JP3615995B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物、さらに詳細には半導体デバイス、フラットパネルディスプレー(FPD)等の製造の際に好適に用いられる感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIなどの半導体集積回路や、FPDの表示面の製造、サーマルヘッドなどの回路基板の製造等を初めとする幅広い分野において、微細素子の形成あるいは微細加工を行うために、従来からフォトリソグラフィー技術が用いられている。フォトリソグラフィー技術においては、レジストパターンを形成するためにポジ型またはネガ型感光性樹脂組成物が用いられる。これら感光性樹脂組成物の内、ポジ型感光性樹脂組成物としては、アルカリ可溶性樹脂と感光剤としてのキノンジアジド化合物を含有する組成物が広く用いられている。この組成物は、例えば「ノボラック樹脂/キノンジアジド化合物」として、特公昭54−23570号公報(米国特許第3,666,473号明細書)、特公昭56−30850号公報(米国特許4,115,128号明細書)、特開昭55−73045号公報、特開昭61−205933号公報等多くの文献に種々の組成のものが記載されている。これらノボラック樹脂とキノンジアジド化合物を含む組成物は、これまでノボラック樹脂および感光剤の両面から研究開発が行われてきた。ノボラック樹脂の観点からは、新しい樹脂の開発は勿論であるが、従来知られた樹脂の物性などを改善することにより優れた特性を有する感光性樹脂組成物を得ることもなされている。例えば、特開昭60−140235号公報、特開平1−105243号公報には、ノボラック樹脂にある特有の分子量分布をもたせることにより、また特開昭60−97347号公報、特開昭60−189739号公報、特許第2590342号公報には、低分子量成分を分別除去したノボラック樹脂を用いることにより、優れた特性を有する感光性樹脂組成物を提供する技術が開示されている。また、ネガ形感光性樹脂組成物では、ノボラック樹脂と架橋剤としてのアルコキシメチル化メラミン、酸発生剤としてハロゲン化トリアジンを組み合せたもの(特開平5−303196号公報)などが知られている。
【0003】
しかしながら、半導体素子の集積回路の集積度は、年々高まっており、半導体素子等の製造においては、サブミクロン以下の線幅のパターン加工が要求され、前記従来技術では十分に対応できなくなってきている。また、液晶ディスプレー(LCD)などの表示面の製造においては、マザーガラスの大型化とともに、高精細化も求められている。このような微細な加工が要求される用途においては、解像力はもとより、良好なパターンの再現性も求められ、さらには製造コストの面から、製造時のスループット(単位時間当たりの収量)の向上、感光性樹脂組成物の低コスト化が求められている。このため感光性樹脂組成物の高感度化および低コスト化は重要な課題となっている。
【0004】
一般に、感光性樹脂組成物の高感度化のためには、低分子量の樹脂を用いたり、感光剤の添加量を減らしたりすることが行われている。しかし、このような方法によると、レジストの耐熱性が低下して、半導体デバイス等の製造工程において耐エッチング性が低下したり、現像性が悪化し、スカム(現像残り)が生じたり、残膜率が低下するなどの問題が生じる。これまでに、特定のフェノール化合物から誘導されたノボラック樹脂混合物の分子量範囲を特定した混合樹脂を用いる技術(特開平7−271024号公報)、特定のフェノール化合物から誘導されたノボラック樹脂で、分子量範囲、分散度が特定され、さらにフェノール性水酸基を有するポリヒドロキシ化合物を含有する技術(特開平8−184963号公報)、トリヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとトリヒドロキシベンゾフェノンをある一定の割合で混合した感光成分を用いる技術(特開平8−82926号公報)などが提案されている。しかしながら前記全ての要件が十分に満たされたものはなく、このため前記要件を同時に満足させうる感光性樹脂組成物、すなわち高感度で、良好な現像性を有し、残膜性に優れた感光性樹脂組成物が望まれている。また、感光性樹脂組成物の低コスト化のため、単価の高い感光剤の添加量を減らすことも望まれている。通常ノボラック樹脂を用いるキノンジアジド系感光性樹脂組成物においては、キノンジアジド系感光剤をノボラック樹脂100重量部に対し25重量部程度用いることが必要とされ、感光剤の添加量を減らすと上記したような問題が発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような状況に鑑み、本発明は、感光性樹脂組成物に含有される感光剤を従来より少量にしてもなお、高残膜性および高感度化を両立させることが実用上可能で、現像性、塗布性にも優れ、かつ良好なパターンを形成することができる感光性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究、検討を行った結果、アルカリ可溶性樹脂およびキノンジアジド基を有する感光剤を含有する感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂として、該樹脂の重アセトン溶液の1H−NMRスペクトルの7.2〜5.6ppmの範囲のピーク積分値をA、1.3〜0.95ppmの範囲のピーク積分値をBとした場合に、B/Aの値Xが0.01≦X≦0.13であるものを用いることにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明に至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は、アルカリ可溶性樹脂およびキノンジアジド基を有する感光剤を含有する感光性樹脂組成物において、前記アルカリ可溶性樹脂は、(イ)ノボラック樹脂と、(ロ)ポリメタクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの少なくとも一種およびアクリル酸エステルの少なくとも一種から得られる共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種の重合体(但し、有機酸基、ヒドロキシル基、窒素原子上に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基または−CONHSO 2 −で示される活性イミノ基を有する重合体を除く)、との混合物からなり、かつ前記アルカリ可溶性樹脂の重アセトン溶液の1H−NMRスペクトルの7.2〜5.6ppmの範囲のピーク積分値をA、1.3〜0.95ppmの範囲のピーク積分値をBとした場合に、B/Aの値Xが0.01≦X≦0.13であることを特徴とする感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
ここで、B/Aの値Xが0.01より小さい場合には、感光性樹脂組成物の高感度化を図ることができず、また残膜性を向上させることもできない。一方、B/Aの値Xが0.13より大きい場合には、残膜性は良くなるものの溶解性が極端に悪くなるため、高感度化を達成することができない。
【0009】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明においては、アルカリ可溶性樹脂は上記特性を有するものであればいずれのものでもよい。このような特性を有するアルカリ可溶性樹脂は、例えばノボラック樹脂とメタクリル酸系ポリマーの混合など、二種以上のポリマーの混合により容易に得ることができる。このような樹脂混合物として、次の(1)〜(4)の樹脂混合物を好ましいものとして挙げることができる。
(1)ノボラック樹脂と、ポリメタクリル酸エステルの少なくとも一種との混合物。
(2)ノボラック樹脂と、ポリメタクリル酸エステルの少なくとも一種と、ポリアクリル酸エステルの少なくとも一種との混合物。
(3)ノボラック樹脂と、メタクリル酸エステルの少なくとも一種およびアクリル酸エステルの少なくとも一種から得られる共重合体との混合物。
(4)ノボラック樹脂と、ポリメタクリル酸エステルと、カルボキシル基あるいはカルボン酸無水物基を有する有機酸単量体の重合体との混合物。
【0010】
これらノボラック樹脂と他の樹脂との樹脂混合物において、樹脂混合物のXを0.01≦X≦0.13とするために必要とされる他の樹脂の量は、他の樹脂としてどのような樹脂を用いるかにより異なるため、一般的な範囲を示すことはできないが、通常ノボラック樹脂100重量部に対し他の樹脂を0.1〜10.0重量部とすることによりXの範囲を上記範囲とすることができることが多い。上記樹脂は、互いに混練されるか、溶剤に溶解されるなどして予め均一混合物とされ、本発明のアルカリ可溶性樹脂成分として用いることが望ましい。
【0011】
上記アルカリ可溶性樹脂の構成成分として好ましく用いられるノボラック樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド基を有する感光剤とを含有する従来公知の感光性樹脂組成物において用いられるノボラック樹脂であれば何れのものでもよく、特に限定されるものではない。本発明において好ましく用いることができるノボラック樹脂は、種々のフェノール類の単独あるいはそれらの複数種の混合物をホルムアルデヒドなどのアルデヒド類で重縮合することによって得られる。
【0012】
該ノボラック樹脂を構成するフェノール類としては、例えばフェノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、メチレンビスフェノール、メチレンビスp−クレゾール、レゾルシン、カテコール、2−メチルレゾルシン、4−メチルレゾルシン、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、2,3−ジクロロフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、p−ブトキシフェノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−ジエチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトールなどが挙げられ、これらは単独でまたは複数の混合物として用いることができる。
【0013】
また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒドの他、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロロアセトアルデヒドなどが挙げられ、これらは単独でまたは複数の混合物として用いることができる。
【0014】
本発明の感光性樹脂組成物において用いられるノボラック樹脂の好ましい重量平均分子量は、ポリスチレン換算で2,000〜50,000、より好ましくは3,000〜40,000、さらに好ましくは4,000〜30,000である。
【0015】
一方、上記(1)〜(4)の樹脂混合物においてノボラック樹脂と組み合わせて用いられる、(a)ポリメタクリル酸エステル、(b)ポリアクリル酸エステル、(c)メタクリル酸エステルの少なくとも一種とアクリル酸エステルの少なくとも一種から得られる共重合体、および(d)カルボキシル基あるいはカルボン酸無水物基を有する有機酸単量体の重合体としては、各々次に示すようなものが好ましいものとして挙げられる。
【0016】
(a)ポリメタクリル酸エステル
ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリn−プロピルメタクリレート、ポリn−ブチルメタクリレート、ポリn−ヘキシルメタクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリt−ブチルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリ1−フェニルエチルメタクリレート、ポリ2−フェニルエチルメタクリレート、ポリフルフリルメタクリレート、ポリジフェニルメチルメタクリレート、ポリペンタクロルフェニルメタクリレート、ポリナフチルメタクリレート、あるいはこれらの共重合体など
【0017】
(b)ポリアクリル酸エステル
ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリn−プロピルアクリレート、ポリn−ブチルアクリレート、ポリn−ヘキシルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、ポリt−ブチルアクリレート、ポリベンジルアクリレート、ポリ2−クロルエチルアクリレート、ポリメチル−α−クロルアクリレート、ポリフェニルα−ブロモアクリレート、あるいはこれらの共重合体など
【0018】
(c)メタクリル酸エステルの少なくとも一種およびアクリル酸エステルの少なくとも一種から得られる共重合体
上記ポリメタクリル酸エステルを構成するメタクリル酸エステルの少なくとも一種、および、上記ポリアクリル酸エステルを構成するアクリル酸エステルの少なくとも一種から得られる共重合体
【0019】
(d)カルボキシル基あるいはカルボン酸無水物基を有する有機酸単量体の重合体
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリイタコン酸、ポリ無水マレイン酸、ポリ−2−アクリロイルハイドロジェンフタレート、ポリ−2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフタレート、あるいはこれらの共重合体など
【0020】
これら(a)〜(d)として例示された重合体および共重合体は、各々単独で用いられてもよいし、二種以上の併用であってもよい。
【0021】
本発明の感光性樹脂組成物の構成成分であるキノンジアジド基を有する感光剤としては、従来公知のキノンジアジド基を有する感光剤の何れのものをも用いることができるが、例えば1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライドや1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライドなどのナフトキノンジアジドスルホン酸クロライドやベンゾキノンジアジドスルホン酸クロライドのようなキノンジアジドスルホン酸ハライド類と、この酸ハライドと縮合反応可能な官能基を有する低分子化合物または高分子化合物とを反応させることによって得られるものが好ましい。ここで酸ハライドと縮合可能な官能基としては水酸基、アミノ基等があげられるが、特に水酸基が好適である。水酸基を含む低分子化合物としては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン等があげられ、水酸基を含む高分子化合物としては、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン等があげられる。これらキノンジアジド基を有する感光剤は、本発明においては、感光性樹脂組成物中の樹脂成分100重量部に対し、1〜25重量部、好ましくは5〜25重量部用いられる。
【0022】
本発明のアルカリ可溶性樹脂、感光剤を溶解させる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができる。これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0023】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じ染料、接着助剤および界面活性剤等を配合することができる。染料の例としては、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等が、接着助剤の例としては、アルキルイミダゾリン、酪酸、アルキル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルメチルエーテル、t−ブチルノボラック、エポキシシラン、エポキシポリマー、シラン等が、界面活性剤の例としては、非イオン系界面活性剤、例えばポリグリコール類とその誘導体、すなわちポリプロピレングリコール、またはポリオキシエチレンラウリルエーテル、フッ素含有界面活性剤、例えばフロラード(商品名、住友3M社製)、メガファック(商品名、大日本インキ化学工業社製)、スルフロン(商品名、旭ガラス社製)、または有機シロキサン界面活性剤、例えばKP341(商品名、信越化学工業社製)がある。
【0024】
なお、本発明において、アルカリ可溶性樹脂の重アセトン溶液の1H−NMRスペクトルの7.2〜5.6ppmの範囲のピーク積分値A、1.3〜0.95ppmの範囲のピーク積分値Bは次のようにして測定され、その値を用いてX=B/Aは算出される。
すなわち、まず、アルカリ可溶性樹脂をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、この溶液を回転塗布により基板上に塗布して薄膜を形成する。この薄膜を重アセトンに溶解することによりNMRスペクトル測定試料を調製し、この試料を用いて1H−NMRスペクトル測定を行い、得られたチャートから、7.2〜5.6ppmの範囲のピーク積分値を算出してAとし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの溶剤ピークを除く1.3〜0.95ppmの範囲のピーク積分値を算出してBとし、B/Aの値Xを算出する。
【0025】
【実施例】
以下に本発明をその実施例をもって更に具体的に説明するが、本発明の態様はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
実施例1(樹脂のNMR測定、感光性樹脂組成物の調整およびその評価)
(樹脂のNMR測定)
重量平均分子量がポリスチレン換算で10,000のノボラック樹脂と重量平均分子量がポリスチレン換算で13,000のポリn−ブチルメタクリレートを100:3の混合比(重量)で混合したアルカリ可溶性樹脂の重アセトン溶液の1H−NMRスペクトル測定を上記測定法に従って行った。得られたチャートから、7.2〜5.6ppmの範囲のピーク積分値Aと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの溶剤ピークを除く1.3〜0.95ppmの範囲のピーク積分値Bを算出し、B/Aの値Xを求めたところ、Xは0.042であった。
なお、測定に際し、アルカリ可溶性樹脂薄膜にかえ、以下で調製する感光性樹脂組成物を用いて得られたレジストフィルムから測定用試料を作成し、NMRスペクトル測定を行ったところ、アルカリ可溶性樹脂によるX値の測定結果と同じ結果が得られた。
【0027】
(感光性樹脂組成物の調整)
上記の樹脂混合物からなるアルカリ可溶性樹脂100重量部、および2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルフォニルクロライドのエステル化物18重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、回転塗布の際にレジスト膜上にできる放射線状のしわ、いわゆるストリエーションを防止するために、更にフッ素系界面活性剤、フロラード−472(住友3M社製)を300ppm添加して攪拌した後、0.2μmのフィルターでろ過して、本発明の感光性樹脂組成物を調製した。
【0028】
(感光性樹脂組成物の評価)
上記で調製された感光性樹脂組成物を4インチシリコンウェハー上に回転塗布し、100℃、90秒間ホットプレートにてベーク後、1.5μm厚のレジスト膜を得た。このレジスト膜にニコン社製g線ステッパー(FX−604F)にてラインとスペース幅が1:1となった種々の線幅がそろったテストパターンを露光し、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で23℃、60秒間現像した。そして、5μmのライン・アンド・スペースが1:1に解像されている露光エネルギー量を感度として観察を行った。また、この時現像前の膜厚(L1)および現像後の膜厚(L2)を各々測定し、これにより残膜率[(L2/L1)×100]を算出した。
さらに、上記感光性樹脂組成物をクロム膜付ガラス基板(360mm×465mm)上に塗布し、100℃、90秒間ホットプレートにてベーク後、1.5μm厚のレジスト膜を得、次いで、面内の600点の膜厚測定を行い、面内最大膜厚差(r)および標準偏差(σ)を測定して、塗布性(膜厚均一性)を確認した。
結果を表1に示す。
【0029】
実施例2
ポリn−ブチルメタクリレートのかわりに重量平均分子量がポリスチレン換算で13,000のポリ(メチルメタクリレート−co−n−ブチルメタクリレート)[70:30]を用いること以外は実施例1と同様に行い、表1の結果を得た。
【0030】
参考例1
ポリn−ブチルメタクリレートのかわりに重量平均分子量がポリスチレン換算で13,000のポリ(メチルメタクリレート−co−n−ブチルメタクリレート−co−アクリル酸)[70:29:1]を用いること以外は実施例1と同様に行い、表1の結果を得た。
【0031】
実施例3
ポリn−ブチルメタクリレートのかわりに重量平均分子量がポリスチレン換算で13,000のポリメチルメタクリレートとポリn−ブチルメタクリレートの混合物(70:30)を用いること以外は実施例1と同様に行い、表1の結果を得た。
【0032】
比較例1(樹脂のNMR測定,感光性樹脂組成物の調整およびその評価)
重量平均分子量がポリスチレン換算で10,000のノボラック樹脂の重アセトン溶液の1H−NMRスペクトル測定を行ったところ、7.2〜5.6ppmの範囲のピーク積分値Aと1.3〜0.95ppmの範囲のピーク積分値Bの比B/Aの値Xは0であった。
上記の樹脂を100重量部とし、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルフォニルクロライドのエステル化物23重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後は、実施例1と同様に行い、感度、残膜率、塗布性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0033】
比較例2
2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルフォニルクロライドのエステル化物を18重量部にすること以外は比較例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示される実施例1〜3および比較例1〜2の結果から、本発明の感光性樹脂組成物にあっては、キノンジアジド感光剤の添加量が従来の添加量(比較例1)に比べ少量でよく、しかもこの少量の添加によって従来の感光性樹脂組成物に比べ高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる上、残膜率、塗布性においても従来の感光性樹脂組成物に比べ改善された感光性樹脂組成物が得られることが分かる。
【0036】
実施例4
実施例1で用いたノボラック樹脂とポリn−ブチルメタクリレートの混合比を重量比で100:10とし、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルフォニルクロライドのエステル化物の量を12重量部とすること以外は実施例1と同様に行い、感度、残膜率の評価を行った。結果を表2に示す。
【0037】
実施例5
ポリn−ブチルメタクリレートのかわりに重量平均分子量がポリスチレン換算で13,000のポリ(メチルメタクリレート−co−n−ブチルメタクリレート)[70:30]を用いること以外は実施例4と同様に行い、表2の結果を得た。
【0038】
参考例2
ポリn−ブチルメタクリレートのかわりに重量平均分子量がポリスチレン換算で 13,000のポリ(メチルメタクリレート−co−n−ブチルメタクリレート−co−アクリル酸)[70:29:1]を用いること以外は実施例4と同様に行い、表2の結果を得た。
【0039】
実施例6
ポリn−ブチルメタクリレートのかわりに重量平均分子量がポリスチレン換算で13,000のポリメチルメタクリレートとポリn−ブチルメタクリレートの混合物(70:30)を用いること以外は実施例4と同様に行い、表2の結果を得た。
【0040】
比較例3
ポリn−ブチルメタクリレートを用いないこと以外は実施例4と同様に行い、表2の結果を得た。
【0041】
【表2】
【0042】
表2から、本発明の感光性樹脂組成物においては、従来ではフォトレジスト材料として機能しない少量の感光剤量でも、残膜率が100%を示すことが分かる。したがって、本発明では、幅広く組成を構成可能とでき、また大幅なコストダウンを可能にすることができることが分かる。
【0043】
実施例7
実施例1で用いたノボラック樹脂とポリn−ブチルメタクリレートの混合比を重量比で100:0.25とし、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルフォニルクロライドのエステル化物を23重量部とすること以外は実施例4と同様に行い、表3の結果を得た。
【0044】
実施例8
ポリn−ブチルメタクリレートのかわりに、重量平均分子量がポリスチレン換算で13,000のポリ(メチルメタクリレート−co−n−ブチルメタクリレート)[70:30]を用いること以外は実施例7と同様に行い、表3の結果を得た。
【0045】
参考例3
ポリn−ブチルメタクリレートのかわりに、重量平均分子量がポリスチレン換算で13,000のポリ(メチルメタクリレート−co−n−ブチルメタクリレート−co−アクリル酸)[70:29:1]を用いること以外は実施例7と同様に行い、表3の結果を得た。
【0046】
【表3】
【0047】
表3から、混合樹脂の少量の添加によっても、感度および残膜率の向上が可能であり、また感度向上の可能性もあることが分かる。
【0048】
なお、図1および図2に、ノボラック樹脂:アクリルポリマー=100:10の混合樹脂フィルム試料の1H−NMRスペクトル測定で得られたチャートと、この混合樹脂をアルカリ可溶性樹脂として用いて作成されたレジストフィルム試料の1H−NMRスペクトル測定で得られたチャートを示す。これらのチャートに示されるように、混合樹脂フィルム試料から得られるチャートとレジストフィルム試料から得られるチャートでは、試料中に含有される成分の違いに基づく若干のスペクトル差が見られるものの、7.2〜5.6ppmの範囲のピーク積分値Aとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの溶剤ピークを除いた1.3〜0.95ppmの範囲のピーク積分値Bとの比であるB/Aの値Xには両者ほとんど差はない。このことは、図示されたチャートを得るために用いられている樹脂組成に限られるものでなく、上記各実施例の樹脂組成についても同様である。実施例1にはこのことについて具体的に記載したが、それ以外の実施例の樹脂組成についても、各々の実施例の樹脂フィルム試料とレジストフィルム試料により得られたXの値は実質的に同じ値を示す。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、高残膜性および高感度化を同時に満たす感光性樹脂組成物を得ることができる上、さらに本発明の感光性樹脂組成物は、塗布性も改善され、また従来よりも組成構成の幅を広く選択することができ、特に感光剤量の低減により、大幅なコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノボラック樹脂:アクリルポリマー=100:10の混合樹脂フィルム試料の1H−NMRスペクトル測定で得られたチャート。
【図2】アルカリ可溶性樹脂として図1の混合樹脂を用いて作成されたレジストフィルム試料の1H−NMRスペクトル測定で得られたチャート。
Claims (1)
- アルカリ可溶性樹脂およびキノンジアジド基を有する感光剤を含有する感光性樹脂組成物において、前記アルカリ可溶性樹脂は、(イ)ノボラック樹脂と、(ロ)ポリメタクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの少なくとも一種およびアクリル酸エステルの少なくとも一種から得られる共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種の重合体(但し、有機酸基、ヒドロキシル基、窒素原子上に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基または−CONHSO 2 −で示される活性イミノ基を有する重合体を除く)、との混合物からなり、かつ前記アルカリ可溶性樹脂の重アセトン溶液の1H−NMRスペクトルの7.2〜5.6ppmの範囲のピーク積分値をA、1.3〜0.95ppmの範囲のピーク積分値をBとした場合に、B/Aの値Xが0.01≦X≦0.13であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
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