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JP3674047B2 - 空気通路切替装置 - Google Patents

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JP3674047B2
JP3674047B2 JP26452192A JP26452192A JP3674047B2 JP 3674047 B2 JP3674047 B2 JP 3674047B2 JP 26452192 A JP26452192 A JP 26452192A JP 26452192 A JP26452192 A JP 26452192A JP 3674047 B2 JP3674047 B2 JP 3674047B2
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    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/00642Control systems or circuits; Control members or indication devices for heating, cooling or ventilating devices
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フィルムダンパによって空気の流れ方向を切り換えるようにした空気通路切替装置に関し、例えば車両用空調装置に適用した場合に有効なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のフィルムダンパを使用した車両用空調装置としては、例えば特開昭64−85809号公報に記載されたものがある。このものは、空気通路内を流れる空気に対向する位置にポリエチレン系樹脂製のフィルムダンパを配置し、このフィルムダンパの所定位置に通風用開口部を形成している。このフィルムダンパは空気通路の形状に合わせて、シャフト等により屈曲された形態で配置され、このシャフト等に沿ってフィルムダンパを移動させることにより、このフィルムダンパの通風用開口部の位置をスライド移動させて空気の流れ方向(吹出口の位置)を切り換えるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のフィルムダンパを使用した車両用空調装置において、エアコンスイッチをオフしたりイグニッションスイッチをオフしたりして、空調運転を終了すると、フィルムダンパの動作も停止される。このときのフィルムダンパの停止位置は、空調運転終了直前の位置であったり、或はイニシャライズ機能により初期位置に自動復帰するものもあるが、いずれの場合でも、フィルムダンパのうち通風用開口部の形成されていない部分(以下「閉鎖部」という)がシャフト等によって屈曲された状態で停止されてしまうことがある。この状態のまま長時間放置されると、シャフト等の屈曲部の形状がフィルムダンパの閉鎖部に転写されて、この閉鎖部が屈曲変形してしまう(この現象は低温時に顕著に現れる)。
【0004】
この場合、フィルムダンパの閉鎖部は、通風用開口部に比べて剛性が高くなっているので、この閉鎖部が屈曲変形してしまうと、その変形状態がなかなか元に戻らず、その後の空調運転時にその変形箇所から風洩れが発生するなどの不具合があった。
【0005】
また、空気通路内に冷却器を設けた構成のものでは、低外気温時や冷却器で空気が冷やされた時に空気中の水分がフィルムダンパに結露し易いので、上述したフィルムダンパの屈曲変形による風洩れの問題に加え、その閉鎖部に結露水が溜って、低外気温時にフィルムダンパを凍結させてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、この様な事情を考慮してなされたもので、第1の目的は、フィルムダンパの屈曲変形による風洩れの問題を解消することにあり、第2の目的は、フィルムダンパの凍結も未然に防止することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の車両用空気通路切替装置は、空気通路内を流れる空気に対向する位置に屈曲された形態で設けられたフィルムダンパと、このフィルムダンパを移動させることにより前記フィルムダンパに形成された通風用開口部の位置を移動させて前記空気の流れ方向を切り換えるダンパ駆動手段と、エアコンスイッチを操作して空調運転を終了させた後に前記ダンパ駆動手段によって前記フィルムダンパを前記通風用開口部が屈曲部に来るまで移動させて停止させる停止位置制御手段とを備えたものである。
【0008】
また、また、請求項2の車両用空気通路切替装置は、空気通路内に冷却手段を備え、この冷却手段により冷却された空気の流れ方向を切り替えるようにしたものにおいて、前記空気通路内を流れる空気に対向する位置に屈曲された形態で設けられたフィルムダンパと、このフィルムダンパを移動させることにより前記フィルムダンパに形成された通風用開口部の位置を移動させて前記空気の流れ方向を切り換えるダンパ駆動手段と、バッテリーから給電されるように構成され、イグニッションスイッチのオフ後に前記ダンパ駆動手段によって前記フィルムダンパを前記通風用開口部が屈曲部に来るまで移動させて停止させる停止位置制御手段とを備えたものである。
【0009】
【作用】
上述した請求項1及び請求項2の構成によれば、停止位置制御手段は、エアコンスイッチを操作して空調運転を終了させた後、或いはイグニッションスイッチのオフ後にダンパ駆動手段を制御して、フィルムダンパをその通風用開口部が屈曲部に来るまで移動させて停止させる。従って、停止中に屈曲部の形状がフィルムダンパに転写されたとしても、その転写位置は、従来のような閉鎖部(通風用開口部が形成されていない部分)ではなく、通風用開口部の形成部分である。
【0010】
この通風用開口部の形成部分は、閉鎖部に比べて剛性が格段に低くなっているので、たとえ、この通風用開口部の形成部分が停止中に転写により屈曲変形したとしても、その後の空気通路切替運転時にフィルムダンパを移動させる過程で、フィルムダンパに作用する引張力により通風用開口部の形成部分の変形がある程度修正されるようになる。しかも、通風用開口部の形成部分は、閉鎖部とは異なり、風を通過させる部分で、本来的にシールを必要としない部分であるので、万一、この部分から風洩れが発生しても、洩れた風は通風用開口部を通過した風と一緒に流れるだけのことであり、何等問題はない。
【0011】
また、請求項2のように、空気通路内に冷却手段が設けられたものでは、この冷却手段の冷却作用によりフィルムダンパに結露が生じ易いが、イグニッションスイッチのオフ後にフィルムダンパの通風用開口部を屈曲部まで移動させるので、この屈曲部が低い位置にあったとしても、フィルムダンパ上の結露水は通風用開口部から流れ落ちることになり、フィルムダンパに結露水が溜らなくなる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を車両用空調装置に適用した第1実施例について図1乃至図6を参照して説明する。まず、車両用空調装置の概略構成を図2に基づいて説明する。車室内に空気を送る空気通路を構成する送風ダクト11内には、ブロワ12、冷却器13及びヒータコア14が空気の流れに沿って設けられている。上記冷却器13は、コンプレッサ(図示せず)やコンデンサ(図示せず)等と共に冷凍サイクルを構成し、上記コンデンサで放熱して液化した冷媒をこの冷却器13内で蒸発させることにより、冷却器13の中を通過する空気を除湿冷却する。
【0013】
一方、ヒータコア14は、その内部を循環するエンジン冷却水の放熱作用により、ヒータコア14の中を通過する空気を加熱する。このヒータコア14に沿ってエアミックス用のフィルムダンパ(以下「エアミックスダンパ」という)15が設けられている。このエアミックスダンパ15の両端は、それぞれシャフト16,17に連結され、これら両シャフト16,17はタイミングベルト(図示せず)によって連結されている。そして、一方のシャフト16を後述するエアミックス用サーボモータ30(図4参照)によって回転させて、エアミックスダンパ15を巻き取り又は巻き戻すことにより、エアミックスダンパ15の通風用開口部(図示せず)をスライド移動させて、ヒータコア14を通る空気とその両側の第1及び第2の各冷風通路10,18を通る空気の量を調節する。
【0014】
前述した送風ダクト11の下流側には、車室内前席乗員の足元へ向けて空気を吹き出すためのフロントフット吹出口19(FOOT)、フロントガラス(図示せず)へ向けて空気を吹き出すためのデフロスタ吹出口20(DEF)、及び車室内前席乗員の上半身へ向けて空気を吹き出すためのフェイス吹出口21(FACE)がそれぞれ設けらけている。これら3つの吹出口19,20,21に対向する位置に吹出口切替用のフィルムダンパたるモードダンパ22が設けられている。
【0015】
このモードダンパ22は、例えばポリエチレン系樹脂のプラスチックフィルムにより構成され、その内部に布をモールドすることにより耐久性を高めたものである。このモードダンパ22には、図3に示すように、フロントフット吹出口19(FOOT)に対応する2つの通風用開口部23a、デフロスタ吹出口20(DEF)に対応する2つの通風用開口部23b、及びフェイス吹出口21(FACE)に対応する4つの通風用開口部23cが形成されている。
【0016】
このモードダンパ22の両端は、図1及び図2に示すように、駆動シャフト24と従動シャフト25とに連結され、これら両シャフト24,25はタイミングベルト(図示せず)によって連結されている。更に、両シャフト24,25の中間位置には、空気通路の形状に合わせてモードダンパ22を屈曲させる中間シャフト26が設けられ、これら3本のシャフト24〜26によってモードダンパ22を前記各吹出口19〜21への空気通路内面に密着させてシールするようになっている。そして、駆動シャフト24をダンパ駆動手段たるパルスモータ39(図4参照)によって回転させて、モードダンパ22を巻き取り又は巻き戻すことによって、前記通風用開口部23a〜23cをスライド移動させて、空気を車室内に吹き出す吹出口の位置を次のように切り換える。
【0017】
即ち、図3に示すように、(a)“FACE”では、フェイス吹出口21に通風用開口部23cを臨ませてフェイス吹出口21から車室内前席乗員の上半身へ向けて空気を吹き出し、(b)“B/L”では、フロントフット吹出口19とフェイス吹出口21に通風用開口部23a,23cを部分的に臨ませて、両吹出口19,21から車室内前席乗員の上半身と足元へ向けて空気を吹き出す。また、(c)“FOOT”では、主としてフロントフット吹出口19に通風用開口部23aを臨ませてフロントフット吹出口19から車室内前席乗員の足元へ向けて空気を吹き出すと共に、デフロスタ吹出口20にも通風用開口部23bを部分的に臨ませてデフロスタ吹出口20からも少量の空気を吹き出す。
【0018】
また、(d)“F/D”では、主としてデフロスタ吹出口20に通風用開口部23bを臨ませてデフロスタ吹出口20からフロントガラスへ向けて空気を吹き出すと共に、フロントフット吹出口19にも通風用開口部23aを少しだけ臨ませて、フロントフット吹出口19からも空気を吹き出す。そして、(e)“DEF”では、デフロスタ吹出口20に通風用開口部23bを臨ませて、デフロスタ吹出口20からフロントガラスへ向けて空気を吹き出す。
【0019】
一方、図2に示すように、第2の冷風通路18には、冷却器13を通過した冷風をモードダンパ22側にバイパスさせるための冷風バイパス路27が設けられ、この冷風バイパス路27には、強冷却運転時に開放される冷風バイパスダンパ28が設けられている。また、送風ダクト11の下流側には、エアミックスダンパ15を通過した空気の一部を後席側に送るためのリアフットダクト29が設けられている。
【0020】
次に、電気的構成を図4に基づいて説明する。冷凍サイクル及びエンジン冷却水循環サイクル等から成るエアコンユニット31は、電子制御ユニット(以下 「ECU」という)32によって制御される。このECU32は、吹出口切替用のモードダンパ22を駆動するパルスモータ39や、エアミックスダンパ15を駆動するサーボモータ30も制御する。この場合、ECU32は、操作パネル33に設けられた各種スイッチ(図示せず)の操作により、空調運転を実行し、自動制御(AUTO)が選択されたときには、日射量を検出する日射センサ34、外気温を検出する外気温センサ35、及び車室内の気温を検出する内気温センサ36からの出力信号に基づいて空調運転を自動制御するようになっている。更に、このECU32は、バッテリー37を電源とした状態、つまり、バッテリー37から給電される状態とされると共に、イグニッションスイッチ(以下「IG」という)38のオン・オフ信号も入力される。
【0021】
この場合、ECU32は、図5に示された制御プログラムを実行することにより、IG38のオフ後にパルスモータ39によってモードダンパ22をその通風用開口部23a,23bが屈曲部である中間シャフト26に来るまで移動させて停止させる停止位置制御手段として機能する。以下、このECU32による制御内容を図5のフローチャートに従って説明する。
【0022】
この第1実施例では、モードダンパ22の位置(パルスモータ39の回転位置)を検出するセンサが設けられていないため、イニシャライズが必要となる。ここで、イニシャライズとは、モードダンパ22を一方向に最後まで巻き取って、例えば“DEF”位置まで移動させる動作をいう。このイニシャライズは、通常、IG38のオフ後に行うものであるが、イニシャライズが終了する前に修理等によりバッテリー37の脱着があった場合には、モードダンパ22の停止位置が不確定になるため、この場合にもイニシャライズが必要となる。
【0023】
そこで、この第1実施例では、IG38のオン後(S101)、まず、バッテリー37の接続後に最初になされたIG38のオンか否かが判断される(S102)。ここで、「YES」と判断された場合には、S103に移行して、イニシャライズを実行する。この後、図3(f)に示す目標停止位置までのステップ数(例えば10)を出力して(S104)、パルスモータ39を例えば10ステップ回転させることによって、モードダンパ22を目標停止位置まで移動させた後、S105に移行する。
【0024】
一方、S102で「NO」と判断された場合、即ち、バッテリー37の接続後に最初になされたIG38のオンでない場合にも、S105に移行して吹出モード(吹出口の位置)がマニュアル(手動設定)に設定されているか否かが判断される。もし、マニュアルに設定されていれば、このS105で「YES」と判断されて、S106に移行し、操作パネル33の操作スイッチ(図示せず)により手動設定された吹出口位置を認識して、出力ステップ数(目標停止位置から手動設定された吹出口位置までのステップ数)を計算する(S108)。
【0025】
また、S105で「NO」と判断された場合、即ち、吹出モードがオート(自動制御)である場合には、S107に移行し、操作パネル33の温度設定器(図示せず)、日射センサ34、外気温センサ35及び内気温センサ36からの出力信号に基づいて演算された目標吹出温度Taoに応じて、移動すべき吹出口位置を自動的に決定する。この後、S108に移行して、出力ステップ数(現在の停止位置から移動すべき吹出口位置までのステップ数)を計算する。例えば、現在の停止位置(当初は目標停止位置)のステップ数が“10”で、移動すべき吹出口位置(例えば“FACE”)のステップ数が“80”である場合には、出力ステップ数は80−10=70と計算される。
【0026】
この様にして計算されたステップ数を出力して(S109)、パルスモータ39を上記ステップ数だけ回転させることにより、モードダンパ22を図3(a)〜(e)のいずれかの位置まで移動させることになる。
【0027】
そして、空調運転実行中は、S109の処理後にS110で「NO」と判断されて、S105に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0028】
この後、乗員が操作パネル33のエアコンスイッチ(図示せず)を操作して、空調運転を終了すればS110の判断が「YES」となり、S111に移行して、IG38のオフ後、所定時間t1 (例えば1分)経過後に(S112)、前述と同様のイニシャライズを実行する(S113)。ここで、イニシャライズを所定時間t1 経過後に行う理由は、乗員が自動車から出た頃を見計らってイニシャライズを行うことにより、イニシャライズの動作音を乗員に気付かせないようにするためである。
【0029】
この後、目標停止位置までのステップ数(例えば10)を出力し(S114)、パルスモータ39を例えば10ステップ回転させることにより、モードダンパ22を図3(f)に示す目標停止位置まで移動させて、本制御を終了する。尚、本制御によるモードダンパ22の動きは図6にタイムチャートとして図示されている。尚、図6は、IG38のオン後に“FACE”まで移動させる例を示している。
【0030】
ところで、モードダンパ22の位置は、図3(a)〜(e)に示されたいずれの位置であっても、モードダンパ22の閉鎖部23d(通風用開口部23a〜23cの形成されていない部分)が中間シャフト26上に位置するため、この位置で長時間放置しておくと、前述した従来の転写による屈曲変形・風漏れの問題が発生する。
【0031】
そこで、この第1実施例では、IG38のオフ後に、モードダンパ22を目標停止位置まで移動させて、図3(f)に示すように、モードダンパ22の通風用開口部23a,23bが屈曲部である中間シャフト26上に位置するところで停止させる。
【0032】
このモードダンパ22のうち通風用開口部23a〜23cの形成部分は、閉鎖部23d(通風用開口部23a〜23cの形成されていない部分)に比べて剛性が格段に低くなっているので、たとえ、この部分が停止中に転写により屈曲変形したとしても、その後の空調運転時にモードダンパ22を移動させる過程でモードダンパ22に作用する引張力により通風用開口部23a〜23cの形成部分の変形がある程度修正されるようになる。しかも、通風用開口部23a〜23cの形成部分は、閉鎖部23dとは異なり、風を通過させる部分で、本来的にシールを必要としない部分であるので、万一、この部分から風洩れが発生しても洩れた風は通風用開口部23a〜23cを通過した風と一緒に流れるだけのことであり、何等問題はない。
【0033】
以上説明した第1実施例では、モードダンパ22の位置(パルスモータ39の回転位置)を検出するセンサが設けられていないため、イニシャライズが必要となるが、図7及び図8に示す本発明の第2実施例では、モードダンパ22を駆動するダンパ駆動手段(例えばサーボモータ)にポテンショメータ等の位置検出手段(図示せず)を設け、イニシャライズを不要にしている。
【0034】
この第2実施例では、バッテリー37の脱着後でも、モードダンパ22の位置(サーボモータの回転位置)を検出することができるので、第1実施例におけるS102〜S104の処理は不要である。従って、IG38のオン後(S201)、直ちに、吹出モード(吹出口の位置)がマニュアル(手動設定)に設定されているか否かが判断される(S202)。もし、マニュアルに設定されていれば、このS202で「YES」と判断されて、S203に移行し、操作パネル33の操作スイッチ(図示せず)により手動設定された吹出口位置を認識する。
【0035】
一方、S202で「NO」と判断された場合、即ち、吹出モードがオート(自動制御)である場合には、S204に移行して、目標吹出温度Taoに応じて、移動すべき吹出口位置を自動的に決定する。この後、移動すべき吹出口位置のステップ数を出力して(S205)、サーボモータを上記ステップ数だけ回転させることにより、モードダンパ22を図3(a)〜(e)のいずれかの位置まで移動させる。
【0036】
そして、空調運転実行中は、S205の処理後にS206で「NO」と判断されて、S202に戻り、上述した処理を繰り返す。この後、乗員が操作パネル33のエアコンスイッチ(図示せず)を操作して、空調運転を終了すれば、S206の判断が「YES」となり、S207に移行して、IG38のオフ後、所定時間t1 (例えば1分)経過後に(S208)、目標停止位置までのステップ数を出力して(S209)、モードダンパ22を図3(f)に示す目標停止位置まで移動させて、本制御を終了する。尚、図8は、IG38のオン後に“FACE”まで移動させる例を示している。
【0037】
この第2実施例では、前述したポテンショメータ等の位置検出手段によりモードダンパ22の位置(サーボモータの回転位置)を検出できるので、イニシャライズを行わずに任意の吹出口位置から直接目標停止位置へ移動させることができる利点がある。
【0038】
尚、上記第1及び第2の各実施例では、いずれも、IG38のオフ後に所定の休止時間t1 を設けるようにしたが、IG38のオフ後に直ちにイニシャライズ又は目標停止位置への移動を実行するようにしても良い。或は、第1実施例において、イニシャライズ(S113)と目標停止位置への移動(S114)との間に、所定の休止時間を設けるようにしても良い。
【0039】
また、上記第1及び第2の各実施例では、いずれも、IG38のオフ後に目標停止位置への移動を実行するようにしたが、乗員が操作パネル33のエアコンスイッチ(図示せず)を操作して空調運転を終了させた後(IG38のオフ前)に目標停止位置への移動を実行するようにしても良い。
【0040】
更に、上記第1及び第2の各実施例において、目標停止位置は、図3(f)の位置に限定されず、例えばフェイス吹出口21に対応する通風用開口部23cが中間シャフト26上に乗った状態となる位置であっても良く、要は、通風用開口部23a〜23cにより剛性が格段に低くなっている部分が中間シャフト26上に乗った状態となるように停止位置を制御すれば良い。また、中間シャフト26(屈曲部)が2箇所以上ある構成のものについても本発明を適用可能であることは言うまでもない。
【0041】
前述した第1及び第2の両実施例は、いずれも、本発明を吹出口切替用のモードダンパ22の停止位置制御に適用したものであるが、エアミックス用のフィルムダンパであるエアミックスダンパ15についても、本発明の停止位置制御を同様に適用できる。
【0042】
以下、本発明をエアミックスダンパ15の停止位置制御に適用した第3実施例について、図9乃至図11を参照して説明する。エアミックスダンパ15は、ヒータコア14に沿って屈曲状に配設されているため、ヒータコア14の底部が特許請求の範囲でいう“屈曲部”となり、空調運転の終了後(IG38のオフ後)に、ダンパ駆動手段たるサーボモータ30を動作させて、図9(b)に示すように、エアミックスダンパ15の通風用開口部15aがヒータコア14の底部に来るまで移動させて停止させることになる。この第3実施例では、エアミックスダンパ15の停止位置をイニシャライズ位置に一致させる(イニシャライズと本発明の停止位置制御とを同時に行わせる)ため、エアミックスダンパ15の長さ寸法を後述する寸法A又はBだけ長くしている。
【0043】
即ち、イニシャライズ時に右方向にエアミックスダンパ15を最後まで巻き取る場合、従来構造のものでは、図9(a)及び図10(a)に示すように、エアミックスダンパ15が“Max Hot”位置に移動して、エアミックスダンパ15の通風用開口部15aがヒータコア14の開口部に対向した状態になる。この状態では、エアミックスダンパ15の閉鎖部15b(通風用開口部15aが形成されていない部分)がヒータコア14の底部に跨がって屈曲した状態に維持される。この状態のまま放置されれば、エアミックスダンパ15の閉鎖部15bが屈曲変形してしまうばかりか、この屈曲変形部分に結露水が溜って、低外気温時にエアミックスダンパ15がヒータコア14に凍結してしまうおそれがある。特に、図1に示すように、送風ダクト11内に冷却手段たる冷却器13を設けたものでは、冷却器13の冷却作用によりエアミックスダンパ15が冷やされてフィルムダンパ15に結露が生じ易くなるため、この結露水を如何にして排水するかが重要な問題となる。
【0044】
そこで、この第3実施例では、図10(b)に示すように、フィルムダンパ15の左端部を従来よりも寸法Aだけ長くして、右側のシャフト17にエアミックスダンパ15を最後まで巻き取ることにより、イニシャライズと本発明の停止位置制御とを同時に行えるようになっている。このイニシャライズ(停止位置制御)により、エアミックスダンパ15の通風用開口部15aがヒータコア14の底部に跨がった状態で停止するようになり、エアミックスダンパ15の屈曲変形による風洩れの問題を解消できると共に、フィルムダンパ15上の結露水は通風用開口部15aから流れ落ちることになり、フィルムダンパ15に結露水が溜らず、エアミックスダンパ15の凍結が未然に防止される。
【0045】
尚、イニシャライズ時にエアミックスダンパ15を上述とは反対方向(左方向)に巻き取るようにしても良い。この場合、従来構造のものでは、図11(a)に示すように、エアミックスダンパ15が“Max Cool”位置に移動して、エアミックスダンパ15の閉鎖部15bがヒータコア14の開口部を閉鎖した状態になる。この状態では、エアミックスダンパ15の閉鎖部15bがヒータコア14の底部に跨がって屈曲した状態になり、前述したエアミックスダンパ15の屈曲変形による風洩れや凍結の問題が発生する。
【0046】
そこで、この第3実施例では、図11(b)に示すように、フィルムダンパ15の右端部を従来よりも寸法Bだけ長くして、左側のシャフト16にエアミックスダンパ15を最後まで巻き取ることにより、イニシャライズと本発明の停止位置制御とを同時に行えるようになっている。このイニシャライズ(停止位置制御)により、エアミックスダンパ15の通風用開口部15aがヒータコア14の底部に跨がった状態で停止するようになり、エアミックスダンパ15の屈曲変形による風洩れや凍結の問題を解消できる。
【0047】
尚、本発明の適用範囲は、上記各実施例のような吹出口切替用のフィルムダンパ13やエアミックスダンパ15に限定されず、例えば吸気口切替用のフィルムダンパ(図示せず)の停止位置制御にも適用して実施できる。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、エアコンスイッチを操作して空調運転を終了させた後、或いはイグニッションスイッチのオフ後に、フィルムダンパをその通風用開口部(剛性が格段に低くなっている部分)が屈曲部に来るまで移動させて停止させるようにしたので、たとえ、通風用開口部の部分が停止中に転写により屈曲変形したとしても、その後の空気通路切替運転時にフィルムダンパを移動させる過程で、フィルムダンパに作用する引張力により通風用開口部の形成部分の変形をある程度修正することができる。しかも、この通風用開口部の形成部分は、風を通過させる部分で、本来的にシールを必要としない部分であるので、万一、この部分から風洩れが発生しても、洩れた風は通風用開口部を通過した風と一緒に流れるだけのことであり、何等問題はなく、従来のフィルムダンパの屈曲変形による風洩れの問題を解消できる。
【0049】
また、空気通路内に設けられた冷却手段の冷却作用によりフィルムダンパに結露が生じ易くなっている場合でも、イグニッションスイッチのオフ後にフィルムダンパの通風用開口部を屈曲部まで移動させれば、上述と同じく、フィルムダンパの屈曲変形による風洩れの問題を解消できると共に、フィルムダンパ上の結露水を通風用開口部から排水することができて、フィルムダンパの凍結の問題も解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるフィルムダンパの配設形態を示す図
【図2】車両用空調装置の全体構成図
【図3】FACE,B/L,FOOT,F/D,DEF及び目調停止位置におけるフィルムダンパの位置を示す図
【図4】電気的構成を示すブロック図
【図5】制御の流れを示すフローチャート
【図6】IGのオフ後から次のオン後までのフィルムダンパの動きを示すタイムチャート
【図7】本発明の第2実施例における制御の流れを示すフローチャート
【図8】IGのオフ後から次のオン後までのフィルムダンパの動きを示すタイムチャート
【図9】本発明をエアミックスダンパに適用した第3実施例を説明する斜視図で、(a)は従来の停止位置、(b)は第3実施例の停止位置
【図10】エアミックスダンパを右方向に巻き取ってイニシャライズしたときのエアミックスダンパの展開図で、(a)は従来の停止位置、(b)は第3実施例の停止位置
【図11】エアミックスダンパを左方向に巻き取ってイニシャライズしたときのエアミックスダンパの展開図で、(a)は従来の停止位置、(b)は第3実施例の停止位置
【符号の説明】
11は送風ダクト(空気通路)、12はブロワ、13は冷却器(冷却手段)、14はヒータコア(屈曲部)、15はエアミックスダンパ(フィルムダンパ)、15aは通風用開口部、15bは閉鎖部、19はフロントフット吹出口、20はデフロスタ吹出口、21はフェイス吹出口、22はモードダンパ(フィルムダンパ)、23a〜23cは通風用開口部、23dは閉鎖部、24は駆動シャフト、25は従動シャフト、26は中間シャフト(屈曲部)、29はリアフットダクト、30はサーボモータ(ダンパ駆動手段)、32はECU(停止位置制御手段)、38はIG(イグニッションスイッチ)、39はパルスモータ(ダンパ駆動手段)である。

Claims (2)

  1. 空気通路内を流れる空気に対向する位置に屈曲された形態で設けられ、通風用開口部を有するフィルムダンパと、
    このフィルムダンパを移動させることにより前記通風用開口部の位置を移動させて前記空気の流れ方向を切り換えるダンパ手段と、
    エアコンスイッチを操作して空調運転を終了させた後に前記ダンパ駆動手段によって前記フィルムダンパを前記通風用開口部が屈曲部に来るまで移動させて停止させる停止位置制御手段と
    を備えたことを特徴とする車両用空気通路切替装置。
  2. 空気通路内に冷却手段を備え、この冷却手段により冷却された空気の流れ方向を切り替えるようにしたものにおいて、
    前記空気通路内を流れる空気に対向する位置に屈曲された形態で設けられ、通風用開口部を有するフィルムダンパと、
    このフィルムダンパを移動させることにより前記通風用開口部の位置を移動させて前記空気の流れ方向を切り換えるダンパ手段と、
    バッテリーから給電されるように構成され、イグニッションスイッチのオフ後に前記ダンパ駆動手段によって前記フィルムダンパを前記通風用開口部が屈曲部に来るまで移動させて停止させる停止位置制御手段と
    を備えたことを特徴とする車両用空気通路切替装置。
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