JP3687710B2 - 固形製剤の外観検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一定の軸を中心として回転対称な形状を有する固形製剤の外観検査を行う外観検査装置、特にキャップとボディーとからなる硬カプセルに薬剤を充填したカプセル剤や薬剤を充填する前の単にキャップとボディーとを仮連結させた空カプセルについて外観検査を行う場合に好適に使用される外観検査装置に関し、更に詳述すると、検査対象である上記固形製剤を正確に位置決めした状態で回転させながら撮像装置で撮影することにより、高精度な検査を行うことができる固形製剤の外観検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、カプセル剤や楕円球状の錠剤等の固形製剤の外観検査を自動的に行う外観検査装置として、種々の装置が提案されており、近年では作業員の目視検査からこのような検査機による自動検査へと完全に移行しつつある。このような外観検査装置として、特開平7−35693号公報に開示された装置が知られている。
【0003】
この特開平7−35693号公報に開示された外観検査装置は、主にキャップとボディーとからなる硬カプセル内に薬剤を充填したカプセル剤の外観検査を行うためのものであり、図6〜8に示した構成を有するものである。
【0004】
即ち、図6に示されているように、この装置は、所定量のカプセル剤を収容しこれを順次供給する供給ホッパー2と、該供給ホッパー2から供給されたカプセル剤を軸方向を上下にした直立状態(以下、単に「直立状態」という)で整列させて方向規制部へと供給する供給ドラム3と、この供給ドラム3から供給されたカプセル剤を、軸方向を水平にした横転状態(以下、単に「横転状態」という)で、かつキャップ側が一定の方向を向いた状態に方向規制する第1方向規制ドラム4及び第2方向規制ドラム5と、この方向規制されたカプセル剤を外周部に保持して搬送し、搬送途中で該カプセル剤を回転させる検査ドラムと6と、該検査ドラム6の外周部に保持され回転するカプセル剤を撮影してその画像を取り込む撮像装置7と、該撮像装置7により取り込んだカプセル剤の画像を画像処理して良否判定を行う良否判定部8と、該良否判定部8による良否判定に基づいて上記検査ドラム6からカプセル剤を良品と不良品とに分別して回収する分別回収部(図示せず)とを具備してなるものである。なお、本明細書において、各種ドラムの外周部分に保持されたカプセルについての「上下」とは、ドラムの径方向に沿って外周側が「上」、中心側が「下」とした上下であり、また「水平方向」とはドラムの径方向と直交する方向であり、重力方向を基準とした上下や水平方向とは必ずしも同一ではない。
【0005】
上記供給ドラム3は、水平軸A1を中心にして所定の速度で回転するもので、その外周面には、カプセル剤が直立状態で収容される供給ポケット31が多数整列して形成されていると共に、該供給ポケット31内に収容されたカプセル剤がこぼれ落ちることのないように、外周の下側1/4部分を覆って落下防止板32が配設されている。
【0006】
上記供給ホッパー2は、この供給ドラム3の上方に配設されたもので、その下端面が部分的に上記供給ドラム3の外周面に近接した状態となっていると共に、この下端面の一部が供給ドラム3の外周面へと開放されている。この供給ホッパー2の底部には、所定間隔ずつ離間して複数のガイド突条21が上下方向に沿って突設されており、これらガイド突条21間にカプセル剤を整列させるためのガイド溝22が形成されている。このガイド溝22は、上記供給ドラム3の供給ポケット31に対応した位置に形成されていると共に、その幅はカプセル剤の径よりもやや広く、かつカプセル剤の長さよりも狭く設定されており、従って、カプセル剤が軸方向をガイド溝22の長さ方向と一致させた状態でこのガイド溝22内を通過し、このカプセル剤が軸方向のいずれかの端部から上記供給ドラム3の供給ポケット31に投入され、該供給ポケット31内に直立状態で収容されるようになっている。
【0007】
また、この供給ホッパー2には、振動発生装置(図示せず)により常時振動が与えられるようになっており、この振動により供給ホッパー2内のカプセル剤がスムーズに上記ガイド溝22を通って供給ドラム3の供給ポケット31内に収容されるようなっている。更に、供給ポケット31内に収容されずに供給ドラム3の外周面上に載って移動するカプセル剤は、供給ホッパー2の端縁部に沿って供給ドラム3上に配設されたブラシ23により供給ドラム3上から排除され、再び供給ホッパー2内へと戻されるようになっている。
【0008】
次に、上記第1方向規制ドラム4は、その外周面を上記供給ドラム3の外周面に近接させた状態で該供給ドラム3の下方に配設され、水平軸A2を中心にして所定の速度で供給ドラム3とは逆方向に回転するものであり、その外周面には多数の第1方向規制ポケット41が上記供給ドラム3の供給ポケット31に対応した整列状態で形成されている。この第1方向規制ポケット41は、図8に示されているように、横転状態のカプセル剤を完全に収容することができる長楕円状の上部41aと、該上部41aの一方の端部底面に形成されたカプセル剤のボディーのみが進入可能でキャップが進入できない垂直筒状の下部41bとから構成されており、これにより、この第1方向規制ポケット41は、横転状態のカプセル剤C1及び軸方向を上下にし、かつキャップを上にした直立状態(以下、「キャップを上にした直立状態」という)のカプセル剤C2はほぼ完全に収容することができるが、軸方向を上下にし、かつボディーを上にした直立状態(以下、「ボディーを上にした直立状態」という)のカプセル剤C3はそのボディー部分が外周面から突出した状態となるように構成されている。
【0009】
この第1方向規制ドラム4の外周面近傍には、図6に示されているように、外周面に沿ってガイド板42が部分的に配設されていると共に、このガイド板42には、第1方向規制ドラム4の上記第1方向規制ポケット41の配設位置に対応して、一端が開放し他端が閉塞した複数のガイド溝43が第1方向規制ガイドとして形成されている。このガイド溝43の一方の内側縁部は、第1方向規制ドラム4の回転方向から所定角度傾斜した押圧部43aとなっており、この押圧部43aが第1方向規制ドラム4の外周面から突出したカプセル剤C3(図8参照)のボディー側の端部を横方向に押圧して上記第1方向規制ポケット41内で横転させるようになっている。
【0010】
また、上記第2方向規制ドラム5は、その外周面を上記第1方向規制ドラム4の外周面に近接させた状態で該第1方向規制ドラム4の下方に配設され、水平軸A3を中心にして所定の速度で第1方向規制ドラム4とは逆方向に回転するものであり、その外周面には多数の第2方向規制ポケット51が上記第1方向規制ドラム4の第1方向規制ポケット41に対応した整列状態で形成されている。この第2方向規制ポケット51は、図8に示されているように、横転状態のカプセル剤C1を完全に収容し得、かつ直立状態のカプセル剤C3はボディー側端部を外周面から突出した状態となる長楕円状のポケットであり、この場合、該ポケット51の底壁が一端側へと下降傾斜しており、これによりカプセル剤が一端側へと寄せられた状態で収容されるようになっている。
【0011】
この第2方向規制ドラム5の外周面近傍にも、図6に示されているように、上記第1方向規制ドラム4の外周に沿って配設された上記ガイド板42と同様のガイド板52が配設されており、特に図示していないが、このガイド板52に設けられた複数のガイド溝が第2方向規制ガイドを構成し、これにより第2方向規制ドラム5の外周面から突出したカプセル剤C3のボディー側の端部を横方向に押圧して上記第2方向規制ポケット51内で横転させるようになっている。
【0012】
上記各ドラム3,4,5は、例えば図6のように、モーターM1及びタイミングベルトBにより各ポケット31,41,51が互いに一致するタイミングで図6中の矢印方向に回転するようになっている。
【0013】
そして、上記供給ホッパー2、供給ドラム3、第1方向規制ドラム4及び第2方向規制ドラム5により、検査対象であるカプセル剤を検査ドラム6へと供給するための供給部が構成されており、この場合、上記供給ホッパー2からアトランダムに供給されるカプセル剤を上記供給ドラム3で直立状態で整列させ、このカプセル剤全てを上記第1及び第2方向規制ドラム4,5により、キャップ側が一定の方向を向いた横転状態に方向規制して、上記検査ドラム6に供給するようになっている。
【0014】
次に、上記検査ドラム6は、その外周面を上記第2方向規制ドラム5の外周面に近接させた状態で該第2方向規制ドラム5の下方に配設され、水平軸A4を中心にして所定の速度で第2方向規制ドラム5とは逆方向に間欠回転するものであり、互いに所定間隔離間して対向状態に配置された一対の円盤状フランジ体61,61と、該両フランジ体61,61間に回転可能に架設された多数の第1検査ローラ62a及び第2検査ローラ62bとを具備している。
【0015】
上記両フランジ体61,61は、図7に示されているように、フレーム63に固定された非回転軸64の外周に回転自在に軸支された間欠回転体65の両端部に固定されており、更にこの間欠回転体65は、上記非回転軸64の中心部に回転自在に支持された間欠回転軸66の基端側に形成されたフランジ66aと連結固定され、この間欠回転軸66と一体的に回転し得るようになっている。そして、この間欠回転軸66は間欠駆動装置Dに接続されて間欠回転し、これと一体的に上記間欠回転体65及び上記フランジ体61,61が間欠回転するようになっている。
【0016】
また、上記第1検査ローラ62a,第2検査ローラ62bは、互いの外周面を近接させた状態で検査ドラム6の周面に沿って交互に配設されたもので、いずれも上記両フランジ体61,61の周縁部間に回転可能に取り付けられたものである。これら第1及び第2検査ローラ62a,62bの軸621a,621bは、いずれも一端部が一方のフランジ体61を貫通して外方に突出しており、この突出端部には、遊星歯車622が固定されている。そして、この遊星歯車622は、上記間欠回動軸66の基端部に回転自在に取り付けられた太陽歯車623と歯合しており、更にこの太陽歯車623に固定されたプーリー624がモータM2の回転軸に取り付けられた別のプーリー625とタイミングベルト626を介して連結されている。これにより、モータM2によってタイミングベルト626を介して上記太陽歯車623が回転し、更にこの太陽歯車623の周囲で上記各遊星歯車622が回転し、これと一体的に各第1検査ローラ62a及び第2検査ローラ62bが上記フランジ61,61の間欠回転とは独立して所定の速度で回転する。即ち、この第1検査ローラ62a及び第2検査ローラ62bは、上記両フランジ体61,61と共に間欠的に公転しながら、自転するものである。なお、第1検査ローラ62aの回転方向と第2検査ローラ62bの回転方向とは同一方向となる。
【0017】
これら第1検査ローラ62aと第2検査ローラ62bとの間に、上記第2方向規制ドラム5から供給される方向規制されたカプセル剤C4が載置されて保持され、これら第1及び第2検査ローラ62a,62bの公転及び自転により、このカプセル剤C4が自転しながら、上記非回転軸64の周囲を公転する。
【0018】
この場合、上記第1検査ローラ62aの外周面には、互いに等間隔ずつ離間して複数の鍔部62cが形成されており、図9に示されているように、カプセル剤C4は、この鍔部62c間に保持された状態で自転及び公転するようになっている。また、図7に示されているように、上記間欠回転体65には、カプセル剤を保持する部分に対応してノズル651が形成されており、一方上記非回転軸64には、真空ポンプ等の吸引装置(図示せず)に接続された吸引空洞部641がほぼ半周に亘って形成されていると共に、コンプレッサー等の圧空供給装置(図示せず)に接続された圧空流通路642が不良品回収缶71(図6参照)及び良品回収シュート72(図6参照)に対応した部分にそれぞれ形成されている。そして、上記各ノズル651が上記吸引空洞部641を通して真空吸引され、この吸引力によって上記カプセル剤C4が確実に保持されると共に、上記圧空流通路642を通して上記各ノズル651から圧空が噴射され、この圧空により上記カプセル剤C4が上記不良品回収缶71又は良品回収シュート72のいずれかに吹き飛ばされるようになっている。
【0019】
この従来の外観検査装置によるカプセル剤の外観検査は次のようにして行われる。まず、上記供給ホッパー2内に所定量のカプセル剤を投入すると、これが上述した動作により順次直立状態で上記供給ドラム3に供給され、該供給ドラム3の外周面に形成された供給ポケット31内に直立状態で収容されて、該供給ドラム3の回転運動により下方へと運ばれる。
【0020】
このカプセル剤は、図8に示されているように、供給ドラム3の最下部で上記第1方向規制ドラム4の第1方向規制ポケット41内に移し替えられる。このとき、キャップを上にした直立状態で移し替えが行われるカプセル剤C2は、そのボディー部分が第1方向規制ポケット41の下部41b内に挿入され、ほぼ完全にポケット41内に収容された状態となり、一方、キャップを下にした直立状態のカプセル剤C3は、そのキャップ部分が第1方向規制ポケット41の下部41b内に進入することができないので、ボディー部分が第1方向規制ドラム4の外周面から突出した状態となる。
【0021】
この状態で第1方向規制ドラム4の回転により、これらカプセル剤C2,C3か下方へと運ばれる。このとき、第1方向規制ポケット41内にほぼ完全に収容された上記カプセル剤C2はそのままの姿勢でドラム4の最下部へと運ばれるが、ボディー部分がドラム4の外周面から突出した上記カプセル剤C3は、突出したボディー部分が上記ガイド板42のガイド溝43(図6参照)内に挿入され、該ボディー部分がガイド溝43の押圧部43a(図6参照)により横方向に押圧され、該カプセル剤C3が第1方向規制ポケット41内で横転し、キャップを一方向(図8では右側)に向けた横転状態のカプセル剤C1として最下部へと運ばれる。
【0022】
次いで、図8に示されているように、これらカプセル剤C2,C1は、第1方向規制ドラム4の最下部で上記第2方向規制ドラム5の第2方向規制ポケット51内に移し替えられる。このとき、横転状態のカプセル剤C1は、横転状態のままほぼ完全に第2方向規制ポケット51内に収容されるが、キャップを上にした直立状態のカプセル剤C2は、キャップ側から第2方向規制ポケット51内に移し替えられて上下が反転し、ボディーを上にした直立状態のカプセル剤C3として第2方向規制ポケット51へと移し替えられ、かつこのカプセル剤C3はそのボディー部分が第2方向規制ドラム5の外周面から突出した状態となる。
【0023】
この状態で第2方向規制ドラム5の回転により、これらカプセル剤C1,C3が下方へと運ばれる。このとき、第2方向規制ポケット51内にほぼ完全に収容された横転状態の上記カプセル剤C1はそのままの姿勢でドラム5の最下部へと運ばれるが、ボディー部分がドラム5の外周面から突出した上記カプセル剤C3は、上記ガイド板52(図6参照)のガイド溝(図示せず)の作用により、上記と同様にして第2方向規制ポケット51内で横転し、キャップを一方(図では右側)に向けた横転状態のカプセル剤となり、最下部へと運ばれる。これにより、両カプセル剤は、いずれもキャップを一方向(図では右側)にした横転状態のカプセル剤C4となり、上記検査ドラム6の第1,第2検査ローラ62a,62b上へと移し替えられる。
【0024】
なお、各ドラム3,4,5,6間におけるカプセル剤の受け渡し時には、図8に示したように、渡し側の各ポケットに圧空が供給されてカプセル剤が押し出されると共に、受け側の各ポケットやローラ62a部分が真空吸引され、スムーズにカプセル剤の移行が行われるようになっている。
【0025】
上記検査ドラム6に供給された方向規制されたカプセル剤C4は、上述のように、上記第1検査ローラ62aと第2検査ローラ62bとの間に載置されて保持され、上記第1及び第2検査ローラ62a,62bの回転によって回転しながら、検査ドラム6の間欠回転により下方へと送られる。この場合、カプセル剤C4は、図9に示されているように、第1検査ローラ62aの鍔部62c,62c間に保持された状態で回転しながら搬送され、このとき上述した吸引機構によりカプセル剤C4は両検査ローラ62a,62bに吸い付けられた状態で保持される。
【0026】
この検査ドラム6に保持されて搬送される方向規制されたカプセル剤C4は、その搬送途中の所定箇所で検査ドラム6の回転が間欠的に停止している間に上記撮像装置7(図6参照)によって撮影される。このとき、カプセル剤C4は上記第1及び第2検査ローラ62a,62bの回転によって所定速度で少なくとも1回転以上回転し、該カプセル剤C4の全周が撮像装置7によって撮影される。そして、撮影後、上記第1及び第2検査ローラ62a,62b上に保持されたまま検査ドラム6の間欠回転により該検査ドラム6の最下部へと運ばれる。
【0027】
上記撮像装置7により取り込まれたカプセル剤C4の画像は、上記良否判定部8(図6参照)により画像処理されて外観不良の検出が行われ、各カプセル剤C4の良否の判定が行われる。そして、この判定結果に基づいて、上述した圧空噴射手段により、各カプセル剤C4が上記不良品回収缶71又は良品回収シュート72のいずれかに吹き落とされ、良品と不良品とに分別されて回収される。
【0028】
この場合、外観不良カプセル剤を上記不良品回収缶71へと吹き落とす部分は、上記良品回収シュート72の手前位置で上記良否判定部8の指示に従って随時圧空を噴射するもので、上記判定結果により「外観不良有り」と判定された不良カプセルのみを圧空により吹き落とすようになっており、一方、良品カプセル剤を上記良品回収シュート72へと吹き落とす部分は、全てのカプセル剤保持部分に対して常に圧空を噴射しており、この部分に到達した全てのカプセル剤C4を良品回収シュート72へと吹き落とすようになっている。これにより、外観不良を有する不良カプセルが手前側で検査ドラム6から排除されて不良品回収缶71に回収され、外観不良のない良品カプセル剤のみが良品回収シュート72から検査装置外へと排出される。
【0029】
このように、この従来の外観検査装置によれば、アトランダムに投入されたカプセル剤をキャップを一定の方向に向けた状態に揃えて整列させ、この方向規制されたカプセル剤を回転させながら、撮像装置で撮影し、得られた画像から外観不良の有無を判定し、その判定結果に基づいて良品と不良品とに分別して回収することができ、カプセル剤の外観検査を完全に自動化することができるものである。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の外観検査装置は、検査精度の点で未だ十分に満足し得るものではなく、検査性能上の理由から実用化には至っていない。
【0031】
即ち、上記従来の外観検査装置では、図9に示したように、カプセル剤C4を上記第1検査ローラ62aの鍔部62c,62c間に保持することによって位置決めした状態で、撮像装置7による画像の取り込みが行われるが、この場合、上記鍔部62c,62c間の幅Wは、上記第2方向規制ドラム5からのカプセル剤C4の受け渡しが確実かつスムーズに行われるように、カプセル剤C4の長さLよりもやや広く設定されているので、この鍔部62c,62c間に保持されて回転するカプセル剤C4は、軸方向に細かく移動又は振動しながら回転することとなり、正確に位置決めされた状態で画像の取り込みを行うことができない。
【0032】
このため、得られる画像には、カプセル剤回転時のぶれに基づく乱れが少なからず発生することとなり、画像処理による良否判定を厳格にすると、外観不良のないカプセル剤を多く含む大半のカプセル剤を不良と判定してしまうこととなる。よって、カプセル剤に多少のぶれが生じることを考慮して、外観不良であると判定する基準を設定しなければならず、高度な検査精度を達成することができない。特にカプセル剤の表面には、キャップとボディーとの境目に必ず段差が形成されるが、この段差部付近はキャップとボディーとの連結時にささくれ状の傷や割れ等の不良が生じやすい箇所であり、通常はこれらの不良を上記段差と識別して検出するため、上記段差による画像データの変化を予め記憶させておき、この記憶された変化以外の異常を外観不良であると認識する手法が採られる。しかしながら、カプセル剤のぶれによりこの段差部分が不規則に移動する場合には、この段差による画像データの変化を予め正確に予測して記憶させておくことはほとんど不可能であり、また段差によるデータの変化が現れる画像上の位置を特定することもできないので、キャップとボディーとの境目部分に生じた傷や割れ等の不良を上記段差と識別して検出することは極めて困難である。なお、キャップとボディーとの境目にバンドシールを施した場合にも同様の問題が生じる。
【0033】
また、カプセル剤は、その製造上の理由からキャップとボディーとの結合長さが必ずしも一定ではなく、従ってカプセル剤の長さLも多少のばらつきがあり一定ではない。このため、上記鍔部62c,62c間の幅W(図9参照)は、かなりの余裕をもって広く形成しなければならず、このように幅Wを余裕をもって広く設定した鍔部62c,62c間に比較的全長Lが短い(不良ではない程度の短さ)カプセル剤が収容された場合には、回転中のぶれが非常に激しくなり、この場合には最早まともな外観検査を行うことができないものである。
【0034】
更に、長さLが一定の許容範囲を逸脱したカプセル剤は、薬剤の充填量に多少があったり、キャップとボディーとの結合が不十分であったりするため、不良カプセル剤として排除しなければならないが、従来の外観検査装置では上記のようにカプセル剤が軸方向、即ち長さ方向に移動又は振動しながら回転し、このぶれを許容するように外観検査が行われるため、このような長さ検査を行うことは、実際上不可能である。
【0035】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、カプセル剤等の固形製剤を連続的に供給する供給部と、該供給部により供給された固形製剤を外周部に保持して間欠的に回転搬送し、所定の搬送位置で上記固形製剤を回転させる検査ドラムと、上記回転する固形製剤の表面を撮影する撮像装置と、該撮像装置により取り込んだ固形製剤の画像を画像処理して良否の判定を行う良否判定部と、該良否判定部の判定結果に基づいて不良品と良品とを分別回収する分別手段とを具備してなる固形製剤の外観検査装置の検査精度を向上させて、実用上十分な優れた検査精度を達成し得ると共に、固形製剤の長さ検査を行うことも可能な固形製剤の外観検査装置を提供することを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、一定の軸を中心として回転対称な形状を有する固形製剤の外観を検査する外観検査装置であり、上記固形製剤を連続的に供給する供給部と、該供給部により供給された固形製剤を外周部に保持して間欠的に回転搬送し、所定の搬送位置で上記固形製剤を回転させる検査ドラムと、上記回転する固形製剤の表面を撮影する撮像装置と、該撮像装置により取り込んだ固形製剤の画像を画像処理して良否の判定を行う良否判定部と、該良否判定部の判定結果に基づいて不良品と良品とを分別回収する分別手段とを具備してなる固形製剤の外観検査装置において、上記検査ドラムが、固定された内筒体と、該内筒体の外周に回転可能に取り付けられ、内筒体の外周面に沿って間欠回転する外筒体とからなり、上記内筒体の一部には、該内筒体の軸方向に沿った回転軸を有する自転ローラが、ローラ表面を内筒体の外周面に露出した状態に内設されていると共に、内筒体の外周面に露出した該自転ローラ表面の断面形状が軸方向一端側へと下降傾斜した形状となっており、また上記外筒体には、該外筒体の軸方向から所定角度ずれた中心軸を有する楕円形状又は長楕円形状乃至長方形の貫通保持ポケットが形成されており、該貫通保持ポケット内に上記固形製剤を保持して外筒体の間欠回転により該固形製剤を搬送すると共に、所定の搬送位置で間欠的に停止した貫通保持ポケット内の固形製剤を上記自転ローラ上で回転させ、この回転する固形製剤の外周面を上記撮像装置により撮影するように構成したことを特徴とする固形製剤の外観検査装置を提供する。
【0037】
本発明の外観検査装置は、上記供給部から供給されたカプセル剤等の固形製剤を上記検査ドラムを構成する上記外筒体の貫通保持ポケット内に収容して、この外筒体の間欠回転により搬送し、その搬送途中で検査ドラム内に配設された自転ローラにより該固形製剤を回転させながら上記撮像装置で撮影し、得られた画像から上記良否判定部により固形製剤の外観不良の有無を判定し、その判定結果に基づいて上記分別手段により外観不良のない良品と外観不良を有する不良品とに分別して回収するものである。
【0038】
この場合、本発明の外観検査装置では、上記検査ドラムが、固定された内筒体とこの内筒体の外側に回転可能に取り付けられた間欠回転する外筒体とで構成されており、この間欠回転する外筒体に設けられた貫通保持ポケット内に固形製剤を収容して搬送するようになっているので、搬送中の固形製剤は上記貫通保持ポケット内に保持された状態で内筒体の外周面上を転がりながら搬送されることとなる。
【0039】
そして、この固形製剤は、上記自転ローラが配設された箇所に搬送されて間欠的に停止すると、内筒体の外周面に露出した該自転ローラの表面上に載置された状態となり、この自転ローラの回転により貫通保持ポケット内で回転し、この固形製剤は停止した貫通保持ポケット内に保持された状態で、回転する自転ローラ表面上を転がるように回転することとなる。ここで、この固形製剤を保持する貫通保持ポケットは、上記のように、その中心軸が外筒体の軸方向から所定角度だけずれた状態に形成されたものであり、従って、この貫通保持ポケットの中心軸は内筒体の軸方向に沿って配置された上記自転ローラの回転軸とも所定角度だけずれた状態となり、これによりこの貫通保持ポケット内に保持されて自転ローラ表面上を転がる固形製剤の回転軸も自転ローラの回転軸からずれた方向となる。よって、固形製剤は、貫通保持ポケット内に保持された状態で自転ローラ表面を該自転ローラの回転方向から斜めにずれた方向へと向けて転がることとなり、貫通保持ポケット内の固形製剤は、全て該ポケットの一端側へと寄せられた状態となる。また、上記自転ローラは、上記のように、その表面の断面形状が軸方向一端側へと下降傾斜した形状となっており、従ってこの自転ローラ上で回転する固形製剤は、上記傾斜によっても軸方向一端側へと移動しようとしながら回転することとなり、上記貫通保持ポケットの一端側へと寄せられた状態を確実に維持しながら回転することとなる。
【0040】
なお、上記貫通保持ポケットの中心軸は外筒体の軸方向から所定角度だけずれた状態となっているため、外筒体の回転によってこの貫通保持ポケット内に保持されて内筒体の外周面を転がりながら搬送される固形製剤は、外筒体の回転方向からずれた方向へと向けて転がることとなり、これによって上記自転ローラの配設位置まで搬送する間に固形製剤を貫通保持ポケットの一端側へと寄せられた状態とすることもできる。この場合、この搬送中に固形製剤が寄せられる端部と、上記自転ローラ上で回転中に寄せられる端部とを同一の端部とすることにより、搬送中に貫通保持ポケットの一端側に寄せられた固形製剤を、上記自転ローラ上でこの一端側に寄せられた状態を維持して回転させるようにすることができるが、本発明では、上述のように、上記自転ローラ上においても確実に固形製剤を貫通保持ポケットの一端側へと移動させて寄せることができ、搬送中に固形製剤が寄っていく方向と自転ローラ上で固形製剤が寄っていく方向とが逆方向であっても全く差し支えない。
【0041】
このように、本発明の外観検査装置によれば、検査ドラムに保持した固形製剤を、全て貫通保持ポケットの一端側へと寄せて位置決めすることができ、更にこの状態を確実に維持したまま固形製剤を回転させて画像の取り込みを行うことができるものである。従って、ぶれ等の乱れがない鮮明な画像を確実に得ることができ、良否判定の基準を厳格に設定して高精度な外観検査を行うことができるものである。
【0042】
この場合、キャップとボディーとからなる硬カプセルに薬剤を充填したカプセル剤の外観検査を行う場合には、例えば上述の従来例と同様の方向規制手段など、適宜な方向規制手段を設けて、キャップが一定の方向を向いた横転状態にカプセル剤を方向規制し、この状態で上記検査ドラムにカプセル剤を供給し、上記貫通保持ポケット内で全カプセル剤をキャップ側へと寄せて位置決めし、検査を行うようにすることで、キャップとボディーとの境目に形成される段差を正確に位置決めして検査を行うことができる。従って、上記段差による画像データの変化を予め記憶させておく従来からの手法によって、この段差部付近に生じ易いささくれ状の傷や割れ等の不良を上記段差と確実に識別して検出することができ、厳格な外観検査を容易に行うことができる。なお、キャップとボディーとの境目にバンドシールを施した場合にも、同様にしてこのバンドシール部分に生じた傷等の不良を確実にバンドシールと識別して検出することができるものである。
【0043】
即ち、カプセル剤は、上述のようにキャップとボディーとの結合長さのばらつきにより、その全長が必ずしも一定なものではないが、ボディーの外側に嵌合するキャップの長さは常に一定であるから、カプセル剤をキャップ側に寄せて位置決めすることにより、キャップとボディーとの境目を正確に位置決めすることができる。これにより、上記段差による画像データの変化を予め正確に予測して記憶させておくことができ、しかもこの段差によるデータの変化が現れる画像上の位置を確実に特定することができるので、予め記憶された変化とは異なる異常として現れる傷等の不良を確実に上記段差と識別して検出することができるものである。
【0044】
更に、本発明の外観検査装置によれば、上述のように、検査対象の固形製剤が全て上記貫通保持ポケット内の一端側へと寄せられた状態で画像の取り込みが行われるため、得られる画像は全て固形製剤の一端がそろったものとなり、従って、固形製剤の他端を検出することにより固形製剤の長さを正確に検査することができ、通常の外観検査と同時に長さ検査を行うこともできるものである。
【0045】
このように、本発明の固形製剤の外観検査装置によれば、実用上十分に満足される優れた検査精度を達成し得ると共に、通常の外観検査と同時に長さ検査を行うこともできるものである。なお、本発明において検査対象となる固形製剤は、一定の軸を中心として回転対称な形状を有するものであり、具体的には硬カプセル、軟カプセル、楕円球状や球状の錠剤などが挙げられるが、特にキャップとボディーとからなる硬カプセルの外観検査を行う場合に好適に使用されるものである。この場合、硬カプセルは、内部に薬剤を充填したカプセル剤であっても、薬剤を充填する前の単にキャップとボディーとを仮連結させた空カプセルであってもよく、空カプセルについて外観検査を行う場合にも上述したカプセル剤についての場合と全く同一の作用効果を奏するものである。
【0046】
【発明の実施の形態及び実施例】
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
図1〜5は、本発明の一実施例にかかる外観検査装置を示すものである。この外観検査装置は、キャップとボディーとからなる硬カプセルに薬剤を充填したカプセル剤や、薬剤を充填する前の単にキャップとボディーとを仮連結させた空カプセル(以下、これらをまとめて単に「カプセル」という)について外観検査を行うものであり、図1に示されているように、供給ホッパー2、供給ドラム3、第1方向規制ドラム4、第2方向規制ドラム5、検査ドラム1、不良品回収缶71、良品排出シュート72、撮像装置7、良否判定部(図示せず)及び分別手段(図示せず)を具備している。
【0047】
この場合、上記供給ホッパー2、供給ドラム3、第1方向規制ドラム4及び第2方向規制ドラム5により、上記検査ドラム1にカプセルを供給する供給部sが構成されていると共に、上記供給ホッパー2からアトランダムに供給されるカプセルを上記供給ドラム3で直立状態で整列し、このカプセル全てを上記第1及び第2方向規制ドラム4,5により、キャップ側が一定の方向を向いた横転状態に方向規制して、上記検査ドラム1に供給するようになっている。なお、この供給部sは、上述した従来の外観検査装置(図6〜図9)の供給部と同様に構成されており、かつ同様の動作によりカプセルの供給及び方向規制を行うようになっているので、本実施例では、この供給部sの構成及び動作については各構成部分に上記従来の外観検査装置(図6〜図9)と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0048】
上記検査ドラム1は、上記第2方向規制ドラム5から供給される方向規制されたカプセルを外周部に保持して間欠回転し、該カプセルを下方へと搬送すると共に、その搬送途中で撮像装置7による画像の取り込みを行い、また内部に備えられた分別手段(図示せず)によってカプセルを不良品回収缶71と良品回収シュート72とに分別するものであり、上述した従来の外観検査装置(図6〜図9)の検査ドラム6に相当するものである。
【0049】
本実施例の検査ドラム1は、図2〜図4に示されているように、固定された内筒体11と、この内筒体11の外周に回転可能に取り付けられた外筒体12とを具備している。
【0050】
上記内筒体11には、その内側に該内筒体11の軸方向に沿った回転軸A5を有する自転ローラ13が配設されている。この自転ローラ13には、図4に示されているように、肉厚鍔状の突出リング13aが複数個設けられており、この突出リング13aの外周面が、内筒体11に形成された複数のローラ挿通窓11aを通して内筒体11の外周面に露出している。また、内筒体11の外周面に露出しているこの突出リング13aの表面(ローラ表面)は、軸方向中間部に段差を有すると共に、全体の断面形状が軸方向一端側(図では右側)へと下降傾斜した形状となっており、かつ下降傾斜側(図中右側)の端縁部には、リング状のゴム材13bが周方向に沿って取り付けられている。なお、上記突出リング13a表面(ローラ表面)の傾斜角度は通常3〜5゜程度とされる。
【0051】
また、上記ローラ挿通窓11aの内面と上記自転ローラ13の突出リング13aの側面との間には、下降傾斜側(図中右側)に存して所定の間隙13cが形成されている。この場合、内筒体11の内部は常に真空ポンプ等によって減圧吸引されており、上記間隙13cを通して自転ローラ13上に載置されたカプセルC4が吸引されるようになっている。
【0052】
この自転ローラ13は、図3に示されているように、上記回転軸A5の両端部が内筒体11の両側壁にそれぞれ回転自在に支持されて、回転可能に取り付けられており、この回転軸A5の一方の端部に歯車131が取り付けられていると共に、この歯車131がモータ等の駆動源(図示せず)と接続された駆動軸132に固定された駆動歯車133と歯合している。これにより、自転ローラ13が常に所定の速度で回転しているようになている。
【0053】
また、内筒体11の周壁には、特に図示していないが、一側方部及び最下部にそれぞれ後述する外筒体12の貫通保持ポケット121に対応して圧空噴射ノズルが設けられている。上記一側方部に設けられたノズルは不良品カプセルを不良品回収缶71(図1,2参照)へと吹き飛ばすためのもので、良否判定部からの指示に従って随時圧空を噴射するようになっており、一方、上記最下部に設けられたノズルは良品カプセルを良品回収シュート72へと吹き飛ばすためのもので、常に圧空が噴射されている。以下、上記一側方部に設けられたノズルを「不良品排出ノズル」といい、上記最下部に設けられたノズルを「良品排出ノズル」という。
【0054】
次に、上記外筒体12は、その周壁に多数の貫通保持ポケット121が整列して形成されたものである。この貫通保持ポケット121は、図5に示されているように、略長楕円形状に形成されたもので、その長さは検査対象のカプセルC4の長さよりも余裕をもって長く形成されていると共に、その中心軸121aが外筒体12の軸方向12aから所定角度θだけずれた状態となっている。なお、貫通保持ポケット121の中心軸121aと外筒体12の軸方向12aとの角度θは、特に制限されるものではなく、諸条件に応じて適宜選定されるものであるが、通常は1〜5゜程度とされる。
【0055】
この外筒体12は、図3に示されているように、上記内筒体11の外周に回転可能に取り付けられており、その側壁123の中心部が内筒体11の中心軸上に配設された間欠回転軸122に連結固定されている。そして、この間欠回転軸122は間欠駆動装置(図示せず)に連結されており、この間欠駆動装置に駆動されて間欠駆動軸122と一体的に外筒体12が間欠回転するようになっている。これにより、この外筒体12の周壁に形成された上記貫通保持ポケット121が、内筒体11の外周面に沿って周方向に移動するようになっている。
【0056】
なお、図1中7は、上記のように撮像装置であり、この撮像装置7は、ラインセンサカメラ74と照明装置75とを具備し、間欠的に停止した上記外筒体12の貫通保持ポケット121内で、上記自転ローラ13上に載置された状態で回転するカプセルを、上記照明装置75で照明しながら上記ラインセンサカメラ74で撮影するようになっている。この撮像装置7によりカプセルの撮影を行う検査ドラム1上の撮影位置は、特に制限されるものではないが、カプセルの安定性を考慮して検査ドラム1の最上点から搬送方向に20〜40゜程度下流側の位置とすることが好ましい。また、図1中73は、上記不良品回収缶71の上部に配設されたカバーであり、このカバー73により上記不良品排出ノズルからの圧空により貫通保持ポケット121内から吹き飛ばされた不良品カプセルを不良品回収缶71へと確実に回収するようになっている。更に、図1,2中14は、上記不良品排出ノズルによる不良品カプセル排出部よりも下流側において、上記外筒体12の外周に沿って配設された落下防止板であり、この落下防止板14によりカプセルが良品回収シュート72部分まで搬送される前に上記貫通保持ポケット121からこぼれ落ちることを防止するようになっている。
【0057】
ここで、特に図示していないが、上記カバー73内には、赤外線センサが取り付けられており、この赤外線センサにより不良品カプセルが上記貫通保持ポケット121から飛び出してカバー73を通過することを検出し、不良品カプセルが貫通保持ポケット121から排出されたことを確認するようになっている。この場合、1列の貫通保持ポケット121に複数個の不良品カプセルがある場合には、これを順次1個づつ排出し、カプセルが上記赤外線センサを横切る回数を検出することにより、不良カプセルが全て排出されたことを検出し得るようになっている。そして、この赤外線センサにより不良品カプセルが検査ドラム1に残っていることが検出された場合には、自動的に装置が停止し、不良品カプセルが良品カプセル中に混ざることを防止するようになっている。
【0058】
なお、図1中9は外観検査装置内に検査対象であるカプセルを投入するための投入ホッパーで、この投入ホッパー9から装置内の上記供給ホッパー2内にカプセルが投入されるようになっており、また図1中10は各種検査条件の設定を行う操作板であり、この操作板10には検査状況が表示されるモニターが備えらている。
【0059】
本実施例の外観検査装置では、まず、上記投入ホッパー9から装置内に投入され、一旦上記供給ホッパー2内に収容されたアトランダムな状態のカプセルを上記供給ドラム3で直立状態に整列し、このカプセルの全てを上記第1及び第2方向規制ドラム4,5により、キャップ側が一定の方向を向いた横転状態に方向規制して、上記検査ドラム1に供給する。これら一連の動作は、上述した従来の外観検査装置(図6〜図9)の場合と同様である。
【0060】
次いで、上記第2方向規制ドラム5から方向規制された状態で上記検査ドラム1に供給されたカプセルC4を該検査ドラム1を構成する上記外筒体12の貫通保持ポケット121内に収容して、この外筒体12の間欠回転により搬送し、その搬送途中で検査ドラム1内に配設された上記自転ローラ13により該カプセルC4を回転させながら上記撮像装置7のラインセンサカメラ74で撮影し、得られた画像から上記良否判定部(図示せず)により固形製剤の外観不良の有無を判定し、その判定結果に基づいて不良品カプセルを上記不良品排出ノズル(図示せず)により上記貫通保持ポケット121から不良品回収缶71に吹き飛ばした後、残った良品カプセルを上記良品排出ノズル(図示せず)により良品回収シュート72へと吹き飛ばし、カプセルC4を外観不良のない良品と外観不良を有する不良品とに分別して回収するものである。
【0061】
この場合、本実施例の外観検査装置では、上記検査ドラム1が、固定された内筒体11とこの内筒体11の外側に回転可能に取り付けられた間欠回転する外筒体12とで構成されており、この外筒体12に設けられた貫通保持ポケット内121にカプセルC4を収容して搬送するようになっているので、図2に示されているように、搬送中のカプセルC4は上記貫通保持ポケット121内に保持された状態で内筒体11の外周面上を転がりながら搬送される。
【0062】
そして、このカプセルC4は、上記自転ローラ13が配設された箇所に搬送されて間欠的に停止すると、図4に示されているように、内筒体11の外周面に露出した該自転ローラ13の突出リング13aの表面上に載置された状態となり、この自転ローラ13の回転により貫通保持ポケット121内で回転し、このカプセルC4は停止した貫通保持ポケット121内に保持された状態で、回転する自転ローラ13の突出リング13a表面上を転がるように回転することとなる。
【0063】
ここで、このカプセルC4を保持する貫通保持ポケット121は、図5に示されているように、その中心軸121aが外筒体の軸方向12aから所定角度θだけずれた状態に形成されたものであり、従って、この貫通保持ポケット121の中心軸121aは内筒体11の軸方向に沿って配置された上記自転ローラ13の回転軸A5とも所定角度だけずれた状態となり、これによりこの貫通保持ポケット121内に保持されて自転ローラ13の突出リング13a表面上を転がるカプセルC4の回転軸も自転ローラ13の回転軸A5からずれた方向となる。よって、カプセルC4は、貫通保持ポケット121内に保持された状態で自転ローラ13の突出リング13a表面を該自転ローラ13の回転方向から斜めにずれた方向へと向けて転がることとなり、貫通保持ポケット121内のカプセルC4は、全て該ポケット121の一端側(図5中、右側)へと寄せられた状態となる。また、上記自転ローラ13の突出リング13aは、上記のように、その表面の断面形状が軸方向一端側へと下降傾斜した形状となっており、従ってこの突出リング13a上で回転するカプセルC4は、上記傾斜によっても軸方向一端側(図5中、右側)へと移動しようとしながら回転することとなり、上記貫通保持ポケット121の一端側(図5中、右側)へと寄せられた状態を確実に維持しながら回転することとなる。この場合、本実施例では、図5に示されているように、カプセルC4が図中右側のキャップ側へと寄せられるようになっている。
【0064】
更に、本実施例の装置では、この自転ローラ13の突出リング13a上でカプセルC4が回転するとき、上記突出リング13aと内筒体11のローラ挿通窓11aとの間に設けられた間隙13cからの吸引によりカプセルC4はより確実に一端側(キャップ側)へと寄せられ、回転中もこの状態がより確実に維持される。また、カプセルC4の回転は、上記突出リング13aの下降側端縁部に取り付けられたゴム材13bにカプセルC4のキャップ側周面が当接し、該ゴム材13bの摩擦抵抗によって確実かつ安定的に行われる。
【0065】
なお、上記貫通保持ポケット121の中心軸121aは外筒体12の軸方向12aから所定角度θだけずれた状態となっているため、外筒体12の回転によってこの貫通保持ポケット121内に保持されて内筒体11の外周面を転がりながら搬送されるカプセルC4は、外筒体12の回転方向からずれた方向へと向けて転がることとなり、これによって上記自転ローラ13の配設位置まで搬送する間にカプセルC4を貫通保持ポケット121の一端側へと寄せられた状態とすることもできる。この場合、この搬送中にカプセルC4が寄せられる端部と、上記自転ローラ13の突出リング13a上で回転中に寄せられる端部とを同一の端部とすることにより、搬送中に貫通保持ポケット121の一端側(キャップ側)に寄せられたカプセルC4を、上記自転ローラ13の突出リング13a上でこの一端側(キャップ側)に寄せられた状態を維持して回転させるようにすることもできるが、本実施例の装置では、上述のように、上記自転ローラ13の突出リング13a上においても確実にカプセルC4を貫通保持ポケット121の一端側(キャップ側)へと移動させて寄せることができ、搬送中にカプセルC4が寄っていく方向と自転ローラ13の突出リング13a上でカプセルC4が寄っていく方向とが逆方向であっても全く差し支えない。
【0066】
このように、本実施例の外観検査装置によれば、検査ドラム1に保持したカプセルC4を、全て貫通保持ポケット121の一端側へと寄せて位置決めすることができ、更にこの状態を確実に維持したままカプセルC4を回転させて画像の取り込みを行うことができるものである。従って、ぶれ等の乱れがない鮮明な画像を確実に得ることができ、良否判定の基準を厳格に設定して高精度な外観検査を行うことができるものである
【0067】
この場合、本実施例の外観検査装置では、キャップとボディーとからなるカプセルをキャップが一定の方向を向いた横転状態に方向規制し、この状態でカプセルを上記検査ドラム1に供給し、上記貫通保持ポケット121内で全カプセルC4をキャップ側へと寄せて位置決めし、検査を行うようになっているので、キャップとボディーとの境目に形成される段差を正確に位置決めして検査を行うことができる。従って、上記段差による画像データの変化を予め記憶させておく従来からの手法によって、この段差部付近に生じ易いささくれ状の傷や割れ等の不良を上記段差と確実に識別して検出することができ、厳格な外観検査を容易に行うことができる。
【0068】
即ち、キャップとボディーとを結合したカプセルにあっては、キャップとボディーとの結合長さに若干のばらつきがあるため、その全長は必ずしも一定ではないが、ボディーの外側に嵌合するキャップの長さは常に一定であり、本実施例では、カプセルをキャップ側に寄せて位置決めすることにより、キャップとボディーとの境目を正確に位置決めすることができる。これにより、上記段差による画像データの変化を予め正確に予測して記憶させておくことができ、しかもこの段差によるデータの変化が現れる画像上の位置を確実に特定することができるので、予め記憶された変化とは異なる異常として現れる傷等の不良を容易に上記段差と識別して検出することができるものである。
【0069】
更に、本実施例の外観検査装置によれば、上述のように、検査対象のカプセルC4が全て上記貫通保持ポケット121内の一端側へと寄せられた状態で画像の取り込みが行われるため、得られる画像は全てカプセルの一端(キャップ側の先端)がそろったものとなり、従って、カプセルの他端(ボディー側の先端)を検出することによりカプセルの長さを正確に検査することができ、通常の外観検査と同時に長さ検査を行うこともできるものである。
【0070】
このように、本実施例の外観検査装置によれば、実用上十分に満足される優れた検査精度を達成し得ると共に、通常の外観検査と同時に長さ検査を行うこともできるものである。
【0071】
なお、本発明の外観検査装置は、上記実施例に限定されるものではなく、種々変更することができる。例えば、上記実施例では、カプセルを直立状態で整列させて供給する供給ドラム3と2つの方向規制ドラム4,5とにより、カプセルをキャップ側を一定の方向に向けた横転状態に方向規制するようにしたが、この供給部sに設けられる方向規制手段は、これに限定されるものではなく、キャップを一定の方向に向けた横転状態に方向規制して検査ドラム1に安定的に供給し得るものであればいずれのものであってもよい。また、上記実施例ではキャップとボディーとからなる硬カプセルに薬剤を充填したカプセル剤や薬剤を充填する前の単にキャップとボディーとを仮連結した状態の空カプセルについて外観検査を行う場合について示したが、検査対象となる固形製剤はこれに限定されるものではなく、本発明の検査装置は、ソフトカプセルや楕円球状の錠剤などの外観検査を行う場合にも好適に使用し得、この場合には特に方向規制を行う必要はないので、方向規制手段は省略することができ、供給部sは単にこれら固形製剤を横転状態で安定的に供給し得るものであればよい。更に、良品と不良品を分別して回収するための機構や撮像装置7の構成などは適宜変更することができ、その他の構成についても本発明の要旨を逸脱しない限り、種々変更して差し支えない。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の固形製剤の外観検査装置によれば、検査対象である固形製剤を正確に位置決めした状態で回転させながら画像の取り込みを行うことができ、これにより高精度な外観検査を行うことができると共に、固形製剤の長さ検査も通常の外観検査と同時に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる固形製剤の外観検査装置を示す概略図である。
【図2】同外観検査装置の検査ドラム部分を示す一部を切り欠いて断面とした概略図である。
【図3】同外観検査装置の検査ドラムを示す断面図である。
【図4】同検査ドラムに設けられた自転ローラ部分を示す部分拡大断面図である。
【図5】同検査ドラムの外筒体に設けられた貫通保持ポケット内に収容されたカプセルの動作を説明する説明図である。
【図6】従来の外観検査装置を示す概略斜視図である。
【図7】同外観検査装置の検査ドラムを示す断面図である。
【図8】同外観検査装置におけるカプセルの動きを説明する説明図である。
【図9】同外観検査装置の検査ドラムにおけるカプセルの保持状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 検査ドラム
11 内筒体
12 外筒体
121 貫通保持ポケット
13 自転ローラ
13b ゴム材
2 供給ホッパー
3 供給ドラム
31 供給ポケット
4 第1方向規制ドラム
41 第1方向規制ポケット
42 ガイド板
43 ガイド溝(第1方向規制ガイド)
43a 押圧部
5 第2方向規制ドラム
51 第2方向規制ポケット
52 ガイド板(第2方向規制ガイドを具備する)
7 撮像装置
s 供給部
C4 方向規制された横転状態のカプセル(固形製剤)
A1〜A4 水平軸
Claims (4)
- 一定の軸を中心として回転対称な形状を有する固形製剤の外観を検査する外観検査装置であり、上記固形製剤を連続的に供給する供給部と、該供給部により供給された固形製剤を外周部に保持して間欠的に回転搬送し、所定の搬送位置で上記固形製剤を回転させる検査ドラムと、上記回転する固形製剤の表面を撮影する撮像装置と、該撮像装置により取り込んだ固形製剤の画像を画像処理して良否の判定を行う良否判定部と、該良否判定部の判定結果に基づいて不良品と良品とを分別回収する分別手段とを具備してなる固形製剤の外観検査装置において、
上記検査ドラムが、固定された内筒体と、該内筒体の外周に回転可能に取り付けられ、内筒体の外周面に沿って間欠回転する外筒体とからなり、上記内筒体の一部には、該内筒体の軸方向に沿った回転軸を有する自転ローラが、ローラ表面を内筒体の外周面に露出した状態に内設されていると共に、内筒体の外周面に露出した該自転ローラ表面の断面形状が軸方向一端側へと下降傾斜した形状となっており、また上記外筒体には、該外筒体の軸方向から所定角度ずれた中心軸を有する楕円形状又は長楕円形状乃至長方形の貫通保持ポケットが形成されており、該貫通保持ポケット内に上記固形製剤を保持して外筒体の間欠回転により該固形製剤を搬送すると共に、所定の搬送位置で間欠的に停止した貫通保持ポケット内の固形製剤を上記自転ローラ上で回転させ、この回転する固形製剤の外周面を上記撮像装置により撮影するように構成したことを特徴とする固形製剤の外観検査装置。 - 上記自転ローラ表面の下降傾斜側の端縁部に、周方向に沿ってリング状のゴム材が取り付けられている請求項1記載の外観検査装置。
- 固形製剤がキャップとボディーとからなる硬カプセルであり、上記供給部に該カプセルをキャップ側を一定の方向に向けて整列させる方向規制手段を設け、該方向規制手段により一定の方向に規制された状態で上記カプセルを上記外筒体の貫通保持ポケット内に収容して搬送するように構成した請求項1又は2記載の外観検査装置。
- 上記供給部が、
所定数のカプセルを一旦収容して、順次供給ドラムへと供給する供給ホッパーと、
上記カプセルを軸方向を上下にした直立状態で収容する多数の供給ポケットが外周面に整列して形成され、水平軸を中心に回転する供給ドラムと、
軸方向を水平にした横転状態又はキャップを上にした直立状態のカプセルは完全に収容し得るが、ボディーを上にした直立状態のカプセルはそのボディー部分が外周面から突出した状態となる第1方向規制ポケットが、上記供給ポケットに対応した整列状態で外周面に形成されており、上記供給ドラムの下方に外周面を近接させた状態に配設され、水平軸を中心に回転する第1方向規制ドラムと、
この第1方向規制ドラムの外周面に沿って設けられ、該第1方向規制ドラムの回転方向からやや傾斜した押圧部を有しており、該押圧部が第1方向規制ドラムの外周面から突出したカプセルのボディー側の端部を横方向に押圧して、カプセルを上記第1方向規制ポケット内て横転させる第1方向規制ガイドと、
横転状態のカプセルは完全に収容し得るが、直立状態のカプセルはその端部が外周面から突出した状態となる第2方向規制ポケットが、上記第1方向規制ポケットに対応した整列状態で外周面に形成されており、上記第1方向規制ドラムの下方に外周面を近接させた状態に配設され、水平軸を中心に回転する第2方向規制ドラムと、
この第2方向規制ドラムの外周面に沿って設けられ、該第2方向規制ドラムの回転方向からやや傾斜した押圧部を有しており、該押圧部が第2方向規制ドラムの外周面から突出したカプセルのボディー側の端部を横方向に押圧して、該カプセルを上記第2方向規制ポケット内で横転させる第2方向規制ガイドとを具備してなるものである請求項3記載の外観検査装置。
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