JP3684410B2 - 下水汚泥の処理方法および下水汚泥処理物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、産業排水及び一般家庭排水を処理して生じる有機性下水汚泥の処理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、下水道網の整備の拡大に伴い下水汚泥の発生量は増加の一途をたどっている。下水汚泥の処理法としては、従来、重油のような助燃用燃料を加えて焼却し、焼却灰を埋立て処分するのが一般的であったが、最終処分先の埋立地の確保が困難となりつつあり、下水処理産物の減容化あるいは有効利用法の開発が急務である。
焼却灰の減容化方法としては溶融ガラス化する方法が一部の処理場で試みられているが、エネルギーコストが高い上に排出される灰を処理する問題が残り根本的な解決法とはなっていない。また、焼却灰の有効利用法としては、レンガ製品の製造や有機肥料への使用等、多くの方法が試みられているが、新たに市場を開拓する必要があったり、既存の競合品と対抗するには品質的・コスト的になお問題があるなどの難点があり、汚泥の大量的かつ安定的な利用にはつながっていない。
【0003】
このような中にあって汚泥を生石灰等と混合・脱水した上でセメント原料または製鉄用焼結原料として利用する技術(特開平 3-98700号、特開平3-207497号)が注目されている。セメント製造または製鉄では1000℃以上の炉を用いて原料を焼結しており、汚泥をこれらの炉に投入すると、汚泥中の有機物は助燃用燃料を加えずに燃焼するので、助燃用燃料を必要とする従来の処理法と比較してエネルギ−的に有利である。しかも無機物は硅酸質材料や石灰質原料として有効利用され、また既存のセメント製造施設や製鋼施設をそのまま利用できる利点があり、さらに廃ガス対策も既存設備の廃ガス処理で足りる。また、これらの方法はセメントあるいは鉄鋼といった継続運転する産業用原料として用いるために汚泥の大量処理が可能であり、新商品開発に伴なう市場開拓努力なしに安定的に下水汚泥が処理できる点で画期的な解決法ともいえ、今後、この方向の利用法が普及することが望まれている。
【0004】
【従来技術の課題】
一方、これらの方法には次のような課題が残っている。すなわち、現在の下水処理法の主流である活性汚泥法においては窒素分は汚泥に濃縮吸着させているため、処理場から排出される下水汚泥は多量の窒素分を含む。下水汚泥に生石灰類を添加する上記処理方法では、汚泥に生石灰を混合した際の発熱によって汚泥中の窒素分が分解し、多量のアンモニアガスが発生して揮散するため周囲に悪臭が拡散する。発生したアンモニアガスの大部分は生石灰との混合時に回収することができるが、一部は生石灰水和後の高比表面積の消石灰と乾燥汚泥の混合物(以下、“乾粉”と称す。)に吸着されて残存する。この残存アンモニア分は温度の上昇と共に揮散し、乾粉保管用サイロ内では気温が30℃以上になると濃度数%以上のアンモニアガスが充満し、作業環境が劣悪になる。この乾粉を密閉保管しても、その出し入れや移送の際、あるいはセメント原料として炉に投入する際などにはアンモニアガスの漏出が避けられず、悪臭が漂う。
因みに、人間の臭覚は1ppm 程度のアンモニア濃度でも感知するため、これ以下にアンモニア濃度を除去する脱臭処理方法が求められている。
【0005】
アンモニア臭気対策としては、ペット用砂等でよく行われているように、活性炭などの有機系高比表面積物質に吸着させる方法が知られている。しかし、この方法は乾粉の臭気対策には適さない。すなわち、活性炭などはアンモニアのほかに水やゴミ等を吸着して短期間に表面が飽和し、吸着力が急激に低下する欠点がある。また、多量に使用すると処理コストの増大を招き、少量の使用で効果を挙げるために微粉化すると、保管時あるいは移送時に空気中の酸素と結合し易くなり、いわゆる粉塵爆発の危険性を招く。
活性炭などを用いる方法に代えて、気相あるいは液相の酸を滴下することによりアンモニアを中和することも考えられるが、酸の保管自体が危険物の保管となり管理が面倒になる上、配管等の耐食対策が必要なため処理コストが相当に嵩む問題がある。
【0006】
【発明の解決課題】
本発明は、以上のような従来の処理方法における問題を解決したものであり、大量に発生する下水汚泥の悪臭を除去し、下水汚泥を安定的に有効利用できる方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、下水汚泥と生石灰の混合物の悪臭が低コストで除去されるので、該混合物をセメント原料あるいは製鉄原料として利用し易くなり、さらには従来利用されていない分野での新たな用途も可能になる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以下の構成からなる下水汚泥の処理方法と下水汚泥処理物が提供される。
(1) 下水汚泥に生石灰類を混合した後に、この混合物を熟成混合機に移して熟成を進行させ、この熟成混合物に硫酸アルミニウム含有粉体を添加して脱臭する処理方法において、含水率60〜100%の下水汚泥について、汚泥固形分100重量部に対して50〜150重量部の生石灰類を混合して水分量を低減した後に、この混合物を熟成混合機に移して熟成させることによってさらに水分量を低減して水分量3〜8%の乾粉とし、この熟成乾粉に硫酸アルミニウム含有量が5重量%以上の脱臭用粉体を上記乾粉100重量部に対して0.1〜70重量部混合して脱臭することを特徴とする下水汚泥の処理方法。
(2) 含水率60〜100%の下水汚泥について、汚泥固形分100重量部に対して50〜150重量部の生石灰類を混合して水分量を低減した後に、この混合物を熟成混合機に移して熟成させることによってさらに水分量を低減して水分量3〜8%の乾粉とし、この熟成乾粉に硫酸アルミニウム含有量が5重量%以上の脱臭用粉体を上記乾粉100重量部に対して0.1〜70重量部混合してなる脱臭下水汚泥処理物。
【0008】
【具体的な説明】
(I)生石灰類による脱水工程
本発明で処理する下水汚泥は、主に下水処理場で発生する汚泥であるが、この他に、し尿、家庭用雑排水、産業用排水処理などによって発生した汚泥を含む。これらの汚泥は一般に含水率60〜100%程度まで脱水処理されており、本発明はこの下水汚泥を使用する。
下水汚泥に混合する生石灰類とは、CaOを主成分とし、下水汚泥の水分を取り込んで消石灰類になるものを云い、具体的には、生石灰、仮焼ドロマイト、水滓、高炉スラグなどが含まれる。生石灰類の粒度は粒径70mm以下、好ましくは30mm以下であれば良い。
生石灰類の混合量は下水汚泥の含水率にもよるが、概ね、下水汚泥100重量部に対して50〜150重量部、好ましくは80〜130重量部程度が用いられる。生石灰の添加量がこの範囲よりも少ないと汚泥が乾燥せず、セメント原料ないし製鉄原料として適さない。また生石灰の添加量が多すぎるとコスト高になるので好ましくない。含水率80%の下水汚泥に同量程度の生石灰を混合したものは、含水率がほぼゼロの乾燥した粉体が得られる。
【0009】
( II )硫酸アルミニウム含有粉体による脱臭工程
以上のように脱水処理された汚泥と石灰の混合物に硫酸アルミニウムを含む粉体を添加して脱臭する。
硫酸アルミニウムは、Al2 (SO4 )3 で表わされる単塩、硫酸アルミニウムと他の塩からなる複塩およびその水化物(含水塩)を用いることができる。複塩には、例えば、硫酸アルミニウムカリウム[KAl(SO4 ) 2 、カリミョウバン]や硫酸アルミニウムナトリウム[ NaAl(SO4 ) 2 、ナトリウムミョウバン]などの、いわゆるミョウバンが含まれる。ミョウバンは一般式:XAl3 (SO4 )2 (OH)6 で表されるが、XがK、Na,NH4 、(1/2)Pb 等であるものが有効に用いられる。さらにAlの部分をFe、Cu、Znで一部置換したものも用いられる。
【0010】
硫酸アルミニウムは乾粉に添加混合されると乾粉中の水分と反応して加水分解する。加水分解物は硫酸を含むため強酸性を示す。本発明の脱臭作用は基本的には硫酸アルミニウム粉末の吸着作用と硫酸アルミニウムの加水分解によって生じた硫酸とアンモニアとの中和反応との相乗的な作用に基づくものと推察される。すなわち、従来、消臭剤として使用されているシリカゲル、ゼオライトおよび活性炭の消臭効果はこれらの表面吸着作用に専ら基づいており、乾粉のアンモニア成分のほかにも水蒸気を多量に吸着する。このため、吸着作用が飽和し、肝心のアンモニアガスを十分に吸着できず、消臭効果が低下する。一方、本発明の硫酸アルミニウム粉末は適度な湿分によって硫酸を生じるので、水蒸気を吸着してもこの硫酸によってアンモニアが中和される。従って、シリカゲルなどと異なり、水蒸気の吸着による吸着作用の飽和による消臭効果の低下をきたさず、高い消臭効果を発揮することができる。
【0011】
硫酸アルミニウム粉末は粒度が細かいほど消臭効果が大きいが、過度の粉砕はコストアップにつながる上に、吸湿を招きやすいため好ましくない。具体的には3mm以下が適当であり、0.05〜1mm以下がより好ましい。
因みに、従来のシリカゲルなどの消臭剤も、吸着効果を高めるために比表面積が大きくなるよう微粉末のものが用いられるが、前述したように、多量の水分の吸着により短時間に吸着作用が飽和するので微粉化しても消臭効果はそれ程向上しない。一方、本発明の硫酸アルニミウム粉末は吸着作用と硫酸による中和作用の相乗的作用によって脱臭するので、粒度が細かいほど吸着能による消臭効果が大きいものの、後述する実施例および比較例に示すように、必要以上に微粉化しなくてもよい。
【0012】
硫酸アルミニウムは、通常、結晶水を有する水和物として得られ、この結晶水は結晶中に拘束されているため特に悪影響を及ぼすことはないが、粒子(結晶)表面の過度な付着水分は乾粉と接触させる前に酸を生じて容器や管路を侵し、また硫酸アルミニウム粉末の凝集を招き管路やフィーダなどの閉塞を生じるなど流動性低下の原因となり、さらには粉末表面が水分で飽和されると吸着作用が低下する。従って、硫酸アルミニウム粉末は乾燥状態で用いることが好ましい。具体的には含水率50%以下が好ましい。
【0013】
硫酸アルミニウムは単独で使用してもよく、また、消臭作用を有する他の粉体と混合して使用してもよい。併用する粉体としては、例えば、シリカゲル、クリストバライト、ケイ藻土のような硅酸質粉体、各種の粘土類、活性白土、酸性白土、ゼオライト、タルク、セピオライト等のような硅酸塩鉱物粉や炭酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち、ケイ藻土、酸性白土およびその加工品である活性白土が好適である。これらは、その粒子表面に酸基を保持するのでアンモニア分子を効果的に捕捉することができ、硫酸アルミニウム粉末の消臭効果と相俟って優れた脱臭効果が得られる。また、化学成分が SiO2 −Al2 O3 系であるので脱臭した下水処理物をセメント原料や製鉄原料あるいは土壌改良材などに利用するうえでも都合がよい。
【0014】
上記混合粉体中の硫酸アルミニウム含有量は5重量%以上であり、内割で10重量%以上含有するものが好ましい。また、混合粉末の使用量は乾粉100重量部に対して0.1〜70重量部、好ましくは1〜10重量部が適当である。硫酸アルミニウムの含有量が10重量%未満であると十分な脱臭効果を得るための混合粉末の使用量が増し、処理コストが嵩む。また、混合粉末の使用量が0.1重量%未満では消臭効果が乏しく、かつ混合が困難であり、使用量が70重量%を超えても脱臭効果は変わらず、むしろ重量増およびコスト高になるので好ましくない。
【0015】
(III) 本方法の処理工程例
本方法の処理工程例を図1に示す。図示する処理工程は、下水汚泥供給部1、生石灰供給部2、乾粉製造部3、排ガス排水処理部4およびこれらを結ぶ移送系から構成されている。
下水汚泥供給部1では、下水処理場でフィルタープレス等により含水率が70〜80%に脱水処理された汚泥ケーキが供給装置11を通じて乾粉製造部3に所定量ずつ送られる。一方、生石灰供給部2には生石灰の計量手段14が設けられており、一定量の生石灰が乾粉製造部3に送られる。
【0016】
乾粉製造部3は原料混合機12および熟成混合機13から構成される。原料混合機12では汚泥ケーキと生石灰供給部2から送られてくる一定量の生石灰が混合される。汚泥の固形分100重量部に対して概ね50〜150重量部の生石灰を添加して均一に混合した後に、この混合物を熟成混合機13に移し、水分量が十分に低減した状態になるまで混合する。
これらの混合機12、13の排気系にはバッグフィルタ15、排ガス冷却装置16、スクラバ17、中和槽18、ミストセパレータ19および活性炭吸着器20からなる排ガス排水処理部4が付設される。
【0017】
熟成が進行した時点で、熟成混合物に硫酸アルミニウムを含有する消臭用粉体を添加する。消臭用粉体の添加量は乾粉100重量部に対して0.1〜70重量部である。消臭用粉体を添加することにより、混合物のアンモニア残存量は人が臭気を感じる閾値の1ppm 以下に低減され、アンモニア臭が除去される。
【0018】
本発明の処理方法によって無臭化した乾粉(処理物)は貯蔵タンクなどに保管され、セメントもしくは鉄鋼用原料、あるいは土壌改良剤または肥料および水処理材として用いられる。
具体的には、セメントの製造工程において、上記処理物を他のセメント原料と共に原料系に投入して用いることができる。上記処理物の消石灰と汚泥固形分の無機物はセメント成分となり、汚泥の有機物は焼成時の燃料となる。また、上記処理物は製鉄工程において焼結原料の一部として用いることができる。
土壌改良剤としては、単独で用いても良く、またはシリカ、石灰粉、フライアッシュなどの既知の土壌改良成分と共に用いても良い。肥料としては、単独であるいは他の栄養成分とともに用いる。水処理材としては、そのまま、あるいは成分調整して用いる。
【0019】
【実施例】
以下に本発明の実施例および比較例を示す。なお本実施例は例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1および比較例】
(1)使用材料
実施例・比較例で用いた材料は次のとおりである。
(イ)下水汚泥:活性汚泥処理した含水率80%の下水汚泥。乾燥品の有機物含有率94%。(ロ)生石灰:CaO含有量94%以上の石灰石焼成品。(ハ)脱臭用粉体:実施例では市販の硫酸バン土、ナトリウムミョウバン、カリミョウバンおよび硫酸鉄を用い、併用成分として、ケイ藻土、活性白土および炭酸カルシウムを用いた。比較例では、ゼオライト、硅石粉、セピオライト、ベントナイト、鹿沼土および活性炭のみからなる粉体を用いた。各粉体の物性は表1(実施例)および表2(比較例)に示す通りである。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
(2)脱水工程
ホバートミキサーに汚泥1kg、生石灰1kgを入れ、15分間低速で混合した。生石灰の水和に伴い機内の温度は最高170℃に達し、水分は水蒸気となって揮散した。水分量15%となった混合物(消石灰と脱水汚泥)を12時間熟成し、その後、水分・アンモニア含有量が均一になるように混合した。この結果、水分量3%〜8%の乾燥混合物(乾粉)が得られた。
【0023】
(3)アンモンモニア濃度の測定
予備試験として、水分量8%の上記乾粉を流速20cm/secで温度 100℃の容器内に流し、発生したアンモニアガスを水中に導いて補集し、ガスクロマトグラフを用いてその濃度を測定した。本発明の脱臭処理を行わない上記乾粉のアンモニア濃度は6000ppm であった。因みに、悪臭防止法による臭気強度目安では、濃度1ppm で全ての人がアンモニア臭を感じるとしており、6000ppm の濃度は極めて激しいアンモニア臭である。なお同様に他の悪臭成分を分析したところ、硫化水素1ppm 以下、トリメチルアミン0.04ppm 以下、ノルマル吉草酸0.001ppm 以下であった。
実施例および比較例は、実際の使用態様にあわせ、吸引式検知管を用いてアンモニア濃度を測定した。即ち、容量100mlの捕集びん中に乾粉20gを入れ、40℃の温度に16時間保持した後、上部空間に滞留するアンモニア蒸気を検知管で濃度測定した。この結果を表3および表4に示した。
【0024】
(4)脱臭工程
上記捕集ビンに乾粉20gと共に表1〜2に掲げた各試料粉末を入れ、発生するアンモニアガスの濃度を測定した。各試料の測定結果を粉体の添加量(0.1〜5%)ごとに表3および表4に示した。なお、表3は水分量3%の乾粉を使用したもの、表4は水分量8%の乾粉を使用したものである。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
これらの結果に示されるように、本発明の処理方法によれば、脱臭用粉体の添加量が0.1%でもアンモニア濃度を概ね1〜数ppm 以下まで低減することができる。一方、本発明の脱臭用粉体に代えてゼオライトや活性炭等を混合したものは、最も脱臭効果が高い活性炭を用いた場合でも、アンモニア濃度を1ppm 以下にするには、水分量3%の乾粉に対して活性炭が3%以上必要であり、水分量8%の乾粉に対しては活性炭の量を増やしても良好な脱臭効果が得られない。しかも活性炭等を用いたものは混合状態も大きく影響し、良く混合しないものはアンモニア濃度が高く脱臭効果が低い。
【0028】
【実施例2】
水分量3%の上記乾粉に硫酸バン土、カリミョウバン、硫酸バン土+活性白土混合物(1:1)をそれぞれ3%添加したものをセメント原料として用い、これを他のセメント原料(石灰石、粘土、銅カラミを所定量加え粉砕した調合原料)に内割り10%となるように添加し、ペレット化したものを1450℃で焼成した。得られたセメントクリンカーをブレーン値3500m2 /gになるまで粉砕した。このポルトランドセメントをJIS R 5201により評価した。表5の結果に示すように、本発明の処理物を添加したものは、これを加えないセメントと比較して凝結時間およびモルタル強度に大差なく、上記処理物をセメント原料として使用できることが確認された。
【0029】
【表5】
【0030】
【実施例3】
実施例2と同様に水分量3%の乾粉に硫酸バン土、カリミョウバンを添加混合し、それぞれを高炉原料(鉄鉱石、石灰石、コークスを所定量加え所定の粒度に粉砕したもの)に内割り5%となるように添加し、ペレット化したものを1380℃のロータリーキルンで焼結させた。硫酸バン土、ミョウバン添加品とも焼結体の圧縮強度は無添加のものと比較して±5%の範囲内にあった。また、比重、流動性その他の特性も乾粉を添加したものとしないものでは有意の差は見られなかった。
【0031】
【実施例4】
実施例2と同様に水分量3%の乾粉に硫酸バン土、カリミョウバンを添加混合し、それぞれpH1.5の硫酸廃液に投入し、pH6.9〜7.4となるように中和した。生じた沈殿を回収したところ、純度92%の石膏が得られた。か焼特性等について検討した結果、有効利用可能な水準であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係る下水汚泥の処理方法によれば、汚泥処理産物である乾粉が低コストで実質的に無臭化され、その取扱性が著しく改善される。従って、この乾粉を広い用途に利用し易い。また、本発明の処理方法により得られた処理産物はカルシウムおよび硫酸塩を主体として含むため、セメント・鉄鋼原料として有効かつ大量に処理することができる。さらに、この処理産物は、含有される有機成分およびカルシウムその他の無機養分並びに硫酸アンモニウムにより、脱硝効果、土壌改良効果および植物の肥育効果などが顕著であり、しかも無臭であるので地盤改良材・肥料・水処理材などとしても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理工程図
【符号の説明】
1…下水汚泥供給部
2…生石灰供給部
3…乾粉製造部
4…排ガス排水処理部
Claims (2)
- 下水汚泥に生石灰類を混合した後に、この混合物を熟成混合機に移して熟成を進行させ、この熟成混合物に硫酸アルミニウム含有粉体を添加して脱臭する処理方法において、含水率60〜100%の下水汚泥について、汚泥固形分100重量部に対して50〜150重量部の生石灰類を混合して水分量を低減した後に、この混合物を熟成混合機に移して熟成させることによってさらに水分量を低減して水分量3〜8%の乾粉とし、この熟成乾粉に硫酸アルミニウム含有量が5重量%以上の脱臭用粉体を上記乾粉100重量部に対して0 . 1〜70重量部混合して脱臭することを特徴とする下水汚泥の処理方法。
- 含水率60〜100%の下水汚泥について、汚泥固形分100重量部に対して50〜150重量部の生石灰類を混合して水分量を低減した後に、この混合物を熟成混合機に移して熟成させることによってさらに水分量を低減して水分量3〜8%の乾粉とし、この熟成乾粉に硫酸アルミニウム含有量が5重量%以上の脱臭用粉体を上記乾粉100重量部に対して0.1〜70重量部混合してなる脱臭下水汚泥処理物。
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