JP3689175B2 - 圧電素子の位置決め方法及び位置決め精度確認方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電素子の位置決め方法及び位置決め精度確認方法に関し、より詳しくは、測定面と参照面との位相差を発生させ、位相のずれた複数枚の干渉縞画像から被測定面の形状を算出する位相シフト干渉法によるPZT(ジルコンチタン酸鉛系セラミック)素子等の圧電素子の位置決め方法及び位置決め精度確認方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、干渉計を用いて被測定面の面形状をサブミクロンオーダーで測定する方法の一つとして位相シフト干渉法がある。この方法は、被測定面と参照面との間の光路長を微少変位させることにより、相対的に位相の異なる複数枚の干渉縞画像から被測定面全面の形状測定を行うものである。
【0003】
ところで、上記のような位相シフト干渉法では、位相を微少変化させるのにPZT等の圧電素子を用いるのが一般的であるため、この圧電素子の位置決め精度が測定精度に大きく影響を与えるという問題がある。この位置決め精度を確認することを目的とした表面形状測定装置としては、特公平6ー72778号公報に開示されたものがある。
【0004】
同公報に開示された表面形状測定装置の場合、参照面の位置をPZT素子でλ/8(λ:光源の波長)ずつ微少移動させたときに得られる4枚の干渉縞画像の点(x,y)における強度値を各々I1 、I2 、I3 、I4 として、下記数2及び(I1 +I2 +I3 +I4 )/4=α、(I1 +I 3 )−(I2 +I4 )=0の3式が満たされているか否かを判定することにより、参照面の送り精度の確認を行うものである。但し、数2において、βは振幅部分であり、また、αは干渉縞強度の定数部分である。
【0005】
【数2】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来方法では、参照面の送り精度の確認は可能であるものの、数2及び前記2つの式の条件が満たされていない場合にどれだけ参照面の送り量を与えればよいのかを定量的に算出することはできない。
また、一般的に圧電素子の変位量と印加電圧とはヒステリシス特性があるため、歪ゲージ等を用いたサーボコントロールによって圧電素子の直線制御を行うピエゾコントローラが市販されている。
【0007】
しかし、圧電素子単体での変位量とピエゾコントローラを介しての印加電圧との関係は製造元からの出荷段階でのデータにより保証されているものの、参照面を駆動するための駆動装置に圧電素子を取り付けた状態での変位量と印加電圧との関係は、ストロークの与え方や負荷の影響等により異なる場合があり、実際に変位量を調整し、確認することが必要となる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、請求項1及び請求項2に記載の発明は、参照面の変位量と圧電素子の印加電圧との関係を複数個の干渉縞画像強度の測定値から求め、精度の良い圧電素子の位置決め方法を提供することを目的とするものである。
また、請求項3及び請求項4に記載の発明は、上記従来技術に記載の確認精度方法を改良し、4ステップ位相シフト干渉法におけるより精度の高い圧電素子の位置決め精度確認方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
更に、請求項5に記載の発明は、Nステップ位相シフト干渉法におけるより精度の高い圧電素子の位置決め方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、被測定面と参照面との位相差を圧電素子により発生させ、位相のずれた複数枚の干渉縞画像から前記被測定面の形状を算出する位相シフト干渉法における圧電素子の位置決め方法において、前記圧電素子に基準電圧及びこの基準電圧に微少電圧を印加したときのある点(x,y)における干渉縞強度値の値の関係から前記圧電素子に印加する電圧に対する位相の変化率を求め、前記位相の変化率を用いて前記圧電素子の実際の位置決めを行うことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2記載の発明は、被測定面と参照面との位相差を圧電素子により発生させ、位相のずれた複数枚の干渉縞画像から前記被測定面の形状を算出する位相シフト干渉法に発生圧電素子の位置決め方法において、前記圧電素子に基準電圧を印加したときのある点(x,y)における前記干渉縞強度値をI0 、前記基準電圧に対して、−2ΔV、−ΔV、ΔV、2ΔVだけ印加電圧を加減したときの前記ある点(x,y)における前記干渉縞強度値を各々I1 、I2 、I3 、I4 として測定し、P1 =(I2 −I3 )/(2I0 −I4 −I1 )を算出する工程と、前記基準電圧に対して−2kΔV、−kΔV、kΔV、2kΔV(kは定数)だけ印加電圧を加減したときの前記ある点(x,y)における前記干渉縞強度値をI1a、I2a、I3a、I4aとして測定し、P2 =(I2a−I3a)/(2I0 −I4a−I1a)を算出する工程と、前記圧電素子に印加する電圧に対する位相の変化率をaとし、P1 /P2 ={sin(akΔV)/sin(aΔV)}なる関係式から前記位相の変化率aを算出する工程とからなることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、被測定面と参照面との位相差を圧電素子により発生させ、π/2ずつ位相のずれた4つの干渉縞画像から前記被測定面の形状を算出する4ステップ位相シフト干渉法での圧電素子の位置決め精度確認方法であって、位相をπ/2ずつ4回変化させた場合における前記干渉縞画像のある測定点での干渉縞強度値を順次I1 、I2 、I3 、I4 として測定し、前記数1から、前記参照面の位置に関する位相誤差εを算出することを特徴とするものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、被測定面と参照面との位相差を圧電素子により発生させ、π/2ずつ位相のずれた4つの干渉縞画像から前記被測定面の形状を算出する4ステップ位相シフト干渉法での圧電素子の位置決め精度確認方法であって、前記干渉縞画像の1叉は2以上の測定点における各位相ステップでの干渉縞強度値を順次I1 、I2 、I3 、I4 として測定し、しきい値をσとして、前記各測定点毎に[{(I1 +I3 )−(I2 +I4 )}/(I3 −I2 )]<σが満たされているか否かを判定することを特徴とするものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、被測定面と参照面との位相差を圧電素子により発生させ、2π/Nずつ位相のずれたN枚の干渉縞画像から前記被測定面の形状を算出するNステップ位相シフト干渉法での圧電素子の位置決め方法であって、前記圧電素子の印加電圧を1ステップあたりΔVだけ増減させながら位相をπ/2ずつ4回シフトさせた場合における前記干渉縞画像のある測定点での縞強度値をI1 、I2 、I3 、I4 として測定し、前記数1から前記参照面の位置に関する位相誤差εを算出し、しきい値をε0 としてε<ε0 となったときの前記圧電素子の印加電圧の増減量ΔVから(4/N)・ΔVを求め、該値を1ステップあたりの前記圧電素子の印加電圧の増減量とするものである。
【0015】
以下に本発明の作用を説明する。請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、ピエゾコントローラにより圧電素子の直線制御を行う場合には、印加電圧Vと位相θとが、1次関数θ=(aV+b)(a、bは定数)で表せるものとする。印加電圧Vがある基準電圧V0 のときの干渉縞の初期位相をφ、αを干渉縞強度の定数部分、βを干渉縞強度の振幅部分とすると、点(x,y)における干渉縞強度値I0 はI0 =α+βcos(φ+aV0 +b)の式で表すことができる。
【0016】
次に、前記基準電圧に対して、−2ΔV、−ΔV、ΔV、2ΔVだけ印加電圧を加減したときの点(x,y)における干渉縞強度値を各々I1 、I2 、I3 、I4 とすると、I1 (x,y)=α+βcos{φ+a(V0 −2ΔV)+b}、I2 (x,y)=α+βcos{φ+a(V0 −ΔV)+b}、I3 (x,y)=α+βcos{φ+a(V0 +ΔV)+b}、I4 (x,y)=α+βcos{(φ+a(V0 +2ΔV)+b}が成立する。
【0017】
ここで、前記I0 、I1 乃至I4 より、関係式P 1 ={(I2 −I3 )/(2I0 −I4 −I1 )}={1/sin(aΔV)}・tan(φ+aV0 +b)の関係が得られる。次に、前記基準電圧に対して、−2kΔV、−kΔV、kΔV、2kΔVだけ印加電圧を加減したときの点(x,y)における干渉縞強度値を各々I1a、I2a、I3a、I4aとすると、I1a(x,y)=α+βcos{φ+a(V0 −2kΔV)+b}、I2a(x,y)=α+βcos{φ+a(V0 −kΔV)+b}、I3a(x,y)=α+βcos{φ+a(V0 +kΔV)+b}、I4a(x,y)=α+βcos{(φ+a{(V0 +2kΔV)+b}が成立する。
【0018】
ここで、前記I0 、前記I1a乃至I4aの5つの式より、関係式P 2 ={(I2a−I3a)/(2I0 −I4a−I1a)}={1/2sin(akΔV)}・tan(φ+aV0 +b)の関係が得られる。従って、前記{(I2 −I3 )/(2I0 −I4 −I1 )}、{(I2a−I3a)/(2I0 −I4a−I1a)}の両関係式から、sin(akΔV)/sin(aΔV)=P1 /P2 と表すことができ、この式から、圧電素子の印加電圧Vに対する位相変化率aを求めることができる。
【0019】
位相変化率aが求まれば、θ=(aV+b)の関係より、位相変化量Δθを与えるための印加電圧は、Δθ/aより計算することができ、圧電素子による正確な位置決めが可能となる。
次に、請求項3及び請求項4に記載の発明の作用を説明する。干渉縞画像の点(x,y)における強度値I(x,y)は、I(x,y)=α+βcos(φ+δ)と表せる。ここに、αは干渉縞強度の定数部分、βは振幅部分、φは位相、δは参照面の位相変位量である。
【0020】
ここで、参照面をπ/2ずつずらした4枚の干渉縞画像の点(x,y)における強度値I1 (x,y)、I2 (x,y)、I3 (x,y)、I4 (x,y)は各々I1 (x,y)=α+βcos(φ+0)、I2 (x,y)=α+βcos(φ+π/2)、I3 (x,y)=α+βcos(φ+2π/2)、I4 (x,y)=α+βcos(φ+3π/2)と表すことができる。
【0021】
従って、前記I1 (x,y)、I2 (x,y)、I3 (x,y)、I4 (x,y)の各式より、(I1 +I3 )−(I2 +I4 )=0を満たすか否かを判定することにより、参照面の位置決め精度を確認することは理論的には可能であるが実際は参照面の位置決め精度が0ではなく有限の誤差が存在し、(I1 +I3 )−(I2 +I4 )は0にならないため、あるしきい値を設定して判定を行う必要がある。
【0022】
しかし、その際干渉縞画像にレーザの光量むらや部分的な干渉縞のコントラストの変動等の要因で選択する測定点毎に異なったしきい値を設定する必要がある。この理由については以下に説明する。
いま、参照面の位置決めが位相差で精確にπ/2ずつ行われず、位相誤差εが存在してπ/2+εずつ行われたとして誤差解析を行うと、前記I1 (x,y)、I2 (x,y)、I3 (x,y)、I4 (x,y)の式は、以下のように表すことができる。即ち、I1 (x,y)=α+βcos(φ+0)、I2 (x,y)=α+βcos(φ+π/2+ε)、I3 (x,y)=α+βcos(φ+2π/2+ε)、I4 (x,y)=α+βcos(φ+3π/2+ε)と表すことができる。
【0023】
従って、これらI1 (x,y)、I2 (x,y)、I3 (x,y)、I4 (x,y)の各式から、(I1 +I3 )−(I2 +I4 )=2βsin(φ+ε)−cos(φ+2ε)となり、確かに位相誤差εが存在する場合は、(I1 +I3 )−(I2 +I4 )の左辺の値は、干渉縞のコントラストに相当する振幅部分βのみならず被検位相φの影響も受け、測定点毎に一定のしきい値を設定することができないことがわかる。そこで、前記I2 (x,y)=α+βcos(φ+π/2+ε)、I3 (x,y)=α+βcos(φ+2π/2+ε)の両式から、I3 −I2 =βsin(φ+ε)−cos(φ+2ε)が導ける。
【0024】
そこで、(I1 +I3 )−(I2 +I4 )、(I3 −I2 )の両式を辺々割り算すれば、{(I1 +I3 )−(I2 +I4 )}/(I3 −I2 )=2sin(ε)となって、この式を計算すれば干渉縞のコントラストに相当する振幅部分βや被検位相φの影響を受けずに位相誤差εのみ算出することができる。
この場合、位相誤差εを直接算出しても良いし、または{(I1 +I3 )−(I2 +I4 )}/(I3 −I2 )の式を計算して、その値があるしきい値以下であることを判定して参照面の位置決め精度を確認することができる。
【0025】
更に、請求項5に記載の作用を説明する。ピエゾコントローラによりPZT素子の直線制御を行う場合には印加電圧Vと、位相θとが、1次関数θ=(aV+b)(a、bは定数)で表されるものとすると、印加電圧の変化量ΔVに対する位相変化量はΔθ=aΔVより計算することができる。
従って、π/2ずつ位相シフトを行う4ステップ位相シフト干渉法での1ステップあたりのピエゾコントローラの印加電圧の変化量ΔVは次の関係がある。即ち、π/2=aΔVと表すことができる。
【0026】
一方、2π/Nずつ位相シフトを行うNステップ位相シフト干渉法での1ステップあたりのピエゾコントローラの印加電圧の変化量ΔV1 は次の関係がある。即ち、2π/N=aΔV1 で表すことができる。π/2=aΔVと2π/N=aΔV1 の両式からΔV1 =(4/N)・ΔVとして、Nステップ位相シフト干渉法での印加電圧の変化量が求められる。
【0027】
従って、請求項3に記載の4ステップ位相シフト干渉法での圧電素子の位置決め精度確認方法によって、前記数1から位相誤差εをあるしきい値ε0 以下に抑えるように印加電圧の変化量ΔVを調整すれば、前記関係式ΔV1 =(4/N)・ΔVより容易にNステップ位相シフト干渉法での印加電圧の変化量が求められる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は実施の形態の方法を実現するための装置構成を示している。即ち、レーザ光源1から放射された可干渉光は、コリメータレンズ系2により拡大され平行光線となって半透鏡3により参照光と物体光に分けられる。物体光はレンズ12を経て被測定面7に入射し、ほぼ元の光路を通って半透鏡3に戻る。
【0029】
一方、半透鏡3により分けられた参照光は、参照面4で反射され、半透鏡3に戻る。半透鏡3は、前記物体光と参照光を干渉させレンズ13を経てCCDカメラ6の撮像面に干渉縞を結像する。そして、CCDカメラ6により撮像した干渉縞の画像信号を画像入力ボード8を介して画像処理手段であるコンピュータ11に入力する。
【0030】
コンピュータ11は、D/A(ディジタル/アナログ)変換ボード9、ピエゾコントローラ10を介して、圧電素子であるPZT素子5に電圧信号を与えてこのPZT素子5を変位させ、参照面4の位置制御を行い参照面4の位置を微小量変位させて得られた複数枚の干渉縞の画像信号から被測定面7の面形状を演算し、また、被測定面の画像をCRTディスプレイ11aにより表示する。
【0031】
ここで、前記既知の定数k=2とおくと、前記sin(akΔV)/sin(aΔV)=P1 /P2 の式から、sin(2aΔV)/sin(aΔV)=P1 /P2 即ち、2cos(aΔV)=P1 /P2 となる。従って、下記数3が成立する。
【0032】
【数3】
【0033】
前記コンピュータ11により、PZT素子5に基準電圧V0 に対して−2ΔV、−ΔV、ΔV、2ΔVだけ印加電圧を加減したときの点(x,y)における干渉縞強度値を各々I1 、I2 、I3 、I4 とし、−4ΔV、−2ΔV、2ΔV、4ΔVだけ印加電圧を加減したときの点(x,y)における干渉縞強度値を各々I1a、I2a、I3a、I4aとし、基準電圧V0 のときの干渉縞強度値と既知量ΔVとから、位相変化率aを求めることができる。
【0034】
例えば、参照面4の位置を1/8波長ずつ4回移動させる4ステップ位相シフト干渉法を適用する場合には、1ステップあたりの印加電圧ΔVと、位相変化量Δθ(=π/2)との関係式Δθ=aΔVからΔV=Δθ/a=π/2aとなり、印加電圧ΔVをπ/2aずつ変化させれば、参照面4の位置決めを精確に行うことができる。
更に、干渉縞画像の複数の点において、前記数3の式を用いて位相変化率aを算出し、その平均値を実際の位相変化率aとすればより精確な位置決めが可能となる。
【0035】
[実施の形態2]
次に、請求項3及び請求項4に記載の発明に対応する実施の形態2について説明する。前記参照面4の位置決め精度を位相誤差でπ/20(これは4ステップ位相シフト干渉法で換算すると光源波長をλとしてλ/80の位置決め誤差に相当する。)以内に抑えることを考えると、干渉縞画像のある測定点における位相ステップ毎の縞強度を順次I1 、I2 、I3 、I4 として測定し、しきい値σ=2sin(π/20)=0.31として、[{(I1 +I3 )−(I2 +I4 )}/(I3 −I2 )]<σが満たされているか否かを判定すればよい。
【0036】
また、上記確認は干渉縞画像に1点、例えば、前記コンピュータ11に表示される画像中央付近の測定点で行えばよいが、画像内の複数の点についてそれぞれ前記しきい値σの関係式を満たすか否かを確認するようにすれば、参照面4が面全体にわたって光路方向に同じ量だけ変位したか否かを判定することができる。更に、4ステップ位相シフト干渉法で測定する度に前記確認を実行すれば、PZT素子5の取り付け部等の経時変化に伴う位置決め誤差を常に検査することができ、測定結果の信頼性向上に役立つ。
【0037】
[実施の形態3]
更に、請求項5に記載の発明に対応する実施の形態3について説明する。
図1に示す装置において、コンピュータ11はD/A変換ボード9を介してピエゾコントローラ10に電圧信号を与えてPZT素子5をシフトさせる。このとき1ステップあたりΔVだけ印加電圧を増減させて4回位相シフトさせ、ある測定点での干渉縞強度値を順次I1 、I2 、I3 、I4 として測定し、前記数1から位相誤差εを計算する。このときしきい値ε0 としてπ/20を設定し、コンピュータ11より1ステップあたりの印加電圧の変化量ΔVをε<π/20になるまで変化させながら4ステップ位相シフトを繰り返す。
【0038】
このときの印加電圧の変化量をΔV0 とするとΔV1 =(4/N)・ΔV0 からΔV1 を求め、この値をコンピュータ11からD/A変換ボード9を介してピエゾコントローラ10に1ステップあたりの印加電圧の変化量として与えればNステップの位相シフト干渉法を行う場合のPZT素子の位置決めができる。
この方法を用いれば4ステップ位相シフト干渉法に限らず任意のステップの位相シフト干渉法に適用が可能となる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1及び請求項2記載の発明によれば、位相シフト干渉法において、PZT素子等のような圧電素子に、変位計等の計測手段を付加することなく、測定用の光学系をそのまま用いて容易かつ精度よく圧電素子の送り量を決定し、参照面の精確な位置決めを行うことが可能な圧電素子の位置決め方法を提供することができる。
【0040】
また、請求項3及び請求項4記載の発明によれば、4ステップ位相シフト干渉法において、1または2以上の測定点における各ステップ毎の干渉縞強度値から干渉縞のコントラストの変動等の影響を受けることなく、位相誤差を算出するかまたは測定点の選択にかかわらず一定のしきい値を設定することにより、参照面の精確な位置決め精度を確認することが可能な圧電素子の位置決め精度確認方法を提供することができる。
【0041】
さらに、請求項5記載の発明によれば、4ステップ位相シフト干渉法に限定されずに、任意のステップ数の位相シフト干渉法における圧電素子の精確な位置決めが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の方法を実現するための装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 レーザ光源
2 コリメータレンズ
3 半透鏡
4 参照面
5 PZT素子
6 CCDカメラ
7 被測定面
8 画像入力ボード
9 D/A変換ボード
10 ピエゾコントローラ
11 コンピュータ
12 レンズ
13 レンズ
Claims (5)
- 被測定面と参照面との位相差を圧電素子により発生させ、位相のずれた複数枚の干渉縞画像から前記被測定面の形状を算出する位相シフト干渉法における圧電素子の位置決め方法において、
前記圧電素子に基準電圧及びこの基準電圧に微少電圧を印加したときのある点(x,y)における干渉縞強度値の値の関係から前記圧電素子に印加する電圧に対する位相の変化率を求め、前記位相の変化率を用いて前記圧電素子の実際の位置決めを行うこと、
を特徴とする圧電素子の位置決め方法。 - 被測定面と参照面との位相差を圧電素子により発生させ、位相のずれた複数枚の干渉縞画像から前記被測定面の形状を算出する位相シフト干渉法における圧電素子の位置決め方法において、
前記圧電素子に基準電圧を印加したときのある点(x,y)における前記干渉縞強度値をI0 、前記基準電圧に対して、−2ΔV、−ΔV、ΔV、2ΔVだけ印加電圧を加減したときの前記ある点(x,y)における前記干渉縞強度値を各々I1 、I2 、I3 、I4 として測定し、P1 =(I2 −I3 )/(2I0 −I4 −I1 )を算出する工程と、
前記基準電圧に対して−2kΔV、−kΔV、kΔV、2kΔV(kは定数)だけ印加電圧を加減したときの前記ある点(x,y)における前記干渉縞強度値をI1a、I2a、I3a、I4aとして測定し、P2 =(I2a−I3a)/(2I0 −I4a−I1a)を算出する工程と、
前記圧電素子に印加する電圧に対する位相の変化率をaとし、P1 /P2 ={sin(akΔV)/sin(aΔV)}なる関係式から前記位相の変化率aを算出する工程と、
からなることを特徴とする圧電素子の位置決め方法。 - 被測定面と参照面との位相差を圧電素子により発生させ、π/2ずつ位相のずれた4つの干渉縞画像から前記被測定面の形状を算出する4ステップ位相シフト干渉法での圧電素子の位置決め精度確認方法であって、
前記干渉縞画像の1叉は2以上の測定点における各位相ステップでの干渉縞強度値を順次I1 、I2 、I3 、I4 として測定し、
しきい値をσとして、前記各測定点毎に[{(I1 +I3 )−(I2 +I4 )}/(I3 −I2 )]<σが満たされているか否かで、前記圧電素子の位置決め精度を判定すること、
を特徴とする圧電素子の位置決め精度確認方法。 - 被測定面と参照面との位相差を圧電素子により発生させ、2π/Nずつ位相のずれたN枚の干渉縞画像から前記被測定面の形状を算出するNステップ位相シフト干渉法での圧電素子の位置決め方法であって、
前記圧電素子の印加電圧を1ステップあたりΔVだけ増減させながら位相をπ/2ずつ4回シフトさせた場合における前記干渉縞画像のある測定点での縞強度値をI1 、I2 、I3 、I4 として測定し、
下記数1から前記参照面の位置に関する位相誤差εを算出し、しきい値をε0 としてε<ε0 となったときの前記圧電素子の印加電圧の増減量ΔVから(4/N)・ΔVを求め、該値を1ステップあたりの前記圧電素子の印加電圧の増減量とすること、
を特徴とするNステップ位相シフト干渉法での圧電素子の位置決め方法。
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