JP3618498B2 - 表面実装型電磁発音体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプリント基板上に実装する表面実装型電磁発音体の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器等の各種製品は、時代の流れと共に小型軽量化が進み、その一環としてプリント基板上には演算素子、記憶素子、およびコネクタのみならず各種電子部品を直接実装するようになってきている。小型ブザーである電磁発音体もプリント基板に直接実装する表面実装型が主流となり、更に、プリント基板の高密化多層化のために装着位置の自由度が求められるようになってきた。
【0003】
然るに、表面実装型電磁発音体を低周波数で大きな音を発生させるためには、振動板を囲むケース体の壁部に設けた放音口のほかに振動板の反対側のケース体の壁部にも開口部を設ける必要があり、従来は、金型の構造上の理由により表面実装型電磁発音体のプリント基板に固着されるケース体の底部を形成する基板に開口部を設けていた。
【0004】
次に、図5および図6を用いて従来例について説明する。図5は、プリント基板に固着されるケース体の底部を形成する基板に開口部を設けた従来例における表面実装型電磁発音体を電子機器等の製品のプリント基板511に実装した状態を示す断面図である。図6は、図5の表面実装型電磁発音体を左斜め下方から見た状態を示す斜視図である。プリント基板511の表面に実装される表面実装型電磁発音体は以下のような構成になっている。即ち、プリント基板511に直接取り付けられる下ケース501はプラスチックにより形成され、ほぼ正方形の基板501aの2カ所の隅部にプリント基板511に固着すると共にプリント基板511の端子に接続するための外部接続端子501bと、他の1カ所の隅部に外部接続端子501bと同材質で同形状に形成されプリント基板511に固着するための固着端子501fを設け、基板501aには開口部501dを設けると共に基板501aの外周からは4隅を面取りした下ケース外周壁501cが垂直に立ち上がっており下ケース外周壁501cの各角部の上面からは後述する上ケース509とはめ合うための柱状のリブ501eが垂直に立ち上がっている。下ケース501とこの下ケース501に支持された振動板支持部材506と後述する振動板507とにより下室502を形成している。
【0005】
基板501aの上面に固着されているヨーク503は磁性材で形成され、中央に円柱状の磁芯503aを突設すると共に、開口部501dに対応した位置に孔部503bを設けており、磁芯503aにはコイル504を巻回し、ヨーク503の上面にはコイル504を囲むように円筒形の上下方向に磁化された筒状永久磁石505を固着している。また、コイル504の両巻き端部は2カ所の外部接続端子501bにそれぞれ接続されている。このように、ヨーク503、コイル504、および筒状永久磁石505とによりアクチュエータを構成している。
【0006】
下ケース501の下ケース外周壁501cの内側には、この下ケース外周壁501cに内接して筒状に形成された振動板支持部材506をヨーク503の上面に当接させて固着し、振動板支持部材506の上端面には、中央部上面に磁性材で形成された磁極片508が固着されている振動板507が載置されており、振動板507は永久磁石505の起磁力による吸引力により振動板支持部材506に吸着されている。
【0007】
下ケース501の下ケース外周壁501cの上端面には、下ケース外周壁501cの外形状とほぼ同じ外形状に形成された上ケース509が固着されている。固着に際しては、下ケース501に複数個設けられたリブ501eに上ケース509をかぶせることにより位置決めしている。上ケース509はプラスチックにより形成され、基板501aとほぼ並行に設けられ放音口509dを設けた上板509aと、上板509aの外周から垂直に下がる上ケース外周壁509bと、上板509aの下面にその下端面が振動板507の上面にわずかの隙間を持って対向した複数個の振動板ストッパ509cとを設けており、上ケース509と振動板507とにより上室510を形成している。また、上ケース509と下ケース501とは超音波溶接により接合しケース体を構成している。ここで本従来例では下ケース501に設けたリブ501eを案内として上ケース509を位置決めして下ケース501に接合している方法について説明したが、下ケース501の上端の外面全周を段状にカットした形状とし、上ケース509の下端の内面全周を段状にカットした形状として双方をはめ合わせて接合する方法もある。
【0008】
このように構成された表面実装型電磁発音体を電子機器内のプリント基板に実装する際には、2カ所の外部接続端子501bをプリント基板511の所定の端子に半田付け等により電気的に接続すると共に固着する。また、1カ所の固着端子501fをプリント基板511に半田付け等により固着する。実装した状態ではプリント基板511には開口部501dに対応する位置に逃げ孔511aが設けてあり、上ケース509の上板509aの上方には近接してハウジング512があり、ハウジング512には上ケース509に設けられた放音口509dに対向する位置に放音通過口512aが設けてある。
【0009】
次に、上述した表面実装型電磁発音体の作用について説明する。プリント基板511の電子回路(図示せず)から発せられた発音体駆動信号がプリント基板511の電極から外部接続端子501bを通ってコイル504を励磁し、筒状永久磁石505と共働して振動板507を振動させて発音させる。発音された音は放音口509dを通り、放音通過口512aからハウジング512の外部に放出される。また、振動板507の振動に伴って発生する背圧は開口部501dから排出される。仮に開口部501dを閉じた場合には背圧が逃げられないので背圧が振動板507の振動を抑え発音の音量は小さくなる。これは特に低周波数において顕著である。従って開口部501dをなくすことはできない。
【0010】
上述のように、主としてプラスチック成形における金型の構造上の理由により開口部501dが下ケース501の底部に形成された基板501aに設けられているため、開口部501dの位置に合わせてプリント基板511にも逃げ孔511aを設ける必要があり、これがプリント基板上における電磁発音体の固着位置を含めプリント基板の設計の自由度を制限し、プリント基板の高密化、多層化、小型化、軽量化、およびコストダウン等の障碍となっていた。
【0011】
また、放音口509dが上ケース509の上板509aに設けられているためこの電磁発音体を実装する製品のハウジング512には放音口509dの位置に合わせて放音通過口512aを設ける必要があり、このことがハウジング512のデザインに制限を加えるという不便な点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プリント基板上における電磁発音体の固着位置を含めプリント基板の設計の自由度の制限を少なくすることによって、この電磁発音体を実装する製品を小型および廉価とし、この製品のハウジングのデザインの自由度を増すと共に、プリント基板に接する面に開口部を設けたと同様に低周波数で音量の大きな発音を可能とする表面実装型電磁発音体を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の表面実装型電磁発音体においては、振動板と、該振動板を振動させるアクチュエータと、該アクチュエータを内部に保持すると共に該アクチュエータと前記振動板を支持する下室と前記振動板を境にしてアクチュエータの反対側に設けられた上室を形成するケース体とよりなり、前記下室の底部を形成する基板にプリント基板に接続するための外部接続端子を設けると共に前記下室の外周壁に開口部を設け、前記上室に放音口を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
また、開口部を長穴としたことを特徴とするものである。
【0015】
また、放音口をケース体の外周壁に形成したことを特徴とするものである。
【0016】
また、放音口を、開口部が形成されたケース体の外周壁と同一面以外の外周壁に形成したことを特徴とするものである。
【0017】
また、放音口を、開口部が形成されたケース体の外周壁に対向する外周壁に形成したことを特徴とするものである。
【0018】
また、ケース体を、下室を形成する下ケースと、上室を形成する上ケースとにより構成したことを特徴とするものである。
【0019】
更に、開口部を下ケースの切り欠きとしたことを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第1実施例の表面実装型電磁発音体を電子機器内のプリント基板に実装した状態を示す断面図である。図2は、図1の表面実装型電磁発音体を左斜め下方から見た状態を示す斜視図である。図3は、図1の表面実装型電磁発音体を右斜め下から見た状態を示す斜視図である。図1図2および図3を用いて第1実施例の、前述した従来例と異なる部分の構造について説明する。下ケース1には基板1aの外周から垂直に立ち上がる下ケース外周壁1cにプリント基板11に並行して長方形に形成された開口部1dを設け、上ケース9には上板9aの外周から垂直に下がる上ケース外周壁9bに放音口9dを設けた。また、開口部1dは放音口9dに対して背面に設けてある。なお前述した実施例においては、ケース体を下室2を形成する下ケース1と、上室10を形成する上ケース9とにより構成したがこれに限るものではなく、例えば、下ケースを底板のみの平板状とし、上ケースを底板までかぶせて上室と下室のほとんどを形成するように構成してもよい。
【0021】
また、本発明に係る表面実装型電磁発音体は前述した従来例と同様にしてプリント基板11に実装されるが、プリント基板11には前述した従来例におけるプリント基板511に設けられたような逃げ孔511aは設けていない。また、上ケース9の上板9aの上方には近接してハウジング12があり、ハウジング12には上ケース9に設けられた放音口9dが開口している方向のあまり遠くない位置に放音通過口12aが設けてある。他の構成は前述した従来例と同じであるので説明は省略する。
【0022】
このように、下ケース1の底部に形成された基板1a以外の壁部である下ケース外周壁1cに開口部1dを設けたため、開口部1dに合わせてプリント基板11に逃げ孔を設ける必要がなく、プリント基板上における電磁発音体の固着位置を含めプリント基板の設計の自由度の制限を少なくすることができる。従って、この電磁発音体を実装する製品を小型および廉価とすると共に、ケース体の底部に開口部を設けたと同様に低周波で音量の大きな発音を可能とするものである。
【0023】
また、上ケース9の上ケース外周壁9bに放音口9dを設けたため、この電磁発音体を実装する製品のハウジング12に設ける放音通過口12aの位置は放音口9dの位置に合致させる必要がなく、実装位置関係の自由度が、放音口9dを上板9aに設けた従来の構造と比較して大きい。即ち、本電磁発音体を実装した製品のハウジング12に設けられた放音通過口12aの方向に放音口9dを向ければある程度離れていてもよいのでプリント基板11上の実装位置の自由度が大きい。また、本実施例では開口部1dを放音口9dに対して背面に設けたので、放音口9dから発射される音が開口部1dから発射される音による干渉をうけて減衰することが少なくなる。本実施例では開口部1dを放音口9dに対して背面に設けたが、必ずしも背面に限定するものではなく同一面を避けてできるだけ離れた位置であれば干渉による音の減衰を少なくすることができる。
【0024】
図4に、下ケース101の開口部101dを切り欠きとして形成した第2実施例を示す。本実施例は下ケース101の加工が容易である。即ち、下ケース101の材質をプラスチックとし射出成形によりカップ状に成形する場合には、成形型を複雑な横スライド型とする高コスト化を避けることができ、下ケース101の材質を金属とし曲げ加工によりカップ状に成形する場合には、肉の細い部分が引っ張られることによる変形を避けることができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されているような効果を奏する。
【0026】
下ケースのプリント基板に接する面以外の面に開口部を持つことにより、プリント基板に接する面に開口部を持つ従来のものと比較して、プリント基板に対する実装位置を含めたプリント基板の高密度化、多層化に対応したパターン設計の自由度が高いので、本発明の表面実装型電磁発音体を実装する製品を小型および廉価とすることができ、薄型化小型化が可能となる。
【0027】
そして、開口部を長穴とすることにより表面実装型電磁発音装置を薄型にしても開口部を大きくとることができる。
【0028】
また、開口部を切り欠き状に形成することにより、成形金型を複雑にすることなく下ケースの加工を容易にすることができ、コストダウンが図れる。
【0029】
また、放音口をケース体の外周壁に形成することにより、本発明の表面実装型電磁発音体を実装した製品に設けられた放音通過口の位置との実装位置関係の自由度が、放音口を上ケースの上面に設けた従来の構造と比較して大きい。
【0030】
さらに、下ケースに設けた開口部を、放音口から離れた位置に設けることにより、放音口から発射される音が開口部から発射される音による干渉をうけて減衰することが少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる断面図である。
【図2】図1の表面実装型電磁発音体の左斜め下から見た状態を示す斜視図である。
【図3】図1の表面実装型電磁発音体の右斜め下から見た状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係わる図1の表面実装型電磁発音体を右斜め下から見た斜視図である。
【図5】従来例を示す断面図である。
【図6】図5の左斜め下から見た状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、101、501 下ケース
1a、101a、501a 基板
1b、101b、501b 外部接続端子
1c、501c 下ケース外周壁
1d、101d、501d 開口部
1e、501e リブ
1f、501f 固着端子
2、502 下室
3、503 ヨーク
3a、503a 磁芯
503b 孔部
4、504 コイル
5、505 筒状永久磁石
6、506 振動板支持部材
7、507 振動板
8、508 磁極片
9、109、509 上ケース
9a、509a 上板
9b、509b 上ケース外周壁
9c、509c 振動板ストッパ
9d、509d 放音口
10、510 上室
11、511 プリント基板
511a 逃げ孔
12、512 ハウジング
12a、512a 放音通過口
Claims (7)
- 振動板と、該振動板を振動させるアクチュエータと、該アクチュエータを内部に保持すると共に該アクチュエータと前記振動板を支持する下室と前記振動板を境にしてアクチュエータの反対側に設けられた上室を形成するケース体とよりなり、前記下室の底部を形成する基板にプリント基板に接続するための外部接続端子を設けると共に前記下室の外周壁に開口部を設け、前記上室に放音口を設けたことを特徴とする表面実装型電磁発音体。
- 前記開口部が長穴であることを特徴とする請求項1記載の表面実装型電磁発音体。
- 前記放音口が、前記ケース体の外周壁に形成されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型電磁発音体。
- 前記放音口が、前記開口部が形成された前記ケース体の外周壁と同一面の外周壁以外の外周壁に形成されていることを特徴とする請求項3記載の表面実装型電磁発音体。
- 前記放音口が、前記開口部が形成された前記ケース体の外周壁に対向する外周壁に形成されていることを特徴とする請求項4記載の表面実装型電磁発音体。
- 前記ケース体が、前記下室を形成する
下ケースと、前記上室を形成する上ケースとにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型電磁発音体。 - 前記開口部が切り欠きであることを特徴とする請求項6記載の表面実装型電磁発音体。
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