JP3615599B2 - 自動車用フロアサイレンサー - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は自動車のフロアパネル上にフロアカーペットを敷設する際に間に介在させるフロアサイレンサーに関し、特に広い周波数域にわたってすぐれた防音性能を発揮する構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車のフロアパネル上には装飾、防音、その他の目的によってフロアカーペットを敷設している。この種のフロアカーペットの一般的な構成はタフティング、ニードリング等により繊維を立毛組織した基布の裏面に熱可塑性樹脂の裏打ち材を付与して、成形性を与えたものであった。このカーペットは加熱後おおむねフロアパネルに沿った形状に絞り成形される。
成形したカーペットの敷設に際しては、フロアパネルとカーペットの間にサイレンサーを介在させて防音性能を向上させる。またこのサイレンサーはフロアパネルの凹凸がカーペットの表面に現れるのを防止し、乗員の足の接触感を和らげる作用もする。このためサイレンサーの素材は防音性(吸音性)にすぐれるものの必要があり、軽量で一定の耐荷重性のあるものが好ましい。この条件を満たすものとして、従来、綿フェルト、合繊フェルト等の繊維質サイレンサーが多く用いられてきた。特に従来は、比較的低い周波数域(〜300Hz)の音、この周波数域の音は自動車のサスペンションの共振によりフロアパネルの振動で発生するいわゆるロードノイズ、を低減させるサイレンサーとしての適性化がはかられてきた。これはフロアパネルの振動がサイレンサーを介してフロアカーペットの振動として伝えられる(固体伝播)の減衰をおこなうことであり、具体的には繊維質サイレンサー(フェルト)の弾性率を弱める低バネ化をおこなうために、より密度の低い(空隙の多い)フェルトを用いることがおこなわれてきた。
ところで、昨今、自動車内の静粛化技術が進歩し、先述のようにロードノイズの防音も進んだために、従来は防音の対象として重視されていなかった、より高い周波数域(300〜2000Hz)の音に対して、新たに防音性向上の要求が高まってきた。この領域の音は、主にエンジンノイズであるが、固体伝播よりもむしろ空気伝播で自動車内に伝わるために、従来の固体伝播の低減を主目的としたフェルトでは、十分な防音性が確保できない。可能性のある一つの方法は、フェルトの目付量(板厚)を増すことが考えられるが、コストアップ、重量アップにつながり内装材として好ましくない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題にかんがみてなされたものであり、低い周波数域の音(ロードノイズ)から高い周波数域の音(エンジンノイズ)までの防音に好適な自動車用フロアサイレンサーを提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
課題を解決する本発明の手段は、自動車のフロアパネル上にフロアカーペットを敷設する際にフロアパネルとフロアカーペットの間に介在させる繊維質のフロアサイレンサーの構造として、密度が0.03g/cm3 以下で主に直径10μm以上の繊維で構成された第1のフェルト層と、第1のフェルト層の少なくとも1外表面をおおうメルトブローン製法により得られる主に直径2μm以下の繊維で構成された第2のフェルト層からなる自動車用フロアサイレンサーによる。
【0005】
【作用】
本発明のフロアサイレンサーでは、まず低周波数の固体伝播音に対しては、第1のフェルト層によって振動を減衰させる作用をなす。第1のフェルト層は密度を0.03g/cm3 以下に空隙を多く形づくられているために弾性率が低く、フロアパネル側からの振動の入力がカーペット側に伝わる前に、振動を減衰する作用にすぐれる。また構成繊維の直径が比較的に太いためにフェルトに耐荷重性がある(コシがある)ので、サイレンサー全体の形状を維持する作用もなす。
一方、第2のフェルト層は、高周波数の空気振動を吸収する作用をなす。第2のフェルト層は、繊維径が2μm以下のきわめて細い繊維のメルトブローン製法によって形づくられた不織布であるために、繊維間に非常に細かい多数の空隙が形成され、侵入する空気の高周波数の振動を空隙内に取り込んで減衰させる作用にすぐれる。
第2のフェルト層が第1のフェルト層の少なくとも1外表面をおおっていることにより、フロアパネル側からの振動や音波は車室内に侵入する前に必ず第1のフェルト層のと第2のフェルト層の両方を通過することになるので、両層の作用が付加され、おぎないあって、広範な周波数域にわたる防音性が確保される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1には、本発明のフロアサイレンサーの一敷設態様を示している。フロアサイレンサー10はフロアカーペット20をフロアパネル30上に敷設する際に両者の間に介在させるものであり、第1のフェルト層11と第2のフェルト層12によって構成され、第1のフェルト層の少なくとも1表面は第2のフェルト層によって覆われている。
(第1のフェルト層)
密度が0.03g/cm3 以下のフェルトに形成するために最も好ましいのは、フェルトを構成する繊維塊中に低融点の熱可塑性樹脂繊維を均一に混合分散させた上で、この低融点繊維繊維の融点よりも高い温度の熱処理をほどこすことによって、低融点繊維を溶融させ繊維間を結合するバインダーとして用いるものである。好ましい繊維の組合せとしては、たとえば、高融点繊維がノーマルなポリエステル繊維(融点250℃)、低融点繊維が変成ポリエステル繊維(融点110〜130℃)の組合せがある。また一定の繊維径の範囲内にある反毛繊維とポリエステル繊維の混繊フェルトに熱硬化性バインダーを散布したフェルト等も好ましい。第1のフェルト層の繊維の直径は10μm以上あることが好ましく、特に15〜20μmが適する。
(第2のフェルト層)
第2のフェルト層は、メルトブローン製法により得られる直径2μm以下の繊維で構成されるものである。メルトブローン製法は、溶融状態に押し出された熱可塑性樹脂に高速の空気を噴射して極細繊維としてキャリア状に集積しフェルトを形成するものである。さらに米国特許第4118531号等に示されるように、クリンプした嵩高繊維を混入して物性等を改良する例もある。
(カーペット、好ましい敷設態様)
カーペットは自動車フロア用としても公知の各種タフトカーペット、ニードルパンチカーペットが使用できるが、裏面に熱可塑性樹脂の裏打ち21をほどこすことによって、加熱成形性を付与してあるものが好ましい。
本発明のフロアサイレンサーは図1のように自動車のフロアカーペット裏面、フロアパネルとの間に配されるものであるが、好ましくはカーペットの裏面に貼着一体化されるのが好ましい。このためには、カーペットの成形時にカーペットが加熱されることによって裏打ちが軟化するのを利用して第1ないし第2のフェルト層の毛羽を裏打ちに入り込ませ裏打ちが固化することによって、カーペットの成形を利用して同時にフェルト層を貼着するのが好ましい。
また、第2のフェルト層をもって第1のフェルト層の外表面をおおい被覆するには、両フェルト層の界面を加熱して、それぞれの層に含まれるバインダー等を活性化させ、あるいは一部繊維を溶融させるなどして融着するのが好ましい。また接着剤によっての貼着も可能である。
【0007】
【実施例】
(実施例1)
第1のフェルト層は、反毛繊維(織物類をほぐして得られる綿やエステルが主体、繊維径2〜20μm)と、ポリエステル短繊維(4〜8デニール(直径20〜28μm)、長さ38〜64mm)と熱硬化性バインダー(フェノールホルムアルデヒド重縮合物および硬化剤からなり、硬化温度180〜190℃)を重量比で4:3:2に混合し、加熱処理をへて密度0.03g/cm3 に形成したフェルト。厚さ15.0mm。
第2のフェルト層は、メルトブローン法によって作られた繊維径1〜4μmのマイクロファイバーに繊維径20〜30μmのステープルファイバーを混合してなる不織布状フェルト、3M社製商品名シンサレート、密度0.03g/cm3 を用いる。厚さ5.0mm。
この実施例においては、第2のフェルト層が第1のフェルト層の横端面および下表面をおおっている。
(実施例2)
第1のフェルト層は、ノーマルのポリエステル繊維(4〜8デニール(直径20〜28μm)、長さ38〜64mm、融点265℃)と低融点繊維(芯鞘構造をとり、芯部はノーマルのポリエステル繊維、鞘部は変成ポリエステル繊維(融点110〜130℃)からなる、4デニール(直径20μm)、長さ51mm)を重量比で7:3に混合し、加熱処理をへて密度0.03g/cm3 に形成したフェルト。厚さ15.0mm。第2のフェルト層は、実施例1に同じフェルト、厚さ5.0mm。
この実施例においては、第2のフェルト層は、第1のフェルト層の下表面をおおっている。
(比較例1)
実施例1の第1のフェルト層と同じフェルトを厚さ20.0mm、1層に用いた。
(比較例2)
実施例2の第1のフェルト層と同じフェルトを厚さ20.0mm、1層に用いた。
(比較例3)
比較例3として実施例で用いたのに同じメルトブローン製法による不織布で、厚さ20mm、1層のフェルトを作成したが、フェルトにコシがなくて自己形状を維持できないため、物性の評価対象にならなかった。
(評価方法)
低周波数域(〜500Hz)に対する遮音性の評価については、パネル加振法により、1辺が500×400mm、厚さが1.6mmの鋼板パネルをフレームで支持し、その上に評価対象のフロアサイレンサーを載置し、さらにこのフロアサイレンサー上に目付量が3.7kg/m2 の塩化ビニル樹脂シートを配して、鋼板パネルを各周波数で振動させる。この際のフレームの加速度X2 および塩化ビニル樹脂シートの表面中央部での加速度X0 を測定し、両者の比X2 /X0 によって振動の減衰度として評価した。結果のグラフを図2に示す。
高周波数域(300〜5000Hz)に対する吸音性の評価については、JISA1405に規定の垂直入射吸音率の測定(サイレンサーの裏面側から入射)をおこない評価した。結果のグラフを図3に示す。
(評価結果)
評価結果について表1にまとめた。表1より実施例1、実施例2において、振動減衰、吸音性ともに十分な性能が得られたのに対して、比較例1、比較例2ではメルトブローン不織布がないために、吸音性の特性が不十分であった。
【表1】
【発明の効果】
本発明によれば、低周波数から高周波数にわたる騒音の自動車内への騒音の侵入を可及的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフロアサイレンサー敷設状態
【図2】振動遮断性(低周波数)の評価結果を示す
【図3】吸音性(高周波数)の評価結果を示す。
【符号の説明】
10・・・フロアサイレンサー
11・・・第1のフェルト層
12・・・第2のフェルト層
20・・・フロアカーペット
21・・・裏打ち
30・・・フロアパネル
Claims (1)
- 自動車のフロアパネル上にフロアカーペットを敷設する際にフロアパネルとフロアカーペットの間に介在させる繊維質のフロアサイレンサーの構造として、密度が0.03g/cm3 以下で主に直径10μm以上の繊維で構成された第1のフェルト層と、第1のフェルト層の少なくとも1外表面をおおうメルトブローン製法により得られる主に直径2μm以下の繊維で構成された第2のフェルト層からなることを特徴とする自動車用フロアサイレンサー。
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JP27467795A JP3615599B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | 自動車用フロアサイレンサー |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
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JPH0995169A JPH0995169A (ja) | 1997-04-08 |
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Family Applications (1)
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JP27467795A Expired - Fee Related JP3615599B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | 自動車用フロアサイレンサー |
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Families Citing this family (2)
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-
1995
- 1995-09-29 JP JP27467795A patent/JP3615599B2/ja not_active Expired - Fee Related
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