JP3678434B2 - 磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は磁気記録再生装置に用いられる磁気抵抗効果型磁気ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピューターの外部記憶装置では、小型大容量化が望まれるようになってきた。この磁気記録を用いた外部記憶装置の小型大容量化を実現するために、線記録密度の向上以外に、トラック密度の向上も必要になっている。これらの要求に対して現在では媒体速度に出力が依存せず高出力が得られ、さらに高トラック密度が得られる磁気抵抗素子を用いた磁気抵抗効果型磁気ヘッドが利用されるようになってきた。
【0003】
以下に従来の磁気抵抗素子を用いた磁気抵抗効果型磁気ヘッドおよびその製造方法について説明する。図5は磁気記録媒体側からみた磁気抵抗効果型磁気ヘッドの構成例である。図示のように下部シールド3は、少なくとも磁気抵抗素子の磁束検知幅以上の幅を持ち、パーマロイ、センダストなどの軟磁性材料を真空成膜法あるいはメッキ法により成膜したものか、フェライトなどの軟磁性材料が用いられる。前記下部シールド3上の下部絶縁層2は、磁気抵抗素子部1と下部シールド3を磁気的に分離する役目を持ち、SiO2 やAl2 O3 などの酸化物を蒸着あるいはスパッタなどの真空成膜法により成膜される。この下部絶縁層2の上に磁気抵抗素子部1を成膜する。磁気抵抗素子部1は外部磁界に対し抵抗変化を示す素子であり、Fe−Niの合金やCo−Niの合金が使用され、この膜としては外部磁界に対し感度を高めるために数十nm以下の特に薄い膜が用いられる。磁気抵抗素子部1は軟磁性バイアス膜,非磁性膜,磁気抵抗膜で構成され、真空蒸着法、スパッタ法、イオンビームスパッタ法などの真空成膜法によって成膜される。この磁気抵抗素子部1には素子部に電流を供給し、その電圧変化を検知するための導体層6が磁束検知幅A以外の部分で接触している。前記導体層6には抵抗値の低い良導体としてAu、Al、Cu、Wあるいはそれらの積層膜などが用いられ、真空蒸着法、スパッタ法、イオンビームスパッタ法、CVD法などの真空成膜法によって成膜される。
【0004】
こうして形成されたこれら磁気抵抗素子部1の上には磁気抵抗素子保護絶縁層4および導体層6の上に上部絶縁層7としてSiO2 やAl2 O3 などの酸化物を蒸着あるいはスパッタなどの真空蒸着法により成膜する。その後、この上部絶縁層7の上に上部シールド8として少なくとも磁気抵抗素子の磁束検知幅A以上の幅を持つパーマロイ、センダストなどの軟磁性材料を、蒸着あるいはスパッタなどの真空蒸着法あるいはメッキ法により成膜する。この上部シールド8の上面に記録ギャップ9を、SiO2 やAl2 O3 などの酸化物を蒸着あるいはスパッタなどの真空蒸着法により成膜する。この記録ギャップ9の上に記録コア10を、パーマロイ、センダストなどの軟磁性材料を蒸着あるいはスパッタなどの真空蒸着法あるいはメッキ法により成膜し、所定の形状に物理的あるいは化学的方法によって食刻される。
【0005】
この図において、再生を行う磁気抵抗素子部1の磁束検知幅はAで示される幅であり、記録を行う記録コア幅はBで、記録はこの記録コア10と上部シールド8間のCで示される領域で行われる。
【0006】
この構造では磁気抵抗素子部1および導体層6の厚みによって発生する段差によって、磁気抵抗素子の磁束検知幅Aにおいて周波数特性を左右する下部シールド3と上部シールド8とのシールド間距離がDの場合とEの場合が混在することになる。さらに記録はC領域の記録幅Bの領域で行い、図中に示されるように記録ギャップが一直線にはなっていない。
【0007】
この素子部の断面斜視図を図6に示す。この素子の製造方法は図7に示す通りである。(a)に示されるように下部シールド3の上に下部絶縁層2を設け、その上に磁気抵抗素子部1を形成し、(b)に示されるように磁気抵抗素子保護絶縁層4を設け、(c)に示すように導体層6を成膜する。その後(d)に示すように上部絶縁層7を設け、(e)に示すように上部シールド8を成膜し、(f)に示すようにその上に記録ギャップ9を成膜し、(g)に示すように記録コア10をその上に形成する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記従来の構成では、磁束検知領域において磁気抵抗素子部1の段差の上に導体層6を形成するので、段差での導体層6の膜厚減少による抵抗の増加や信頼性の低下を防止するために導体層6の厚さが磁気抵抗素子部1の膜厚の1.5倍程度必要となり、そのため膜厚を薄くできない。また導体層6の段差により、その上の上部絶縁層7も絶縁性を保つために薄くできなく、図5にDおよびEで示される2種類のシールド間距離が存在し、この構造において再生される波形は2種類の再生波形の重量により得られるため、高記録密度において波形干渉のため出力が著しく減少する。また磁気抵抗素子部1の段差により発生する段差Fは記録コア10が幅広くなり、段差部にかかると磁束検知領域A上の段差とともに記録ギャップの直線性を阻害し、やはり高記録密度において波形干渉のため出力が著しく減少するという問題点を有していた。
【0009】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、高記録密度においても高分解能を得ることができる磁気抵抗効果型磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は、形成しようとする磁気抵抗素子膜の厚さと同じ深さの段差部を下部絶縁層に設け、そこに磁気抵抗素子膜を埋め込むことで、磁気抵抗素子膜と下部絶縁膜との上面を平坦化する。その上に導体層を形成し、さらにその上に上部絶縁層を前記導体層により形成された段差部を平坦化するように形成することで、下部シールドと上部シールドとの間の磁気シールド間隔を一定にする。
【0011】
【作用】
本発明は上記の構成により、磁束検知領域における磁気シールド間隔を一定に保ち、かつ狭くすることができ、しかもその上部に形成する記録ギャップを直線的に形成でき、それにより高記録密度において高い分解能を得ることができる。
【0012】
【実施例】
本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。図1は磁気記録媒体側からみた磁気抵抗効果型磁気ヘッドの断面を示す。なお、従来例として示したものと同一構成部材には同じ符号を用いる。図示のように下部シールド3は少なくとも磁気抵抗素子の磁束検知幅以上の幅を持ち、パーマロイ、センダストなどの軟磁性材料を真空成膜法あるいはメッキ法により成膜したものか、フェライトなどの軟磁性材料が用いられる。この下部シールド3上には磁気抵抗素子部1と下部シールド3を磁気的に分離する役目を持つ下部絶縁層2を、SiO2 やAl2 O3 などの酸化物を蒸着あるいはスパッタなどの真空蒸着法により形成する。この下部絶縁層2の上に所定の形状の食刻阻止材を形成し、磁気抵抗素子部1の膜厚分と同じ深さまで下部絶縁層2を物理的あるいは化学的方法によって食刻する。その上に磁気抵抗素子部1を形成したのち、不要部分をリフトオフによって除去する。前記磁気抵抗素子部1は外部磁界に対し抵抗変化示す素子であり、磁性材としてFe−Ni系の合金やCo−Ni系の合金などが使用され、これらの膜は外部磁界に対し感度を高めるために数十mm以下の特に薄い膜が用いられ、真空蒸着法、スパッタ法、イオンビームスパッタ法などの真空成膜法によって成膜される。このような工程によって、導体層6を形成する面が平坦化される。その上に磁気抵抗素子部1に電流を供給し、その電圧変化を検知するための導体層6が磁気抵抗素子の検知幅を除いて形成される。前記導体層6には抵抗値の低い良導体としてAu、Al、Cu、W、あるいはそれらの積層膜などが用いられ、真空蒸着法、スパッタ法、イオンビームスパッタ法、CVD法などの真空成膜法によって成膜される。
【0013】
この導体層6は、従来の構造では形成面に段差があったため抵抗の増加や信頼性の低下を防止するため段差の厚さの1.5倍程度の厚さが必要だったが、本実施例では形成面を平坦化することで薄くできる。これら磁気抵抗素子部1および導体層6の上に、上部絶縁層7としてSiO2 やAl2 O3 などの酸化物をバイアススパッタにより形成することで導体層の段差を平坦化し、かつこの上部絶縁層7の厚さは、導体層6の段差が小さくなったことで薄くすることができる。
【0014】
このような構成により磁気シールド間隔が狭く、かつ一定である構造が得られ、従来は導体層膜厚1200Å,上部絶縁層膜厚2000Å程度だったものが、それぞれ800Å,1200Åにできる。
【0015】
その後、この上部絶縁層7の上に上部シールド8を、少なくとも磁気抵抗素子の磁束検知幅以上の幅を持ち、パーマロイ、センダストなどの軟磁性材料を蒸着あるいはスパッタ等の真空蒸着法あるいはメッキ法により成膜する。この上部シールド8の上面に記録ギャップ9を、SiO2 やAl2 O3 などの酸化物を蒸着あるいはスパッタ等の真空蒸着法により成膜する。この記録ギャップ9の上に記録コア10をパーマロイ、センダストなどの軟磁性材料を蒸着あるいはスパッタなどの真空蒸着法あるいはメッキ法により成膜し、所定の形状に物理的あるいは化学的方法によって食刻される。
【0016】
この図において、再生を行う磁気抵抗素子部1の磁束検知幅はAで示される幅であり、記録を行う記録コア幅はBで記録はこの記録コア10と上部シールド8間のCで示される領域で行われる。この構造では磁気抵抗素子部1の磁束検知幅Aにおいて周波数特性を左右するシールド間距離がDの均一な距離となり、かつ狭くできる。さらに記録は記録幅Bの領域で行い、この部分のCの領域で記録を行い、図中に示されるように記録ギャップは一直線である。これらの素子部の断面斜視図を図2に示す。
【0017】
この素子の製造方法は図3に示す通りである。(a)に示されるように下部シールド3の上に下部絶縁層2を設け、その上に所定の形状の食刻阻止材5を形成する。その後(b)のように下部絶縁層2を磁気抵抗素子膜の厚さ分の深さまで食刻する。その上に(c)に示すように磁気抵抗素子部1を形成し、(d)に示すようにその後磁気抵抗素子膜の不要部分を食刻阻止材5と一緒に除去するというリフトオフ工法により導体層の形成面が平坦化できる。この食刻阻止材5には一般に写真製版技術に使用される感光性樹脂が用いられる。その後(e)に示すように導体層6をリフトオフにより形成するための食刻阻止材11を形成し、(f)に示すように導体層6を形成する。さらに、(g)に示すようにリフトオフにより導電体層6の不要な部分を食刻阻止材11とともに除去することによって段差の無い薄い導体層6が得られる。その後(h)に示すように上部絶縁層7をバイアススパッタにより形成することで平坦化でき、かつ導体層6が薄くなったため上部絶縁層7も薄くできる。その上に(i)に示すように上部シールド8を成膜し、(j)に示すように記録ギャップ9を成膜し、記録コア10をその上に形成する。
【0018】
このような工法をとることにより、磁気抵抗素子の磁束検知幅Aにおいてシールド間間隔が均一な構造が得られ、かつ再生ギャップのシールド間距離Dが狭くでき、さらにその上方に形成される記録ギャップ9を直線状に形成できるようになる。
【0019】
この磁気抵抗効果型磁気ヘッドにより記録再生を行い、再生出力の線記録密度特性を測定した結果を図4に示す。本実施例によって作成した磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、図4より磁気抵抗素子の検値領域が平坦でかつ狭く、また記録ギャップ部も平坦であるので波形干渉による出力低下が減少したため、高記録密度での高分解能が得られたことがわかる。
【0020】
【発明の効果】
前記実施例の説明より明らかなように、本発明は磁束検知領域が平坦であり、かつ上下のシールド間距離が狭く、その上に形成される記録ギャップ部も平坦であるような磁気抵抗効果型磁気ヘッドを製造することができる。それにより高記録密度において高い分解能を得ることができる磁気抵抗効果型磁気ヘッドを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおける磁気抵抗素子部の断面図
【図2】同磁気抵抗素子部の斜視断面図
【図3】同磁気抵抗素子部の製造工程図
【図4】本発明と従来例における出力の線記録密度依存性図
【図5】従来例の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの磁気抵抗素子部の断面図
【図6】同磁気抵抗素子部の斜視断面図
【図7】同磁気抵抗素子部の製造工程図
【符号の説明】
1 磁気抵抗素子部
2 下部絶縁層
3 下部シールド
4 磁気抵抗素子保護絶縁層
5 食刻阻止材
6 導体層
7 上部絶縁層
8 上部シールド
9 記録ギャップ
10 記録コア
11 食刻阻止材
Claims (1)
- 下部シールドを形成し、下部シールド上に下部絶縁膜を形成し、下部絶縁膜上に磁気抵抗素子膜を形成し、検知幅を除いた前記磁気抵抗素子膜の上に導体層を形成し、その上に上部絶縁膜を形成し、上部絶縁膜の上に上部シールドを設け、上部シールドの上面に記録ギャップを形成し、その上に記録コアを形成する、磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法において、
前記下部絶縁膜上に磁気抵抗素子膜を形成する際に、下部絶縁層の上に所定形状の食刻阻止材を形成し、食刻により下部絶縁層に段差部を形成し、この段差部内に磁気抵抗効果素子膜を形成した後、食刻阻止材を取り除くことにより、前記磁気抵抗素子膜を前記段差部に埋め込んで磁気抵抗素子膜と下部絶縁膜との上面を平坦化し、
前記平坦化された上面に前記磁気抵抗素子膜に接続する一対の導体層を形成し、前記上面にバイアススパッタで上部絶縁膜を形成し、前記上部絶縁膜の上に上部シールドを形成して、下部シールドと上部シールドとの間隔を一定にする
ことを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP29881393A JP3678434B2 (ja) | 1993-11-30 | 1993-11-30 | 磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP29881393A JP3678434B2 (ja) | 1993-11-30 | 1993-11-30 | 磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH07153035A JPH07153035A (ja) | 1995-06-16 |
JP3678434B2 true JP3678434B2 (ja) | 2005-08-03 |
Family
ID=17864560
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP29881393A Expired - Lifetime JP3678434B2 (ja) | 1993-11-30 | 1993-11-30 | 磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造方法 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US6590741B1 (en) | 1999-06-14 | 2003-07-08 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Magnetic head having grooves to enhance contact with magnetic recording media and magnetic recording/reproducing apparatus |
-
1993
- 1993-11-30 JP JP29881393A patent/JP3678434B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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