JP3603293B2 - 2液注型用ポリウレタンエラストマー組成物、及び該組成物を用いたポリウレタンエラストマーの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2液注型用ポリウレタンエラストマー組成物に関する。更に詳しくは、NCO基末端プレポリマーと長鎖ポリオール、短鎖ジオール及び短鎖トリオール等とから成る2液注型用ポリウレタンエラストマー組成物、及び該組成物を用いたポリウレタンエラストマーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、注型ウレタンエラストマーの成型技術を大別すると、通常ワンショット法とプレポリマー法の2種類に区分される。
ワンショット法は、すべての反応素原料を一度に反応器内で混合攪拌した後、注型し一次キュアによりほぼ反応を完了させた後に離型し、その後二次キュアを行う方法で、素原料をそのまま用いるので最も経済的な方法である。しかしながら、ウレタン化等の高分子化反応が一度に進行するため多量の発熱があり、安定した物理特性が得られにくい。
一方プレポリマー法は、ポリオールと過剰のジイソシアネートを前もって反応させてプレポリマーを合成する工程と、このプレポリマーを他の不足原料と反応させて最終的にエラストマーをつくる工程の2段法をとる。
プレポリマー法の場合、ウレタン化反応に伴う熱がプレポリマー化時に既に放出されており、以下に述べる利点を持つためほとんどの注型ウレタンエラストマーはこの方法によって行われている。
(イ)均一に反応が進行するため、高物性のエラストマーが得られる。(ロ)総発熱量が小さく、大型成型が可能である。(ハ)グリコール、アミンなど硬化剤を自由に選択したセグメント化ポリウレタンを製造できる。
しかしながら、このプレポリマー法の欠点としては、高粘度化及び配合液比率の片寄り等が挙げられる。粘度が高いと脱泡不良、硬化剤との混合不良等を起こし、一方、混合液比率が片寄ると、化学量論値のずれによる物理特性の変化が懸念される。
【0003】
特公平3−41833号公報には、有機ポリイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等を用い、ポリカプロラクトンエステルと反応させてプレポリマーを得て、硬化剤として1,4−ブタンジオールやジアミンを使用してウレタンゴムを得ている。
特開平5−24049号公報には、ポリイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネートとポリエチレンアジペートポリオールとを反応させてプレポリマーを得て、硬化剤としてポリエチレンアジペートポリオール、1,4−ブタンジオールを用いてポリウレタン成形品を得ている。
特開平5−278045号公報には、ポリイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネートとポリカプロラクトンエステルジオールとを反応させてプレポリマーを得て、硬化剤として高分子ポリオールと低分子ポリオールとを用いてポリウレタン成形品を得ている。
特公平7−72222号公報には、ポリイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネートやトリレンジイソシアネート等を用い、ポリオキシテトラメチレングリコールを可塑剤の存在下で反応させてプレポリマーを得ている。
硬化剤としてアミンを用い、可塑剤の存在下で反応させてポリウレタン成形品を得ている。
特公平1−26365号公報には、炭酸エステル系ポリエステルポリオール70〜30重量%とラクトン系ポリエステルポリオール30〜70重量%からなるポリエステルポリオールと4,4′−メチレン−ビス−(シクロヘキシルイソシアネート)または1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、とを反応させて得られるプレポリマー、と硬化剤としてメチレンジアニリンとからなるポリエステルウレタン組成物が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら公知の従来技術においては、温度変化に対する安定性、熱に対する耐久性、長期間にわたる安定性、低温特性を低下することなく歪みを低減すること、耐磨耗性、低硬度でゴム弾性を有すること、耐油性、耐湿性更に作業性、機械的諸物性の向上が望まれている。
本発明者らは、このような従来技術の問題点を改善するため、鋭意研究検討を重ねた結果、特定のポリイソシアネートと特定のポリオールから得られるNCO基末端プレポリマーと特定のポリオール等から成るポリオールとを使用することにより、注型作業性が良好となり、得られたエラストマーは、優れた諸物理強度を有していることを見出し本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、(A)NCO基末端プレポリマーと(B)長鎖ポリオール、短鎖ジオール及び短鎖トリオールの混合物から成るポリウレタンエラストマー組成物において、前記NCO基末端プレポリマーのポリイソシアネートとして4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを71〜86重量%、2,2´−及び2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを29〜14重量%含有するジフェニルメタンジイソシアネート、または4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを71〜86重量%、2,2´−及び2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを29〜14重量%含有するジフェニルメタンジイソシアネート並びにジフェニルメタンジイソシアネートダイマー及び/もしくはカルボジイミド化変性ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するジフェニルメタンジイソシアネートを用い、前記NCO基末端プレポリマーに用いるポリオールと(B)の長鎖ポリオールがポリカーボネートポリオールとポリカプロラクトンポリオールの混合物、又はポリカーボネートポリオールとポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオールの混合物、或いはポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオール単独であることを特徴とする2液注型用ポリウレタンエラストマー組成物である。
【0008】
本発明は、前記の2液注型用ポリウレタンエラストマー組成物を用いて注型することを特徴とする2液注型用ポリウレタンエラストマーの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の(A)成分であるNCO基末端プレポリマーを構成するジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと略す)系ポリイソシアネートとしては、MDI、異性体含有MDI、MDIダイマー、カルボジイド化MDI等の他、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(以下ポリメリックMDIと略す)等があり、異性体含有MDIは、MDIの各種異性体である4,4´−MDI、2,4´−MDI、2,2´−MDI等の任意の混合物、このようなイソシアネートは、単独または2種以上の混合物として用いることができる。またこのようなイソシアネート類の誘導体等を挙げることができる。
【0010】
異性体含有MDIは、4,4´−MDIを50〜98重量%、4,4´−以外のMDIを50〜2重量%からなり、好ましくは4,4´−MDIを50〜90重量%、2,2´−及び2,4´−MDIを50〜10重量%である。更に好ましくは4,4´−MDIを71〜86重量%、2,2´−及び2,4´−MDIを29〜14重量%である。このうち2,2´−MDIと2,4´−MDIの重量比率は、2,2´−MDIを0.2〜20重量%、2,4´−MDI99.8〜80重量%であり、好ましくは2,2´−MDIを0.5〜10重量%、2,4´−MDI99.5〜90重量である。
【0011】
前記NCO基末端プレポリマーに使用するMDI系ポリイソシアネートは、単独又は2種以上で用いることができる。2種以上で用いる時の使用重量部は、MDI又は異性体含有MDIとMDIダイマーは、該MDI40〜80部に対して該ダイマー60〜20部で、好ましくは45〜75部に対して55〜25部である。
MDIダイマーとカルボジイド化MDIは、該ダイマー15〜50部に対して該カルボジイド化MDI85〜50部で、好ましくは20〜40部に対して80〜60部である。
MDI又は異性体含有MDIとMDIダイマーとカルボジイド化MDIは、該MDI30〜70部に対して、該ダイマーは15〜50部、カルボジイド化MDIは5〜40部で、好ましくは該MDI35〜60部に対して、該ダイマーは20〜40部、カルボジイド化MDIは7〜30部である。
【0012】
本発明で使用するMDIダイマーは、MDIに二量化を促進する触媒を加え50℃〜90℃で、7〜20時間反応を行い、必要に応じて触媒の不活性化剤を添加することによって得ることができる。二量化を促進する触媒としては、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリス−(ジメチルアミノ)ホスフィン等があり、触媒の不活性化剤としては、p−トルエンスルホン酸メチル、リン酸ジ−(2−エチルヘキシル)−エステル等が挙げられる。
このようにして得たMDIダイマーは、トルエン、キシレン等の溶剤で洗浄しながら濾別、乾燥を行い得られる。このようなMDIダイマーをポリイソシアネート成分として用いることにより優れた引張強さ、引裂強さ、耐摩耗性等を有するエラストマーを得ることができる。
【0013】
本発明で使用するカルボジイミド化MDIは、MDIにカルボジイミド化触媒として例えば、ホスホレン系触媒である3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキサイド、3−メチル−1−エチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、3−メチル−1−フェニル−−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メトキシ−3−ホスホレン−1−トキサイド、3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−スルフィド等を用いて、温度50℃から90℃で、3〜5時間反応を行い、触媒の不活性化剤としてトリクロルシラン、ジクロルアフェニルシラン、トリクロルメチルシラン、トリクロルビニルシラン、ジクロルジメチルシラン等を加えて得ることができる。
本発明のエラストマーは、ポリイソシアネートとしてMDI系ポリイソシアネートを使用することによって、引張強さ、引裂強さ、耐摩耗性等の物性がよく優れた耐久性を有している。
【0014】
本発明の(A)成分であるNCO基末端プレポリマーを構成するポリオールとしては、ポリカーボネートポリオールとポリカプロラクトンポリオールの併用、又はポリカーボネートポリオールとポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオールの併用、或いはポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオールがある。ポリカーボネートポリオールとしては、分子量500〜4000で例えば、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート又はジアリールカーボネート等のカーボネート類とジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得られる。反応には触媒として、ハロゲン化リチウムをジヒドロキシ化合物に対して0,0001〜0,05重量%用いることができる。ここに使用するジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等のカーボネート類があり、アルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類があり、ジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ジナフチレンカーボネート等のカーボネート類がある。またジヒドロキシ化合物としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を単独、或いは併用することができる。このような原料を用いてポリカーボネートポリオール得るための反応は、100〜250℃でエステル交換反応を行う。好ましい該ポリオールは、1,6ーヘキサンジオールとジエチルカーボネートとから得られる分子量800〜2500のポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ポリオールである。
【0015】
本発明で使用するポリカプロラクトンポリオールとしては、分子量500〜4000で例えば、α−カプロラクトン、β−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン 、β−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトン類と エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等との反応によって得られる。好ましい分子量は、1000〜3000である。例えば、ダイセル製のプラクセル−210(分子量1000)、プラクセル−220(分子量2000)、プラクセル−220AL(分子量2000)等がある。
【0016】
本発明で使用するポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオールとしては、分子量500〜4000で、ポリカーボネートポリオールとポリカプロラクトンポリオールとエステル交換反応を行う方法、又はポリカーボネートポリオールとラクトン類との反応による方法、ポリカーボネートポリオールとポリカプロラクトンポリオールとを前記のラクトン類及び/又は前記のカーボネート類の存在下で反応させる方法等によって得ることができる。
本発明で使用するポリオールの使用比率は、25〜75重量%のポリカーボネートポリオールと75〜25重量%のポリカプロラクトンポリオールである。
このようなポリオールの使用によって、エラストマーは耐加水分解性、引張強さ、引裂強さ、耐摩耗性等の物性がよく優れた耐久性を有するようになる。
【0017】
本発明の(A)成分であるNCO基末端プレポリマーの調製は、NCO基/活性水素基のモル比が3.0〜30の範囲、好ましくは、4.0〜20にて行われる。ポリイソシアネートとポリオールとの反応は常法によればよく、通常50〜100℃の温度で反応させてNCO基末端のプレポリマーを得ることができる。
【0018】
本発明の(B)成分を構成する長鎖ポリオール、短鎖グリコール及び短鎖トリオールは、長鎖ポリオールとしては、前記NCO基末端プレポリマーの成分として用いた長鎖ポリオールが用いられる。分子量は500〜3000である。
【0019】
本発明の(B)成分を構成する短鎖ジオールとしては、分子量62〜500未満の例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(以下BHEBと略す)等が挙げられる。好ましい分子量は、62〜250である。
【0020】
本発明の(B)成分を構成する短鎖トリオールとしては、分子量92〜500未満で、好ましい分子量は、92〜350である。例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等を単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0021】
本願の(B)成分における長鎖ポリオール/短鎖ジオール/短鎖トリオールの使用重量部は、各々60〜95/5〜25/1〜15部の範囲で用いられる。
好ましい範囲は、70〜90/6.5〜20/2.5〜11部である。
この範囲外は成型時の脱型時間の短縮が不充分であったり、また物理特性も劣るようになる。
また、(B)成分中には、MDIダイマーの解離触媒を添加することができる。解離触媒としては、ジブチルチンジラウレート(以下DBTDLと略す)、スタンナスオクトエート等の錫系触媒、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。好ましい触媒は、DBTDLである。
【0022】
本発明の(A)成分と(B)成分は重量混合比率A/Bが100/40〜100/110で用いられる。この場合(B)成分は、(A)成分に対して、水酸基の有する活性水素基濃度とウレタンプレポリマーの有するイソシアネート基濃度との比、即ち活性水素基/イソシアネート基当量比が0.8〜1.2になる。
必要に応じて反応触媒、添加剤等を用いてることもできる。
ポリウレタンエラストマーの製造は、(A)/(B)液を40〜85℃にて混合し、混合液を予め加熱した型に注入し、50〜160℃の温度にて一次架橋させる。この一次架橋の後、100〜170℃で二次架橋させ、熟成することによって行うことができる。
本発明の組成物を使用して得られるポリウレタンエラストマーは、ロール、タイヤ、パイプ、OA機器等種々の分野に於いて有用である。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、特定のポリオールを使用することにより、脱型時間の短縮がはかられる。また得られたエラストマーは、硬さ、引張強さ、伸び、圧縮永久歪み等の一般的な物理特性を改善できる。また物理強度の発現性が早く、成形時の脱型時間が短く、注型作業性も良好である。
従来エステル系は、機械強度、耐油性等の利点があり、エーテル系は、耐水性、耐候性等の利点があって用途に応じて使い分ける必要があった。しかし本発明は、前記特性がいずれも良好であり、使い分ける必要がなくなり、あらゆる分野の材料として使用可能である。
【0024】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0025】
合成例1
ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製、ミリオネートMT)100部にトルエン350部を加えて、攪拌しながら40℃に加温し、トリ−n−ブチルホスフィン0.4部添加し、50℃で15時間反応させた後、25℃まで冷却した。この反応生成物をトルエンで洗浄しながら、濾過分離した。次いで40℃で減圧乾燥し、MDIダイマーを得た。GPCで分子内にウレトジオン結合を1個有するMDIダイマーを確認した。更にIRスペクトルの測定で約1772cm−1付近のウレトジオン結合吸収帯及び約2280cm−1付近のNCO基吸収帯が大きく認められた。NCO含量は16.8%であった。
以下このMDIダイマーをMT(2)と略す。
【0026】
本発明に使用した原料の説明。
MT(1) :MDI、日本ポリウレタン工業製、ミリオネートMT
MT(2) :MDIダイマー、NCO含量16.8%
MTL(3):カルボジイミド変性MDI(日本ポリウレタン工業製、ミリオネートMTL、NCO含量29.5%)
MT(4) :異性体含有MDI(4,4′−MDI 71%、2,2′−MDI 1.8%、2,4′−MDI 27.2%)
MT(5) :異性体含有MDI(4,4′−MDI 83.3%、2,2′−MDI 0.9%、2,4′−MDI 15.8%)
ポリオール(A):ポリカプロラクトンポリオール(分子量2000、OH価56.1)
ポリオール(B):ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ポリオール(分子量1000、OH価112)
ポリオール(C):ポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオール(分子量2000、水酸基価56.1)
短鎖ジオール :BHEB
短鎖トリオール :TMP
DBTDL :MDIダイマー解離触媒、ジブチルチンジラウレート
【0027】
本発明に使用した試験方法等の説明
硬さ(JIS A)は、二次架橋終了1週間後に測定した。また脱型時間については、成型物に粘着性がなく、一次キュア温度(130℃)において容易に型から外すことのできる時間とした。
物理特性値は、JIS K 6301に準拠した。
【0035】
実施例13〜18
ポリイソシアネート、ポリオールを表5の条件で使用し、窒素気流下、攪拌しながら、60〜70℃の温度で3時間反応を行い、粘性を持ったプレポリマーA成分を得た。NCO基含量等は、表5に示す。
このようにして得たプレポリマーA成分に(B)成分を表3の条件で使用し、A液、B液を60℃にて、A/B混合液を攪拌、混合した後、真空ポンプ10Torr以下の減圧度で脱泡を行った。このA/B混合液を130℃に予熱した遠心成型機に注入し、一次キュアを130℃で1時間行った。
得られた板状ポリウレタンを、120℃で2時間、二次架橋させた後、更に室温で1週間熟成し、ポリウレタンエラストマーを得た。結果を表6に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
比較例1〜5
ポリイソシアネート、ポリオールを表7の条件で使用し、窒素気流下、攪拌しながら、60〜70℃の温度で3時間反応を行い、粘性を持ったプレポリマーA成分を得た。NCO基含量等は、表5に示す。
このようにして得たプレポリマーA成分に(B)成分を表7の条件で使用し、A液、B液を60℃にて、A/B混合液を攪拌、混合した後、真空ポンプ10Torr以下の減圧度で発泡がおさまるまで脱泡を行った。このA/B混合液を130℃に予熱した遠心成型機に注入し、一次キュアを130℃で1時間行った。得られた板状ポリウレタンを、120℃で2時間、二次架橋させた後、更に室温で1週間熟成し、ポリウレタンエラストマーを得た。結果を表8に示す。
【0039】
【表7】
【0040】
【表8】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2液注型用ポリウレタンエラストマー組成物に関する。更に詳しくは、NCO基末端プレポリマーと長鎖ポリオール、短鎖ジオール及び短鎖トリオール等とから成る2液注型用ポリウレタンエラストマー組成物、及び該組成物を用いたポリウレタンエラストマーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、注型ウレタンエラストマーの成型技術を大別すると、通常ワンショット法とプレポリマー法の2種類に区分される。
ワンショット法は、すべての反応素原料を一度に反応器内で混合攪拌した後、注型し一次キュアによりほぼ反応を完了させた後に離型し、その後二次キュアを行う方法で、素原料をそのまま用いるので最も経済的な方法である。しかしながら、ウレタン化等の高分子化反応が一度に進行するため多量の発熱があり、安定した物理特性が得られにくい。
一方プレポリマー法は、ポリオールと過剰のジイソシアネートを前もって反応させてプレポリマーを合成する工程と、このプレポリマーを他の不足原料と反応させて最終的にエラストマーをつくる工程の2段法をとる。
プレポリマー法の場合、ウレタン化反応に伴う熱がプレポリマー化時に既に放出されており、以下に述べる利点を持つためほとんどの注型ウレタンエラストマーはこの方法によって行われている。
(イ)均一に反応が進行するため、高物性のエラストマーが得られる。(ロ)総発熱量が小さく、大型成型が可能である。(ハ)グリコール、アミンなど硬化剤を自由に選択したセグメント化ポリウレタンを製造できる。
しかしながら、このプレポリマー法の欠点としては、高粘度化及び配合液比率の片寄り等が挙げられる。粘度が高いと脱泡不良、硬化剤との混合不良等を起こし、一方、混合液比率が片寄ると、化学量論値のずれによる物理特性の変化が懸念される。
【0003】
特公平3−41833号公報には、有機ポリイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等を用い、ポリカプロラクトンエステルと反応させてプレポリマーを得て、硬化剤として1,4−ブタンジオールやジアミンを使用してウレタンゴムを得ている。
特開平5−24049号公報には、ポリイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネートとポリエチレンアジペートポリオールとを反応させてプレポリマーを得て、硬化剤としてポリエチレンアジペートポリオール、1,4−ブタンジオールを用いてポリウレタン成形品を得ている。
特開平5−278045号公報には、ポリイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネートとポリカプロラクトンエステルジオールとを反応させてプレポリマーを得て、硬化剤として高分子ポリオールと低分子ポリオールとを用いてポリウレタン成形品を得ている。
特公平7−72222号公報には、ポリイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネートやトリレンジイソシアネート等を用い、ポリオキシテトラメチレングリコールを可塑剤の存在下で反応させてプレポリマーを得ている。
硬化剤としてアミンを用い、可塑剤の存在下で反応させてポリウレタン成形品を得ている。
特公平1−26365号公報には、炭酸エステル系ポリエステルポリオール70〜30重量%とラクトン系ポリエステルポリオール30〜70重量%からなるポリエステルポリオールと4,4′−メチレン−ビス−(シクロヘキシルイソシアネート)または1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、とを反応させて得られるプレポリマー、と硬化剤としてメチレンジアニリンとからなるポリエステルウレタン組成物が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら公知の従来技術においては、温度変化に対する安定性、熱に対する耐久性、長期間にわたる安定性、低温特性を低下することなく歪みを低減すること、耐磨耗性、低硬度でゴム弾性を有すること、耐油性、耐湿性更に作業性、機械的諸物性の向上が望まれている。
本発明者らは、このような従来技術の問題点を改善するため、鋭意研究検討を重ねた結果、特定のポリイソシアネートと特定のポリオールから得られるNCO基末端プレポリマーと特定のポリオール等から成るポリオールとを使用することにより、注型作業性が良好となり、得られたエラストマーは、優れた諸物理強度を有していることを見出し本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、(A)NCO基末端プレポリマーと(B)長鎖ポリオール、短鎖ジオール及び短鎖トリオールの混合物から成るポリウレタンエラストマー組成物において、前記NCO基末端プレポリマーのポリイソシアネートとして4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを71〜86重量%、2,2´−及び2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを29〜14重量%含有するジフェニルメタンジイソシアネート、または4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを71〜86重量%、2,2´−及び2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを29〜14重量%含有するジフェニルメタンジイソシアネート並びにジフェニルメタンジイソシアネートダイマー及び/もしくはカルボジイミド化変性ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するジフェニルメタンジイソシアネートを用い、前記NCO基末端プレポリマーに用いるポリオールと(B)の長鎖ポリオールがポリカーボネートポリオールとポリカプロラクトンポリオールの混合物、又はポリカーボネートポリオールとポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオールの混合物、或いはポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオール単独であることを特徴とする2液注型用ポリウレタンエラストマー組成物である。
【0008】
本発明は、前記の2液注型用ポリウレタンエラストマー組成物を用いて注型することを特徴とする2液注型用ポリウレタンエラストマーの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の(A)成分であるNCO基末端プレポリマーを構成するジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと略す)系ポリイソシアネートとしては、MDI、異性体含有MDI、MDIダイマー、カルボジイド化MDI等の他、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(以下ポリメリックMDIと略す)等があり、異性体含有MDIは、MDIの各種異性体である4,4´−MDI、2,4´−MDI、2,2´−MDI等の任意の混合物、このようなイソシアネートは、単独または2種以上の混合物として用いることができる。またこのようなイソシアネート類の誘導体等を挙げることができる。
【0010】
異性体含有MDIは、4,4´−MDIを50〜98重量%、4,4´−以外のMDIを50〜2重量%からなり、好ましくは4,4´−MDIを50〜90重量%、2,2´−及び2,4´−MDIを50〜10重量%である。更に好ましくは4,4´−MDIを71〜86重量%、2,2´−及び2,4´−MDIを29〜14重量%である。このうち2,2´−MDIと2,4´−MDIの重量比率は、2,2´−MDIを0.2〜20重量%、2,4´−MDI99.8〜80重量%であり、好ましくは2,2´−MDIを0.5〜10重量%、2,4´−MDI99.5〜90重量である。
【0011】
前記NCO基末端プレポリマーに使用するMDI系ポリイソシアネートは、単独又は2種以上で用いることができる。2種以上で用いる時の使用重量部は、MDI又は異性体含有MDIとMDIダイマーは、該MDI40〜80部に対して該ダイマー60〜20部で、好ましくは45〜75部に対して55〜25部である。
MDIダイマーとカルボジイド化MDIは、該ダイマー15〜50部に対して該カルボジイド化MDI85〜50部で、好ましくは20〜40部に対して80〜60部である。
MDI又は異性体含有MDIとMDIダイマーとカルボジイド化MDIは、該MDI30〜70部に対して、該ダイマーは15〜50部、カルボジイド化MDIは5〜40部で、好ましくは該MDI35〜60部に対して、該ダイマーは20〜40部、カルボジイド化MDIは7〜30部である。
【0012】
本発明で使用するMDIダイマーは、MDIに二量化を促進する触媒を加え50℃〜90℃で、7〜20時間反応を行い、必要に応じて触媒の不活性化剤を添加することによって得ることができる。二量化を促進する触媒としては、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリス−(ジメチルアミノ)ホスフィン等があり、触媒の不活性化剤としては、p−トルエンスルホン酸メチル、リン酸ジ−(2−エチルヘキシル)−エステル等が挙げられる。
このようにして得たMDIダイマーは、トルエン、キシレン等の溶剤で洗浄しながら濾別、乾燥を行い得られる。このようなMDIダイマーをポリイソシアネート成分として用いることにより優れた引張強さ、引裂強さ、耐摩耗性等を有するエラストマーを得ることができる。
【0013】
本発明で使用するカルボジイミド化MDIは、MDIにカルボジイミド化触媒として例えば、ホスホレン系触媒である3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキサイド、3−メチル−1−エチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、3−メチル−1−フェニル−−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキサイド、1−メトキシ−3−ホスホレン−1−トキサイド、3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−スルフィド等を用いて、温度50℃から90℃で、3〜5時間反応を行い、触媒の不活性化剤としてトリクロルシラン、ジクロルアフェニルシラン、トリクロルメチルシラン、トリクロルビニルシラン、ジクロルジメチルシラン等を加えて得ることができる。
本発明のエラストマーは、ポリイソシアネートとしてMDI系ポリイソシアネートを使用することによって、引張強さ、引裂強さ、耐摩耗性等の物性がよく優れた耐久性を有している。
【0014】
本発明の(A)成分であるNCO基末端プレポリマーを構成するポリオールとしては、ポリカーボネートポリオールとポリカプロラクトンポリオールの併用、又はポリカーボネートポリオールとポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオールの併用、或いはポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオールがある。ポリカーボネートポリオールとしては、分子量500〜4000で例えば、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート又はジアリールカーボネート等のカーボネート類とジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得られる。反応には触媒として、ハロゲン化リチウムをジヒドロキシ化合物に対して0,0001〜0,05重量%用いることができる。ここに使用するジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等のカーボネート類があり、アルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類があり、ジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ジナフチレンカーボネート等のカーボネート類がある。またジヒドロキシ化合物としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を単独、或いは併用することができる。このような原料を用いてポリカーボネートポリオール得るための反応は、100〜250℃でエステル交換反応を行う。好ましい該ポリオールは、1,6ーヘキサンジオールとジエチルカーボネートとから得られる分子量800〜2500のポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ポリオールである。
【0015】
本発明で使用するポリカプロラクトンポリオールとしては、分子量500〜4000で例えば、α−カプロラクトン、β−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン 、β−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトン類と エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等との反応によって得られる。好ましい分子量は、1000〜3000である。例えば、ダイセル製のプラクセル−210(分子量1000)、プラクセル−220(分子量2000)、プラクセル−220AL(分子量2000)等がある。
【0016】
本発明で使用するポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオールとしては、分子量500〜4000で、ポリカーボネートポリオールとポリカプロラクトンポリオールとエステル交換反応を行う方法、又はポリカーボネートポリオールとラクトン類との反応による方法、ポリカーボネートポリオールとポリカプロラクトンポリオールとを前記のラクトン類及び/又は前記のカーボネート類の存在下で反応させる方法等によって得ることができる。
本発明で使用するポリオールの使用比率は、25〜75重量%のポリカーボネートポリオールと75〜25重量%のポリカプロラクトンポリオールである。
このようなポリオールの使用によって、エラストマーは耐加水分解性、引張強さ、引裂強さ、耐摩耗性等の物性がよく優れた耐久性を有するようになる。
【0017】
本発明の(A)成分であるNCO基末端プレポリマーの調製は、NCO基/活性水素基のモル比が3.0〜30の範囲、好ましくは、4.0〜20にて行われる。ポリイソシアネートとポリオールとの反応は常法によればよく、通常50〜100℃の温度で反応させてNCO基末端のプレポリマーを得ることができる。
【0018】
本発明の(B)成分を構成する長鎖ポリオール、短鎖グリコール及び短鎖トリオールは、長鎖ポリオールとしては、前記NCO基末端プレポリマーの成分として用いた長鎖ポリオールが用いられる。分子量は500〜3000である。
【0019】
本発明の(B)成分を構成する短鎖ジオールとしては、分子量62〜500未満の例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(以下BHEBと略す)等が挙げられる。好ましい分子量は、62〜250である。
【0020】
本発明の(B)成分を構成する短鎖トリオールとしては、分子量92〜500未満で、好ましい分子量は、92〜350である。例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等を単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0021】
本願の(B)成分における長鎖ポリオール/短鎖ジオール/短鎖トリオールの使用重量部は、各々60〜95/5〜25/1〜15部の範囲で用いられる。
好ましい範囲は、70〜90/6.5〜20/2.5〜11部である。
この範囲外は成型時の脱型時間の短縮が不充分であったり、また物理特性も劣るようになる。
また、(B)成分中には、MDIダイマーの解離触媒を添加することができる。解離触媒としては、ジブチルチンジラウレート(以下DBTDLと略す)、スタンナスオクトエート等の錫系触媒、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。好ましい触媒は、DBTDLである。
【0022】
本発明の(A)成分と(B)成分は重量混合比率A/Bが100/40〜100/110で用いられる。この場合(B)成分は、(A)成分に対して、水酸基の有する活性水素基濃度とウレタンプレポリマーの有するイソシアネート基濃度との比、即ち活性水素基/イソシアネート基当量比が0.8〜1.2になる。
必要に応じて反応触媒、添加剤等を用いてることもできる。
ポリウレタンエラストマーの製造は、(A)/(B)液を40〜85℃にて混合し、混合液を予め加熱した型に注入し、50〜160℃の温度にて一次架橋させる。この一次架橋の後、100〜170℃で二次架橋させ、熟成することによって行うことができる。
本発明の組成物を使用して得られるポリウレタンエラストマーは、ロール、タイヤ、パイプ、OA機器等種々の分野に於いて有用である。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、特定のポリオールを使用することにより、脱型時間の短縮がはかられる。また得られたエラストマーは、硬さ、引張強さ、伸び、圧縮永久歪み等の一般的な物理特性を改善できる。また物理強度の発現性が早く、成形時の脱型時間が短く、注型作業性も良好である。
従来エステル系は、機械強度、耐油性等の利点があり、エーテル系は、耐水性、耐候性等の利点があって用途に応じて使い分ける必要があった。しかし本発明は、前記特性がいずれも良好であり、使い分ける必要がなくなり、あらゆる分野の材料として使用可能である。
【0024】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0025】
合成例1
ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製、ミリオネートMT)100部にトルエン350部を加えて、攪拌しながら40℃に加温し、トリ−n−ブチルホスフィン0.4部添加し、50℃で15時間反応させた後、25℃まで冷却した。この反応生成物をトルエンで洗浄しながら、濾過分離した。次いで40℃で減圧乾燥し、MDIダイマーを得た。GPCで分子内にウレトジオン結合を1個有するMDIダイマーを確認した。更にIRスペクトルの測定で約1772cm−1付近のウレトジオン結合吸収帯及び約2280cm−1付近のNCO基吸収帯が大きく認められた。NCO含量は16.8%であった。
以下このMDIダイマーをMT(2)と略す。
【0026】
本発明に使用した原料の説明。
MT(1) :MDI、日本ポリウレタン工業製、ミリオネートMT
MT(2) :MDIダイマー、NCO含量16.8%
MTL(3):カルボジイミド変性MDI(日本ポリウレタン工業製、ミリオネートMTL、NCO含量29.5%)
MT(4) :異性体含有MDI(4,4′−MDI 71%、2,2′−MDI 1.8%、2,4′−MDI 27.2%)
MT(5) :異性体含有MDI(4,4′−MDI 83.3%、2,2′−MDI 0.9%、2,4′−MDI 15.8%)
ポリオール(A):ポリカプロラクトンポリオール(分子量2000、OH価56.1)
ポリオール(B):ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ポリオール(分子量1000、OH価112)
ポリオール(C):ポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオール(分子量2000、水酸基価56.1)
短鎖ジオール :BHEB
短鎖トリオール :TMP
DBTDL :MDIダイマー解離触媒、ジブチルチンジラウレート
【0027】
本発明に使用した試験方法等の説明
硬さ(JIS A)は、二次架橋終了1週間後に測定した。また脱型時間については、成型物に粘着性がなく、一次キュア温度(130℃)において容易に型から外すことのできる時間とした。
物理特性値は、JIS K 6301に準拠した。
【0035】
実施例13〜18
ポリイソシアネート、ポリオールを表5の条件で使用し、窒素気流下、攪拌しながら、60〜70℃の温度で3時間反応を行い、粘性を持ったプレポリマーA成分を得た。NCO基含量等は、表5に示す。
このようにして得たプレポリマーA成分に(B)成分を表3の条件で使用し、A液、B液を60℃にて、A/B混合液を攪拌、混合した後、真空ポンプ10Torr以下の減圧度で脱泡を行った。このA/B混合液を130℃に予熱した遠心成型機に注入し、一次キュアを130℃で1時間行った。
得られた板状ポリウレタンを、120℃で2時間、二次架橋させた後、更に室温で1週間熟成し、ポリウレタンエラストマーを得た。結果を表6に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
比較例1〜5
ポリイソシアネート、ポリオールを表7の条件で使用し、窒素気流下、攪拌しながら、60〜70℃の温度で3時間反応を行い、粘性を持ったプレポリマーA成分を得た。NCO基含量等は、表5に示す。
このようにして得たプレポリマーA成分に(B)成分を表7の条件で使用し、A液、B液を60℃にて、A/B混合液を攪拌、混合した後、真空ポンプ10Torr以下の減圧度で発泡がおさまるまで脱泡を行った。このA/B混合液を130℃に予熱した遠心成型機に注入し、一次キュアを130℃で1時間行った。得られた板状ポリウレタンを、120℃で2時間、二次架橋させた後、更に室温で1週間熟成し、ポリウレタンエラストマーを得た。結果を表8に示す。
【0039】
【表7】
【0040】
【表8】
Claims (2)
- (A)NCO基末端プレポリマーと(B)長鎖ポリオール、短鎖ジオール及び短鎖トリオールの混合物から成るポリウレタンエラストマー組成物において、
前記NCO基末端プレポリマーのポリイソシアネートとして4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを71〜86重量%、2,2´−及び2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを29〜14重量%含有するジフェニルメタンジイソシアネート、または
4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを71〜86重量%、2,2´−及び2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートを29〜14重量%含有するジフェニルメタンジイソシアネート並びにジフェニルメタンジイソシアネートダイマー及び/もしくはカルボジイミド化変性ジフェニルメタンジイソシアネートを含有するジフェニルメタンジイソシアネート
を用い、前記NCO基末端プレポリマーに用いるポリオールと(B)の長鎖ポリオールがポリカーボネートポリオールとポリカプロラクトンポリオールの混合物、又はポリカーボネートポリオールとポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオールの混合物、或いはポリ(カーボネート・カプロラクトン)ポリオール単独であることを特徴とする2液注型用ポリウレタンエラストマー組成物。 - 請求項1に記載の2液注型用ポリウレタンエラストマー組成物を用いて注型することを特徴とする2液注型用ポリウレタンエラストマーの製造方法。
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