JP3676517B2 - ネガ型感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネガ型感光材料に関するものである。特に可視光領域の光線に対して極めて高感度であり、たとえばArレーザー、YAG−SHGレーザー光源に対しても良好な適応性を示し、印刷版、プリント回路、塗料、インキ、ホログラム記録、3次元造形等の広い分野に用いられるネガ型感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光重合系を利用した画像形成法は多数知られており、例えば、エチレン性二重結合を含む付加重合可能な化合物と光重合開始剤、さらに所望により用いられる有機高分子結合剤及び熱重合禁止剤等からなるネガ型感光材料を、支持体上に皮膜層として設け、所望画像を像露光して露光部分を重合硬化させ、未露光部分を溶解除去することにより硬化レリーフ画像を形成する方法、少なくとも一方が透明である2枚の支持体間に上述のネガ型感光材料の層を設け、透明支持体側より像露光し光による接着強度の変化を誘起させた後、支持体を剥離することにより画像を形成する方法、光重合性組成物およびロイコ色素等の色材料を内容物に有するマイクロカプセル層を設けた感光材料を作成し、該感光材料を画像露光して露光部分のカプセルを光硬化させ、未露光部分のカプセルを加圧処理あるいは加熱処理により破壊し、色材料顕色剤と接触させることにより発色させ、着色画像を形成する方法、又はその他、光重合性組成物の光によるトナー付着性の変化を利用した画像形成法、光重合性組成物の光による屈折率の変化を利用した画像形成法等が知られている。
【0003】
近年、画像形成技術の発展に伴い、例えば非接触型の投影露光製版や可視光レーザー製版等に適合した感光材料として可視領域の光線に対し高い感応性を有するフォトポリマーが要請されている。ここで可視光レーザーとしてはAr+ レーザーの488nm光、YAG−SHGレーザーの532nm光などが、有望視されている。
【0004】
このようなフォトポリマー重合系においては高感度化が重要なファクターであり、高感度化に有利なラジカル重合を利用した感光系が数多く研究、開発されている。しかしながらラジカル重合系は酸素による重合阻害を受けやすく、重合層の上に酸素遮断性に優れた保護層を設けるなどの工夫が行われており、米国特許第3、458、311号、特開昭55−49729号に詳しく記載されている。また、このような酸素遮断性に優れた素材としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類などのような水溶性ポリマーが知られている。
【0005】
ところが、このような水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。このためこれら2層間の接着力を十分にすることが重要となり、接着性を改良すべく種々の提案がなされている。たとえば米国特許第292、501号、米国特許第44、563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60重量%混合し、重合層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。しかしながら、これらの方法は保護層の接着性に対し有効ではあるが、ポリビニルアルコールに対する添加量が比較的多いため酸素遮断能が低下し感度が十分でなく、あるいは露光後、水またはアルカリ水で現像処理をする際、適性現像条件においては、水溶性ポリマーが完全に脱落しないことが原因でインキ着肉不良が発生しやすいなどの問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題点のない、Ar+ レーザー、YAG−SHGレーザーに適応する高感度のネガ型感光材料において保護層と光重合性層とが他の性能を劣化させることなく実用的に十分な接着性を有するネガ型感光材料を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、特定のポリマーを添加することにより、感度、インキ着肉性、現像処理性、画像解像性を劣化させることなく、保護層と光重合性層との接着性を実用上十分な性能に到達させることができるという知見を得て本発明を達成した。
すなわち上記目的は本発明の、
1)(a)エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する付加重合可能な化合物、光重合開始剤及び高分子バインダーを含有する光重合層、並びに上記重合層の上に、
(b)(1)水溶性ビニル重合体、及び
(2)活性水素基を有する有機化合物残基を構成単位として含有するポリオキシアルキレンポリオールとジカルボン酸化合物又はジイソシアネート化合物との重縮合高分子化合物
を含有する保護層を有することを特徴とするネガ型感光材料。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の保護層に含まれる(b)(1)水溶性ビニル重合体としては、ポリビニルアルコール、その部分エステルもしくはエーテル、およびポリビニルアセタールなどがあげられる。また、その他有用な重合体としてポリビニルピロリドン、ゼラチンおよびアラビアゴムなどがあげられ、これらは単独または併用して用いても良い。更にまた、水溶性を付与するのに実質的に必要な量の未置換ビニルアルコール単位を含有する上記重合体の共重合体があげられる。
ポリビニルアルコールとしては、71〜100%加水分解され、重合度が300〜2400の範囲のものが好ましい。具体的には株式会社クラレ製PVA-105,PVA-110,PVA-117,PVA-117H PVA-120,PVA-124,PVA-124H,PVA-CS ,PVA-CST,PVA-HC ,PVA-203,PVA-204,PVA-205,PVA-210,PVA-217,PVA-220,PVA-224,PVA-217EE,PVA-220, PVA-224,PVA-217EE,PVA-217E,PVA-220E,PVA-224E,PVA-405,PVA-420,PVA-613,L-8等があげられる。
上記の共重合体としては、88〜100%加水分解されたポリビニルアセテートクロロアセテートまたはプロピオネート、ポリビニルホルマールおよびポリビニルアセタールおよびそれらの共重合体があげられる。
本発明の感光材料においては、その保護層中、これらの水溶性ビニル重合体を全固形分に対して、30〜99%の割合、好ましくは50〜99%の割合で含有する。
【0009】
次に本発明の保護層に含有される(b)(2)重縮合高分子化合物について説明する。
本発明の重縮合高分子化合物は、通常、下記に示す2成分、ア)およびイ)を重縮合反応させることにより合成される化合物である。
ア)活性水素基を有する有機化合物とアルキレンオキサイドとを付加重合させることによって得られるポリオキシアルキレンポリオール、及び
イ)ジカルボン酸化合物又はジイソシアネート化合物。
【0010】
上記ア)における活性水素基を有する有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6ーヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ポリテトラメチレングリコール、シクロヘキサン1,4ージメタノール等の脂環式ジオール、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン等のアミン類があげられる。これらは単独もしくは併せて用いられる。
また活性水素基を有する有機化合物に付加重合させるアルキレンオキサイドとしては、置換基を有していてもよいエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどがあげられ、エチレンオキサイド単独、又はエチレンオキサイドを70モル%以上含有するプロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド混合物が好ましい。
【0011】
活性水素基を有する有機化合物とアルキレンオキサイドとの付加重合反応は、通常、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの苛性アルカリを触媒として、約90〜200℃の温度で2〜30時間反応させて活性水素基を2個有する有機化合物にエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドをブロックまたはランダムで付加重合させることにより行われる。
【0012】
例えば上記の反応により得られる、本発明のポリオキシアルキレンポリオールとしては、例えばHO−(CH2CH2O) n −H 、HO−(CH2CH2CH2O) n−H 又はHO−(CH2CH2CH2CH2O) n −H などが挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基で置換されていても良い(ここで nは20以上である)。
置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基としては、水酸基などを置換基として含有していてもよいメチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられ、これらはオキシアルキレン構成単位の中の任意の位置に結合していても良い。
即ち、ポリオキシアルキレンポリオールには、ジオールだけでなくトリオール以上のポリオールも包含される。
また、ポリオキシアルキレンポリオールは、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基を単独で有するものも良いが、オキシエチレン基とオキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基など2種以上のものを構成単位とし、これらをいかなる順序で結合し、含有していてもよく、その重量平均分子量は1000以上のものが好ましい。
また、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基を70モル%以上含有するものが好ましい。
【0013】
上記イ)におけるジカルボン酸化合物としては、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸の低級アルキルエステルがあげられる。 ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸またはイタコン酸等があげられ、ジカルボン酸無水物としては、上記各種ジカルボン酸の無水物があげられる。またジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、上記各種ジカルボン酸のメチルエステル、ジメチルエステル、エチルエステル、ジエチルエステル、プロピルエステルまたはジプロピルエステル等があげられる。また、これらは単独でもしくは併せて用いられる。
上記イ)におけるジイソシアネート化合物としては、具体的には、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、または4,4ーメチレンービス(シクロヘキシルイソシアネート)等があげられる。
【0014】
本発明の重縮合高分子化合物において、ポリオキシアルキレンの成分が余り少ないと水溶性とならないため、通常40モル%以上が好ましく、60モル%以上が更に好ましい。また重量平均分子量は2万以上が好ましく、5〜20万がより好ましい。
本発明の重縮合高分子化合物は、例えば、上記ポリオキシアルキレンポリオールにジカルボン酸化合物をポリオール/ジカルボン酸化合物の配合比=1/1.05〜1/3.5で添加した後昇温し、80〜250℃の加熱下において0.001〜20mmHgの減圧にして脱水又は脱アルコールを行うか、又は上記ポリオキシアルキレンポリオールとジイソシアネート化合物とを、NCO/OH当量比=0.5〜1.5で添加した後昇温し、80〜150℃の加熱下において1〜5時間反応させることによって得られる。
【0015】
本発明の重縮合高分子化合物において、ポリオキシアルキレンの成分(A、Bで表示)、活性水素基を有する有機化合物残基(Xで表示)、およびジカルボン酸化合物残基またはジイソシアネート化合物残基(Zで表示)としては、例えば次の組み合わせが挙げられる。
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
本発明の感光材料においては、その保護層において重縮合高分子化合物を、全固形分の通常2〜50重量%の範囲、より好ましくは3〜20重量%の範囲で含有する。この添加量は多くするほど重合層と保護層の接着力が向上するがインキ着肉性、画質が劣化するなどの懸念がある。
また保護層の乾燥塗布重量としては、通常0.5〜10g/m2であり、好ましくは1.O〜5.0g/m2である。
【0022】
本発明においては、重縮合高分子化合物を含有する層を、光重合層と重縮合高分子化合物を除いた保護層の間に別に接着層として設けても良い。
【0023】
この接着層の乾燥塗布重量としては、通常0.1〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜2.0g/m2である。
【0024】
本発明の保護層及び場合によっては上記接着層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3458311号又は特開昭55−49729号に記載されている方法を適用することができる。
また、塗布する際の溶剤としては、水が使用される。
【0025】
本発明の保護層にはさらに塗布性を向上させるための界面活性剤、皮膜の物性を改良するための水溶性の可塑剤等の公知の添加剤を加えても良い。水溶性の可塑剤としてはたとえばプロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等がある。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーなどを添加しても良い。
本発明の保護層は光重合層と良好な接着性を有し、かつ水溶性で酸素遮断性を有するものである。
また、活性光線に対して透明である。
【0026】
次に本発明の(a)光重合層について説明する。
本発明の光重合層の主な成分は、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する付加重合可能な化合物、光重合開始剤および高分子バインダーであり、必要に応じ、熱重合禁止剤、着色剤、可塑剤等の種々の化合物を含有することができる。
【0027】
エチレン性不飽和二重結合を含む付加重合可能な化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができる。
これらの化合物には、例えばモノマー、2量体もしくは3量体などのプレポリマー、およびオリゴマー、またはそれらの混合物などの化学的形態をもつものが包含される。
これらの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、これらの不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等などがあげられる。
【0028】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等があげられる。
【0029】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等があげられる。
【0030】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等があげられる。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等があげられる。
【0031】
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等があげられる。
さらに、前述のエステルモノマーの混合物もあげることができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等があげられる。
その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等があげられる。
一般式
CH2=C(R)COOCH2 CH(R′)OH (A)
(ただし、RおよびR′はH又はCH3 を示す。)
【0032】
また、特開昭51−37193号に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。なお、これらの使用量は、全固形分に対して5〜70重量%(以下%と略称する。)、好ましくは10〜50%である。
【0033】
光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光開始剤、あるいは2種以上の光開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して使用することができる。
例えば400nm以下の紫外光を光源として用いる場合、ベンジル、ベンゾインエーテル、ミヒラーズケトン、アントラキノン、アクリジン、フェナジン、ベンゾフェノン等が広く使用されている。
また、400nm以下の可視光線、アルゴンレーザー、YAG−SHGレーザーを光源とする場合にも、種々の光開始系が提案されており、例えば、米国特許第2,850,445 号に記載のある種の感光性染料、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−140203号、特開昭59−189340号)、ローダニン骨格の色素とラジカル発生剤の系(特開平2−244050号)、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63−221110号)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(特開平4−221958号、特開平4−219756号)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6−295061号)等を挙げることができる。
これらの光重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和化合物100重量部に対し、0.05〜100重量部、好ましくは0.1〜70重量部、更に好ましくは0.2〜50重量部の範囲で用いることができる。
【0034】
本発明の感光材料は、通常、バインダーとして線状有機高分子重合体を含有するが、このような線状有機高分子重合体としては、光重合可能なエチレン性不飽和化合物と相溶性を有している線状有機高分子重合体である限り、どれを使用してもかまわない。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性又は膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、該組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或は有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。この様な線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。
【0035】
また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この外に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)アクリレート(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。この他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ポリアミドや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。これらの線状有機高分子重合体は全固形分に任意な量を混和させることができる。しかし90重量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは30〜85%である。また光重合可能なエチレン性不飽和化合物と線状有機高分子重合体は、重量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。より好ましい範囲は2/8〜6/4である。
【0036】
また、本発明においては以上の基本成分の他に感光材料の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩等があげられる。熱重合防止剤の添加量は、全固形分の重量に対して約0.01%〜約5%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で光重合層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5%〜約10%が好ましい。
【0037】
更に光重合層の着色を目的として、着色剤を添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料がある。染料および顔料の添加量は全固形分の約0.5%〜約5%が好ましい。
加えて、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。
これらの添加量は全固形分の10%以下が好ましい。
【0038】
本発明の感光材料は、通常支持体上に塗布して使用される。支持体上に塗布する際には種々の有機溶剤を使用することができる。ここで使用する有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶剤は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が好ましい。
【0039】
本発明における光重合層には、塗布面質を向上するために界面活性剤を添加することができる。
その被覆量は乾燥後の重量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が好ましく、0.5〜5g/m2がより好ましい。
【0040】
上記支持体としては、寸度的に安定な板状物が用いられる。該寸度的に安定な板状物としては、紙、プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、また、例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅などのような金属の板、さらに、例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのようなプラスチックのフィルム、上記の如き金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどがあげられる。これらの支持体のうち、アルミニウム板は寸度的に著しく安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。更に、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
【0041】
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、砂目立て処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
さらに、砂目立てしたのちに珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板が好ましく使用できる。特公昭47−5125号に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用される。上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、若しくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはそれらの塩の水溶液又は非水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
【0042】
また、米国特許第3,658,662号に記載されているようなシリケート電着も有効である。
更に、特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理および珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理も有用である。
【0043】
また、特開昭56−28893号に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、たとえばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。
更に、特願平5−304358号に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
【0044】
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる光重合層における有害な反応を防ぐため、かつ光重合層の接着性の向上等のために施されるものである。
【0045】
かくして得られた感光材料は感光性平版印刷版として使用することができる。感光性平版印刷版はArレーザー、YAG−SHGレーザーにより直接露光した後、現像処理することができる。また、透明原画を通してカーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプなどを光源とする活性光線により露光した後、現像処理することもできる。
かかる現像処理に使用される現像液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンアミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
【0046】
これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いられる。
上記のアルカリ水溶液の内、本発明による効果が一段と発揮される現像液はアルカリ金属ケイ酸塩を含有するpH12以上の水溶液である。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2O の比率(一般に〔SiO2〕/〔M2O 〕のモル比で表す)と濃度によって現像性の調節が可能であり、例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような、SiO2/Na2Oのモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO2〕/〔Na2O〕が1.0〜1.5であって、SiO2の含有量が1〜4重量%のケイ酸ナトリウムの水溶液や、特公昭57−7427号公報に記載されているような、〔SiO2〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち〔SiO2〕/〔M2O 〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の濃度が1〜4重量%であり、かつ該現像液がその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有していることからなるアルカリ金属ケイ酸塩が好適に用いられる。
【0047】
また、一般に自動現像機を用いて感光性平版印刷版を現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量の感光性平版印刷版を処理することができることが知られている。本発明の光重合性組成物を用いた場合においてもこの補充方式が好ましく適用される。例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような現像液のSiO2/Na2Oのモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO2〕/〔Na2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の含有量が1〜4重量%のケイ酸ナトリウムの水溶液を使用し、しかもポジ型感光性平版印刷版の処理量に応じて連続的または断続的にSiO2/Na2Oのモル比が0.5〜1.5(即ち〔SiO2〕/〔Na2O〕が0.5〜1.5)のケイ酸ナトリウム水溶液(補充液)を現像液に加える方法、更には、特公昭57−7427号公報に開示されている、〔SiO2〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち、〔SiO2〕/〔M2O 〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の濃度が1〜4重量%であるアルカリ金属ケイ酸塩の現像液を用い、補充液として用いるアルカリ金属ケイ酸塩の〔SiO2〕/〔M〕が0.25〜0.75(即ち〔SiO2〕/〔M2O 〕が0.5〜1.5)であり、かつ該現像液および該補充液のいずれもがその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有していることからなる現像方法が好適に用いられる。
【0048】
このようにして現像処理された感光性平版印刷版は特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明の感光性平版印刷版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL-1,CL-2,CP,CN-4,CN,CG-1,PC-1,SR,IC,(富士写真フイルム株式会社製)等があげられる。好ましくは、CP,CN-4があげられる。
【0049】
【実施例】
以下実施例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
実施例1
厚さ0.30mmのアルミニウム板をナイロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁液とを用いその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これをVA =12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で160クーロン/dm2 の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.6μ(Ra表示)であった。引き続いて30%の硫酸水溶液中に浸漬し55℃で2分間デスマットした後、20%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2 において陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように2分間陽極酸化処理した。
【0051】
このように処理されたアルミニウム板上に、下記組成の感光材料を乾燥塗布重量が1.4g/m2となるように塗布し、80℃2分間乾燥させ光重合層を形成させた。
【0052】
【0053】
【化6】
【0054】
この光重合層の上に下記組成からなる保護層を乾燥塗布重量が2.5g/m2となるように塗布し、100℃/3分間乾燥させた。
【0055】
上記重縮合化合物は、エチレングリコールとエチレンオキシド及びメチル基を置換基として有するエチレンオキシドとを付加反応して得られる−(CH2CH2O)−及び−[CH2 CH2(CH3)O]−の繰り返し単位を有するポリオキシアルキレングリコールと、フタル酸との重縮合化合物を使用した。
【0056】
感光性試験は可視光により行なった。
可視光としてはキセノンランプを光源とし、ケンコー光学フィルターBP−49を通して得た単色光を用いた。
感光測定には富士PSステップガイド(富士写真フイルム株式会社製、初段の透過光学濃度が0.05で順次0.15増えていき15段まであるステップタブレット)を使用して行った。感光膜面部での照度が0.0132mW/cm2 で24秒露光した時のPSステップガイドのクリアー段数で示した。
【0057】
その後、100℃で1分間加熱を行い、下記の現像液に25℃、20秒間浸漬して現像した。
【0058】
光重合層と酸素遮断性保護層間の接着性を見積もるための、剥離力測定はTensilon万能引張り試験機(株式会社東洋ホールドウイン社製)を使用した。測定にあたっては未露光の版材の保護層の上に粘着テープ(幅20mm)を貼り付けTensilon万能引張り試験機で40mm/minの速度で保護層をテープごと重合層から剥離し、その際要する剥離力(g)を測定した。
印刷着肉性の測定にはこの版材を現像後FP2W(富士写真フイルム(株)製ガム液)の2倍希釈液で版面を処理し、1日放置後、印刷機(三菱ダイヤ1F−2)にかけ印刷し、印刷スタート時、着肉するまでの枚数を確認した。
【0059】
実施例2
水溶性保護層中に含まれる重縮合化合物の重量平均分子量を120、000に変えること以外は実施例1と同じ方法で感光材料を作成した。
【0060】
実施例3
水溶性保護層中に含まれる重縮合化合物の添加量を3gに変えること以外は実施例1と同じ方法で感光材料を作成した。
【0061】
実施例4
水溶性保護層に含まれる重縮合化合物の添加量を3gに変え、さらにポリビニルアルコールのケン化度88.0モル%、重合度1700に変えること以外は実施例1と同じ方法で感光材料を作成した。
【0062】
比較例1
実施例1で示した重縮合化合物を添加せず、他は実施例1と同じ方法で感光材料を作成した。
【0063】
実施例5
水溶性保護層にさらにポリビニルピロリドン(重量平均分子量を40、000)を2g添加すること以外は実施例1と同じ方法で感光材料を作成した。
【0064】
実施例6
水溶性保護層にさらに1,4−シクロヘキサンジオールを2g添加すること以外は実施例1と同じ方法で感光材料を作成した。
【0065】
実施例7
水溶性保護層にさらにグリセリンを2g添加すること以外は実施例1と同じ方法で感光材料を作成した。
【0066】
実施例8
水溶性保護層にさらに下記一般式IIの重縮合化合物で表されるアクリル系ポリマーを2g添加すること以外は実施例1と同じ方法で感光材料を作成した。
一般式II
【0067】
【化7】
【0068】
比較例2
実施例1で示した重縮合化合物の代わりにポリビニルピロリドン(MW40、000)を下記組成で添加すること以外は実施例1と同じ方法で感光材料を作成した。
【0069】
比較例3
実施例1で示した重縮合化合物の代わりにポリビニルピロリドン(MW40、000)を下記組成で添加すること以外は実施例1と同じ方法で感光材料を作成した。
【0070】
比較例4
実施例1で示した重縮合化合物の代わりにビニルピロリドン/ビニルアセテート(60/40)共重合体(MW40、000)を含有する溶液(b液)を下記組成(a液)に添加すること以外は実施例1と同じ方法で感光材料を作成した。
【0071】
実施例1〜8、比較例1〜4の結果を表1、表2に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
上記結果より本発明の重縮合化合物の添加により感度、着肉性を悪化させることなく、接着力を向上させることが可能であることがわかる。加えて比較例1で発生していた保護層の剥離による画像の故障(膜硬化不良)は実施例1〜4では発生しなかった。
上記結果よりポリビニルビロリドンの添加によっても接着力を向上させることは可能であるが、この場合、感度、着肉性が劣化し、実用的でない(比較例3)。これに対して本発明の重縮合化合物の添加により感度、着肉性を悪化させることなく、接着力を向上させることが可能であり(実施例5)。またポリビニルビロリドン以外の化合物添加によっても性能は劣化しない(実施例6〜8)ことがわかる。
また、本発明の重縮合化合物を用いることなく、ビニルピロリドン/ビニルアセテート共重合体を使用した場合には感度が劣化し、しかも接着力も実用的に充分でない(比較例4)。
【0075】
実施例9
重合層の上に接着層として実施例1で示した重縮合化合物2%水溶液を乾燥塗布重量が0.5g/m2になるように塗布し、100℃/3分間乾燥させた。さらにこの上に下記組成からなる保護層を乾燥塗布重量が2.5g/m2となるように重層塗布し、100℃/3分間乾燥させた。
この組成物の剥離力は250gで感度は実施例3と同等であり、インキ着肉性は13枚であった。
【0076】
【発明の効果】
本発明のネガ型感光材料はAr+ レーザー、YAG−SHGレーザーに対して高感度であり、現像処理性、インキ着肉性が劣化することなく、保護層と光重合性層との接着性に優れる。
Claims (1)
- (a)エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する付加重合可能な化合物、光重合開始剤及び高分子バインダーを含有する光重合層、並びに上記重合層の上に、
(b)(1)水溶性ビニル重合体、及び
(2)活性水素基を有する有機化合物残基を構成単位として含有するポリオキシアルキレンポリオールとジカルボン酸化合物又はジイソシアネート化合物との重縮合高分子化合物
を含有する保護層を有することを特徴とするネガ型感光材料。
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