JP3698669B2 - 極ループ送信回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、極ループ送信回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
GSM(移動体通信向けグローバルシステム、Global System for Mobile Communication)規格は、全世界的にずば抜けて成果の豊かな移動体無線規格である。また、多くの加入者が同時にベースステーション(基地局)と通信できるマルチアクセス法として、時分割マルチアクセス法(Time Division Multiple Acess、TDMA)が導入されている。
【0003】
また、GSMの場合、無線チャンネルでの変調方法として、いわゆるGMSK、ガウスの最小シフトキーイングが使用されている。これは、連続的位相変調法の分類に属するものである。GMSKは、とりわけその変調された信号が一定の包絡線を呈し、その結果、送信側で簡単な非線形増幅器を使用できることによって特徴付けられる。
【0004】
また、例えば、インターネットの利用によって増大した帯域幅需要を移動体無線において顧慮するためには、GSMで使用されている位相変調と並んで、追加的に、無線チャンネルに振幅変調を導入すべきである。この場合、伝送すべき情報は、単に信号の位相だけでなく、振幅においてもコード化される。また、この場合、変調信号の包絡線はもはや一定ではない。このように位相および振幅に忠実に信号を伝送するには、線形送信コンセプトが必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、移動体無線回路において、コストの観点とともに重要な点は、回路要素のエネルギー需要を僅少化する、あるいは、高効率を実現することである。これによって、小型軽量電池あるいは小型軽量バッテリのもとで機器の作動時間を長くできる。
【0006】
線形送信特性を得るための可能性は、線形出力増幅器(PA;Power Amplifier )の導入によって特徴付けられる。この出力増幅器には、絶縁体を介して、送信アンテナを接続することができる。
【0007】
しかしながら、線形出力増幅器の効率は約25%〜35%であり、従来のGSM規格で使用可能な、約50%の効率を有している非線形出力増幅器と比べて低い。なお、この効率は、送信された高周波出力と、投入された直流電流出力との比(商)として示されるものである。
【0008】
さらに、エネルギー需要が増大することに加えて、アンテナ出力端に絶縁体が不可欠なこと、および、このコンセプトのもとでベースバンドを含む費用のかかる出力調整を行う必要のあることは短所である。
【0009】
また、実際の運転中でも、さらには送信タイムスロット(Sende-Zeitschlitzes ;バースト)中でも、温度変動・供給電圧変動などに基づいて、出力最終段の増幅特性が変化する可能性がある。加えて、送信機の位置を決定する際の測定バーストを行うと、許可された送信出力の仕様に違反してしまう可能性がある。
【0010】
文献US 4,481,672には、極ループ送信機が記述されている。この送信機では、送信すべき入力信号(この入力信号は、SSB発生器によって供給される)、および、フィードバックされる出力信号(この出力信号は、減衰器によって減衰され、混合器によってより低い周波数平面へと変換される)は、その極要素に、すなわち振幅と位相とに分解される。そして、この分解のために、「極レゾルバ(Polar Resolver);極分解器」が設けられている。極レゾルバは、位相情報を得るために2つの制限器を含んでいる。
【0011】
また、発振器は、位相検出器によって制御される。この位相検出器には、両方の信号の位相位置が伝達(供給)されるようになっている。
【0012】
さらに、差増幅器が設けられており、この差増幅器は、両方の信号の振幅を比較し、発振器によって発生される高周波信号の包絡線を変調するものである。高周波信号は、その後、出力増幅器によって増幅され、フィルターにかけられる(濾波される)。その結果、送信信号が用意される。また、マイナスのスパイクを避けるために、追加的にピーク値サンプリング装置が設けられている。
【0013】
フィードバック分岐を有する極ループ送信機は、位相同期ループ(PLL;Phase Locked Loop )としても解釈できる。
しかしながら、上記の文献からは、マルチアクセス法に関する指摘を読み取ることができない。
【0014】
本発明の課題は、位相変調および振幅変調を伴う移動体無線システムでの送信、および、タイムスロット中での送信に適していて、エネルギー需要の僅かな極ループ送信回路を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の極ループ送信回路は、入力信号を供給する発生器、位相比較信号と関連してその出力端で高周波信号を発生させるための発振器、発振器の出力端に接続されていて、かつ振幅変調信号と関連して高周波信号によって誘導される出力信号を、その出力端に供給する振幅変調器、その出力端で出力信号によって誘導される中間周波信号を供給する第1混合器を有するフィードバック経路、入力信号と中間周波信号との振幅を比較することによって振幅変調信号を供給するための手段、入力信号と中間周波信号との位相を比較することによって位相比較信号を供給するための手段、および、入力側で振幅変調器の出力端に、また、出力側で第1混合器の入力端にそれぞれ接続されていて、制御信号を供給するための制御接続部を有している増幅器を有し、前記位相比較信号(PS)を供給するための手段は、ローパスフィルタ(TP)を後置した位相・周波数検出器(PFD)、それに中間周波信号を供給することのできる第1制限器(LIM1)、および、それに入力信号を供給することのできる第2制限器(LIM2)を含んでいることを特徴としており、これら制限器(LIM1・LIM2)は、出力側で、位相・周波数検出器(PFD)のそれぞれ1つの入力端と接続することができ、バイパス分岐(BP)が設けられており、このバイパス分岐は、第2混合器(M2)を含んでいて、この第2混合器は、発振器(VCO)の出力端に接続されていて、そして位相・周波数検出器(PFD)の入力端に目標信号として供給することのできる別の中間周波信号をその出力端に供給する構成である。
【0016】
また、この極ループ送信回路では、前記振幅変調器は、制御可能な非線形増幅器であることが好ましい。
また、前記増幅器は、送信回路の出力信号を受信するプログラマブル増幅器であることが好ましい。
【0017】
また、この極ループ送信回路では、前記制御接続部に、出力信号の出力を制御するための制御信号を供給できることが好ましい。
【0019】
また、この構成では、スイッチが設けられていて、このスイッチは、調整運転において第2混合器の出力端を位相・周波数検出器の1つの入力端に接続させ、そして送信運転において第1制限器の出力端を位相・周波数検出器の1つの入力端に接続させるように設定されていることが好ましい。
【0020】
また、上記の極ループ送信回路では、振幅変調信号を供給するための手段は、プラス入力端、マイナス入力端および後置されたローパスフィルタを有する差増幅器を含んでいて、プラス入力端には整流された入力信号を、そしてマイナス入力端には整流された中間周波信号をそれぞれ供給できるようになっていることが好ましい。
【0021】
さらに、この構成では、入力信号と中間周波信号を整流するためにそれぞれ1つのダイオード整流器が設けられていることが好ましい。
また、入力信号と中間周波信号とを整流するために、それぞれ1つの同期整流器が設けられていて、これら同期整流器は、出力側で差増幅器のそれぞれ1つの入力端と接続されていることが好ましい。
【0022】
また、上記の極ループ送信回路では、前記フィードバック経路にはランピング増幅器が設けられていて、この増幅器は、送信タイムスロットの開始時および終了時に出力信号の出力を制御するために制御可能な線形増幅器として製造されていることが好ましい。
【0023】
上記の課題は、本発明によれば、入力信号を供給する発生器、位相比較信号と関連してその出力端で高周波信号を発生させるための発振器、発振器の出力端に接続されていて、かつ振幅変調信号と関連して高周波信号によって誘導される出力信号をその出力端に供給する振幅変調器、その出力端で出力信号によって誘導される中間周波信号を供給する第1混合器を有するフィードバック経路、入力信号と中間周波信号との振幅を比較することによって振幅変調信号を供給するための手段、入力信号と中間周波信号との位相を比較することによって位相比較信号を供給するための手段、および、入力側で振幅変調器の出力端に、また、出力側で第1混合器の入力端にそれぞれ接続されていて、制御信号を供給するための制御接続部を有している増幅器を有する極ループ送信回路によって解決される。
【0024】
この送信回路において、振幅変調器と称せられる出力最終段は、非線形増幅器から構成(非線形増幅器として製造)されていてよい。この非線形増幅器は、飽和状態で運転することができる。従って、高い効率(例えば50%)の増幅器を使用できる。
【0025】
また、送信信号およびフィードバック信号を、それぞれ振幅と位相とに分解する、上記した極ループ構造(Architektur )は、全体的に線形伝達特性を示している。従って位相変調のほかに追加的な振幅変調を有している入力信号を、無線チャンネルを介して伝送できる。
【0026】
また、フィードバック経路には、増幅器が設けられている。この増幅器には、入力側に送信回路の出力信号を供給できる。そしてこの増幅器は、出力側で下方混合器として製造されている第1混合器と接続されている。この増幅器は、線形増幅器として製造されていて、そして出力信号を減衰させるのに適しているように設計されていることが望ましい。この線形増幅器によって、出力信号の制御された出力レベル調整を行うことが可能となる。さらに、この増幅器によって、フィードバック経路において、例えば変調法8PSK、位相シフトキーイング法、あるいはその他の直交振幅変調法(QAM)のもとで、とりわけ送信タイムスロット(バースト)に関してTDMA仕様を満たすことが可能となる。
【0027】
特に非線形振幅変調器によって達成できる、上記送信回路の高い全体効率は、移動体への応用(mobilen Anwendungen )において、長い通話時間、あるいは回路の長い運転時間、並びに小型電池あるいは小型バッテリの使用を可能にする。とりわけ、移動体無線において、このことは格別有利である。
【0028】
フィードバック経路における増幅器による出力レベル可調整性は、製造時における出力レベルの補正手間を低減させる。フィードバック経路の開始部に線形増幅器を配置することによって、フィードバック経路に後置された構成部品を、わずかな変動比向けに設計でき、そして簡単な構造とすることができる。送信回路は、温度変動および運転電圧変動と、出力端に接続できるアンテナの遡及作用とに対して、僅かな感度を示し、その結果、振幅変調器の出力端の絶縁体を省略することができる。
【0029】
従来のGSMシステムにおいて導入されたGMSK変調法との下方互換性(Abwartskompatibilitat )を保証するために、いわゆるデュアルモード移動体無線機器を構築する(組み立てる)ことが望ましい。その際に、上記の原理を用いると、送信機内に非線形出力増幅器しか必要でなくなる。すなわち、GMSK向け非線形増幅器、並びに、例えば8PSK向け線形増幅器は必要でなくなる。また、デュアル帯域機器における2つの出力増幅器すらも省略できる。これは、2つの非線形最終段と、2つの線形最終段との代わりに、2つの非線形出力増幅器しか必要でないためである。この場合、デュアル帯域移動体無線機器は、例えば900MHz帯域および1800MHz帯域におけるGSM規格に適している。
【0030】
全体的に述べると、本発明によって、僅かなチップ面積、僅かな経費およびベースバンド素子への簡単な接続を有する、上記した極ループ送信回路を組み立てることができる。極ループ構造は、送信データに関して、非線形最終段、あるいは非線形振幅変調器の線形化をもたらすことができる。この場合、送信データは、位相と振幅とに忠実に増幅される。
【0031】
また、本発明の極ループ送信回路において、振幅変調器を、制御可能な非線形増幅器とすることも好ましい。
非線形増幅器、例えばクラスCの増幅器は、線形増幅器に比べて著しく高い効率を有しているため、その消費電力は僅かである。
【0032】
また、本発明の極ループ送信回路において、フィードバック経路における増幅器を、プログラマブル増幅器(PGC, Programmable Gain Control)とすることも好ましい。この増幅器は、出力信号を減衰させる。なお、この場合の増幅器の減衰度は、出力信号の信号レベルが大きくなるほど、いっそう大きくなる。その際、プログラマブル増幅器は、振幅変調に起因する変動を除いて、その出力端に一定の信号レベルを供給する。この増幅器は、その入力信号に関して、すなわち送信回路の出力信号に関して線形増幅器であって、この線型増幅器は、その入力端にかかっている信号を線形に減衰させる。
【0033】
また、本発明の極ループ送信回路において、フィードバック経路の増幅器の制御接続部に制御信号を供給することも好ましい。この制御信号によって、装置全体の出力端の出力レベルを調整できる。従って、この制御信号は、目標増幅信号(Soll-Verstarkungssignal )である。増幅器は負のフィードバックの分岐に配置されているので、振幅変調器の出力端の出力レベルは、プログラマブル増幅器の増幅度が小さいほど、大きくなる。
【0034】
本発明の極ループ送信回路において、位相比較信号を供給するための手段として、ローパスフィルタを後置した位相・周波数検出器、それに中間周波信号を供給することのできる第1制限器、および、それに入力信号を供給することのできる第2制限器を含んでいるものを用いることも好ましい。
【0035】
上記の制限器は、出力側で位相・周波数検出器のそれぞれ1つの入力端と接続できるものである。また、第1制限器の入力端は、第1混合器の出力端と接続されていてよい。さらに、第2制限器の入力端は、発生器と結合されていてよい。発生器としては、単側波帯発生器として製造されたもの、あるいは、一般的に変調用発生器として製造されたものを使用できる。
【0036】
第1制限器の出力端は、例えばスイッチを介して位相・周波数検出器の入力端に接続されていてよい。第2制限器の出力端は、位相・周波数検出器の別の入力端に接続されていてよい。位相・周波数検出器の出力端は、ローパスフィルタの入力端に接続されていてよい。ローパスフィルタの出力端は、発振器の入力端に接続されていてよい。発振器は、電圧制御発振器であってよい。
【0037】
位相・周波数検出器は、目標位相と実測位相との差を形成するように、すなわち、入力信号と中間周波信号との位相位置の差を形成するように設計されていてよい。
【0038】
本発明の極ループ送信回路において、バイパス分岐が設けられていることも好ましい。また、このバイパス分岐は、発振器の出力端に接続されている、第2混合器を含んでいることが好ましい。さらに、このバイパス分岐は、位相・周波数検出器の入力端に目標信号として供給することのできる別の中間周波信号を、その出力端に供給することが好ましい。
【0039】
上記した送信回路は、タイムスロット(バースト)内での送信に適している。しかしながら、送信タイムスロットが開始されるまで、利用できる出力信号がない。このため、フィードバック信号も、位相・周波数検出器において、同期ループを形成させるために利用できない。このためにバイパス分岐が適しているのであって、このバイパス分岐は、送信タイムスロットの開始前に能動的になり、そして発振器(VCO)のもとで誘導させることのできる信号を第2混合器を用いて中間周波信号へと変換し、この中間周波信号は、例えばスイッチを介して位相・周波数検出器の入力端に供給できる。その際に、第2混合器は、同じ局部発振器に接続されていてよく、この局部発振器には第1混合器も接続されていてよい。
【0040】
バイパス分岐によって送信開始前に同期ループが完成していることによって、送信開始前に既にPLL(位相同期ループ)として解釈できる装置全体のロックを行うことができる。
【0041】
本発明の極ループ送信回路において、スイッチが設けられていることも好ましい。このスイッチは、そのスイッチ位置と関連して、第1制限器の出力端を位相・周波数検出器の1つの入力端と接続させるか、あるいは、第2混合器の出力端を位相・周波数検出器の1つの入力端と接続させるか、のいずれかを選択するものである。
【0042】
本発明の極ループ送信回路において、振幅変調信号を供給するための手段を以下のように構成することも好ましい。すなわち、この手段は、プラス入力端、マイナス入力端および後置されたローパスフィルタを有する差増幅器を含んでいるものである。また、上記のプラス入力端には整流された入力信号が、そしてマイナス入力端には整流された中間周波信号が、それぞれ供給されるようになっている。
【0043】
また、入力信号および中間周波信号を整流するために、それぞれ1つの整流器が設けられていてもよい。また、これらの整流器のうち、第1の整流器は、入力側で発生器に、そして出力側で差増幅器の入力端に、それぞれ接続されていてよい。また、第2の整流器は、入力側でフィードバック経路に、そして出力側で差増幅器の別の入力端にそれぞれ接続されていてよい。差増幅器の出力端には、ローパスフィルタが接続されていてもよく、このローパスフィルタは、その出力端で振幅変調器の制御入力端と接続されていてよい。
【0044】
本発明の極ループ送信回路において、入力信号と中間周波信号を整流するためにそれぞれ1つのダイオード整流器が設けられていることも好ましい。このダイオード整流器は、格別簡単に実現できる。
【0045】
本発明の極ループ送信回路において、入力信号と中間周波信号を整流するためにそれぞれ1つの同期整流器が設けられていることも好ましい。この同期整流器は、信号包絡線を得るために、追加的に補助入力端を介してそれぞれ属する制限された信号(あるいはこの信号用の端子)、例えば制限器の出力端と接続されていてよい。
【0046】
本発明の極ループ送信回路において、フィードバック経路にはランピング増幅器(Ramping-Verstarker)が設けられていることも好ましい。この増幅器は、制御可能な線形増幅器として製造されているものである。この増幅器は、送信タイムスロットの開始時および終了時に出力信号の出力を制御するために用いられる。その際、ランピング増幅器は、その入力端によって第1混合器の出力端に接続されていることが望ましい。
本発明のその他の詳細は、特許請求の範囲の従属請求項の対象である。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、1つの実施形態のもとで本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態(極ループ送信回路)を示すブロック図である。
【0048】
すなわち、この図は、発生器(Generator )SSBを有する極ループ送信回路(Polar-Loop-Sendeschaltung )を示している。この発生器SSBは、その出力端で単側波帯(Single Side Band)信号として発生される信号を供給する。発生器SSBの出力端は、入力信号を極座標に分解するために、制限器LIM2およびダイオード整流器SG1のそれぞれの入力端に接続されている。
【0049】
制限器LIM2は、その出力端に入力信号の位相情報を供給する一方、ダイオード整流器SG1の出力端では入力信号の振幅あるいは包絡線を派生させることができる。
【0050】
位相・周波数検出器PFDにおいて位相位置の差を形成することによって、制限器LIM2によって供給される目標位相情報が、制限器LIM1によって供給される実測位相情報と比較される。位相・周波数検出器PFDは、その出力端に、位相比較信号PSを首尾一貫して供給する。その際に、制限器LIM1の入力端は、フィードバック経路RKに接続されている。
【0051】
位相・周波数検出器PFDの出力端には、ローパスフィルタTPが接続されている。また、このローパスフィルタTPの出力端には、電圧制御発振器VCOが接続されている。
【0052】
出力増幅器として製造された振幅変調器AM(この振幅変調器は、飽和状態で運転される線形増幅器である)は、その入力端が電圧制御発振器VCOの出力端に接続されている。振幅変調器AMは、制御入力端を有していて、この制御入力端には振幅変調信号ASを供給できる。
【0053】
この振幅変調信号ASは、差増幅器DVによって供給される。また、この差増幅器DVの出力端には、ローパスフィルタTPが接続されていて、その際にローパスフィルタTPの出力端は、振幅変調器AMの制御入力端と接続されている。差増幅器DVは、非反転入力端と反転入力端とを有している。そして、非反転入力端には第1ダイオード整流器SG1が接続されている一方、反転入力端には第2ダイオード整流器SG2が接続されている。
【0054】
第1ダイオード整流器SG1の入力端は、発生器SSBと接続されている。従って、第1ダイオード整流器SG1は、その出力端に、目標値として入力信号の振幅情報を供給する。
【0055】
第2ダイオード整流器SG2の入力端は、フィードバック経路RKと接続されている。そして、ダイオード整流器SG2は、その出力端に出力信号から派生された信号の振幅情報、あるいは包絡線を実測値として供給する。
フィードバック経路RKは、プログラマブル増幅器PVの入力端と接続されている、振幅変調器AMの出力端で始まる。
【0056】
プログラマブル増幅器PVは、制御接続部Sを有している。プログラマブル増幅器PVの出力端は、第1混合器M1の第1入力端に接続されている。第1混合器M1の別の入力端には、局部発振器LOが接続されている。
【0057】
第1混合器M1は、その出力端に中間周波信号ZFを供給する。この中間周波信号は、搬送波の周波数を呈していて、この周波数は、高周波信号HFと局所発振器信号とから搬送波周波数を差し引くことによって得ることができる。
【0058】
第1混合器M1の出力端には、ランピング増幅器(Ramping-Verstarker)PRがその入力端でもって接続されている。この増幅器PRの出力端は、一方では制限器LIM1の入力端と、そして他方ではダイオード整流器SG2の入力端と接続されている。また、このランピング増幅器PRは、ランピング信号RSを供給するための接続部を有している。
【0059】
さらに、局部発振器LOは、第2混合器M2の入力端と接続されている。この第2混合器は、電圧制御発振器VCOの出力信号を、別の中間周波信号へと低減させる。このために、第2混合器M2の別の入力端が、電圧制御発振器VCOの出力端に接続されている。また、第2混合器M2は、その出力端でもってスイッチSWに接続されている。このスイッチSWは、第2混合器M2の出力信号を、位相・周波数検出器PFDの入力端に接続することができる。
【0060】
高周波出力端OUTには、例えば、送信アンテナを接続できる。その際に、高周波出力端OUTに供給された出力信号は、発生器SSBの出力端に供給されている入力信号を、その位相と振幅とに忠実に増幅したものである。
【0061】
送信回路の高周波出力端OUTに供給される出力信号は、フィードバック経路のプログラマブル増幅器PVによって減衰させられる。これによって、その出力端には、定義された出力レベル(あるいは予め設定されている出力レベル)を有する高周波信号HFが印加される。なお、この出力レベルは、振幅変調によって惹起された変動を除いて、一定である。
【0062】
制御接続部Sでは、制御信号によって、出力端OUTの出力レベルを制御できる。その際に、プログラマブル増幅器PVは、線形増幅器であって、この増幅器PVは、その入力端に供給できる信号を線形に減衰させる。
これに対し、その出力端に供給される高周波信号HFの電圧は、制御接続部Sに供給できるサーボ信号と非線形に関連している。本実施の形態では、サーボ信号の最下位ビット変化当たり2dBである。
局部発振器LOによって発生できる局部発振器信号によって、第1混合器M1は、高周波信号HFを中間周波信号ZFへと低減させる。
【0063】
また、その入力端に中間周波信号ZFを供給できる出力ランピング増幅器PRは、送信タイムスロット(バースト)の始めに、出力端OUTからの出力信号における出力の制御された上昇調整(上昇制御)をもたらす。また、相応して、この出力ランピング増幅器PRは、送信タイムスロットの終わりに、出力端OUTからの出力における制御された下降調整(下降制御)をもたらす。
このために、ランピング増幅器PRは、制御入力端を有している(呈している)。この制御入力端には、ランピング増幅器PRの増幅度、あるいは減衰度を制御するランピング信号RSを供給できる。
【0064】
スイッチSWを用いてバイパス経路BPを活性化させることによって、既に送信タイムスロットの始めに、位相同期ループのロックがもたらされる。その結果、送信タイムスロットの始めに、制限器LIM1の出力端が位相・周波数検出器PFDの入力端と接続されているように、スイッチSWが切り替えられる。その後、初めて、送信回路の出力のランプ状上昇制御が始まる。
【0065】
出力増幅器(ここでは振幅変調器AMとして製造されている)は、飽和状態で運転される。しかしながら、装置全体の所定の線形性は、極ループ送信構造(極ループ送信アーキテクチャ)のフィードバック経路RKによって達成されるので、僅かなエネルギー需要で回路の運転が可能である。
【0066】
ランピング増幅器PRとバイパス経路BPとを有する回路特徴は、出力端OUTでの出力レベルの制御された調整を可能にしている。そして、それによって、一般にTDMAシステムで見込まれている仕様限界値の遵守を可能にする。
【0067】
振幅変調器AMは、制御可能な非線形出力増幅器として製造されているので、振幅変調器は高い効率を呈している。すなわち、出力と投入された直流電流出力との商(比)は比較的大きく、そして本実施の形態では50%である。
【0068】
本実施の形態にかかる送信回路では、出力端OUTに絶縁体が必要でない。また、発生器SSBは、その出力端に変調信号を供給する発生器として製造されていてもよい。
【0069】
フィードバック経路RKの開始部にプログラマブル増幅器PVを配置することによって、フィードバック経路内のその後の段を、僅かな変動比向けに設計するようにしてもよい。しかし、この場合でも、高い線形性要求を満たすことが好ましい。
【0070】
本実施の形態にかかる制御コンセプトは、温度変動と運転電圧変動とを広範囲にわたり補償するものである。加えて、通常、機器の製造時に生じる、面倒な出力補正、および、これと結びついている経費の上昇を著しく減少させることができる。
【0071】
本実施の形態にかかる振幅変調器(非線形増幅器として製造されていて、場合によっては出力増幅器と称されることもある)は、確立されたGSM規格のもとで導入されている従来のGMSK変調法においても、出力増幅器として用いることができる。従って、今後のデュアルモード機器において、2つの出力増幅器、すなわち、1つの非線形出力増幅器と1つの線形出力増幅器とが必要なのではなく、1つの出力増幅器、すなわち非線形出力増幅器しか必要でなくなる。
このことは、比較的僅かな費用、大幅なコスト削減、およびチップ面積の削減、あるいはプリント基板スペースの削減へとつながる。
【0072】
本実施の形態にかかる送信構造は、今後の移動体無線システム、すなわち、位相変調と並んで振幅変調を呈している変調法に基づいた移動体無線システムへの使用に、格別に適していてる。
【0073】
また、移動体無線回路においては、コストの観点と並んで小型軽量電池、あるいは小型軽量バッテリのもとで機器の作動時間を長くするためには、回路要素の僅かなエネルギー需要、あるいは高い効率が重要であるといえる。
【0074】
また、エネルギー需要が増大することと並んで、アンテナ出力端での所要の絶縁体と、このコンセプトのもとで必要な、ベースバンドの取り入れを伴う手間のかかる出力調整は短所である。
【0075】
また、本発明の課題は、極ループ送信回路を示すことであって、該極ループ送信回路は、位相変調および振幅変調を有する移動体無線システム向けに、そしてタイムスロット内での送信向けに適していて、そしてさらに僅かなエネルギー需要を有している、ともいえる。
【0076】
また、本発明の極ループ送信回路の発生器は、単側波帯発生器として、しかし一般的には変調用発生器として製造されていてよい。
また、本発明の極ループ送信回路に、そのスイッチ位置と関連して第1制限器の出力端を位相・周波数検出器の1つの入力端と接続させるか、あるいは第2混合器の出力端を位相・周波数検出器の1つの入力端と接続させるかのいずれかであるような、スイッチを設けることも好ましい。
【0077】
また、図1に示した構成においては、周波出力端OUTには例えば送信アンテナを接続することができる。その際に高周波出力端OUTに供給された出力信号は、発生器SSBの出力端に供給されている、位相と振幅に忠実に増幅された入力信号であってもよい。
【0078】
また、その入力端に中間周波信号ZFを供給できるところの出力ランピング増幅器PRは、送信タイムスロット(バースト)の始めに出力端OUTの出力信号の出力の制御された上昇制御を、並びに相応して送信タイムスロットの終わりに出力端OUTの出力の制御された下降制御をそれぞれもたらすように設定されていてもよい。
【0079】
また、本発明の要約を、以下のように表現することもできる。すなわち、極ループ送信回路が述べられていて、該送信回路において送信すべき信号とフィードバック信号は、その極要素、すなわち位相と振幅に分解され、そして要素は、位相変調および振幅変調を実現させるために互いに比較される。その際に振幅変調信号(AS)によって制御される振幅変調器(AM)が設けられていて、該振幅変調器は、発振器(VCO)に後置されていて、そして飽和(飽和状態)で運転される非線形増幅器として製造されているのが望ましい。フィードバック経路(RK)において増幅器(PV)が設けられていて、該増幅器は、振幅変調器(AM)の出力信号を減衰させる。ここで取りあげている送信アーキテクチャは、位相変調と振幅変調を呈し、かつ例えば公知のGSM規格に基づいているところの将来の移動体無線システムに適している。
【0080】
【発明の効果】
以上のように、本発明の極ループ送信回路は、入力信号を供給する発生器、位相比較信号と関連してその出力端で高周波信号を発生させるための発振器、発振器の出力端に接続されていて、かつ振幅変調信号と関連して高周波信号によって誘導される出力信号をその出力端に供給する振幅変調器、その出力端で出力信号によって誘導される中間周波信号を供給する第1混合器を有するフィードバック経路、入力信号と中間周波信号との振幅を比較することによって振幅変調信号を供給するための手段、入力信号と中間周波信号との位相を比較することによって位相比較信号を供給するための手段、および、入力側で振幅変調器の出力端に、また、出力側で第1混合器の入力端にそれぞれ接続されていて、制御信号を供給するための制御接続部を有している増幅器を有している。
本発明の極ループ送信回路は、位相比較信号を供給するための手段として、ローパスフィルタを後置した位相・周波数検出器、それに中間周波信号を供給することのできる第1制限器、および、それに入力信号を供給することのできる第2制限器を含んでいる。
上記の制限器は、出力側で位相・周波数検出器のそれぞれ1つの入力端と接続できるものである。また、第1制限器の入力端は、第1混合器の出力端と接続されていてよい。さらに、第2制限器の入力端は、発生器と結合されていてよい。発生器としては、単側波帯発生器として製造されたもの、あるいは、一般的に変調用発生器として製造されたものを使用できる。
第1制限器の出力端は、例えばスイッチを介して位相・周波数検出器の入力端に接続されていてよい。第2制限器の出力端は、位相・周波数検出器の別の入力端に接続されていてよい。位相・周波数検出器の出力端は、ローパスフィルタの入力端に接続されていてよい。ローパスフィルタの出力端は、発振器の入力端に接続されていてよい。発振器は、電圧制御発振器であってよい。
位相・周波数検出器は、目標位相と実測位相との差を形成するように、すなわち、入力信号と中間周波信号との位相位置の差を形成するように設計されていてよい。
本発明の極ループ送信回路において、バイパス分岐が設けられている。また、このバイパス分岐は、発振器の出力端に接続されている、第2混合器を含んでいる。さらに、このバイパス分岐は、位相・周波数検出器の入力端に目標信号として供給することのできる別の中間周波信号を、その出力端に供給する。
上記した送信回路は、タイムスロット(バースト)内での送信に適している。しかしながら、送信タイムスロットが開始されるまで、利用できる出力信号がない。このため、フィードバック信号も、位相・周波数検出器において、同期ループを形成させるために利用できない。このためにバイパス分岐が適しているのであって、このバイパス分岐は、送信タイムスロットの開始前に能動的になり、そして発振器のもとで誘導させることのできる信号を第2混合器を用いて中間周波信号へと変換し、この中間周波信号は、例えばスイッチを介して位相・周波数検出器の入力端に供給できる。その際に、第2混合器は、同じ局部発振器に接続されていてよく、この局部発振器には第1混合器も接続されていてよい。
バイパス分岐によって送信開始前に同期ループが完成していることによって、送信開始前に既にPLL(位相同期ループ)として解釈できる装置全体のロックを行うことができる。
【0081】
この送信回路において、振幅変調器と称せられる出力最終段は、非線形増幅器から構成(非線形増幅器として製造)されていてよい。この非線形増幅器は、飽和状態で運転することができる。従って、高い効率(例えば50%)の増幅器を使用できる。
【0082】
また、送信信号およびフィードバック信号を、それぞれ振幅と位相とに分解する、上記した極ループ構造(Architektur )は、全体的に線形伝達特性を示している。従って位相変調のほかに追加的な振幅変調を有している入力信号を、無線チャンネルを介して伝送できる。
【0083】
また、フィードバック経路には、増幅器が設けられている。この増幅器には、入力側に送信回路の出力信号を供給できる。そしてこの増幅器は、出力側で下方混合器として製造されている第1混合器と接続されている。この増幅器は、線形増幅器として製造されていて、そして出力信号を減衰させるのに適しているように設計されていることが望ましい。この線形増幅器によって、出力信号の制御された出力レベル調整を行うことが可能となる。さらに、この増幅器によって、フィードバック経路において、例えば変調法8PSK、位相シフトキーイング法、あるいはその他の直交振幅変調法(QAM)のもとで、とりわけ送信タイムスロット(バースト)に関してTDMA仕様を満たすことが可能となる。
【0084】
特に非線形振幅変調器によって達成できる、上記送信回路の高い全体効率は、移動体への応用(mobilen Anwendungen )において、長い通話時間、あるいは回路の長い運転時間、並びに小型電池あるいは小型バッテリの使用を可能にする。とりわけ、移動体無線において、このことは格別有利である。
【0085】
フィードバック経路における増幅器による出力レベル可調整性は、製造時における出力レベルの補正手間を低減させる。フィードバック経路の開始部に線形増幅器を配置することによって、フィードバック経路に後置された構成部品を、わずかな変動比向けに設計でき、そして簡単な構造とすることができる。送信回路は、温度変動および運転電圧変動と、出力端に接続できるアンテナの遡及作用とに対して、僅かな感度を示し、その結果、振幅変調器の出力端の絶縁体を省略することができる。
【0086】
従来のGSMシステムにおいて導入されたGMSK変調法との下方互換性(Abwartskompatibilitat )を保証するために、いわゆるデュアルモード移動体無線機器を構築する(組み立てる)ことが望ましい。その際に、上記の原理を用いると、送信機内に非線形出力増幅器しか必要でなくなる。すなわち、GMSK向け非線形増幅器、並びに、例えば8PSK向け線形増幅器は必要でなくなる。また、デュアル帯域機器における2つの出力増幅器すらも省略できる。これは、2つの非線形最終段と、2つの線形最終段との代わりに、2つの非線形出力増幅器しか必要でないためである。この場合、デュアル帯域移動体無線機器は、例えば900MHz帯域および1800MHz帯域におけるGSM規格に適している。
【0087】
全体的に述べると、本発明によって、僅かなチップ面積、僅かな経費およびベースバンド素子への簡単な接続を有する、上記した極ループ送信回路を組み立てることができる。極ループ構造は、送信データに関して、非線形最終段、あるいは非線形振幅変調器の線形化をもたらすことができる。この場合、送信データは、位相と振幅とに忠実に増幅される。
【0088】
また、本発明の極ループ送信回路において、振幅変調器を、制御可能な非線形増幅器とすることも好ましい。
非線形増幅器、例えばクラスCの増幅器は、線形増幅器に比べて著しく高い効率を有しているため、その消費電力は僅かである。
【0089】
また、本発明の極ループ送信回路において、フィードバック経路における増幅器を、プログラマブル増幅器(PGC, Programmable Gain Control)とすることも好ましい。この増幅器は、出力信号を減衰させる。なお、この場合の増幅器の減衰度は、出力信号の信号レベルが大きくなるほど、いっそう大きくなる。その際、プログラマブル増幅器は、振幅変調に起因する変動を除いて、その出力端に一定の信号レベルを供給する。この増幅器は、その入力信号に関して、すなわち送信回路の出力信号に関して線形増幅器であって、この線型増幅器は、その入力端にかかっている信号を線形に減衰させる。
【0090】
また、本発明の極ループ送信回路において、フィードバック経路の増幅器の制御接続部に制御信号を供給することも好ましい。この制御信号によって、装置全体の出力端の出力レベルを調整できる。従って、この制御信号は、目標増幅信号(Soll-Verstarkungssignal )である。増幅器は負のフィードバックの分岐に配置されているので、振幅変調器の出力端の出力レベルは、プログラマブル増幅器の増幅度が小さいほど、大きくなる。
【0098】
本発明の極ループ送信回路において、スイッチが設けられていることも好ましい。このスイッチは、そのスイッチ位置と関連して、第1制限器の出力端を位相・周波数検出器の1つの入力端と接続させるか、あるいは、第2混合器の出力端を位相・周波数検出器の1つの入力端と接続させるか、のいずれかを選択するものである。
【0099】
本発明の極ループ送信回路において、振幅変調信号を供給するための手段を以下のように構成することも好ましい。すなわち、この手段は、プラス入力端、マイナス入力端および後置されたローパスフィルタを有する差増幅器を含んでいるものである。また、上記のプラス入力端には整流された入力信号が、そしてマイナス入力端には整流された中間周波信号が、それぞれ供給されるようになっている。
【0100】
また、入力信号および中間周波信号を整流するために、それぞれ1つの整流器が設けられていてもよい。また、これらの整流器のうち、第1の整流器は、入力側で発生器に、そして出力側で差増幅器の入力端に、それぞれ接続されていてよい。また、第2の整流器は、入力側でフィードバック経路に、そして出力側で差増幅器の別の入力端にそれぞれ接続されていてよい。差増幅器の出力端には、ローパスフィルタが接続されていてもよく、このローパスフィルタは、その出力端で振幅変調器の制御入力端と接続されていてよい。
【0101】
本発明の極ループ送信回路において、入力信号と中間周波信号を整流するためにそれぞれ1つのダイオード整流器が設けられていることも好ましい。このダイオード整流器は、格別簡単に実現できる。
【0102】
本発明の極ループ送信回路において、入力信号と中間周波信号を整流するためにそれぞれ1つの同期整流器が設けられていることも好ましい。この同期整流器は、信号包絡線を得るために、追加的に補助入力端を介してそれぞれ属する制限された信号(あるいはこの信号用の端子)、例えば制限器の出力端と接続されていてよい。
【0103】
本発明の極ループ送信回路において、フィードバック経路にはランピング増幅器(Ramping-Verstarker)が設けられていることも好ましい。この増幅器は、制御可能な線形増幅器として製造されているものである。この増幅器は、送信タイムスロットの開始時および終了時に出力信号の出力を制御するために用いられる。その際、ランピング増幅器は、その入力端によって第1混合器の出力端に接続されていることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる極ループ送信回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
AM 振幅変調器
AS 振幅変調信号
BP バイパス経路
DV 差増幅器
HF 高周波信号
LIM1 制限器
LIM2 制限器
LO 局部発振器
M1 第1混合器
M2 第2混合器
OUT 高周波出力端
PFD 位相・周波数検出器
PR ランピング増幅器
PS 位相比較信号
PV プログラマブル増幅器
RK フィードバック経路
RS ランピング信号
S 制御接続部
SG1 第1ダイオード整流器
SG2 第2ダイオード整流器
SSB 発生器
SW スイッチ
TP ローパスフィルタ
VCO 電圧制御発振器
ZF 中間周波信号
Claims (9)
- 入力信号を供給する発生器(SSB)、
位相比較信号(PS)と関連してその出力端で高周波信号を発生させるための発振器(VCO)、
発振器(VCO)の出力端に接続されていて、かつ振幅変調信号(AS)と関連して高周波信号によって誘導される出力信号を、その出力端(OUT)に供給する振幅変調器(AM)、
その出力端で出力信号によって誘導される中間周波信号(ZF)を供給する第1混合器(M1)を有するフィードバック経路(RK)、
入力信号と中間周波信号との振幅を比較することによって振幅変調信号(AS)を供給するための手段、
入力信号と中間周波信号との位相を比較することによって位相比較信号(PS)を供給するための手段、および、
入力側で振幅変調器(AM)の出力端に、また、出力側で第1混合器(M1)の入力端にそれぞれ接続されていて、制御信号を供給するための制御接続部(S)を有している増幅器(PV)を有し、
前記位相比較信号(PS)を供給するための手段は、
ローパスフィルタ(TP)を後置した位相・周波数検出器(PFD)、
それに中間周波信号を供給することのできる第1制限器(LIM1)、
および、それに入力信号を供給することのできる第2制限器(LIM2)を含んでいることを特徴としており、これら制限器(LIM1・LIM2)は、出力側で、位相・周波数検出器(PFD)のそれぞれ1つの入力端と接続することができ、
バイパス分岐(BP)が設けられており、このバイパス分岐は、第2混合器(M2)を含んでいて、この第2混合器は、発振器(VCO)の出力端に接続されていて、そして位相・周波数検出器(PFD)の入力端に目標信号として供給することのできる別の中間周波信号をその出力端に供給することを特徴とする極ループ送信回路。 - 前記振幅変調器(AM)は、制御可能な非線形増幅器であることを特徴とする、請求項1に記載の極ループ送信回路。
- 前記増幅器(PV)は、送信回路の出力信号を受信するプログラマブル増幅器であることを特徴とする、請求項1あるいは2に記載の極ループ送信回路。
- 前記制御接続部(S)に、出力信号の出力を制御するための制御信号を供給できることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の極ループ送信回路。
- スイッチ(SW)が設けられていて、このスイッチは、調整運転において第2混合器(M2)の出力端を位相・周波数検出器(PFD)の1つの入力端に接続させ、そして送信運転において第1制限器(LIM1)の出力端を位相・周波数検出器(PFD)の1つの入力端に接続させることを特徴とする、請求項1に記載の極ループ送信回路。
- 振幅変調信号(AS)を供給するための手段は、プラス入力端、マイナス入力端および後置されたローパスフィルタ(TP)を有する差増幅器(DV)を含んでいて、プラス入力端には整流された入力信号を、そしてマイナス入力端には整流された中間周波信号をそれぞれ供給できることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の極ループ送信回路。
- 入力信号と中間周波信号を整流するためにそれぞれ1つのダイオード整流器(SG1・SG2)が設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の極ループ送信回路。
- 入力信号と中間周波信号とを整流するために、それぞれ1つの同期整流器(SG1・SG2)が設けられていて、これら同期整流器は、出力側で差増幅器(DV)のそれぞれ1つの入力端と接続されていることを特徴とする、請求項6に記載の極ループ送信回路。
- 前記フィードバック経路(RK)にはランピング増幅器(PR)が設けられていて、この増幅器は、送信タイムスロットの開始時および終了時に出力信号の出力を制御するために制御可能な線形増幅器として製造されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の極ループ送信回路。
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