JP3692750B2 - 送風機用羽根車の翼、及び送風機用羽根車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、送風機用羽根車の翼、特に、内部に中空部を有するとともに中空部から外部に通ずる排出口を有する翼、及びその翼を有する送風機用羽根車に関する。
【0002】
【従来の技術】
送風機用羽根車の翼に関して、送風性能を向上させるために、その断面をエアフォイル形状(厚翼形状)とする技術が広く知られている。エアフォイル形状を採用すると、空気の流入角の変動にかかわらず空気流の剥離が抑制されるので、薄翼のものに較べて送風性能が向上する。
【0003】
そして、薄翼形状のものに較べて翼の重量が増加してしまうというエアフォイル形状の翼の欠点を小さくする対策として、翼を中空構造とする考え方も公知である。
しかし、翼を中空構造とする場合には、2つ以上のシェルを接合して翼を製作するか、あるいはエアアシスト成形により翼を製作することになる。これらの方法により製作された翼には、どうしても翼の外部から中空部に通ずる隙間がある程度生じてしまい、中空部に液体が侵入した場合に凍結等によって羽根車の回転アンバランスを引き起こす。
【0004】
この欠点を抑えるために、特開平9−88890号公報において、積極的に中空部から翼の外部へと通ずる水排出口を設け、回転時の遠心力を利用して侵入してきた水の排出を行う技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような水排出口を翼に設ける場合、その位置は、羽根車がどのような回転位置にあっても水が抜けやすい位置であることが望ましい。例えば、プロペラファンの場合、高性能化を目的として翼の前縁が外周側ほど回転方向前方に位置する形状、いわゆる「前進翼」を有するものが多く、この場合には、図9に示すように水排出口122aを翼103の前縁に設ける必要がある。
【0006】
しかし、翼103の前縁部では、羽根車が回転したときに翼103に流入する空気が負圧面側(図9の上側)で一度剥離して再度付着する現象が起きる(図9の2点鎖線で示す気体の流れ参照)。したがって、このような翼103の前縁部の負圧面側に水排出口122aを設けたのでは、再付着する空気の流れや剥離による空気の渦流が中空部103cへと流れ込み、風きり音が発生して中空部103cにおいて共鳴する。また、翼103の正圧面側(図9の下側)は滑らかな表面でなければならないため、水排出口は設け難い。
【0007】
本発明の課題は、水排出口を備えた中空構造の翼において、羽根車が回転したときに翼の中空部に空気が流れ込む現象を抑え、風きり音や共鳴現象を抑制することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の送風機用羽根車の翼は、シェルと、中空部と、排出口とを備えている。中空部は、シェルの内側に形成される空間である。排出口は、シェルに設けられており、中空部からシェルの外側へと連通している。この翼では、回転時に排出口の回転方向上流側となる部分が、排出口の表面よりも外側に位置している。
【0009】
本請求項の翼を有する送風機用羽根車が回転すると、翼に対して気体(空気)が相対的に流れる。そして、翼の表面には、部分的に、翼表面からの剥離後に再度翼表面に近づく気体の流れができる。
ここで、このように剥離後に再度翼表面に角度をもって近づいてくる気体(以下、再付着気体という。)が翼表面とぶつかる位置に排出口が設けられているとすると、気体が中空部へと流れ込み、風きり音が発生して中空部において共鳴してしまう。しかし、ここでは回転時に排出口の回転方向上流側となる部分を排出口の表面よりも外側に位置するような構造としているため、再付着気体がぶつかる翼表面の位置が排出口の位置よりも下流側となり、また剥離による渦流の発生位置が変わり、羽根車が回転したときに排出口を通って中空部に気体が流れ込む現象が抑えられ、風きり音や共鳴現象が抑制される。
【0010】
請求項2に記載の送風機用羽根車の翼は、シェルと、中空部と、排出口と、突起とを備えている。中空部は、シェルの内側に形成される空間である。排出口は、シェルに設けられており、中空部からシェルの外側へと連通している。突起は、回転時に排出口の回転方向上流側となる部分に位置しており、その表面が排出口の表面よりも外側にある。
【0011】
送風機用羽根車において、もし再付着気体が翼表面とぶつかる位置に排出口が設けられているとすると、気体が中空部へと流れ込み、風きり音が発生して中空部において共鳴してしまう。しかし、ここでは回転時に排出口の回転方向上流側となる部分に排出口の表面よりも外側に位置する表面を持った突起を配置している。このため、再付着気体がぶつかる翼表面の位置が排出口の位置よりも下流側となり、また剥離による渦流の発生位置が変わり、羽根車が回転したときに中空部に気体が流れ込む現象が抑えられ、風きり音や共鳴現象が抑制される。
【0012】
請求項3に記載の送風機用羽根車の翼は、請求項2に記載の翼において、突起はシェルと一体に成形されるものである。
ここでは突起をシェルの一部として一体に成形しているため、別個に突起を接合する等の工程を省くことができる。
請求項4に記載の送風機用羽根車の翼は、請求項2又は3に記載の翼において、突起はなめらかな丘陵状である。
【0013】
ここでは突起を丘陵状としているため、抵抗が少なくなり回転効率も良くなる。
請求項5に記載の送風機用羽根車の翼は、請求項2から4のいずれかに記載の翼において、突起は、排出口に近い側の傾斜部分が排出口から遠い側の傾斜部分よりも急峻であるような形状である。
【0014】
ここでは、排出口に近い側の突起の傾斜を急峻にすることにより、排出口に近い側の突起の表面に沿って流れ排出口に流れ込むような気体の量が減少する。したがって、より中空部に気体が流れ込む現象が抑えられ、風きり音や共鳴現象が抑制される。
請求項6に記載の送風機用羽根車の翼は、請求項2から5のいずれかに記載の翼において、突起は、排出口の回転方向上流側に向かって前方に、排出口の表面よりも盛り上がっている部分を含んだものである。また、突起は、排出口の回転方向上流側に向かって側方に、排出口の表面よりも盛り上がっている部分を含んだものである。
【0015】
送風機用羽根車の翼に流入する気体の流れ方向は、一方向とは限らず、その方向が変動することも多い。例えば、空気調和機用室外機にはL字状の熱交換器が配設されることがあり、この場合には熱交換器の2面から空気が吸い込まれるため、羽根車に流入する空気の方向が変動しやすい。
ここでは、突起が、排出口の回転方向上流側のみならず、回転方向上流側に向かって側方にも排出口の表面よりも盛り上がっている部分を含んでいるため、翼に流入する気体の流れ方向が変動した場合にも排出口への気体の流れ込みを抑えることができる。
【0016】
請求項7に記載の送風機用羽根車の翼は、請求項1に記載の翼において、排出口周辺の表面が内側に窪んでいる。そして、回転時に排出口の回転方向上流側となる部分と排出口周辺の表面との間に段差が存在する。
この翼では、段差によって、回転時に排出口の回転方向上流側となる部分を排出口の表面よりも外側に位置させている。また、排出口周辺の表面を窪ませることにより、剥離による渦流の発生位置及びベクトルを積極的に変え、羽根車が回転したときに中空部に気体が流れ込む現象をより抑制している。
【0017】
請求項8に記載の送風機用羽根車の翼は、シェルと、中空部と、排出口とを備えている。中空部は、シェルの内側に形成される空間である。排出口は、中空部からシェルの外側へと連通するようにシェルに設けられており、回転時に気流がシェルの表面から剥離した後にシェルの表面へ衝突する位置と異なる位置にある。
【0018】
本請求項の翼を有する送風機用羽根車が回転すると、翼に対して気体が相対的に流れる。そして、翼の表面には、部分的に、シェルの表面から剥離した後に再度シェルの表面へ衝突するような気体の流れができる。
ここで、このように剥離後に再度シェルの表面に角度をもって近づいてくる気体(以下、再付着気体という。)がシェル表面とぶつかる位置に排出口が設けられているとすると、気体が中空部へと流れ込み、風きり音が発生して中空部において共鳴してしまう。しかし、ここでは、排出口を、回転時に気流がシェルの表面から剥離した後にシェルの表面へ衝突する位置と異なる位置に配置しているため、再付着気体がぶつかるシェル表面の位置が排出口の位置からずれる。したがって、羽根車が回転したときに排出口を通って中空部に気体が流れ込む現象が抑えられ、風きり音や共鳴現象が抑制される。
【0019】
請求項9に記載の送風機用羽根車の翼は、請求項1から8のいずれかに記載の翼において、排出口はシェルの前縁部に設けられている。
翼の前縁部では、羽根車が回転したときに流入する空気が一度剥離して再度付着する現象が起きやすい。したがって、シェルの前縁部の排出口に対して回転時に排出口の回転方向上流側となる部分が排出口の表面よりも外側に位置するような構造を採ることにより、羽根車が回転したときに翼の中空部に空気が流れ込む現象の抑制及びそれに伴う風きり音や共鳴現象の抑制の効果が大きくなる。
【0020】
請求項10に記載の送風機用羽根車の翼は、請求項2から6のいずれかに記載の翼において、シェルは翼本体と蓋とから構成されている。翼本体は、正圧面側に面する表面を含むものである。蓋は負圧面側に面している。突起は、翼本体の前縁部に一体に形成されている。排出口は蓋の前縁部に設けられている。
ここではシェルが翼本体及び蓋の2体構造となっており、中空部は翼本体と蓋との間に形成される空間となる。排出口は少なくとも蓋の前縁部に設けられており、翼の前縁部に水等の不要な異物が滞留することが抑えられている。また、排出口が、翼本体ではなく、負圧面側の蓋に設けられているため、排出口の存在による翼の抵抗増加が小さく抑えられている。
【0021】
請求項11に記載の送風機用羽根車は、ハブと、請求項1から10のいずれかに記載の複数の送風機用羽根車の翼とを備えている。ハブは、駆動源の回転軸に装着される。翼は、ハブの外周にそれぞれ装着されている。
本請求項の送風機用羽根車は、水排出口を備えた中空構造の翼を有し送風性能及び回転バランスが高い羽根車であって、且つ、羽根車が回転したときに翼の中空部に空気が流れ込む量が少なくなり、風きり音や共鳴現象が減少する。
【0022】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
本発明の一実施形態であるプロペラファン(送風機用羽根車)を図1に示す。プロペラファン1は、図2及び図3に示すような空気調和機用の室外機10において送風を行うために用いられるものである。
【0023】
室外機10は、図2に示すように、熱交換室8及び機械室9から構成されており、両室が仕切り板で仕切られている。熱交換室8には、プロペラファン1を回転軸4aに装着したモーター4と、横断面がL字状である熱交換器5とが配設されており、前面には、桟形状の吹き出しグリル6がはめられている。モーター4によりプロペラファン1が回転すると、図2の2点鎖線で示す矢印の向きに沿って、熱交換器5を通過した空気が吹き出しグリル6から室外機10の前方(図2の下側)へと流れる。なお、プロペラファン1は、図3に示す矢印の向きに回転する。機械室9には、圧縮機ユニット7や図示しない電装品等が配備される。
【0024】
プロペラファン1は、円筒形状のハブ2と、ハブ2の外周面に送風方向に所定の傾斜角を有して接合される3枚の翼3とから構成されている。ハブ2の内周部には、モーター4の回転軸4aと回転不能に嵌合する溝等(図示せず)が形成されている。なお、ここでは3枚の翼を有するプロペラファン1を採用しているが、4枚あるいは5枚の翼を備えるものであっても良い。
【0025】
翼3は、いわゆる前進翼であり、空力性能の向上のために前縁が外周側ほど回転方向に前進している形状のものである(図1及び図3参照)。また、中空構造を採用しており、翼3は、厚翼(エアフォイル形状の翼)且つ軽量の翼となっている。この翼3は、厚翼であるため前縁がまるみを帯びており(図5参照)、翼3にいろいろな方向から流入してくる気流(空気)に対する剥離の発生度合い、特に前縁剥離の発生度合いを減少させることができる。
【0026】
具体的には、翼3は、シェルである翼本体21及び蓋22によって構成されている。図4に翼3の拡大平面図を、図5に翼3の一断面図を示す。翼本体21及び蓋22が超音波接合などによって張り合わせられると、両者21,22の間に中空部3cが形成される(図5参照)。
翼本体21は、図5に示すように、中実翼に凹部21aを設けたような断面形状であって、前部3a、中間薄肉部21b、及び後部3bから成る。凹部21aの周囲には段差部21cが形成されており、この段差部21cに蓋22の周端部分がはまり込む。また翼本体21には、図4に示すように、段差部21cに突出する位置決め突出部21e及び21fが形成されている。また、翼本体21の前部3aの外周部分には、負圧面側(図7の上側)に膨らむ突起23が一体に形成されている。突起23については、後述する。
【0027】
蓋22は、薄肉のシェルであり、前縁が外周側において前方に延びている曲面形状である。蓋22の縁はなめらかな曲線を描いているが、外周側前縁部、外周側後縁部、及び内周側後縁部には、それぞれ外周側前縁排出口22a、外周側後縁排出口22b、及び内周側後縁排出口22cが形成されている(図1及び図4参照)。これらの排出口22a,22b,22cは、中空部3cから翼3の外側へと連通している。また、蓋22の外周端縁及び内周端縁のほぼ中央部分には、位置決め用くぼみ22d,22eが形成されている。これらのくぼみ22d,22eは、蓋22を翼本体21にはめ合わせるときに、位置決め突出部21e,21fと係合させる。
【0028】
突起23は、翼本体21と一体に形成されるものであって、前部3aの外周部分において負圧面側に膨らんでいる。図6及び図7に示す点Pは、突起23の頂点を示している。この突起23は、プロペラファン1の回転時に外周側前縁排出口22aの回転方向上流側となる部分に位置し、その表面が外周側前縁排出口22aの表面よりも外側にある。また、突起23はなめらかな丘陵状であり、外周側前縁排出口22aに近い側の後方傾斜面23bが外周側前縁排出口22aから遠い側の前方傾斜面23aよりも急峻となっている(図7参照)。さらに、突起23は、外周側前縁排出口22aの回転方向上流側に向かっての前方部分だけではなく、外周側前縁排出口22aの回転方向上流側に向かっての側方部分にもまたがって、外周側前縁排出口22aの表面よりも盛り上がっている(図6参照)。
【0029】
本実施形態のプロペラファン1が回転すると、翼3に対して空気が流入する。そして、翼3の表面には、部分的に、翼3の表面から一旦剥離した後に再度翼3の表面に近づく気体の流れが発生する。
ここで、図9に示すように翼103の表面に角度をもって近づいてくる空気(以下、再付着気体という。)が翼103の表面とぶつかる位置に水排出口122aが設けられているとすると、空気が中空部103cへと流れ込み、風きり音が発生して中空部103cにおいて共鳴を起こしてしまう。
【0030】
これに対し、本実施形態のプロペラファン1の翼3では、回転時に外周側前縁排出口22aの回転方向上流側となる部分に突起23を配置しているため、図8に示すように、再付着気体がぶつかる翼3の表面の位置(蓋22の表面の位置)が外周側前縁排出口22aの位置よりも下流側となり、また剥離による渦流の発生位置及びベクトルが変わり、中空部3cに空気が流れ込む現象が抑えられ、風きり音や共鳴現象が抑制される(図8の2点鎖線で示す空気の流れ参照)。
【0031】
言い換えれば、突起23を形成したことにより、プロペラファン1の回転時に翼本体21の表面から剥離した後に気流が蓋22の表面へ衝突する位置と異なる位置に、外周側前縁排出口22aを位置させたことになる。
また、ここでは突起23を翼本体21の一部として一体に形成しているため、突起を接合する等の工程が必要とされず、突起23を丘陵状としているため、プロペラファン1の回転抵抗が少なくなり回転効率が良い。
【0032】
また、後方傾斜面23bの傾斜を前方傾斜面23aの傾斜よりも急峻にしているため、後方傾斜面23bに沿って流れて外周側前縁排出口22aに流れ込む空気の量が減少する。これにより、中空部30cに空気が流れ込む現象がより抑えられており、風きり音や共鳴現象も抑制されている。
また、空気調和機用室外機10にはL字状の熱交換器5が配設されており、熱交換器5の2面から空気が吸い込まれるため、翼3に流入する空気の方向が変動しやすい。これに対し本実施形態のプロペラファン1では、突起23が、外周側前縁排出口22aの回転方向上流側のみならず、回転方向上流側に向かって側方にも外周側前縁排出口22aの表面よりも盛り上がっている部分を含んでいるため、翼3に流入する空気の流れ方向が変動した場合にも外周側前縁排出口22aへの空気の流れ込みを抑えることができる。
【0033】
また、翼3の蓋22には、外周側前縁部、外周側後縁部、及び内周側後縁部に、それぞれ外周側前縁排出口22a、外周側後縁排出口22b、及び内周側後縁排出口22cが形成されている。したがって、プロペラファン1がどのような回転位置にある場合でも、各翼3の中空部3c内に流入した雨水が排出されやすい。さらに、プロペラファン1の回転により中空部3c内の水に遠心力が作用すると、外周側前縁排出口22a及び外周側後縁排出口22bから翼3の外部へと効果的に排出される。
【0034】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、翼3の前縁に設けられる外周側前縁排出口22aよりも上流側に突起23を形成することにより(図8等参照)中空部3cへの空気の流入を抑えているが、下記のような構成によって翼の中空部への空気の流入を抑えることもできる。なお、翼の外周側前縁部以外の構成については、上記第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0035】
本実施形態の翼30は、中空構造を採用しており、シェルである翼本体41及び蓋42によって構成され、両者41,42の間に中空部30cが形成される(図10参照)。
翼本体41は、中実翼に凹部を設けたような断面形状であって、前部30a、中間薄肉部41b、及び後部から成る。凹部の前側及び後側に形成された段差に蓋42の周端部分がはまり込む。
【0036】
蓋42の外周側前縁部には、表面が中空部30c側に凹んでいる窪み部42fが形成されている。その窪み部42fの前端には、翼本体41と隣接する外周側前縁排出口42aが形成されている(図10参照)。この外周側前縁排出口42aは、中空部30cから翼30の外側へと連通している。
翼本体41と蓋42とが接合されると、翼30の前縁部分は、図10に示すような状態となる。すなわち、翼30の前縁の負圧面側表面は、排出口42aの周辺において他の表面よりも窪んでおり、排出口42aの下流側はなめらかな傾斜を描き、排出口42aの上流側は翼本体41による急峻な壁面(段差)50となる。また、この壁面50は、排出口42aの上流側に向かっての前方部分だけではなく、排出口42aの上流側に向かっての側方部分にもまたがって存在する。
【0037】
本実施形態の翼30が回転すると、翼30に対して空気が相対的に流れる。そして、翼30の表面には、部分的に、翼30の表面からの一旦剥離した後に再度翼30の表面に近づく気体の流れができる。
ここで、図9に示すように翼103の表面に角度をもって近づいてくる空気(以下、再付着気体という。)が翼103の表面とぶつかる位置に水排出口122aが設けられているとすると、空気が中空部103cへと流れ込み、風きり音が発生して中空部103cにおいて共鳴してしまう。
【0038】
これに対し、本実施形態の翼30では、回転時に外周側前縁排出口42aの上流側となる部分に壁面50が存在しているため、図10に示すように、再付着気体がぶつかる翼30の表面の位置(蓋42の表面の位置)が外周側前縁排出口42aの位置よりも下流側となり、また壁面50及び窪み部42fの存在によって剥離による渦流の発生位置及びベクトルを積極的に変えており(図10の2点鎖線で示す空気の流れ参照)、中空部30cに空気が流れ込む現象が抑えられ、風きり音や共鳴現象が抑制されている。
【0039】
また、壁面50の傾斜が急峻であるため、壁面50に沿って流れて外周側前縁排出口42aに流れ込む空気の量が減少する。これにより、中空部30cに空気が流れ込む現象がより抑えられ、風きり音や共鳴現象も抑制されている。
また、壁面50が、外周側前縁排出口42aの上流側のみならず、上流側に向かって側方にも存在するため、翼30に流入する空気の流れ方向が変動した場合にも外周側前縁排出口42aへの空気の流れ込みを抑えることができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明では、回転時に排出口の上流側となる部分を排出口の表面よりも外側に位置するような構造であるため、再付着気体がぶつかる翼表面の位置が排出口の位置よりも下流側となり、また剥離による渦流の発生位置が変わって、羽根車が回転したときに排出口を通って中空部に気体が流れ込む現象が抑えられ、風きり音や共鳴現象が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるプロペラファンの斜視図。
【図2】空気調和機用室外機の横断平面図。
【図3】空気調和機用室外機の正面図。
【図4】翼付近の拡大平面図。
【図5】図4のV−V断面図。
【図6】図4のVI拡大図。
【図7】図6のVII −VII 断面図。
【図8】第1実施形態の翼の前縁における気流図。
【図9】従来の翼の前縁における気流図。
【図10】第2実施形態の翼の前縁における気流図。
【符号の説明】
1 プロペラファン(送風機用羽根車)
2 ハブ
3 翼
3a 前部(前縁部)
3b 後部
3c 中空部
21,41 翼本体(シェル)
22,42 蓋(シェル)
22a,42a 外周側前縁排出口(排出口)
23 突起
50 壁面(段差)
Claims (11)
- シェル(21,22),(41,42)と、
前記シェル(21,22),(41,42)の内側に形成される中空部(3c),(30c)と、
前記中空部(3c),(30c)から前記シェル(21,22),(41,42)の外側へと連通する、前記シェル(21,22),(41,42)に設けられた排出口(22a),(42a)と、
を備え、
回転時に前記排出口(22a),(42a)の回転方向上流側となる部分が、前記排出口(22a),(42a)の表面よりも外側に位置する、送風機用羽根車の翼(3),(30)。 - シェル(21,22)と、
前記シェル(21,22)の内側に形成される中空部(3c)と、
前記中空部(3c)から前記シェル(21,22)の外側へと連通する、前記シェル(21,22)に設けられた排出口(22a)と、
回転時に前記排出口(22a)の回転方向上流側となる部分に位置し、その表面が前記排出口(22a)の表面よりも外側にある突起(23)と、
を備えた送風機用羽根車の翼(3)。 - 前記突起(23)は前記シェル(21,22)と一体に成形される、請求項2に記載の送風機用羽根車の翼(3)。
- 前記突起(23)はなめらかな丘陵状である、請求項2又は3に記載の送風機用羽根車の翼(3)。
- 前記突起(23)は、前記排出口(22a)に近い側の傾斜部分(23b)が前記排出口(22a)から遠い側の傾斜部分(23a)よりも急峻である、請求項2から4のいずれかに記載の送風機用羽根車の翼(3)。
- 前記突起(23)は、前記排出口(22a)の回転方向上流側に向かって前方及び側方に、前記排出口(22a)の表面よりも盛り上がっている部分を含んでいる、請求項2から5のいずれかに記載の送風機用羽根車の翼(3)。
- 前記排出口(42a)周辺の表面が内側に窪んでおり、
回転時に前記排出口(42a)の回転方向上流側となる前記部分と前記排出口(42a)周辺の表面との間に段差(50)が存在する、請求項1に記載の送風機用羽根車の翼(30)。 - シェル(21,22),(41,42)と、
前記シェル(21,22),(41,42)の内側に形成される中空部(3c),(30c)と、
前記中空部(3c),(30c)から前記シェル(21,22),(41,42)の外側へと連通し、回転時に気流が前記シェル(21,22),(41,42)の表面から剥離した後に前記シェル(21,22),(41,42)の表面へ衝突する位置と異なる位置に、前記シェル(21,22),(41,42)に設けられた排出口(22a),(42a)と、
を備えた送風機用羽根車の翼(3),(30)。 - 前記排出口(22a),(42a)は前記シェル(21,22),(41,42)の前縁部(3a),(30a)に設けられている、請求項1から8のいずれかに記載の送風機用羽根車の翼(3),(30)。
- 前記シェル(21,22)は、正圧面側に面する表面を含む翼本体(21)と、負圧面側に面する蓋(22)とから構成されており、
前記突起(23)は前記翼本体(21)の前縁部に一体に形成されており、
前記排出口(22a)は前記蓋(22)の前縁部に設けられている、
請求項2から6のいずれかに記載の送風機用羽根車の翼(3)。 - 駆動源の回転軸(4a)に装着されるハブ(2)と、
前記ハブ(2)の外周に装着されている、請求項1から10のいずれかに記載の複数の送風機用羽根車の翼(3),(30)と、
を備えた送風機用羽根車(1)。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35312897A JP3692750B2 (ja) | 1997-12-22 | 1997-12-22 | 送風機用羽根車の翼、及び送風機用羽根車 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35312897A JP3692750B2 (ja) | 1997-12-22 | 1997-12-22 | 送風機用羽根車の翼、及び送風機用羽根車 |
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-
1997
- 1997-12-22 JP JP35312897A patent/JP3692750B2/ja not_active Expired - Lifetime
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