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JP3606782B2 - 導電性塗料 - Google Patents

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JP3606782B2 JP2000017834A JP2000017834A JP3606782B2 JP 3606782 B2 JP3606782 B2 JP 3606782B2 JP 2000017834 A JP2000017834 A JP 2000017834A JP 2000017834 A JP2000017834 A JP 2000017834A JP 3606782 B2 JP3606782 B2 JP 3606782B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気抵抗が低く、長期間の使用に耐える導電性塗料に関するものであり、特に静電塗装、静電気防止や電磁波シールドを目的に、または抵抗体、回路やコピー機ロール用の導電性インク等に好適に使用される導電性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、電子機器などの電磁波シールド性、制電性、静電気防止性が要求される分野において、導電性の塗料が使用されるようになっている。これらの塗料においては、フィラーとして銀、アルミニウム、銅などの金属粉、カーボン粉などが使用されている。また、静電塗装用の下地塗料にも導電性の良好な塗料が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、銀は高価で高比重であり、また他の金属粉は酸化、腐食等により導電性が低下するという欠点がある。一方、カーボン粉は安価で金属粉のような問題は少ないが、導電性が不十分であるなどの欠点があった。これはカーボン粉自身の導電性が金属粉に比べて低いことと、アスペクト比(長さ/径)が小さいことに起因する。このためこの分野では、導電性が高く、低比重で、アスペクト比が大きく、安価なフィラーが望まれている。
【0004】
そこで、特公平6−39576号公報における繊維径が小さくアスペクト比が大きい特異な構造を有する易黒鉛化性の炭素質繊維や、特開平7−102197号公報における微細糸状の炭素フィブリルが互いに絡み合った凝集体からなる炭素フィブリル材料など、前記の欠点を改良するフィラーが提案されている。
しかし、これらフィラーでは、十分な導電性を得ようとすると数十質量%という多量を添加する必要があり、少なからずコストアップにつながるだけでなく、樹脂との混合時に取り扱いが煩雑になったり、混合後の塗料の流動性が低下して塗布が難しくなるといった問題が起こってくる。
【0005】
従って、本発明は導電性が高く、化学的に安定であり、かつ低コストの導電性塗料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、先に、特願平11−81260号明細書において、従来得られなかった高い結晶性を持つ微細な炭素繊維とその製造法、及びその繊維をフィラーとしてより性能の高い電池用電極を開示した。その炭素繊維は、直径が0.01〜5μm、アスペクト比が10以上で、繊維中にホウ素を0.1〜3質量%含有する微細な炭素繊維で、X線回折法で求めた炭素の面間隔d002 が3.385Å以下、結晶のc軸方向の厚さLcが400Å以下である微細な炭素繊維である。
【0007】
この微細な炭素繊維は高い結晶性を持つため導電性に優れる。そこで、本発明者らは前記の従来の導電性塗料の欠点を改良するため、この微細な炭素繊維について検討を進めた結果、少量の添加で高い導電性を有する導電性塗料が得られることを見い出した。さらに、同じ添加量であれば抵抗値を従来の値の2分の1以下にできることも見い出した。
【0008】
こうして、本発明は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂70〜99.8質量部と、直径が0.01〜5μm、アスペクト比が10以上で、繊維中にホウ素を0.1〜3質量%含有する微細な炭素繊維30〜0.2質量部を含有してなることを特徴とする導電性塗料を提供する。
微細な炭素繊維の、X線回折法で求めた炭素の面間隔d002 は3.385Å以下で、結晶のc軸方向の厚さLcが400Å以下であることができる。
【0009】
また、微細な炭素繊維の粉体抵抗が嵩密度0.8g/cmのとき0.01Ω・cm以下であり、得られる乾燥塗料の抵抗値は0.01Ω・cm以下であることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
(微細な炭素繊維)
本発明の導電性塗料に添加する炭素繊維は直径が0.01〜5μm、アスペクト比が10以上の微細な炭素繊維である。
繊維径が0.01μm未満であると繊維の強度が弱く、フィラーとして使用した場合に繊維の切断が多くなり、繊維としての機能が損なわれやすい。一方、繊維は、フィラーとしての添加率(質量%)を一定とした場合、径が太くなるとそれだけ繊維の本数が減ることになり、フィラーとしての繊維の機能が十分発揮されない。また、径が5μmより太くなると繊維自体の生産性が著しく低下するので、工業的にコストが高くなる。これらの理由から繊維径は0.01〜5μmである。1μm以下の繊維径のものが好ましい。
【0011】
また、繊維のアスペクト比が10未満では炭素繊維を塗料に添加した場合の塗料の導電性が十分ではない。好ましくはアスペクト比が50以上である。
微細な炭素繊維の長さは特に制限はなく、その下限はアスペクト比の下限から定まる長さが好ましい。繊維の長さは、長すぎると繊維の絡み合い等によりフィラーとしての分散性に問題が生じる、あるいは塗膜表面に凹凸を生じやすいので、上限は400μmが好ましく、さらに好ましくは100μmである。したがって、例えばアスペクト比が50以上の場合、繊維径が0.01μmでは繊維長さは0.5μm以上、径が1μmでは長さは50μm以上が好ましい。その上限はいずれも好ましくは400μm、さらに好ましくは100μmである。
【0012】
本発明に用いる微細な炭素繊維はその結晶内にホウ素を含有することを特徴とする。本発明者らは、微細な炭素繊維の結晶内にホウ素を含ませることにより、所望の導電性などの特性を得ることに成功したものである。その製法については後述するが、ホウ素含有量0.1〜3質量%で効果的に高結晶化、即ち、高導電性が達成される。好ましくは0.2〜3質量%のホウ素を含む。しかし、ホウ素は熱処理における繊維の結晶化の際に存在すればよく、高結晶化した後さらに高温で処理する等によりホウ素が揮散し、含有量が0.1質量%を下回らない範囲で添加量よりも濃度が低くなっても構わない。
【0013】
また、本発明に用いるホウ素を結晶内に含有する微細な炭素繊維は、結晶性が高く、X線回折法で求めた面間隔d002 が3.385Å以下であり、結晶のc軸方向の厚さLcが400Å以下の範囲のものであることができる。微細な炭素繊維において面間隔d002 を3.385Å以下にすることは従来可能ではなかった。さらに、この微細な炭素繊維はd002 が小さいにもかかわらず、結晶のc軸方向の厚さLcが400Å以下であることができることも従来にない特徴である。また、この微細な炭素繊維は、ホウ素を含有し、d002 及びLcの値が上記の範囲内にあり、かつラマン吸収スペクトルのR値(1580cm−1の吸収強度Iと1360cm−1の吸収強度Iの比R=I/I)が0.5以上となる特徴を有する。
【0014】
さらに、この微細な炭素繊維の粉体抵抗は、嵩密度が0.8g/cmのとき、0.01Ω以下であることができる。微細な炭素繊維がこのように高い導電性を有することにより、それを含有する塗料の導電性も向上する。
(微細な炭素繊維の製法)
本発明で使用する上記の微細な炭素繊維はホウ素を繊維の結晶構造の中に取り込み、その触媒的な作用により製造することができる。高結晶化に効果的なホウ素の含有量は、上記の如く、一般的には0.1〜3質量%、好ましくは0.2〜3質量%である。
【0015】
出発原料とする炭素繊維は、ベンゼン等の有機化合物の熱分解により気相で成長させた微細な炭素繊維を用いることができる。この炭素繊維は、例えば特開平7−150419号公報、特開平5−321039号公報、特開昭60−215816号公報、特開昭61−70014号公報、特公平5−36521号公報、特公平3−61768号公報等に示される方法で製造することができる。また、繊維径が0.01μm以上であれば、同じ年輪構造をもつカーボンナノチューブやカーボンナノファイバーと呼ばれる微細な繊維状物質も使用できる。従って、アーク放電法やレーザー法等によって製造される多重構造のカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等についても使用できる。
【0016】
本発明者らの検討によって、このような微細な炭素繊維は、熱処理で結晶性を上げることはできるが、熱処理だけではd002 は3.385Åが限界であり、それより結晶性の向上が望めないことがわかった。そこでさらに、高結晶化するために黒鉛化の触媒について検討した結果、ホウ素が特に有効であった。
通常の炭素材料については、ホウ素を添加して熱処理し結晶性を高めることは種々検討されている。(「炭素」1996、No. 172、89〜94頁、特開平3−245458号公報、特開平5−251080号公報、特開平5−266880号公報、特開平7−73898号公報、特開平8−31422号公報、特開平8−306359号公報、特開平9−63584号公報、特開平9−63585号公報)しかし、径が5μm以下の微細な気相法炭素繊維に対して、ホウ素を導入して特性を改善した例は今までにない。その理由は下記▲1▼〜▲5▼のように、形状の特徴からなかなかホウ素を用いた黒鉛化が行いにくいことと、繊維が特殊な構造を持つためにホウ素の触媒効果が期待できないためであった。
【0017】
▲1▼ 気相法炭素繊維は、繊維の切断面の結晶構造が同心円状に発達した長ねぎ状の繊維である。
▲2▼ 繊維の長さは製造条件によって異なるが、例えば0.01〜0.5μm程度の径の繊維では単繊維だけでなく枝分かれした繊維も多く存在するので明確には規定しがたいが、直線部分を走査型電子顕微鏡で測定した限りでは、平均が少なくとも5μm以上あるものがほとんどである。
【0018】
▲3▼ また、この繊維は長繊維に加えて枝分かれした微細な繊維も含むために、長い繊維はもちろんのこと、5μm程度の短い繊維であっても、少なくとも大きさが10μm以上、場合によっては100μm以上の大きなフロック状になりやすい。
▲4▼ したがって、集合体としての嵩密度は小さく、0.05g/cm以下、通常は0.01g/cm以下である。しかもフロック状の立体構造を持っているので、黒鉛化触媒との接触が難しく、均一にホウ素化しがたい。
【0019】
▲5▼ また、微細な炭素繊維は表面がしっかりしたベーサルプレーン(六角網目構造の平面)で覆われているので、ホウ素を用いて黒鉛化してもポリゴニゼーション時に立体障害のため結晶性の向上が阻害される。
本発明者らは、微細な炭素繊維にホウ素をドーピングすることにより高結晶化できることを見い出した。
【0020】
ホウ素をドーピングするためには、原料の微細な炭素繊維として、ドーピングしやすいあまり結晶の発達していない低温処理品、好ましくは1500℃以下で熱処理された炭素繊維を用いることが好ましい。低温処理の炭素繊維であっても、ホウ素を触媒として用いた処理(ホウ素化処理)の時に最終的には黒鉛化温度まで加熱処理されるので、結晶の未発達の未熱処理品でも十分使用できる。2000℃以上、好ましくは2300℃以上の温度で黒鉛化処理された炭素繊維を用いることもできなくはないが、エネルギーの削減の面から考えれば何ら前もって黒鉛化処理しておく必要はなく、むしろ低温処理品を用いて黒鉛化と同時に触媒作用を働かせるほうが好ましい。
【0021】
また、炭素中のホウ素の含有量が最も多くかつドープしやすい温度は2000〜2300℃との報告もあり、これより高い温度で処理されて結晶化した材料では触媒効果が小さい。
原料の微細な炭素繊維として、取扱容易のためあらかじめ解砕、粉砕したものを用いることができるが、解砕、粉砕はホウ素またはホウ素化合物との混合ができる程度で十分である。すなわち、ホウ素化処理した後でも最終的には解砕、粉砕、分級等のフィラー化処理を行うので、ホウ素化処理の前にフィラーとしての適正な長さにする必要はない。気相成長法で一般的に得られる太さ(径)0.01〜5μm程度、長さ0.5〜400μm程度の炭素繊維をそのまま用いることができる。これらはフロック状になっていてもよい。また原料繊維は熱処理したものでもよいが、熱処理温度は1500℃以下とすることが好ましい。
【0022】
ホウ素をドーピングするために用いるホウ素源としては、ホウ素化処理は2000℃以上の温度で行われるので、少なくとも2000℃に達する前に分解等によっても蒸発しない物質、例えば、元素状ホウ素、B、ホウ素、BC,BN、その他のホウ素化合物を使用することが好ましい。
炭素にホウ素をドーピングできる量は一般的には3質量%以下である。ホウ素含有量0.1〜3質量%で効果的に高結晶化、即ち、高導電性が達成される。好ましくは0.2〜3質量%のホウ素を含む。しかし、ホウ素は熱処理における繊維の結晶化の際に存在すればよく、高結晶化した後さらに高温で処理する等によりホウ素が揮散し、含有量が0.1質量%を下回らない範囲で添加量よりも濃度が低くなっても構わない。
【0023】
したがって、配合時のホウ素またはホウ素化合物の添加量は反応率を考慮して炭素量に対してホウ素原子換算で10質量%以下で十分である。ホウ素の使用量が多いと処理コストが高くなるだけでなく、熱処理の段階で溶融焼結しやすく、固まったり繊維表面を被覆して電気抵抗を上昇させるなど、フィラー特性が失われることがある。
【0024】
ホウ素の導入反応を効率よく行うには、炭素繊維とホウ素またはホウ素化合物とをよく混合しできるだけ均一に接触させる必要がある。微細な炭素繊維は三次元の立体構造を持ち、フロック状を形成しやすいだけでなく、嵩密度がきわめて小さく空隙率が非常に大きい。しかも添加するホウ素量は10質量%以下、好ましくは5質量%以下と少ないので、単に両者を混合しただけでは均一に接触させることは難しい。そこで、ホウ素またはホウ素化合物の粒子はできるだけ粒径の小さいものを使用して炭素繊維とホウ素化合物をできるだけ均一に接触させる必要がある。また、粒子が大きいと部分的に高濃度領域が発生することになり、固結化の原因になりかねない。具体的には、粒度は平均粒径で100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下である。
【0025】
炭素繊維とホウ素またはホウ素化合物とを均一に混合しそのまま熱処理することもできるが、気相法による微細な炭素繊維は嵩密度が非常に小さいため、好ましくは高密度化し、かつその状態をできるだけ維持(固定化)して熱処理する。その好ましい方法として、両者を混合した後、混合物に圧力を加えて圧縮し高密度化して固定化する方法が挙げられる。
【0026】
炭素繊維とホウ素またはホウ素化合物との混合は、均一性が保持できればいずれの方法でもよい。混合機としては市販の混合機のいずれでもよいが、微細な炭素繊維はフロック状になりやすいので、これを解砕するためにチョッパー付きのヘンシェルミキサータイプのものであればより好ましい。使用する原料炭素繊維は先に述べたように製造されたままのものでも、その1500℃以下の温度での処理品でもよい。ただし、経済的には製造されたままのものが好ましい。
【0027】
炭素繊維とホウ素またはホウ素化合物との混合物を高密度化し、両者が分離しないように固定化する方法としては、成形法、造粒法、あるいは混合物をるつぼに入れて一定の形状に圧縮して詰め込む方法等、いずれの方法でもよい。また成形法の場合、成形体の形状は円柱状、板状、直方体等、いずれの形状でもよい。このようにしてホウ素またはホウ素化合物を添加し、嵩密度を高めた炭素繊維は次に熱処理する。
【0028】
ホウ素を炭素の結晶内に導入するために必要な処理温度は一般的に2000℃以上、好ましくは2300℃以上である。処理温度が2000℃に満たないとホウ素と炭素との反応性が悪く、ホウ素の導入が難しい。ホウ素の導入を一層促進し、かつ炭素の結晶性を向上させ、特にd002 を3.385Å以下にするには2300℃以上に保つことが好ましい。熱処理温度の上限は特にないが、装置等の制約から3200℃程度である。
【0029】
使用する熱処理炉は2000℃以上、好ましくは2300℃以上の目標とする温度が保持できる炉であればよく、通常のアチソン炉、抵抗炉、高周波炉等の何れの装置でもよい。また、場合によっては、粉体または成形体に直接通電して加熱する方法も使用できる。
熱処理の雰囲気は、非酸化性の雰囲気、好ましくはアルゴン等の希ガス雰囲気である。熱処理の時間は、生産性の面からはできるだけ短いほうが好ましい。特に長時間加熱していると、焼結が進行するので収率も悪化する。したがって、成形体等の中心部の温度が目標温度に達した後、1時間以下の保持時間で十分である。
【0030】
圧縮成形等で高密度化した炭素繊維は熱処理すると一部が焼結し、ブロック状になるので、フィラーとして適する形態とするために、成形体を解砕することが望ましい。そのため、このブロックを解砕、粉砕、分級してフィラーとして適するように処理すると同時に、非繊維物を分離する。その際に粉砕しすぎるとフィラー性能が低下し、また粉砕が不十分だと塗料主剤との混合がうまくいかず、添加効果が出ないおそれがある。
【0031】
フィラーとして望ましい形態にするためには、熱処理後のブロック状物をまず2mm以下の大きさに解砕し、さらに粉砕機で粉砕する。解砕機としては通常使用されるアイスクラッシャーやロートプレックス等の装置が使用できる。粉砕機としては衝撃式粉砕機のパルベライザーや自由粉砕機、またミクロジェット等の粉砕機が使用できる。非繊維物を分離する分級は気流式分級機等で行うことができる。粉砕分級条件は粉砕機の種類や操作条件によって異なるが、フィラー特性を発揮させるためには、繊維の長さが5〜400μmにするのが好ましい。アスペクト比は好ましくは10以上、さらに好ましくは50以上である。
【0032】
また、粉砕分級後の嵩密度は、0.001〜0.2g/cm、好ましくは0.005〜0.15g/cm、さらに好ましくは0.01〜0.1g/cmである。嵩密度が0.2g/cm以上になると、径によっては繊維の長さが5μm以下のように短くなりフィラー効果が低下する。また、0.001g/cmより小さいと径によっては400μmを超えるような長いものとなり、フィラーとしての詰まりが悪くなる。嵩密度とは、容器に繊維を充填し振動させ、体積がほぼ一定に達したときの体積と質量から求めたタッピング嵩密度である。
【0033】
上記のような方法で製造した繊維中にホウ素を含有する微細な炭素繊維は、嵩密度0.8g/cmのときの粉体抵抗が、0.01Ω・cm以下になることができる。一方、これと同形状で繊維中にホウ素を含まない気相成長法による微細な炭素繊維は、嵩密度0.8g/cmのときの粉体抵抗が0.01〜0.03Ω・cm程度である。これは、黒鉛化時にホウ素を触媒として添加すると結晶性が向上し、その結果、導電性が向上したことによる。このように、従来より導電性がほぼ1桁向上した微細な炭素繊維を用いることにより、電気抵抗が低く、静電気防止や電磁波シールド等の目的に好適に使用される本発明の導電性塗料を提供することができる。
【0034】
(樹脂)
本発明の導電性塗料に用いることができる熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を例示すると、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ブチラール樹脂など、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂などが挙げられ、またこれらの前駆体も使用できる。
【0035】
これら樹脂に対して、必要であれば、公知の硬化剤や硬化助剤、硬化用触媒や活性剤を使用することができる。例えば、エポキシ樹脂に対し、硬化剤としてアミン系やメルカプタン系化合物、あるいは酸無水物などが使用できる。
上記の樹脂はエマルジョンまたはラテックスとして用いることもできるが、溶媒に溶かして、溶液として使用するのが好ましい。
【0036】
溶媒は、前記樹脂を溶解または分散するものであれば特に制限はない。例えば、トルエン、キシレンなどの炭化水素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、プロピル酸エチルなどのエステル類、エチレングリコールのメチルエーテル、ジエチレングリコールのジメチルエーテルなどのエーテル類、水などが使用できる。
【0037】
(導電性塗料の組成)
本発明において熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に対する微細な炭素繊維の含有量は、内割りで、30〜0.2質量%、好ましくは10〜0.5質量%である。樹脂に対して炭素繊維が30質量%を超えると流動性が低下し、均一な塗布が困難になる、塗膜強度、基質の接着性が低下するなどの問題が起こる。また、0.2質量%に達しないと炭素繊維による効果が乏しく、塗料に用いたときの導電性が十分でない。
【0038】
溶媒の量は特に限定されず、塗料の種類、保存性、塗工性、乾燥性などを考慮して決めればよい。
本発明の導電性塗料には、必要に応じて塗料特性を向上させるための添加剤を使用することができる。例えば、フィラーである炭素繊維の分散性を上げるための分散剤、他の繊維状物や無機物、金属などの粉体や薄片物、印刷適性を上げるためのレベリング剤、熱や酸化、光に対する安定剤、カップリング剤、増粘剤、顔料、可塑剤、架橋剤、充填剤などを混ぜることができる。
【0039】
また、さらに導電性を向上させるためには、他の導電性粉体と混合して使用することもできる。他の導電性粉体としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、グラファイト粉、各種炭素繊維、金、銀、ニッケル、アルミニウム等の粉末または繊維、金属コートガラス繊維、などが挙げられる。
【0040】
(塗料の製造)
本発明の導電性塗料は、通常、前記樹脂の溶液と微細な炭素繊維を混合することによって製造することができる。混合装置としては、3本ロール、ボールミルなどの通常の装置を用いることができる。また本発明の導電性塗料は、刷毛塗り、ローラーコート、スプレーなどの通常の方法で塗布することができる。
【0041】
このようにして製造された本発明の導電性塗料は、塗工し乾燥後、0.01Ω・cm以下の抵抗値を有することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の導電性塗料は、高い導電性を有する微細な炭素繊維が多くの接触点で接触しながら樹脂中に均一に分散しているので、極めて導電性の高い塗料である。また、炭素繊維の補強効果により塗膜強度に優れ、金属フィラーのように長期間の使用で酸化、腐食等による導電性の低下することもない。したがって、コンクリート、金属、木材、プラスチックなど、各種基材に塗布し、静電気防止や電磁波シールドの目的に好適に使用できる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1〜4、および比較例1〜2)
出発原料である微細な炭素繊維は、遷移金属を含有する有機金属化合物の存在のもとにベンゼンを熱分解する公知の方法(例えば特開平7−150419号公報)で得た炭素繊維をさらに1200℃で熱処理して得た。得られた炭素繊維はフロック状に集合していたがこれを解砕し、嵩密度を0.02g/cm、繊維の長さを10〜100μmとした。繊維径は大部分が0.5μm以下(電子顕微鏡写真で観察した平均的な繊維径は0.2μm)であった。この炭素繊維のX線回折による炭素の面間隔d002 は3.407Åで、結晶のc軸方向の厚さLcは56Åであった。
【0044】
この繊維2.88kgに平均粒径15μmのBC粉末を120g添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した。この混合物を容量50リットルの円筒状の黒鉛ルツボに詰め込み圧縮して、嵩密度を0.075g/cmとした。黒鉛製の加圧板で圧縮したまま蓋をし、アチソン炉に入れて加熱処理した。このときの温度は2900℃、2900℃になってからの加熱時間は60分間であった。
【0045】
加熱処理後冷却し、ルツボから炭素繊維を取り出し、バンタムミルで粉砕し、その後、非繊維状物を気流分級機で分離した。
得られた繊維の径は2900℃熱処理前と変わらず大部分が0.5μm以下、長さは5〜30μm、嵩密度は0.04g/cmであった。また、この繊維のホウ素含有量は1.03質量%、d002 は3.380Å、Lcは290Åであった。また、嵩密度0.8g/cmのときの粉体抵抗は0.003Ω・cmであった。
【0046】
次にこの微細な炭素繊維を用いて以下のように導電性塗料を作製した。フェノール樹脂の20質量%メチルエチルケトン溶液に、表1に示す質量比で前記微細な炭素繊維を3本ロールで混合して、各導電性塗料を得た。
これをガラス板上に塗布し、溶剤を乾燥後、ガラスから塗膜をはがして、体積固有抵抗および引張強度を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例3〜4)
実施例で示した出発原料である微細な炭素繊維3.0kgを容量50リットルの円筒状の黒鉛ルツボに詰め込み圧縮して、嵩密度を0.075g/cmとした。黒鉛製の加圧板で圧縮したまま蓋をし、アチソン炉に入れて加熱処理した。このときの温度は2900℃、2900℃になってからの加熱時間は60分間であった。加熱処理後冷却し、ルツボから炭素繊維を取り出し、バンタムミルで粉砕し、その後、非繊維状物を気流分級機で分離した。
【0047】
得られた繊維の径は2900℃熱処理前と変わらず大部分が0.5μm以下、長さは5〜30μm、嵩密度は0.04g/cmであった。また、この繊維のd002 は3.388Å、Lcは280Åであった。また、嵩密度0.8g/cmのときの粉体抵抗は0.013Ω・cmであった。
この微細な炭素繊維を用いて実施例と同様の方法で表1に示す質量比で塗料を作製し、体積固有抵抗および引張強度を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例5)
微細な炭素繊維の代わりにアセチレンブラックを使用したほかは実施例と同様の方法で塗料を作製し、体積固有抵抗および引張強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003606782
【0049】
表1から明らかなように、実施例1〜4の導電性塗料は、優れた導電性を示し、塗料の強度低下も見られなかった。また、実施例3と比較例3、実施例4と比較例4を比べて明らかなように、微細な炭素繊維の添加量が同じ場合、本発明の導電性塗料の抵抗値は従来のものの1/2以下とすることができる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂70〜99.8質量部と、直径が0.01〜5μm、アスペクト比が10以上で、炭素繊維の結晶内にホウ素を0.1〜3質量%含有する微細な炭素繊維30〜0.2質量部を含有してなることを特徴とする導電性塗料。
  2. 前記微細な炭素繊維の、X線回折法で求めた炭素の面間隔d002 が3.385Å以下で、結晶のc軸方向の厚さLcが400Å以下である請求項1記載の導電性塗料。
  3. 前記微細な炭素繊維の粉体抵抗が、嵩密度0.8g/cm3 のとき0.01Ω・cm以下である請求項1または2記載の導電性塗料。
  4. 得られる乾燥塗料の抵抗値が0.05Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の導電性塗料。
  5. コンクリート、金属、木材、プラスチックの基材に、請求項1ないし4のいずれかに記載の導電性塗料を塗工し、乾燥して得られる材料。
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