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JP3689131B2 - 不粘着性、耐引掻性で且つ耐薬品性の塗料のためのバインダーとしてのポリマー水性分散物 - Google Patents

不粘着性、耐引掻性で且つ耐薬品性の塗料のためのバインダーとしてのポリマー水性分散物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも2種類のラテックスポリマーの混合物より成りそして分散物の造膜の間に作用する架橋剤を含有する室温で自己架橋する分散物、この分散物を製造する方法および特に木材および合成樹脂のための不粘着性、耐引掻性(scratch−resistant)で且つ耐薬品性の塗料のバインダーとしてこの分散物を用いることに関する。
【0002】
【従来技術】
ヨーロッパ特許出願公開第466,409号明細書から、20℃より低いTgを有するラテックスポリマーを含有する軟質分散物を25〜65℃の範囲内のTgを持つラテックスポリマーを含有する硬質分散物と混合することによって、揮発性有機溶剤を添加せずに室温で造膜して高い不粘着性塗料をもたらすバインダーが得られることが公知である。しかしながらこれらの塗料の欠点は、薬品の作用に対しての耐久性が低いこと、例えば洗浄剤および飲料液と接触した際の耐久性が低い点である。別の欠点は塗膜の耐引掻性が低い点である。
【0003】
更に、ヨーロッパ特許出願公開第332,011号明細書から、段階的乳化共重合によって製造される65〜110℃の最低造膜温度(MFT)を有する硬質分散物を20〜60℃のMFTを有する軟質分散物と混合することによって、特に木材の被覆に適する粘弾性で透明且つ研磨可能性塗膜が得られる。しかしながら、この場合の軟質分散物のMFTが比較的に高いために、相応する混合物が室温で造膜するのを確実にするために比較的に多量の造膜助剤を使用しなければならない。
【0004】
更にヨーロッパ特許第184,091号明細書には、多段階乳化重合によって、低いMFTを有しそして高い不粘着性の塗膜を形成する自己架橋性のポリマー水性分散物を製造することが可能であることが開示されている。しかしながらこの塗膜も耐引掻性に関しては不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
それ故に本発明の課題は、MFTが0〜50℃の範囲内にあり、その結果室温で造膜することを確実にするのに少量の造膜助剤しか必要としないかまたは造膜助剤を必要とすることなく、そして高い不粘着性および良好な耐引掻性および家庭用薬剤に対して良好な耐久性を示す塗料を製造するのに適している分散物を提供することにあった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、適する分散物がカルボニル基を持つ軟質ラテックスポリマーAを含有する少なくとも1種類の分散物および硬質ラテックスポリマーBを含有する少なくとも1種類を特定割合含有する分散物を多官能性カルボン酸ヒドラジドCと混合することによって得られることを見出した。
【0007】
それ故に本発明は、20℃以下のMFTを有する少なくとも1種類のカルボニル基含有軟質ラテックスポリマーA、25℃以上のMFTを有する少なくとも1種類の硬質ラテックスポリマーBおよび少なくとも1種類の多官能性カルボン酸ヒドラジドCを含有し、A:Bの比が70:30〜30:70(さらには40:60〜60:40)である、0〜50℃のMFTを有する水性分散物に関する。
【0008】
軟質ラテックスポリマーAを含む分散物は好ましくは0〜19℃、特に好ましくは5〜16℃のMFTを有している。ラテックスポリマーAは好ましくは、以下のモノマー単位より成る:
a)99〜60重量% 、特に好ましくは95〜75重量% のアクリル酸エステルおよび/ またはメタクリル酸エステルおよび/ またはスチレンおよび/ またはスチレン誘導体、
b)0.5〜5重量% 、特に好ましくは1〜3重量% のα,β−不飽和モノカルボン酸および/ またはα,β−不飽和ジカルボン酸、
c)0.5〜30重量% 、特に好ましくは1〜10重量% のカルボニル基含有α,β−不飽和化合物および
d)0〜5重量% 、特に好ましくは0〜3重量% のα,β−不飽和カルボン酸アミド。
【0009】
この分散物は好ましくは50℃より高い、特に70〜110℃のMFTを有する硬質ラテックスポリマーBを含んでいる。このラテックスポリマーBは好ましくは以下のモノマー単位より成る:
a)99.5〜70重量% 、好ましくは95〜75重量% のアクリル酸エステルおよび/ またはメタクリル酸エステルおよび/ またはスチレンおよび/ またはスチレン誘導体
b)0.5〜5重量% 、好ましくは1〜3重量% のα,β−不飽和モノカルボン酸および/ またはα,β−不飽和ジカルボン酸、
c)0〜20重量% 、好ましくは0.5〜10重量% のカルボニル基含有α,β−不飽和化合物および
d)0〜5重量% 、好ましくは0〜3重量% のα,β−不飽和カルボン酸アミド。
【0010】
特にa)として適する成分はC1 〜C12の一価アルコール、好ましくはC1 〜C8 の一価アルコールのアクリル酸−およびメタクリル酸エステル、例えばエチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートおよびブチルメタクリレート、およびスチレンおよびアルキル置換されたスチレン、好ましくはスチレンおよびビニルトルエンがある。公知の軟質化モノマー、例えばブチルアクリレートおよびエチルヘキシルアクリレートと公知の硬質化モノマー、例えばメチルメタクリレートおよびスチレンとの割合を適当に選択する場合には、分散物のMFTを何れの場合にも、<20℃のMFTを有する軟質ラテックスポリマーAと>25℃のMFTを有する硬質ラテックスポリマーBを持つ様に、調製するこができる。硬度および軟度を高め且つ一般に使用されるモノマーおよび得られる分散物のMFTへのそれぞれの割合の影響は、例えばHouben−Weyl、“Methoden der Organischen Chemie(有機化学の方法)”、第4版、第E20巻、第1154〜1155頁、G.Tieme出版社、シュトットガルト、1987に説明されている。
【0011】
α,β−不飽和モノ−および/またはジカルボン酸b)としては、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸を用いるのが有利である。
本発明によれば、安定なカルボニル基含有α,β−不飽和化合物c)は少なくとも1つのアルデヒド−またはケトン基を含有しており、例えばアクロレイン、メタアクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、2−ブタノンメタクリレートおよびビニルアセトアセテートがある。
【0012】
アクリルアミドおよびメタクリルアミドはα,β−不飽和カルボン酸アミドd)として有利に使用される。
ラテックスポリマーAおよびBの他に同様に本発明の分散物の一成分である多官能性カルボン酸ヒドラジドCは少なくとも2つのヒドラジド基を有する。例えばアジピン酸ジヒドラジド、蓚酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドおよびポリアクリル酸ポリヒドラジドがある。多官能性カルボン酸ヒドラジドCは好ましくは、ヒドラジド基と、モノマーc)によってAおよびB中に導入されるカルボニル基の合計とのモル比1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1で分散物中に存在しているのが有利である。
【0013】
本発明は、ラテックスAを含有する少なくとも1種類の分散物、ラテックスBを含有する少なくとも1種類の分散物および少なくとも1種類の多官能性のカルボン酸ヒドラジドCを混合することによって本発明の水性分散物を製造する方法にも関する。
【0014】
ラテックスポリマーAおよびBを含む分散物は乳化重合によってそれぞれ別々に製造する。この方法の場合には、水性相において乳化剤および開始剤の存在下に60〜95℃の温度でモノマーを乳化しそして重合する。
【0015】
この分散物においては、ポリマー含有量を基準として3重量% まで、好ましくは2重量% までの一般的な使用量のイオン系乳化剤および6重量% まで、好ましくは4重量% までの一般的な使用量の非イオン性乳化剤を、実質的に過剰でないように使用する。使用する非イオン系乳化剤の例にはアルキルポリグリコールエーテル、ラウリル−、オレイル−またはステアリルアルコールのエトキシル化生成物、直鎖状のまたは枝分かれした合成アルコールまたは混合物、例えばヤシ油脂肪アルコール、アルキルフェノール−ポリグリコールエーテルのエトシル化生成物、例えばオクチルフェノールまたはノニルフェノール、ジイソプロピルフェノール、トリイソプロピルフェノールのまたはジ−またはトリ−第三ブチルフェノールのエトキシル化生成物、またはポリプロピレンオキサイドのエトキシル化生成物がある。もっとも適するイオン性乳化剤は第一アニオン系乳化剤である。これらはアルキル−、アリール−またはアルキルアリールスルファートまたは−ホスファートのアルカリ金属塩または−アンモニウム塩、またはアルキル−、アリール−またはアルキルアリールスルホナートまたは−ホスホナートのアルカリ金属塩または−アンモニウム塩、または他のアニオン末端基を持つ化合物であってもよく、これらは炭化水素残基とアニオン基との間にオリゴ−またはポリエチレンオキサイド単位を有していてもよい。代表的な例にはラウリル硫酸ナトリウム、オクチルフェノールグリコールエーテル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルジグリコール硫酸ナトリウム、トリ−第三ブチルフェノール−ペンタグリコール硫酸アンモニウムまたはトリ−第三ブチルフェノール−オクタグリコール硫酸アンモニウムがある。
【0016】
使用される保護コロイドは、場合によっては天然の物質、例えばアラビアゴム、澱粉、アルギン酸塩または変性された天然物質、例えばメチル−、エチル−、ヒドロキシアルキル−またはカルボキシメチルセルロースまたは合成物質、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの物質の混合物である。変性したセルロース誘導体および合成保護コロイドを用いることも可能であり且つ有利である。しかしながらこれらの保護コロイドを用いる可能性は、当業者に知られている通り、上記のモノマー系を使用する場合だけに限定される。使用可能な量はふつうは少なく、例えば0.001〜1重量% であり、添加物の相容性および性質をそれぞれ別々に試験しなければならない。
【0017】
重合を開始しそして継続するために、油溶性のおよび/または好ましくは水溶性の遊離基開始剤またはレドックス系が使用される。適する例には過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウムまたはペルオキソ二硫酸アンモニウム、ジベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、トリ−第三ブチルペルオキシド、およびアゾビスイソブチロニトリルがあり、これらは単独でまたは還元剤、例えば亜硫酸水素ナトリウム、ロンガリット(Rongalit)、グルコース、アスコルビン酸および還元作用をする他の化合物と一緒に使用される。
【0018】
更に、分子量調整剤、例えばチオールおよび乳化重合用として当業者に知られている他の慣用の助剤を用いることも可能である。また、本発明の高品質分散物の製造は、ここには何も説明しないが、乳化重合の分野で一般的に知られている手段を用いることを前提にしている。
【0019】
本発明に従って、ラテックスポリマ−AおよびBを含有する分散物は、個々の分散物の固形分含有量を基準として好ましくは70:30〜30:70、特に好ましくは60:40〜40:60の割合で混合し、その結果として得られるポリマー分散物のMFTを0〜50℃の範囲内、好ましくは0〜30℃の範囲内である。特に透明な塗膜を得る為には、透明なポリマー多層系に関するH.J.Biangardi、H.Sturm、G.Kostersitz in Angew.Makromol.Chem.183(1990)、第221〜241頁のコメントと同様に、同じ屈折率および100nmより小さいラテックス粒子径を持つラテックスポリマーAおよびBを混合することによって、行うことが可能である。
【0020】
ラテックスポリマーAを含む分散物、ラテックスポリマーBを含む分散物および多官能性カルボン酸ヒドラジドCは任意の順序で一緒にすることができる。多官能性のカルボン酸ヒドラジドCを実質的に個々の分散物を製造している間に、一方の分散物または両方の分散物に添加してもよい。
【0021】
更に本発明は、本発明の分散物を透明塗料および顔料含有塗料のためのバインダーとして使用することにも関する。
本発明の分散物を基礎成分として用い木工用またはプラスチック用の塗料を製造することができる。これらの塗料は慣用の添加物、例えば湿潤剤、例えばアミノメチルプロパノール、消泡剤、例えばシリコーン油および鉱油、ポリアクリレートまたはポリウレタンを基礎とするシックナー、パラフィンまたはポリエチレンを主成分とするワックス、造膜助剤、例えばTexanol(登録商標)またはブチルジグリコール、保存剤、艶消し剤および当業者に知られている他の添加物を用いて製造することができる。
【0022】
本発明の分散物は室温でも架橋しそして、塗料で用いた場合に、改善された塗膜特性および特に耐引掻性および、慣用の分散物混合物に関して著しく増加した不粘着性をもたらす。
【0023】
【実施例】
以下の例に記載の部および百分率は他の表示がない限り重量に関する。不粘着性を試験する為に、The Leneta Company、ニューヨークの隠蔽力試験紙を分散物で被覆する(50μm のウエット塗膜厚さ)。室温で24時間乾燥した後に、塗布された二枚の試験紙を被覆された側を互いに重ねて置きそして40℃で1時間、3.1×104 N/m2 (0.32kp/cm2 )の荷重を負荷する。次に互いの試験紙を分離するのに必要とされる力を測定する。
【0024】
例1(実施例)
分散物A1:モノマーエマルジョンを最初に製造する。この目的で
390部の水、
13部の、約7個のエチレンオキサイド単位を持つC11アルキルエーテル硫酸ナトリウム(45% 濃度)、
15部のメタクリル酸、
375部のメチルメタクリレート、
375部のブチルアクリレートおよび
23部のジアセトンアクリルアミド
を、安定なエマルジョンが生ずるまで高速攪拌機を用いて攪拌する。次いで適当な反応容器中で、
400部の水、
13部の、約7個のエチレンオキサイド単位を持つC11アルキルエーテル硫酸ナトリウム(45% 濃度)および
50部のモノマーエマルジョン
を83℃に加熱しそして、10部の水に溶解した0.4部のペルオキソ二硫酸アンモニウムを添加する。次に残りのモノマーエマルジョンを3.5時間に渡って、40部の水に溶解した2.3部のペルオキソ二硫酸アンモニウムと一緒に配量供給する。更に加熱を60分継続し、次いで混合物を冷却する。pHを25% 濃度アンモニア溶液にて9.0に調節する。分散物の固形分含有量は約48% であり、MFTは約15℃である。
【0025】
分散物B1: 分散物B1は分散物A1と同様に製造するが、以下のモノマーエマルジョンを使用する:
390部の水、
13部の、約7個のエチレンオキサイド単位を持つC11アルキルエーテル硫酸ナトリウム(45% 濃度)、
15部のメタクリル酸、
675部のメチルメタクリレート、
75部のブチルアクリレートおよび
23部のジアセトンアクリルアミド。
【0026】
分散物B1の固形分含有量は約48% であり、MFTは>50℃である。
500部の分散物A1および500部の分散物B1を7部のアジピン酸ジヒドラジドと十分に混合する。得られる分散物は約48% の固形分含有量および約20℃のMFTを有している。
【0027】
例2(実施例)
分散物A2:例1に記載した通り、以下の組成の安定なモノマーエマルジョンを最初に製造する:
397部の水、
13部の、約7個のエチレンオキサイド単位を持つC11アルキルエーテル硫酸ナトリウム(45% 濃度)、
15部のメタクリル酸、
413部のメチルメタクリレート、
337部のエチルヘキシルアクリレートおよび
30部のジアセトンアクリルアミド。
次いで適当な反応容器中で、
400部の水、
13部の、約7個のエチレンオキサイド単位を持つC11アルキルエーテル硫酸ナトリウム(45% 濃度)および
50部のモノマーエマルジョン
を83℃に加熱しそして、10部の水に溶解した0.4部のペルオキソ二硫酸アンモニウムを添加する。次に残りのモノマーエマルジョンを3.5時間に渡って、40部の水に溶解した2.3部のペルオキソ二硫酸アンモニウムと一緒に配量供給する。更に加熱を60分継続し、次いで混合物を冷却する。pHを25% 濃度アンモニア溶液にて9.0に調節する。分散物の固形分含有量は約48% であり、MFTは約17℃である。
【0028】
分散物B2: 分散物B2は分散物A2と同様に製造するが、以下のモノマーエマルジョンを使用する:
373部の水、
13部の、約7個のエチレンオキサイド単位を持つC11アルキルエーテル硫酸ナトリウム(45% 濃度)、
15部のメタクリル酸、
675部のメチルメタクリレート、
75部のエチルヘキシルアクリレートおよび
8部のジアセトンアクリルアミド。
【0029】
分散物B2の固形分含有量は約48% であり、MFTは>50℃である。
550部の分散物A2および450部の分散物B2を6部のアジピン酸ジヒドラジドと十分に混合する。得られる分散物は約48% の固形分含有量および約23℃のMFTを有している。
【0030】
例3(比較例)
分散物A3とB3の両方を例1と同様に製造するが、ジアセトンアクリルアミドをそれぞれのモノマーエマルジョンで使用しない点が例1と相違する。更に、アジピン酸ジヒドラジドを分散物の混合後に添加しない。
【0031】
得られる分散物は約48% の固形分含有量および約20℃のMFTを有している。
例4(比較例)
分散物A4:モノマーエマルジョンを最初に製造する。この目的で
390部の水、
13部の、約7個のエチレンオキサイド単位を持つC11アルキルエーテル硫酸ナトリウム(45% 濃度)、
15部のメタクリル酸、
413部のメチルメタクリレート、
337部のブチルアクリレートおよび
23部のジアセトンアクリルアミド
を、安定なエマルジョンが生ずるまで高速攪拌機を用いて攪拌する。次いで適当な反応容器中で、
400部の水、
13部の、約7個のエチレンオキサイド単位を持つC11アルキルエーテル硫酸ナトリウム(45% 濃度)および
50部のモノマーエマルジョン
を83℃に加熱しそして、10部の水に溶解した0.4部のペルオキソ二硫酸アンモニウムを添加する。次に残りのモノマーエマルジョンを3.5時間に渡って、40部の水に溶解した2.3部のペルオキソ二硫酸アンモニウムと一緒に配量供給する。更に加熱を60分継続し、次いで混合物を冷却する。pHを25% 濃度アンモニア溶液にて9.0に調節する。次に7部のアジピン酸ジヒドラジドを1000部の分散物に十分に混合する。得られる分散物の固形分含有量は約48% であり、MFTは約20℃である。
【0032】
例5(比較例)
モノマーエマルジョンA5およびB5の両方を最初に別々の容器で次の様に製造する:
モノマーエマルジョンA5:
195部の水、
7部の、約7個のエチレンオキサイド単位を持つC11アルキルエーテル硫酸ナトリウム(45% 濃度)、
8部のメタクリル酸、
188部のメチルメタクリレート、
188部のブチルアクリレートおよび
12部のジアセトンアクリルアミド
を、安定なエマルジョンが生ずるまで高速攪拌機を用いて攪拌する。
【0033】
モノマーエマルジョンB5:
195部の水、
7部の、約7個のエチレンオキサイド単位を持つC11アルキルエーテル硫酸ナトリウム(45% 濃度)および
8部のメタクリル酸、
338部のメチルメタクリレート、
37部のブチルアクリレートおよび
12部のジアセトンアクリルアミド
を、安定なエマルジョンが生ずるまで高速攪拌機を用いて攪拌する。
【0034】
次いで適当な反応容器中で、
400部の水、
13部の、約7個のエチレンオキサイド単位を持つC11アルキルエーテル硫酸ナトリウム(45% 濃度)および
50部のモノマーエマルジョンA5
を83℃に加熱しそして、10部の水に溶解した0.4部のペルオキソ二硫酸アンモニウムを添加する。次に残りのモノマーエマルジョンA5を105分に渡って配量供給し、その後にモノマーエマルジョンB5を105分に渡って配量供給する。これに平行して、40部の水に溶解した2.3部のペルオキソ二硫酸アンモニウムと一緒に配量供給する。更に加熱を60分継続し、次いで混合物を冷却する。pHを25% 濃度アンモニア溶液にて9.0に調節する。次に7部のアジピン酸ジヒドラジドを1000部の分散物と十分に混合する。分散物の固形分含有量は約48% でそしてMETは>44℃である。
【0035】
例6(実施例)
木工用塗料の製造
745部の例1、2、3、4または5の分散物、
172部の水、
2部の、鉱油を基礎とする消泡剤、
10部の1,2−プロパンジオール、
10部のTexanol(登録商標)、
2部のアミノメチルプロパノール、
4部のポリウレタン−シックナー、
25部のメトキシブタノールおよび
30部の30% 濃度ポリエチレンワックス−エマルジョン(約100℃の軟化点)
を室温で攪拌して混合し、塗料を得る。表1に塗膜の性質を総括掲載する。
【0036】
例5の分散物は室温で乾燥した時に凝集塗膜を形成しなかったので、それの塗膜特性は掲載してない。
Figure 0003689131
1)隠蔽力試験紙を剥がすのに必要な力を測定する:
評価0:0N/m2 、評価1:0.1〜0.8×104 N/m2
評価2:0.81〜1.6×104 N/m2
評価3:1.61〜2.4×104 N/m2
評価4:2.41〜3.2×104 N/m2
評価5:>3.2×104 N/m2
2)300μm (ウエット塗膜)の塗料をガラスに塗布し、室温で7日間乾燥する。
【0037】
3)300μm の塗料を木材に塗布し、室温で4時間乾燥する。

Claims (8)

  1. 20℃以下の最低造膜温度(MFT)を有する少なくとも1種類のカルボニル基含有軟質ラテックスポリマーA、25℃以上のMFTを有する少なくとも1種類の硬質ラテックスポリマーBおよび少なくとも1種類の多官能性カルボン酸ヒドラジドCを含有し、A:Bの比が70:30〜30:70である、0〜50℃のMFTを有する水性分散物。
  2. ラテックスポリマーAを以下の群の各々からの各1種類以上のモノマーを乳化重合することによって製造し:
    a)99〜60重量% のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンおよびスチレン誘導体、
    b)0.5〜5重量% のα,β−不飽和モノカルボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸、
    c)0.5〜30重量% のカルボニル基含有α,β−不飽和化合物および
    d)0〜5重量% のα,β−不飽和カルボン酸アミド
    そしてラテックスBを以下の群の各々からの各1種類以上のモノマーを乳化重合することによって製造する:
    a)99.5〜70重量% のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレンおよびスチレン誘導体
    b)0.5〜5重量% のα,β−不飽和モノカルボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸、
    c)0〜20重量% のカルボニル基含有α,β−不飽和化合物および
    d)0〜5重量% のα,β−不飽和カルボン酸アミド
    請求項1に記載の水性分散物。
  3. ラテックスポリマーBが0.5〜10重量% の少なくとも1種類のモノマーc)の存在下に製造される請求項2に記載の水性分散物。
  4. Cによって導入されるヒドラジド基のモル比がモノマーc)によってAおよびBによって導入されるカルボニル基の合計に対して1:10〜10:1である請求項1〜3のいずれか一つに記載の水性分散物。
  5. 水性分散物のMFTが0〜30℃である請求項1〜4のいずれか一つに記載の水性分散物。
  6. 請求項1に記載の水性分散物を製造する方法であって、乳化重合法によって予め合成されたラテックスポリマーAを含有する少なくとも1種類の分散物を、乳化重合法によって予めに合成されたラテックスポリマーBを含有する少なくとも1種類の分散物および少なくとも1種類の多官能性カルボン酸ヒドラジドCと混合することを特徴とする、上記方法。
  7. 請求項1に記載の水性分散物を透明塗料または顔料含有塗料のバインダーとして用いる方法。
  8. 水性分散物を木材または合成樹脂のための塗料として使用する請求項7に記載の方法。
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