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JP3622289B2 - 再剥離性粘着シート - Google Patents

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JP3622289B2
JP3622289B2 JP25075795A JP25075795A JP3622289B2 JP 3622289 B2 JP3622289 B2 JP 3622289B2 JP 25075795 A JP25075795 A JP 25075795A JP 25075795 A JP25075795 A JP 25075795A JP 3622289 B2 JP3622289 B2 JP 3622289B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、値札、工程管理用、ビデオカセットのインデックスラベル等に使用される再剥離性粘着シートに関するものである。更に詳しくは、その再剥離性粘着剤層が水に対する再離解性に極めて優れた粘着剤からなることで、古紙パルプとして再生する際に粘着剤が悪影響をおよぼすことなく容易に離解することができる再生可能な再剥離性粘着シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粘着シートは、商業用、事務用、工程管理用、物流管理用、家庭用などとして広範囲に至ってラベル、ステッカー、ワッペン、配送伝票等の形で使用されている。この粘着シートの一般的な構成を説明すると、表面基材と剥離シートとの間に粘着剤をサンドイッチにした状態のものである。
表面基材としては紙、フォイル、あるいはフィルム等のシートが使用される。また、剥離シートとしてはグラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙や上質紙等にポリエチレン等の樹脂フィルムをラミネートしたポリラミ原紙、あるいはクラフト紙や上質紙等にポリビニルアルコール、澱粉等の水溶性高分子等と顔料とを主成分とする塗被層を設けた樹脂コーティング原紙等にシリコーン化合物やフッ素化合物の如き剥離剤を塗布したものが用いられる。
また、粘着剤としてはゴム系、アクリル系、ビニルエーテル系等のエマルジョン型、溶剤型ないしは無溶剤型の各種粘着剤が使用される。
【0003】
このような粘着シートの中でも、再剥離性粘着シートは、値段の貼り替えの多い値札や工程管理用のラベル等に使用されているが、それらのラベルが最終的に剥離される際に、粘着剤が商品である被着体に残存しない状態で容易に剥離できること、つまり被着体の外観を損ねることのない優れた再剥離性を持つことが基本的に要求される。
【0004】
一方、古紙リサイクルに関しては、現在、わが国ではパルプ製造の為の原料として再生用損紙を含む古紙の使用量は、紙、板紙生産原料の50%を越えており、既に主原料の位置を占めるまでになっている。
再生パルプ化可能な古紙は、新聞、段ボール、雑誌、模造、色上(アートを含む)、上白、カード、特白、中白、白マニラ、切符、中更反古、茶模造紙(洋段を含む)、台紙、地券、ボール、感熱記録紙、感圧複写紙、OCR用紙等である。
これら古紙からの再生パルプ化法は、一般的には古紙を離解してパルプ懸濁液を得る離解工程、パルプ懸濁液中の異物を分離する粗選、精選工程、印刷インクを分離する脱墨工程、色を白くする漂白工程等を経て再生パルプ化が行われている。
【0005】
しかし、ワックス加工した紙や粘着シート等は、パルプ繊維から水に不溶なワックス、粘着剤等を分離することができず、再生パルプ化不可能な古紙とされている。特に粘着シートの場合は、水に不溶な粘着剤が5〜50%も含まれており、更にこの粘着剤は粘着力が強いために、パルプ繊維からの分離が不可能とされている。
また再生パルプ中に粘着剤が含まれたままで、該再生パルプを使用して抄紙すると、抄紙工程で粘着剤がワイヤーの目を塞いだり、プレスロールや毛布を汚したりして、紙切れを起こし抄紙効率を著しく低下させるという問題が生じたり、紙面上に斑点を形成してしまう等、紙層形成または品質面で悪影響を及ぼすという問題が生じる。
更に、通常、ポリラミ原紙を用いたような離解性の悪い剥離紙を重ねた状態にされているため、再生パルプ化については一層困難である。
このような問題を抱えているために、現状では粘着シート古紙の再生パルプ化は敬遠され、産業廃棄物となっているのが実状である。
【0006】
最近では森林資源、環境等の問題から、上記の如くリサイクルには不可能な粘着シートを、物理的または装置的に工夫することでリサイクル化に成功した例も数件報告されている。例えば特開平4−174787号公報の如く、離解工程に無機顔料を添加して糊の粘着性を消失させスクリーン処理する方法や、特開平4−163383号公報の如く、離解後のスクリーンの目穴を細かくして糊を除去する方法等が挙げられるが、どちらも特別な処理方法となり、通常の再生パルプ化工程とは異なる方法であった。
【0007】
このように再剥離性粘着シートにおいては、未だ水またはアルカリ水に再離解性を示す再剥離性粘着シートは提案されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、粘着シートの古紙より再生パルプを得る上で、その粘着剤層が水またはアルカリ水に対する再離解性が特に優れた粘着剤からなることで、粘着剤が悪影響をおよぼすことなく容易に離解でき、離解時に調整水を汚染することなく、通常の再生パルプ化工程でパルプを再生することができ、更にラベルを被着体から剥がす際には被着体を汚染することなく、容易に剥離することが可能な再剥離性粘着シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
▲1▼:表面基材及び再剥離性粘着剤層を有する再剥離性粘着シートにおいて、再剥離性粘着剤層を形成する粘着剤が、水またはアルカリ水溶液に対して再離解性を有することを特徴とする再剥離性粘着シート。
▲2▼:粘着剤が、下記の組成から成るカルボン酸変性ロジン含有アクリル酸エステル共重合体100重量部に対し、架橋剤0.1〜10重量部含有することを特徴とする▲1▼の再剥離性粘着シート。
Figure 0003622289
▲3▼:架橋剤が、エポキシ基またはイソシアネート基を1分子中に2個以上有する化合物である▲2▼の再剥離性粘着シート。
▲4▼:架橋剤が、1分子中に2個以上のエポキシ基をもつポリグルシジル化合物である▲3▼の再剥離性粘着シート。
である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記した如く、粘着剤層が水またはアルカリ水に対して特に優れた再剥離性を示す再剥離性粘着剤からなることで、再生パルプ化する際に極めて優れた再剥離性粘着シートを提供するものである。
【0011】
このようなパルプ再生可能な再剥離性粘着剤を得るために、特定のモノマー組成の共重合体を粘着剤とし、且つ特定の化合物を架橋剤として使用するところに特徴を有する。
本発明の再剥離性粘着シートにおいて使用される粘着剤は、
Figure 0003622289
の組成から成るカルボン酸変性ロジン含有アクリル酸エステル共重合体100重量部に対して、架橋剤を0.1〜10重量部含有してなる。
【0012】
かかる(a).カルボン酸変性ロジンエステルモノマーとしては、下記〔化1〕の如きの一般式に表される化合物である。
【0013】
【化1】
Figure 0003622289
【0014】
〔式中、Rはメチル基または水素原子、mは1〜8の整数を示す。〕
【0015】
なお、カルボン酸変性ロジンエステルモノマーは、5〜40重量%の範囲で共重合させる必要がある。因みに、5重量%未満では、水再離解性が不十分となる。一方、40重量%を越えると、粘着剤の凝集力が乏しく、再剥離性粘着シートの機能が低下する。
【0016】
また、(b).(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートモノマーとしては、下記〔化2〕の如き一般式に表される化合物である。
【0017】
【化2】
Figure 0003622289
【0018】
〔式中、Rはメチル基または水素原子、Rはメチル基,フェニル基,アクリロイル基またはメタクロリル基、nは1〜10の整数を示す。〕
【0019】
なお、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートモノマーは、5〜40重量%の範囲で共重合させる必要がある。因みに、5重量%未満では、水再離解性が不十分となる。一方、40重量%を越えると、粘着剤の凝集力が低下して、再剥離性粘着シートの機能が低下する。
【0020】
(c).(メタ)アクリル酸のC〜C18のアルキルエステルモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。そして、このモノマーの共重合体部分に占める割合は、20〜80重量%の範囲で共重合される。因みに、20重量%未満では、粘着剤の粘着力が乏しく、また、80重量%を越えると、水再離解性が不十分となる。
【0021】
また、(d).エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、モノアルキルマレイン酸、モノアルキルイタコン酸、モノアルキルフマル酸等が挙げられる。そして、このモノマーの共重合体部分に占める割合は、0.5〜20重量%の範囲で共重合される。因みに、0.5重量%未満では、粘着剤の凝集力が乏しく、また、20重量%を越えると、粘着剤の粘着力が不十分となる。
【0022】
さらに、(e).上記の(a).,(b).,(c).および(d).と共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、ジビニルベンゼン、エチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。そして、共重合体に占めるこれらの共重合可能なモノマーの割合は、1〜20重量%の範囲で調節される。
【0023】
なお、これらの共重合可能な他のモノマー(e).の中でも、特に(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等が架橋性、ガラス転移温度、接着性能等の面から好ましい。
【0024】
上記の共重合体の製造方法については、特に限定されるものではなく、例えば、水、溶剤、連鎖移動剤、重合開始剤等の存在下で溶液重合する方法や、乳化剤、連鎖移動剤、重合開始剤、分散剤等の存在下の水系でエマルション重合する方法など公知の方法で製造される。
【0025】
重合時のモノマーの濃度は、通常30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%程度が適当である。また、重合の際に使用される重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸アンモニウムと亜硫酸ソーダ、酸性亜硫酸ソーダ等との組み合わせからなる、所謂レドックス系の重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、通常重合に供するモノマー全量に対して、0.2〜2重量%、より好ましくは0.3〜1重量%の範囲で調節される。
【0026】
さらに、共重合に際して添加する連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸ノニル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、β−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル等のチオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン等を挙げることができる。特に、チオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセンを使用した場合には、得られる共重合体が低臭気となり好ましい。なお、連鎖移動剤の使用量は、重合させる全モノマーの0.001〜3重量%程度の範囲で調節される。なお、重合反応は、通常60〜100℃の温度条件下、2〜8時間かけて行われる。さらに、増粘剤、濡れ剤、レベリング剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
【0027】
上記の方法で得られた共重合体は、その共重合体中のカルボン酸を、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、各種の第1級、第2級、第3級アミン等の適当なアルカリ性物質で中和することもできる。中和処理をすると、共重合体の機械安定性が向上するので好ましい。
【0028】
上記共重合体のガラス転移温度は、−60〜−30℃の範囲のものであり、目的に応じて適宜選択される。因みに、共重合体のガラス転移温度が−60℃未満になると、得られる皮膜の凝集力が不十分となり、逆に−30℃を越えると、得られる共重合体の皮膜が硬くなり過ぎて、実用性に乏しくなる傾向がある。
【0029】
一方、架橋剤としては、例えば、(ポリ)エチレングリコールグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリストールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等の1分子中に2個以上のエポキシ基をもつポリグリシジル化合物や、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシル−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシル4,4’−ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の1分子中に2個以上のイソシアネート基をもつ(ポリ)イソシアネート化合物、また、これら(ポリ)イソシアネート化合物を、水系の粘着剤共重合体に用いる場合には、前記イソシアネート化合物と、例えば青酸、マロン酸ジエステル、アセチルアセトン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、ヒドロキシルアミン、アリールメルカプタン、カプロラクタム、ピロカテコール、脂肪族メルカプタン、モノメチルアニリン、ジフェニルアミン、フェノール等の活性水素化合物との付加体であるイソシアネート再生体を使用することが、架橋剤の反応性の点から好ましい。これら架橋剤のうち、適宜2種類以上併用してもかまわない。
【0030】
前記架橋剤のうち、反応性に優れる点から、1分子中に2個以上のエポキシ基をもつポリグルシジル化合物の使用が、特にジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリストールポリグリシジルエーテルの使用が好ましい。
【0031】
また、架橋剤の添加量は、前記共重合体100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で調節される。因みに、0.1重量部未満では、得られる粘着剤の被着体に対する接着力が強すぎて、糊残りが発生したり、基材破断が発生して再剥離性が乏しくなる。他方、10重量部を越えると、架橋密度が高くなりすぎ得られる粘着剤の接着力が弱くなり、実用性に乏しい。
【0032】
なお、架橋剤と共重合体の混合の方法としては特に限定されることはなく、例えば、ホモミキサー等のブレンダーでバッチ式の混合方法や、モーノポンプやスネークポンプ等のポンプを使用してポンプ内部に所定量の割合で連続混合する方法等挙げられる。
【0033】
ここで本発明の再剥離性粘着剤に対する上記各モノマーおよび架橋剤の役割について簡単に説明をすると、粘着剤の水再分散性を付与する成分としては、(a).カルボン酸変性ロジンエステルモノマー、(b).ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノマーが共に重要であり、次に粘着剤の粘着性を付与する成分としては、(c).(メタ)アクリル酸のC〜C18アルキルエステルモノマーが重要であり、更に粘着剤の凝集力を付与する成分としては、(d).エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーが重要である。更に粘着剤に再剥離性を付与する目的で、エポキシ化合物またはイソシアネート化合物等を架橋剤として添加し、(a).カルボン酸変性ロジンエステルモノマー中及び(d).エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマー中のカルボン酸と反応させることが重要である。
【0034】
従って、本発明の粘着剤の如く水に対して再離解性が優れ、且つ良好な再剥離性能を有する粘着剤を得る為には、上記のカルボン酸変性ロジンエステルモノマー、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸のC〜C18アルキルエステルモノマー、エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマー、及びそれらと共重合可能な他のモノマーの配合のバランスと、更にエポキシ化合物またはイソシアネート化合物等の架橋剤を添加し反応させることが重要となる。
【0035】
粘着シートの構成する表面基材としては、例えばフィルム(セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等)、紙(上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、箔紙、クラフト紙ポリエチレンラミネート紙、含浸紙、蒸着紙、低サイズ紙、水溶紙等)、金属フォイル類、合成紙等の支持体や、更にこれらに感熱記録層、熱転写記録用受像層、インクジェット記録用受容層、各種印刷層、着色層、隠蔽層等の層を設けたものなどが適宜使用できる。
【0036】
粘着シートのリサイクル適性を考慮すると、紙類や、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の水溶性高分子より成形した水溶性フィルム、或いはアルカリ水等に溶解または分散するフィルムを表面基材として使用することが望ましい。
【0037】
なお、上記紙類の中でも原紙中に、或いは塗被層中にカルシウムが存在すると、経時的または高湿度条件下に保存した場合に接着性能の低下が見られるので、カルシウムが含有しないように調製することが望ましく、例えばアート紙、コート紙、キャストコート紙等の紙の表面に顔料を主成分とした顔料塗被層を設けた表面基材を用いる場合には、使用する顔料中にカルシウムを含有しない鉱物質顔料、例えばカオリン、クレー、タルク、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、ホワイトカーボン等、あるいはポリスチレン樹脂微粒子、尿素−ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機合成顔料等から選択することにより、安定した接着性能を有する粘着シートが得られるので好ましい。因みに、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、サチンホワイト等のカルシウムを含む鉱物質顔料を用いてた場合、鉱物質顔料中のカルシウムがカルシウムイオンとなり、基紙を通過し、多量のカルボン酸を含んだ酸性度の高い粘着剤層へ移行することによって、カルシウムイオンとカルボン酸との金属架橋反応を生じてしまい、接着性能が低下してしまうためと推定される。
【0038】
なお、上記顔料塗被層を設ける場合には、顔料塗被液に、顔料以外に顔料同士および顔料と基材の表面とを固着させるために接着剤を使用する。かかる接着剤としては、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然、または合成の接着剤が水溶液、または水分散液(エマルション)の形で使用される。なお、顔料塗被液にはこれら顔料や接着剤の他に、その性質を阻害しない範囲で、消泡剤、分散剤、染料等を必要に応じて、種々の助剤を添加することもできる。
【0039】
そして、かかる顔料塗被液は、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター、リップコーター等の通常の塗被装置で塗被される。この場合の塗被量は、固形分重量で2g/m以上、好ましくは5〜30g/mの範囲で調節される。
【0040】
なお、再剥離性粘着シートの形成方法は、通常、剥離シートの剥離剤表面上に粘着剤を塗被、乾燥して粘着剤層を設け、次いで、表面基材とを貼り合わせて仕上げられるが、直接表面基材に塗被して粘着剤層を設けても構わない。
【0041】
剥離シートとしては、グラシン紙の如き高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙または上質紙等に、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然、または合成樹脂と顔料とを主成分とした目止め層を設けたシート、クラフト紙または上質紙等にポリエチレン等をラミネートしたラミネート紙(ポリラミ紙)、ポリプロピレン等のフィルム等のシートに、水、溶剤型あるいは無用剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等を乾燥重量で0.05〜3g/m程度塗被後、熱硬化、電子放射線硬化等によって剥離層を形成したものが使用される。
【0042】
特に、剥離シートも含んだ再剥離性粘着シートの構成でのリサイクル適性を考慮すると、上記剥離基材の中で、クレーコート紙、クラフト紙または上質紙等に、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然、または合成樹脂と鉱物質顔料とを主成分とした離解性のある目止め層を乾燥重量で0.1〜10g/m程度設けた剥離基材、または、フィルムではポリビニルアコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の水溶性高分子より成形した水溶性フィルム、或いはアルカリ水等に溶解または分散するフィルムの基材からなる剥離基材が望ましい。
【0043】
粘着剤を塗被する塗被装置としては、例えばロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、ダイコーター、コンマコーター、リップコーター、グラビアコーター等が適宜使用される。そして、粘着剤の塗被量は、乾燥重量で5〜50g/m程度の範囲で調節される。因みに、5g/m未満では、得られる再剥離性粘着シートの接着性能が不十分となり、一方、50g/mを越えると再剥離性粘着シートの貼り合わせ時に粘着剤がはみ出したり、剥離の際に凝集破壊の原因となる恐れがある。
【0044】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はそれらに限定されるものではない。尚、例中の部、重量、割合、塗被量等は特に断らない限り、全て固形分重量で示すものである。
【0045】
実施例1
(カルボン酸変性ロジンエステルの合成)
撹拌機、排気管、滴下ロート、窒素吸入管、温度計を付帯したフラスコにメタクリル酸を70部とエピクロルヒドリン90部を仕込み、窒素ガス下で100℃に昇温して2時間保った。次いで十分に溶解させたアビエチン酸ロジンを、300部添加し、230℃で2時間保った。次いで無水グルタル酸125部を添加し、230℃で2時間保ち、下記〔化3〕に示すカルボン酸変性ロジンエステルを合成した。
【0046】
【化3】
Figure 0003622289
【0047】
(粘着剤の製造)
まず乳化モノマー混合液として、
〔化3〕に示されるカルボン酸変性ロジンエステル:15部
メトキシジエチレングリコールメタクリレート:15部
アクリル酸ブチル:30部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:30部
アクリル酸:5部
メタアクリル酸メチル:5部
アニオン系乳化(商品名:エマールNC−35/花王社製):1.5部
イオン交換水:90部
を混合して、調製した。
【0048】
次に撹拌機、クーラー、滴下ロート、窒素吸入管、温度計を付帯したフラスコに、イオン交換水90部、過酸化カリウム0.5部、オクチルメルカプタン1部を仕込み、窒素置換しながら80℃に昇温した後、上記乳化モノマー混合液を1/6滴下した。反応率が90%に達した時点で、残りの乳化モノマー混合液を3時間かけて滴下して重合を行った。滴下終了後、80℃で3時間熟成して反応を完結させた。次にフラスコ内容物を40℃に冷却し、アンモニア水を添加して中和反応を行い反応終了後に強撹拌した。
上記方法で得られた共重合体100部に対して、架橋剤としてジグリセロールポリグリシジルエーテル(商品名:デナコールEX−421/ナガセ化成工業社製)を1部添加して粘着剤を製造した。
【0049】
(粘着シートの作成)
市販のポリエチレンラミネート剥離紙に、上記粘着剤を乾燥重量で25g/mとなるように塗被、乾燥させた後、市販の米坪64g/mの上質紙と貼り合わせて、本発明の再剥離性粘着シートを得た。
【0050】
実施例2
(カルボン酸変性ロジンエステルの合成)
メタクリル酸のかわりにアクリル酸を60部、無水グルタル酸のかわりに無水アジピン酸を140部とし、実施例1と同様にして、下記〔化4〕に示すカルボン酸変性ロジンエステルを合成した。
【0051】
【化4】
Figure 0003622289
【0052】
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
〔化4〕に示されるカルボン酸変性ロジンエステル:5部
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(分子量468):40部
アクリル酸ブチル:10部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:20部
アクリル酸:5部
メタアクリル酸ジメチルアミノエチル:20部
アニオン系乳化(商品名:エマールNC−35/花王社製):1.5部
イオン交換水:90部
を混合して、調製した。
次いで、架橋剤としてグリセロールポリグリシジルエーテル(商品名:デナコールEX−313/ナガセ化成工業社製)を2部添加したこと以外は実施例1と同様にして粘着剤を製造した。
(粘着シートの作成)
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして再剥離性粘着シートを得た。
【0053】
実施例3
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
〔化3〕に示されるカルボン酸変性ロジンエステル:40部
フェノキシジエチレングリコールアクリレート:5部
アクリル酸ブチル:10部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:24部
アクリル酸:20部
メタアクリル酸メチル:1部
アニオン系乳化(商品名:エマールNC−35/花王社製):1.5部
イオン交換水:90部
を混合して、調製した。
次いで、架橋剤としてトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(商品名:デナコールEX−321/ナガセ化成工業社製)を3部添加したこと以外は実施例1と同様にして粘着剤を製造した。
(粘着シートの作成)
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
【0054】
実施例4
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
〔化3〕に示されるカルボン酸変性ロジンエステル:20部
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(分子量468):15部
アクリル酸ブチル:20部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:20部
アクリル酸:20部
メタアクリル酸ジメチルアミノエチル:5部
アニオン系乳化(商品名:エマールNC−35/花王社製):1.5部
イオン交換水:90部
を混合して、調製し、またジグリセロールポリグリシジルエーテル(商品名:デナコールEX−421/ナガセ化成工業社製)の添加量を10部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤を製造した。
(粘着シートの作成)
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして再剥離性粘着シートを得た。
【0055】
実施例5
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
〔化3〕に示されるカルボン酸変性ロジンエステル:35部
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(分子量468):34部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:20部
アクリル酸:0.5部
メタアクリル酸ジメチルアミノエチル:10部
アニオン系乳化(商品名:エマールNC−35/花王社製):1.5部
イオン交換水:90部
を混合して、調製し、またジグリセロールポリグリシジルエーテル(商品名:デナコールEX−421/ナガセ化成工業社製)の添加量を0.1部に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤を製造した。
(粘着シートの作成)
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして再剥離性粘着シートを得た。
【0056】
実施例6
(粘着剤の製造)
モノマー混合液として、
〔化3〕に示されるカルボン酸変性ロジンエステル:7部
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(分子量468):6部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:80部
アクリル酸:5部
メタアクリル酸メチル:2部
酢酸エチル:150部
を混合して、調製した。
次に撹拌機、クーラー、滴下ロート、窒素吸入管、温度計を付帯したフラスコに、酢酸エチル150部、ベンゾイルパーオキサイド0.5部、オクチルメルカプタン1部を仕込み、窒素置換しながら80℃に昇温した後、上記モノマー混合液を1/6滴下した。反応率が90%に達した時点で、残りの乳化モノマー混合液を3時間かけて滴下して重合を行った。滴下終了後、80℃で3時間熟成して反応を完結さた。
上記方法で得られた共重合体100重量部に対して、架橋剤としてジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネート(商品名:MDI−LT/三井東圧化学社製)を8部添加して粘着剤を製造した。
(粘着シートの作成)
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして再剥離性粘着シートを得た。
【0057】
実施例7
架橋剤として、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン(商品名:デスモジュールW/住友バイエルウレタン社製)を2部添加した以外は実施例6と同様にして粘着剤を製造して再剥離性粘着シートを得た。
【0058】
比較例1
架橋剤を添加しないこと以外は実施例1と同様な方法で粘着シートを作成した。
【0059】
比較例2
架橋剤を12部添加したこと以外は実施例1と同様な方法で再剥離性粘着シートを作成した。
【0060】
比較例3
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
〔化3〕に示されるカルボン酸変性ロジンエステル:3部
メトキシジエチレングリコールメタクリレート:45部
アクリル酸ブチル:20部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:25部
アクリル酸:2部
メタアクリル酸メチル:5部
アニオン系乳化(商品名:エマールNC−35/花王社製):1.5部
イオン交換水:90部
を混合して調製したこと以外は実施例1と同様にして再剥離性粘着シートを作成した。
【0061】
比較例4
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
〔化3〕に示されるカルボン酸変性ロジンエステル:45部
メトキシジエチレングリコールメタクリレート:3部
アクリル酸ブチル:20部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:25部
アクリル酸:2部
メタアクリル酸メチル:5部
アニオン系乳化(商品名:エマールNC−35/花王社製):1.5部
イオン交換水:90部
を混合して調製したこと以外は実施例1と同様にして再剥離性粘着シートを作成した。
【0062】
実施例8
剥離シートとして、下記に示す基材を用いた以外は実施例1と同様にして再剥離性粘着シートを作成した。
(剥離シートの作成)
塗被液として、カオリン(商品名:UW−90/EMC社製):15部、リン酸エステル化澱粉(商品名:ニ−ルガムA−55C/アベベ社製):5部、ポリビニルアルコール(商品名:クラレPVA−103/クラレ社製):80部、分散剤(商品名:アロンA−9/東亞合成化学工業社製):0.1部から成る組成物を、固形分濃度が40%となるように混合調製して市販の米坪64g/mの上質紙の上に乾燥重量が5g/mとなるように塗被、乾燥して目止め層を設けた。次いで、スーパーキャレンダーにて平滑仕上げを行い、剥離基材を得た。
【0063】
次に、かくして得られた剥離基材の目止め層上に溶剤型のシリコーン剥離剤(商品名:LTC−300B/東レ・ダウコーニング社製):100部、触媒(商品名:SRX−212/東レ・ダウコーニング社製):0.8部を乾燥重量が1.0g/mとなるように塗被、熱硬化して剥離シートを得た。
【0064】
実施例9
剥離シートの基材として、両面クレーコート紙(商品名:トップコート<73>:新王子製紙社製)を用いた以外は実施例8と同様にして再剥離性粘着シートを作成した。
【0065】
実施例10
表面基材として、下記に示す基材を用いた以外は実施例8と同様にして再剥離性粘着シートを作成した。
【0066】
(表面基材の作成)
塗被液として、カオリン(商品名:UW−90/EMC社製)100部、リン酸化エステル化澱粉(商品名:ニールガムA−55C/アベベ社製)1部、酸化澱粉(商品名:エースA/王子コンスターチ社製)8部、SBRラテックス(商品名:T−2257/日本合成ゴム社製)8部、分散剤(商品名:アロンA−9/東亞合成化学工業社製)0.1部からなる組成物を、固形分濃度60%となるように混合調製して塗被組成物を得た。かくして得た塗被組成物を市販の米坪64g/mの上質紙の上に乾燥重量が20g/mとなるように塗被、乾燥して顔料塗被層を設けた。次いで、スーパーキャレンダーにて光沢仕上げを行い、表面基材を仕上げた。
【0067】
実施例11
表面基材として、下記に示す基材を用いた以外は実施例8と同様にして再剥離性粘着シートを作成した。
【0068】
(表面基材の作成)
塗被液として、カオリン(商品名:UW−90/EMC社製)70部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス/EMC社製)30部、リン酸化エステル化澱粉(商品名:ニールガムA−55C/アベベ社製)1部、酸化澱粉(商品名:エースA/王子コンスターチ社製)8部、SBRラテックス(商品名:T−2257/日本合成ゴム社製)8部、分散剤(商品名:アロンA−9/東亞合成化学工業社製)0.1部からなる組成物を、固形分濃度60%となるように混合調製して塗被組成物を得た。かくして得た塗被組成物を市販の米坪64g/mの上質紙の上に乾燥重量が20g/mとなるように塗被、乾燥して顔料塗被層を設けた。次いで、スーパーキャレンダーにて光沢仕上げを行い、表面基材を仕上げた。
【0069】
実施例12
表面基材として、下記に示す基材を用いた以外は実施例8と同様にして再剥離性粘着シートを作成した。
【0070】
(表面基材の作成)
塗被液として、カオリン(商品名:UW−90/EMC社製)70部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブK−6/備北粉化社製)30部、リン酸化エステル化澱粉(商品名:ニールガムA−55C/アベベ社製)1部、酸化澱粉(商品名:エースA/王子コンスターチ社製)8部、SBRラテックス(商品名:T−2257/日本合成ゴム社製)8部、分散剤(商品名:アロンA−9/東亞合成化学工業社製)0.1部からなる組成物を、固形分濃度60%となるように混合調製して塗被組成物を得た。かくして得た塗被組成物を市販の米坪64g/mの上質紙の上に乾燥重量が20g/mとなるように塗被、乾燥して顔料塗被層を設けた。次いで、スーパーキャレンダーにて光沢仕上げを行い、表面基材を仕上げた。
【0071】
実施例13
表面基材として、水溶性高分子を主成分として成形された、厚さ50μmのフィルム(商品名:パオゲン/第一工業製薬社製)を用い、また剥離シートとしては、剥離基材に前記水溶性フィルムを用いた以外は実施例8と同様にして作成した剥離シートを用いた以外は実施例8と同様にして再剥離性粘着シートを作成した。
【0072】
このようにして得られた再剥離性粘着シートについて、下記評価を行い、結果を表1に示した。
【0073】
<評価項目>
〔接着力〕
JISZ−0237の常態粘着力の測定方法に準拠して、下記の二つの条件で保存した後の接着力をそれぞれ測定した(単位:g/25mm)。
条件A:粘着シートの製造後、温度23±2℃、関係湿度65±5%の雰囲気下に14日間保存した後、その接着力を測定した。
条件B:粘着シートの製造後、条件Aの条件にて保存した後、更に温度40±2℃、関係湿度90±5%の雰囲気下に7日間保存した。その接着力を測定した。
【0074】
〔再剥離性〕
粘着シートの製造後、温度23±2℃、関係湿度65±5%の雰囲気下に14日間保存し測定試料とし、被着体として市販の硬質塩ビ板に貼り合わせ、1日後に剥離スピード5m/分で試料を剥がした。その時の再剥離性を下記基準にて評価した。
○:被着体に粘着剤が残留することなく、粘着シートが剥がれる。
×:剥がす際に粘着シートの基材が破断したり、被着体に粘着剤が残留する。
【0075】
〔粘着剤水再分散性〕
粘着シートの粘着剤層面を、20℃の水に浸しながら指で10回擦った時の、粘着剤の挙動を下記の評価基準にて評価した。
○:粘着剤層が粘着性のない細かい微粒子状に再分散した。
×:粘着剤層の粘着性に変化はなく、粘着剤層皮膜が凝集した。
【0076】
〔リサイクル適性〕
リサイクル適性評価について、実施例1から実施例7と比較例1から比較例4は、下記説明の粘着ラベルの評価を行い、また実施例8から実施例13については下記説明の粘着シートの評価を行った。
【0077】
(粘着ラベルの評価)
市販の上質系の封筒に貼付して使用される宛名用ラベルを想定して、粘着シートから剥離シートを剥がし粘着ラベルとし、市販の米坪64g/mの上質紙に貼り付けて評価用試料とした。
試料50gに対し、パルプ濃度が3%になるように水を加え、TAPPI離解機にて150000回転処理した後、0.3%濃度になるまで水を加えて手抄きシートを作成し、未離解物の残存状態を目視し下記評価基準にて判定した。
(リサイクル適性評価基準)
◎:未離解物がほとんどない。
○:未離解物が僅かにあるが、実用上問題ないレベル。
×:未離解物がかなり目立つ。
【0078】
(粘着シートの評価)
剥離シートも含んだ粘着シートの形態での古紙リサイクルを想定して、粘着シートのそのものを評価用試料とした。
試料50gに対し、パルプ濃度が3%になるように水を加え、TAPPI離解機にて150000回転処理した後、パルプ濃度が15%になるまで脱水し、18%濃度のNaOH水溶液を1.5g、脱墨剤(商品名DI−600/花王社製)10%濃度溶液を1.8gをそれぞれ添加し、40℃で20分間放置し、次にパルプ濃度が25%になるなで脱水し、18%濃度のNaOH水溶液を3.62g、30%濃度のNa SiO 水溶液を3.85g、6%濃度のH 水を5gをそれぞれ添加し、次いで双腕式ニーダーで5分間ニーディング処理を行った。
次に55℃に保ちながら120分間放置した後、パルプ濃度が17.5%になるまで水で希釈し、次いで2回目のニーディング処理を同様に行った。その後更にパルプ濃度が1%いなるまで水で希釈した。次にこの1%濃度のパルプ分散液をフローテーターにて10分間浮上分離処理を行った。その際発生する泡をスクレーパーにて取り除いて得られた浮上分離処理液を更に水800mlで洗浄し、13%濃度になるまで脱水した。このようにして得られたパルプ分散液を0.3%濃度になるまで水を加えて手抄きシートを作成し、未離解物の残存状態を目視し下記評価基準にて判定した。
(リサイクル適性評価基準)
◎:未離解物がほとんどない。
○:未離解物が僅かにあるが、実用上問題ないレベル。
×:未離解物がかなり目立つ。
【0079】
〔総合評価〕
上記の各評価を総合して本発明のリサイクル可能な再剥離粘着シートとしての性能を評価した。
◎:再剥離性に優れた粘着シートであり、且つ表面基材、粘着剤層が積層されてなる粘着ラベルの形態での古紙リサイクルが可能であり、なお且つ粘着剤の接着性能において充分な接着力を示し、その接着力の湿熱劣化が少ない。または、表面基材、粘着剤層および剥離シートが順次積層されてなる粘着シートの形態での古紙リサイクルが可能であり、なお且つ粘着剤の接着性能において充分な接着力を示し、その接着力の湿度劣化が少なくない。
○:再剥離性に優れた粘着シートであり、且つ表面基材、粘着剤層が積層されてなる粘着ラベルの形態での古紙リサイクルが可能であり、なお且つ粘着剤の接着性能において充分な接着力を示し、その接着力の湿熱劣化が若干あるものの問題はないレベルである。または、表面基材、粘着剤層および剥離シートが順次積層されてなる粘着シートの形態での古紙リサイクルが可能であり、なお且つ粘着剤の接着性能において充分な接着力を示し、その接着力の湿熱劣化が若干あるものの問題はないレベルである。
△:再剥離性はあり、また古紙リサイクルは可能であるが、接着力が低い。
×:再剥離性に劣る。または古紙リサイクルが不可能である。
【0080】
【表1】
Figure 0003622289
【0081】
【発明の効果】
表1の結果から明らかなように、本発明の再剥離性粘着シートは、粘着剤が水に容易に再分散することでパルプのリサイクル適性が優れており、且つその接着性能にのおいても十分に使用可能な粘着シートであった。

Claims (9)

  1. 表面基材及び再剥離性粘着剤層を有する再剥離性粘着シートにおいて、再剥離性粘着剤層を形成する粘着剤が、下記の組成から成るカルボン酸変性ロジン含有アクリル酸エステル共重合体100重量部に対し、架橋剤を0.1〜10重量部含有し、水またはアルカリ水溶液に対して再離解性を有することを特徴とする再剥離性粘着シート。
    〔カルボン酸変性ロジン含有アクリル酸エステル共重合体の組成〕
    (a)カルボン酸変性ロジンエステルモノマー …5〜40重量%
    (b)(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートモノマー
    …5〜40重量%
    (c)(メタ)アクリル酸のC 4 〜C 18 アルキルエステルモノマー
    …20〜80重量%
    (d)エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマー …0.5〜20重量%
    (e)上記a,b,cおよびdと共重合可能なモノマー…1〜20重量%
  2. 架橋剤が、エポキシ基またはイソシアネート基を1分子中に2個以上有する化合物である請求項記載の再剥離性粘着シート。
  3. 架橋剤が、1分子中に2個以上のエポキシ基をもつポリグルシジル化合物である請求項記載の再剥離性粘着シート。
  4. 表面基材が、カルシウムを含有しない基紙又はカルシウムを含有しない塗被紙である請求項1〜のいずれか1項に記載の再剥離性粘着シート。
  5. 表面基材が、水溶性高分子を主成分とし、且つ水またはアルカリ水溶液に対して分散或いは溶解するフィルムを用いた請求項1〜のいずれか1項に記載の再剥離性粘着シート。
  6. 粘着剤層を剥離シートで保護した請求項1〜のいずれか1項に記載の再剥離性粘着シート。
  7. 剥離シートが、水またはアルカリ水溶液に対して、再離解性のある剥離シートである請求項記載の再剥離性粘着シート。
  8. 剥離シートが、上質紙の上に、水溶性高分子と顔料を主成分とした目止め層を設けた剥離シートである請求項記載の再剥離性粘着シート。
  9. 剥離シートが、水溶性高分子を主成分とし、且つ水またはアルカリ水溶液に対して分散或いは溶解する基材からなる剥離シートである請求項記載の再剥離性粘着シート。
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