JP3624754B2 - 微細物体の操作方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微生物や動植物細胞などの微細物体の捕捉や移動の操作を行う微細物体の操作方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生化学分野等における各種試験や分析では、試料中に存在する微生物や動植物細胞などの微細物体の中から特定の微細物体を識別して捕捉し、採取する操作が行われる。近年微細物体の捕捉に光ピンセットが用いられるようになっている。この光ピンセットは集光された光の光圧力によって微細物体を捕捉可能な光学的トラップを形成するものであり、試料溶液中などに存在する微細物体をこの光学的トラップ内に捕捉するものである。この捕捉方法によれば、非接触・非破壊で微細物体を捕捉することができ、光を走査させることにより捕捉した微細物体を試料中の任意の位置に移動させることができるなど、多くの長所を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで試料溶液中の微細物体の中には、容器の底に密集した状態で存在する場合があるが、その密集の中から目的とする微細物体のみを捕捉することは難しく、作業に時間を費やしていた。
【0004】
そこで本発明は、目的の微細物体を効率よく捕捉できる微細物体の操作方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の微細物体の操作方法は、レンズで集光された光の光圧力を利用して容器に収納された試料内の微細物体を操作する微細物体の操作方法であって、微細物体を捕捉するに先だって前記レンズへ入射する光の状態を変化させることにより前記捕捉範囲が実質的に消滅した光を微細物体に前記容器の底から照射して微細物体を浮揚させるようにした。
【0011】
請求項2記載の微細物体の操作方法は、請求項1記載の微細物体の操作方法であって、前記レンズへ入射する光の状態の変化を、前記レンズに入射する光を絞る絞り手段によって行うようにした。
【0012】
請求項3記載の微細物体の操作方法は、請求項1記載の微細物体の操作方法であって、前記レンズへ入射する光の状態の変化を、前記レンズによる集光位置を移動させる移動手段によって行うようにした。
【0013】
請求項4記載の微細物体の操作方法は、請求項1記載の微細物体の操作方法であって、前記レンズへ入射する光の状態の変化を、前記光源より入射する光を偏光させる偏光手段によって行うようにした。
【0014】
本発明によれば、密集状態にある微細物体の中から目的とする微細物体を作業性よく効率よく捕捉することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の断面図、図2は同微細物体の操作装置の部分断面図、図3は同微細物体の操作装置による捕捉範囲の説明図、図4は同微細物体操作処理のフロー図、図5は同微細物体の操作装置の部分断面図、図6,図7は同微細物体操作処理の工程説明図、図8は同微細物体の操作装置の固定絞り板の平面図、図9は同微細物体の操作装置の部分断面図、図10は同微細物体の操作装置の偏光板の平面図である。
【0016】
まず図1を参照して微細物体の操作装置の構造を説明する。図1において、透明な容器1中には試料である液体2が収納されており、液体2中には微生物や動植物細胞などの微細物体3が多数浮遊状態で存在している。これらの微細物体3は、捕捉や移動などの操作対象となるものである。容器1は保持テーブル4上に載置され保持されており、保持テーブル4は容器保持部となっている。
【0017】
保持テーブル4は移動ステージ5に装着されている。移動ステージ5はXステージ5x、Yステージ5yおよびZステージ5zにより構成されており、XYZドライバ6によって駆動される。移動ステージ5を駆動することにより、容器1中の液体2はX方向、Y方向およびZ方向に移動する。なお、ここで用いられるXYZ座標は、以下に説明する光学系に固定されており、容器1はこの座標系に対して相対的に移動する。すなわち、容器1の底面のZ座標ZsはZステージ5zの移動によって変化し、光学系の光軸の容器1内におけるX方向、Y方向の位置は、Xステージ5x、Yステージ5yの移動によって変化する。
【0018】
保持テーブル4の下方には、レーザトラップ部10が配設されている。レーザトラップ部10の光学ケース11の上部には対物レンズ12(各請求項記載のレンズに該当する)が装着されており、対物レンズ12の下方にはハーフミラー13が斜め方向に配設されている。光学ケース11の側部にはレンズ14,15より成るレーザ光学系が設けられており、レンズ15には光源であるレーザ照射部16から照射されたレーザ光が入射する。このレーザ光はレーザ光学系を介してハーフミラー13に水平方向から入射し、上方に反射されて対物レンズ12に入射する。
【0019】
レンズ14とレンズ15の間には、光切り替えユニット23が設けられている。光切り替えユニット23は、対物レンズ12に入射する光の状態を変化させるものであり、ここでは図5に示すように絞り板23aを備えた可変絞り装置23Aで構成されている。可変絞り装置23Aは絞り調整部23bを備えており、絞り調整部23bで絞り板23aの開口23cを調整することにより、開口23cは図5(a)に示すように開放状態に、また図5(b)に示すように絞り込み状態に設定され、これにより対物レンズ12に入射する光の状態を変化させることができる。この光の状態を変化させることによる作用効果については後述する。
【0020】
保持テーブル4に設けられた開口部4aを対物レンズ12に対して位置合わせした状態で、レーザ照射部16からレーザ光を照射することにより、対物レンズ12に入射したレーザ光は透明な容器1の底面を透して液体2内に入光する。そしてこのレーザ光は液体2中で集光し、この集光したレーザ光によって光学的トラップによる捕捉範囲(後述)が形成される。この捕捉範囲では、微細物体3を光圧力によって非接触で捕捉することができる。
【0021】
ハーフミラー13の下方には撮像レンズ17およびカメラ18が配設されている。カメラ18は、対物レンズ12およびハーフミラー13を透して容器1の液体2中の微細物体を撮像する。この撮像時のカメラ18のピントは、前述の捕捉範囲付近に設定される。この捕捉範囲は、光学系に固定のXYZ座標系上で固定されており、捕捉範囲の代表点位置を示す捕捉位置(xt,yt,zt)の周辺で所定の広がりを持つ領域である。
【0022】
カメラ18には画像処理部19が接続されており、カメラ18によって得られた撮像データは画像処理部19に送られる。そしてここで撮像データを画像処理することにより、液体2中の微細物体3を識別し、複数の微細物体の中から目的とする微細物体を特定する探索処理を行う。この探索処理により、捕捉対象の微細物体3の液体2中での位置が検出される。この位置検出結果は制御部20に送られ、この位置検出結果に基づいて制御部20によってXYZドライバ6を制御して移動ステージ5を駆動することにより、容器1内の捕捉対象の微細物体3を所定位置に位置決めすることができる。また、移動ステージ5を駆動することにより、レーザトラップ部10によって液体2中に形成された捕捉範囲に対して容器1を相対的に移動させることができる。すなわち、移動ステージ5は捕捉範囲を容器1に対して相対的に移動させる移動手段となっている。
【0023】
制御部20には入力部21および出力部22が接続されている。入力部21はキーボードやマウスなどの入力手段を備えており、操作コマンドや各種データの入力を行う。表示部22は撮像された微細物体の画像を画面表示すると共に、操作入力時の操作画面を表示する。
【0024】
次に図2、図3を参照してレーザトラップ部10による容器1の液体2中での光学的トラップの捕捉範囲形成について説明する。図2(a)に示すように、対物レンズ12に下方から入射したレーザ光は、対物レンズ12によって集光された状態で容器1の液体2内に入射する。このレーザ光が液体2内の微細物体3に照射されると、微細物体3には光圧力が作用する。この光圧力によって一般には微細物体3を照射方向(レーザ光が進む方向)に移動させる方向の力が作用する。
【0025】
このとき、対物レンズ12として開口数NAの大きなレンズを用いてレーザ光を急激に集束させると、図2(b)に示すように、集光点Fの前方(対物レンズ12から遠ざかる方向)の特定位置には、微細物体3に作用する光圧力がつり合う領域、すなわちレーザ光の照射方向の光圧力と、照射方向と反対方向で集光点Fに向かう光圧力とがつり合う領域が生じ、この領域内に位置した微細物体3はレーザ光によりトラップされた状態となる。そしてこのトラップ状態でレーザ光を液体2内で走査させると、微細物体3はトラップ状態のまま移動する。このレーザ光によるトラップが可能な領域は、前述の捕捉位置(xt,yt,zt)の周辺で所定の広がりを持っており、微細物体3の捕捉範囲Tとなっている。
【0026】
上述のように、捕捉範囲Tを形成するにはレーザ光の集束の度合いが大きいことが必要であり、図2(c)に示すように開口数NAが小さいレンズ12’を用いた場合には、レーザ光の集束の度合いが弱いため捕捉範囲Tは形成されない。この場合には、レーザ光が照射された微細物体には、常に照射方向に移動させる方向の力が作用するので、図2(c)に示すように、集光点Fの前方でも後方でも関係なく、レーザ光が照射された微細物体は対物レンズ12から遠ざかる方向に移動し、捕捉されることはない。
【0027】
図3は、捕捉範囲Tが形成される場合において、微細物体3が捕捉範囲Tの近傍に位置している場合の微細物体3の挙動を示すものである。図3(a)は、微細物体3が捕捉範囲Tのさらに前方(対物レンズ12から遠ざかる方向)に位置した状態を示している。この状態でレーザ光を照射すると、微細物体3には照射されたレーザ光の光圧力によって照射方向へ微細物体を移動させる力が作用する。この結果微細物体3は液体2中でレーザ光の照射方向(捕捉範囲Tからさらに遠ざかる方向)に移動する。このとき、容器1を対物レンズ12に対して相対的に接近させる動作を併用することにより、レーザ光の照射のみによる移動と比較して、さらに効率よく微細物体3を液体2内で移動させることができる。
【0028】
図3(b)は微細物体3を捕捉範囲Tの手前側(捕捉範囲Tと対物レンズ12との間)に位置させた状態を示している。この状態でも微細物体3には照射されるレーザ光の光圧力により照射方向に移動させる力が作用するが、この場合には微細物体3の移動方向には捕捉範囲Tが位置しているため、時間の経過とともに微細物体3は捕捉範囲Tに接近しやがて捕捉範囲T内に移動して捕捉される。すなわち、図3(b)に示す状態に微細物体3を位置させれば、その後はレーザ光の照射を継続するのみで、微細物体3は自動的に捕捉範囲Tまで移動して捕捉される。
【0029】
言い換えれば捕捉範囲T内に微細物体3を正確に位置決めしなくても、図3(b)に示す捕捉範囲Tと対物レンズ12との間の捕捉準備範囲R内に微細物体3を位置させれば、後は微細物体3の捕捉は自動的に行うことができる。捕捉準備範囲Rは捕捉範囲Tよりもはるかに広いため、この自動捕捉を利用することにより、従来の光学的トラップによる捕捉時に求められた微細物体3と捕捉範囲Tとの位置決め精度を大幅に緩和することが可能となる。
【0030】
図3(c)はこの自動捕捉時の捕捉動作を促進する方法を示すものであり、レーザ光の照射を継続するとともに、捕捉範囲Tを微細物体3に対して相対的に近づける方向に移動させるものである。これにより、微細物体3のみを移動させる場合と比較して捕捉範囲Tに微細物体3が到達して捕捉されるのに要する時間を短縮できる。
【0031】
次に対物レンズ12に入射する光の状態を変化させることによって生じる微細物体3への光圧力の変化について、図5を参照して説明する。図5(a)に示す絞り板23aの開放状態では、図2(a)に示す場合と同様に、対物レンズ12によってレーザ光は集束されて光圧力による捕捉範囲Tが形成される。これに対し図5(b)に示す絞り込み状態では、図2(c)に示す場合と同様に対物レンズ12によって集光されるレーザ光は集光角度が小さいことから捕捉範囲Tを形成しない。
【0032】
すなわちレーザ光学系に可変絞り装置23Aを設けることにより、同一の対物レンズ12を用いて、レーザ光による捕捉範囲Tの形成をコントロールすることができる。したがって、微細物体の操作において、微細物体を捕捉する際には図5(a)に示すように絞りを開放して捕捉範囲を形成し、また微細物体の移動を行う場合には、図5(b)に示すように絞り込み状態に設定して捕捉範囲を実質的に消滅させることにより、同一の対物レンズを備えた単一の光ピンセット装置を用いて、微細物体の捕捉、移動の切り替えを行うことが可能となる。可変絞り装置23Aは絞り手段であり、捕捉範囲を実質的に消滅させる切り替え手段となっている。
【0033】
次にこの微細物体の捕捉装置による微細物体捕捉処理を図6、図7を参照して図4のフローに沿って説明する。ここでは、容器1の底面に密集した状態で多数存在する微細物体3の中から捕捉の対象となる微細物体3aを探索して捕捉する処理を示している。図6、図7は捕捉処理における表示部22の表示画面31の表示状態と、そのときの容器1内の微細物体3と捕捉範囲との位置関係を示したものである。図6、図7においては、実線で示すレーザ光Lのみが実際の照射状態を示しており、破線で示すレーザ光Lは照射状態や捕捉範囲Tを図示するための仮想線である。
【0034】
図6(b)に示すように、目的とする微細物体3aの近傍に捕捉したくない微細物体が多数存在する場合があり、いきなり目的とする微細物体3aを捕捉しようとしても捕捉したくない微細物体まで同時に捕捉してしまう可能性が極めて高い。このような場合は、目的の微細物体をその近傍の微細物体ごと容器1の底より浮揚させ、微細物体の分布をまばらにした状態で目的の微細物体3aのみを捕捉する。
【0035】
まず最初に、レーザ照射がOFFの状態で、目的となる微細物体3を探索する(ST1)。この探索は、移動ステージ5を駆動して撮像位置を移動させながらカメラ18によって撮像された微細物体3の画像を画像処理部19で認識し、識別することによって行う。図6(a)は探索の結果、容器1の底面上の多数の微細物体3の中から目的となる微細物体3aの画像33が表示画面31内で特定された状態を示している。表示画面31の中央には捕捉範囲の代表点である捕捉位置(xt,yt)を示すマーク32が表示されている。この後、探索され特定された微細物体3aの位置座標(x0,y0)を制御部20の記憶装置に記憶する(ST2)。なお、画像処理を用いて目的となる微細物体3の自動探索を行うかわりに、表示部22の表示画面上で作業者が目視により目的となる微細物体3を識別してティーチングして微細物体3aの位置座標を制御部20の記憶装置に記憶させてもよい。
【0036】
次に図6(b)に示すように、微細物体3aのXY座標における位置座標(x0,y0)が捕捉位置(xt,yt)に位置するように移動ステージ5を移動させる(ST3)。これにより、容器1内の底面上の微細物体3はレーザ光が照射される位置に位置する。次いで可変絞り装置23Aの絞り調整部23bによって開口23cを絞り込み状態にする(ST4)。その後レーザ照射部16によるレーザ照射をONにする(ST5)。これにより、微細物体3にはレーザ光が照射される。このとき、対物レンズ12に入射するレーザ光は絞り込まれた状態であり、前述のように集光角度が小さいことから捕捉範囲を形成せず、図6(c)に示すように微細物体3はレーザ光の光圧力により液体2内を上方に移動する。これにより、液体2中における微細物体の分布がまばらとなり、目的とする微細物体3aの近傍には微細物体が存在しないスペースが生じる。
【0037】
この後表示画面31によって目的の微細物体3が液体2中に浮揚したことを確認する(ST6)。この確認は、微細物体3が移動することによってカメラ18のピント位置から外れ、表示画面31上で微細物体の像33がピンボケ状態になることを観察することにより行われる。
【0038】
この後、再びレーザ照射をOFFにし(ST7)、次いで可変絞り装置23Aの絞り調整部23bによって開口23cを開放状態にする(ST8)。すなわち、対物レンズ12に入射するレーザ光の状態を捕捉範囲の形成が可能な状態に切り替える。次いでこの後ST1と同様に目的となる微細物体3aを探索し(ST9)、微細物体3aの位置を認識してこの時点での位置座標(x0,y0,z0)を検出する。そして探索された微細物体3aが1個のみであることを確認した後、捕捉位置(xt,yt,zt)が微細物体3aの位置座標(x0,y0,z0)と一致するよう、移動ステージ5を移動する(ST10)。そして図7(a)に示すように、微細物体3aが捕捉範囲T内に位置決めされたならば、図7(b)に示すように、再びレーザ照射をONにして捕捉範囲T内に微細物体3を捕捉する(ST11)。これにより、容器1の底面上に存在する多数の微細物体の中から、目的とする微細物体3aのみが捕捉される。
【0039】
上記微細物体の操作方法は、光の集光のさせ方で、光圧力による微細物体に対する作用が異なるという特性を利用して、単一の光ピンセット装置を用いて、微細物体の捕捉を効率よく行うことを可能としたものである。すなわち、容器の底に密集した状態で存在する微細物体の中から目的の微細物体3をする場合には、容器の底に位置している目的の微細物体3aにレーザ光を下方から(容器の底から)照射して目的の微細物体3aとその周囲の微細物体3を試料溶液中に浮揚させ、分布がまばらになったところで目的の微細物体3aを捕捉する。
【0040】
このとき、微細物体3aを浮揚させる場合に用いられるレーザ光としては、捕捉範囲を実質的に消滅させた光を使用する。これにより、レーザ光が照射された微細物体は捕捉されることなく光の進行方法(照射方向)へ移動する。さらには、レーザ光の光圧による移動は従来の捕捉状態で移動させる場合と比較して移動速度を大きく設定することが可能なため、操作効率を向上させるという効果をも併せて得ることができる。
【0041】
図8は捕捉範囲を実質的に消滅させる切り替え手段の第2実施例を示している。図8は異なる形状の2種類の固定絞り板を示している。図8(a)に示す固定絞り板23Bは、中央に円環状の開口部23eが設けられており、この開口部23eから対物レンズ12に入射するレーザ光は入射範囲が広いため大きな集光角度で集光され、捕捉範囲を形成する。これに対し、図8(b)に示す固定絞り板23Cには小さい開口径の開口部23fが設けられているため、対物レンズ12に入射するレーザ光は絞り込まれて狭い範囲にしか入射せず、捕捉範囲が実質的に消滅する。このように形状が異なる少なくとも2種類の固定絞り板23B,23Cを使い分ける方法によっても、第1例に示す可変絞りと同様の効果を得ることができる。
【0042】
図9に示す第3実施例では、レーザ光学系のレンズ14を水平方向に移動可能としたものである。レンズ14は移動機構23dによって移動し、これにより対物レンズ12による集光位置が変化する。図9(a)に示す状態では、集光位置F1が対物レンズ12に接近しており集光角度が大きいため捕捉範囲Tが形成される。これに対し図9(b)に示す状態では、レンズ14がハーフミラー13から離れて位置している。このため対物レンズ12による集光位置F2は対物レンズ12から離れた位置にあって集光角度が小さく、捕捉範囲は形成されない。
【0043】
すなわち、移動機構23dによるレンズ14の移動位置を制御することにより、同様に捕捉範囲を実質的に消滅させることができる。したがってレンズ14および移動機構23dは切り替え手段であり、対物レンズ12による集光位置を移動させる移動手段となっている。
【0044】
図10は切り替え手段の第4実施例であり、光源であるレーザ照射部16より入射するレーザ光を特定方向に偏光させることにより、捕捉範囲の形成をコントロールする例を示している。特開平5−93871に開示されているように、光トラップに使用するレーザ光の偏光状態を変化させることでトラップする力を可変にすることが可能である。よってレーザ光の偏光状態を適切に設定し、状態を切り替えることにより捕捉範囲を実質的に消滅させたり現出させることが可能となる。図10(a)に示す偏光板23Dは、中央点に対して点対称の放射方向に光を偏向させる特性を有している。この偏光板23Dを通過して対物レンズ12に入射する光の偏光軸は光軸を中心に放射状に偏光していることから、対物レンズ12によって集光されたレーザ光は微細物体に入射し易くなり、円周方向の全ての光が捕捉範囲形成に有効に作用し、捕捉力が増加する。
【0045】
これに対し図10(b)に示す偏光板23Eでは、偏向軸の向きが一方向に向いた直線偏光となっている。このため、偏光板23Eを通過して対物レンズ12に入射するレーザ光のうち偏光板23Eの上部23Eaと下部23Ebを通過したレーザ光はその偏光方向から微細物体に入射しにくくなり、したがって捕捉範囲の形成にほとんど寄与しない。そして偏光板23Eの中央部分23Ecを通過した光のみが中心点に向かって光圧力を集中させる作用を有するが、偏光板23Eを通過するレーザ光全体としての光圧力の集中は弱く、実質的に捕捉範囲を形成するまでには至らない。したがって、捕捉範囲を実質的に消滅させる場合は、対物レンズ12とレーザ照射部11との間にレーザ光を直線偏光させるような偏光板を挿入すればよい。このように偏光特性の異なる複数の偏光板を準備し、これらを用途に応じて交換することによっても、レーザ光による捕捉範囲の形成、消滅を制御することができる。
【0046】
以上のように本発明の微細物体の操作装置では、光ピンセットの捕捉範囲を消滅させた状態でも微細物体を光の照射方向へ移動させることができるので、従来に比べて効率よく微細物体を操作(捕捉、移動)することができる。特に密集した微細物体の中から目的の微細物体を捕捉する場合において顕著な効果が期待できる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、密集状態にある微細物体の中から目的とする微細物体を作業性よく効率よく捕捉することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の断面図
【図2】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の部分断面図
【図3】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置による捕捉範囲の説明図
【図4】本発明の一実施の形態の微細物体操作処理のフロー図
【図5】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の部分断面図
【図6】本発明の一実施の形態の微細物体操作処理の工程説明図
【図7】本発明の一実施の形態の微細物体操作処理の工程説明図
【図8】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の固定絞り板の平面図
【図9】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の部分断面図
【図10】本発明の一実施の形態の微細物体の操作装置の偏光板の平面図
【符号の説明】
1 容器
2 液体
3 微細物体
4 保持テーブル
5 移動ステージ
6 XYZドライバ
10 レーザトラップ部
12 対物レンズ
14 レンズ
20 制御部
23 光切り替えユニット
23A 可変絞り装置
23a 絞り板
23B、23C 固定絞り板
23D、23E 偏光板
23d 移動機構
Claims (4)
- レンズで集光された光の光圧力を利用して容器に収納された試料内の微細物体を操作する微細物体の操作方法であって、微細物体を捕捉するに先だって前記レンズへ入射する光の状態を変化させることにより前記捕捉範囲が実質的に消滅した光を微細物体に前記容器の底から照射して微細物体を浮揚させることを特徴とする微細物体の操作方法。
- 前記レンズに入射する光の状態の変化を、前記レンズに入射する光を絞る絞り手段によって行うことを特徴とする請求項1記載の微細物体の操作方法。
- 前記レンズに入射する光の状態の変化を、前記レンズによる集光位置を変化させる移動手段によって行うことを特徴とする請求項1記載の微細物体の操作方法。
- 前記レンズに入射する光の状態の変化を、前記光源より入射する光を偏光させる偏光手段によって行うことを特徴とする請求項1記載の微細物体の操作方法。
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