合、サーマル・アスペリティがなくデータ信号がある場合、及びサーマル・アスペリティとデータ信号がある場合における本発明の好適例の差動回路の入力端子及び出力端子おける信号を示すグラフである。
【図9】サーマル・アスペリティとデータ信号がない場合、サーマル・アスペリティがなくデータ信号がある場合、及びサーマル・アスペリティとデータ信号がある場合における本発明の好適例の差動回路の入力端子及び出力端子おける信号を示すグラフである。
【図10】本発明によるAMRセンサの別の実施例の、寸法比率は厳密でない、エア・ベアリング面から見た斜視図である。
【符号の説明】
400 AMRセンサ
410、420 端領域
430 中央領域
436 MR層
438 第1のMRリード
440 第2のMRリード
442、444 硬バイアス層
452 絶縁層
454 軟隣接層(SAL)
456 反強磁性(AFM)層
458 間隙層
460 磁気シールド層
466 エア・ベアリング面
448 第1のSALリード
450 第2のSALリード

Claims (6)

  1. データを記録する磁気記憶媒体の表面と対面するエア・ベアリング面を有する、前記磁気記憶媒体から情報を読み取る磁気抵抗センサにおいて、
    磁気抵抗(MR)層と、
    前記MR層により互いに分離されかつ前記MR層と連続的結合を形成する第1及び第2の硬バイアス層と、
    電気絶縁体と、
    前記電気絶縁体により前記MR層及び前記硬バイアス層から分離された軟隣接層(SAL)と、
    前記SALに関して前記電気絶縁体と反対側に設けられ、前記SALの磁化を、前記エア・ベアリング面に対して垂直な方向に固定するための反強磁性(AFM)層と、
    前記MR層に対して検知電流を与えるために前記第1及び第2の硬バイアス層と接触して設けられた第1及び第2のMRリードと、
    前記SALに対してSAL電流を与えるために前記SALと接触して設けられた第1及び第2のSALリードとを有する
    磁気抵抗センサ。
  2. データを記録するための磁気記憶媒体と、
    前記磁気記憶媒体の表面と対面するエア・ベアリング面を有する、前記磁気記憶媒体から情報を読み取るMRセンサと、
    前記磁気記憶媒体に記録されたデータを表わす印加磁場に応答して前記MRセンサにおける抵抗変化を検知するために前記MRセンサへ結合された記録チャネルとを有し、上記MRセンサが、
    MR層と、
    前記MR層により互いに分離されかつ前記MR層と連続的結合を形成する第1及び第2の硬バイアス層と、
    電気絶縁体と、
    前記電気絶縁体により前記MR層及び前記硬バイアス層から分離された軟隣接層(SAL)と、
    前記SALに関して前記電気絶縁体と反対側に設けられ、前記SALの磁化を、前記エア・ベアリング面に対して垂直な方向に固定するための反強磁性(AFM)層と、
    前記MR層に対して検知電流を与えるために前記第1及び第2の硬バイアス層の上に配置された第1及び第2のMRリードと、
    前記SALに対してSAL電流を与えるために前記SALの上に配置された第1及び第2のSALリードとを有する
    磁気記憶システム。
  3. 前記記録チャネルが、前記磁気記憶媒体のデータを読み取る間のサーマル・アスペリティ現象に応答する前記MR層及び前記SALにおける抵抗変化を検知するために前記第1のMRリード及び第1のSALリードへそれぞれ接続される第1及び第2の入力端子をもつ差動回路を有する請求項2に記載の磁気記憶システム。
  4. データを記録する磁気記憶媒体の表面と対面するエア・ベアリング面を有する、前記磁気記憶媒体から情報を読み取る磁気抵抗センサにおいて、
    磁気抵抗(MR)層、スペーサ層、及び軟隣接層(SAL)を具備しかつ前記スペーサ層により前記MR層が前記SALから分離されているMR素子と、
    前記MR素子により互いに分離されかつ前記MR素子と連続的結合を形成する第1及び第2の硬バイアス層と、
    電気絶縁体と、
    前記電気絶縁体により前記MR素子及び前記硬バイアス層から分離されている磁性材料のアスペリティ補償層(ACL)と、
    前記ACLに関して前記電気絶縁体と反対側に設けられ、前記ACLの磁化を、前記エア・ベアリング面に対して垂直な方向に固定するための反強磁性(AFM)層と、
    前記MR素子へ検知電流を与えるために前記第1及び第2の硬バイアス層の上に配置された第1及び第2のMRリードと、
    前記ACLに電流を与えるために前記ACLの上に配置された第1及び第2のACLリードとを有する
    磁気抵抗センサ。
  5. データを記録するための磁気記憶媒体と、
    前記磁気記憶媒体の表面と対面するエア・ベアリング面を有する、前記磁気記憶媒体から情報を読み取るMRセンサと、
    前記磁気記憶媒体に記録されたデータを表わす印加磁場に応答して前記MRセンサにおける抵抗変化を検知するために前記MRセンサへ結合された記録チャネルとを有し、上記MRセンサが、
    磁気抵抗(MR)層、スペーサ層、及び軟隣接層(SAL)を具備しかつ前記スペーサ層により前記MR層が前記SALから分離されているMR素子と、
    前記MR素子により互いに分離されかつ前記MR素子と連続的結合を形成する第1及び第2の硬バイアス層と、
    電気絶縁体と、
    前記電気絶縁体により前記MR素子及び前記硬バイアス層から分離されている磁性材料のアスペリティ補償層(ACL)と、
    前記ACLに関して前記電気絶縁体と反対側に設けられ、前記ACLの磁化を、前記エア・ベアリング面に対して垂直な方向に固定するための反強磁性(AFM)層と、
    前記MR素子へ検知電流を与えるために前記第1及び第2の硬バイアス層の上に配置された第1及び第2のMRリードと、
    前記ACLに電流を与えるために前記ACLの上に配置された第1及び第2のACLリードとを有する
    磁気記憶システム。
  6. 前記記録チャネルが、前記磁気記憶媒体のデータを読み取る間のサーマル・アスペリティ現象に応答する前記MR層及び前記SALにおける抵抗変化を検知するために前記第1のMRリード及び第1のSALリードへそれぞれ接続される第1及び第2の入力端子をもつ差動回路を有する請求項5に記載の磁気記憶システム。
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