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JP3685649B2 - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents

電動パワーステアリング制御装置 Download PDF

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JP3685649B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、補助操舵力発生用のアクチュエータに電動機を用いたパワーステアリング装置に係り、特にトルク検出系の異常を検出する機能を備えた電動パワーステアリング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動パワーステアリング装置は、補助操舵力を発生するためのアクチュエータとして電動機を用い、操舵ハンドルから車両の操舵系に与えられる操舵トルクを検出し、電動機から与えられる補助操舵力を制御することにより、パワーステアリングとしての機能が得られるように構成されているのが通例であり、従って、トルク検出手段が不可欠である。
【0003】
しかして、この結果、そのトルク検出手段に異常が発生すると、運転者が意図してない補助操舵力が働いてしまう虞れがあり、従って、トルク検出手段の異常を検出する機能が不可欠になるが、このとき、さらに、そのトルク検出の異常判定の信頼性が極めて重要な課題になる。
【0004】
そこで、従来から、電動パワーステアリング制御装置の操舵トルク検出信号が所定の閾値を所定時間以上継続して越えた場合に異常と判定する方法が知られているが、さらに、例えば特開平8−313311号公報では、操舵トルク検出信号が所定値を越えているとき、その閾値との差の大きさに応じて異常と判定するための所定時間を可変にし、操舵トルク検出信号が所定の閾値より外れる度合いが大きいほど異常判定時間を短く設定してセンサ異常を確定する方法について開示している。
【0005】
また、例えば特開平5−69851号公報では、2個の操舵トルクセンサを設け、それらの信号の差が閾値に対し異常な状態となった場合に異常が発生したと判断し、異常検出時間経過までは2個の操舵トルクセンサの信号の平均値によって補助操舵力を制御するという方法について開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、操舵トルク検出手段の的確な異常判定と、不所望な補助操舵力の発生抑制の両立について配慮がされているとは言えず、安全性と信頼性の向上に不満が残るという問題があった。
【0007】
例えば、上記特開平8−313311号公報に記載の従来技術では操舵トルク検出信号が閾値から外れる程検出時間が短くなるため、操舵トルク検出信号にノイズなどが重畳したり、信号ライン瞬断などにより閾値から外れた場合においても検出時間が短く設定されて検知確定されるので、誤検出に対しては考慮がされているとは言えないものと考えられる。
【0008】
また、特開平5−69851号公報に記載の従来技術では、2系統の操舵トルク検出信号の比較によりセンサの異常検出を行い、異常発生検出中は2系統のセンサ信号の平均値によって制御が継続されるので、2系統のセンサ信号の平均値で制御されるとはいえ、操舵補助力が発生することには変わりがなく、異常発生から制御停止までの時間を長くしたのでは、運転者が意図しない操舵補助力が発生し易くなって好ましくなく、また異常検出時間を短くしたのではノイズなどの影響による誤検出の要因となるため、この点に関して考慮されていないものと考えられる。
【0009】
さらに、何れの従来技術でも、電動パワーステアリング制御装置は一般的に高応答で電動機を制御するため、操舵トルク検出信号が正常に復帰した場合にはその信号復帰時の信号変化にも応答して操舵補助力が発生することになり、信号復帰時の不用意な操舵補助力の変化による補助操舵力変化やステアリング系へのショック等が発生するものと考えられるため、この点についても考慮されていなかった。
【0010】
本発明の目的は、異常検出中での不所望な補助操舵力が発生する虞れがなく、トルク検出手段の異常が的確に検出できるようにした電動パワーステアリング制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、操舵ハンドルから操舵系に与えられるトルクを検出するトルク検出手段と、前記操舵系に操舵補助力を付加する電動機と、前記トルク検出手段の操舵トルク検出値に基づいて前記電動機に電力を供給するする制御手段とを備えた電動式パワーステアリング制御装置において、前記操舵トルク検出値が第1の判定時間まで継続して異常になったとき、前記制御手段内での補助操舵力指令値の伝達を無効にし、前記操舵トルク検出値が第1の判定時間まで継続して異常になった後、第2の判定時間に達する前に異常が回復したときは、前記制御手段内で無効にされた補助操舵力指令値の伝達を回復させ、前記操舵トルク検出値が第1の判定時間を越えて前記第2の判定時間まで継続して異常になったとき、前記制御手段に対する電源からの電力供給を遮断するようにして達成される。
【0012】
また、上記目的は、操舵ハンドルから操舵系に与えられるトルクを検出するトルク検出手段と、前記操舵系に操舵補助力を付加する電動機と、前記トルク検出手段の操舵トルク検出値に基づいて前記電動機に電力を供給するする制御手段とを備えた電動式パワーステアリング制御装置において、前記操舵トルク検出値が第1の判定時間まで継続して異常になったとき、前記制御手段内での補助操舵力指令値の伝達を無効にし、前記操舵トルク検出値が第1の判定時間まで継続して異常になった後、第2の判定時間に達する前に異常が回復したときは、この回復した時点から第3の判定時間が経過した後、前記制御手段内で無効にされた補助操舵力指令値の伝達を回復させ、前記操舵トルク検出値が第1の判定時間を越えて前記第2の判定時間まで継続して異常になったとき、前記制御手段に対する電源からの電力供給を遮断するようにしても達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による電動パワーステアリング制御装置について、図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明による電動パワーステアリング制御装置の一実施形態例で、車両の操舵ハンドル1の操舵軸2にトルク検出手段3を設け、このトルク検出手段3により、運転者が操舵ハンドル1に与えたトルク、いわゆる操舵トルクが検出され、電気信号のトルク検出値Tとして制御手段4に入力されるようになっている。
【0014】
この制御手段4には、図示のように、演算手段5、駆動手段6、それに電力変換手段7が備えられており、これにより、まず演算手段5では、トルク検出手段3から供給されるトルク検出値Tに基づいて補助操舵力指令値TA が演算され、これが駆動手段6に供給される。
駆動手段6では、この操舵補助力指令値TA に基づいて電力変換手段8を駆動するための駆動信号TD を生成し、これを電力変換手段7に供給する。
【0015】
そこで電力変換手段7は、入力された駆動信号TD に基づいてバッテリなどの電源8から供給されている電力を変換し、補助操舵トルク発生用のアクチュエータである電動機9を制御し、これから所定の補助操舵トルクTAS が発生されるようにする。
【0016】
この電動機9は、ギヤ(歯車機構)10を介して操舵輪1の軸2に結合され、これにより電動機9が発生した補助操舵トルクTAS が車輪11の操舵系に伝達されるようになっており、この結果、操舵輪1に加えられた操舵力に、補助操舵トルクTAS による補助が与えられ、パワーステアリングとしての機能が発揮されることになる。
【0017】
また、このとき演算手段5は、電力変換手段7から電動機9の電流値Iを取り込み、この電流値Iと、トルク検出手段3から取り込まれる操舵トルク検出値Tを常時監視し、その監視結果に応じて、接点機構を備えた電磁接触器などで構成されている断続手段12を動作させ、電力変換手段7に対する電源8からの電力供給を制御するように構成されている。
【0018】
この結果、トルク検出手段3による操舵トルク検出値Tが正常範囲外の値を示した場合には、その信号異常状態が演算手段5によって検出され、断続手段12の接点開放により電動機9に対する電力の供給が遮断されてしまうことになり、従って、この実施形態によれば、異常発生時での不所望な補助操舵力の発生を確実に抑えることができる。
【0019】
次に、上記実施形態における制御手段4内の演算手段5による処理内容について、図2により説明する。
既に説明したように、この演算手段5には、操舵トルク検出値Tと電動機7の電流値Iとが入力されているが、この演算手段5は、図示のように、操舵力演算手段50と応答補償演算手段51、電流検出演算手段52、トルク検出手段動作判定手段53、加算手段54、電流制御演算手段55、それに選択手段56を備えている。
【0020】
そして、まず、操舵トルク検出値Tは、操舵力演算手段50と応答補償演算手段51、それにトルク検出手段動作判定手段53に入力される。
そして、まず操舵力演算手段50では、操舵トルク検出値Tの値に応じた操舵補助力の演算により、基本操舵力値T0 が出力される。
次に応答補償演算手段51では、操舵時の応答補償に必要な補償力の演算を行い、応答補償力値T1 が出力される。
【0021】
更にトルク検出手段動作判定手段53では、所定の演算処理によりトルク検出手段3に異常が発生していないか否かの判定が常時実行されており、この判定結果に応じて選択手段切替信号S1 と断続手段切替信号S2 の2種の信号が生成されるようになっている。なお、このときの所定の演算処理については、後で詳述する。
【0022】
一方、電流値Iは電流検出手段52に入力され、この電流値Iに基づいて電流演算値IE が演算される。
そこで、まず基本操舵力値T0 と応答補償力値T1 は加算手段54で加算されて操舵指令値T2 となり、電流制御演算手段55に供給され、電流演算値IE も電流制御演算手段55に供給される。
【0023】
これにより電流制御演算手段55は、操舵指令値T2 と電流演算値IE に基づいて電動機9に流れる電流を帰還制御し、その結果として得た補助操舵力指令値TA を選択手段56のA接点に供給する。
選択手段56は、選択手段切替信号S1 により制御され、電流制御演算手段55から供給される補助操舵力指令値TA を、演算手段5の外部に出力するか否かの選択切替を行なうようになっており、このため、図示のように、そのB接点は接地されている。
【0024】
従って、この選択手段56がA接点を選択しているときは、補助操舵力指令値TA はそのまま演算手段5の外部に出力され、この補助操舵力指令値TA が駆動手段6に伝達される動作となり、B接点を選択しているときは、外部には補助操舵力指令値TA に代えて接地電位が出力されることになり、結果として電動機9に対する電力供給が遮断されてしまう動作となる。
【0025】
次に、この実施形態の動作について、トルク検出手段動作判定手段53による選択手段切替信号S1 と断続手段切替信号S2 の2種の信号の発生条件を中心にして説明する。
まず図3は、上記実施形態において、トルク検出手段3からの操舵トルク検出値Tが異常になったときの動作を示したもので、図において、(X)は正常と異常を判定するための閾値で、この閾値(X)以下をNG(異常)レベルとする。
【0026】
既に説明したように、トルク検出手段動作判定手段53は、トルク検出手段3から操舵トルク検出値Tを入力し、そのレベルを常時監視している。
そこで、いま、時刻t1 で、操舵トルク検出信号Tが正常な動作範囲から閾値(X)を外れ、NGレベルになったとする。
そうすると、この閾値(X)を外れた時刻t1 でトルク検出手段動作判定手段53はトルク検出手段3に異常が発生したと判断し、まず、この異常が発生した時刻t1 でタイマなどによる時間計測を開始する。
【0027】
そして、時刻t1 から、予め設定してある第1の判定時間tA が経過した時刻t2 で選択手段切替信号S1 を切替え、選択手段56をB接点に切替えて、補助操舵力指令TA が演算手段5の外部に出力されないようにする。
この結果、時刻t2 から電動機9には電流が供給されなくなり、電動機9による補助操舵トルクの発生は停止される。
【0028】
このとき、トルク検出手段動作判定手段53は、時刻t2 で選択手段56が切替った後もトルク検出手段3からの操舵トルク検出値Tの異常検出を継続して行うと共に、その間もタイマなどによる時間の計測を続行している。
【0029】
そして、時刻t2 以降経過した時間が、予め設定してある第2の判定時間tB を越えた場合には、このときトルク検出手段3に発生した異常が一時的なものではなく、制御復帰不可能な異常であると判断し、第2の判定時間tB が経過したときの時刻t5 で断続手段切替信号S2 を切替え、断続手段12の接点を開放させ、電源8からの電力供給を遮断するのである。
【0030】
ここで、トルク検出手段3の異常検出に際して、ノイズや信号瞬断などによる不所望な誤検出を避けるという見地からすれば、その判定時間は長くするのが本来の考え方であり、この観点からすれば、この実施形態における第1の判定時間tA と第2の判定時間tB を加算した程度の長い判定時間(tA+tB)を設定することが望ましい。
【0031】
しかし、トルク検出手段3の信号が異常レベルになっているときでも、演算手段5による補助操舵力指令値TA の演算は常時実行されているため、単に判定時間(tA+tB)を長くしたのでは、その間での運転者の意図せぬ補助操舵力発生の確率が高くなってしまい、充分なフェイルセーフ機能の保持が難しくなってしまう。
【0032】
しかしながら、この実施形態によれば、異常が発生した時刻t1 から比較的短い判定時間tA が経過した時刻t2 で直ちに補助操舵力指令値TA の出力が停止されるので、ここで、まず運転者の意図せぬ補助操舵力が発生するのを確実に抑えることができる。
【0033】
そして、その後で、第2の判定時間tB が経過するまでの比較的長い判定時間(tA+tB)を費やしてトルク検出手段3の異常判定が行われるので、トルク検出手段3に発生したと思われる異常が一時的なものか、又は復帰不可能な異常なのかを十分に見極めることができ、従って、この実施形態によれば、異常に対する的確な保護動作が確実に得られることになる。
【0034】
次に、図4は、上記実施形態において、トルク検出手段3からの操舵トルク検出値Tが異常になったあと、比較的短時間で異常レベルから正常レベルに復帰した場合の動作を示したもので、この場合でも、時刻t1 から時刻t2 までの動作は、図3の場合と同じである。
【0035】
すなわち、時刻t1 で、それまで正常な動作範囲にあった操舵トルク検出信号Tが閾値(X)を外れ、NGレベルになった後、第1の判定時間tA が経過した時刻t2 で選択手段56が切替えられ、補助操舵力指令TA が演算手段5の外部に出力されないようにされた結果、時刻t2 から電動機9には電流が供給されなくなり、電動機9による補助操舵トルクの発生が停止されることになる。
【0036】
さらに、このとき、トルク検出手段動作判定手段53は、時刻t2 で選択手段56が切替った後もトルク検出手段3からの操舵トルク検出値Tの異常検出を継続して行うと共に、その間もタイマなどによる時間の計測を続行している点も、図3の場合と同じである。
【0037】
しかして、この図4では、時刻t2 以後、第2の判定時間tB が経過するのを待たずに、その間の時刻t3 で操舵トルク検出信号Tが閾値(X)以上の正常なレベルに復帰したとする。
そうすると、この場合には、演算手段5は、トルク検出手段3の異常検出動作を中断して制御復帰動作に移行するのである。
【0038】
まず、操舵トルク検出信号Tが閾値(X)以上に戻った時刻t3 で、演算手段5は、操舵トルク検出信号Tが閾値(X)以上の正常なレベルにあることを条件として、新たにタイマなどによる時間の計測を開始し、第3の判定時間tC が経過するのを待ち、この間は、時刻t2 以降の状態をそのまま保つ。
【0039】
そして、この第3の判定時間tC が経過して時刻t4 になった時点で、選択手段切替信号S1 を戻し、選択手段56をA接点に切替え、補助操舵力指令値TA を演算手段5の外部に出力する。
この結果、電動機9の制御が再開され、補助操舵力TAS が再び操舵系に与えられるようになり、パワーステアリング機能が得られることになる。
【0040】
従って、この実施形態によれば、何らかの理由により操舵トルク検出信号Tのレベルが一時的に異常になり、閾値(X)を外れた場合でも、操舵トルク検出信号Tが所定時間(tA+tB)内に正常レベルに復帰した場合には正常な制御に復帰するので、ノイズやコネクタの瞬断などに際していちいちパワーステアリング機能が失われてしまう虞れがない。
【0041】
ところで、操舵トルク検出信号Tの復帰に際しては、図4の時刻t3 で示すように、大きな信号変化を伴うので、これに応答して応答補償演算手段51から大きな応答補償力値T1 が出力され、この結果、操舵補助力指令値TA が一時的に増加されるので、ステアリング系に急激な補助操舵トルクが働き、ショックが発生する虞れがある。
【0042】
しかしながら、この実施形態では、操舵トルク検出信号Tが復帰した際、制御動作再開までに判定時間tC による遅れが与えられるようになっているので、時刻t3 での操舵トルク検出信号Tの大きな変化を拾う虞れがなく、上記したステアリング系での急激な補助操舵トルクの増加によるショックの発生を確実に抑えることができる。
【0043】
また、この実施形態では、操舵トルク検出信号Tの一時的な異常に際しては断続手段12による電源遮断が起らないので、復帰時、断続手段12の動作遅れによる影響を受ける虞れがなく、異常状態からの復帰に違和感のない制御を得ることができる。
【0044】
次に、トルク検出手段判定手段53による異常処理について、図5のフローチャートにより説明する。
この図5による処理が開始されると、まずS1で、トルクセンサで検出した操舵トルク検出信号Tのレベルが閾値(X)を外れているか否かを判定する。なお、このS1で、トルクセンサとは、トルク検出手段3のことである。
【0045】
そして、結果がY(肯定)、つまり外れていると判定された場合には何らかの異常が発生したと見做し、S2で復帰カウンタFをクリアする。ここで、復帰カウンタFは、上記した第3の判定時間tC を計測するタイマに相当する。
【0046】
次に、S3で異常カウンタKを加算(インクリメント)し、この異常カウンタKの値から時間tA が経過したか否かの判定を行なう。従って、この異常カウンタKが上記した第1の判定時間tA と、第2の判定時間tB を計測するタイマに相当する。
ここで、時間tA が経過していなければ、そのまま制御を継続するので、判定結果はN(否定)になり、S4で何もせずに処理を終了する。
【0047】
一方、S4での処理で、異常カウンタKが時間tA を越えてていたときはS5に進む。
このS5の処理では、異常検出時間が既に時間tA に達したので、制御動作を一旦中断すべく、選択手段切替信号S1 を操作して選択手段56を切替え、補助操舵力指令TA が出力されないよう処置する。
【0048】
そして、次のS6の処理で、時間tB が経過したか否かをチェックし、結果がNのときは、ここで処理を終了する。
一方、時間tB が経過していた場合には、電動パワーステアリング制御を完全に停止する処置として、S7の処理で、断続手段切替信号S2 30を操作し、断続手段12を開放させる。
【0049】
この断続手段12の開放により、電源8からの電力供給は遮断され、電動パワーステアリング機能は停止する。
【0050】
S1の処理に戻り、ここで操舵トルク検出値Tが閾値(X)を外れていないと判定されたときは、操舵トルク検出値Tが正常レベルにあると判断されるので、S8に進む。
このS8の処理では、復帰カウンタFの値を調べ、これにより経過時間が時間tC 以上になっていたときは、制御を通常通りに行なってもよい状態にあると判断し、次のS9の処理で選択手段切替信号S1 操作し、選択手段56をA接点側に戻し、補助操舵力指令TA を演算手段5の外部に出力させ、これにより通常の制御状態に移行させる。
【0051】
しかして、S8での判定で、復帰カウンタFが時間tC 未満であると判定されたときは、まだ制御復帰できる時間が経過していないと判断し、このときは、まずS10で復帰カウンタFを加算し、続いてS11で、選択手段56をB接点側に保持したままにし、補助操舵力指令値TA を無効にしたままの状態を継続させるのである。
【0052】
従って、上記実施形態によれば、トルク検出手段3の異常判定時間を長く設定しても、異常時に運転者が意図してない補助操舵力が発生してしまう虞れが無いので、異常判定時間を充分に長くすることができ、この結果、トルク検出手段3の異常判定に際して、ノイズや信号ライン瞬断など、トルク検出手段3自体の異常によらない操舵トルク検出信号Tの異常と、トルク検出手段4自体の異常とを混同してしまう虞れがなく、常に的確にトルク検出手段3の異常を検出することができる。
【0053】
また、上記実施形態によれば、異常検出時の処理において、操舵補助力指令値TA の出力停止と、断続手段12の開放処理を別々に制御できるため、断続手段12の操作を真に必要な場合だけに限定でき、この結果、異常検出状態から復帰する際での断続手段12の投入動作に伴う遅れ時間がなく、応答性のよい制御を容易に得ることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、操舵トルク検出信号Tが回復した際の制御に、時間tC の制御停止期間が与えられるように構成されているので、操舵トルク検出信号T回復時でのステアリングの不所望な動作や復帰時のショックなどが発生する虞れがなく、安定したパワーステアリング動作を容易に保つことができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、操舵トルク検出手段の的確な異常判定と、不所望な補助操舵力の発生抑制の両立が確実に得られるので、信頼性の高い電動パワーステアリング制御装置を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電動パワーステアリング制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における演算手段の制御内容の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態の動作を説明するためのタイミング図である。
【図4】本発明の一実施形態の動作を説明するためのタイミング図である。
【図5】本発明による電動パワーステアリング制御装置の一実施形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 操舵ハンドル
2 操舵軸
3 トルク検出手段(トルクセンサ)
4 制御手段
5 演算手段
6 駆動手段
7 電力変換手段
8 電源
9 電動機
10 ギヤ(歯車機構)
11 車輪
12 断続手段
50 操舵力演算手段
51 応答補償演算手段
52 電流検出演算手段
53 トルク検出手段動作判定手段
54 加算手段
55 電流制御手段
56 選択手段
I 電動機7の電流値
E 電流演算値
T 操舵トルク検出値
A 補助操舵力指令値
AS 補助操舵トルク
D 駆動信号
0 基本操舵力値
1 応答補償力値
2 操舵指令値

Claims (2)

  1. 操舵ハンドルから操舵系に与えられるトルクを検出するトルク検出手段と、前記操舵系に操舵補助力を付加する電動機と、前記トルク検出手段の操舵トルク検出値に基づいて前記電動機に電力を供給するする制御手段とを備えた電動式パワーステアリング制御装置において、
    前記操舵トルク検出値が第1の判定時間まで継続して異常になったとき、前記制御手段内での補助操舵力指令値の伝達を無効にし、
    前記操舵トルク検出値が第1の判定時間まで継続して異常になった後、第2の判定時間に達する前に異常が回復したときは、前記制御手段内で無効にされた補助操舵力指令値の伝達を回復させ、
    前記操舵トルク検出値が第1の判定時間を越えて前記第2の判定時間まで継続して異常になったとき、前記制御手段に対する電源からの電力供給を遮断するように
    構成したことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  2. 操舵ハンドルから操舵系に与えられるトルクを検出するトルク検出手段と、前記操舵系に操舵補助力を付加する電動機と、前記トルク検出手段の操舵トルク検出値に基づいて前記電動機に電力を供給するする制御手段とを備えた電動式パワーステアリング制御装置において、
    前記操舵トルク検出値が第1の判定時間まで継続して異常になったとき、前記制御手段内での補助操舵力指令値の伝達を無効にし、
    前記操舵トルク検出値が第1の判定時間まで継続して異常になった後、第2の判定時間に達する前に異常が回復したときは、この回復した時点から第3の判定時間が経過した後、前記制御手段内で無効にされた補助操舵力指令値の伝達を回復させ、
    前記操舵トルク検出値が第1の判定時間を越えて前記第2の判定時間まで継続して異常になったとき、前記制御手段に対する電源からの電力供給を遮断するように
    構成したことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
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