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JP3621883B2 - ウイルスがコードするセマフォリンタンパク質受容体dnaおよびポリペプチド - Google Patents

ウイルスがコードするセマフォリンタンパク質受容体dnaおよびポリペプチド Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、セマフォリン(semaphorin)受容体ポリペプチド、こうしたセマフォリン受容体ポリペプチドをコードする核酸、組換えセマフォリン受容体ポリペプチドを産生するための方法、およびこうしたポリペプチドを含む薬剤組成物に関する。
【0002】
発明の背景
セマフォリン遺伝子ファミリーは、神経学的制御因子であることが知られる、関連する膜貫通および分泌糖タンパク質をコードする、多数の分子を含む。セマフォリンは、一般的に、典型的には長さ約500アミノ酸であるその細胞外ドメインにおいて、よく保存されている。セマフォリンファミリータンパク質は、ニューロン性および非ニューロン性組織で観察されてきており、そしてその神経成長円錐ガイダンスにおける役割に関し広く研究されてきている。例えば、コラプシン−1およびショウジョウバエ(Drosohila)セマフォリンIIとして知られる分泌セマフォリンは、発生中の反発性成長円錐ガイダンスに選択的に関与している。機能が減少するように突然変異しているセマフォリンIIを有するハエは、異常な行動特性を示す。
【0003】
別のセマフォリン遺伝子が、ポックスウイルス(poxvirus)のいくつかの株で同定されてきている。このセマフォリンは、ワクシニア(vaccinia)ウイルス(コペンハーゲン株)に見られ、そしてA39Rとして知られる読み枠(ORF)にコードされている。A39Rコードタンパク質は、膜貫通ドメインおよび潜在的な膜結合を持たず、そして分泌タンパク質として知られている。痘瘡(variola)ウイルスORFもまた、ヌクレオチドレベルおよびアミノ酸レベルで、ワクシニアウイルスORF A39Rと相同性を共有する配列を含む。別のウイルスセマフォリン、AHV−セマが、アルセラフィン・ヘルペスウイルス(Alcelaphine Herpesvirus)(AHV)で見られてきている。
【0004】
昆虫セマフォリンに対する類似性に基づき、哺乳動物(ヒト、ラット、およびマウス)セマフォリンをコードする遺伝子が同定されてきている。これらのセマフォリンの機能研究により、胚および成体ニューロンは、作動可能な連結を確立するため、セマフォリンを必要とすることが示唆される。重要なことに、適切なセマフォリンに対する成長円錐培養の、速い反応時間により、セマフォリン情報伝達は、受容体仲介情報伝達機構を含むことが示唆される。今日まで、ラット脊髄由来のmRNAを用い、ニューロピリン(neuropilin)と称される、1つのセマフォリン受容体が単離されてきている。ニューロピリン−2と称される、別の受容体が示唆されてきている(Kolodkinら, Cell 90:753−762, 1997)。
【0005】
細胞外環境に分泌されるセマフォリンリガンドは、局所および全身性方式で、受容体産生細胞を通じ情報を伝達する。こうした局所および全身性情報伝達により制御される細胞過程の性質をさらに研究するため、さらなるセマフォリン受容体およびリガンドを同定することが有益であろう。さらに、ウイルスがコードするセマフォリンは、感染細胞により産生され、そして溶解性であるウイルス(ポックスウイルス類)および向神経性であることが知られていないウイルス(AHV)に存在するため、その主要な機能が神経学的反応を修飾することであるとは考えにくい。ウイルスがコードするセマフォリン類は、感染宿主の免疫学的反応を修飾するよう機能する可能性がより高く、そしてウイルスがコードするセマフォリンに対する哺乳動物相同体(homologue)は、免疫学的反応を修飾するよう機能する可能性が高い。ウイルスセマフォリンが天然免疫制御因子として免疫系において機能する可能性があるという示唆を考慮し、セマフォリン受容体を、免疫反応を亢進するまたは下方制御するための治療剤として同定することは有益であろう。
【0006】
発明の概要
本発明は、単離されているまたは均質なタンパク質としてのセマフォリン受容体に関する。特に、本発明は、限定されるわけではないが、A39RワクシニアセマフォリンおよびAHVセマフォリンを含むセマフォリンに結合する、VESPR(ウイルスがコードするセマフォリンタンパク質受容体)と称されるセマフォリン受容体ポリペプチドを提供する。また、本発明の範囲内には、VESPRポリペプチドをコードするDNAおよびVESPRポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターがある。本発明はまた、VESPRポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターでトランスフェクションまたは形質転換されている宿主細胞、およびこうした宿主細胞を、発現を導く条件下で培養することにより、VESPRポリペプチドを産生するための方法も含む。本発明はさらに、VESPRポリペプチドに対して向けられる抗体を含む。
【0007】
さらに本発明の範囲内には、本発明のVESPRポリペプチドが結合する、セマフォリンまたはセマフォリンを発現する細胞を精製するまたは分離するための方法がある。こうした方法には、少なくとも1つのVESPRポリペプチドを固相マトリックスに結合させ、そしてVESPRポリペプチドが結合するセマフォリンポリペプチドを含む混合物、またはセマフォリン発現細胞の混合物を、結合しているVEPSRポリペプチドと接触させ、そしてその後、接触表面および溶液を分離することが含まれる。
【0008】
さらに、本発明は、炎症および炎症性疾患を治療するための方法を提供する。こうした方法には、可溶性VESPRポリペプチドの治療的に有効な量を、セマフォリンリガンドの炎症誘発性(proinflammatory)活性に関連する疾患を患うヒトまたは他の哺乳動物に投与することが含まれる。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、ウイルスがコードするセマフォリンタンパク質受容体(VESPR)と称される新規セマフォリン受容体ポリペプチド、VESPRポリペプチドをコードするDNAおよびVESPRポリペプチドをコードするDNAを含む組換え発現ベクターを提供する。本発明はさらに、VESPRポリペプチドを単離するための方法、並びに組換え発現ベクターでトランスフェクションされている宿主細胞を、セマフォリン受容体を発現するのに適した条件下で培養し、そして発現された受容体ポリペプチドを回収することによる、組換えVESPRポリペプチドを産生するための方法を提供する。
【0010】
特に、本発明は、限定されるわけではないが、ワクシニアウイルスA39RセマフォリンおよびAHVセマフォリンを含むセマフォリンに結合するVESPRポリペプチドを提供する。本明細書に記載される天然VESPRポリペプチドは、該受容体を発現するヒト細胞の膜からVESPRを回収するため、エクトロメリア(Ectromelia)ウイルスA39Rセマフォリン/Fc融合タンパク質(A39R/Fc)を用い、単離した。以下の実施例に記載されるように、フローサイトメトリー実験により、本発明のVESPRポリペプチドはB細胞株、単球型細胞株、T細胞株、樹状細胞、NK細胞、肺上皮細胞、ストローマ、腸上皮細胞およびリンパ腫細胞に発現されることが証明される。
【0011】
さらに、以下の実施例に立証されるように、本発明のVESPRポリペプチドは、そのリガンドと結合し、樹状細胞上のCD69活性化抗原の上方制御に関与する。やはり本明細書に記載されるセマフォリン受容体の特性は、そのリガンドと相互作用し、インターフェロンおよびSACと相乗作用し、マウス樹状細胞に対し、IL−12産生を上方制御し、そしてMHCクラスIIおよびCD86発現を下方制御する能力である。本発明のVESPRポリペプチドはまた、単球上のCD54の発現増加にも関与し、これはセマフォリンおよびその受容体の間の相互作用の結果としての細胞活性化を示唆する。受容体−リガンド相互作用の前述の生物学的特性から生じるVESPRポリペプチドの使用の中に、IL−12産生および続いて起こるナチュラルキラー細胞活性化を誘導することがある。VESPRポリペプチドは、炎症に関連する疾患および不利な状態を治療するのに、さらなる使用を見出す。特に、可溶性VESPRポリペプチドを用い、セマフォリンリガンドおよびその受容体の相互作用に関連する炎症誘発性(proinflammatory)活性に拮抗(antagonize)させてもよい。滑膜組織の慢性炎症に関連する疾患である慢性関節リウマチは、ヒトセマフォリンE遺伝子の上方制御と結び付けられてきている(Mangasser−Stephanら, Biochem and Biophys Res Com, 234:153−156, 1997)。したがって、本発明の可溶性型VESPRポリペプチドは、本炎症性疾患を仲介するセマフォリン活性を下方制御するのに有用である可能性がある。
【0012】
本発明の天然セマフォリン受容体である、VESPRは、エクトロメリアA39Rとして知られるウイルスセマフォリンリガンドを用い、単離した。以下の実施例1は、A39Rセマフォリンリガンドを単離すること、並びにリガンドに結合する細胞株を同定するため、およびA39Rおよびその細胞結合受容体の間の相互作用の影響を決定するため用いたA39R/Fc融合タンパク質を調製することを記載する。
【0013】
実施例4および5は、本発明の天然VESPRポリペプチドを同定すること、およびヒトVESPRポリペプチドを単離しそして精製することを記載する。実施例5に記載されるように単離されたヒトVESPRポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2に開示されている。配列番号2のアミノ酸配列は、トリプシン消化で産生されたペプチドの直列(tandem)質量分析を、隣接しているEST配列および同定されているcDNAと組み合わせて用い、単離されそして精製されている受容体を配列決定することにより得た。配列番号2に示されるアミノ酸配列は、アミノ酸34に予測される切断部位を持つシグナルペプチドを含む、アミノ酸1−944の予測される細胞外ドメインを有する。配列番号2の予測される膜貫通ドメインは、アミノ酸945−965を含み、そして配列番号2の細胞質ドメインは、アミノ酸966−1568に渡る。
【0014】
大腸菌(E. coli)DH10B中のヒトVESPRのアミノ酸19−1100をコードするDNAを、___にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)、米国メリーランド州ロックビルに寄託し、そして寄託番号___を得た。該寄託は、ブダペスト条約の条件下で行われた。寄託物のDNA構築物は、ヌクレオチド172がCである点で、配列番号1のものと異なる。生じるコードされるアミノ酸58はleuである。
【0015】
利用可能なデータベースで、全長VESPRまたはそのドメインと相同性を共有するタンパク質およびポリペプチドに関し、アミノ酸配列検索を行った。VESPRと相同性を共有するポリペプチドに関する検索は、Altschulら, J Mol Bio 215:403−410(1990)に記載されるBLASTアルゴリズムを用い、行った。本プログラムを用い、VESPRアミノ酸配列を、米国バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)から得られるデータベースに見られるタンパク質およびDNA配列と比較した。これらの検索の結果として得た類似性スコアにより、VESPRと多様な度合いの相同性を有するポリペプチド群が同定された。最も高い度合いの類似性は、VESPRおよび「プレクシン(plexin)遺伝子ファミリー」として知られるタンパク質群の間に見られた(Maestriniら, 1996およびKameyamaら, 1996)。遺伝学コンピューターグループ(GCG)プログラム「BESTFIT」および「PILEUP」(ウィスコンシン・パッケージ、9.0)で実行されるような、Smith−Watermanアルゴリズムを用い、VESPR並びにヒトおよびネズミのプレクシンファミリーのメンバーの間の対および多数配列整列を行った。GCGプログラム「DISTANCES」を用い、整列タンパク質配列の平均対同一性パーセントを計算した。
【0016】
VESPRポリペプチドおよびプレクシン遺伝子ファミリーのいくつかのメンバーの各々の間の対配列整列により、その細胞質ドメイン(アミノ酸966−1568)の39%から40%の平均同一性および全タンパク質の各々に関する24%−25%の平均同一性が明らかになった。細胞質ドメインの相同性がより高い程度であることにより、細胞質ドメインに同様のシグナル伝達機構があることが示唆される。
【0017】
ある程度の全体的な相同性を有することが見出されたタンパク質配列間の類似性領域を同定するため、BLIXEMおよびMSPCRUNCHプログラム(SonnhammerおよびDurbin(1944a,b))を用い、タンパク質データベース検索の結果の相同性解析を行った。相同性解析により、Kolodkinら(1993)に記載されるセマフォリン遺伝子ファミリーのいくつかのメンバーのセマフォリンドメインの領域に対し、類似性を持つ新規のサブドメインが明らかになった。新規サブドメインは本発明のVESPR配列のアミノ酸380−482を含む。本サブドメインは2つの別個の、より小さい領域にさらに分割することが可能であり、それぞれ残基388−402および454−482を含む。C近位半サブドメインは、いくつかの非常に保存されているシステインおよびトリプトファン残基を含み、コンセンサス配列C−x(5)−C−x(2)−C−x(7)−C−x−W−C−x(5)−C、ここでxはいかなるアミノ酸でもよい、を形成する。この全サブドメインは、セマフォリン遺伝子ファミリーに関し記載されている標準的セマフォリンドメインとは、(a)該サブドメインがより小さく(該サブドメインが100アミノ酸残基に対し全セマフォリンドメインは500残基)、(b)該サブドメインが、どちらも標準的セマフォリン遺伝子ファミリーメンバーではない、プレクシン遺伝子ファミリーおよびMET−肝細胞増殖因子受容体ファミリーにも存在し、そして(c)該サブドメインが、それ自体セマフォリン遺伝子ファミリーのメンバーではないが、セマフォリンファミリーのメンバー(A39R)と相互作用する遺伝子に存在する点で、異なる。これらのサブドメイン配列は、したがって、セマフォリンと相互作用する他の受容体をさらに同定することが潜在的に可能であるペプチドを代表する。
【0018】
配列番号2のVESPRポリペプチドをコードするcDNA配列は、隣接するESTおよびクローンされたcDNAヌクレオチド配列の複合物として組み立てられ、そして配列番号1に開示されている。実施例5に記載されるように、配列番号2のアミノ酸配列をコードするcDNAを同定することにより、コードするcDNAを含む発現ベクターを構築することが可能になる。その後VESPRポリペプチドをコードするcDNAを含む組換え発現ベクターでトランスフェクションされている宿主細胞を、VESPRポリペプチドを発現するのに適した条件下で培養し、そして発現されたVESPRポリペプチドを回収することが、本発明のVESPRポリペプチドを産生するための方法を提供する。
【0019】
VESPRポリペプチドはB細胞株、T細胞株および樹状細胞で見られるため、過敏性または低作用性免疫制御に関連する多様な状態を治療することが可能である。さらに、リガンドおよび受容体複合体は、神経成長、発生、および/または維持に関与している可能性がある。こうしたものに限定されないが、VESPRの特定の使用が以下に記載される。
【0020】
本発明の「VESPR」および「VESPRポリペプチド」という用語は、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および配列番号1の核酸配列を含む核酸がコードするタンパク質を含む。さらに、該用語は、配列番号2のアミノ酸配列と高い度合いの類似性または高い度合いの同一性を有するポリペプチドであって、生物学的に活性があり、そしてセマフォリンファミリーのメンバーである分子または分子の断片の少なくとも1つに結合する、前記ポリペプチドを含む。さらにVESPRという用語は、配列番号1のDNAの生物学的に活性がある遺伝子産物を指す。さらにVESPRという用語に含まれるのは、主にタンパク質の結合部分を含み、生物学的活性を保持し、そして分泌されることが可能である、可溶性または一部切除(truncated)タンパク質である。こうした可溶性タンパク質の特定の例は、配列番号2のアミノ酸1−944の配列を含むものである。
【0021】
VESPRまたはセマフォリン受容体ポリペプチドを指す場合、「生物学的に活性がある」という用語は、VESPRまたはセマフォリン受容体ポリペプチドが少なくとも1つのセマフォリンに結合することが可能であることを意味する。VESPR結合を測定するのに適したアッセイが本明細書に記載され、そして該アッセイは標準的フローサイトメトリー試験およびスライド結合試験を含んでもよい。
【0022】
「単離されている」は、VESPRが、例えば、組換え宿主細胞培養の精製産物として、または精製抽出物として、実質的に発現過程の残渣である他のタンパク質またはポリペプチドを含まないことを意味する。
【0023】
本明細書で論及されるVESPR変異体(variant)は、天然VESPRに実質的に相同であるが、1つまたはそれ以上の欠失、挿入または置換のため、天然VESPRのものと異なるアミノ酸配列を有する、ポリペプチドを意味する。変異体アミノ酸配列は、好ましくは、天然VESPRアミノ酸配列に少なくとも80%同一であり、最も好ましくは少なくとも90%同一である。パーセント同一性は、例えば、Devereuxら(Nucl. Acids Res. 12:387, 1984)に記載され、そしてウィスコンシン大学遺伝学コンピューターグループ(UWGCG)より入手可能なGAPコンピュータープログラム、バージョン8.1を用い配列情報を比較することにより、決定してもよい。GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメーターには:(1)ヌクレオチドに関する単一(unary)比較マトリックス(同一に対し1および非同一に対し0の値を含む)、およびSchwartzおよびDayhoff監修,Atlas of Protein Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation,pp.353−358, 1979に記載されるような、GribskovおよびBurgess, Nucl. Acids Res. 14:6745, 1986の加重比較マトリックス;(2)各ギャップに対する3.0のペナルティおよび各ギャップ中の各記号に対しさらに0.10のペナルティ;および(3)末端ギャップに対するペナルティなし、が含まれる。変異体は保存的置換配列を含んでもよく、これは既定のアミノ酸残基が同様の物理化学的特性を有する残基により置換されていることを意味する。保存的置換の例には、1つの脂肪族残基を互いに、例えばIle、Val、Leu、またはAlaを互いに置換するもの、またはLysおよびArg;GluおよびAsp;またはGlnおよびAsn間といった、1つの極性残基から別のものへの置換が含まれる。他のこうした保存的置換、例えば、同様の疎水性特性を有する領域全体の置換が、周知である。天然発生VESPR変異体または対立遺伝子もまた、本発明に含まれる。こうした変異体の例は、選択的mRNA事象から、またはVESPRタンパク質のタンパク質分解的切断から生じる、結合特性が保持されているタンパク質である。mRNAの選択的スプライシングは、一部切除されているが生物学的に活性があるVESPRポリペプチドを生じる可能性があり、例えば該タンパク質の天然発生可溶性型などがある。タンパク質分解に起因すると考えられる変異体には、例えば、異なる種類の宿主細胞における発現に際しての、VESPRポリペプチドからの1つまたはそれ以上の末端アミノ酸(一般的に1−5末端アミノ酸)のタンパク質分解的除去によるN末端の相違が含まれる。
【0024】
上述のように実施例1は、VESPR結合を研究するのに有用な、新規ウイルスA39R/Fc融合タンパク質の構築を記載する。本実施例に記載されるヒトIgG1 Fc領域に対し、他の抗体Fc領域を置換してもよい。適切なFc領域は、プロテインAまたはプロテインGに高い親和性で結合することが可能なものであり、そしてヒトIgG1のFc領域あるいはヒトまたはネズミIgG1 Fc領域の断片、例えば鎖間ジスルフィド結合が形成されるであろうように、少なくともヒンジ領域を含む断片を含む。ウイルスA39R:Fc融合タンパク質は、容易に精製されるという利点を提供する。さらに、ジスルフィド結合は2つの別個の融合タンパク質鎖のFc領域の間に形成され、二量体を生成する。
【0025】
上述のように、1つの側面において、本発明は、可溶性VESPRポリペプチドを含む。可溶性VESPRポリペプチドは、天然VESPRの細胞外ドメインのすべてまたは一部を含むが、細胞膜上へのポリペプチドの保持を生じるであろう膜貫通領域を欠く。可溶性VESPRポリペプチドは、都合のよいことに、最初に合成される際、分泌を促進するように天然(または異種性)シグナルペプチドを含むが、VESPRポリペプチドが細胞から分泌される際、該シグナルペプチドは切断される。本発明に含まれる可溶性VESPRポリペプチドは、セマフォリンリガンドに結合する能力を保持する。実際、可溶性VESPRポリペプチドは、該可溶性VESPRタンパク質が分泌されることが可能であるならば、シグナルの一部または細胞質ドメインの一部あるいは他の配列もまた含んでもよい。
【0026】
可溶性VESPRは、望ましいタンパク質を発現する損なわれていない(intact)細胞を、培地から、例えば遠心分離により分離し、そして望ましいタンパク質の存在に関し培地(上清)をアッセイすることにより、同定し(そしてその非可溶性膜結合対応物と区別し)てもよい。培地中のVESPRの存在は、該タンパク質が細胞から分泌され、そしてしたがって望ましいタンパク質の可溶性型であることを示す。
【0027】
VESPRポリペプチドの可溶性型は、天然膜結合VESPRタンパク質に比べ多くの利点を有する。可溶性タンパク質は細胞から分泌されるため、組換え宿主細胞からのタンパク質の精製に適している。さらに、可溶性タンパク質は、一般的に、静脈内投与に、より適している。
【0028】
可溶性VESPRポリペプチドの例には、天然VESPRポリペプチドの細胞外ドメインのかなりの部分を含むものが含まれる。可溶性VESPRポリペプチドの例は、配列番号2のアミノ酸1−944である。さらに、全細胞外ドメインより少ない部分を含む一部切除可溶性VESPRが、本発明に含まれ、例えばアミノ酸35−944である。最初に宿主細胞内で発現されるとき、可溶性VESPRポリペプチドはさらに、使用される宿主細胞内で機能する、以下に記載される異種性シグナルペプチドの1つを含んでもよい。あるいは、該タンパク質は天然シグナルペプチドを含んでもよい。本発明の1つの態様において、可溶性VESPRは、(N末端からC末端に)酵母α−因子シグナルペプチド、以下にそして米国特許第5,011,912号に記載されるFLAG(登録商標)ペプチド、および配列番号2のアミノ酸1−944または35−944からなる可溶性VESPRポリペプチドを含む融合タンパク質として発現されてもよい。本組換え融合タンパク質は、酵母細胞において発現され、そして該細胞から分泌される。FLAG(登録商標)ペプチドはタンパク質の精製を容易にし、そして続いてウシ粘膜エンテロキナーゼを用い、可溶性VESPRから切断することが可能である。可溶性VESPRタンパク質をコードする単離DNA配列が、本発明に含まれる。
【0029】
可溶性ポリペプチドを含む、一部切除(truncated)VESPRポリペプチドは、いくつかの慣用的技術のいずれにより調製してもよい。望ましいDNA配列を、それ自体知られる技術を用い、化学的に合成してもよい。DNA断片はまた、全長クローンDNA配列の制限エンドヌクレアーゼ消化により産生し、そしてアガロースゲル上の電気泳動により単離してもよい。制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含むリンカーを使用し、望ましいDNA断片を発現ベクターに挿入してもよく、または該断片を、その中に天然に存在する切断部位で消化してもよい。周知のポリメラーゼ連鎖反応法もまた、望ましいタンパク質断片をコードするDNA配列を増幅するのに使用してもよい。さらなる代替物として、既知の突然変異誘発技術を使用し、望ましい点、例えば結合ドメインの最後のアミノ酸に対するコドンのすぐ下流に、終止コドンを挿入してもよい。
【0030】
上述のように、本発明は、組換えおよび非組換え体両方の、単離されているまたは均質なVESPRポリペプチドを提供する。望ましい生物学的活性(例えばセマフォリンに結合する能力)を保持する天然VESPRタンパク質の変異体および誘導体は、天然VESPRポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の突然変異により、得てもよい。天然アミノ酸配列の改変は、いくつかの慣用法のいずれにより達成してもよい。突然変異は、天然配列の断片への連結を可能にする制限部位が隣接している、突然変異配列を含むオリゴヌクレオチドを合成することにより、特定の遺伝子座に導入してもよい。連結後、生じた再構築配列は、望ましいアミノ酸挿入、置換、または欠失を有する類似体(analog)をコードする。
【0031】
あるいは、オリゴヌクレオチド指定部位特異的突然変異誘発法を使用し、あらかじめ決定されたコドンが置換、欠失または挿入により改変されている可能性がある、改変遺伝子を提供してもよい。上述の改変を作成する典型的な例は、すべて本明細書に援用される、Walderら(Gene 42:133, 1986);Bauerら(Gene 37:73, 1985);Craik(BioTechniques, January 1985, 12−19);Smithら(Genetic Engineering:Principles and Methods, Plenum Press, 1981);Kunkel(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488, 1985);Kunkelら(Methods in Enzymol. 154:367, 1987);並びに米国特許第4,518,584号および第4,737,462号に開示されている。
【0032】
他の化学部分、例えばグリコシル基、脂質、リン酸、アセチル基およびそれらに匹敵するものと共有または凝集結合体を形成することにより、天然VESPRポリペプチドを修飾し、VESPR誘導体を生成してもよい。VESPRポリペプチドの共有誘導体は、VESPRアミノ酸側鎖上の、あるいはVESPRポリペプチドのN末端またはC末端、またはその細胞外ドメインの、官能基上に、化学部分を連結することにより、調製してもよい。本発明の範囲内の他のVESPR誘導体には、N末端またはC末端融合体としての組換え培養中の合成によるなど、VESPRポリペプチドまたはその断片と他のタンパク質またはポリペプチドとの共有または凝集結合体が含まれる。例えば、結合体は、VESPRポリペプチドのN末端にシグナルまたはリーダーポリペプチド配列(例えばサッカロミセス属(Saccharomyces)のα−因子リーダー)を含んでもよい。シグナルまたはリーダーペプチドは、翻訳と同時にまたは翻訳後に、合成部位から細胞膜または細胞壁の内部または外部の部位への、結合体の運搬を指示する。
【0033】
VESPRポリペプチド融合体は、VESPRの精製および同定を容易にするため添加されるペプチドを含んでもよい。こうしたペプチドには、例えば、ポリHisまたは米国特許第5,011,912号およびHoppら, Bio/Technology 6:1204, 1988に記載される抗原性同定ペプチドが含まれる。
【0034】
本発明はさらに、結合する天然パターン糖鎖付加を含むまたは含まないVESPRを含む。酵母または哺乳動物発現系(例えばCOS−7細胞)で発現されたVESPRポリペプチドは、発現系の選択に基づき、分子量および糖鎖付加パターンにおいて、天然VESPRポリペプチドと同様である可能性も、または有意に異なる可能性もある。細菌発現系、例えば大腸菌(E. coli)でのVESPRポリペプチドの発現は、非糖鎖付加分子を提供する。
【0035】
アミノ酸残基または配列の多様な付加または置換、あるいは生物学的活性または結合に必要とされない末端または内部残基または配列の欠失をコードする同等(equivalent)DNA構築物が、本発明に含まれる。例えば、VESPR細胞外ドメインのN糖鎖付加部位を修飾し、糖鎖付加を妨げてもよく、これにより哺乳動物および酵母発現系における炭水化物減少類似体の発現が可能になる。真核ポリペプチドのN糖鎖付加部位はアミノ酸トリプレットAsn−X−Yにより特徴付けられ、ここでXはPro以外のいかなるアミノ酸でもよく、そしてYはSerまたはThrである。天然ヒトVESPRタンパク質は、配列番号2のアミノ酸86−88、141−143、149−151、241−243、252−254、386−388、407−409、548−550、553−555、582−584、588−590、591−593、653−655、686−688、692−694、715−717、741−743、771−773、796−798、821−823、871−873、890−892、895−897および920−922にこうしたトリプレットを24含む。これらのトリプレットをコードするヌクレオチド配列に対する適切な置換、付加または欠失は、Asn側鎖での炭水化物残基の結合の防止を生じるであろう。例えば、Asnが異なるアミノ酸により置換されるように選択される、単一のヌクレオチドの改変は、N糖鎖付加部位を不活性化するのに十分である。タンパク質のN糖鎖付加部位を不活性化するための既知の方法には、本明細書に援用される、米国特許第5,071,972号およびEP 276,846に記載されるものが含まれる。
【0036】
別の例において、生物学的活性に必須でないCys残基をコードする配列を改変し、Cys残基が欠失され、または他のアミノ酸で置換されるようにし、再生の際、誤った分子内ジスルフィド架橋が形成されるのを妨げてもよい。他の同等物は、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母系における発現を亢進させるため、隣接する二塩基性アミノ酸残基を修飾することにより調製される。EP 212,914は、タンパク質のKEX2プロテアーゼプロセシング部位を不活性化するための部位特異的突然変異誘発の使用を開示する。KEX2プロテアーゼプロセシング部位は、Arg−Arg、Arg−Lys、およびLys−Arg対を改変し、これらの隣接する塩基性残基の発生を除去するため、残基を欠失、付加、または置換することにより、不活性化される。Lys−Lys対はKEX2切断にかなり感受性が低く、そしてArg−LysまたはLys−ArgのLys−Lysへの変換は、KEX2部位を不活性化する保存的なそして好ましいアプローチを代表する。ヒトVESPRは、11のKEX2プロテアーゼプロセシング部位を含む。
【0037】
本発明の範囲内にある核酸配列には、中程度のまたは非常にストリンジェント(stringency)な条件下で、本明細書に開示されるVESPRヌクレオチド配列にハイブリダイズし、そして生物学的に活性があるVESPRをコードする、単離DNAおよびRNA配列が含まれる。中程度にストリンジェントな条件には、Sambrookら, Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第二版, Vol. 1, pp 101−104, Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989)に定義されるように、5 X SSC、0.5% SDS、1.0 mM EDTA(pH 8.0)の前洗浄溶液の使用および約55℃、5 X SSC、一晩のハイブリダイゼーション条件が含まれる。非常にストリンジェントな条件には、より高温度のハイブリダイゼーションおよび洗浄が含まれる。当業者は温度および洗浄溶液塩濃度は、核酸分子の長さおよびA、T/U、CおよびGヌクレオチドの相対量などの要因にしたがい、必要に応じ調整してもよいことを認識するであろう。
【0038】
1つ以上のコドンが同一のアミノ酸をコードする可能性がある、遺伝暗号の既知の縮重のため、DNA配列は配列番号1に示されるものと異なり、そしてなお配列番号2のアミノ酸配列を有するVESPRポリペプチドをコードする可能性がある。こうした変異体DNA配列は、沈黙(silent)突然変異(例えば、PCR増幅中に発生する)から生じてもよいし、または天然配列の意図的な突然変異誘発の産物であってもよい。
【0039】
本発明は、生物学的に活性があるVESPRをコードする同等の単離DNA配列であって:(a)配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含むcDNA;(b)中程度にストリンジェントな条件下で(a)のDNAとハイブリダイズすることが可能であり、そして生物学的に活性があるVESPRポリペプチドをコードするDNA;(c)遺伝暗号の結果として(a)または(b)に定義されるDNAに対し縮重しており、そして生物学的に活性があるVESPRポリペプチドをコードするDNA;および(d)(a)、(b)または(c)のDNAに相補的なDNA、より選択される、前記DNA配列を提供する。こうしたDNA同等配列がコードするVESPRポリペプチドが、本発明に含まれる。
【0040】
配列番号1のDNA配列に同等であるDNAは、配列番号2の配列を含むポリペプチドをコードするDNA配列に,中程度および非常にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするであろう。こうしたDNAがコードするVESPRタンパク質の例には、限定されるわけではないが、VESPR断片および上述のような、不活性化N糖鎖付加部位、不活性化KEX2プロテアーゼプロセシング部位、または保存的アミノ酸置換を含むVESPRタンパク質が含まれる。他の種由来のDNAにコードされるVESPRポリペプチドであって、そして該DNAが配列番号1のcDNAにハイブリダイズするであろう前記タンパク質もまた、含まれる。
【0041】
セマフォリン類に結合する、必須の能力を有する変異体は、いかなる適切なアッセイにより同定してもよい。VESPRポリペプチドの生物学的活性は、例えば、セマフォリン類の受容体結合ドメインへの結合に関する競合(すなわち競合的結合アッセイ)により、測定してもよい。
【0042】
VESPRポリペプチドに関する競合的結合アッセイの1つの種類は、放射標識可溶性VESPRおよび損なわれていない(intact)セマフォリン発現細胞を用いる。損なわれていない細胞の代わりに、可溶性セマフォリン:Fc融合タンパク質であって、プロテインA、プロテインGあるいは該分子のセマフォリンまたはFc部分に対する抗体と、該融合タンパク質のFc部分との相互作用を通して、固相に結合している該融合タンパク質を代用してもよい。競合的結合アッセイの別の種類は、融合タンパク質などの放射標識可溶性セマフォリン、およびVESPRを発現している損なわれていない細胞を利用する。
【0043】
競合的結合アッセイは、慣用的方法論にしたがい、行うこともできる。1つの態様において可溶性VESPRポリペプチドを作成し、固定受容体と競合させてもよい。例えば、表面結合セマフォリン受容体に対する結合活性に関するアッセイにおいて、放射標識可溶性セマフォリンリガンドを、可溶性VESPRにより拮抗させてもよい。定性的結果は、競合的オートラジオグラフィープレート結合アッセイにより得てもよく、またはスキャッチャードプロットを利用して定量的結果を生成してもよい。
【0044】
あるいは、VESPRまたは抗セマフォリン抗体などのセマフォリン結合タンパク質を、表面上にセマフォリンを発現する細胞を同定し、分離し、または精製するのに適した、カラムクロマトグラフィーマトリックスまたは同様の支持体などの固相に結合させてもよい。セマフォリン結合タンパク質の、固相接触表面への結合は、いかなる手段により達成してもよく、例えば、VESPR:Fc融合タンパク質を構築し、そしてこうしたものをプロテインAまたはプロテインGの相互作用を通じ固相に結合させることによってもよい。タンパク質を固相に固定するための多様な他の手段が当業に周知であり、そして本発明での使用に適している。例えば、磁気微小球体をVESPRで被覆し、そして磁気場を通じインキュベーション容器に保持してもよい。セマフォリン発現細胞を含む細胞混合物の懸濁物を、その上にVESPRポリペプチドを有する固相と接触させる。その表面上にセマフォリンを有する細胞は、固定されたVESPRに結合し、そして非結合細胞をその後洗い流す。このアフィニティー結合法は、こうしたセマフォリン発現細胞を溶液から精製し、スクリーニングし、または分離するのに有用である。陽性に選択された細胞を固相から遊離させる方法は当該分野に知られ、そして例えば、酵素の使用を含む。こうした酵素は、好ましくは、細胞に対し非毒性および非傷害性であり、そして好ましくは、細胞表面結合パートナーを切断することに向けられる。セマフォリン−VESPR相互作用の場合、酵素は、好ましくは、セマフォリンを切断し、それにより生じた細胞懸濁物を「異質な(foreign)」セマフォリン受容体成分から遊離させる。精製細胞集団は、その後、成熟(成体)組織に再定着させる(repopulate)のに用いてもよい。
【0045】
あるいは、セマフォリン陽性細胞を含むと疑われる細胞混合物をまず、ビオチン化VESPRとインキュベーションしてもよい。インキュベーション期間は、典型的には、セマフォリンへの結合を確実にするため、少なくとも連続1時間である。生じた混合物をその後、アビジン被覆ビーズを充填したカラムに通過させ、それによりアビジンに対するビオチンの高親和性が、ビーズへの細胞の結合を提供する。アビジン被覆ビーズの使用は当業に知られる。Berensonら, J. Cell. Biochem., 10D:239(1986)を参照されたい。非結合成分の洗浄および結合細胞の遊離は、慣用的方法を用いて行う。
【0046】
上述のように、VESPRはセマフォリンを発現する細胞を分離するのに用いてもよい。代替法において、VESPRあるいはその細胞外ドメインまたは断片を、セマフォリン発現細胞を検出するため、125Iなどの検出可能部分と結合させてもよい。125Iでの放射標識は、高比放射能に標識されている機能する125I−VESPR分子を生じるいくつかの標準的方法論のいずれにより行ってもよい。あるいはセマフォリン受容体に対するヨウ素化またはビオチン化抗体を用いてもよい。比色または蛍光分光反応を触媒することが可能な酵素、ビオチン、あるいはアビジンなどの別の検出可能部分を用いてもよい。セマフォリン発現に関し試験すべき細胞を標識VESPRポリペプチドと接触させてもよい。インキュベーション後、非結合標識VESPRを除去し、そして検出可能部分を用い、結合を測定する。
【0047】
VESPR(変異体を含む)の結合特性はまた、上述のものと類似の競合アッセイにおいて、結合体化セマフォリン(例えば、125I−セマフォリン:Fc)を用い、決定してもよい。しかしこの場合、固体支持体に結合している、セマフォリンを発現している損なわれていない細胞を用い、推定上のVESPR変異体を含む試料が、結合体化セマフォリンとの結合に関し競合する度合いを測定する。
【0048】
VESPRに関しアッセイする他の手段には、抗VESPR抗体、VESPRに反応し増殖する細胞株、またはセマフォリンを発現し、そしてVESPRの存在下に増殖する組換え細胞株の使用が含まれる。
【0049】
本明細書に開示されるVESPRタンパク質はまた、VESPRに対する結合親和性という点で、セマフォリンタンパク質の生物学的活性を測定するのに、使用してもよい。1つの例として、セマフォリンタンパク質の修飾(例えば化学的修飾、一部切除、突然変異など)後、生物学的活性が保持されているかを測定するのに本発明のVESPRポリペプチドを用いてもよい。このように、セマフォリンタンパク質の生物学的活性を、例えば、調査研究、または臨床に用いる前に、確定することが可能である。
【0050】
本発明のVESPRポリペプチドは、例えば異なる条件下でのセマフォリンタンパク質の貯蔵寿命および安定性をモニターするための、「品質保証」研究を行うものにより、使用されてもよい試薬としての使用を見出す。例えば、VESPRポリペプチドを結合親和性研究に使用し、異なる温度で保存されている、または異なる細胞種で産生されたセマフォリンタンパク質の生物学的活性を測定してもよい。修飾セマフォリンタンパク質のVESPRに対する結合親和性を、非修飾セマフォリンタンパク質のものと比較し、セマフォリンの生物学的活性に対する該修飾のいかなる不利な影響も検出する。
【0051】
VESPRポリペプチドはまた、結合する剤を、セマフォリンを発現している細胞に搬送するためのキャリアーとしての使用も見出す。以下の実施例7に記載されるように、推定上のヒトセマフォリンは、胎盤、精巣、卵巣および脾臓に見られる細胞に発現される。したがって、VESPRポリペプチドを用い、in vitroまたはin vivo法において、診断または治療剤をこれらの細胞に(または細胞表面上にセマフォリンを発現することが見出されている他の細胞種に)搬送してもよい。
【0052】
VESPRポリペプチドに結合させてもよい診断および治療剤には、限定されるわけではないが、薬剤(drugs)、毒素、放射性核種、発色団、比色もしくは蛍光分光反応を触媒する酵素、およびそれらに匹敵するものが、意図される適用にしたがって選択される特定の剤と共に含まれる。薬剤の例には、多様な型の癌を治療するのに用いられるもの、例えばL−フェニルアラニンナイトロジェンマスタードなどのナイトロジェンマスタードまたはシクロホスファミド、シス−ジアミノジクロロ白金などの挿入剤(intercalating agents)、5−フルオロウラシルなどの代謝拮抗物質、ビンクリスチンなどのビンカアルカロイド、およびブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシンなどの抗生物質、並びにそれらの誘導体が含まれる。毒素の中には、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A、リボソーム不活性化タンパク質、トリコセセンなどのマイコトキシン、並びにそれらの誘導体および断片(例えば一本鎖)がある。診断使用に適した放射性核種には、限定されるわけではないが、123I、131I、99mTc、111In、および76Brがある。治療使用に適した放射性核種には、限定されるわけではないが、131I、211At、77Br、186Re、188Re、212Pb、212Bi、109Pd、64Cu、および67Cuがある。
【0053】
こうした剤は、いかなる適切な慣用法により、セマフォリン受容体に結合させてもよい。VESPRはタンパク質であり、例えば、望ましい剤の官能基と反応し、共有結合を形成することが可能である、アミノ酸側鎖上の官能基を含む。あるいは、タンパク質または剤を誘導体化し、望ましい反応性官能基を生成し、または結合してもよい。誘導体化には、多様な分子をタンパク質に結合させるのに入手可能である、二官能性カップリング試薬(Pierce Chemical Company、イリノイ州ロックフォード)の1つの結合を伴ってもよい。タンパク質を放射標識するためのいくつかの技術が知られる。放射性核種金属を、例えば適切な二官能性キレート剤を用いることにより、受容体に結合させてもよい。
【0054】
VESPRおよび適切な診断または治療剤を含む(好ましくは共有結合している)結合体をこのように調製する。該結合体を投与し、またはそうでなければ特定の適用に適した量で使用してもよい。
【0055】
本発明のVESPRの別の使用は、受容体が、セマフォリンと共同で、免疫制御およびウイルス感染に果たす可能性がある役割を研究するための研究手段としてのものである。本発明のVESPRポリペプチドはまた、該ポリペプチドが結合するセマフォリンまたはVESPR、あるいはそれらの相互作用の検出のためのin vitroアッセイにも使用してもよい。
【0056】
実施例16に記載されるように、セマフォリンは本発明の膜結合受容体と相互作用し、樹状細胞からのIL−12産生においてインターフェロンおよび黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(C型)(SAC)と相乗作用する。IL−12産生を誘導するためのVESPRおよびそのセマフォリンリガンドの使用は、ナチュラルキラー細胞およびT細胞産生を促進し、そしてサイトカイン産生(主にγ−インターフェロン)を誘導する。IL−12およびIL−12誘導γインターフェロン産生は、Th1細胞分化を支持し、そしてTh2細胞分化に関連するサイトカインの産生を下方制御する。IL−12は、炎症誘発性サイトカインおよび免疫調節因子の両方として作用することが知られる。したがって、可溶性VEPSRを用い、IL−12産生を拮抗し、そして生物のTh1細胞分化を下方制御してもよい。同様に、可溶性VESPRを用い、Th2細胞分化に関連するサイトカインの産生を促進し、こうして炎症誘発性活性を阻害してもよい。また、VESPRをそのセマフォリンリガンドと組み合わせて用い、細胞免疫が有効である病原体に対するワクチン投与と組み合わせ,IL−12産生を高めてもよい。この方式で亢進された量のIL−12は、ワクチン投与におけるアジュバントとして作用し、より持続するTh1型免疫学的記憶を誘導する。
【0057】
さらに、腫瘍を持つ動物に対するIL−12の投与は、腫瘍退化および腫瘍特異的免疫反応の確立を生じることが知られる。したがって、IL−12を亢進するまたは促進するために、VESPRに結合するセマフォリンリガンドを使用することは、侵略性微小転移巣腫瘍に対する治療的免疫反応を誘導することが可能である。
【0058】
さらに、実施例18に記載されるように、本発明の受容体は、そのセマフォリンリガンドに結合し、単球上のCD54発現を増加させる。この観察は、セマフォリン/セマフォリン受容体相互作用は、典型的には単球活性化に関与する炎症誘発性活性に寄与する細胞活性化を仲介することを示唆する。こうした活性には、食作用、飲作用、一酸化窒素産生およびサイトカイン産生の増加が含まれる。セマフォリンリガンドおよびその膜結合受容体の間の相互作用から生じる炎症誘発性活性に拮抗するまたは該活性を逆転させるため、治療的に有効な量の本発明の可溶性VESPRを含む薬剤組成物を、生物に非経口的に(parenterally)投与してもよい。可溶性VESPRはセマフォリンリガンドに結合し、したがってリガンドが膜結合受容体に結合し、そして炎症誘発性活性に寄与するのを妨げる。VESPRの治療的に有効な量は、炎症誘発性活性に拮抗するのに十分な量である。
【0059】
単球上のCD54の増加した発現にもかかわらず、微小生理機能測定装置(microphysiometer)データにより、VESPRを通じた細胞情報伝達は、古典的な免疫学的な意味で、細胞を活性化しないことが示される。より詳細には、微小生理機能測定装置データにより、VESPRがそのリガンドに結合する際、培地のpH変化の速度の減少が生じることが示唆される。これは細胞活性化中に起こることと反対である。こうした減少は、細胞内でプロテインキナーゼを阻害する薬剤、または細胞を代謝的に麻痺させることが可能なウイルス感染で経験される。VESPRを通じて搬送される抑制性シグナルは、VESPRの可溶性型の投与により、拮抗させることが可能である。こうした可溶性型は、VESPR結合パートナーに効果的に結合し、そして抑制性情報伝達に拮抗し、したがって細胞の不活性化状態を妨げる。あるいは、そして本発明にしたがい、情報伝達する抗VESPR抗体を治療剤として用い、炎症がT細胞に対する自己抗原の提示の結果である自己免疫疾患を治療してもよい。より詳細には、こうした抗VESPR抗体は、抗原提示細胞により取り込まれるように標的化し、そしてプロテインキナーゼ阻害剤と同様、抗原提示細胞を不活性化してもよい。炎症に責任を負う抗原提示細胞の抗原提示が劣ってくるため、自己免疫が治る。
【0060】
セマフォリンリガンドがVESPRに結合し、GM−CSFおよびIL−4と培養している樹状細胞上の、MHCクラスII分子および共刺激性分子であるCD86の発現を下方制御すること(実施例17)により、セマフォリンリガンドおよび本発明の受容体の間の相互作用は、成熟樹状細胞の免疫抑制に関与することが示唆される。セマフォリンリガンドおよびその膜結合受容体の間の相互作用から生じる免疫抑制活性に拮抗するまたは該活性を逆転させるため、本発明の可溶性VESPRの治療的に有効な量を含む薬剤組成物を、生物に非経口的に投与してもよい。可溶性VESPRは、セマフォリンリガンドに結合し、したがってリガンドが膜結合受容体と結合し、そして免疫抑制活性に寄与するのを妨げる。あるいは、慢性炎症の影響で損傷を受ける患者または生物に、適切なセマフォリンリガンドを投与することは、分化マクロファージの炎症誘発性活性を抑制するのに寄与するであろう。
【0061】
データにより、VESPRリガンドがT細胞上に見られ,そしてVESPRがリンパ節のT細胞地帯からの樹状細胞の移動に関与することが示される。さらに、データにより、VESPRは、病原体が除去されると直ちにT細胞免疫反応を遮断するのに関与することが示唆される。
【0062】
本発明のVESPRポリペプチドを、薬学的に有用な組成物を調製するのに用いられる既知の方法にしたがい処方してもよい。VESPRは、単一の活性成分として、または他の既知の活性成分と共に、薬学的に適切な希釈剤(例えば、Tris−HCl、酢酸、リン酸)、保存剤(例えば、チメロサル、ベンジルアルコール、パラベン類)、乳化剤、可溶化剤、アジュバントおよび/またはキャリアーと混合して組み合わせてもよい。適切なキャリアーおよびそれらの処方は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第16版, 1980, Mack Publishing Co.に記載されている。さらに、こうした組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)、金属イオンと複合体化している、またはポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどのポリマー化合物に取り込まれている、またはリポソーム、微小乳剤、ミセル、単層もしくは多層小胞、赤血球ゴーストもしくはスフェロブラストに取り込まれているVESPRポリペプチドを含んでもよい。こうした組成物は、VESPRの物理的状態、可溶性、安定性、in vivo放出速度、およびin vivoクリアランス速度に影響するであろう。VESPRポリペプチドはまた、組織特異的受容体、リガンドまたは抗原に対する抗体に結合していてもよいし、または組織特異的受容体のリガンドにカップリングしていてもよい。
【0063】
VESPRポリペプチドは、局所、非経口、または吸入によるなどで、投与してもよい。「非経口」という用語には、皮下注射、静脈内、筋内、槽内注射、または注入技術が含まれる。これらの組成物は、典型的には、VESPRの有効量を、単独でまたは他のいかなる活性成分であってもよいものの有効量と組み合わせ、含むであろう。組成物に含まれるこうした投薬量および望ましい薬剤濃度は、意図される使用、患者の体重および年齢、並びに投与経路を含む、多くの要因に依存し変化する可能性がある。予備的用量は動物試験にしたがい決定してもよく、そしてヒト投与のための投薬量の見積もりを、当業に認められる実施にしたがい、行ってもよい。
【0064】
VESPRポリペプチドは、共有結合もしくは非共有結合している二量体または三量体などの、オリゴマーとして存在してもよい。オリゴマーは、異なるVESPR分子上のシステイン残基間に形成されるジスルフィド結合により連結されていてもよい。本発明の1つの態様において、VESPR二量体は、VESPRを抗体(例えばIgG1)のFc領域に、VESPRのセマフォリンリガンド結合ドメインへの結合に干渉しない方式で、融合させることにより、生成される。Fcポリペプチドは、好ましくは、可溶性VESPR(リガンド結合部分のみを含む)のC末端に融合される。抗体由来ポリペプチドの多様な部分(Fcドメインを含む)に融合している異種性ポリペプチドを含む融合タンパク質の一般的な調製は、例えば、本明細書に援用される、Ashkenaziら(PNAS USA 88:10535, 1991)およびByrnら(Nature 344:677, 1990)に記載されている。VESPR:Fc融合タンパク質をコードする遺伝子融合体を適切な発現ベクターに挿入する。VESPR:Fc融合タンパク質を、抗体分子によく似た形で集合するのを可能にし、その結果、鎖間ジスルフィド結合がFcポリペプチド間に形成され、二価物を生じる。融合タンパク質が抗体の重鎖および軽鎖両方で作成されている場合、4つものVESPR細胞外領域を含むVESPRオリゴマーを形成することが可能である。あるいは、2つの可溶性VESPRドメインをペプチドリンカーで連結してもよい。
【0065】
VESPRポリペプチドの発現に適した宿主細胞には、原核、酵母またはより高次の真核細胞が含まれる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主での使用に適したクローニング用および発現用ベクターは、例えば、Pouwelsら, Cloning Vectors: A Laboratory Manual, ニューヨーク州エルセビア(1985)に記載されている。細胞不含翻訳系もまた、本明細書に開示されるDNA構築物由来のRNAを用い、VESPRポリペプチドを産生するのに使用してもよい。
【0066】
原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌またはバチルス属(Bacillus)が含まれる。形質転換に適した原核宿主細胞には、例えば、大腸菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、並びにシュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、およびブドウ球菌属(Staphylococcus)内の多様な他の種が含まれる。大腸菌などの原核宿主細胞において、組換えポリペプチドの該原核宿主細胞における発現を容易にするため、VESPRポリペプチドがN末端メチオニン残基を含んでもよい。N末端メチオニンは、発現された組換えVESPRポリペプチドから切断されてもよい。
【0067】
VESPRポリペプチドは、好ましくはサッカロミセス属(例えば、S.セレビシエ(S. cerevisiae))由来の、酵母宿主細胞において発現されてもよい。酵母の他の属、例えばピキア属(Pichia)、K.ラクティス(K. lactis)またはクロイベロミセス属(Kluyveromyces)もまた使用してもよい。酵母ベクターは、しばしば、2μ酵母プラスミド由来の複製起点配列、自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化のための配列、転写終結のための配列、および選択可能マーカー遺伝子を含むであろう。酵母ベクターに適したプロモーター配列には、とりわけ、メタロチオネイン、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzemanら, J. Biol. Chem. 255:2073, 1980)あるいは、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼなどの他の解糖酵素(Hessら, J. Adv. Enzyme Reg. 7:149, 1968;およびHollandら, Biochem. 17:4900, 1978)のプロモーターが含まれる。酵母発現に用いるのに適した他のベクターおよびプロモーターはHitzeman, EPA−73,657またはFleerら, Gene, 107:285−195(1991);およびvan den Bergら, Bio/Technology, 8:135−139(1990)にさらに記載されている。他の代替物は、Russellら(J. Biol. Chem. 258:2674, 1982)およびBeierら(Nature 300:724, 1982)に記載されるグルコース抑制可能ADH2プロモーターである。酵母および大腸菌両方において複製可能なシャトルベクターは、大腸菌での選択および複製のため、pBR322由来のDNA配列(Amp遺伝子および複製起点)を上述の酵母ベクターに挿入することにより、構築してもよい。
【0068】
酵母α−因子リーダー配列を使用し、VESPRポリペプチドを直接分泌させてもよい。α−因子リーダー配列は、しばしば、プロモーター配列および構造遺伝子配列の間に挿入される。例えば、Kurjanら, Cell 30:933, 1982;Bitterら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:5330, 1984;米国特許第4,546,082号;およびEP 324,274を参照されたい。酵母宿主からの組換えポリペプチドの分泌を容易にするのに適した他のリーダー配列が当業者に知られる。リーダー配列を、その3’端近傍に、1つまたはそれ以上の制限部位を含むよう修飾してもよい。これは、リーダー配列の構造遺伝子への融合を容易にするであろう。
【0069】
酵母形質転換プロトコルが当業者に知られる。こうしたプロトコルの1つがHinnenら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:1929, 1978に記載されている。Hinnenらのプロトコルは、Trp形質転換体を選択培地中で選択し、ここで該選択培地は0.67%酵母窒素基剤、0.5%カザミノ酸,2%グルコース,10μg/mlアデニンおよび20μg/mlウラシルからなる。
【0070】
ADH2プロモーター配列を含むベクターにより形質転換されている酵母宿主細胞は、発現を誘導するため「リッチ」培地中で増殖させてもよい。リッチ培地の例は、80μg/mlアデニンおよび80μg/mlウラシルを補った、1%酵母エキス、2%ペプトン、および1%グルコースからなるものである。ADH2プロモーターの抑制解除は、培地からグルコースが枯渇したとき起こる。
【0071】
哺乳動物または昆虫宿主細胞培養系もまた、組換えVESPRポリペプチドを発現するのに使用してもよい。昆虫細胞において異種性タンパク質を産生するためのバキュロウイルス系がLuckowおよびSummers, Bio/Technology 6:47 (1988)に概説されている。哺乳動物起源の樹立細胞株もまた、使用してもよい。適切な哺乳動物宿主細胞株の例には、サル腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzmanら, Cell 23:175, 1981)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、およびBHK(ATCC CRL 10)細胞株、およびMcMahanら(EMBO J. 10:2821, 1991)に記載されるようなアフリカミドリザル(African green monkey)腎臓細胞株CVI(ATCC CCL 70)由来のCV−1/EBNA−1細胞株が含まれる。
【0072】
哺乳動物宿主細胞発現ベクターのための転写および翻訳調節配列を、ウイルスゲノムより切り出してもよい。通常用いられるプロモーター配列およびエンハンサー配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(SV40)、およびヒト・サイトメガロウイルス由来である。SV40ウイルスゲノム由来のDNA配列、例えばSV40起点、初期および後期プロモーター、エンハンサー、スプライシング、およびポリアデニル化部位を用い、哺乳動物宿主細胞における構造遺伝子配列の発現のための他の遺伝要素を提供してもよい。ウイルス初期および後期プロモーターは、どちらもウイルス複製起点をも含む可能性がある断片として容易にウイルスゲノムから得られるため、特に有用である(Fiersら, Nature 273:113, 1978)。SV40ウイルス複製起点部位に位置するHind III部位からBgl I部位に渡るおよそ250bpの配列が含まれていれば、より小さいまたはより大きいSV40断片もまた用いてもよい。
【0073】
哺乳動物宿主細胞において用いるのに典型的な発現ベクターを、OkayamaおよびBerg(Mol. Cell. Biol. 3:280, 1983)に開示されるように構築してもよい。C127ネズミ乳腺上皮細胞における哺乳動物cDNAの安定した高レベル発現に有用な系を、実質的にCosmanら(Mol. Immunol. 23:935, 1986)に記載されるように構築してもよい。Cosmanら, Nature 312:768, 1984に記載される有用な高発現ベクター、PMLSV N1/N4はATCC 39890として寄託されている。さらなる有用な哺乳動物発現ベクターは、本明細書に援用される、EP−A−0367566、および1991年5月16日に提出された米国特許出願第07/701,415号に記載されている。ベクターはレトロウイルス由来であってもよい。天然シグナル配列の代わりに、そしてイニシエーターメチオニンに加え、異種性シグナル配列、例えば、米国特許第4,965,195号に記載されるIL−7のシグナル配列;Cosmanら, Nature 312:768(1984)に記載されるIL−2受容体のシグナル配列;EP 367,566に記載されるIL−4シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号に記載されるI型IL−1受容体シグナルペプチド;およびEP 460,846に記載されるII型IL−1受容体シグナルペプチドを添加してもよい。
【0074】
本発明にしたがった、単離され、精製されているまたは均質なタンパク質としてのVESPRポリペプチドは、上述のように組換え発現系により産生してもよいし、または天然発生細胞から精製してもよい。VESPRは、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)による解析に際し、単一のタンパク質バンドにより示されるように、実質的に均質に精製することが可能である。
【0075】
VESPRを産生するための1つの方法は、VESPRポリペプチドをコードするDNA配列を含む発現ベクターで形質転換されている宿主細胞を、VESPRポリペプチドの発現を促進するのに十分な条件下で培養することを含む。該受容体をその後、使用される発現系に応じ、培地または細胞抽出物から回収する。当業者に知られるように、組換えタンパク質を精製するための方法は、使用される宿主細胞および組換えタンパク質が培地に分泌されるかどうかなどの要因にしたがい、変化するであろう。
【0076】
例えば、組換えタンパク質を分泌する発現系を使用する場合、培地をまず、商業的に入手可能なタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過装置を用い、濃縮してもよい。濃縮段階に続き、濃縮物をゲル濾過媒体などの精製マトリックスに適用してもよい。あるいは、陰イオン交換樹脂、例えばジエチルアミノエチル(DEAE)側鎖を有するマトリックスまたは支持体を使用してもよい。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロースまたはタンパク質精製に通常使用される他の種類であってもよい。あるいは、陽イオン交換段階を使用してもよい。適切な陽イオン交換体には、スルホプロピルまたはカルボキシメチル基を含む多様な不溶性マトリックスが含まれる。スルホプロピル基が好ましい。最後に、疎水性逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)媒体(例えば、側鎖メチルまたは他の脂肪族基を有するシリカゲル)を使用する1つまたはそれ以上の逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)段階を使用し、VESPRポリペプチドをさらに精製してもよい。前記の精製段階のいくつかまたはすべてを多様な組み合わせで用いる方法が周知であり、そして実質的に均質な組換えタンパク質を提供するのに使用されうる。
【0077】
発現されたVESPRポリペプチドをアフィニティー精製するのに、VESPRに結合するセマフォリンの受容体結合ドメインを含むアフィニティーカラムを利用することが可能である。VESPRポリペプチドは、慣用的技術を用いて、例えば、高塩溶出緩衝液中、そしてその後、使用のためより低塩緩衝液中に透析することによって、あるいは利用されたアフィニティーマトリックスに応じて、pHまたは他の構成要素を変化させることによって、アフィニティーカラムから除去してもよい。あるいは、アフィニティーカラムはVESPRに結合する抗体を含んでもよい。実施例20は、本発明のVESPRを、VESPRに対して向けられるモノクローナル抗体を生成するのに使用するための方法を記載する。
【0078】
細菌培養において産生される組換えタンパク質を、最初に宿主細胞を破壊し、遠心分離し、不溶性ポリペプチドであれば細胞沈澱から、または可溶性ポリペプチドであれば上清流体から抽出し、その後1つまたはそれ以上の濃縮、塩析、イオン交換、アフィニティー精製またはサイズ排除クロマトグラフィー段階を行うことにより単離してもよい。最後に、最終精製段階に、RP−HPLCを使用してもよい。微生物細胞を、凍結融解サイクル、超音波、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用を含む、いかなる簡便な方法により破壊してもよい。
【0079】
形質転換酵母宿主細胞は、好ましくは、精製を単純にするため、分泌ポリペプチドとしてVESPRを発現するよう使用される。酵母宿主細胞発酵から分泌される組換えポリペプチドは、Urdalら(J. Chromatog. 296:171, 1984)に開示されるものと類似の方法により精製してもよい。Urdalらは、分離用HPLCカラム上での組換えヒトIL−2精製のための、2つの連続する逆相HPLC段階を記載する。
【0080】
VESPR核酸の有用な断片には、標的VESPR mRNA(センス)またはVESPR DNA(アンチセンス)配列に結合することが可能な一本鎖核酸配列(RNAまたはDNA)を含む、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、本発明にしたがい、VESPR cDNAのコード領域の断片を含む。こうした断片は一般的に、少なくとも約14ヌクレオチド、好ましくは約14ないし約30ヌクレオチドを含む。既定のタンパク質をコードするcDNA配列に基づき、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを得る能力は、例えば、SteinおよびCohen(Cancer Res. 48:2659, 1988)およびvan der Krolら(BioTechniques 6:958, 1988)に記載されている。
【0081】
アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドの標的核酸配列への結合は、二重鎖の亢進した分解、転写または翻訳の未成熟な終結、または他の手段によるものを含む、いくつかの手段の1つにより、標的配列の転写または翻訳を遮断する二重鎖の形成を生じる。このように、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用い、VESPRタンパク質の発現を遮断してもよい。アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドはさらに、修飾糖−ホスホジエステル骨格(または、WO 91/06629に記載されるものなど、他の糖結合)を有するオリゴヌクレオチドを含み、そしてこのような糖結合は内因性ヌクレアーゼに耐性である。こうした耐性糖結合を持つオリゴヌクレオチドは、in vivoで安定である(すなわち酵素分解に抵抗することが可能である)が、標的ヌクレオチド配列に結合することが可能な配列特異性を保持する。センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の例には、WO 90/10448に記載されるものなどの有機部分、およびポリ(L−リジン)などの標的核酸配列に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増加させる他の部分に共有結合するオリゴヌクレオチドが含まれる。さらに、エリプチシンなどの挿入剤、およびアルキル化剤または金属錯体がセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドに結合し、標的ヌクレオチド配列へのアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドの結合特異性を修飾してもよい。
【0082】
アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、CaPO仲介DNAトランスフェクション、エレクトロポレーションを含む、いかなる遺伝子トランスファー法により、またはエプスタイン・バーウイルスなどの遺伝子トランスファーベクターを用いることにより、標的核酸配列を含む細胞に導入されてもよい。好ましくは、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、適切なレトロウイルスベクターに該アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを挿入し、その後、細胞をin vivoまたはex vivoで該挿入配列を含む該レトロウイルスベクターと接触させることにより、標的核酸配列を含む細胞に導入される。適切なレトロウイルスベクターには、限定されるわけではないが、ネズミレトロウイルスM−MuLV、N2(M−MuLV由来のレトロウイルス)由来のもの、またはDCT5A、DCT5BおよびDCT5Cと称される二重コピーベクター(PCT出願US 90/02656を参照されたい)が含まれる。
【0083】
センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、WO 91/04753に記載されるように、リガンド結合分子との結合体の形成により、標的ヌクレオチド配列を含む細胞に導入されてもよい。適切なリガンド結合分子には、限定されるわけではないが、細胞表面受容体、増殖因子、他のサイトカイン、または細胞表面受容体に結合する他のリガンドが含まれる。好ましくは、リガンド結合分子の結合体化は、実質的にリガンド結合分子がその対応する分子または受容体に結合する能力に干渉せず、あるいはセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその結合体型が細胞内に入るのを遮断しない。
【0084】
あるいは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、WO 90/10448に記載されるように、オリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成により、標的核酸配列を含む細胞に導入されてもよい。センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド−脂質複合体は、好ましくは、内因性リパーゼにより、細胞内で分離される。
【0085】
上記に加え、以下の例は、特定の態様を例示するため提供され、そして本発明の範囲を限定するためではない。
【0086】
【実施例】
実施例1
エクトロメリアセマフォリン/Fc融合タンパク質の調製
以下は、エクトロメリアセマフォリンA39R/免疫グロブリン融合タンパク質(A39R/Fc)の調製を記載する。該方法は、融合タンパク質をコードするDNA構築物を調製し、該DNA構築物で細胞株をトランスフェクションし、そしてトランスフェクションされた細胞から上清を採取することを含んだ。A39R/Fc融合タンパク質は、VESPR結合特性を研究し、そしてVESPRを単離するため、実施例3、4、5および6に記載されるように用いた。
【0087】
A39RセマフォリンをコードするDNAを、PCR技術、および配列がワクシニアウイルスのコペンハーゲン株中の公表されているA39R配列に基づく合成オリゴヌクレオチドプライマーを用い、エクトロメリアウイルスゲノムDNAから単離し、そして増幅した。コペンハーゲン株A39R DNA配列は、Goebel, S.J.ら, Virology 179:247, 1990に記載されている。単離エクトロメリアA39R DNAは配列番号7に提示され、そして該DNAがコードするタンパク質は、配列番号8に提示される。上流オリゴヌクレオチドプライマーにより、A39Rポリペプチドのアミノ酸15の上流にSpe1部位を導入した。下流オリゴヌクレオチドプライマーにより、エクトロメリアA39Rの終止コドンの下流、アミノ酸399の後にNot1部位を導入した。プライマー配列は以下の通りであった:
上流Spe1プライマー:
【0088】
【化1】
Figure 0003621883
下流Not1プライマー:
【0089】
【化2】
Figure 0003621883
Baumら, Cir. Sh. 44:30(1994)に記載されるような、免疫グロブリンの突然変異タンパク質(mutein)ヒトFc領域を含むBgl IIからNsl Iの制限断片を、ネズミIL−7シグナルペプチドおよび米国特許第5,011,912号に記載されるようなFLAGTMオクタペプチドを含む発現ベクター(pDC304)内に連結した。その後、エクトロメリアA39Rのアミノ酸15−399をコードするPCR増幅DNAを、突然変異タンパク質ヒトFc領域、ネズミIL−7シグナルペプチドおよびFLAGTMペプチドを含む発現ベクター内に二方向連結で連結した。生じたDNA構築物をサル腎臓細胞株CV−1/EBNAに(psv3neoの共トランスフェクションと共に)トランスフェクションした。0.5%低免疫グロブリンウシ血清を含む培地で7日間培養した後、0.2%アジ化物溶液を上清に添加し、そして0.22μmフィルターを通し上清を濾過した。その後、およそ1lの培養上清を、10 ml/分で、4.6 x 100 mmプロテインAカラム(PerSeptive BiosystemsのPOROS 20A)を用い、BioCad プロテインA HPLCタンパク質精製系を通過させた。プロテインAカラムは、上清中の融合タンパク質のFc部分に結合し、融合タンパク質を固定し、そして上清中の他の構成要素がカラムを通過するのを可能にする。カラムを30 mlのPBS溶液で洗浄し、そして結合している融合タンパク質をpH 3.0に調整したクエン酸でHPLCカラムから溶出させた。溶出した精製融合タンパク質は、溶出の際、pH 7.4の1M HEPES溶液を用い、中和した。
実施例2
エクトロメリアセマフォリン/ポリHis融合タンパク質の調製
以下は、エクトロメリアA39R/ポリHis融合タンパク質(A39R/ポリHis)の調製を記載する。該方法は、融合タンパク質をコードするDNA構築物を調製し、該DNA構築物で細胞株をトランスフェクションし、そしてトランスフェクションされた細胞から上清を採取することを含んだ。
【0090】
エクトロメリアA39R(A39R ORF、配列番号8のアミノ酸1−399)をコードするDNAを、PCR技術および合成オリゴヌクレオチドプライマーを用い、エクトロメリアウイルスゲノムDNAから単離し、そして増幅した。該プライマーは、5’端にNot 1部位および3’端に精製過程に用いるモチーフGly−Ser−6xHisを添加した。該プライマーは、Gly−Ser−6xHisモチーフの後に、インフレーム終止コドンおよびBgl 2部位を添加した。PCR産物を切断し、pDC409発現ベクター(McMahonら, EMBO J. 10:2821, 1991)にクローンした。
【0091】
生じたDNA構築物を、サル細胞株COS−1(ATCC CRL−1650)に一過性にトランスフェクションした。0.5%低免疫グロブリンウシ血清を含む培地で7日間培養した後、細胞上清を採取し、そして0.2%アジ化ナトリウム溶液を上清に添加した。0.22μmフィルターを通し上清を濾過し、調製スケール濃縮装置(Millipore;マサチューセッツ州ベッドフォード)で10倍に濃縮し、そして、ニッケルNTAスーパーフローセルフパック樹脂カラム(Qiagen、カリフォルニア州サンタクラリタ)を備えたBioCad HPLCタンパク質精製上で精製した。上清がカラムを通過した後、カラムを緩衝液A(20 mM NaPO、pH 7.4;300 mM NaCl;50 mM イミダゾール)で洗浄した。その後、勾配溶出技術を用い、結合しているタンパク質をカラムから溶出させた。タンパク質を含む分画を集め、4−20% SDS−PAGE還元ゲル上で解析した。A39R/ポリHis融合タンパク質を含むピークをプールし、2倍に濃縮し、そしてその後PBS中で透析した。生じたA39R/ポリHis融合タンパク質をその後、0.22μm無菌フィルターを通し濾過した。
実施例3
A39Rに対する結合に関する細胞株のスクリーニング
実施例1に記載されるように調製されたA39R/Fc融合タンパク質を用い、標準的フローサイトメトリー方法論にしたがい、定量的結合研究を用い、結合に関し細胞株をスクリーニングした。スクリーニングされる各細胞株に関し、該方法は、およそ100,000の細胞をインキュベーションし、PBS中の2% FCS(ウシ胎児血清)、5%正常ヤギ血清および5%ウサギ血清で1時間ブロッキングすることを含んだ。その後、ブロッキングされた細胞をA39R/Fc融合タンパク質5μg/mlと、PBS中の2% FCS、5%ヤギ血清および5%ウサギ血清中でインキュベーションした。インキュベーション後、試料をFACS緩衝液(PBS中の2% FCS)で2回洗浄し、そしてその後、マウス抗ヒトFc/ビオチン(Jackson Researchより購入)およびSAPE(Molecular Probesから購入したストレプトアビジン−フィコエリトリン)で処理した。この処理は、抗ヒトFc/ビオチンをすべての結合しているA39R/Fcに結合させ、そしてSAPEを抗ヒトFc/ビオチンに結合させ、細胞に結合しているA39R/Fc上に蛍光同定標識を生じさせる。蛍光検出フローサイトメトリーを用い、すべての結合しているタンパク質に関し細胞を解析した。結果により、A39Rセマフォリンは、ヒトNK細胞、ネズミ脾臓B細胞、ヒトPB T細胞、ヒトT、B、赤芽球、リンパ芽球および骨髄前駆細胞、繊維芽細胞および上皮細胞系譜によく結合することが示された。表1は、フローサイトメトリー研究の結果を列挙する。「+」は細胞表面およびA39Rの間に結合が検出されたことを示す。「−」は細胞表面およびA39Rの間に結合が検出されなかったことを示す。
【0092】
【表1】
Figure 0003621883
【0093】
実施例4
推定上のセマフォリン受容体の同定
A39Rに対する結合に関し陽性に試験されたCB23細胞(ヒト臍帯血B細胞株)およびヒトPB T細胞を、推定上の受容体の発現に関し、そしていくらかの受容体が膜結合分子、可溶性分子または両方として発現しているか決定するため、試験した。概して、該解析は、CB23およびヒトPB T細胞表面を放射標識し、採取し、そして細胞上清および溶解物をA39R/Fc融合タンパク質で処理し、すべての推定上の受容体を沈澱させ、そしてその後、電気泳動ゲル上で免疫沈降物を視覚化することを含んだ。
【0094】
特に、該方法は、Benjaminら, Blood 75:2017−2023(1990)に記載されるように、まず、[125I]で、およそ1 x 10のCB23またはPB T細胞を放射標識することを含んだ。培養細胞上清を採取し、そして14,000 rpm、30分間の遠心分離により、清澄にした。細胞溶解物は、プロテアーゼ阻害剤、フェニルメチルスルホニルフロリド、ペプスタチン−A、およびロイペプチンを含む1% Triton−X 100を含む1 mlのリン酸緩衝生理食塩水中で、細胞を氷上で30分間インキュベーションすることにより生成した。溶解物を14,000 rpm、30分間の遠心分離により清澄にした。溶解物および/または上清に存在するすべての受容体を沈澱させるため,細胞上清または溶解物200μlを実施例1に記載されるように調製したA39R/Fc融合タンパク質2μgとインキュベーションした。インキュベーションは4℃で穏やかに揺らしながら1時間行った。同様にFcタンパク質コントロール試料を調製し、そしてインキュベーションした。インキュベーション後、プロテインAセファロースビーズ(#17−0780−01、Pharmacia Biotech Inc.、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を溶解物および上清に添加し、そして混合物を4℃で穏やかに揺らしながら1時間インキュベーションした。PBS 1% Triton−X 100溶液で、ビーズをよく洗浄した。結合しているタンパク質を溶出させ、そしてSDS PAGEにより解析した。タンパク質バンドをオートラジオグラフィーで視覚化し、そして単一のおよそ200 kDaのバンドが、A39R/Fcに結合するが、コントロールFcタンパク質には結合しないことを見出した。セマフォリン受容体は細胞溶解物および細胞上清に存在し、膜結合タンパク質としての、そして分泌される可溶性タンパク質としてのその発現が確認された。
実施例5
セマフォリン受容体の単離および配列決定
実施例1に記載されるように調製されたA39R/Fc融合タンパク質を用い、ヒトセマフォリン受容体ポリペプチドを単離し、そして単離ポリペプチド精製のための方法を確認した。CB23細胞ペレットを、ホモジェナイズ緩衝液(10 mMリン酸、30 mM NaCl、pH 7.4)中にPMSF、ロイペプチン、アプロチニン、ペプスタチンAを各々1 mM、10μg/ml APMSF、および1 mM EDTAを含むプロテアーゼ阻害剤溶液に懸濁することにより、セマフォリン受容体を単離した。細胞をダウンス(dounce)ホモジェナイズし、そしてホモジェナイズ緩衝液中の41%ショ糖溶液に上層し、そして25,000 rpm、4℃で45分間、Beckman SW−28ローターで回転させ落とした。中間相を集め、そして冷たいホモジェナイズ緩衝液で希釈し、ダウンスし、そして回転させた。生じた透明な膜ペレットを−80℃で貯蔵した。
【0095】
充填細胞240 mlから調製した膜ペレットを、20 mM Tris、150 mM NaCl、上記に同定されるプロテアーゼ阻害剤、1% Triton X−100およびCaCl、MgCl、およびMcCl塩0.1 mMの水性溶液(緩衝液A)100 mlと合わせた。懸濁ペレットをダウンスし、そしてSW−28ローターで、25,000 rpm、4℃で30分間回転させた。上清を100 mlコムギ胚(wheat germ)凝集素カラムに入れ、そして10カラム体積の緩衝液Aを用い1 ml/分の速度で溶出させた。カラムに特異的に結合しているタンパク質をその後、0.2M N−アセチルグルコサミンを含む緩衝液Aで溶出させた。
【0096】
タンパク質に関し陽性に試験された分画をプールし、そしてA39R/Fc融合タンパク質100μgと4℃で1時間インキュベーションした。インキュベーションした混合物をセファロースカラムに通し、特異的に結合しない成分を除去し、そしてその後、プロテインA/セファロース固体支持体の0.5 mlカラムに通過させた。プロテインA/セファロース固体支持体を、1% Triton X−100を含むPBS 20カラム体積で洗浄し、その後、PBSで洗浄し、いかなる非結合成分も洗い落とした。その後、pH 3.0の50 mMクエン酸の0.35 ml分画で、段階的方式で、プロテインA/セファロースカラム上に保持されているタンパク質を溶出した。タンパク質に関し陽性に試験された分画を合わせ、そして10 kD MWCO Centricon濃縮装置を用い、50μlに濃縮した。生じた濃縮試料中のタンパク質を還元し、そしてその後、標準的DTTおよびヨード酢酸法を用い、アルキル化した。アルキル化タンパク質をその後、8%ゲル上で電気泳動した。ゲル上のタンパク質を、5%酢酸を含む50% MeOH中のクーマシーGで視覚化し、そしてその後、50% MeOH中で脱染した。
【0097】
タンパク質標準に比較することにより位置決定された、およそ200 kDバンドを、かみそりで切り出し、そして100 mM炭酸アンモニウム中で一晩洗浄した。ゲル切片を乾燥するまで高速蒸発させ、そして100 mM炭酸アンモニウム中のトリプシンの1:10溶液を乾燥スライドに添加した。スライドを37℃で16時間インキュベーションし、そしてその後切片中のタンパク質を、各抽出と共に30分間インキュベーションしながら、5%ギ酸を含む50%アセトニトリルで3回抽出した。
【0098】
トリプシン消化ペプチド断片を凍結乾燥し、0.1%トリフルオロ酢酸50μlに溶き、そしてC−18逆相パッキングを充填した500μ id(内径) x 25 cmキャピラリーカラム上でRP−HPLCにより分離した。HPLC液相は、5分後10%、105分後85%のアセトニトリル/水勾配であった。溶出タンパク質は215 nmで検出した。各タンパク質が溶出すると、別個の分画に集め、そして分画中のペプチドのN末端配列解析を、製造者の指示にしたがい、494 Procise配列決定装置上で行った。
【0099】
上述のように得られたRP−HPLC分画を、真空遠心機で乾燥し、0.5%酢酸を含む50%メタノール6μlに分画中のペプチドを溶解した。各ペプチド溶液2μlをナノスプレーチップ(Protein Analysis Company、デンマーク、オーゼンセ)に装填した。データは、ナノスプレー供給源を備えたFinnigan TSQ700 三重四重極質量分析計(カリフォルニア州サンホセ)で得た。質量スペクトルは、単位分解能で得た。直列質量分析には、第一の四重極を3−4Daの幅を通過するのに十分な分解能で作動させ、そして第三の四重極を単位分解能(unit resolution)で作動させた。衝突ガスは、4 mトールの圧で供給した。標準的エステル化法を用い、メチルエステル化を行った。
【0100】
トリプシン生成ペプチドの直列質量分析解析により、精製タンパク質の単離部分に関するアミノ酸配列情報が提供された。直列質量スペクトルデータを、部分的SEQUESTアルゴリズム検索ツール(Eng, J.K.ら, J Am Soc. Mass 1994)を用い、コンピューターが補助する非重複性タンパク質データベースおよびESTデータベースのスクリーニングで用いた。配列番号2のアミノ酸421−428に対応するペプチド照会(query)配列GluGluThrProValPheTyrLys、およびアミノ酸436−445に対応するAsnIleTyrIleTyrLeuThrAlaGlyLysは、EST第248534号(寄託番号N78220号)が、照会ペプチド配列に対し100%同一性を有する含有ペプチド配列を含むと同定した。アミノ酸388−401に対応するThrValLeuPheLeuGlyThrGlyAspGlyGlnLeuLeuLysは、EST第R08946号が、照会に対し100%同一性を含むと同定した。
【0101】
EST 248534の部分および精製タンパク質の3つのペプチド断片の間の100%同一性は、EST 248534内に含まれるcDNAは、精製タンパク質のコード領域に対するヌクレオチド配列の部分を代表することを、強く示唆した。セマフォリン受容体cDNAの供給源は、ファージライブラリースクリーニング法およびEST 248534に基づくPCRプライマーを用い、同定した。
【0102】
オリゴヌクレオチドプライマーは、以下のヌクレオチド配列を有した:
Figure 0003621883
ヒト組織cDNAファージライブラリーの一団をPCR反応のテンプレートとして用い、PCR単離および増幅方法論を実行した。PCR反応混合物は、最終反応体積30μl中に、ファージライブラリーストック1μl、0.3μMの最終濃度のPCRオリゴヌクレオチドプライマー、1 x PC2緩衝液(Ab Peptides, Inc.、ミズーリ州セントルイス)、dATP、dCTP、dGTP、dTTP(Pharmacia Biotech)各0.2 mM、16:1混合Klen−Taq/Ventポリメラーゼ(Klen−Taqポリメラーゼ、Ab Peptides, Inc.およびVentポリメラーゼ、New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)0.2μlを含んだ。PCR反応サイクルは、Stratagene、カリフォルニア州ラホヤのRobocycler 96を用い、98℃5分間での1サイクル;98℃45秒間での30サイクル;68℃45秒間での30サイクル;72℃45秒間での30サイクル;および72℃5分間での1サイクルを含んだ。いくつかのライブラリー中のcDNAが、電気泳動PCR産物中の適切なサイズのDNAバンドの出現に基づき、精製VESPRタンパク質をコードするDNAを含むとして、陽性に同定された。
【0103】
ファージライブラリーの2つ、ヒト包皮繊維芽細胞およびヒト真皮繊維芽細胞を、さらなる解析のため選択した。ライブラリーを確立された方法にしたがって蒔き、そしてEST 248534をテンプレートとして用いたPCR増幅産物由来の放射標識ランダムプライマープローブで探査した(probed)。増幅産物を得るために用いたPCR条件は、上述の通りであり、そしてプローブはStratagene、カリフォルニア州ラホヤのPrime−IT IIランダムプライマー標識キットを用い、生成した。およそ1 x 10 cpm/mlの精製プローブを用い、ナイロン膜フィルター上のヒト包皮ファージライブラリーを、10 x デンハルト(Denhardts)溶液、pH 7.5の50 mM Tris、0.9M NaCl、0.01%ピロリン酸ナトリウム、1%ドデシル硫酸ナトリウム、および200μg/mlの変性断片化サケ精子DNAのハイブリダイゼーション緩衝液中で、63℃で一晩探査した。探査後、探査した膜を、63℃で、一度、6 x SSC、0.1% SDSで20分間、一度、2 x SSC、0.1% SDSで20分間、一度、1 x SSC、0.1% SDSで20分間、そして一度、0.1 x SSC、0.1% SDSで20分間、洗浄した。探査しそして洗浄したフィルターをX−omat AR X線フィルム(Eastman−Kodak Corp.)に一晩曝露した。4つのオーバーラップしているcDNAを同定した。オーバーラップしているDNAを、配列決定されたトリプシン消化生成タンパク質断片と共に用い、配列番号1に示されるようなVESPRのコード配列および配列番号2に提示されるアミノ酸配列を完了し、そして確認した。
実施例6
A39Rセマフォリンに対するモノクローナル抗体
本実施例は、A39Rセマフォリンに対する抗体を調製するための方法を例示する。精製A39R/Fcを上の実施例1に記載されるように調製した。精製タンパク質を用い、米国特許第4,411,993号に記載されるようにA39Rセマフォリンに対する抗体を生成した。簡潔には、マウスをA39R/Fcで10μgで、0、2および6週に免疫した。初回免疫は、Vaxcell, Inc.のTITERMAXアジュバントと共に調製し、そして続く免疫は、不完全フロイントアジュバント(IFA)と共に調製した。11週目に、PBS中のA39R/Fc 3−4μgでマウスをIV追加免疫した。IV追加免疫の3日後、脾臓細胞を採取し、そして50%水性PEG 1500溶液を用い、Ag8.653骨髄腫融合パートナーと融合させた。ハイブリドーマ上清を、A39R/Fcおよび不適切なFcタンパク質に対するドットブロットアッセイにより、A39R抗体に関しスクリーニングした。
実施例7
セマフォリン受容体を発現している組織に関するノーザンブロット解析
以下は、本発明のVESPRポリペプチドを発現する組織および細胞種を同定するため行われたノーザンブロット実験を記載する。該結果は、フローサイトメトリー解析およびA39R/Fc融合タンパク質を用いて得られた細胞結合結果を確認する。
【0104】
実施例5に記載されるように、ESTデータベース検索の結果、配列番号2のVESPRの部分的クローンと考えられるEST(EST 248534)が発見された。PCR技術およびEST 248534のヌクレオチド1−372に基づくオリゴヌクレオチドプライマーを用い、リボプローブテンプレートを生成した。EST 248534のヌクレオチド1−372を含む上流および下流プライマーは以下の配列を有した:
Figure 0003621883
下線部分は、T7部位である。
【0105】
2つのプライマーを用い、リボプローブの生成に用いるため、EST248534からPCR産物を単離し、そして増幅した。AmbionのMAXIscript SP6/T7キットを用い、3μlのRNAse不含水、2μlの10 x転写緩衝液、10 mM dATP/dCTP/dGTP各1μl、5μlの5’/3’ EST 248534 PCR産物、5μlのAmersham[α32P]UTP 10 mCi/ml、2μlのT7 RNAポリメラーゼを室温で合わせることにより、リボプローブを生成した。組み合わせたものを微量遠心分離し簡潔に回転させ、そして37℃で30分間インキュベーションした。その後、1μlのDNAseを混合物に添加し、そして37℃で15分間反応させた。反応産物をG−25パッキング(Boehringer)の2カラム体積に通過させた。リボプローブ1μlをシンチレーションカウンターで1分間カウントし、cpm/mlを測定した。
【0106】
多様な細胞株由来のポリアデニル化RNAを、1.2%アガロースホルムアルデヒドゲル上に分画し、そして該RNAをHybondナイロン膜(Amersham、イリノイ州アーリントンハイツ)上にブロットすることにより、ノーザンブロットを生成した。Maniatis(Molecular Cloning: a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載されるような標準的ノーザンブロット生成法を用いた。総RNA多数組織ノーザンブロットは、商業的に購入した(BioChain Institute, Inc.、カリフォルニア州サンレアンドロ、カタログ番号021001、021002、021003)。
【0107】
ノーザンブロットを、50%ホルムアミドハイブリダイゼーション溶液(30 mlの20 x SSC、2 mlの100 x デンハルト試薬、1 mlの10 mg/ml変性断片化サケ精子DNA、50 mlの100%ホルムアミドおよび20 mlの10% SDS)中でプレハイブリダイゼーションした。総RNAブロットは42℃で4時間プレハイブリダイゼーションし、そしてポリA+ RNAブロットは63℃で4時間プレハイブリダイゼーションした。リボプローブを、10 cpm/mlのカウントで、清浄なハイブリダイゼーション溶液(プレハイブリダイゼーション溶液と同じ)に添加した。プレハイブリダイゼーション溶液をブロットから除去し、そしてハイブリダイゼーション溶液およびリボプローブをブロットに添加した。ハイブリダイゼーションを一晩、穏やかに震蕩しながら進めた。総RNAブロットは63℃でハイブリダイズさせ、そしてポリA+ RNAブロットは63℃でハイブリダイズさせた。
【0108】
探査した総RNAブロットを、42℃で、一度、0.05% SDSを含む2 x SSCで30分間、そして55℃で、一度、0.05% SDSを含む2 x SSCで30分間;63℃で、二度、0.1% SDSを含む0.1 x SSCで30分間;三度、0.1% SDSを含む0.1 x SSCで30分間、洗浄し、そしてその後X線フィルムに曝露した。ポリA+ブロットを、63℃で、一度、0.05% SDSを含む2 x SSC溶液で30分間、そして一度、0.1% SDSを含む1 x SSCで30分間、洗浄し、そしてその後X線フィルムに曝露した。
【0109】
ノーザンブロットを探査した結果および陽性結合プローブに関する生じたX線フィルムの視覚化により、VESPRがフローサイトメトリー実験において陽性結合が示されたものと同一の細胞に発現されていることが確認される。ハイブリダイズしているRNAはMP−1、HFFおよびCB23細胞で検出された。陽性RNAを示した初代組織には、心臓、脳、肺、脾臓および胎盤が含まれた。RAJI細胞にはRNAは検出されなかった。
実施例8
AHVセマフォリンFc融合タンパク質の生成
以下は、AHVセマフォリン/免疫グロブリン融合タンパク質(AHVセマ/Fc)を調製することを記載する。該方法は、融合タンパク質をコードするDNA構築物を調製し、該DNA構築物で細胞株をトランスフェクションし、そしてトランスフェクションされた細胞から上清を採取することを含んだ。
【0110】
AHV−セマをコードするDNAは、Ensserら, J. Gen. Vir. 76:1063−1067, 1995に記載される。アルセラフィン・ヘルペスウイルスDNA株WC11(Plowright, W.ら, Nature 188:1167−1169, 1960)から、PCR技術、および配列が公表されているAHV−セマ配列に基づく合成オリゴヌクレオチドプライマーを用い、AHV−セマアミノ酸70−653をコードするDNAを単離し、そして増幅した。上流オリゴヌクレオチドプライマーにより、Spe 1部位を導入した。下流オリゴヌクレオチドプライマーにより、終止コドンの下流にNot 1部位を導入した。可溶性AHVセマを単離するのに用いた一般的な方法は、Spriggsら, J. Virology, 70:5557(1996)に記載されている。
【0111】
Goodwinら, Cell 73:447−456, 1993に記載されるような免疫グロブリンの突然変異タンパク質Fc領域を含む制限断片を、ネズミIL−7シグナルペプチドおよび米国特許第5,011,912号に記載されるようなFLAGTMオクタペプチドを含む発現ベクター(pDC409)内に連結した。その後、コードする、PCR増幅AHVセマDNAを、突然変異タンパク質ヒトFc領域、ネズミIL−7シグナルペプチドおよびFLAGTMペプチドを含む発現ベクター内に二方向連結で連結した。生じたDNA構築物をサル腎臓細胞株CV−1/EBNAに(pSV3neoの共トランスフェクションと共に)トランスフェクションした。0.5%低免疫グロブリンウシ血清を含む培地で7日間培養した後、0.2%アジ化物溶液を上清に添加し、そして0.22μmフィルターを通し上清を濾過した。その後、およそ1lの培養上清を、10 ml/分で、4.6 x 100 mmプロテインAカラム(PerSeptive BiosystemsのPOROS 20A)を用い、BioCad プロテインA HPLCタンパク質精製系を通過させた。プロテインAカラムは、上清中の融合タンパク質のFc部分に結合し、融合タンパク質を固定し、そして上清中の他の構成要素がカラムを通過するのを可能にする。カラムを30 mlのPBS溶液で洗浄し、そして結合している融合タンパク質をpH 3.0に調整したクエン酸でHPLCカラムから溶出させた。溶出した精製融合タンパク質は、溶出の際、pH 7.4の1M HEPES溶液を用い、中和した。
実施例9
組換えセマフォリン受容体の発現
実施例5に記載されるように精製されたタンパク質のセマフォリン受容体(VESPR)アミノ酸配列、並びに、やはり実施例5に記載されるような、ESTデータベース検索から得られた情報および放射標識プローブでのハイブリダイゼーション方法論を用いて得られたcDNAを用い、cDNAを生成し、そして該cDNAで細胞をトランスフェクションし、組換えVESPRポリペプチドの発現を可能にする。
【0112】
pDC406由来のDC409発現ベクター中のcDNAを、標準的技術(McMahonら, EMBO J. 10:2821, 1991)を用いCV1/EBNA細胞にトランスフェクションする。より詳細には、CV1 EBNA細胞を、10%ウシ胎児血清を補ったダルベッコの最小必須培地(培地)10 ml中に、10 cmプレート当たり2 x 10細胞の密度で蒔く。細胞を37℃で一晩付着させる。66.7μMクロロキンおよびVESPRをコードするcDNA 5μgを含むDNA混合物を含む培地1.5 mlで、培地を置換する。175μlおよび25μlのDEAEデキストランを含む培地を細胞に添加する。細胞およびcDNAを37℃で5時間インキュベーションする。cDNA混合物を除去し、そして10% DMSOを含む新鮮な培地1 mlで、細胞に2.5分間ショックを与える。新鮮な培地で培地を置換し、そして細胞を少なくとも3日間増殖させる。
【0113】
VESPRの可溶性型を回収するため、可溶性型を含む上清を集め、そしてHPLC技術またはアフィニティークロマトグラフィー技術を用い、VESPRタンパク質を回収する。VESPRの膜結合している型を回収するため、トランスフェクション細胞を採取し、1% パラホルムアルデヒドで固定し、洗浄し、そしてその損なわれていない型で用いる。
実施例10
VESPR結合研究
本発明の受容体ポリペプチドの結合特性を調べるため、膜結合VESPR細胞外ドメインを発現している細胞を、Goodwinら, Cell 73:447−456(1993)およびSpriggsら, J Virol 70:5557(1996)に記載されるスライド結合アッセイに供することにより、結合研究を行った。
【0114】
pDC406(McMahonら, EMBO J. 10:2821, 1991)由来であるが、単一のBgl 2を有するpDC409発現ベクターを、クローニング法のため、選択した。アミノ酸19−1100をコードするVESPR cDNAを、Sal 1(5’)およびNot 1(3’)部位を通じ、pDC409発現ベクターにサブクローンし、DNA構築物を形成した。
【0115】
pDC409中の2μgのVESPR cDNA(アミノ酸19−1100をコードする)と共にDEAE/デキストランを介し、CV−1/EBNA細胞をトランスフェクションした(Giriら, EMBO J. 13:2822, 1994)。トランスフェクション細胞を3日間培養し、そしてCV−1/EBNA細胞単層を、A39R/Fc、AHVセマ/Fc、またはコントロールFcタンパク質1μg/mlとインキュベーションした。その後、インキュベーション細胞を洗浄し、そして125I標識マウス抗ヒトIgG(Jackson Immunoresearch、ペンシルバニア州ウェストグローブ)とインキュベーションした。よく洗浄した後、細胞を固定し、Gearingら, EMBO J 8:3667−3676(1989)に記載されるように写真感光乳剤に浸し、そして現像した。陽性結合は、Fcタンパク質に結合しているVESPRを発現している細胞を覆う、露出されたまたは黒ずんだ銀粒の存在により、決定した。
実施例11
フローサイトメトリーおよび阻害結合研究
以下は、A39R/Fc融合タンパク質(実施例1)およびAHVセマ/Fc融合タンパク質(実施例9)に対する結合に関するCB23細胞のフローサイトメトリー解析を記載する。やはり以下に記載されるのは、実施例2に記載されるように調製されたA39R/ポリHis融合タンパク質の過剰量でのAHVセマおよびA39R結合の阻害を測定することに向けられた研究である。
【0116】
フローサイトメトリー解析は、まず約1 x 10のCB23細胞を、3%正常ヤギ血清および3%正常ウサギ血清を含むFACS緩衝液中で、氷上で30分間インキュベーションし、非特異的結合をブロッキングすることにより、行った。A39R/Fc、AHVセマ/FcおよびコントロールFcタンパク質の一部を多様な濃度で添加し、そしてインキュベーションを30分間続けた。細胞を洗浄し、そしてその後、FACS緩衝液中のフィコエリトリン結合Fc特異的抗ヒトIgGとインキュベーションした。細胞を洗浄し、そしてBecton Dickinson、マサチューセッツ州ベッドフォードのFACScan上で解析した。結果は、AHVセマフォリンおよびA39Rセマフォリンの陽性結合を示した。
【0117】
結合阻害研究は、約1 x 10のCB23細胞を、FACS緩衝液中で、氷上で30分間インキュベーションすることにより、行った。A39R/ポリHisおよびコントロールHisタンパク質を多様な濃度で異なる試料に添加し、そしてインキュベーションをもう30分間続けた。その後、A39R/FcまたはAHVセマ/Fcを多様な濃度でインキュベーション細胞に添加し、そしてインキュベーションをもう30分間続けた。細胞を洗浄し、そしてその後、FACS緩衝液中のフィコエリトリン結合Fc特異的抗ヒトIgGとインキュベーションした。細胞を再び洗浄し、そしてFACScan上で解析した。結果は、A39R/ポリHisを用い、A39RおよびAHVセマが完全に阻害されるが、異種性His含有タンパク質では阻害されないことを立証した。
実施例12
A39RセマフォリンでのヒトB細胞凝集
A39Rセマフォリンに対するヒトB細胞反応を調べるため、Spriggsら, J Exp Med 176:1543(1992)に記載されるように、ヒト扁桃腺B細胞を精製した。A39R/ポリHis融合タンパク質を実施例2に記載されるように調製した。A39R/ポリHis融合タンパク質の溶液は、最終A39R濃度が1μg/mlになるよう調製し、そしてA39R/ポリHis融合タンパク質溶液を、約10の精製B細胞のin vitro培養中でインキュベーションした。インキュベーションを約24時間続けると、細胞凝集が生じた。融合タンパク質を培養に添加する前に、実施例6に記載されるように調製された、A39Rに対するモノクローナル抗体の10倍モル過剰量を融合タンパク質調製に添加すると、細胞凝集は遮断された。さらに、A39Rセマフォリンを、培養に添加する前に、熱不活化すると、凝集は遮断された。
【0118】
本研究は、VESPRがB細胞上に発現され、そしてA39RおよびVESPRの間の相互作用がB細胞凝集を生じることを確認する。B細胞凝集は、B細胞の活性化を示す。活性化B細胞は、サイトカインを分泌し、抗体を産生し、または抗原提示細胞になることが知られる。
実施例13
A39Rセマフォリンでのマウス樹状細胞およびマクロファージ凝集
A39Rに対する樹状細胞およびマクロファージ反応を調べるため、マウス細胞培養をA39Rセマフォリンと接触させ、そして該組み合わせの影響を観察した。マクロファージを含むマウス樹状細胞培養は、Maraskovskyら, J Exp Med 184:1953(1996)に記載されるように、マウスをFlt−3で免疫し、そして細胞を単離しそして精製することにより、得た。
【0119】
簡潔には、メスC57Bl/6マウスに、連続9−10日間、PBS 100μl中のFlt3L 10μgおよびマウス血清アルブミン1μgの溶液を、毎日一度注射した。免疫後、NHClの存在下で、すりガラスのスライドの間で脾臓組織を破壊し、赤血球を枯渇させることにより、脾臓の単一細胞懸濁物を調製した。残存細胞を、Thy−1、B220、NK1.1、およびTER119に対するmAbとインキュベーションし、そしてその後、10%ウサギ補体とインキュベーションした。その後、インキュベーション細胞を洗浄し、そして抗免疫グロブリン(Ig)被覆磁気ビーズを用い、残ったmAb被覆細胞を除去した。残存濃縮(enriched)細胞を培養し、または多様な細胞集団に関し分類した。
【0120】
分類のため選択した細胞を、Maraskovskyら, J Exp Med 184:1953−1962, 1996に記載されるように、抗CD11cおよび抗CD11bで染色し、そしてCおよびD/E集団に関し分類した。
【0121】
A39R/ポリHis融合タンパク質を実施例2に記載されるように調製した。A39R/ポリHis融合タンパク質溶液は、最終A39R濃度1μg/mlで、約10の分類または枯渇マウス細胞と、in vitro培養中でインキュベーションした。4−6時間以内に、細胞は凝集し始めた。融合タンパク質をマウス細胞培養に添加する前に、実施例6に記載されるように調製された、A39Rに対するモノクローナル抗体の10倍モル過剰量をA39R/ポリHis融合タンパク質調製に添加すると、凝集は遮断された。
【0122】
本研究は、VESPRが樹状細胞およびマクロファージ上に発現され、そしてA39RおよびVESPRの間の相互作用が樹状細胞およびマクロファージ凝集を生じることを確認する。
実施例14
A39RセマフォリンはCD69活性化抗原を上方制御する
培養樹状細胞に対するA39Rセマフォリンの影響を調べるため、マウスに9日間、毎日Flt3−L調製を注射した。マウス樹状細胞を採取し、そしてその後、10% FBSおよび20 ng/mlのGM−CSFを含む培地中で5日間培養した。
【0123】
5日目、A39R/ポリHis融合タンパク質1μg/mlを培養に添加した。6日目、細胞を診断抗体で染色した。診断抗体染色実験の結果により、CD11c、CD11b細胞(樹状細胞)が発現するCD69活性化抗原量が増加していることが示され、したがって、A39Rセマフォリンおよびその受容体の相互作用がCD69発現を上方制御することが立証された。
【0124】
融合タンパク質が熱で不活性化されると、融合タンパク質はCD69抗原に対し、影響を持たなかった。非染色および染色細胞の間の平均蛍光強度の典型的な変化は、およそ500チャンネルないし2500チャンネルの間だった。再び、これらの結果は、細胞活性化の一過性でそして初期の発現マーカーである、CD69活性化抗原の制御に対する、A39Rセマフォリンおよびその膜結合受容体の間の相互作用の有意な影響を立証する。
実施例15
IL−12産生におけるA39Rの影響の評価
マウス脾臓細胞からのIL−12の産生におけるA39Rの役割を研究するため、実施例13に記載されるように、マウスをflt3−Lで免疫し、そして樹状細胞を生成し、採取しそして精製した。
【0125】
およそ5 x 10細胞/0.5 mlの精製された未分類樹状細胞を、以下のもう1つの存在下で修飾DMEM培地中でインキュベーションした(1 x 10/mlで500μl):20 ng/ml muGM−CSF(Immunex、ワシントン州シアトル)、20 ng/ml γ−IFN(Genzyme、マサチューセッツ州ボストン)、10μg/ml SAC(CalBiochem、カリフォルニア州ラホヤ)。各細胞調製をさらに、1μg/mlのA39R/ポリHis融合タンパク質単独で、あるいは1μg/mlまたは0.1μg/mlのmuCD40L三量体(Immunex、ワシントン州シアトル)と組み合わせて処理した。培養は、加湿37℃、空気中の10% CO中で、16−18時間インキュベーションした。インキュベーション後、培養細胞の各群の生存率を測定し、そして上清を集め、そしてELISAアッセイキット(Genzyme、マサチューセッツ州ボストン)を用い、muIL12(P70)に関しアッセイした。組換えサイトカインで構築した標準曲線を参考にし、muIL12レベルを計算した。
【0126】
ELISA試験により、特に、A39Rはその受容体と相互作用し、未分類マウス樹状細胞からのIL−12の産生においてインターフェロンおよびSACと相乗作用することが立証された。このin vivo IL−12誘導はナチュラルキラー細胞活性化およびガンマインターフェロン産生を促進し、そしてガンマインターフェロン感受性サイトカインを上方制御するのに寄与する。
実施例16
単球上のMHCクラスIIおよびCD86の制御に対するA39Rの影響の試験
以下の実験は、A39Rとその膜結合受容体との相互作用による、MHCクラスIIおよびCD86の上方制御を記載する。健常ドナーからの末梢血を、低内毒素PBSで、pH 7.4および室温で1:1に希釈した。その後、希釈血35 mlをIsolymph(Gallard and Schlesinger Industries, Inc.、ニューヨーク州カールプレース)15 mlに上層し、そして室温で、2200 rpmで25分間遠心分離した。血漿層を保存した。PBMC層を採取し、そして3回洗浄し、Isolymphを除去した。洗浄したPBMCをX−Vivo 15血清不含培地(BioWhittaker、メリーランド州ウォーカーズビル)に再懸濁し、そしてT175フラスコに加えた。フラスコは、先に2%ゼラチン(Sigma、ミズーリ州セントルイス)で被覆し、そして保存した血漿層で30分間前処理してあった。PBMCを37℃、5% COで90分間付着させ、そしてその後、低内毒素PBSの10 ml洗浄で、穏やかに3回リンスした。酵素不含解離緩衝液(Gibco, BRL)中で細胞をインキュベーションし、そして細胞を何度もPBS中で洗浄することにより、付着単球細胞を採取した。単球を2500 rpmで5分間遠心分離し、計数し、そして1 ml中に5 x 10細胞/ウェルで24ウェルプレートに並べた。培養は95%純粋だった。
【0127】
細胞をより樹状細胞様表現型に分化させるため,精製単球細胞を、20 ng/ml GM−CSFおよび100 ng/ml IL−4の存在下で、7−9日間培養した。7−9日目に、1μg/mlのA39R/ポリHisまたはコントロールポリHis含有タンパク質で培養を処理し、そして翌日、解析のため、細胞および上清を採取した。
【0128】
単球由来樹状細胞表面マーカーを調べるためのフローサイトメトリー実験において、特定のタンパク質に対して向けられる結合体化mAbで細胞を染色した。染色により、試験した末梢血ドナーのほとんどで、A39R処理はこれらの細胞上のCD86およびMHCクラスII発現を下方制御することが示された。CD86およびMHCクラスII分子は、樹状細胞による亢進した抗原提示のマーカーであるため、これらの下方制御により、A39Rとこの細胞集団上のその受容体との相互作用の免疫抑制性の影響が示唆される。
実施例17
CD54の上方制御
以下は、A39Rセマフォリンおよび精製単球上のその受容体の間の相互作用の影響、およびより詳細には、セマフォリンとのインキュベーション後の単球上のCD54発現の影響を記載する。A39R/ポリHisまたはコントロールタンパク質の存在下で、一晩培養に置いた以外は、実施例16に記載されるように、末梢血ドナーから新たに単離された単球を精製した。
【0129】
一晩培養の後、培養細胞および単球特異的細胞表面マーカーに対して向けられるmAbを用い、フローサイトメトリーを行った。試験されたドナーすべてで、CD54表面発現のレベルは、A39Rの存在下で亢進されたが、熱不活化A39Rの存在化では亢進されなかった。同様に、コントロールタンパク質を含む培養では、CD54表面発現は亢進されなかった。
【0130】
CD54はICAM−1としても知られるが,付着分子であり、その増加した発現は、細胞活性化を示すとみなされている。これらのデータにより、A39Rのその受容体との相互作用を促進することにより、新たに単離されたヒト単球を活性化することが可能であることが示される。
実施例18
新たに単離されたヒト単球からのサイトカイン誘導
実施例16に記載されるように、新たに単離されたヒト単球を精製し、そして実施例17に記載されるように培養した。一晩A39R/ポリHisとインキュベーションした後、炎症誘発性サイトカインの存在に関し、単球上清を調べた。試験したドナーすべてで、IL−6およびIL−8がA39Rタンパク質により誘導された。熱不活化A39Rおよびコントロールタンパク質は、IL−6またはIL−8を誘導しなかった。さらに、サイトカイン産生は、A39Rに対して向けられるmAbを含むことにより遮断された。
【0131】
本実験の結果は、A39R、または本タンパク質の相同体がその受容体との相互作用により、新たに単離された単球によるサイトカイン産生を誘導する可能性があることを立証する。都合のよいことに、VESPRの可溶性型は、A39Rまたはその相同体に反応し、単球の炎症誘発性活性を阻害するのに用いることが可能である。
実施例19
単球凝集研究
セマフォリンのその単球上の受容体に対する相互作用に対する、ヒト単球の反応を調べるため、実施例17に記載されるように単球を精製し、そして実施例2に記載されるようにA39R/ポリHis融合タンパク質を調製した。該融合タンパク質および精製された培養単球をインキュベーションした。インキュベーションを20時間続けると、単球凝集を生じた。実施例17に立証される結果により、観察された単球凝集はCD54上方制御の結果として起こると示唆された。しかし、他の要因もまた、凝集に寄与している可能性がある。
【0132】
本研究は、本発明のセマフォリン受容体が単球上に発現し、そしてA39RおよびVESPRの間の相互作用は単球凝集を生じることを確認する。B細胞同様、単球凝集は、単球の活性化を示す。
実施例20
VESPRに対するモノクローナル抗体
本実施例は、VESPRポリペプチドに対する抗体を調製するための方法を例示する。精製VESPRポリペプチドを実施例10に記載されるように調製する。精製タンパク質を用い、米国特許第4,411,993号に記載されるように、VESPRに対する抗体を生成する。簡潔には、マウスを0、2および6週間目にVESPRで10μgで免疫する。初回免疫は、Vaxcell, Inc.のTITERMAXアジュバントと共に調製し、そして続く免疫は、不完全フロイントアジュバント(IFA)と共に調製する。11週目に、PBS中のVESPR 3−4μgでマウスをIV追加免疫する。IV追加免疫の3日後、脾臓細胞を採取し、そして50%水性PEG 1500溶液を用い、Ag8.653骨髄腫融合パートナーと融合させる。ハイブリドーマ上清を、VESPRおよび不適切なFcタンパク質に対するドットブロットアッセイにより、VESPR抗体に関しスクリーニングする。
【配列表】
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Claims (17)

  1. 配列番号2のアミノ酸配列からなる、セマフォリン類に結合可能なポリペプチド。
  2. 以下の:
    (a)配列番号2のアミノ酸x1ないし944、ここでx1は1または35であ;および
    (b)(a)の配列の断片;
    からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、ここで該ポリペプチドはセマフォリン類に結合することが可能である、ポリペプチド。
  3. 配列番号2のアミノ酸x1ないし944、ここでx1は1または35である、のアミノ酸配列からなるセマフォリン類に結合可能なポリペプチド。
  4. セマフォリン類に結合可能なポリペプチドをコードするDNAであって、以下の
    (a)配列番号1の核酸配列からなるDNA;
    (b)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA;
    (c)配列番号2のアミノ酸x1ないし944、ここでx1は1または35である、のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA;
    (d)ストリンジェントな条件下で(a)のDNAにハイブリダイズ可能なDNAに完全に相補的なDNA;
    (e)遺伝暗号の縮重によって(a)−(d)のDNAに縮重するDNA;及び、
    (f)(a)−(e)のDNAに完全に相補的なDNA;
    からなる群より選択される、前記DNA。
  5. セマフォリン類に結合可能なポリペプチドをコードするDNAであって、
    (a)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA;
    (b)配列番号2のアミノ酸x1ないし944、ここでx1は1または35である、のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA;
    (c)遺伝暗号の縮重によって(a)または(b)のDNAに縮重するDNA;及び
    (d)(a)−(c)のDNAに完全に相補的なDNA
    からなる群より選択される、前記DNA。
  6. 配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA。
  7. 配列番号2のアミノ酸x1ないし944、ここでx1は1または35である、のアミノ酸配列からなるセマフォリン類に結合可能なポリペプチドをコードするDNA。
  8. 配列番号2のアミノ酸x1ないし944、ここでx1は1または35である、のアミノ酸配列の断片をコードするDNAであって、ここで、前記断片はセマフォリン類に結合可能である、前記DNA。
  9. セマフォリン類に結合することができる融合タンパク質であって、
    配列番号2のアミノ酸x1ないし944、ここでx1は1または35である、のアミノ酸配列;および、
    当該融合タンパク質の精製を容易にするペプチド、シグナルもしくはリーダーペプチド、および/または当該融合タンパク質をオリゴマー化するペプチド、のアミノ酸配列;
    からなる、前記融合タンパク質。
  10. ペプチドが、抗体のFc領域、α−因子リーダー、ポリHisタグ、抗原性同定ペプチド、およびFLAG(登録商標)タグからなる群から選択される、請求項に記載の融合タンパク質。
  11. セマフォリン類に結合することができる融合タンパク質であって、
    配列番号2のアミノ酸x1ないし944のアミノ酸配列またはその断片のアミノ酸配列、ここでx1は1または35であり、そしてここで該断片はセマフォリン類に結合可能である;および
    当該融合タンパク質の精製を容易にするペプチド、シグナルもしくはリーダーペプチド、および/または当該融合タンパク質をオリゴマー化するペプチド、のアミノ酸配列;
    からなる、前記融合タンパク質。
  12. ペプチドが、抗体のFc領域、α−因子リーダー、ポリHisタグ、抗原性同定ペプチド、およびFLAG(登録商標)タグからなる群から選択される、請求項11に記載の融合タンパク質。
  13. 請求項9−12いずれか1項に記載の融合タンパク質をコードするDNA。
  14. 請求項4−8又は13のいずれか1項のDNAを含む、組み換え発現ベクター。
  15. 請求項14の発現ベクターによって形質転換された宿主細胞。
  16. ポリペプチドを調製するための方法であって、該ポリペプチドの発現を促進する条件下で請求項15の宿主細胞を培養することを含む、前記方法。
  17. 請求項1−のいずれか1項のポリペプチドに免疫反応性である抗体。
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