JP3623102B2 - 静電チャック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置等においてウエハを静電的に吸着保持して処理したり、搬送するための静電チャックに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、半導体製造用装置において、シリコンウエハに対して成膜を行ったり、エッチングを施す場合には、シリコンウエハを平坦に保持することが必要である。このような保持手段としては、機械式、真空吸着式、静電吸着式が提案されている。
【0003】
これらの保持手段の中で静電的にシリコンウエハを保持することのできる静電チャックは、シリコンウエハの加工を行うに際して要求される加工面の平坦度や平向度を容易に実現することができ、さらにシリコンウエハを真空中で加工処理することができるため、半導体の製造に際して最も多用されている。
【0004】
従来の静電チャックは、電極板の上にアルミナ、サファイヤ等からなる絶縁層を形成したもの(特開昭60−261377号)、絶縁基板の上に電極層を形成しその上に絶縁層を形成したもの(特開平4−34953号)、絶縁基板内部に電極層を組み込んだもの(特開昭62−94953号)等が提案されている。
【0005】
近年、半導体素子の集積回路の集積度が向上するに従い、静電チャックの高精度化とともに、耐食性、耐摩耗性、耐熱衝撃性に優れたセラミックス製静電チャックが要求されている。特に、窒化アルミニウムは他のセラミックス材料に比べて耐プラズマ性に優れていることから、静電吸着面を窒化アルミニウムセラミックスからなる静電チャックが検討されている。
【0006】
一般に、絶縁体の体積固有抵抗値は温度が上昇するに伴い低下する。例えば窒化アルミニウムの場合には室温では1016Ω・cmから300℃で1011Ω・cm以下に減少するため、250℃の雰囲気で使用すると残留吸着などの問題が発生して安定した動作を得るのは困難であり、使用温度範囲に制限があった。特に、需要が多い150℃以下の使用温度では抵抗が1016Ω・cm以上であるために大きな吸着力が得られないという問題があった。
【0007】
これに対して、150℃以下の温度でも安定して静電チャックを使用するために、特開平2−160444号には、絶縁層を2層以上積層するとともにそれぞれの層に対応する電極層及び電気回路、スイッチングを設けて、室温から400℃までの広い温度領域の使用に耐えられるような構造が提案されている。また、特開平4−300137号には、静電チャック内にヒータ、熱電対などの温度検出器を取付け、外部に制御部を設けて温度変化にともなって電源部を制御して吸着力を安定させ、使用温度範囲を広げることも提案されている。さらに、特開平5−315435号は、誘電体層を複数の抵抗率の異なる材質で形成し、使用温度によって電圧印加の切り替えを行う方法を提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
静電チャックの静電吸着面を形成する誘電性絶縁体として、主として用いられている窒化アルミニウムやアルミナなどのセラミック系誘電性絶縁体では、低温から高温まで安定した吸着力を得るには至っておらず、上述のように静電チャックの構造を変えたり、電気的な制御により使用できる温度範囲を広げようとしてきた。
【0009】
しかし、前述したような絶縁層を2層以上積層して電極層を増やしたものや複数の抵抗率の異なる材質を誘電体層として用いた場合、電気回路も複雑となり、静電チャック自体の構造が複雑になるために製造工程が煩雑であり、そのために製品の信頼性が低下したり、コストが高くなるといった欠点があった。
【0010】
また、ヒータを内蔵してその温度を検知し、印加電圧を制御する方法においても静電チャック内に熱電対などの温度検知器を内蔵するために検知器が故障すると使用不可能になるという問題があり、またこの方法においてもセラミック材料の持つ特性は本質的に変化しないことから、その使用範囲には自ずと限界があることには変わりがない。
【0011】
従って、本発明は、幅広い温度範囲で107〜1012Ω・cmの抵抗を具備し、簡易な構造を有しながらも幅広い温度範囲で優れた吸着特性を有する静電チャックを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題点に対して静電チャックの表面を形成するセラミック抵抗体について特に静電チャックを構成する材料の観点から検討を重ねた結果、静電吸着面が窒化アルミニウムを主相とするセラミックスからなる静電チャックにおいて、該セラミックス中に、Ceを酸化物(CeO2 )換算で5〜20容量%の割合で含有せしめるとともに、X線回折チャートにおいて面間隔が(a)2.8±0.1Åおよび(b)2.7±0.1Åの位置にそれぞれピークが存在し、各ピークの強度比(a)/(b)が0.05〜1.2を満足するセラミックスによって形成することにより、50℃における体積固有抵抗が107 〜1012Ω・cmの特性を有することができ、その結果、少なくとも0〜100℃の範囲で高い吸着力と、残留吸着力の低減を図ることができることを見いだした。
【0013】
【作用】
通常、窒化アルミニウムセラミックスは、25℃において体積固有抵抗が1014Ω・cm以上の高絶縁体であるが、該セラミックス中にCeを含有せしめ、粒界相にCe化合物を形成することによって、セラミックスの抵抗を低下させることができる。これは、生成されたCe化合物が導電性を有するためと考えられる。
【0014】
本発明によれば、このようなCe含有窒化アルミニウムセラミックスのX線回折チャートにおいて、面間隔が(a)2.8±0.1Åおよび(b)2.7±0.1Åの位置にピークが存在する。上記(b)のピークは、CeAlO3 のピークであるり、また上記の(a)のピークは、Ceの添加量等によって種々変化することから(b)と同様にCe化合物であると考えられる。
【0015】
本発明では、この特殊な(a)のピークとCeAlO3 とのピーク強度比が、セラミックスの温度に対する抵抗変化に大きく影響を及ぼしていることを知見し、このピーク強度比(a)/(b)を0.05〜1.2を満足するように制御することにより、50℃で体積固有抵抗が107 〜1012Ω・cmの特性を有し、さらには、少なくとも0〜100℃において体積固有抵抗を107 〜1012Ω・cmの範囲に制御できる結果、0〜100℃においてウエハを高い吸着力で固定することができ、また残留吸着力の発生しない静電チャックが得られる。
【0016】
また、本発明によれば、静電吸着面を上記のような幅広い温度領域で体積固有抵抗の変化を小さくできることから、静電チャックとして格別に複雑な構造をとる必要なく、低コストで広範囲な温度領域において使用可能な静電チャックを提供できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の静電チャックを図面をもとに詳述する。図1は、本発明に係る静電チャックの一例を示す概略断面図である。この静電チャック1は、円盤状をしたセラミック基体2の一主面がウエハなどの被固定物Wを支持固定するための静電吸着面3を形成している。そして、セラミック基体2の内部には、円板状導体を配設してなる静電吸着用の電極層4が埋設されている。また、上記静電吸着面3の反対側の面には静電吸着用の電極層4と電気的に接続された給電用端子5が配設されている。
【0018】
本発明において、セラミック基体2は、50℃における体積固有抵抗が107 〜1012Ω・cmであることが必要であって、この抵抗が107 Ω・cmより低いと、漏れ電流が発生し、1012Ω・cmよりも高いと、ジョンソン・ラーベック力による高い吸着性が得られない。
【0019】
本発明によれば、上記の抵抗特性を得る上で、窒化アルミニウムを主体とし、Ceを酸化物換算で5〜20容量%、特に10〜15容量%の割合で含有する。Ceは、窒化アルミニウム主結晶相の粒界にCe化合物として存在し、Ce化合物の生成によってセラミックスの抵抗が大きく変化し、Ce量が多いほど抵抗が低下し、少ないほど抵抗が増大する。従って、Ce量が酸化物換算で5容量%よりも少ないと、セラミックスの抵抗の低下に効果が少なく目的の抵抗を得にくく、20容量%を超えると、抵抗が低くなりすぎて静電吸着時に漏れ電流が大きくなってしまう。
【0020】
さらに、セラミック基体2の抵抗特性、特に抵抗の温度に対する変化は、Ce量のみならず、焼結体中の全酸素量とも関係しており、特に、所定のX線回折測定において検出される特定のピーク強度と相関がある。図2は、本発明におけるセラミックス基体のCu−Kα線によるX線回折チャート図である。即ち、X線回折測定において、面間隔が(a)2.8±0.1Å(2θ=31.7±1.5(°))の領域に現れるCe化合物に由来していると思われるピークがセラミックスの抵抗値を支配している。また、(b)2.7±0.1Å(2θ=33.2±1.5(°))はCeAlO3 の(011)面のピークである。これらの値は測定するX線回折装置により多少ずれるが、標準試料で構成すれば±0.1Å内に入ると考えられる。
【0021】
本発明によれば、(a)ピーク強度と、(b)ピーク強度とのピーク強度比(a)/(b)の値を0.05〜1.2となるように制御することにより、0〜100℃の温度範囲において107 〜1012Ω・cmの抵抗を有し、セラミックスの抵抗の温度変化を小さくすることができ、その結果、幅広い温度領域で安定した吸着特性を得ることができる。
【0022】
この(a)/(b)ピーク強度比が0.05より小さいとセラミックスの抵抗が高く、高い吸着力は得られない。また、(a)/(b)ピーク強度比が1.2より大きいと抵抗が低すぎて吸着時に漏れ電流が大きくなってしまうことから不適当である。
【0023】
なお、上記の窒化アルミニウムセラミックスは、抵抗調整剤として、上記Ce化合物に加え、Ti,Zr,Hf,Nb,Ta及びV等の周期律表第4A,5A族元素の窒化物や炭化物を22.5容量%以下の範囲で配合させることも可能である。特に、TiN、TaNを用いると、抵抗を容易に制御できる。
【0024】
また、主成分である窒化アルミニウムは難焼結材であるため、焼結性を高めるために、焼結助剤としてイットリウム(Y),エルビウム(Er),イッテルビウム(Yb)等の希土類元素や、Ca等のアルカリ土類元素を酸化物換算で2容量%以下の範囲で含有しても良い。
【0025】
さらに、セラミックス中における窒化アルミニウムの平均結晶粒子径は50μm以下、好ましくは10〜30μmであるものが良い。これは、平均結晶粒子径が50μmより大きくなると緻密化することが難しくなり、焼結体の強度、硬度が大幅に低下することからウエハWとの脱着に伴う摺動によって静電チャック1の静電吸着面3が摩耗し易くなり、また、成膜工程やエッチング工程等におけるプラズマや腐食性ガスによって腐食摩耗し易くなるために、静電チャック1の寿命が短くなるとともに、パーティクルが発生し、被固定物Wに悪影響を及ぼすためである。
【0026】
一方、セラミック基体2に埋設する静電吸着用の電極層4としては、焼成時及び加熱時におけるセラミック基体2との密着性を高めるために、セラミック基体2を構成する窒化アルミニウム質焼結体と熱膨張係数が近似したタングステン(W)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)等の耐熱性金属により形成することが良く、また、給電端子5もセラミック基体2との熱膨張差を小さくするために、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)等の耐熱性金属や鉄−コバルト−クロム合金により形成すれば良い。
【0027】
本発明によれば、上記静電吸着面3に載置する被固定物Wと、セラミック基体2内に埋設された静電吸着用の電極層4との間に電圧を印加すれば、上記のようにセラミック基体2が0〜100℃において体積固有抵抗値が107 〜1012Ω・cmの範囲にあるため、この温度域においてジョンソン・ラーベック力を発現させて被固定物Wを強固に吸着保持することができる。
【0028】
さらに、静電吸着面は耐熱性及び耐プラズマ性、耐食性に優れた窒化アルミニウムセラミックスからなるために、比較的高温の200℃付近においても使用可能であり、さらには成膜工程やエッチング工程などにおいてプラズマや腐食性ガスに曝されたとしても腐食摩耗が少なく長期使用が可能である。
【0029】
次に、本発明の静電チャックを製造するには、まず、セラミック基板2を構成する窒化アルミニウム質焼結体として、AlN粉末に対し、CeO2 の粉末を5〜20容量%の範囲で添加するとともに、Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,V等の周期律表4A,5A族元素の窒化物や炭化物を0〜22.5容量%の範囲で添加する。また、同時に焼結助剤として、イットリウム(Y),エルビウム(Er),イッテルビウム(Yb)等の希土類元素や、Ca等のアルカリ土類元素の酸化物あるいは焼成によって酸化物を形成し得る炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩等を酸化物換算で2容量%以下の範囲で含有する。
【0030】
なお、前記周期律表4A,5A族元素の窒化物や炭化物は、Ti,Nb,Ta,Zr,Hf,Vなどの金属酸化物の状態で添加しても良く、還元雰囲気中で焼成することによりそれぞれの炭化物や窒化物とすることができる。
【0031】
また、本発明によれば、上記X線回折測定において前記(a)/(b)のピーク強度比は、上記添加成分に加え、組成系中の焼結助剤として混入する酸素以外の酸素量によって制御することができる。この酸素は、Al2 O3 として存在するものと考えられる。ただし、この酸素量に基づくAl2 O3 量はAlN粉末表面に存在する不可避的なAl2 O3 や、意図的にAl2 O3 を添加することによって制御することができる。具体的には、添加されるAl2 O3 は、AlN粉末の表面にも不可避的に存在するAl2 O3 を含めた全Al2 O3 量とCeO2 との体積比率(CeO2 /Al2 O3 )が2〜15となるように制御することが望ましい。
【0032】
そして、この混合物にバインダーと溶媒を加えて泥漿を作製したあと、ドクターブレード法にてグリーンシートを複数枚成形し、このうち1枚のグリーンシート上に静電吸着用の電極層4をなすタングステン、モリブデン等の高融点金属を含む金属ペーストをスクリーン印刷にて所定の電極パターン形状に印刷する。
【0033】
そして、この電極層パターンを覆うようにグリーンシートを積層し、50〜150℃、30〜70kg/cm2 の圧力で熱圧着することによりグリーンシート積層体を作製したあと、上記グリーンシート積層体に切削加工を施して円盤状とする。しかる後、上記グリーンシート積層体を真空脱脂したあと、窒素雰囲気下において1500〜2000℃程度の温度で1〜数時間程度焼成する。
【0034】
その後、静電吸着面を表面粗さRmaxが1μm以下となるまで研磨加工するとともに、静電吸着面3と反対側の面に前記静電吸着用の電極層4と連通する穴を穿孔し、該穴に給電端子5をロウ付け接合することにより図1に示す静電チャック1を得ることができる。
【0035】
なお、図1に示す静電チャック1では、セラミック基体2の内部に静電吸着用の電極層4のみを備えた例を示したが、例えば、上記静電吸着用の電極層4以外にヒータ用の抵抗体を埋設しても良く、この場合、ヒータ用の抵抗体により静電チャック1を直接発熱させることができるため、間接加熱方式のものに比べて熱損失が少なく、また、セラミック基体2そのものが高熱伝導特性を有する窒化アルミニウム質焼結体からなるため、静電吸着面3に保持した被固定物Wをムラなく均一に加熱することができる。
【0036】
さらに、静電吸着用の電極層4以外にプラズマ発生用電極をセラミック基体2内に埋設しても良く、この場合、成膜装置やエッチング装置の構造を簡略化することができる。
【0037】
また、本実施形態ではセラミック基体2を、0〜100℃の温度域における体積固有抵抗値が107 〜1012Ω・cmの範囲にある窒化アルミニウム質セラミックスにより形成した例を示したが、少なくとも被固定物Wを吸着保持する当接面3が上記窒化アルミニウム質焼結体により形成してあれば良い。
【0038】
本発明によれば、セラミック抵抗体を静電チャックとして使用した場合について説明したが、その他に静電気を防止するための部品として、例えば半導体製造装置におけるウエハ搬送用アーム、ウエハハンドリング用治具の他に、ヒータ材料、真空管外囲管などにも使用することができる。
【0039】
【実施例】
次に、室温(25℃)雰囲気下で使用するのに好適な図1の静電チャック1を試作し、その吸着特性について測定を行った。
まず、純度99%、平均粒径1.2μmのAlN粉末に有機バインダーと溶媒のみを加えて泥漿を作製し、ドクターブレード法により厚さ0.5mm程度のグリーンシートを複数枚成形してそれらを積層してセラミック基板2を形成するための成形体を得た。そして、その一主面にタングステン粉末にAlN粉末を5体積%混合したタングステンペーストをスクリーン印刷法により印刷塗布して静電吸着用電極層4用の導体層を形成した。
【0040】
一方、純度99%、平均粒径1.2μm、酸素含有量1重量%のAlN粉末に対し、平均粒径0.9μmのCeO2 、平均粒径1.8μmのTiN粉末、平均粒径が0.8μmのAl2 O3 粉末を用いて、成形体組成が表1に示す割合となるように、秤量混合した。なお、表1中、Al2 O3 量は成形体中の全酸素量から、CeO2 に起因する酸素量を差し引いた残りの酸素量をAl2 O3 換算した量である。
【0041】
次に、この混合粉末に、さらに成形用バインダーと溶媒を加えて泥漿を製作し、ドクターブレード法により厚さ0.5mm程度のグリーンシートを成形した。そして、そのグリーンシートの表面に、タングステン粉末にAlN粉末を5体積%混合したタングステンペーストをスクリーン印刷法により印刷塗布して静電吸着用電極層4用の導体層を形成した。
【0042】
そして、静電吸着用の電極層4をなす導体層を形成したグリーンシートの表面に、他のグリーンシートを積層して、80℃、50kg/cm2 の圧力で熱圧着した。しかるのち、上記積層体に切削加工を施して円板状とし、該円板状の積層体を真空脱脂したあと、1900℃の焼成温度で10体積%の水素(H2 )を含む水素/窒素混合雰囲気下で3時間焼成することにより、セラミック基板および誘電体層ともに相対密度99%以上の、外径200mm、厚み8mmで、かつ内部に膜厚15μmの静電吸着用電極4を備えた板状焼結体を作製した。
【0043】
そして、静電吸着面3をなす表面を表面粗さRmax1μm以下まで研磨して静電吸着面5を形成して静電チャックを形成した。また、抵抗測定用およびX線回折測定用として、上記誘電体層と同一組成物の成形体を別途、作製し、上記と同じ焼成条件で焼成した。
【0044】
まず、抵抗測定として、試料を真空中300℃で1時間熱処理した後にドライ窒素を導入し、窒素雰囲気中で降温時に測定を行ない、体積固有抵抗が107 〜1012Ω・cmの範囲を満足した温度領域を表1に示した。そして、50℃での体積固有抵抗を測定し表1に示した。
【0045】
また、X線回折測定によって、面間隔が(a)2.8±0.1Åおよび(b)2.7±0.1Åの位置に有するピーク強度を測定し、ピーク強度比(a)/(b)を求めた。なお、表中、試料No.3および試料No.1(比較例)についてそのX線回折チャート図を図2および図3に示した。
【0046】
さらに、静電吸着力の測定として、作製した静電チャックに対して、室温(25℃)下において、吸着面5に8インチ径のシリコンウエハを載置して静電吸着用の電極層4との間に500Vの電圧を印加して1分間吸着保持させ、その時の吸着力を測定した。
【0047】
【表1】
【0048】
表1の結果から明らかなように、セラミックスの抵抗と吸着力は組成および 上記(a)/(b)ピーク強度比によって変化し、本発明の試料No.2〜7、11〜14は、少なくとも0〜100℃の温度領域において、107 〜1012Ω・cmの抵抗を有することからジョンソン・ラーベック力が発現でき、吸着力も200g/cm2 以上と優れたものであった。
【0049】
これに対して、(a)/(b)ピーク強度比が0.05よりも小さい試料No.1、9、10では、50℃の抵抗が1012Ω・cmよりも高く、試料No.1、9では抵抗が107 〜1012Ω・cmとなる温度領域が250℃以上と高く、25℃で1014Ω・cm以上となり、従って、25℃における吸着力も低いものであった。また、(a)/(b)ピーク強度比が1.2よりも大きな試料No.8、15では、50℃の抵抗が107 Ω・cmよりも低く、吸着時に漏れ電流が大きく、吸着力も低下した。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、窒化アルミニウムを主成分とし、Ceを所定量含有せしめ、且つX線回折測定において特定のピーク強度を所定範囲に制御することにより、所望の抵抗値が得られ、抵抗の温度変化が小さく、幅広い温度範囲でジョンソン・ラーベック力による静電吸着力を発揮し得るセラミック抵抗体を得ることができ、これを静電チャックの静電吸着面に適用することにより、耐食性に優れると同時に、幅広い温度環境下でウエハ等の被固定物を吸着支持することのできる、安価で高信頼性と長期安定性に優れた静電チャックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電チャックの構造を示す断面図である。
【図2】本発明のセラミック抵抗体のX線回折チャート図である。
【図3】比較例のセラミック抵抗体のX線回折チャート図である。
【符号の説明】
1 静電チャック
2 セラミック基体
3 静電吸着面
4 電極層
5 給電用端子
W 被固定物
Claims (1)
- 静電吸着面が窒化アルミニウムを主体とするセラミックスからなる静電チャックにおいて、該セラミックスがCeを酸化物(CeO2)換算で5〜20容量%の割合で含むとともに、X線回折チャートにおいて面間隔が(a)2.8±0.1Åおよび(b)2.7±0.1Åの位置にそれぞれピークが存在し、各ピークの強度比(a)/(b)が0.05〜1.2を満足し、且つ50℃における体積固有抵抗が107〜1012Ω・cmであることを特徴とする静電チャック。
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