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JP3618312B2 - ガスエンジン - Google Patents

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JP3618312B2
JP3618312B2 JP2001321761A JP2001321761A JP3618312B2 JP 3618312 B2 JP3618312 B2 JP 3618312B2 JP 2001321761 A JP2001321761 A JP 2001321761A JP 2001321761 A JP2001321761 A JP 2001321761A JP 3618312 B2 JP3618312 B2 JP 3618312B2
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fuel
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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素系燃料を燃料改質器で改質した後、この改質後の燃料を燃焼室に向けて供給するガスエンジンに係る。特に、本発明は燃料転化率の向上を図るための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ガスエンジンの一形態として、炭化水素系燃料(C)を燃料改質器で改質することにより、発熱量の大きな燃料を得て、エンジンの熱効率の向上を図るようにしたものが知られている。
【0003】
図6は、この種のガスエンジンによって発電を行う発電システムの概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、本ガスエンジンは、エンジン本体aから延びる出力軸a1が発電機bに接続されており、この出力軸a1の回転駆動力によって発電機bによる発電を行わせるようになっている。
【0004】
また、ガスエンジンの吸気系は、空気供給系と燃料供給系とから成っており、空気供給系から供給される空気と燃料供給系から供給される燃料との混合気が燃焼室に供給されてエンジン本体aが駆動するようになっている。
【0005】
空気供給系は、過給機(コンプレッサ)c及びインタクーラdを備えている。つまり、この過給機cによって空気を圧縮した後、この空気をインタクーラdで冷却することにより、高密度の空気を燃焼室に向けて供給できるようになっている。尚、上記過給機cは、排気ガスが流れる排気管eに設けられたタービンfの出力軸f1に直結されており、タービンfの回転出力を受けて空気を圧縮する。
【0006】
一方、燃料供給系は、燃料改質器g、排熱ボイラh、脱硫装置i、タンクjを備えている。この燃料供給系では、炭化水素系燃料(C)と水蒸気(HO)とを燃料改質器g内で吸熱反応させることによって燃料組成を変化させ、これによって、元の炭化水素系燃料よりも発熱量が大きな燃料が得られるようにしている。また、この吸熱反応に必要な熱エネルギは排気管eを流れる排気ガスから得るようになっている。
【0007】
具体的には、先ず、炭化水素系燃料は硫黄分を含んでいるため、脱硫装置iによってこの硫黄分を除去し、この硫黄分が除去された後の炭化水素系燃料が燃料改質器gに供給される。尚、燃料改質器gの触媒(金属(Rh,Ru,Ni,Ir,Pd,Pt,Re,Co,Fe)、アルカリ炭酸塩(KCO)、塩基性酸化物(MgO,CaO,KO)、石炭等の鉱物質(FeS)等)は、硫黄(消化ガスやバイオガス中の硫化水素、都市ガスの付臭剤、石油系燃料の硫黄分など)による被毒の虞があり、これを回避するために上記脱硫装置i及びこの脱硫装置iに水添脱硫を行わせるための水素を供給する水素ボンベkが必要である。一方、排熱ボイラhでは、排気管eを流れる排気ガスの熱量を利用して水蒸気が発生しており、この水蒸気が燃料改質器gに供給される。また、燃料改質器gには排気ガスの熱エネルギを取得するための図示しない熱交換器が備えられている。これにより、燃料改質器gの内部では以下の吸熱反応が行われる。
【0008】
+mHO→mCO+(n/2+m)H …(1)
炭化水素系燃料がメタン(m=1、n=4)である場合には以下の吸熱反応となる。
【0009】
CH+HO→CO+3H …(2)
このような反応が行われた場合、改質後の燃料の発熱量は元の炭化水素系燃料よりも大幅に上昇し(例えば25%程度上昇する)、これによって熱効率(発電機出力/供給燃料C)の向上を図ることが可能な燃料が得られることになる。
【0010】
そして、改質後の燃料は、一旦タンクjに貯蔵され、このタンクjに内蔵された図示しない除湿器で余分な残留HOが取り除かれた後、上記空気供給系から供給された空気と混合されて燃焼室に供給される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記排気管eを流れる排気ガスの温度は、400℃〜500℃程度であり、燃料改質器gの内部での上記吸熱反応を良好に行うために必要な熱エネルギを取得できるほどの温度には至っていないのが実情である。図3の曲線Bは、この従来例における排ガス温度とメタン転化率との関係を示している。この図のように、排ガス温度が500℃程度である場合、従来の改質方法では、メタン転化率は15%程度しか得られておらず、改質後の燃料の発熱量を大幅に増大させるには至っていなかった。つまり、従来の構成において、メタン転化率を80%程度の高い値にするためには排ガス温度としては700℃程度が必要であった。
【0012】
吸熱反応を高温度の環境下で行わせるために、排気ガスや燃料改質器を、新たに設けた加熱源によって加熱することも考えられるが、これでは、加熱源に別途エネルギが必要となってしまい、ガスエンジン全体としての熱効率の向上を図ることは困難である。
【0013】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記吸熱反応を比較的低い温度環境下で行った場合であっても高い転化率が得られ、これによって、ガスエンジン全体としての熱効率の向上を図ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、炭化水素系燃料を燃料改質器で改質するに際し、生成した水素を順次燃料改質器から分離抽出することにより、燃料改質器内での改質反応の促進を図るようにしている。
【0015】
−解決手段−
具体的に、第1の解決手段では、炭化水素系燃料を燃料改質器で改質した後、この改質後の燃料を燃焼室に向けて供給するガスエンジンを前提とする。このガスエンジンに対し、改質後の燃料から水素を分離抽出する水素分離手段と、この水素分離手段によって分離抽出された水素を燃焼室に向けて供給する水素供給経路とを備えさせている。また、燃料改質器の内部で、分離水素の一部、改質燃料の一部または炭化水素系燃料の一部を燃焼させることにより、燃料改質器の内部温度を上昇させる構成としている。
【0016】
この特定事項により、燃料改質器内部での改質反応によって生成された水素が水素分離手段によって燃料改質器から順次抽出されていく。つまり、燃料改質器内部の水素濃度を減少させていくことで改質反応の促進が図れ、比較的低い温度環境下であっても、高い転化率で改質が行われて、熱効率の大幅な上昇を図ることが可能な燃料が得られることになる。また、改質反応を高い温度環境下で行わせることができ、上記作用と相俟って更なる改質反応の促進が図れ、極めて高い転化率を実現することができる。
【0017】
第2の解決手段は、炭化水素系燃料を燃料改質器で改質した後、この改質後の燃料を燃焼室に向けて供給するガスエンジンを前提とする。このガスエンジンに対し、改質後の燃料から水素を分離抽出する水素分離手段と、この水素分離手段によって分離抽出された水素を燃焼室に向けて供給する水素供給経路とを備えさせている。また、燃料改質器を、炭化水素系燃料と水蒸気とを吸熱反応させることにより、炭化水素系燃料を改質するよう構成する。そして、上記水蒸気を発生させる水蒸気発生手段と、この水蒸気発生手段で発生した水蒸気の一部を燃焼室に向けて供給する水蒸気供給経路と、この水蒸気供給経路からの水蒸気の供給量を調整することによって、燃焼室内の燃焼温度を調整する水蒸気調整手段とを備えさせている。
排気ガス中の有害物質をできるだけ少なくするためには燃焼室内の燃焼温度を適切に制御することが有効である。このため、燃焼温度が高すぎる場合、水蒸気調整手段は、水蒸気発生手段で発生した水蒸気の一部を燃焼室に向かって供給することによって供給燃料中の水蒸気量を増加させる。これにより、燃焼温度が低下し、排気ガス中の有害物質を最も削減できる燃焼温度となるような制御が可能となる。
また、ガスエンジン本体の熱効率をできるだけ大きくするためには熱発生率を適切に制御することが有効である。このため、熱発生率が高すぎる場合、水蒸気発生手段で発生した水蒸気の一部を燃焼室に向かって供給することによって供給燃料中の水蒸気量を増加させる。これにより、熱発生率が低下し、熱損失を小さくして熱効率を最も大きくできる熱発生率となるような制御が可能となる。
更に、エンジン燃焼室から燃料噴射口への火炎の異常伝播(所謂バックファイヤー)を防止するためには燃焼速度を低くすることが有効である。このため、燃焼速度が高すぎる場合、水蒸気発生手段で発生した水蒸気の一部を燃焼室に向かって供給することによって供給燃料中の水蒸気量を増加させる。これにより、燃焼速度が低下し、バックファイヤーが防止できる。
【0018】
第3の解決手段は、炭化水素系燃料を燃料改質器で改質した後、この改質後の燃料を燃焼室に向けて供給するガスエンジンを前提とする。このガスエンジンに対し、改質後の燃料から水素を分離抽出する水素分離手段と、この水素分離手段によって分離抽出された水素を燃焼室に向けて供給する水素供給経路とを備えさせている。また、総燃料中の水素混合割合に応じて、燃焼室に向かって供給する燃料と空気との混合割合を調整する混合比調整手段を備えさせている。更に、燃料改質器を、炭化水素系燃料と水蒸気とを吸熱反応させることにより、炭化水素系燃料を改質するよう構成する。そして、上記水蒸気を発生させる水蒸気発生手段と、この水蒸気発生手段で発生した水蒸気の一部を燃焼室に向けて供給する水蒸気供給経路と、この水蒸気供給経路からの水蒸気の供給量を調整することによって、燃焼室内の燃焼温度を調整する水蒸気調整手段とを備えさせている。
排気ガス中の有害物質であるNOx、CO、HCをできるだけ少なくするためには希薄燃焼を行うことが好ましい。このため、混合比調整手段が、総燃料中の水素混合割合を予め認識しておき、その水素混合割合において必要最小限の燃料供給量で燃焼室内での燃焼が良好に行えるように、水素混合割合に応じた希薄可燃限界値を求め、それに基づいて燃料と空気との混合割合を調整する。これにより、希薄燃焼によるエンジンの運転が可能となり、排気ガス中の有害物質を削減できる。つまり、総燃料中の水素混合割合に応じた燃料と空気との混合割合の調整及び燃焼室に向かって供給する水蒸気量の調整を行うことで、排気ガスのクリーン化を図るのに最適な希薄燃焼状態と燃焼温度とを共に得ることができる。
尚、上記第6〜第8の解決手段において、総燃料中の水素混合割合や燃焼室内の燃焼温度を検出する手法としては、これらを直接的に検出する場合ばかりでなく、機関回転数・負荷、排気温度、排気の空燃比等を検出することで推測するようにしてもよい。
【0019】
第4の解決手段は、分離抽出した水素の供給系の構成を具体化したものである。つまり、上記第1〜第3のうち何れか一つの解決手段において、水素分離手段によって分離抽出された水素を貯蔵するタンクと、このタンクから水素供給経路を経て燃焼室に向かって供給される水素の供給量を調整することによって、燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合を調整可能とする調整手段とを備えさせている。
【0020】
この構成により、水素分離手段によって分離抽出された水素は一旦タンクに貯蔵される。その後、この水素は、ガスエンジン駆動用の燃料として水素供給経路を経て燃焼室に向かって供給される。この際、調整手段が総燃料中の水素混合割合を調整することになり、この水素混合割合を任意の値に設定して、ガスエンジンの運転状態を制御することが可能となる。
【0021】
第5の解決手段は、水素分離手段によって分離抽出された水素の利用範囲の拡大を図るための構成に係るものである。つまり、上記第1〜第4のうち何れか一つの解決手段において、炭化水素系燃料に含まれる硫黄分を水添脱硫によって除去する脱硫装置と、水素分離手段によって分離抽出された水素の一部を脱硫装置に供給する脱硫用水素供給経路とを備えさせている。
【0022】
この特定事項により、水素分離手段によって分離抽出された水素は脱硫装置における水添脱硫用のものとしても使用される。従来のものでは、水添脱硫用の水素を供給するための水素ボンベを備えさせ、この水素ボンベが空になると、その交換や水素の補充が必要であった。本解決手段によれば、この水素ボンベが不要であり、その交換や水素補充作業も必要なくなる。
【0023】
第6の解決手段は、水素の供給動作を具体的に特定したものである。つまり、上記第1〜第5のうち何れか一つの解決手段において、ノッキングの発生を検知するノッキングセンサと、このノッキングセンサの出力を受けてノッキング強度を測定し、ノッキング強度が所定値を超えたときに、水素供給経路からの水素の供給量を減少させて、燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合を低下させる水素供給量制御手段とを備えさせている。
【0024】
ノッキングが発生する状況では、供給燃料中の水素成分の影響でメタン価が小さくなりすぎていることが考えられる。このため、このような状況では、水素の供給量を低下させてメタン価を大きくしてノッキングを防止することが有効である。つまり、水素供給量制御手段が、ノッキングセンサの出力を受けてノッキング強度を認識し、ノッキングの発生が検知または予知される状況であるときには、水素の供給量を低下させて総燃料中の水素混合割合を低下させる。これにより、供給燃料のメタン価が大きくなり、ノッキングの発生が回避できる。
【0025】
第7の解決手段は、燃料と空気との混合割合を調整する動作を具体的に特定したものである。つまり、上記第1または第2の解決手段において、総燃料中の水素混合割合に応じて、燃焼室に向かって供給する燃料と空気との混合割合を調整する混合比調整手段を備えさせている。
【0026】
排気ガス中の有害物質であるNOx、CO、HCをできるだけ少なくするためには希薄燃焼を行うことが好ましい。このため、混合比調整手段が、総燃料中の水素混合割合を予め認識しておき、その水素混合割合において必要最小限の燃料供給量で燃焼室内での燃焼が良好に行えるように、水素混合割合に応じた希薄可燃限界値を求め、それに基づいて燃料と空気との混合割合を調整する。これにより、希薄燃焼によるエンジンの運転が可能となり、排気ガス中の有害物質を削減できる。
【0033】
第8の解決手段は、燃料改質器の応答性が低下した場合の保証機能に係るものである。つまり、上記第1〜3のうち何れか一つに記載の解決手段において、水素分離手段によって分離抽出された水素の燃焼室へ向かう流量を調整することによって、燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合を調整可能とする調整手段を水素供給経路に設けた構成としている。
【0034】
本解決手段によれば、たとえ燃料改質器の応答性が低下して改質ガスの組成が変動したとしても、改質ガスの組成変動に合わせて調整手段を調整することにより水素の供給量を適切に得ることでガスエンジンの運転を安定して行うことが可能となる。
【0035】
第9の解決手段は、上記第8の解決手段において、水素分離手段によって分離抽出された水素を吸蔵する吸蔵動作と、この吸蔵した水素を燃焼室に向けて放出することにより水素供給圧力を昇圧させる放出動作とが可能な水素ポンプ手段を設ける。また、調整手段を、この水素ポンプ手段の水素放出側に配設している。これによれば、水素分離手段による水素分離抽出動作と、この分離抽出された水素の燃焼室への供給動作とを円滑に行うことができ、高転化率を維持しながらガスエンジンの連続運転を良好に行うことが可能になる。
【0036】
第10の解決手段は、上記第6の解決手段と同様にエンジンのノッキング対策に係るものである。つまり、上記第8または9の解決手段において、ノッキングの発生を検知または予知するノッキングセンサと、このノッキングセンサの出力を受けてノッキング強度を測定し、ノッキング強度が所定値を超えたときに、調整手段の調整によって水素供給経路からの水素の供給量を減少させて、燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合を低下させる水素供給量制御手段とを備えさせている。この特定事項によってもノッキングの発生が検知または予知される状況であるときには、水素混合割合を低下させて供給燃料のメタン価を大きくし、これによってノッキングの発生を回避することができる。
【0037】
第11の解決手段は、逆火(上記バックファイヤー)を防止するための対策に係るものである。つまり、上記第8、9または10の解決手段において、逆火の発生を検知または予知する逆火センサと、この逆火センサの出力を受け、逆火の発生が検知または予知されたときに、調整手段の調整によって水素供給経路からの水素の供給量を減少させて、燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合を低下させる水素供給量制御手段とを備えさせている。この特定事項により、水素供給量の減少に伴って燃焼速度を低くすることができ、逆火を防止することができる。
【0038】
第12の解決手段は、排気ガスのクリーン化対策に係るものである。つまり、上記第1または第2の解決手段において、機関回転数・負荷、排気温度、排気の空燃比、総燃料中の水素混合量、水素分離後の改質燃料供給量、排気の濃度、総燃料中の水素成分濃度のうち少なくとも一つの検出値を得て、その検出値に応じて、燃焼室内での希薄燃焼を可能とするように、燃焼室に向かって供給する水素と水素分離後の改質燃料との混合割合を調整する混合比調整手段を備えさせている。この特定事項により、水素と水素分離後の改質燃料との混合割合を適切に調整することで、有害物質であるNOx、CO、HCを大幅に削減可能な希薄燃焼状態を得ることができ、これによって排気ガスのクリーン化を図ることが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、メタンガス(CH)を燃料改質器で改質することにより発熱量の大きな燃料を得るようにしたガスエンジンに本発明を適用した場合について説明する。また、本形態に係るガスエンジンは、その出力を発電に利用するものである。
【0040】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態について説明する。
【0041】
−ガスエンジンの構成説明−
図1は、本形態に係るガスエンジンによって発電を行う発電システムの概略構成を示す図である。この図に示すように、本ガスエンジン1は、エンジン本体2から延びる出力軸21が発電機3に接続されており、この出力軸21の回転駆動力によって発電機3による発電を行わせる構成となっている。
【0042】
また、ガスエンジン1の吸気系は、空気供給系4と燃料供給系5とから成っており、空気供給系4から供給される空気と燃料供給系5から供給される燃料との混合気がエンジン本体2の図示しない燃焼室に供給されてエンジン本体2が駆動するようになっている。以下、空気供給系4及び燃料供給系5について説明する。
【0043】
空気供給系4は、過給機(コンプレッサ)41及びインタクーラ42を備えている。つまり、この過給機41によって空気を圧縮した後、この空気をインタクーラ42で冷却することにより、高密度の空気を燃焼室に向けて供給できるようになっている。尚、上記過給機41は、排気ガスが流れる排気管6に設けられたタービン61の出力軸62に直結されており、タービン61の回転出力を受けて空気を圧縮する。
【0044】
一方、燃料供給系5は、燃料改質器51、水蒸気発生手段としての排熱ボイラ52、脱硫装置53、水素タンク54及びミキサ55を備えている。この燃料供給系5では、炭化水素系燃料であるメタンガス(CH)と水蒸気(HO)とを燃料改質器51内で吸熱反応させることによって燃料組成を変化させ、これによって、元のメタンガスよりも発熱量が大きな燃料が得られるようにしている。また、この吸熱反応に必要な熱エネルギは排気管6を流れる排気ガスから得るようになっている。以下、この燃料供給系5を構成する各要素について説明する。
【0045】
排熱ボイラ52は、内部に水が貯留されており、この水と排気管6を流れる排気ガスとの間で熱交換を行うことで、水を蒸発させて水蒸気を発生させるものである。この排熱ボイラ52の上部と燃料改質器51とは水蒸気供給管71によって接続されており、排熱ボイラ52内で発生した水蒸気が燃料改質器51内に供給可能となっている。また、この水蒸気供給管71には開度調整可能な電動弁71aが設けられている。
【0046】
脱硫装置53は、メタンガス中に含まれている硫黄分を除去するためのものである。つまり、燃料改質器51の触媒(金属(Rh,Ru,Ni,Ir,Pd,Pt,Re,Co,Fe)、アルカリ炭酸塩(KCO)、塩基性酸化物(MgO,CaO,KO)、石炭等の鉱物質(FeS)等)は、硫黄による被毒の虞があり、これを回避するために、この脱硫装置53が設置されている。また、この脱硫装置53では水添脱硫による脱硫動作が行われるため、水素を供給するための上記水素タンク54が備えられている。更に、この脱硫装置53には、メタンガスを供給するための改質前燃料供給管72及び脱硫後の燃料を燃料改質器51に供給するための脱硫燃料供給管73が接続されている。また、上記水素タンク54と脱硫装置53とは脱硫用水素供給経路を構成する水素供給管74によって接続されている。
【0047】
燃料改質器51は、その内部で水蒸気とメタンガスとを吸熱反応させて燃料改質動作を行わせるものである。つまり、上記水蒸気供給管71から供給された水蒸気と脱硫燃料供給管73から供給されたメタンガスとの間で吸熱反応を行わせるようになっている。また、この燃料改質器51の内部には、排気ガスの熱エネルギを取得するための図示しない熱交換器が備えられている。これにより、燃料改質器51の内部では所定温度(排気ガスの温度であって例えば600℃程度)の環境下で以下の吸熱反応が行われるようになっている。
【0048】
CH+HO→CO+3H …(2)
このような反応が行われることで、改質後の燃料の発熱量は元のメタンガスよりも大幅に上昇し、これによって熱効率(発電機出力/供給燃料)の向上が図れる燃料を得ることができるようになっている。
【0049】
そして、本形態の特徴は、上記燃料改質器51に水素分離手段としての水素分離装置56が設けられていることにある。この水素分離装置56は、燃料改質器51内での上記吸熱反応によって発生した水素ガスを他のガスや水蒸気から分離して抽出するものである。この水素分離装置56の具体構成としては、分離膜や水素吸蔵物質を内蔵し、これによって水素のみを分離抽出するようになっている。分離膜としては、パラジウム合金、パラジウム基合金、無機分離膜、多孔質ガラス膜、多孔質中空ガラス繊維膜、多孔質セラミックス膜、ゼオライト膜、酢酸セルロース膜、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン多孔質膜/シリコーンなどがある。例えば、上記無機分離膜は水素分子のみが通過可能な細孔を有する膜として形成されている。特に、無機分離膜、多孔質ガラス膜、多孔質中空ガラス繊維膜、多孔質セラミックス膜は、耐熱性に優れ且つ機械的強度も高いため好適である。また、多孔質セラミックス材料として具体的には、ジルコニア、ゼオライト、シリカ、アルミナ等が掲げられる。また、水素吸蔵物質としては、水素吸蔵合金が挙げられる。また、カーボンナノファイバ、フラーレン、多層フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素分子よりなる物質、金属水素化物、塩型水素化物、金属結合型水素化物、境界領域水素化物、共有結合型水素化物、有機系炭化水素、メタルハイドライド、ケミカルハイドライドを水素吸蔵物質として採用することも可能である。尚、分離膜や水素吸蔵物質としては、これらに限るものではなく、水素を分離抽出できるものであれば種々の材料を採用することが可能である。この構成により、燃料改質器51内での吸熱反応によって生成した水素を水素分離装置56によって順次分離抽出することで、燃料改質器51内での吸熱反応の促進が図れるようになっている。
【0050】
この水素分離装置56と上記水素タンク54とは水素回収管75によって接続されている。つまり、水素分離装置56によって抽出された水素ガスが水素回収管75を経て水素タンク54に一時的に貯留される構成となっている。尚、上記燃料改質器51とミキサ55とは、水素ガスが抽出された後の燃料等(CO、CH、HO)をミキサ55に向かって供給するための第1燃料供給管76によって接続されている。この第1燃料供給管76には開度調整可能な電動弁76aが設けられている。
【0051】
また、上記水素タンク54とミキサ55とは、水素タンク54内に貯留されている水素ガスをミキサ55に向かって供給するための水素供給経路を構成する第2燃料供給管77によって接続されている。この第2燃料供給管77にも開度調整可能な調整手段としての電動弁77aが設けられている。
【0052】
そして、これら燃料供給管76,77によって燃料が供給されるミキサ55は、各燃料を一旦貯蔵して混合し、このミキサ55に内蔵した図示しない除湿器で余分な残留HOを取り除いた後、改質後の燃料を改質後燃料供給管78を経て空気と混合して燃焼室に供給するようになっている。
【0053】
また、本ガスエンジン1には、各部の制御を行うためのコントローラ8が備えられている。このコントローラ8は、複数のセンサ81,82,83が接続され、これらセンサ81,82,83からの検出信号を受信すると共に、上記各電動弁71a,76a,77aの開度制御を行うようになっている。上記センサとしては、発電機3の負荷を検出する負荷センサ81、エンジン本体2のノッキング強度を測定するためのノッキングセンサ82、ミキサ55からエンジン本体2に供給される燃料中の水素成分濃度(改質後燃料供給管78中の水素成分濃度)を測定する水素濃度センサ83が挙げられる。
【0054】
また、このコントローラ8には、水素供給量制御手段85及び混合比調整手段86が備えられている。
【0055】
水素供給量制御手段85は、上記ノッキングセンサ82の出力を受けてノッキング強度を測定し、ノッキング強度が所定値を超えたときに、第2燃料供給管77の電動弁77aの開度を小さくするように制御することで、水素の供給量を低下させて総燃料中の水素混合割合を低下させる。つまり、ノッキングが発生する状況(ノッキングの発生が検知または予知される状況)では、供給燃料中の水素成分の影響でメタン価が小さくなりすぎていることが考えられるため、この際に、水素の供給量を低下させてメタン価を大きくしてノッキングを防止できるようにしている。
【0056】
また、混合比調整手段86は、水素濃度センサ83の出力を受けて総燃料中の水素混合割合を測定し、この水素混合割合に応じて、燃焼室に向かって供給する燃料と空気との混合割合を調整する。つまり、排気ガス中の有害物質であるNOx、CO、HCをできるだけ少なくするためには、希薄燃焼を行うことが好ましい。このため、総燃料中の水素混合割合を予め認識しておき、その水素混合割合において必要最小限の燃料供給量で燃焼室内での燃焼が良好に行えるように、つまり、水素混合割合に応じた希薄可燃限界値を求め、それに基づいて燃料と空気との混合割合を調整するようにしている。
【0057】
以上が、ガスエンジン1の構成説明である。
【0058】
−ガスエンジン1の動作説明−
次に、上述の如く構成されたガスエンジン1の動作について説明する。
【0059】
先ず、水蒸気供給管71の電動弁71aが開放された状態で、排熱ボイラ52内部の水が、排気管6を流れる排気ガスによって加熱されて水蒸気となる。そして、この水蒸気は、水蒸気供給管71によって燃料改質器51に順次供給されていく。
【0060】
これと同時に、メタンガスが改質前燃料供給管72によって脱硫装置53に供給され、ここで水添脱硫による脱硫動作が行われる。この際、水素タンク54内の水素ガスの一部が水素供給管74によって脱硫装置53に供給される。このようにして脱硫が行われたメタンガスは、脱硫燃料供給管73によって燃料改質器51に順次供給されていく。
【0061】
このようにして、燃料改質器51に水蒸気及びメタンガスが供給された状態で上記の吸熱反応が行われる。この反応の際には、排気ガスの熱エネルギが燃料改質器51内の熱交換器によって取得され、これにより、燃料改質器51の内部では所定温度の環境下で吸熱反応が行われて、一酸化炭素(CO)と水素ガス(H)とが発生する。尚、この際、改質されなかった水蒸気(HO)及びメタンガス(CH)も燃料改質器51の内部には存在している。
【0062】
そして、この燃料改質器51内の水素ガスは、水素分離装置56によって他のガスや水蒸気から分離して抽出され、水素回収管75を経て水素タンク54に回収され、この水素タンク54に一時的に貯留される。この燃料改質器51内の水素ガスの分離抽出により、この燃料改質器51内では、吸熱反応が促進され、高い転化率で燃料の改質が行われる。
【0063】
エンジン本体2に燃料を供給する際には、上記第1燃料供給管76の電動弁76a及び第2燃料供給管77の電動弁77aが共に開放される。これにより、燃料改質器51内のメタンガス、一酸化炭素、水蒸気は、第1燃料供給管76によってミキサ55に供給される。一方、水素タンク54内の水素ガスは、第2燃料供給管77よってミキサ55に供給される。このミキサ55では、各燃料が一旦貯蔵されて、ここで混合されると共に、ミキサ55に内蔵した図示しない除湿器で余分な残留HOが取り除かれる。そして、改質後の燃料が改質後燃料供給管78を経て、空気供給系4から供給された空気と混合されてエンジン本体2の燃焼室に供給される。この際、上記電動弁77aの開度を調整することにより、総燃料中の水素混合割合を任意の値に設定して、ガスエンジンの運転状態を制御することが可能である。
【0064】
これによってエンジン本体2が駆動し、出力軸21の回転駆動に伴って発電機3が駆動して発電が行われる。
【0065】
以上が、本ガスエンジン1の基本的な運転動作である。
【0066】
(ノッキング発生時の制御)
次に、ガスエンジン1の運転中にノッキングが発生する状況になった場合の制御について説明する。このノッキングが発生する状況とは、上述した如く、供給燃料中の水素成分の影響でメタン価が小さくなりすぎていることが考えられる。このため、このような状況では、水素の供給量を低下させてメタン価を大きくし、ノッキングを防止する制御が行われる。具体的には、コントローラ8の水素供給量制御手段85が、ノッキングセンサ82の出力を受けてノッキング強度を測定し、ノッキングの発生が検知または予知される状況であるときには、第2燃料供給管77の電動弁77aの開度を小さくするように制御することで、水素の供給量を低下させて総燃料中の水素混合割合を低下させる。これにより、供給燃料のメタン価が大きくなり、ノッキングの発生が回避できる。そして、ノッキング強度が所定値以下まで低下すると、再び、電動弁77aの開度を大きくして通常運転に戻る。
【0067】
(希薄燃焼制御)
本ガスエンジン1の排気ガス中の有害物質であるNOx、CO、HCをできるだけ少なくするための運転制御を行う場合には、混合比調整手段86によって以下の制御が行われる。つまり、排気ガス中の有害物質をできるだけ少なくするためには希薄燃焼を行うことが好ましい。このため、総燃料中の水素混合割合を予め認識しておき、その水素混合割合において必要最小限の燃料供給量で燃焼室内での燃焼が良好に行えるように、水素混合割合に応じた希薄可燃限界値を求め、それに基づいて燃料と空気との混合割合を調整する。図2は、この希薄可燃限界値を求めるためのマップである。このマップに基づき、現在の水素混合割合に対して、希薄可燃限界値となる希薄可燃限界当量比(空気量に対する燃料の割合)を安定燃焼領域中で最も燃料供給量が少なくなるように設定する(図2の曲線上に設定する)。これにより、運転中の吹消を回避しながらも、ガスエンジン1の排気ガス中の有害物質を大幅に削減することができ、排気ガスのクリーン化を図ることが可能となる。
【0068】
−実施形態の効果−
以上説明したように、本形態では、メタンガスを燃料改質器51で改質するに際し、生成した水素を、水素分離装置56によって順次燃料改質器51から分離抽出することにより、燃料改質器51内での水素濃度を低下させることで吸熱反応の促進を図るようにしている。このため、比較的低い温度環境下(例えば600℃程度)であっても、高い転化率で改質が行われ、熱効率の大幅な上昇を図ることが可能な燃料が得られて、ガスエンジン全体としての熱効率の向上を図ることができる。その結果、本形態のガスエンジン1では、従来のものと同一発電量を得るために必要な燃料の量を削減することができ、省エネルギ性の向上を図ることができる。
【0069】
図3は、排ガス温度とメタン転化率との関係を示しており、曲線Aは本形態のガスエンジン1に係るものであり、曲線Bは上述した如く従来のガスエンジン(図6参照)に係るものである。この図のように、排ガス温度が600℃の場合、従来のものではメタン転化率は40%程度しか得られていないのに対し、本形態では90%以上の高い転化率が得られ、熱効率の大幅な向上を図ることができている。
【0070】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本形態は、エンジン本体2の燃焼室内での燃焼温度を制御することによって、排気ガス中の有害物質の削減を図るようにしたものである。従って、ここでは、燃焼温度を制御する構成及び動作についてのみ説明する。また、本形態に係る発電システムの概略構成を示す図4にあっては、上記図1に示したものと同一の構成部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
この図4に示すように、本例に係るガスエンジン1は、排熱ボイラ52と燃料改質器51とを接続する水蒸気供給管71の下流側が分岐されており、一方の分岐管71Aが燃料改質器51に、他方の分岐管(本発明でいう水蒸気供給経路を構成する)71Bがミキサ55にそれぞれ接続されている。そして、各分岐管71A,71Bには電動弁71b,71cが設けられている。
【0072】
また、コントローラ8には水蒸気調整手段87が備えられている。この水蒸気調整手段87は、水蒸気供給管71の他方の分岐管71Bからミキサ55への水蒸気の供給量を調整することによって、燃焼室内の燃焼温度を調整するものである。つまり、燃焼温度が高すぎる場合に、分岐管71Bの電動弁71cを開放することによって供給燃料中の水蒸気量を増加させ、これによって燃焼温度を低下させて、排気ガス中の有害物質を最も削減できる燃焼温度となるように制御する。
【0073】
このように本形態では、排熱ボイラ52で発生した水蒸気の一部を燃焼室に向けて供給して燃焼温度を調整できるようにしているため、簡単な制御動作で、排気ガス中の有害物質を最も削減できる燃焼温度でガスエンジンを運転することが可能となる。
【0074】
また、このような排熱ボイラ52で発生した水蒸気の燃焼室への供給は、ガスエンジン本体2の熱効率向上や、燃焼室から燃料噴射口へのバックファイヤー防止にも効果がある。
【0075】
尚、分岐管71Bの下流端の接続箇所としては、ミキサ55に限らず、改質後燃料供給管78や燃焼室であってもよい。
【0076】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本形態は、水素分離装置56における水素分離抽出動作の促進を図るための構成の変形例である。その他の構成は上述した第1実施形態のものと同様である。従って、ここでは第1実施形態との相違点についてのみ説明する。また、本形態に係る発電システムの概略構成を示す図5にあっては、上記図1に示したものと同一の構成部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
この図5に示すように、本形態に係るガスエンジン1は、脱硫装置として高次脱硫装置53が備えられている。この高次脱硫装置53は炭化水素系燃料中に含まれる硫黄分(一般にスリップ硫黄と呼ばれる)を1ppbレベルまで削減することができるものであって、常温の環境下であっても高性能の脱硫動作を行うことができるものである。その脱硫の原理としては、金属酸化物上の活性金属によってチオフェン等の有機硫黄をも分解して脱硫を行うことができるようにされている。
【0078】
また、上記高次脱硫装置53からの燃料を燃料改質器51に供給するための脱硫燃料供給管73には電動弁73aが設けられており、通常の運転時には、水蒸気供給管71の電動弁71a及び脱硫燃料供給管73の電動弁73aが共に開放されて、燃料改質器51に対してメタンガス及び水蒸気が供給されて吸熱反応に伴うガスエンジン1の運転が行われる。一方、燃料改質器51の触媒が被毒された場合や発電負荷が小さい場合には、水蒸気供給管71の電動弁71aが開放され、脱硫燃料供給管73の電動弁73aが閉鎖される。これにより、燃料改質器51に対して水蒸気のみが供給される状態となる。この水蒸気のみの供給により燃料改質器51の触媒が被毒される原因となっている硫黄分が分解され、これによって触媒を再生することができる。
【0079】
尚、この高次脱硫装置53の上流側に水添脱硫装置を備えさせるようにしてもよい。これによれば、高次脱硫装置53に導入される硫黄量を極端に少なくすることができ、高次脱硫装置53での硫黄除去動作の高効率化と高次脱硫装置53の長寿命化とを図ることができる。
【0080】
更に、本ガスエンジン1の燃料供給系5には、上記構成に加えて、熱交換器57及び純水装置58が備えられている。
【0081】
上記熱交換器57は、燃料供給管76を流れる改質後燃料(改質ガス)と、燃料改質器51に供給されるメタンガス(高次脱硫装置53で脱硫された後のメタンガス)との間で熱交換を行うようになっている。これにより燃料改質器51に供給されるメタンガスを予熱できる構成となっている。また、この熱交換器57は、燃料供給管76を流れる改質後燃料(改質ガス)と、後述する純水装置58から排熱ボイラ52に供給される純水との間でも熱交換が行われるようになっている。これにより排熱ボイラ52に供給される純水を予熱できる構成となっている。このように、本ガスエンジン1の原料であるメタンガス及び純水を改質後燃料によって予熱しておく構成を採用することによって改質後燃料中の熱エネルギを回収でき、排熱回収量の増大を図ることができる。
【0082】
また、上記純水装置58は水供給管58aによって排熱ボイラ52に接続されており、熱交換器57は水戻し管57aによってこの水供給管58aに接続されている。つまり、熱交換器57によって改質後燃料中に含まれる水分が凝縮されて成る水を排熱ボイラ52で生成される水蒸気の原料とすることができるようになっている。このため、改質後燃料中に含まれる水分を廃棄することなく有効に利用することができ、純水供給設備のランニングコストの削減を図ることができる。
【0083】
一方、上記純水装置58は、例えば水道水が供給され、この水道水から純水を生成し、この純水を上記水供給管58aによって排熱ボイラ52に供給するものである。つまり、水道水中に含まれるハロゲンや砒素等の不純物を除去することによって高純度の純水を生成するようになっている。この純水装置58の具体的なものとしては、蒸留式純水装置、カートリッジ式純水装置、イオン交換式純水装置、電気再生式純水装置、電気透析原理を応用した連続イオン交換法(EDI)による装置などが掲げられる。
【0084】
特に、ハロゲンを除去するための手法としては、活性炭濾過法、精密濾過法(MF膜(マイクロフィルタ)などによる)、限外濾過法(UF膜(ウルトラフィルタ)などによる)、逆浸透膜法(RO膜(リバース・オスモシス)などによる)のうち少なくとも一つが選択されている。一方、砒素を除去するための手法としては、凝集沈殿法(供沈法)、イオン交換法、活性アルミナ法、低圧逆浸透膜法、逆浸透膜法(浸透圧とは逆方向に圧力をかける手法)、ADI法のうち少なくとも一つが選択されている。
【0085】
例えば、上記供沈法では、原水(水道水)に酸化剤と凝集剤とが注入され、これをミキサで混合してUDフィルタに通過させる。この際、フィルタの濾過層を原水が通過する際に、砒素を取り込んだ凝集フロックが補足される。この処理水は更に急速で濾過され、残留している砒素や濁質が除去される。
【0086】
活性アルミナ法では、酸化剤と、pH調整のための酸を注入した原水をミキサで混合し、活性アルミナ吸着塔に流入させる。その後、この処理水は浄化池でpH値を中性付近まで上げるための再調整が行われる。更に、濁質、鉄、マンガン等が濾過器によって除去される。
【0087】
ここで純水とは一般にはppm(mg/l)オーダの濃度で不純物を含有している水をいう。また、高性能の純水装置58であれば、超純水を生成することも可能である。この超純水とは一般にはppb(μg/l)オーダの濃度で不純物を含有している水をいう。
【0088】
このようにして排熱ボイラ52に供給される水を純水とすることによって、燃料改質器51に供給される水蒸気中にハロゲンや砒素等の不純物が含まれてしまうことを回避し、これによって上記吸熱反応を効率良く行うことができるようにしている。これにより、燃料改質器51、排熱ボイラ52の高寿命化、純水タンクが不要になることによる低コスト化を図ることができる。
【0089】
更に、本形態に係るガスエンジン1の水素分離装置56は、その水素導出側が水素ポンプ手段としての水素ポンプユニット9を介してタンク55に接続されている。以下、この水素ポンプユニット9について説明する。
【0090】
この水素ポンプユニット9は、一方が水素回収管75によって水素分離装置56の導出側に接続されており、他方が水素供給経路を構成する水素放出管91によってタンク55に接続されている。また、この水素放出管91には開度調整可能な電動弁91aが設けられている。
【0091】
水素ポンプユニット9は、一対の水素吸蔵体92a,92b、(93a,93b)が直列に接続されて成る第1及び第2の水素ポンプ92,(93)と、この水素ポンプ92,(93)に接続された水素貯蔵体94とを備えている。これら水素吸蔵体92a〜93b及び水素貯蔵体94はそれぞれ上述した水素吸蔵物質が内蔵されている。また、これら水素吸蔵体92a〜93b及び水素貯蔵体94には図示しない温冷熱源が備えられており、この温冷熱源によって冷却された際には水素吸蔵動作を行う一方、加熱された際には水素放出動作を行うようになっている。この加熱源としてはエンジン本体2の排熱を利用することも可能である。尚、上記水素貯蔵体94の構成として、具体的には、水素吸蔵合金タンクの他に、圧縮水素タンク、液体水素タンク、メタルハイドライドタンク、ケミカルハイドライドタンク等も採用可能である。
【0092】
このように構成された水素ポンプユニット9では、個々の水素ポンプ92,93において、上流側の水素吸蔵体92a,(93a)が冷却され下流側の水素吸蔵体92b,(93b)が加熱された場合には、この上流側の水素吸蔵体92a,(93a)では水素分離装置56から水素が取り出されて吸蔵されると共に、下流側の水素吸蔵体92b,(93b)では予め吸蔵していた水素がタンク55に向けて放出されることになる(以下、水素吸放動作)。逆に、上流側の水素吸蔵体92a,(93a)が加熱され下流側の水素吸蔵体92b,(93b)が冷却された場合には、この上流側の水素吸蔵体92a,(93a)に吸蔵されていた水素が下流側の水素吸蔵体92b,(93b)に供給されてこの下流側の水素吸蔵体92b,(93b)に吸蔵されることになる(以下、水素吸蔵予備動作)。そして、各水素ポンプ92,93では、一方が水素吸放動作を行い、他方が水素吸蔵予備動作を行う状態が所定時間毎に交互に繰り返される。これにより、水素分離装置56から取り出した水素を連続的にタンク55に向けて放出することができるようになっている。
【0093】
また、負荷遮断時(エンジン本体2への燃料供給が必要ない時)には、水素貯蔵体94が冷却されて、水素分離装置56内の水素を取り出して一時的に貯留する。そして、負荷投入時には、水素貯蔵体94が加熱され、この貯蔵していた水素がタンク55へ放出されるようになっている。これにより、エンジン本体2の運転状態に応じて適切な量の水素ガスを燃料として供給することが可能となり、ガスエンジン1の応答性を良好に得ることができる。
【0094】
尚、タンク55への水素ガス放出量の調整動作としては、上述した各水素吸蔵体92a〜93b及び水素貯蔵体94の加熱冷却の制御と、上記電動弁91aの開度制御によって行われる。この電動弁91aの具体的な開度制御としては、コントローラ8(図示省略)によって電動弁91aの開度制御を行い、これによって燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合(ミキサ55内における水素ガスの割合)を調整している。このように総燃料中の水素混合割合が調整可能であるため、たとえ燃料改質器51の応答性が低下して改質ガスの組成が変動したとしても、改質ガスの組成変動に合わせて電動弁91aの開度を調整することにより水素の供給量を適切に得ることでガスエンジンの運転を安定して行うことが可能となる。具体的には、燃料改質器51の応答性の低下割合が大きくなるほど水素の供給量を増加させていくことにより、ガスエンジンの安定運転を継続して行うことが可能となる。
【0095】
また、この電動弁91aの開度制御を利用することにより、ガスエンジンのノッキング発生を回避することも可能である。つまり、上記水素供給量制御手段85が、ノッキングセンサ82(図5では何れも図示省略)の出力を受けてノッキング強度を測定し、ノッキングの発生が検知または予知される状況であるときには、電動弁91aの開度を小さくするように制御することで、水素の供給量を低下させて総燃料中の水素混合割合を低下させる。これにより、供給燃料のメタン価が大きくなり、ノッキングの発生が回避できる。そして、ノッキング強度が所定値以下まで低下すると、再び、電動弁91aの開度を大きくして通常運転に戻る。
【0096】
また、逆火(バックファイヤー)の発生を検知または予知する逆火センサ(燃焼室内温度センサなど)を備えさせ、その出力に応じて電動弁91aの開度を調整するようにすれば逆火を防止することも可能である。つまり、上記水素供給量制御手段85が、逆火センサの出力を受け、逆火の発生が検知または予知されたときに、電動弁91aの開度を小さくするように制御することで、水素の供給量を低下させる。これにより、燃焼室内での燃焼速度を低くすることができ、逆火を防止することができる。
【0097】
本形態では、上記構成の水素ポンプユニット9を備えているため、水素分離装置56からの水素の取り出しと、タンク55に向けての水素の放出とを同時且つ連続的に行うことができ、ガスエンジン1の実用性の向上を図ることができる。また、この水素ポンプユニット9の駆動原理として温度によって水素の吸蔵と放出とを切り換える構成を採用しているので、エンジンの排熱などを有効に利用することが可能となって水素の放出を行うための特別な動力源を廃することも可能である。
【0098】
尚、本形態では、排気ガス中の有害物質であるNOx、CO、HCをできるだけ少なくする希薄燃焼を実現するために、エンジン回転数・負荷、排気温度、排気の空燃比、総燃料中の水素混合量、水素分離後の改質燃料供給量、排気の濃度、総燃料中の水素成分濃度のうち少なくとも一つをセンサによって検出可能に構成し、その検出値に応じて、燃焼室内での希薄燃焼を可能とするように、燃焼室に向かって供給する水素と水素分離後の改質燃料との混合割合を上記混合比調整手段86によって調整するようになっている。つまり、第1燃料供給管76の電動弁76aの開度と、水素放出管91の電動弁91aの開度とを調整することによって水素と水素分離後の改質燃料との混合割合及びその混合した総燃料の供給量を希薄燃焼を可能とするように調整している。これにより、運転中の吹消を回避しながらも、ガスエンジン1の排気ガス中の有害物質を大幅に削減することができ、排気ガスのクリーン化を図ることが可能となる。
【0099】
−その他の実施形態−
上記実施形態では、炭化水素系燃料としてメタンガスを燃料改質器51で改質することにより発熱量の大きな燃料を得るようにしたガスエンジン1に本発明を適用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、炭化水素系燃料としては、天然ガス、石油系液体燃料、消化ガス、バイオガス、アルコール燃料等の燃料を適用することも可能である。
【0100】
また、ガスエンジンとしては発電用のものに限らず、種々の用途に使用されているガスエンジンに本発明は適用可能である。
【0101】
更に、燃料改質器51での吸熱反応を更に促進させるために、この燃料改質器51の内部で、分離水素の一部、改質燃料(改質後の燃料であって水素以外のもの)の一部または炭化水素系燃料(改質前の燃料)の一部のうち少なくとも一つを燃焼させて、燃料改質器51の内部温度を上昇させる構成を採用することも可能である。この構成を採用すれば、燃料改質器51から水素を抽出することによる吸熱反応の促進効果と相俟って、極めて高い転化率を実現することができる。例えば、この分離水素、改質燃料または炭化水素系燃料の燃焼により燃料改質器51の内部温度を800℃まで上昇させた場合には、図3に示すように、略100%の転化率を得ることができる。
【0102】
また、上記実施形態では、水蒸気と炭化水素系燃料とを吸熱反応させて燃料改質を行うものについて説明したが、本発明は、二酸化炭素と炭化水素系燃料とを吸熱反応させて燃料改質を行うものに適用することも可能である。
【0103】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、炭化水素系燃料を燃料改質器で改質するに際し、生成した水素を順次燃料改質器から分離抽出することにより、燃料改質器内での改質反応を促進するようにしている。このため、比較的低い温度環境下であっても、高い転化率で改質が行われて、熱効率の大幅な上昇を図ることが可能な燃料が得られ、ガスエンジン全体としての熱効率の向上を図ることができる。
【0104】
また、燃料改質器の内部で、分離水素、改質燃料または炭化水素系燃料の一部を燃焼させるようにすれば、改質反応を高い温度環境下で行わせることができ、極めて高い転化率を実現することが可能となる。
【0105】
また、炭化水素系燃料に含まれる硫黄分を水添脱硫によって除去する脱硫装置に対して、上記分離抽出された水素の一部を供給する構成とした場合には、従来の構成において必要であった水素ボンベを廃することができ、ボンベの交換や水素の補充作業が不要になって、メンテナンスコストの削減を図ることができる。
【0106】
更に、水素の供給量を調整することによってエンジンのノッキングを防止するようにした場合には、ノッキングを確実に防止することができ、ガスエンジンの長寿命化を図ることが可能になる。同様に、水素の供給量を調整することによって逆火を防止するようにした場合にも、ガスエンジンの長寿命化を図ることが可能になる。
【0107】
加えて、総燃料中の水素混合割合に応じて燃焼室に向かって供給する燃料と空気との混合割合を調整したり、水蒸気発生手段で発生した水蒸気の燃焼室への供給量を調整した場合には、排気ガスのクリーン化を図るのに最適な希薄燃焼状態や燃焼温度を得ることが可能になり、排気ガスの清浄化に伴いガスエンジンの実用性の向上を図ることができる。また、水蒸気発生手段で発生した水蒸気の燃焼室への供給は、ガスエンジン本体の熱効率向上や、燃焼室から燃料噴射口へのバックファイヤー防止にも効果がある。
【0108】
また、分離抽出された水素の燃焼室へ向かう流量を調整して燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合を調整可能とすることにより、たとえ燃料改質器の応答性が低下して改質ガスの組成が変動したとしても、改質ガスの組成変動に合わせて水素の供給量を適切に得ることでガスエンジンの安定運転を継続して行うことが可能となり、ガスエンジンの信頼性の向上を図ることができる。
【0109】
更に、水素分離手段によって分離抽出された水素を吸蔵する吸蔵動作と、この吸蔵した水素を燃焼室に向けて放出することにより水素供給圧力を昇圧させる放出動作とが可能な水素ポンプ手段を設けた場合には、高転化率を維持しながらガスエンジンの連続運転を良好に行うことが可能になる。
【0110】
また、機関回転数・負荷、排気温度、排気の空燃比、総燃料中の水素混合量、水素分離後の改質燃料供給量、排気の濃度、総燃料中の水素成分濃度のうち少なくとも一つの検出値に応じて水素と水素分離後の改質燃料との混合割合を調整してガスエンジンの希薄燃焼を可能にした場合には、運転中の吹消を回避しながらも、ガスエンジンの排気ガス中の有害物質を大幅に削減することができ、例えばNOxを数ppm以下に抑えることができて排気ガスのクリーン化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るガスエンジンによって発電を行う発電システムの概略構成を示す図である。
【図2】水素混合割合と希薄可燃限界当量比との関係を示す図である。
【図3】排ガス温度とメタン転化率との関係を示す図である。
【図4】第2実施形態に係るガスエンジンによって発電を行う発電システムの概略構成を示す図である。
【図5】第3実施形態に係るガスエンジンによって発電を行う発電システムの概略構成を示す図である。
【図6】従来例における図1相当図である。
【符号の説明】
1 ガスエンジン
51 燃料改質器
52 排熱ボイラ(水蒸気発生手段)
53 脱硫装置
54 水素タンク
56 水素分離装置(水素分離手段)
71B 分岐管(水蒸気供給経路)
74 水素供給管(脱硫用水素供給経路)
77 第2燃料供給管(水素供給経路)
77a 電動弁(調整手段)
82 ノッキングセンサ
85 水素供給量制御手段
86 混合比調整手段
87 水蒸気調整手段
9 水素ポンプユニット(水素ポンプ手段)
91a 電動弁(調整手段)

Claims (12)

  1. 炭化水素系燃料を燃料改質器で改質した後、この改質後の燃料を燃焼室に向けて供給するガスエンジンにおいて、
    上記改質後の燃料から水素を分離抽出する水素分離手段と、
    この水素分離手段によって分離抽出された水素を燃焼室に向けて供給する水素供給経路とを備えていると共に、
    上記燃料改質器の内部で、分離水素の一部、改質燃料の一部または炭化水素系燃料の一部を燃焼させることにより、燃料改質器の内部温度を上昇させる構成となっていることを特徴とするガスエンジン。
  2. 炭化水素系燃料を燃料改質器で改質した後、この改質後の燃料を燃焼室に向けて供給するガスエンジンにおいて、
    上記改質後の燃料から水素を分離抽出する水素分離手段と、
    この水素分離手段によって分離抽出された水素を燃焼室に向けて供給する水素供給経路とを備えていると共に、
    燃料改質器は、炭化水素系燃料と水蒸気とを吸熱反応させることにより、炭化水素系燃料を改質するようになっており、
    上記水蒸気を発生させる水蒸気発生手段と、
    この水蒸気発生手段で発生した水蒸気の一部を燃焼室に向けて供給する水蒸気供給経路と、
    この水蒸気供給経路からの水蒸気の供給量を調整することによって、燃焼室内の燃焼温度を調整する水蒸気調整手段とを備えていることを特徴とするガスエンジン。
  3. 炭化水素系燃料を燃料改質器で改質した後、この改質後の燃料を燃焼室に向けて供給するガスエンジンにおいて、
    上記改質後の燃料から水素を分離抽出する水素分離手段と、
    この水素分離手段によって分離抽出された水素を燃焼室に向けて供給する水素供給経路とを備えていると共に、
    燃料改質器は、炭化水素系燃料と水蒸気とを吸熱反応させることにより、炭化水素系燃料を改質するようになっており、
    総燃料中の水素混合割合に応じて、燃焼室に向かって供給する燃料と空気との混合割合を調整する混合比調整手段と、
    上記水蒸気を発生させる水蒸気発生手段と、
    この水蒸気発生手段で発生した水蒸気の一部を燃焼室に向かって供給する水蒸気供給経路と、
    この水蒸気供給経路からの水蒸気の供給量を調整することによって、燃焼室内の燃焼温度を調整する水蒸気調整手段とを備えていることを特徴とするガスエンジン。
  4. 請求項1、2または3記載のガスエンジンにおいて、
    水素分離手段によって分離抽出された水素を貯蔵するタンクと、
    このタンクから水素供給経路を経て燃焼室に向かって供給される水素の供給量を調整することによって、燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合を調整可能とする調整手段とを備えていることを特徴とするガスエンジン。
  5. 請求項1〜のうち何れか一つに記載のガスエンジンにおいて、
    炭化水素系燃料に含まれる硫黄分を水添脱硫によって除去する脱硫装置と、
    水素分離手段によって分離抽出された水素の一部を脱硫装置に供給する脱硫用水素供給経路とを備えていることを特徴とするガスエンジン。
  6. 請求項1〜のうち何れか一つに記載のガスエンジンにおいて、
    ノッキングの発生を検知または予知するノッキングセンサと、
    このノッキングセンサの出力を受けてノッキング強度を測定し、ノッキング強度が所定値を超えたときに、水素供給経路からの水素の供給量を減少させて、燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合を低下させる水素供給量制御手段とを備えていることを特徴とするガスエンジン。
  7. 請求項1または2記載のガスエンジンにおいて、
    総燃料中の水素混合割合に応じて、燃焼室に向かって供給する燃料と空気との混合割合を調整する混合比調整手段を備えていることを特徴とするガスエンジン。
  8. 請求項1〜のうち何れか一つに記載のガスエンジンにおいて、
    水素供給経路には、水素分離手段によって分離抽出された水素の燃焼室へ向かう流量を調整することによって、燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合を調整可能とする調整手段が設けられていることを特徴とするガスエンジン。
  9. 請求項記載のガスエンジンにおいて、
    水素分離手段によって分離抽出された水素を吸蔵する吸蔵動作と、この吸蔵した水素を燃焼室に向けて放出することにより水素供給圧力を昇圧させる放出動作とが可能な水素ポンプ手段が設けられ、
    調整手段は、この水素ポンプ手段の水素放出側に配設されていることを特徴とするガスエンジン。
  10. 請求項または記載のガスエンジンにおいて、
    ノッキングの発生を検知または予知するノッキングセンサと、
    このノッキングセンサの出力を受けてノッキング強度を測定し、ノッキング強度が所定値を超えたときに、調整手段の調整によって水素供給経路からの水素の供給量を減少させて、燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合を低下させる水素供給量制御手段とを備えていることを特徴とするガスエンジン。
  11. 請求項8、9または10記載のガスエンジンにおいて、
    逆火の発生を検知または予知する逆火センサと、
    この逆火センサの出力を受け、逆火の発生が検知または予知されたときに、調整手段の調整によって水素供給経路からの水素の供給量を減少させて、燃焼室に供給される総燃料中の水素混合割合を低下させる水素供給量制御手段とを備えていることを特徴とするガスエンジン。
  12. 請求項1または2記載のガスエンジンにおいて、
    機関回転数・負荷、排気温度、排気の空燃比、総燃料中の水素混合量、水素分離後の改質燃料供給量、排気の濃度、総燃料中の水素成分濃度のうち少なくとも一つの検出値を得て、その検出値に応じて、燃焼室内での希薄燃焼を可能とするように、燃焼室に向かって供給する水素と水素分離後の改質燃料との混合割合を調整する混合比調整手段を備えていることを特徴とするガスエンジン。
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