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JP3683997B2 - 電子写真装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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JP3683997B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置及びプロセスカートリッジに関し、詳しくは、特定の電子写真感光体を用い、特定の帯電を行う電子写真装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真装置の帯電手段としては、コロナ帯電器が一般的に使用されてきた。また、近年低オゾン等の利点を有することから、接触帯電装置、即ち、電子写真感光体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することによって電子写真感光体の帯電を行う装置も実用化されている。
【0003】
しかしながら、コロナ帯電は勿論、接触帯電も、帯電は帯電部材から電子写真感光体への放電によって行われるため、放電開始電圧以上の電圧を印加することによって帯電が開始される。例えば、膜厚25μmの電子写真感光体を帯電ローラを用いて接触帯電するためには、帯電ローラに少なくとも約640V以上の電圧を印加しなければならない。約640V以上の電圧を印加することにより初めて放電が開始され、感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体の表面電位が上昇する。以後、この帯電開始電圧をVthと定義する。つまり、電子写真プロセスに必要とされる感光体の表面電位Vdを得るためには、帯電ローラには(Vd+Vth)のDC電圧が必要となる。このようにDC電圧のみを帯電部材に印加することによって電子写真感光体の帯電を行う帯電方式を、DC帯電方式と称する。
【0004】
このDC帯電方式では、装置周辺の温湿度の変動等により帯電部材の抵抗値が変動するため、あるいは、感光体が使用に伴って削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが困難であった。このような理由から、更なる帯電の均一性を図るために、特開昭63−149669号公報等に開示されるように、所望のVdに相当するDC電圧に(2×Vth)以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した振動電圧を帯電部材に印加して感光体の帯電を行う、所謂AC帯電方式が用いられるようになっている。この帯電方式では、感光体の表面電位は環境や感光体削れ等の外的要因に影響されることなく、Vdに収束する。
【0005】
しかしながら、上述のような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は、帯電部材から電子写真感光体へのエアギャップを介した放電現象を用いているため、先に述べたように帯電に必要とされる電圧は感光体の表面電位を越える値であり、微量ではあるがオゾンも発生する。また、帯電均一化のためにAC帯電方式を用いた場合には、オゾン発生量の増加、AC電圧の電界による振動音の発生及び放電による感光体表面の劣化が顕著になる等の問題点が発生していた。
【0006】
そこで、特開平6−3921号公報や特開平7−5748号公報等には、実質的に放電を利用せずに帯電部材から電子写真感光体の表面層に直接電荷を注入する帯電、所謂注入帯電が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、注入帯電が可能であるような電子写真感光体としては、表面層として導電性の金属酸化物を分散した樹脂層やシリコンカーバイド層を有するもの等非常に限られたものしか知られていない。
【0008】
本発明の目的は、良好な注入帯電を行うことができ、優れた画像を得ることができる電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、ドラム状の電子写真感光体と、
該電子写真感光体に接触配置され、該電子写真感光体の回転方向とは逆方向に、かつ該電子写真感光体の回転に対して周速差をもって回転する、電圧の印加によって該電子写真感光体を帯電する帯電ブラシと、
露光手段と、
現像手段と、
転写手段と、を有する電子写真装置において、該帯電が、該電子写真感光体に実質的に放電することなしに直接電荷を注入することによって該電子写真感光体を帯電せしめる注入帯電であり、
該電子写真感光体が、
(i)基体と、電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を表面層として有する感光層と、を有する、か若しくは
(ii)基体と、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層と、該感光層上の表面層と、を有する、ものであって、
該表面層が0.5V以下の還元電位を有する下記No.(1)、(3)及び(5)から選ばれる何れかの有機化合物を含有することを特徴とする電子写真装置である:
【化9】
Figure 0003683997
【化10】
Figure 0003683997
【化11】
Figure 0003683997

【0010】
また、本発明は、ドラム状の電子写真感光体と、
該電子写真感光体に接触配置され、該電子写真感光体の回転方向とは逆方向に、かつ該電子写真感光体の回転に対して周速差をもって回転する、電圧の印加によって該電子写真感光体を帯電する帯電ブラシと、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、該帯電が、該電子写真感光体に実質的に放電することなしに直接電荷を注入することによって該電子写真感光体を帯電せしめる注入帯電であり、かつ該電子写真感光体が、
(i)基体と、電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を表面層として有する感光層と、を有する、か若しくは、
(ii)基体と、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層と、該感光層上の表面層と、を有するものであって、
該表面層が0.5V以下の還元電位を有する前記No.(1)、(3)及び(5)から選ばれる何れかの有機化合物を含有していることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0011】
このように、本発明は、特定の構成を有する電子写真感光体を用いることにより、良好な注入帯電をすることが可能になったのである。本発明においては、0.5V以下の還元電位を有する有機化合物を用いるので、金属酸化物よりも化合物の均一な分散が容易であり、シリコンカーバイド層のように大がかりな製造装置も必要としない。
【0012】
なお、帯電が、エアギャップでの放電による帯電か、放電することなしに直接電荷を注入することによる帯電かの区別は、前記の通り帯電部材への印加電圧と感光体の表面電位との関係を調べることにより判断が可能である。即ち、放電による帯電では、感光体上の帯電電圧は印加電圧に対してしきい値をもち、帯電部材へ印加するDC電圧を0Vから徐々に増加していくと、感光体の表面電位は、印加電圧数百ボルトまで0Vを保った後、放電開始電圧(帯電開始電圧)以降は印加電圧の増加に対して線形に増加していくのに対して、電荷を直接注入することによる帯電では、帯電開始電圧が存在しないか又は非常に小さく、印加電圧の増加に対して0Vからほぼ線形に感光体の表面電位も増加する。従って、本発明においては、印加電圧と帯電開始電圧の差が100V以下であるような帯電をすることが可能な装置で、実質的に放電することなしに行う帯電を注入帯電と定義する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる電子写真感光体は、その表面層に、0.5V以下の還元電位を有する有機化合物を含有するものであればよく、他は特に限定されるものではない。
【0014】
0.5V以下の還元電位を有する有機化合物を含有する表面層は、該化合物を結着樹脂中に分散した溶液を塗布し、乾燥することによって形成される。本発明においては、導電性基体上に光導電体を含有する感光層を形成し、その上に本発明の表面層を積層しても、感光層の少なくとも最表層に0.5V以下の還元電位を有する有機化合物を含有させてもよい。
【0015】
感光層としては、従来公知のものを使用でき、例えばSe、As2 Se3 、a−Si、CdS及びZnO2 等の無機物光導電体、更にPVK−TNF、フタロシアニン顔料及びアゾ顔料等の有機光導電体を用いたものなどが使用可能である。特に有機光導電体を用いたものは、感光層自体が樹脂と他の化合物との混合物で形成されるため、感光層上に本発明の表面層を新たに1層設けなくとも感光層の表面層に0.5V以下の還元電位を有する有機化合物を添加すればよい。従って有機光導電体を用いた感光体は、感光体の電子写真特性、電気的特性及び化学的特性をほとんど損なうことなく、また非常に簡便に本発明に用いる感光体とすることができる。更に本発明の感光体としては、有機光導電体を用いたものの中でも、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを有する機能分離型の感光体が、繰り返し電位安定性に優れるので好ましく、その中でも電荷発生層上に電荷輸送層を有し、表面層である電荷輸送層中に0.5V以下の還元電位を有する有機化合物を含有するものが、繰り返し使用時の電位安定性や残留電位の低さ等の電子写真特性に特に優れているので特に好ましい。
【0016】
本発明における還元電位は、以下に記載する方法によって測定した。
【0017】
(還元電位の測定法)
飽和カロメル電極を参照電極とし、0.1N−(n−Bu)4+ ClO4 - アセトニトリル溶液を用い、ポテンシャルスイーパによって作用電極(白金)に印加する電位をスイープし、得られた電流−電位曲線がピークを示したときの電位を還元電位とした。詳しくは、サンプルを、0.1N−(n−Bu)4+ ClO4 -アセトニトリル溶液に10mmol%程度の濃度になるように溶解する。そしてこのサンプル溶液に作用電極によって電圧を加え、電圧を高電位(0V)から低電位(−1.0V)に直線的に変化させた時の電流変化を測定し、電流−電位曲線を得る。この電流−電位曲線において電流値がピーク(ピークが複数ある場合には、最初のピーク)を示したときの電位の絶対値を還元電位とした。
【0018】
本発明に用いられる0.5V以下の還元電位を有する有機化合物は、上記測定方法によって測定した還元電位が0.5V以下であり、下記表1に示す例示化合物のうち、No.(1)、(3)及び(5)から選ばれる何れかである。但し、成膜性や均一性の点から有機溶媒に溶解性を示し、結着樹脂に均一に溶解するものが好ましい。その添加量や結着樹脂に対して0.1〜100重量%であることが好ましく、特には0.5〜50重量%であることが好ましい。
【0020】
【表1】
Figure 0003683997
【0021】
本発明の表面層が含有する結着樹脂は特に限定されるものではなく、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、セルロース、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂、塩化ビニル樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられる。
【0022】
また、本発明の表面層は、必要に応じて酸化防止剤及び紫外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。
【0023】
次に、帯電部材について説明する。
【0024】
帯電部材の形状としては、ブラシや導電性粉体を電子写真感光体表面に接触させるものが挙げられる。帯電部材を構成する材料としては特に限定されるものではなく、例えば金、銀及び水銀等の金属、樹脂にカーボンブラック等の導電性粉体を分散したもの、導電性高分子、イオン導電処理したゴム材料及び磁性粉体等が使用可能である。
【0025】
電荷の注入性を向上させるためには、帯電部材と電子写真感光体の表面との接触面積を大きくすることが好ましく、この点からブラシ及び粉体が用いられる。更に使用時のハンドリングの容易さを考慮すると、粉体が好ましく、特に粉体として磁性粉体を用い、これをマグネット棒の周りにブラシ状に配した帯電部材は、帯電均一性及びハンドリングの容易さの点でより好ましい。また、ブラシの場合には、帯電部材を電子写真感光体に対して周速差をもって回転させることにより、感光体表面に接触する帯電部材の面積を増加させることができ、その結果、電荷注入性を向上させることができる。特には、帯電部材と感光体が、それらの接触部分において逆方向に回転していることが好ましい。
【0026】
また、本発明においては帯電部材の抵抗が1×104 〜1×109 Ω/cm2 であることが好ましい。帯電部材の抵抗が1×109 Ω/cm2 を越えると帯電不良が発生し易く、1×104 Ω/cm2 に満たないと感光体のピンホール周辺における帯電不良やピンホールの拡大、帯電部材の通電破壊が生じ易くなる。
【0027】
本発明における帯電部材の抵抗は以下のように測定することができる。
【0028】
まず、帯電部材を直径30mmのアルミニウムシリンダーにニップ幅が3mmとなるように接触配置する。次に、この帯電部材の電圧印加部分(実際の電子写真装置において帯電部材に電圧を印加する場所。例えば帯電ローラの芯金)に外部より100VのDC電圧を印加し、帯電部材とアルミニウムシリンダーの間を流れる電流を測定する。この電流値をI(A)とし、下記式から得られる値を帯電部材の抵抗値とした。
【0029】
【外1】
Figure 0003683997
【0030】
なお、本発明における露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段等の通常の電子写真プロセスを行うために必要な手段は、何ら限定されるものではない。
【0031】
以下に本発明を実施例により説明する。
【0032】
【実施例】
(実施例1)
図1は、本発明のプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。本例の電子写真装置は、レーザービームプリンターである。
【0033】
図1において、1は、直径30mmのドラム状の電子写真感光体である。感光体1は、矢印方向に100mm/secの周速度で回転駆動される。2は感光体1に接触配置された帯電部材としての回転ブラシローラ(帯電ブラシ)であり、この帯電ブラシ2には帯電バイアス電源S1から−700VのDC電圧が印加され、感光体1の表面がほぼ−680Vに一様に注入帯電される。この感光体1の帯電処理面に対して不図示のレーザービームスキャナから出力されるレーザービームによる走査露光L(露光手段)がなされ、感光体1の周面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。形成された静電潜像は磁性一成分絶縁ネガトナーを用いた反転現像手段3によりトナー画像として反転現像される。
【0034】
3aはマグネットを内包する直径16mmの非磁性現像スリーブであり、この現像スリーブ3aに上記のネガトナーをコートし、感光体1表面との距離を300μmに固定した状態で感光体1と等速で回転させ、スリーブ3aに現像バイアス電源S2より現像バイアスを印加する。電圧は−500VのDC電圧と、周波数1800Hz、ピーク間電圧1600Vの矩形のAC電圧を重畳したものを用い、ジャンピング現像を行う。
【0035】
一方、不図示の給紙部から記録材としての転写材Pが給送されて、感光体1と、これに所定の押圧力で当接させた接触転写手段としての中抵抗の転写ローラ4との圧接ニップ部(転写部)Tに所定のタイミングにて導入される。転写ローラ4には転写バイアス電源S3から所定の転写バイアスが印加される。
【0036】
本実施例ではローラ抵抗値が5×108 Ω/cm2 の転写ローラ4を用い、+2000VのDC電圧を印加して転写を行った。転写部Tに導入された転写材Pはこの転写部Tにおいて、その表面に感光体1の表面に形成されているトナー画像を静電力と押圧力にて転写される。トナー画像の転写を受けた転写材Pは感光体1から分離されて熱定着方式等の定着手段5へ導入されてトナー画像の定着を受け、画像形成物(プリントあるいはコピー)として装置外へ排出される。また、転写材Pに対するトナー画像転写後の感光体表面はクリーニング手段6により残留トナー等の付着物の除去を受けて清掃される。
【0037】
本実施例の電子写真装置においては、感光体1、帯電部材2、現像手段3及びクリーニング装置6がプロセスカートリッジ20として一体に支持されており、プロセスカートリッジ20は、電子写真装置本体から一括して着脱自在である。なお、現像手段3やクリーニング手段は一体化されていなくてもよい。
【0038】
本実施例における電子写真感光体1は、負帯電用の有機光導電体が用いられており、表面を陽極酸化によって粗面化することによってレーザによるモアレの発生を防止したφ30mmのアルミニウムシリンダー上に下記の3層を有している。
【0039】
まず、アルコール可溶性共重合ナイロン樹脂(平均分子量29000)10部(重量部、以下同様)及びメトキシメチル化6ナイロン樹脂(平均分子量32000)30部をメタノール260部及びブタノール40部の混合溶媒中に溶解した溶液を、上記アルミニウムシリンダー上に浸漬塗布し、乾燥することによって、厚さ1μmの下引き層を形成した。次に下記構造式
【0040】
【外2】
Figure 0003683997
で示されるジスアゾ顔料4部、ポリビニルブチラール樹脂(ブチラール化率68%、平均分子量24000)2部及びシクロヘキサノン34部をサンドミル装置にて12時間分散することによって電荷発生層用分散液を調製した。この溶液を前記下引き層上に浸漬塗布し、乾燥することによって、厚さ0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0041】
次に、下記構造式
【0042】
【外3】
Figure 0003683997
で示されるヒドラゾン化合物7部、例示化合物No.(5)0.3部及びポリスチレン樹脂10部をモノクロルベンゼン50部に溶解した。この溶液を前記電荷発生層上に浸漬塗布し、乾燥することによって、厚さ20μmの電荷輸送層を形成した。
【0043】
帯電部材としての帯電ブラシ2は導電磁性粒子を用いた導電磁気ブラシにした。導電磁気ブラシは非磁性の導電スリーブ(不図示)、これに内包されるマグネットロール2a、スリーブ上の導電磁性粒子によって構成され、マグネットロールは固定され、スリーブとその上に形成された磁性粒子の穂(導電磁気ブラシ)が感光体との接触位置において感光体と逆の方向に移動するように回転される(周速150%)。このときの導電磁性粒子は平均粒径20μmの焼結したマグネタイトを用いた。帯電部材の抵抗を前述の方法で測定したところ、5×104 Ω/cm2 であった。
【0044】
以上のような構成の本発明のプリンターで画像出力を行ったところ、良好な画像を出力することができた。この時、帯電部材2に印加する電圧は−700Vのみであり、従来の接触帯電装置にように放電を起こすための余分な電圧を印加する必要はなかった。また、このように放電を伴わずに帯電が可能となったため、本実施例においては放電に起因するオゾンの発生や感光体表面の劣化を防止することができた。
【0045】
参考例1
例示化合物No.(5)をNo.(8)に代え、更に、帯電部材の抵抗を3×104Ω/cm2にした(マグネタイトの焼結温度により調整した)以外は実施例1と同様にして電子写真装置を作成し、評価した。
【0046】
その結果は、実施例1と同様非常に良好なものであった。
【0047】
参考例2
例示化合物No.(5)をNo.(9)に代え、更に、帯電部材の抵抗を5×10Ω/cmにした(マグネタイトの焼結温度により調整した)以外は実施例1と同様にして電子写真装置を作成し、評価した。
【0048】
その結果は、実施例1と同様非常に良好なものであった。
【0049】
参考例3
例示化合物No.(5)をNo.(6)に代え、更に、帯電部材の抵抗を7×10Ω/cmにした(マグネタイトの焼結温度により調整した)以外は実施例1と同様にして電子写真装置を作成し、評価した。
【0050】
その結果は、実施例1と同様非常に良好なものであった。
【0051】
(実施例
例示化合物No.(5)0.3部をNo.(1)0.5部に代え、更に、帯電部材を以下のようにした以外は実施例1と同様にして電子写真装置を作成し、評価した。
【0052】
本実施例の帯電部材としての帯電ブラシ2は、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維(商品名「REC−C」)をブラシ状に配したテープを、直径6mmの金属製の芯金2aにスパイラル状に巻つけることにより作成した。その外径は14mmで、ブラシ1本は600デニール/100フィラメントであり、ブラシの密度は1平方インチ当り100,000フィラメントとした。また、帯電部材の抵抗値は1×105 Ω/cm2 であった。
【0053】
この帯電ブラシ2の芯金2aの両端に50gの加重をかけて帯電ブラシ2を感光体1に当接させ、感光体の回転方向にたいして逆方向に150%の周速で感光体1に接触するように回転させて、−700VのDC電圧を印加することによって感光体表面を帯電処理した。
【0054】
その結果は、実施例1と同様非常に良好なものであった。
【0055】
(比較例1)
例示化合物(5)を用いなかった以外は実施例1と同様にして電子写真装置を作成し、評価した。
【0056】
その結果、感光体の表面はほとんど帯電されず、得られた画像には全面黒カブリが生じていた。
【0057】
(比較例2)
例示化合物No.(5)を下記化合物(還元電位0.62V)
【0058】
【外4】
Figure 0003683997
に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真装置を作成し、評価した。
【0059】
その結果、感光体の表面を十分に帯電することができず、得られた画像には黒ポチが多数発生していた。
【0060】
(実施例
比較例1と同様の感光体上に以下のようにして表面層を形成した。
【0061】
下記構造式
【0062】
【外5】
Figure 0003683997
で示されるアクリルモノマー60部、光重合開始剤として2−メチルチオキサントン10部、トルエン100部及びメチルセルソルブ200部をサンドミルを用いて48時間分散した後、例示化合物No.(3)10部を溶解し表面層用の溶液を得た。この溶液を比較例1と同様の感光体上にスプレーコーティング法により塗布し、乾燥した後、高圧水銀灯にて8mW/cm2 の光強度で20秒間光照射することによって3μmの膜厚の表面層を形成した。
【0063】
得られた感光体を用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。
【0064】
その結果は、実施例1と同様非常に良好なものであった。
【0065】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、良好な注入帯電を行うことができ、優れた画像を得ることができる電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す図である。

Claims (11)

  1. ドラム状の電子写真感光体と、
    該電子写真感光体に接触配置され、該電子写真感光体の回転方向とは逆方向に、かつ該電子写真感光体の回転に対して周速差をもって回転する、電圧の印加によって該電子写真感光体を帯電する帯電ブラシと、
    露光手段と、
    現像手段と、
    転写手段と、を有する電子写真装置において、
    該帯電が、該電子写真感光体に実質的に放電することなしに直接電荷を注入することによって該電子写真感光体を帯電せしめる注入帯電であり、
    該電子写真感光体が、
    (i)基体と、電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を表面層として有する感光層と、を有する、か若しくは
    (ii)基体と、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層と、該感光層上の表面層と、を有する、ものであって、
    該表面層が0.5V以下の還元電位を有する下記No.(1)、(3)及び(5)から選ばれる何れかの有機化合物を含有することを特徴とする電子写真装置:
    Figure 0003683997
    Figure 0003683997
    Figure 0003683997
  2. 該表面層が更に樹脂を含有する請求項1に記載の電子写真装置。
  3. 該有機化合物が該樹脂に溶解している請求項2に記載の電子写真装置。
  4. 帯電部材の抵抗が1×10〜1×10Ω/cmである請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真装置。
  5. 該有機化合物が、下記のNo.(5)である請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真装置:
    Figure 0003683997
  6. ドラム状の電子写真感光体と、
    該電子写真感光体に接触配置され、該電子写真感光体の回転方向とは逆方向に、かつ該電子写真感光体の回転に対して周速差をもって回転する、電圧の印加によって該電子写真感光体を帯電する帯電ブラシと、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、該帯電が、該電子写真感光体に実質的に放電することなしに直接電荷を注入することによって該電子写真感光体を帯電せしめる注入帯電であり、かつ該電子写真感光体が、
    (i)基体と、電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を表面層として有する感光層と、を有する、か若しくは、
    (ii)基体と、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層と、該感光層上の表面層と、を有するものであって、
    該表面層が0.5V以下の還元電位を有する下記No.(1)、(3)及び(5)から選ばれる何れかの有機化合物を含有していることを特徴とするプロセスカートリッジ:
    Figure 0003683997
    Figure 0003683997
    Figure 0003683997
  7. 該表面層が更に樹脂を含有する請求項6に記載のプロセスカートリッジ。
  8. 該有機化合物が該樹脂に溶解している請求項7記載のプロセスカートリッジ。
  9. 帯電部材の抵抗が1×10〜1×10Ω/cmである請求項6乃至7のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
  10. 現像手段及びクリーニング手段の少なくとも一方を有する請求項6乃至9のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
  11. 該有機化合物が、下記のNo.(5)である請求項6〜10のいずれかに記載のプロセスカートリッジ:
    Figure 0003683997
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