JP3672317B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、複数の列電極と複数の行電極を有する反強誘電性液晶表示パネルを用いた液晶表示装置において、最適先行駆動電圧を得る方法、及び、これを用いた反強誘電性液晶表示装置に関する。
背景技術
反強誘電性液晶は液晶に印加する電圧を無電圧(零)で放置すると反強誘電状態に安定する。以下この安定状態を中立状態という。反強誘電性液晶パネルは該中立状態で暗表示するようにも、明表示するようにも構成でき、本発明はそのいずれにも対応するものである。以下の説明は中立状態で暗表示をするものについて説明するが、中立状態で明表示をするものについては以下の説明に於いて「明」と「暗」を入れ替えて読むものとする。
一般的に反強誘電性液晶には反強誘電状態(暗状態)と強誘電状態(明状態)の2つの状態があり、全体が反強誘電状態にある液晶パネルに電圧を印加すると、先ず微小な部分で強誘電状態へ相転位が起こり、時間と共に強誘電状態へ相転位する部分が増加し、最終的に全体が強誘電状態へ相転位し、飽和強誘電状態になると説明されている。
同様にして全体が強誘電状態にある液晶パネルに0電圧を印加すると、先ず微小な部分で反強誘電状態へ相転位が起こり、時間と共に反強誘電状態へ相転位する部分が増加し、最終的に全体が反強誘電状態へ相転位し、中立状態になると説明されている。
図1(a)は反強誘電性液晶の印加電圧に対する光透過率を示す図の一例であり、横軸に印加電圧、縦軸に光透過率を示す。
点Oで中立状態にある液晶に正の電圧を印加していくと、電圧Ftで急激に透過率が高くなり、電圧Fsでほぼ最大透過率に達し飽和した強誘電状態となる。この後、より高い電圧を印加しても光透過率はさほど変化しない。次に印加電圧を徐々に減少させると、電圧Atで急激に透過率が低くなり、電圧Asで透過率がほぼ零になり反強誘電状態に戻る。同様に電圧を0Vより負の電圧を印加していくと、−Ftで急激に透過率が高くなり−Fsでほぼ最大透過率に達し飽和した強誘電状態となる。この後、印加電圧を徐々に0Vに近づけると、−Atで急激に透過率が低くなり、−Asで透過率がほぼ0となり、反強誘電状態に戻る。上記のように、液晶の強誘電状態には正電圧印加による場合と負電圧の印加による場合とがあるが、以下前者の場合を(+)強誘電状態、後者の場合を(−)強誘電状態とする。また│Ft│を強誘電閾値電圧、│Fs│を強誘電飽和電圧、│At│を反強誘電閾値電圧、│As│を反強誘電飽和電圧と呼ぶ事にする。
なお前記の強誘電閾値電圧│Ft│、強誘電飽和電圧│Fs│、反強誘電閾値電圧│At│及び反強誘電飽和電圧│As│のそれぞれの値は(+)強誘電側と(−)強誘電側とで若干異なる場合があるが、簡単のため以下の説明は両者が等しいものと仮定して行う。必要に応じ(+)強誘電側と(−)強誘電側とで駆動電圧に補正を加える事は本発明の範囲に含まれる。
図1(a)に示す印加電圧に対する光透過率特性の曲線(ヒステリシス曲線)は、一般には、時間に対する電圧の変化の割合の絶対値、すなわち│dV/dt│が一定な三角波状の電圧を印加して得る事が多い。しかしこの場合│dV/dt│の値を変えるとヒステリシス曲線の形状も変化し、前記As、Ft、Fs、At等の値も変化してしまうため、これらの値を明確にするには上記│dV/dt│の値を規定する必要がある。しかし本発明者はより実際の駆動状態に即した値を得るため、以下の方法(時間固定法1とする)により図1(a)を得る事とした。
使用温度に於いて対象とする表示装置に選択電圧(後述する)を印加する期間の長さをWtとする。
(1)安定した反強誘電状態(中立状態)にある液晶に時間幅がWtで電圧値がVxなるパルス電圧を印加し、該パルス電圧印加終了時に於ける光透過率の値とVxの関係を描画する。Vxの値を変化させてこの操作を繰り返すと図1(a)に於ける点OからFtを経由してFsに至る曲線及び点Oから−Ftを経由して−Fsに至る曲線が得られる。
(2)次に液晶に上記│Fs│以上の電圧を印加して飽和強誘電状態としておき、時刻0に印加電圧を│Vz│に減少させて想定する緩和期間(後述する)経過後の光透過率の値とVzの関係を描画する。│Vz│の値を変化させてこの操作を繰り返すと図1(a)に於けるFsからAt、Asを経由して点Oに至る曲線及び−Fsから−At、−Asを経由して点Oに至る曲線が得られる。
液晶パネルによっては上記(2)の場合に於いて得られる曲線(図1(a)に於いてFs又は−Fsから点Oに向かう曲線)が縦軸と交差する場合がある。その主たる原因は液晶の応答性によるものである。すなわち液晶に│Fs│以上の電圧を印加して強誘電状態に維持しておき、時刻0で印加電圧Vzを0にすると、液晶はある時間(以下緩和時間tnという)を経過した後、最終的に反強誘電状態に安定するのであるが、この緩和時間tnが前記緩和期間よりも長いと上記(2)によって得られる曲線が縦軸と交差する事になる。
このような液晶パネルは実際の駆動に於いて完全な反強誘電状態にする事が困難となり、暗表示を行うことができなくなるため著しくコントラストが低下するものと考えられる。
一般的に液晶パネルの駆動はN行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成し、各行電極には行電極駆動回路を介して走査信号を印加し、各列電極には列電極駆動回路を介して各画素の表示データに依存する表示信号(表示データに依存しない部分を含む場合もある)を印加し、該走査信号と表示信号との差の電圧(以下単に合成電圧と言う)を液晶層に印加する事により行う。全ての行電極を走査するに要する期間(1垂直走査期間)は通常1フレーム(又は1フィールド)と称される。液晶駆動に於いては液晶への悪影響(例えばイオンの偏りによる劣化等)を防ぐため、フレーム毎(又は複数フレーム毎)に駆動電圧の極性を反転する。
図2は、N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成した液晶パネルに於ける行電極、列電極、画素合成電極の波形を示す。各画素の表示状態を1列(Y1)は全ての行で白、2列(Y2)は1行目が黒でそれ以外の行は白、3列(Y3)は1行毎に黒と白、M列(YM)は全ての行で黒の表示状態とする。
N行の行電極に印加する走査信号波形は、上から下の行に向かって順次1/N時間ずつずれて印加される。M列の列電極に印加する表示信号波形は、走査信号波形と同期し、表示状態の白か黒かに応じた波形を印加する。
各画素に於ける合成電圧に着目すると、1行の白表示であるP11と黒表示であるP12では選択期間twに印加される電圧が、白表示P11は大きく、黒表示P12では小さな波形となる。2行目の白表示である画素P21は1/N時間ずれたP11合成電圧とほぼ同一波形となる。ここで、1行と2行における第1フレームF1及び第2フレームF2も1/N時間ずれることとなる。
1つの行電極に印加される走査信号に着目すると、その1垂直走査期間はN個の水平走査期間(場合により付加期間αが付加される)により構成され、この内当該行上の画素の表示状態を決定するための特別な走査電圧(選択電圧とする)を印加する水平走査期間をその行の選択期間twと称し、それ以外の水平走査期間を総称して非選択期間と言う。また、一般的に選択期間twは1フレームの期間を(N+α)で分割した期間となる。
通常、反強誘電性液晶パネルに於いては、反強誘電状態にある液晶を、選択電圧印加時に前記表示信号に基づいて反強誘電状態のまま維持するか、あるいは強誘電状態に移行させるかを決定する。このため前記選択電圧印加に先だって、液晶状態を反強誘電状態に揃えるための期間が必要であり、以下この期間を緩和期間tsと呼ぶ。選択期間tw及び緩和期間ts以外の期間は、決定された液晶状態を保持しておかなければならず、この期間を以下保持期間tkと言う。
図3は特開平4−362990号公報の図1及び図2に記載の駆動方法に基づいて、着目する任意の1画素に印加される走査信号波形Pa、表示信号波形(Pb、Pb’)、合成電圧波形(Pc、Pc’)及び光透過率(L100、L0)を示した図であり、F1とF2はそれぞれ第1フレームF1と第2フレームF2を表す。図示していないが着目する行に隣接する行には1水平走査期間だけ位相をづらせた、Paと同様な走査信号又はPaの極性を反転した走査信号が印加される。
図3はフレーム毎に上記した駆動電圧の極性反転を行っている場合を示す。図から明らかなように第1フレームF1と第2フレームF2では単に駆動電圧の極性を反転するのみであり、前記図1(a)から明らかなように液晶表示装置の動作は駆動電圧の極性に対して対称であるので、以下特に必要がある場合を除き、説明は第1フレームについてのみ行う。
また以下に図示する駆動波形、又はその説明に於いて0と表示する電位は絶対電位を意味するものではなく、単なる基準電位を意味するものであり、したがって何らかの理由により該基準電位が変動する場合には、走査信号及び表示信号も相対的に変動するものとし、また走査信号及び表示信号について電圧というときは該基準電位との電位差を言うものとする。
図3に於いて1フレームは選択期間tw、保持期間tk及び緩和期間tsの3つの期間に分けられる。該選択期間twは更に等しい長さの期間tw1とtw2とに分けられる。そして第1フレームF1に於ける走査信号Paの電圧は以下のように設定される。もちろん第2フレームF2では電圧の極性が反転される。ここで±V1が前記選択電圧であり、期間tw2の長さが前記Wtに相当する。
また表示信号は下記のように設定される。ここで*なる記号で示す部分は当該画素と同列上の他の画素の表示データに依存する事を示す。
上記選択電圧が印加される期間に於いて、選択された行上の各液晶画素は表示信号に基づいて選択的に駆動される。以下走査信号が選択電圧である期間を選択駆動期間と言う(この従来例に於いてはtw2)。
表示信号のうち実際に表示データに基づく表示を支配する部分は上記選択駆動期間に対応する部分であるが、この表示信号部分は同時に、選択された行以外の行(この従来例では保持期間tk又は緩和期間tsのいずれかの期間になっている)上の液晶画素にも印加され、これらの選択されていない液晶画素の状態に悪影響を及ぼす。
例えば図1(a)に示すヒステリシス曲線に於いてAsからFt、あるいはAtからFsまでの曲線が平坦でない場合、保持期間tkに液晶に印加される電圧が他の行上の表示信号に依存して偏ると、この期間における輝度に変化が生じてしまう。
そこでこの悪影響を補償するため、前記選択駆動期間tw2の外に期間tw1を設け、期間tw1と期間tw2とで表示信号の極性を反転し、表示信号の1水平走査期間内での平均値が0となるようにしている。
すなわち期間tw1に於ける表示信号の役割は、選択駆動期間中の表示信号が選択されていない行上の画素に与える悪影響を補償する事にある。従って以下この様な補償のために表示信号が用いられる期間を補償信号期間と呼ぶ事にする。
図3に於いてPb、Pc及びL100は着目する画素が属する列電極上の全ての画素がオン(明)状態である場合に於ける、表示信号波形、合成電圧波形及び光透過率を示す。この場合は選択駆動期間tw2に液晶に印加される電圧(合成電圧)が|V1+V2|>|Fs|(図1(a)参照)であれば液晶は強誘電状態に移行を始め、光透過率が高くなる。保持期間tkに於いては|V3−V2|>|At|であれば明状態を保持できる。緩和期間tsに於いては|V2|<|As|ならば、時間と共に透過率が低下し、強誘電状態から安定した反強誘電状態に緩和する。
また図3に於いてPb’、Pc’及びL0は着目する画素が属する列電極上の全ての画素がオフ(暗)状態である場合に於ける、表示信号波形、合成電圧波形及び光透過率を示す。この場合は選択駆動期間tw2に於ける合成電圧が|V1−V2|<|Ft|、保持期間tkに印加される電圧が|V3+V2|<|Ft|、緩和期間tsに印加される電圧が|V2|<|Ft|であれば暗状態を示すことができる。
図4は特開平6−214215号公報に記載された駆動方法に於ける、駆動波形図である。この駆動方法では1フレームは選択期間twと保持期間tkに分割される。該選択期間twは等しい長さを有する2つの期間tw1、tw2と、これらに先だつ期間tw0の3つの期間に分割される。この駆動方式では前記緩和期間tsは上記期間tw0となる。期間tw0の長さはtw1、tw2と等しいとは限らない。そして第1フレームF1に於ける走査信号及び表示信号の電圧は次のように設定される。
この特開平6−214215号公報に記載の駆動方法は、選択期間twの先頭に於ける零電圧印加期間(tw0)を緩和期間tsとするものである。また期間tw1が補償信号期間であり、期間tw2が選択駆動期間である。
上記2つの従来例に於いて、液晶の明暗を決定するために選択電圧|V1|を印加する選択駆動期間は共にtw2であるが、該期間tw2の長さが十分でないと、液晶を十分な誘電状態に移行させる事が出来なくなり、表示に支障を生ずる。すなわち安定した反強誘電状態にあって暗状態を示している液晶に、一定の電圧を印加してほぼ飽和した明状態に移行させる場合、ある程度の時間(以下、強誘電飽和時間trと呼ぶ)を必要とする。従って期間tw2が該強誘電飽和時間trより短くなると光透過率の変化は図3のL100に破線で示すように、十分な明状態を提示できなくなり、コントラストが低下する事になる。
該選択駆動期間tw2は上記特開平4−362990号公報の図1及び図2に記載の駆動方法では選択期間twの2分の1であり、前記特開平6−214215号公報に記載の駆動方法では選択期間twの2分の1より小さい値となる。そして該選択期間twの長さは一般的に1フレームの長さをFとすればtw=F/(N+α)で表されるので、前記期tw2を長くするにはフレームの長さFを大きくすればよい。しかし一般にFが20ms(50Hz)より長くなると、フリッカー現象が現れて表示品質を損ねてしまうため、1フレームの長さには制限がある。このような制限下では期間twの長さ(従って選択駆動期間tw2の長さ)は(N+α)に依存することとなり、十分なtw2の長さを得るためにはNを小さくせざるを得なくなる。
前記強誘電飽和時間trは印加する電圧によっても変化し、印加電圧を大きくすると短くなる。従って印加電圧を大きくすれば選択駆動期間tw2が短くても強誘電状態への移行が行えるようになるが、通常、前記列電極駆動回路、行電極駆動回路には最大定格があり、該定格を越える電圧を液晶に供給する事は出来ない。また前記選択電圧(|V1|)、表示信号電圧(|V2|)の大きさにも駆動上の制約があり、液晶に印加する事が出来る電圧には上限がある。
これらの制約から、結果として、フレームの長さを一定とすれば行電極の数に上限が生じ、高解像の表示装置を提供する事が困難となる。
また大きな印加電圧を必要とする事は、駆動回路の負担を増大させ、更に表示装置の消費する電力を増大させる事にもなる。
発明の開示
そこで本発明が解決しようとする課題は、前記選択駆動期間tw2に印加する電圧を上げる事なく前記強誘電飽和時間trを短くし、十分な明状態を得る事によりコントラストがより高い反強誘電性液晶表示装置を提供すること、あるいは選択期間を短くする事により、解像度がより高い反強誘電性液晶表示装置を提供を可能にすること、更に駆動電圧を低くして消費電力がより小さい反強誘電性液晶表示装置を提供することである。
発明者は、N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成し、前記N行の行電極とM列の列電極により行列配置された複数の画素により表示を行う液晶表示器と、前記行電極に走査信号を印加する行電極駆動手段と、前記列電極に表示信号を印加する列電極駆動手段を備え、前記行電極には表示状態を決定する選択期間内に選択電圧を印加する選択駆動期間を有する走査信号を順次供給し、前記液晶画素に前記走査信号と前記表示信号の合成電圧を印加して表示操作を行う反強誘電性液晶表示装置において、前記選択駆動期間に先行し隣接する先行駆動期間を設け、該先行駆動期間と前記選択駆動期間に液晶に印加される前記合成電圧の極性が異なるように前記行電極駆動手段が各行電極に対し走査信号を供給した場合、前記選択駆動期間に液晶に印加される合成電圧の値が同じであっても、前記先行駆動期間において液晶に印加される合成電圧の値によって、前記強誘電飽和時間tr、即ち、最大明状態を表示する際の光透過率の立ち上がり時間が異なることを見出した。
そこで、本発明は上記反強誘電性液晶表示装置において、前記先行駆動期間が一定の場合、前記強誘電飽和時間trが最も短くなる該先行駆動期間において液晶に印加される合成電圧の値(以下最適先行駆動電圧と言う)を求める方法を提供する。
また、本発明は、上記最適先行駆動電圧を用いた反強誘電性液晶表示装置を提供する。
ただしここで言う最大明状態は表示装置として使用する最大の明状態を言うのであって、必ずしも完全に飽和した明状態を指すものではない、以下に於いて同様である。
本発明によると、選択駆動期間において印加される電圧(合成電圧)を一定にしたまま、先行駆動期間に印加される電圧(合成電圧)を変化させ、強誘導飽和時間trが最も短くなる電圧、即ち、最適先行駆動電圧を求める。
また、発明者は、前記最適先行駆動電圧は先行駆動期間が長ければ低くなり、短ければ高くなることを見出した。
そこで、本発明は先行駆動期間の長さを調整することにより、最適先行駆動電圧を調整出来る反強誘電性液晶表示装置を提供することである。
さらに、本発明は最適先行駆動電圧を明確に特定できる新規な方法(以下、時間固定法3と言う)により印加電圧に対する光透過率曲線を得、これに基づき最適先行駆動電圧と先行駆動期間との関係を用いて最適先行駆動電圧を調整出来る反強誘電性液晶表示装置を提供することである。
また、本発明は、少なくとも先行駆動期間に於ける走査信号電圧の値を温度変化に応じて変化させて温度補償し、温度変化に対しても最適の状態で駆動できるような反強誘電性液晶表示装置を提供することである。
発明の効果
上記の如く本発明によれば、暗状態から明状態に移行する時間を短く出来るので、選択期間tw内で良好な明表示を提示出来、コントラストの高い反強誘電性液晶表示装置を提供出来る。また、選択期間twを短く出来るので、従来より高解像度の反強誘電性液晶表示装置を提供出来る。また、選択電圧印加時の合成電圧を小さくできるので行電極駆動回路、列電極駆動回路の耐圧を低く設定でき、低消費で低コストの反強誘電性液晶表示装置を提供する事が可能となる。さらに、最適先行駆動電圧の値を調整できるので、上記効果を維持したまま種々の要件に対応した反強誘電性を提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、反強誘電性液晶パネルの印加電圧に対する光透過率の変化を示す図である。
図2は、N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成した液晶パネルにおける行電極、列電極、画素合成電極の波形を示す図である。
図3は、従来の駆動方法を示す駆動波形と光透過率を示した図である。
図4は、従来の駆動方法による駆動波形を示した図である。
図5は、本発明を説明するための印加電圧を変えたときの光透過率の変化を示した図である。
図6は、本発明液晶表示装置の第1の実施形態を示す駆動波形と光透過率を示した図である。
図7は、本発明液晶表示装置の第2の実施形態を示す駆動波形と光透過率を示した図である。
図8は、本発明液晶表示装置の第3の実施形態を示す駆動波形図である。
図9は、本発明液晶表示装置の第4の実施形態を示す駆動波形図である。
図10は、本発明液晶表示装置の第5の実施形態を示す駆動波形図である。
図11は、本発明液晶表示装置の第6の実施形態を示すブロック図、特性図である。
発明の詳細な説明
本発明者は図3に示す駆動方法に於いて、各駆動電圧を変化させて前記強誘電飽和時間trについて調査した。この場合、期間tw2(選択駆動期間)に液晶に印加される合成電圧は|V1|+|V2|であり、|V1|と|V2|のいずれを変化させても該合成電圧を変化させる事が出来る。この調査に於いて、合成電圧が同一であっても前記強誘電飽和時間trが異なる場合がある事が分かった。即ち、|V1|+|V2|を一定にしても|V2|の値、即ち、期間tw1に液晶に印加される電圧によって強誘電飽和時間trが異なるのである。発明者はこの現象が期間tw1に於ける液晶状態の影響によるものと推定し、強誘電飽和時間trが最も短くなる期間tw1において液晶に印加される電圧を求める方法を発明した。
以下に本発明による方法を説明する。
図5(a)は調査において印加電圧波形と光透過率の変化を示す図である。図5(a)に於いて選択駆動期間に先行しかつ隣接する期間pw1(先行駆動期間に相当)には−Vxなる電圧を印加し、選択駆動期間に相当するpw2にはVzなる一定電圧を印加し、その他の期間には0を印加する。この場合、該電圧Vzは、前記電圧Vxを0とした場合に期間pw2で液晶が強誘電状態に十分飽和するような電圧とした。そしてVz一定のままVxの値を0、VL、VM、VH(0<VL<VM<VH)に変化させてそれぞれのVxに対応する光透過率の変化を求めた。
この結果によればpw2に印加する電圧Vzが一定でも、pw1に印加する電圧の大きさVxによって前記強誘電飽和時間trが異なり、しかも該強誘電飽和時間trが最も短くなるような最適なVxの値VM(即ち、最適先行駆動電圧)が存在することが分かる。以上が本発明による最適先行駆動電圧VMを求める方法である。従って、上記方法により求めたVMを先行駆動電圧として用いれば強誘電飽和時間trを最短にすることができる。
なお図5(a)に於いてVxが0、VL、VMの場合、期間pw2の終了後に印加電圧を0としても光透過率がしばらく飽和のまま保たれる期間があるが、ある程度の時間経過後には減少して行く。
発明者は期間pw1を様々に変化して同様の調査を行った。そして前記の最適先行駆動電圧VMは帰還pw1の長さによって変化し、期間pw1が長くなればVMの値は小さくなり、期間pw1が短くなればVMが大きくなるが、いずれの場合も該期間pw1の終了時の光透過率がほぼ一定の値となるような電圧である事を見いだした。
以下に、選択駆動期間pw2に印加する電圧Vzを一定とし、先行駆動期間pw1に印加する電圧の大きさVxを変化させた場合、強誘電飽和時間trが最も短くなるような最適なVxの値VM(即ち、最適先行駆動電圧)がなぜ存在するのかを考察する。
図5(b)は別の印加電圧波形と光透過率の変化を示す図である。先ずVx=VMとした時に光透過率が最大値に達するようにVzの値を調整した上で、該電圧Vzを一定にし、前記Vxの値を変化させた場合の光透過率の変化を示す。図5(b)から分かる事は、Vxの値がVM以外の場合には、Vzの値をより大きくしなければ期間pw2に於いて液晶を強誘電状態に飽和させる事が出来ないということである。すなわち、Vx=VMとした場合、最も低い印加電圧で液晶を強誘電状態に飽和させる事が出来る事になる。そして期間pw2で液晶を強誘電状態に飽和させるために必要なVzの値はVxをVMより大きくすると急速に大きくなって行く。
上記の現象は、期間pw2に液晶が(+)強誘電状態に向かうような一定の電圧Vzを印加した場合、液晶分子が受ける力は、液晶が中立状態にある場合よりも、むしろ(−)強誘電状態にある場合の方が大く、そこでVx=0の場合よりも、Vx>0とした方が液晶分子は大きな力を受け、状態移行の速度が上昇するのであるが、Vxがある程度以上になると、(−)強誘電状態にある液晶分子が反強誘電状態に戻るまでの時間が急速に長くなり、結果として前記(+)強誘電状態に飽和するまでの時間が急速に長くなってしまうのだ、と考えられる。
図5(c)は更に別の印加電圧波形と光透過率の変化を示す図である。図5(c)に於いて期間pw1には−Vxなる電圧を印加し、期間pw2及びその他の期間には0を印加する。Vzを0のままVxの値を前記VL、VM、VH(0<VL<VM<VH)に変化させるとそれぞれのVxに対応する光透過率の変化が得られる。
図5(a)と図5(c)を比較検討すると、図5(a)に於いては前記強誘電飽和時間trがVx≦VMでは比較的短く、Vx>VMでは急速に長くなっていく事が分かり、図5(c)に於いては期間pw1の終了後に液晶が反強誘電状態に緩和していく時間が、Vx≦VMでは比較的短く、Vx>VMでは急速に長くなっていく事が分かる。
図5(c)に於いて期間pw1終了後の光透過率の変化を子細に検討すると、印加電圧が0となってから光透過率が0の状態になっていく応答には少なくとも2つの応答が混在しているように見える。すなわち電圧変化に対し急速に0に向かう応答と、比較的緩やかに0に向かう応答である。そして期間pw1終了直後の急速な応答によると見られる光透過率の変化量は、Vx=VMの場合に最も大きく、Vx<VMの場合でもVx>VMの場合でも小さくなる。
発明者は他の調査により、光透過率の減少時だけでなく、光透過率の増大時にも早い応答(以下急速応答と言う)と遅い応答(以下遅緩応答と言う)が混在する事を確認した
Vx=VMの前後で(−)強誘電状態にある液晶分子が反強誘電状態に戻るまでに時間が大きく異なる点については上記急速応答と遅緩応答が関係していると考えられる。
急速応答と遅緩応答の関係については、現在のところ明確な説明が得られていない。しかし液晶内部に比較的容易に相転位するする部分と、そうでない部分が混在し、急速応答は比較的容易に相転位する部分の状態変化を表しているのだとの見方は、否定されるように思われる。
すなわち、光透過率が高ければ高いほど、相転位容易な部分が強誘電状態になっている確率が大きいはずであり、そうであれば印加電圧を0にした場合に、急速応答によると見られる光透過率の変化量も大きくなる筈だと考えられるのであるが、実際には例えば図5(b)に於いて期間pw2終了後の急速応答によるものと見られる光透過率の変化量は、初期の光透過率が高い場合(α)よりも初期の光透過率が低い場合(β)の方が大きく、また図5(c)に於いて期間pw1終了直後の急速応答によるものと見られる光透過率の変化量は、初期の光透過率が高いVx=VHの場合よりも初期の光透過率が低いVx=VMの場合の方が大きくなっているからである。
そこで次のように仮説を立てる。
(イ)試料とした反強誘電性液晶パネルに於いては、強誘電状態と反強誘電状態の他に、光学的に0でない光透過率を示す状態(以下簡単に非安定状態と言う)がある。ただしそれが全体的か部分的かは不明である。
(ロ)該非安定状態と反強誘電状態の相互間の状態変化は比較的容易である。
(ハ)該非安定状態と強誘電状態の相互間の状態変化は比較的容易ではない。
(ニ)反強誘電状態と強誘電状態の相互間の状態変化は容易でない。
上記の仮説に基づいて前記2つの応答について説明すると、図5(c)に於いての期間pw1にVx=VLを印加すると、反強誘電状態から前記非安定状態に状態変化する液晶部分が時間と共に増加し、光透過率が上昇する。しかし期間pw1の終了時点では非安定状態を採り得る全ての液晶部分が非安定状態とはなっていない。期間pw1が終了すると、非安定状態となっている液晶部分は容易に急速に反強誘電状態に変化する。
図5(c)に於いての期間pw1にVx=VMを印加すると、反強誘電状態から前記非安定状態に状態変化する液晶部分が時間と共に増加し、光透過率が上昇する。そして期間pw1の終了時点では非安定状態を採り得る全ての液晶部分が非安定状態となっている。期間pw1が終了すると、非安定状態となっている液晶部分は容易に急速に反強誘電状態に変化する。急速応答による光透過率の変化量はVx=VLの場合よりも大きい。
図5(c)に於いての期間pw1にVx=VHを印加すると、反強誘電状態から前記非安定状態に状態変化する液晶部分が時間と共に増加し、光透過率が上昇する。そして期間pw1の途中で非安定状態を採り得る全ての液晶部分が非安定状態となり、これらの液晶部分は時間の経過と共に更に強誘電状態に移行する。期間pw1が終了すると、強誘電状態に移行せずに非安定状態にとどまっていた液晶部分のみが容易に急速に反強誘電状態に変化する。強誘電状態に移行した液晶部分は遅緩応答により緩やかに反強誘電状態に緩和して行く。この場合急速応答による光透過率の変化量はVx=VMの場合よりも小さい。
すなわち図5(a)に於いて、Vx<VMの場合には、期間pw1の終了時点に於ける光透過率の値は前記非安定状態にある液晶部分によって得られているのであって、強誘電状態にある液晶部分はほとんどないため、緩和はすべて急速応答による。
一方図5(a)に於いて、Vx>VMの場合には、期間pw1の終了時間に於いて前記非安定状態にある液晶部分はむしろ減少し、逆に強誘電状態の液晶部分が増加する。非安定状態にある液晶部分は期間pw2に於けるVzの印加に対し極めて容易に応答するが、強誘電状態にある液晶部分は反強誘電状態に緩和するのが容易でなく、遅緩応答によるためその分時間が長くなる。従ってVx>VMとすると前記強誘電飽和時間trが急速に長くなってしまう。
すなわち、強誘電飽和時間trが最も短くなるのは、液晶がほとんど遅緩応答を生じない程度に、言い換えれば液晶がほとんど強誘電状態への転位を起こさない程度に、更に言い換えれば液晶状態がほとんど上記非安定状態への転位にとどまる程度に、上記Vxの値を大きく定めた場合であると考えられる。
そこで発明者は、N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成し、前記N行の行電極とM列の列電極により行列配置された複数の画素による表示を行う液晶表示器と、前記行電極に走査信号を印加する行電極駆動手段と、前記列電極に表示信号を印加する列電極駆動手段を備え、前記行電極には表示状態を決定する選択期間内に選択電圧を印加する選択駆動期間を有する走査信号を順次供給し、前記液晶画素に前記走査信号と前記表示信号の合成電圧を印加して表示操作を行う反強誘電性液晶表示装置において、前記選択駆動期間に先行し隣接する先行駆動期間を設け、該先行駆動期間と前記選択駆動期間に液晶に印加される前記合成電圧の極性が異なるように、かつ前記先行駆動期間において液晶に印加される合成電圧が、液晶のほとんどが強誘電状態に転位する直前状態となる値となるよう、前記行電極駆動手段は各行電極に対し走査信号を供給し、強誘電飽和時間trが最短となる反強誘電性液晶表示装置を得た。
次に、先に発明者は、前記最適先行駆動電圧VMが期間pw1の長さによって変化し、期間pw1が長くなればVMの値は小さくなり、期間pw1が短くなればVMは大きくなるが、いずれの場合も該期間pw1の終了時の光透過率がほぼ一定の値となるような電圧である事を見いだした旨を述べた。
そこで、先行駆動期間を調整することにより目的とする最適先行駆動電圧を調整出来る、本発明による反強誘電性液晶表示装置について説明する。
上記反強誘電性液晶表示装置を得るため、本発明では最適先行駆動電圧を明確に特定できる新規な方法(時間固定法3)により印加電圧に対する光透過率曲線(ヒステリシス曲線)を得、これに基づき最適先行駆動電圧と先行駆動期間との関係を用いて最適先行駆動電圧を調整できるようにするものである。
図1(a)のヒステリシス特性を得るために用いた前述の時間固定法1では、曲線O−Ft−Fsを得るのに「安定した反強誘電状態(中立状態)にある液晶に時間幅がWtで電圧値がVxなるパルス電圧を印加し、該パルス電圧印加終了時に於ける光透過率の値とVxの関係を描画する」方法を用いた。しかし、図5(c)においてこの方法によりパルス電圧印加終了時であるpw1終了時における光透過率をプロットして得た結果によれば、この方法では計測された光透過率は前記非安定状態の液晶が提示する光透過率分を含んでいる事になる。そしてこの分は印加電圧が低くなった途端急速に減少するのであるから、実際の駆動に於いて期待する輝度が得られない事になる。そこでpw1終了時でなく、この急速応答が終了した時点(図5(c)のpw2終了時点)での光透過率を再度図1(a)に書き加え、新規な印加電圧に対する光透過率曲線(ヒステリシス曲線)を得る。即ち、図5(c)に示されているようにpw1で−Vxのパルスを印加し、期間pw2及びその他の期間には0を印加し、Vxの値を変化させてpw2終了時の光透過率をプロットする。すると、この曲線は図1(a)に点線で示したように極めて明確な閾値Ftxを示す。この閾値|Ftx|を強誘電真性閾値と呼ぶことにすると、この強誘電真性閾値が強誘電状態への転位が始まる閾値であり、従来のなだらかに光透過率が上昇していた部分は急速応答する非安定状態への転位によるものであったと考えられる。
本発明者は例えば図5(c)に於いてVx=VMとした場合の期間pw2終了時点の光透過率が、図1(a)の前記強誘電真性閾値Ftxに於ける光透過率とほぼ等しいかやや大きい値であることを確認した。即ち、VMはほぼFtxに等しいことが分かった。
しかし、これは本発明に於いて必ずしも先行駆動期間に於いて合成電圧を|Ftx|とする事を意味しない。前記したように先行駆動期間の長さを変更すれば印加すべき合成電圧の大きさも変化するからである。例えば、|Ftx|の値は図1(b)に示されているように、先行駆動期間の長さがt1とt2のように異なれば|Ftx|の値も|Ftx1|と|Ftx2|となり異なった値となる、
しかしながら、この関係を利用して先行駆動期間に液晶に印加される合成電圧の値を調整することができる。例えば、電源装置との関係で特定の電圧値に設定したい場合、先行駆動期間の長さを調整することによって先行駆動期間に液晶に印加される合成電圧を所望の値に設定することができる。反対に、先行駆動期間の長さを調整したい場合、例えば短くしたい場合、合成電圧の値を高く設定すればよい。
以下図面により本発明の方法により得た最適先行駆動電圧を用いた本発明反強誘電液晶表示装置の実施形態について説明する。特に必要がない限り説明は第1フレームについてのみ行い、単に印加電圧の極性が異なるだけの第2フレームについては説明を省略する。
本発明は、振幅変調方式(波高値階調)あるいはパルス幅変調方式(パルス幅階調)による多階調表示を行う場合にも、また実施形態に示す以外の他の類似の駆動波形を用いて駆動する場合にも同様の効果を得ることが出来る。
なお以下|V2|は上記の最大明状態を与える表示信号電圧とする。従って波高値階調表示に於いては表示信号として|V2|以下の振幅の表示信号が混在する事になる。またパルス幅階調表示に於いては選択駆動期間に於ける表示信号が+V2と−V2を含む事になる。
図6は第1の実施の形態を示し、着目画素に関する駆動波形図及び光透過率の変化を示す図である。この実施形態に於いては選択期間twの前半分の期間をtw1、後ろ半分の期間をtw2としたとき、第1フレームF1に於ける該期間tw1、tw2、保持期間tk、緩和期間tsに於いて走査信号及び表示信号が採るべき電圧を表すと次のようになる。
この場合|V4|の値は|V4+V2|が、前記図5(a)に於いてVz=V1+V2、pw1=tw1、pw2=tw2とした場合に於ける|VM|と等しくなるように設定する。
上記の実施形態において、V1=22V、V2=5V、V3=7.2V、V4=13Vである。
本実施形態に於いてはtw1は前記補償信号期間であり、従って選択駆動期間tw2に先行する先行駆動期間は補償信号期間tw1の全部となる。
着目する画素と同じ列上の全ての画素が明状態を示す場合(L100)について説明する。図6の第1フレームに於いて選択期間twの補償信号期間tw1に印加する−(V4+V2)の電圧により反強誘電状態にある液晶は前記急速応答により(−)側の非安定状態に移行し始め、徐々に光透過率が増加し、該補償信号期間の終了時に於いてほとんどの液晶は(−)強誘電状態へ転位する直前にある。選択駆動期間tw2に於いて(V1+V2)なる電圧が印加されると、(−)側の非安定状態にある液晶は従来より大きな力を受け、急激に(+)強誘電状態に向かい、中立状態を経過して明状態を示すようになる。保持期間tkでは(V3−V2)及び(V3+V2)の電圧が交互に印加されるが、該保持期間tkの間は明状態が保持される。次に緩和期間tsでV2、−V2が印加されると、液晶状態は強誘電状態から反強誘電状態に安定する。
画素が暗状態を示す場合(L0)について説明する。表示する画素以外も暗状態とする。図5の第1のフレームに於いて選択期間tw中の補償信号期間tw1に印加する−(V4−V2)の電圧が十分小さければ前記急速応答による光透過率の変化も生じない。選択駆動期間tw2、保持期間tk、及び緩和期間tsに液晶に印加される電圧の絶対値が強誘電閾値電圧|Ft|より小さければ、液晶状態は反強誘電状態が維持され光透過率は低いままであり暗状態を示す。
図5(a)より明らかな通り補償信号期間tw1に印加する電圧はVMより低くても、強誘電飽和時間trを速めることが出来るので、安全をみて補償信号期間tw1に印加される合成電圧(V4+V2)をVMより若干低く設定しても良い。また、第1実施形態ではV3<V4<V1となっていが、選択期間twと反強誘電性液晶パネルの特性によりこれらの関係は異なっても良い。
図6に示す実施形態に於いて階調表示を行う場合は、先行駆動期間に於ける合成電圧の振幅(振幅変調方式の場合)又はパルス幅(パルス幅変調方式の場合)が表示信号によって変化する事になり、最大明状態を表示する場合と異なる事になるが、この場合の効果は先行駆動期間に於いて図5(a)に於いてVx<VMとした場合に相当、階調−電圧曲線に多少の変化を生じるのみであるから、この変化を見込んだ制御を行えば動作的に何らの問題も生じる事はない。なお階調表示を行う場合において、本発明で言う最大明状態とは、すなわち最も明るい階調に他ならない。
図7は第2の実施の形態を示す、着目画素に関する駆動波形図及び光透過率の変化を示す図である。この実施形態に於いては選択期間twは等しい長さの補償信号期間tw1と選択駆動期間tw2に分けられ、先行駆動期間tw3は選択駆動期間tw2に先行して補償信号期間tw1の一部に設けられる。すなわち図6の実施形態では先行駆動期間は補償信号期間tw1の全部で有ったが、本実施形態では補償信号期間tw1の一部が先行駆動期間として利用される。
第1フレームF1に於ける期間tw1−tw3、tw3、tw2、保持期間tk、緩和期間tsに於いて走査信号及び表示信号が採るべき電圧を表すと次のようになる。
この場合|V4|の値は、表示信号電圧が補償信号期間tw1に於いて+2、選択駆動期間tw2に於いて−V2である場合に、該期間tw2に於ける光透過率の立ち上がり時間が最短となるように設定する。当然ながら|VM|の値は先行駆動期間が短くなった分、図6の場合より大きくなる。この場合、|V4|=|V1|として先行駆動期間tw3の長さを調節し、結果的に|VM|=|V1|となるようにすれば、必要電源数を少なくする事ができ、更に都合が良い。
図8は第3の実施の形態を示す、着目画素に関する駆動波形図である。この実施形態に於いては選択期間twは等しい長さの補償信号期間tw1と選択駆動期間tw2に分けられ、先行駆動期間tw3は選択駆動期間tw2に先行して補償信号期間tw1の後に設けられる。すなわち図6、図7の実施形態では先行駆動期間は補償信号期間tw1の内部で有ったが、本実施形態では補償信号期間tw1の外部に先行駆動期間が設けられる。
第1フレームF1に於ける該期間tw1、tw3、tw2、保持時間tk、緩和期間tsに於いて走査信号及び表示信号が採るべき電圧を表すと次のようになる。
この場合|V4|の値は、表示信号電圧が補償信号期間tw1に於いて+V2、選択駆動期間tw2に於いて−V2である場合に、該期間tw2に於ける光透過率の立ち上がり時間が最短となるように設定する。当然ながら|VM|の値は先行駆動期間tw3の長さにより、図6の場合より大きくなる場合も有るし短くなる場合もある。しかしながら先行駆動期間tw3が長くなると、その分補償信号期間tw1、選択駆動期間tw2が短くなる事になるから、|V4|を大きくして先行駆動期間tw3を出来るだけ短く設定する事が望ましい。この場合、|V4|=|V1|として先行駆動期間tw3の長さを調節し、結果的に|VM|=|V1|となるようにすれば、必要電源数を少なくする事が出来、更に都合が良い。
図8に示す実施形態に於いては、先行駆動期間tw3に於いて液晶に印加される電圧が、表示信号によらず常に一定とする事が出来るため、階調表示を行う場合に線形性を得やすい。
図9は第4の実施の形態を示す、着目画素に関する駆動波形図である。この実施形態は前記図4に示した駆動方式について本発明を実施したものである。選択期間twはtw0及び互いに等しい長さの補償信号期間tw1と選択駆動期間tw2に分けられる。そして該期間tw0が緩和期間tsとして利用されるが、tw0の長さはtw1、tw2と異なった長さとする事が出来る。
先行駆動期間tw3は上記第1から第3の実施形態に示したと同様に
(a)選択駆動期間tw2に先行して補償信号期間tw1の全部を利用する。
(b)選択駆動期間tw2に先行して補償信号期間tw1の一部を利用する。
(c)選択駆動期間tw2に先行して補償信号期間tw1の後に新たに設ける。
のいずれの方法をも用いる事が出来るが、図9の実施形態では上記(b)の先行駆動期間tw3を補償信号期間tw1の一部とし、かつ該先行駆動期間tw3に於ける走査信号電圧の大きさを|V1|とした実施形態を示している。
第1フレームF1に於ける期間tw0、tw1−tw3、tw3、tw2、保持期間tkに於いて走査信号及び表示信号が採るべき電圧を表すと次のようになる。
この場合先行駆動期間tw3の長さは、表示信号電圧が補償信号期間tw1に於いて+V2、選択駆動期間tw2に於いて−V2である場合に、該期間tw2に於ける光透過率の立ち上がり時間が最短となるように設定する。この場合、|V4|=|V1|として設定した事になり、結果として、必要電源数を少なくする事が出来る。
上記の各実施形態は選択電圧が期間tw2に於いて印加される場合について示したものであるが、本発明は期間tw1に選択電圧を印加するような場合にも実施する事が出来る。
図10は第5の実施形態を示す駆動波形図であり、この実施形態に於いては期間tw1に選択電圧が印加される。そして先行駆動期間tw3は該期間tw1の前に設けられる。
第1フレームF1に於ける期間tw3、tw1、tw2、保持期間tk及び緩和期間tsに於いて走査信号及び表示信号が採るべき電圧を表すと次のようになる。
この場合先行駆動期間tw3の長さは任意で良いが、出来るだけ短くする方が望ましい。|V4|の値は前記第1の手段に基づき、表示信号電圧が選択駆動期間tw1に於いて−V2、補償信号期間tw2に於いて+V2dである場合に、該期間tw1に於ける光透過率の立ち上がり時間が最短となるように設定する。前記した場合と同様に、|V4|=|V1|として期間tw3の長さを設定しても良い。
また、補償信号期間tw2に於ける走査信号電圧Vjは|Vj+V2|が強誘電閾値電圧|Ft|を越えないような、どの様な値でもとる事が出来る。しかし図10に実線で示したように0とするか、又は破線で示したように保持電圧V3とする事が電源数が増加しないので便利である。
図10に示す実施形態は前記図9に示した実施形態と同様に階調表示を行う場合に線形性を得やすい。
図10に於いてはフレームF1は先行駆動期間tw3の開始時点から始まるものとして示したが、見方を変えると先行駆動期間tw3の終了時点から始まるものとして再定義する事も可能である。この場合該期間tw3は緩和期間tsの最後に位置する事になる。しかしその場合であっても選択駆動期間tw1に先行する期間である事に相違はない。
上記第1から第5の実施形態に於いて、期間tw2の長さが最大明状態を得るのに十分なものとなり、更に余裕が得られるので有れば、選択駆動期間において最大明状態を表示する際の光透過率の立ち上がり時間がほぼ該選択駆動期間と等しくなるように選択駆動期間における前記合成電圧の値を設定する。そうすれば、|V1|、|V2|等につき、電圧値を下げて駆動回路の負担を減少させ、あるいは駆動のための電力を減少させる事が出来る。
次に発明者が本発明の実施に用いた液晶パネルについて、温度を変化させる図5の光透過率曲線を詳細に調べたところ、|VM|なる電圧が温度依存性を有している事を確認した。
図11は第6の実施形態を示し、図11(a)は走査信号電圧の値を温度変化に応じて変化させるための回路構成を示すブロック図であり、図11(b)は温度特性図である。図11(a)に於いて反強誘電性液晶パネル1の走査信号が印加される行電極は行電極駆動回路2に接続され、表示信号が印加される列電極は列電極駆動回路3に接続される。該行電極駆動回路2には電源回路4から液晶パネルの行電極を駆動するため必要な電圧±V1、±V3、±V4の他、行電極駆動回路2の動作に必要な電圧が供給される。該列電極駆動回路3には電源回路4から液晶パネルの列電極を駆動するため必要な電圧±V2の他、列電極駆動回路3の動作に必要な電圧が供給される。
制御回路5は表示データ発生源7からの情報に基づいて前記行電極駆動回路2及び列電極駆動回路3に信号を供給し、該行電極駆動回路2及び列電極駆動回路3はそれぞれ与えられた信号を基に、前記液晶パネル1に±V1、±V3、±V4の電圧で構成される走査信号及び±V2で構成される表示信号を供給する。
温度補償手段6は前記液晶パネル1又は該液晶パネル1の近傍の温度を検出し、この結果に基づいて前記±V1、±V2、±V3、±V4の内、少なくとも±V4を変化させ、常に選択駆動期間に於いて最大明状態を表示する際の光透過率の立ち上がり時間がほぼ最短となるようにする。但し|V4|の値が許容される値を越えるような温度範囲、又は許容される電圧範囲内では本発明の効果が明確には得られない温度範囲については|V4|を一定値(0を含む)としても良い。また他の電圧の値によっては、温度範囲によって、V4の極性が変化する場合もあり得る。
図11(b)は上記図11(a)の構成による温度補償手段により温度に依存して前記走査信号の先行駆動期間に於ける電圧|V4|、選択駆動期間に於ける電圧|V1|、及び保持期間に於ける電圧|V3|を変化させる場合を示す。V4は温度上昇と共にその電位を低下させ、−V4は温度上昇と共にその電位を上昇させる。
この場合、低温側では最適な|V4|の値が大きくなりすぎて、|V1|の値を越えてしまう事が考えられる。その様な温度では例えば|V4|=|V1|としても良いし、またその結果本発明の効果が得られないので有れば|V4|=0としても良い。また図7、図8に示した実施形態の場合は期間tw3の長さを切り替えて最適電圧が小さくなるようにしても良い。
図11(c)は例えば図7、図8、図9に示す実施形態に於いて、期間tw3の長さを細かく温度補償する例を示す。破線で示す様に適当な温度範囲で荒く温度補償しても良い。勿論同時に|V1|、|V2|、|V4|の値について温度補償しても良い。
図11(b)、図11(c)に示した特性図は固定的なものではない。異なる特性の液晶パネルを用いると、各温度に対する電圧値の最適値も異なるから、個々の値あるいは両者の相対的な関係は異なるものとなるのは当然であり、液晶パネルの特性に合わせて最適な温度補償を行う事は言うまでもない。しかしながら本発明に用いた液晶パネルに於いては、最適な|V4|の温度による変化と、液晶の強誘電閾値電圧|Ft|及び強誘電飽和電圧|Fs|、並びに反強誘電閾値電圧|At|及び反強誘電飽和電圧|As|の温度変化との間に強い相関関係が有る事が確認された。そして各温度に於ける選択電圧|V1|、最大表示信号電圧|V2|、保持電圧|V3|等の最適値もまたこれらの閾値電圧、飽和電圧の温度特性と密接に関係している。すなわち最適な|V4|は各閾値電圧、飽和電圧の温度特性を介して前記選択電圧|V1|、最大表示信号電圧|V2|、保持電圧|V3|等の最適電圧値と密接に関係している。
そこで|V4|を温度補償すると同時に他の電圧値についても温度補償する場合には、当該他の電圧値と一定の関係を有するように|V4|を温度補償すれば温度補償回路が簡単化される。
発明者は各温度に於ける最適な|V4|の値と最適な他の電圧との関係を調査した。その結果、調査した液晶パネルに於いては|V4|=|V1/k1+γ1|、|V4|=|V2/k2+γ2|、又は|V4|=|V3/k3+γ3|、(|γ1|≧0、|γ2|≧0、|γ3|≧|0)なる近似が比較的良い結果を得る事を確認した。
図11(d)は|V4|=|V3/k3+γ3|により|V4|を得るための回路の一部を示し、(R1/γ)=k3、(VDD・r)/R2=γ3となるようにr、R1、R2を設定すれば良い。VDDは適当な電源電圧である。
前述のようにこの発明は上記の実施形態に示した駆動方法とは異なる駆動方法においても実施する事が出来る。例えば上記の実施形態では補償信号期間と選択駆動期間は等しいものとして説明したが、補償信号期間の長さを短くし、補償信号期間の表示信号電圧の絶対値を大きくし、等価的に選択駆動期間に於ける表示信号が他の行に与える影響を補償するようにすれば、その分選択駆動期間の幅を広げられ、又は選択期間の長さをより短く出来る事になり、更に課題を解決しやすくなる。
上記説明は一部に仮説に基づく部分が有るが、本発明は図5に示した調査の結果に基づくものであり、上記仮説の可否は本発明に何等影響を与えない。
本発明は、複数の列電極と複数の行電極を有する反強誘電性液晶表示パネルを用いた液晶表示装置において、最適先行駆動電圧を得る方法、及び、これを用いた反強誘電性液晶表示装置に関する。
背景技術
反強誘電性液晶は液晶に印加する電圧を無電圧(零)で放置すると反強誘電状態に安定する。以下この安定状態を中立状態という。反強誘電性液晶パネルは該中立状態で暗表示するようにも、明表示するようにも構成でき、本発明はそのいずれにも対応するものである。以下の説明は中立状態で暗表示をするものについて説明するが、中立状態で明表示をするものについては以下の説明に於いて「明」と「暗」を入れ替えて読むものとする。
一般的に反強誘電性液晶には反強誘電状態(暗状態)と強誘電状態(明状態)の2つの状態があり、全体が反強誘電状態にある液晶パネルに電圧を印加すると、先ず微小な部分で強誘電状態へ相転位が起こり、時間と共に強誘電状態へ相転位する部分が増加し、最終的に全体が強誘電状態へ相転位し、飽和強誘電状態になると説明されている。
同様にして全体が強誘電状態にある液晶パネルに0電圧を印加すると、先ず微小な部分で反強誘電状態へ相転位が起こり、時間と共に反強誘電状態へ相転位する部分が増加し、最終的に全体が反強誘電状態へ相転位し、中立状態になると説明されている。
図1(a)は反強誘電性液晶の印加電圧に対する光透過率を示す図の一例であり、横軸に印加電圧、縦軸に光透過率を示す。
点Oで中立状態にある液晶に正の電圧を印加していくと、電圧Ftで急激に透過率が高くなり、電圧Fsでほぼ最大透過率に達し飽和した強誘電状態となる。この後、より高い電圧を印加しても光透過率はさほど変化しない。次に印加電圧を徐々に減少させると、電圧Atで急激に透過率が低くなり、電圧Asで透過率がほぼ零になり反強誘電状態に戻る。同様に電圧を0Vより負の電圧を印加していくと、−Ftで急激に透過率が高くなり−Fsでほぼ最大透過率に達し飽和した強誘電状態となる。この後、印加電圧を徐々に0Vに近づけると、−Atで急激に透過率が低くなり、−Asで透過率がほぼ0となり、反強誘電状態に戻る。上記のように、液晶の強誘電状態には正電圧印加による場合と負電圧の印加による場合とがあるが、以下前者の場合を(+)強誘電状態、後者の場合を(−)強誘電状態とする。また│Ft│を強誘電閾値電圧、│Fs│を強誘電飽和電圧、│At│を反強誘電閾値電圧、│As│を反強誘電飽和電圧と呼ぶ事にする。
なお前記の強誘電閾値電圧│Ft│、強誘電飽和電圧│Fs│、反強誘電閾値電圧│At│及び反強誘電飽和電圧│As│のそれぞれの値は(+)強誘電側と(−)強誘電側とで若干異なる場合があるが、簡単のため以下の説明は両者が等しいものと仮定して行う。必要に応じ(+)強誘電側と(−)強誘電側とで駆動電圧に補正を加える事は本発明の範囲に含まれる。
図1(a)に示す印加電圧に対する光透過率特性の曲線(ヒステリシス曲線)は、一般には、時間に対する電圧の変化の割合の絶対値、すなわち│dV/dt│が一定な三角波状の電圧を印加して得る事が多い。しかしこの場合│dV/dt│の値を変えるとヒステリシス曲線の形状も変化し、前記As、Ft、Fs、At等の値も変化してしまうため、これらの値を明確にするには上記│dV/dt│の値を規定する必要がある。しかし本発明者はより実際の駆動状態に即した値を得るため、以下の方法(時間固定法1とする)により図1(a)を得る事とした。
使用温度に於いて対象とする表示装置に選択電圧(後述する)を印加する期間の長さをWtとする。
(1)安定した反強誘電状態(中立状態)にある液晶に時間幅がWtで電圧値がVxなるパルス電圧を印加し、該パルス電圧印加終了時に於ける光透過率の値とVxの関係を描画する。Vxの値を変化させてこの操作を繰り返すと図1(a)に於ける点OからFtを経由してFsに至る曲線及び点Oから−Ftを経由して−Fsに至る曲線が得られる。
(2)次に液晶に上記│Fs│以上の電圧を印加して飽和強誘電状態としておき、時刻0に印加電圧を│Vz│に減少させて想定する緩和期間(後述する)経過後の光透過率の値とVzの関係を描画する。│Vz│の値を変化させてこの操作を繰り返すと図1(a)に於けるFsからAt、Asを経由して点Oに至る曲線及び−Fsから−At、−Asを経由して点Oに至る曲線が得られる。
液晶パネルによっては上記(2)の場合に於いて得られる曲線(図1(a)に於いてFs又は−Fsから点Oに向かう曲線)が縦軸と交差する場合がある。その主たる原因は液晶の応答性によるものである。すなわち液晶に│Fs│以上の電圧を印加して強誘電状態に維持しておき、時刻0で印加電圧Vzを0にすると、液晶はある時間(以下緩和時間tnという)を経過した後、最終的に反強誘電状態に安定するのであるが、この緩和時間tnが前記緩和期間よりも長いと上記(2)によって得られる曲線が縦軸と交差する事になる。
このような液晶パネルは実際の駆動に於いて完全な反強誘電状態にする事が困難となり、暗表示を行うことができなくなるため著しくコントラストが低下するものと考えられる。
一般的に液晶パネルの駆動はN行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成し、各行電極には行電極駆動回路を介して走査信号を印加し、各列電極には列電極駆動回路を介して各画素の表示データに依存する表示信号(表示データに依存しない部分を含む場合もある)を印加し、該走査信号と表示信号との差の電圧(以下単に合成電圧と言う)を液晶層に印加する事により行う。全ての行電極を走査するに要する期間(1垂直走査期間)は通常1フレーム(又は1フィールド)と称される。液晶駆動に於いては液晶への悪影響(例えばイオンの偏りによる劣化等)を防ぐため、フレーム毎(又は複数フレーム毎)に駆動電圧の極性を反転する。
図2は、N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成した液晶パネルに於ける行電極、列電極、画素合成電極の波形を示す。各画素の表示状態を1列(Y1)は全ての行で白、2列(Y2)は1行目が黒でそれ以外の行は白、3列(Y3)は1行毎に黒と白、M列(YM)は全ての行で黒の表示状態とする。
N行の行電極に印加する走査信号波形は、上から下の行に向かって順次1/N時間ずつずれて印加される。M列の列電極に印加する表示信号波形は、走査信号波形と同期し、表示状態の白か黒かに応じた波形を印加する。
各画素に於ける合成電圧に着目すると、1行の白表示であるP11と黒表示であるP12では選択期間twに印加される電圧が、白表示P11は大きく、黒表示P12では小さな波形となる。2行目の白表示である画素P21は1/N時間ずれたP11合成電圧とほぼ同一波形となる。ここで、1行と2行における第1フレームF1及び第2フレームF2も1/N時間ずれることとなる。
1つの行電極に印加される走査信号に着目すると、その1垂直走査期間はN個の水平走査期間(場合により付加期間αが付加される)により構成され、この内当該行上の画素の表示状態を決定するための特別な走査電圧(選択電圧とする)を印加する水平走査期間をその行の選択期間twと称し、それ以外の水平走査期間を総称して非選択期間と言う。また、一般的に選択期間twは1フレームの期間を(N+α)で分割した期間となる。
通常、反強誘電性液晶パネルに於いては、反強誘電状態にある液晶を、選択電圧印加時に前記表示信号に基づいて反強誘電状態のまま維持するか、あるいは強誘電状態に移行させるかを決定する。このため前記選択電圧印加に先だって、液晶状態を反強誘電状態に揃えるための期間が必要であり、以下この期間を緩和期間tsと呼ぶ。選択期間tw及び緩和期間ts以外の期間は、決定された液晶状態を保持しておかなければならず、この期間を以下保持期間tkと言う。
図3は特開平4−362990号公報の図1及び図2に記載の駆動方法に基づいて、着目する任意の1画素に印加される走査信号波形Pa、表示信号波形(Pb、Pb’)、合成電圧波形(Pc、Pc’)及び光透過率(L100、L0)を示した図であり、F1とF2はそれぞれ第1フレームF1と第2フレームF2を表す。図示していないが着目する行に隣接する行には1水平走査期間だけ位相をづらせた、Paと同様な走査信号又はPaの極性を反転した走査信号が印加される。
図3はフレーム毎に上記した駆動電圧の極性反転を行っている場合を示す。図から明らかなように第1フレームF1と第2フレームF2では単に駆動電圧の極性を反転するのみであり、前記図1(a)から明らかなように液晶表示装置の動作は駆動電圧の極性に対して対称であるので、以下特に必要がある場合を除き、説明は第1フレームについてのみ行う。
また以下に図示する駆動波形、又はその説明に於いて0と表示する電位は絶対電位を意味するものではなく、単なる基準電位を意味するものであり、したがって何らかの理由により該基準電位が変動する場合には、走査信号及び表示信号も相対的に変動するものとし、また走査信号及び表示信号について電圧というときは該基準電位との電位差を言うものとする。
図3に於いて1フレームは選択期間tw、保持期間tk及び緩和期間tsの3つの期間に分けられる。該選択期間twは更に等しい長さの期間tw1とtw2とに分けられる。そして第1フレームF1に於ける走査信号Paの電圧は以下のように設定される。もちろん第2フレームF2では電圧の極性が反転される。ここで±V1が前記選択電圧であり、期間tw2の長さが前記Wtに相当する。
また表示信号は下記のように設定される。ここで*なる記号で示す部分は当該画素と同列上の他の画素の表示データに依存する事を示す。
上記選択電圧が印加される期間に於いて、選択された行上の各液晶画素は表示信号に基づいて選択的に駆動される。以下走査信号が選択電圧である期間を選択駆動期間と言う(この従来例に於いてはtw2)。
表示信号のうち実際に表示データに基づく表示を支配する部分は上記選択駆動期間に対応する部分であるが、この表示信号部分は同時に、選択された行以外の行(この従来例では保持期間tk又は緩和期間tsのいずれかの期間になっている)上の液晶画素にも印加され、これらの選択されていない液晶画素の状態に悪影響を及ぼす。
例えば図1(a)に示すヒステリシス曲線に於いてAsからFt、あるいはAtからFsまでの曲線が平坦でない場合、保持期間tkに液晶に印加される電圧が他の行上の表示信号に依存して偏ると、この期間における輝度に変化が生じてしまう。
そこでこの悪影響を補償するため、前記選択駆動期間tw2の外に期間tw1を設け、期間tw1と期間tw2とで表示信号の極性を反転し、表示信号の1水平走査期間内での平均値が0となるようにしている。
すなわち期間tw1に於ける表示信号の役割は、選択駆動期間中の表示信号が選択されていない行上の画素に与える悪影響を補償する事にある。従って以下この様な補償のために表示信号が用いられる期間を補償信号期間と呼ぶ事にする。
図3に於いてPb、Pc及びL100は着目する画素が属する列電極上の全ての画素がオン(明)状態である場合に於ける、表示信号波形、合成電圧波形及び光透過率を示す。この場合は選択駆動期間tw2に液晶に印加される電圧(合成電圧)が|V1+V2|>|Fs|(図1(a)参照)であれば液晶は強誘電状態に移行を始め、光透過率が高くなる。保持期間tkに於いては|V3−V2|>|At|であれば明状態を保持できる。緩和期間tsに於いては|V2|<|As|ならば、時間と共に透過率が低下し、強誘電状態から安定した反強誘電状態に緩和する。
また図3に於いてPb’、Pc’及びL0は着目する画素が属する列電極上の全ての画素がオフ(暗)状態である場合に於ける、表示信号波形、合成電圧波形及び光透過率を示す。この場合は選択駆動期間tw2に於ける合成電圧が|V1−V2|<|Ft|、保持期間tkに印加される電圧が|V3+V2|<|Ft|、緩和期間tsに印加される電圧が|V2|<|Ft|であれば暗状態を示すことができる。
図4は特開平6−214215号公報に記載された駆動方法に於ける、駆動波形図である。この駆動方法では1フレームは選択期間twと保持期間tkに分割される。該選択期間twは等しい長さを有する2つの期間tw1、tw2と、これらに先だつ期間tw0の3つの期間に分割される。この駆動方式では前記緩和期間tsは上記期間tw0となる。期間tw0の長さはtw1、tw2と等しいとは限らない。そして第1フレームF1に於ける走査信号及び表示信号の電圧は次のように設定される。
この特開平6−214215号公報に記載の駆動方法は、選択期間twの先頭に於ける零電圧印加期間(tw0)を緩和期間tsとするものである。また期間tw1が補償信号期間であり、期間tw2が選択駆動期間である。
上記2つの従来例に於いて、液晶の明暗を決定するために選択電圧|V1|を印加する選択駆動期間は共にtw2であるが、該期間tw2の長さが十分でないと、液晶を十分な誘電状態に移行させる事が出来なくなり、表示に支障を生ずる。すなわち安定した反強誘電状態にあって暗状態を示している液晶に、一定の電圧を印加してほぼ飽和した明状態に移行させる場合、ある程度の時間(以下、強誘電飽和時間trと呼ぶ)を必要とする。従って期間tw2が該強誘電飽和時間trより短くなると光透過率の変化は図3のL100に破線で示すように、十分な明状態を提示できなくなり、コントラストが低下する事になる。
該選択駆動期間tw2は上記特開平4−362990号公報の図1及び図2に記載の駆動方法では選択期間twの2分の1であり、前記特開平6−214215号公報に記載の駆動方法では選択期間twの2分の1より小さい値となる。そして該選択期間twの長さは一般的に1フレームの長さをFとすればtw=F/(N+α)で表されるので、前記期tw2を長くするにはフレームの長さFを大きくすればよい。しかし一般にFが20ms(50Hz)より長くなると、フリッカー現象が現れて表示品質を損ねてしまうため、1フレームの長さには制限がある。このような制限下では期間twの長さ(従って選択駆動期間tw2の長さ)は(N+α)に依存することとなり、十分なtw2の長さを得るためにはNを小さくせざるを得なくなる。
前記強誘電飽和時間trは印加する電圧によっても変化し、印加電圧を大きくすると短くなる。従って印加電圧を大きくすれば選択駆動期間tw2が短くても強誘電状態への移行が行えるようになるが、通常、前記列電極駆動回路、行電極駆動回路には最大定格があり、該定格を越える電圧を液晶に供給する事は出来ない。また前記選択電圧(|V1|)、表示信号電圧(|V2|)の大きさにも駆動上の制約があり、液晶に印加する事が出来る電圧には上限がある。
これらの制約から、結果として、フレームの長さを一定とすれば行電極の数に上限が生じ、高解像の表示装置を提供する事が困難となる。
また大きな印加電圧を必要とする事は、駆動回路の負担を増大させ、更に表示装置の消費する電力を増大させる事にもなる。
発明の開示
そこで本発明が解決しようとする課題は、前記選択駆動期間tw2に印加する電圧を上げる事なく前記強誘電飽和時間trを短くし、十分な明状態を得る事によりコントラストがより高い反強誘電性液晶表示装置を提供すること、あるいは選択期間を短くする事により、解像度がより高い反強誘電性液晶表示装置を提供を可能にすること、更に駆動電圧を低くして消費電力がより小さい反強誘電性液晶表示装置を提供することである。
発明者は、N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成し、前記N行の行電極とM列の列電極により行列配置された複数の画素により表示を行う液晶表示器と、前記行電極に走査信号を印加する行電極駆動手段と、前記列電極に表示信号を印加する列電極駆動手段を備え、前記行電極には表示状態を決定する選択期間内に選択電圧を印加する選択駆動期間を有する走査信号を順次供給し、前記液晶画素に前記走査信号と前記表示信号の合成電圧を印加して表示操作を行う反強誘電性液晶表示装置において、前記選択駆動期間に先行し隣接する先行駆動期間を設け、該先行駆動期間と前記選択駆動期間に液晶に印加される前記合成電圧の極性が異なるように前記行電極駆動手段が各行電極に対し走査信号を供給した場合、前記選択駆動期間に液晶に印加される合成電圧の値が同じであっても、前記先行駆動期間において液晶に印加される合成電圧の値によって、前記強誘電飽和時間tr、即ち、最大明状態を表示する際の光透過率の立ち上がり時間が異なることを見出した。
そこで、本発明は上記反強誘電性液晶表示装置において、前記先行駆動期間が一定の場合、前記強誘電飽和時間trが最も短くなる該先行駆動期間において液晶に印加される合成電圧の値(以下最適先行駆動電圧と言う)を求める方法を提供する。
また、本発明は、上記最適先行駆動電圧を用いた反強誘電性液晶表示装置を提供する。
ただしここで言う最大明状態は表示装置として使用する最大の明状態を言うのであって、必ずしも完全に飽和した明状態を指すものではない、以下に於いて同様である。
本発明によると、選択駆動期間において印加される電圧(合成電圧)を一定にしたまま、先行駆動期間に印加される電圧(合成電圧)を変化させ、強誘導飽和時間trが最も短くなる電圧、即ち、最適先行駆動電圧を求める。
また、発明者は、前記最適先行駆動電圧は先行駆動期間が長ければ低くなり、短ければ高くなることを見出した。
そこで、本発明は先行駆動期間の長さを調整することにより、最適先行駆動電圧を調整出来る反強誘電性液晶表示装置を提供することである。
さらに、本発明は最適先行駆動電圧を明確に特定できる新規な方法(以下、時間固定法3と言う)により印加電圧に対する光透過率曲線を得、これに基づき最適先行駆動電圧と先行駆動期間との関係を用いて最適先行駆動電圧を調整出来る反強誘電性液晶表示装置を提供することである。
また、本発明は、少なくとも先行駆動期間に於ける走査信号電圧の値を温度変化に応じて変化させて温度補償し、温度変化に対しても最適の状態で駆動できるような反強誘電性液晶表示装置を提供することである。
発明の効果
上記の如く本発明によれば、暗状態から明状態に移行する時間を短く出来るので、選択期間tw内で良好な明表示を提示出来、コントラストの高い反強誘電性液晶表示装置を提供出来る。また、選択期間twを短く出来るので、従来より高解像度の反強誘電性液晶表示装置を提供出来る。また、選択電圧印加時の合成電圧を小さくできるので行電極駆動回路、列電極駆動回路の耐圧を低く設定でき、低消費で低コストの反強誘電性液晶表示装置を提供する事が可能となる。さらに、最適先行駆動電圧の値を調整できるので、上記効果を維持したまま種々の要件に対応した反強誘電性を提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、反強誘電性液晶パネルの印加電圧に対する光透過率の変化を示す図である。
図2は、N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成した液晶パネルにおける行電極、列電極、画素合成電極の波形を示す図である。
図3は、従来の駆動方法を示す駆動波形と光透過率を示した図である。
図4は、従来の駆動方法による駆動波形を示した図である。
図5は、本発明を説明するための印加電圧を変えたときの光透過率の変化を示した図である。
図6は、本発明液晶表示装置の第1の実施形態を示す駆動波形と光透過率を示した図である。
図7は、本発明液晶表示装置の第2の実施形態を示す駆動波形と光透過率を示した図である。
図8は、本発明液晶表示装置の第3の実施形態を示す駆動波形図である。
図9は、本発明液晶表示装置の第4の実施形態を示す駆動波形図である。
図10は、本発明液晶表示装置の第5の実施形態を示す駆動波形図である。
図11は、本発明液晶表示装置の第6の実施形態を示すブロック図、特性図である。
発明の詳細な説明
本発明者は図3に示す駆動方法に於いて、各駆動電圧を変化させて前記強誘電飽和時間trについて調査した。この場合、期間tw2(選択駆動期間)に液晶に印加される合成電圧は|V1|+|V2|であり、|V1|と|V2|のいずれを変化させても該合成電圧を変化させる事が出来る。この調査に於いて、合成電圧が同一であっても前記強誘電飽和時間trが異なる場合がある事が分かった。即ち、|V1|+|V2|を一定にしても|V2|の値、即ち、期間tw1に液晶に印加される電圧によって強誘電飽和時間trが異なるのである。発明者はこの現象が期間tw1に於ける液晶状態の影響によるものと推定し、強誘電飽和時間trが最も短くなる期間tw1において液晶に印加される電圧を求める方法を発明した。
以下に本発明による方法を説明する。
図5(a)は調査において印加電圧波形と光透過率の変化を示す図である。図5(a)に於いて選択駆動期間に先行しかつ隣接する期間pw1(先行駆動期間に相当)には−Vxなる電圧を印加し、選択駆動期間に相当するpw2にはVzなる一定電圧を印加し、その他の期間には0を印加する。この場合、該電圧Vzは、前記電圧Vxを0とした場合に期間pw2で液晶が強誘電状態に十分飽和するような電圧とした。そしてVz一定のままVxの値を0、VL、VM、VH(0<VL<VM<VH)に変化させてそれぞれのVxに対応する光透過率の変化を求めた。
この結果によればpw2に印加する電圧Vzが一定でも、pw1に印加する電圧の大きさVxによって前記強誘電飽和時間trが異なり、しかも該強誘電飽和時間trが最も短くなるような最適なVxの値VM(即ち、最適先行駆動電圧)が存在することが分かる。以上が本発明による最適先行駆動電圧VMを求める方法である。従って、上記方法により求めたVMを先行駆動電圧として用いれば強誘電飽和時間trを最短にすることができる。
なお図5(a)に於いてVxが0、VL、VMの場合、期間pw2の終了後に印加電圧を0としても光透過率がしばらく飽和のまま保たれる期間があるが、ある程度の時間経過後には減少して行く。
発明者は期間pw1を様々に変化して同様の調査を行った。そして前記の最適先行駆動電圧VMは帰還pw1の長さによって変化し、期間pw1が長くなればVMの値は小さくなり、期間pw1が短くなればVMが大きくなるが、いずれの場合も該期間pw1の終了時の光透過率がほぼ一定の値となるような電圧である事を見いだした。
以下に、選択駆動期間pw2に印加する電圧Vzを一定とし、先行駆動期間pw1に印加する電圧の大きさVxを変化させた場合、強誘電飽和時間trが最も短くなるような最適なVxの値VM(即ち、最適先行駆動電圧)がなぜ存在するのかを考察する。
図5(b)は別の印加電圧波形と光透過率の変化を示す図である。先ずVx=VMとした時に光透過率が最大値に達するようにVzの値を調整した上で、該電圧Vzを一定にし、前記Vxの値を変化させた場合の光透過率の変化を示す。図5(b)から分かる事は、Vxの値がVM以外の場合には、Vzの値をより大きくしなければ期間pw2に於いて液晶を強誘電状態に飽和させる事が出来ないということである。すなわち、Vx=VMとした場合、最も低い印加電圧で液晶を強誘電状態に飽和させる事が出来る事になる。そして期間pw2で液晶を強誘電状態に飽和させるために必要なVzの値はVxをVMより大きくすると急速に大きくなって行く。
上記の現象は、期間pw2に液晶が(+)強誘電状態に向かうような一定の電圧Vzを印加した場合、液晶分子が受ける力は、液晶が中立状態にある場合よりも、むしろ(−)強誘電状態にある場合の方が大く、そこでVx=0の場合よりも、Vx>0とした方が液晶分子は大きな力を受け、状態移行の速度が上昇するのであるが、Vxがある程度以上になると、(−)強誘電状態にある液晶分子が反強誘電状態に戻るまでの時間が急速に長くなり、結果として前記(+)強誘電状態に飽和するまでの時間が急速に長くなってしまうのだ、と考えられる。
図5(c)は更に別の印加電圧波形と光透過率の変化を示す図である。図5(c)に於いて期間pw1には−Vxなる電圧を印加し、期間pw2及びその他の期間には0を印加する。Vzを0のままVxの値を前記VL、VM、VH(0<VL<VM<VH)に変化させるとそれぞれのVxに対応する光透過率の変化が得られる。
図5(a)と図5(c)を比較検討すると、図5(a)に於いては前記強誘電飽和時間trがVx≦VMでは比較的短く、Vx>VMでは急速に長くなっていく事が分かり、図5(c)に於いては期間pw1の終了後に液晶が反強誘電状態に緩和していく時間が、Vx≦VMでは比較的短く、Vx>VMでは急速に長くなっていく事が分かる。
図5(c)に於いて期間pw1終了後の光透過率の変化を子細に検討すると、印加電圧が0となってから光透過率が0の状態になっていく応答には少なくとも2つの応答が混在しているように見える。すなわち電圧変化に対し急速に0に向かう応答と、比較的緩やかに0に向かう応答である。そして期間pw1終了直後の急速な応答によると見られる光透過率の変化量は、Vx=VMの場合に最も大きく、Vx<VMの場合でもVx>VMの場合でも小さくなる。
発明者は他の調査により、光透過率の減少時だけでなく、光透過率の増大時にも早い応答(以下急速応答と言う)と遅い応答(以下遅緩応答と言う)が混在する事を確認した
Vx=VMの前後で(−)強誘電状態にある液晶分子が反強誘電状態に戻るまでに時間が大きく異なる点については上記急速応答と遅緩応答が関係していると考えられる。
急速応答と遅緩応答の関係については、現在のところ明確な説明が得られていない。しかし液晶内部に比較的容易に相転位するする部分と、そうでない部分が混在し、急速応答は比較的容易に相転位する部分の状態変化を表しているのだとの見方は、否定されるように思われる。
すなわち、光透過率が高ければ高いほど、相転位容易な部分が強誘電状態になっている確率が大きいはずであり、そうであれば印加電圧を0にした場合に、急速応答によると見られる光透過率の変化量も大きくなる筈だと考えられるのであるが、実際には例えば図5(b)に於いて期間pw2終了後の急速応答によるものと見られる光透過率の変化量は、初期の光透過率が高い場合(α)よりも初期の光透過率が低い場合(β)の方が大きく、また図5(c)に於いて期間pw1終了直後の急速応答によるものと見られる光透過率の変化量は、初期の光透過率が高いVx=VHの場合よりも初期の光透過率が低いVx=VMの場合の方が大きくなっているからである。
そこで次のように仮説を立てる。
(イ)試料とした反強誘電性液晶パネルに於いては、強誘電状態と反強誘電状態の他に、光学的に0でない光透過率を示す状態(以下簡単に非安定状態と言う)がある。ただしそれが全体的か部分的かは不明である。
(ロ)該非安定状態と反強誘電状態の相互間の状態変化は比較的容易である。
(ハ)該非安定状態と強誘電状態の相互間の状態変化は比較的容易ではない。
(ニ)反強誘電状態と強誘電状態の相互間の状態変化は容易でない。
上記の仮説に基づいて前記2つの応答について説明すると、図5(c)に於いての期間pw1にVx=VLを印加すると、反強誘電状態から前記非安定状態に状態変化する液晶部分が時間と共に増加し、光透過率が上昇する。しかし期間pw1の終了時点では非安定状態を採り得る全ての液晶部分が非安定状態とはなっていない。期間pw1が終了すると、非安定状態となっている液晶部分は容易に急速に反強誘電状態に変化する。
図5(c)に於いての期間pw1にVx=VMを印加すると、反強誘電状態から前記非安定状態に状態変化する液晶部分が時間と共に増加し、光透過率が上昇する。そして期間pw1の終了時点では非安定状態を採り得る全ての液晶部分が非安定状態となっている。期間pw1が終了すると、非安定状態となっている液晶部分は容易に急速に反強誘電状態に変化する。急速応答による光透過率の変化量はVx=VLの場合よりも大きい。
図5(c)に於いての期間pw1にVx=VHを印加すると、反強誘電状態から前記非安定状態に状態変化する液晶部分が時間と共に増加し、光透過率が上昇する。そして期間pw1の途中で非安定状態を採り得る全ての液晶部分が非安定状態となり、これらの液晶部分は時間の経過と共に更に強誘電状態に移行する。期間pw1が終了すると、強誘電状態に移行せずに非安定状態にとどまっていた液晶部分のみが容易に急速に反強誘電状態に変化する。強誘電状態に移行した液晶部分は遅緩応答により緩やかに反強誘電状態に緩和して行く。この場合急速応答による光透過率の変化量はVx=VMの場合よりも小さい。
すなわち図5(a)に於いて、Vx<VMの場合には、期間pw1の終了時点に於ける光透過率の値は前記非安定状態にある液晶部分によって得られているのであって、強誘電状態にある液晶部分はほとんどないため、緩和はすべて急速応答による。
一方図5(a)に於いて、Vx>VMの場合には、期間pw1の終了時間に於いて前記非安定状態にある液晶部分はむしろ減少し、逆に強誘電状態の液晶部分が増加する。非安定状態にある液晶部分は期間pw2に於けるVzの印加に対し極めて容易に応答するが、強誘電状態にある液晶部分は反強誘電状態に緩和するのが容易でなく、遅緩応答によるためその分時間が長くなる。従ってVx>VMとすると前記強誘電飽和時間trが急速に長くなってしまう。
すなわち、強誘電飽和時間trが最も短くなるのは、液晶がほとんど遅緩応答を生じない程度に、言い換えれば液晶がほとんど強誘電状態への転位を起こさない程度に、更に言い換えれば液晶状態がほとんど上記非安定状態への転位にとどまる程度に、上記Vxの値を大きく定めた場合であると考えられる。
そこで発明者は、N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成し、前記N行の行電極とM列の列電極により行列配置された複数の画素による表示を行う液晶表示器と、前記行電極に走査信号を印加する行電極駆動手段と、前記列電極に表示信号を印加する列電極駆動手段を備え、前記行電極には表示状態を決定する選択期間内に選択電圧を印加する選択駆動期間を有する走査信号を順次供給し、前記液晶画素に前記走査信号と前記表示信号の合成電圧を印加して表示操作を行う反強誘電性液晶表示装置において、前記選択駆動期間に先行し隣接する先行駆動期間を設け、該先行駆動期間と前記選択駆動期間に液晶に印加される前記合成電圧の極性が異なるように、かつ前記先行駆動期間において液晶に印加される合成電圧が、液晶のほとんどが強誘電状態に転位する直前状態となる値となるよう、前記行電極駆動手段は各行電極に対し走査信号を供給し、強誘電飽和時間trが最短となる反強誘電性液晶表示装置を得た。
次に、先に発明者は、前記最適先行駆動電圧VMが期間pw1の長さによって変化し、期間pw1が長くなればVMの値は小さくなり、期間pw1が短くなればVMは大きくなるが、いずれの場合も該期間pw1の終了時の光透過率がほぼ一定の値となるような電圧である事を見いだした旨を述べた。
そこで、先行駆動期間を調整することにより目的とする最適先行駆動電圧を調整出来る、本発明による反強誘電性液晶表示装置について説明する。
上記反強誘電性液晶表示装置を得るため、本発明では最適先行駆動電圧を明確に特定できる新規な方法(時間固定法3)により印加電圧に対する光透過率曲線(ヒステリシス曲線)を得、これに基づき最適先行駆動電圧と先行駆動期間との関係を用いて最適先行駆動電圧を調整できるようにするものである。
図1(a)のヒステリシス特性を得るために用いた前述の時間固定法1では、曲線O−Ft−Fsを得るのに「安定した反強誘電状態(中立状態)にある液晶に時間幅がWtで電圧値がVxなるパルス電圧を印加し、該パルス電圧印加終了時に於ける光透過率の値とVxの関係を描画する」方法を用いた。しかし、図5(c)においてこの方法によりパルス電圧印加終了時であるpw1終了時における光透過率をプロットして得た結果によれば、この方法では計測された光透過率は前記非安定状態の液晶が提示する光透過率分を含んでいる事になる。そしてこの分は印加電圧が低くなった途端急速に減少するのであるから、実際の駆動に於いて期待する輝度が得られない事になる。そこでpw1終了時でなく、この急速応答が終了した時点(図5(c)のpw2終了時点)での光透過率を再度図1(a)に書き加え、新規な印加電圧に対する光透過率曲線(ヒステリシス曲線)を得る。即ち、図5(c)に示されているようにpw1で−Vxのパルスを印加し、期間pw2及びその他の期間には0を印加し、Vxの値を変化させてpw2終了時の光透過率をプロットする。すると、この曲線は図1(a)に点線で示したように極めて明確な閾値Ftxを示す。この閾値|Ftx|を強誘電真性閾値と呼ぶことにすると、この強誘電真性閾値が強誘電状態への転位が始まる閾値であり、従来のなだらかに光透過率が上昇していた部分は急速応答する非安定状態への転位によるものであったと考えられる。
本発明者は例えば図5(c)に於いてVx=VMとした場合の期間pw2終了時点の光透過率が、図1(a)の前記強誘電真性閾値Ftxに於ける光透過率とほぼ等しいかやや大きい値であることを確認した。即ち、VMはほぼFtxに等しいことが分かった。
しかし、これは本発明に於いて必ずしも先行駆動期間に於いて合成電圧を|Ftx|とする事を意味しない。前記したように先行駆動期間の長さを変更すれば印加すべき合成電圧の大きさも変化するからである。例えば、|Ftx|の値は図1(b)に示されているように、先行駆動期間の長さがt1とt2のように異なれば|Ftx|の値も|Ftx1|と|Ftx2|となり異なった値となる、
しかしながら、この関係を利用して先行駆動期間に液晶に印加される合成電圧の値を調整することができる。例えば、電源装置との関係で特定の電圧値に設定したい場合、先行駆動期間の長さを調整することによって先行駆動期間に液晶に印加される合成電圧を所望の値に設定することができる。反対に、先行駆動期間の長さを調整したい場合、例えば短くしたい場合、合成電圧の値を高く設定すればよい。
以下図面により本発明の方法により得た最適先行駆動電圧を用いた本発明反強誘電液晶表示装置の実施形態について説明する。特に必要がない限り説明は第1フレームについてのみ行い、単に印加電圧の極性が異なるだけの第2フレームについては説明を省略する。
本発明は、振幅変調方式(波高値階調)あるいはパルス幅変調方式(パルス幅階調)による多階調表示を行う場合にも、また実施形態に示す以外の他の類似の駆動波形を用いて駆動する場合にも同様の効果を得ることが出来る。
なお以下|V2|は上記の最大明状態を与える表示信号電圧とする。従って波高値階調表示に於いては表示信号として|V2|以下の振幅の表示信号が混在する事になる。またパルス幅階調表示に於いては選択駆動期間に於ける表示信号が+V2と−V2を含む事になる。
図6は第1の実施の形態を示し、着目画素に関する駆動波形図及び光透過率の変化を示す図である。この実施形態に於いては選択期間twの前半分の期間をtw1、後ろ半分の期間をtw2としたとき、第1フレームF1に於ける該期間tw1、tw2、保持期間tk、緩和期間tsに於いて走査信号及び表示信号が採るべき電圧を表すと次のようになる。
この場合|V4|の値は|V4+V2|が、前記図5(a)に於いてVz=V1+V2、pw1=tw1、pw2=tw2とした場合に於ける|VM|と等しくなるように設定する。
上記の実施形態において、V1=22V、V2=5V、V3=7.2V、V4=13Vである。
本実施形態に於いてはtw1は前記補償信号期間であり、従って選択駆動期間tw2に先行する先行駆動期間は補償信号期間tw1の全部となる。
着目する画素と同じ列上の全ての画素が明状態を示す場合(L100)について説明する。図6の第1フレームに於いて選択期間twの補償信号期間tw1に印加する−(V4+V2)の電圧により反強誘電状態にある液晶は前記急速応答により(−)側の非安定状態に移行し始め、徐々に光透過率が増加し、該補償信号期間の終了時に於いてほとんどの液晶は(−)強誘電状態へ転位する直前にある。選択駆動期間tw2に於いて(V1+V2)なる電圧が印加されると、(−)側の非安定状態にある液晶は従来より大きな力を受け、急激に(+)強誘電状態に向かい、中立状態を経過して明状態を示すようになる。保持期間tkでは(V3−V2)及び(V3+V2)の電圧が交互に印加されるが、該保持期間tkの間は明状態が保持される。次に緩和期間tsでV2、−V2が印加されると、液晶状態は強誘電状態から反強誘電状態に安定する。
画素が暗状態を示す場合(L0)について説明する。表示する画素以外も暗状態とする。図5の第1のフレームに於いて選択期間tw中の補償信号期間tw1に印加する−(V4−V2)の電圧が十分小さければ前記急速応答による光透過率の変化も生じない。選択駆動期間tw2、保持期間tk、及び緩和期間tsに液晶に印加される電圧の絶対値が強誘電閾値電圧|Ft|より小さければ、液晶状態は反強誘電状態が維持され光透過率は低いままであり暗状態を示す。
図5(a)より明らかな通り補償信号期間tw1に印加する電圧はVMより低くても、強誘電飽和時間trを速めることが出来るので、安全をみて補償信号期間tw1に印加される合成電圧(V4+V2)をVMより若干低く設定しても良い。また、第1実施形態ではV3<V4<V1となっていが、選択期間twと反強誘電性液晶パネルの特性によりこれらの関係は異なっても良い。
図6に示す実施形態に於いて階調表示を行う場合は、先行駆動期間に於ける合成電圧の振幅(振幅変調方式の場合)又はパルス幅(パルス幅変調方式の場合)が表示信号によって変化する事になり、最大明状態を表示する場合と異なる事になるが、この場合の効果は先行駆動期間に於いて図5(a)に於いてVx<VMとした場合に相当、階調−電圧曲線に多少の変化を生じるのみであるから、この変化を見込んだ制御を行えば動作的に何らの問題も生じる事はない。なお階調表示を行う場合において、本発明で言う最大明状態とは、すなわち最も明るい階調に他ならない。
図7は第2の実施の形態を示す、着目画素に関する駆動波形図及び光透過率の変化を示す図である。この実施形態に於いては選択期間twは等しい長さの補償信号期間tw1と選択駆動期間tw2に分けられ、先行駆動期間tw3は選択駆動期間tw2に先行して補償信号期間tw1の一部に設けられる。すなわち図6の実施形態では先行駆動期間は補償信号期間tw1の全部で有ったが、本実施形態では補償信号期間tw1の一部が先行駆動期間として利用される。
第1フレームF1に於ける期間tw1−tw3、tw3、tw2、保持期間tk、緩和期間tsに於いて走査信号及び表示信号が採るべき電圧を表すと次のようになる。
この場合|V4|の値は、表示信号電圧が補償信号期間tw1に於いて+2、選択駆動期間tw2に於いて−V2である場合に、該期間tw2に於ける光透過率の立ち上がり時間が最短となるように設定する。当然ながら|VM|の値は先行駆動期間が短くなった分、図6の場合より大きくなる。この場合、|V4|=|V1|として先行駆動期間tw3の長さを調節し、結果的に|VM|=|V1|となるようにすれば、必要電源数を少なくする事ができ、更に都合が良い。
図8は第3の実施の形態を示す、着目画素に関する駆動波形図である。この実施形態に於いては選択期間twは等しい長さの補償信号期間tw1と選択駆動期間tw2に分けられ、先行駆動期間tw3は選択駆動期間tw2に先行して補償信号期間tw1の後に設けられる。すなわち図6、図7の実施形態では先行駆動期間は補償信号期間tw1の内部で有ったが、本実施形態では補償信号期間tw1の外部に先行駆動期間が設けられる。
第1フレームF1に於ける該期間tw1、tw3、tw2、保持時間tk、緩和期間tsに於いて走査信号及び表示信号が採るべき電圧を表すと次のようになる。
この場合|V4|の値は、表示信号電圧が補償信号期間tw1に於いて+V2、選択駆動期間tw2に於いて−V2である場合に、該期間tw2に於ける光透過率の立ち上がり時間が最短となるように設定する。当然ながら|VM|の値は先行駆動期間tw3の長さにより、図6の場合より大きくなる場合も有るし短くなる場合もある。しかしながら先行駆動期間tw3が長くなると、その分補償信号期間tw1、選択駆動期間tw2が短くなる事になるから、|V4|を大きくして先行駆動期間tw3を出来るだけ短く設定する事が望ましい。この場合、|V4|=|V1|として先行駆動期間tw3の長さを調節し、結果的に|VM|=|V1|となるようにすれば、必要電源数を少なくする事が出来、更に都合が良い。
図8に示す実施形態に於いては、先行駆動期間tw3に於いて液晶に印加される電圧が、表示信号によらず常に一定とする事が出来るため、階調表示を行う場合に線形性を得やすい。
図9は第4の実施の形態を示す、着目画素に関する駆動波形図である。この実施形態は前記図4に示した駆動方式について本発明を実施したものである。選択期間twはtw0及び互いに等しい長さの補償信号期間tw1と選択駆動期間tw2に分けられる。そして該期間tw0が緩和期間tsとして利用されるが、tw0の長さはtw1、tw2と異なった長さとする事が出来る。
先行駆動期間tw3は上記第1から第3の実施形態に示したと同様に
(a)選択駆動期間tw2に先行して補償信号期間tw1の全部を利用する。
(b)選択駆動期間tw2に先行して補償信号期間tw1の一部を利用する。
(c)選択駆動期間tw2に先行して補償信号期間tw1の後に新たに設ける。
のいずれの方法をも用いる事が出来るが、図9の実施形態では上記(b)の先行駆動期間tw3を補償信号期間tw1の一部とし、かつ該先行駆動期間tw3に於ける走査信号電圧の大きさを|V1|とした実施形態を示している。
第1フレームF1に於ける期間tw0、tw1−tw3、tw3、tw2、保持期間tkに於いて走査信号及び表示信号が採るべき電圧を表すと次のようになる。
この場合先行駆動期間tw3の長さは、表示信号電圧が補償信号期間tw1に於いて+V2、選択駆動期間tw2に於いて−V2である場合に、該期間tw2に於ける光透過率の立ち上がり時間が最短となるように設定する。この場合、|V4|=|V1|として設定した事になり、結果として、必要電源数を少なくする事が出来る。
上記の各実施形態は選択電圧が期間tw2に於いて印加される場合について示したものであるが、本発明は期間tw1に選択電圧を印加するような場合にも実施する事が出来る。
図10は第5の実施形態を示す駆動波形図であり、この実施形態に於いては期間tw1に選択電圧が印加される。そして先行駆動期間tw3は該期間tw1の前に設けられる。
第1フレームF1に於ける期間tw3、tw1、tw2、保持期間tk及び緩和期間tsに於いて走査信号及び表示信号が採るべき電圧を表すと次のようになる。
この場合先行駆動期間tw3の長さは任意で良いが、出来るだけ短くする方が望ましい。|V4|の値は前記第1の手段に基づき、表示信号電圧が選択駆動期間tw1に於いて−V2、補償信号期間tw2に於いて+V2dである場合に、該期間tw1に於ける光透過率の立ち上がり時間が最短となるように設定する。前記した場合と同様に、|V4|=|V1|として期間tw3の長さを設定しても良い。
また、補償信号期間tw2に於ける走査信号電圧Vjは|Vj+V2|が強誘電閾値電圧|Ft|を越えないような、どの様な値でもとる事が出来る。しかし図10に実線で示したように0とするか、又は破線で示したように保持電圧V3とする事が電源数が増加しないので便利である。
図10に示す実施形態は前記図9に示した実施形態と同様に階調表示を行う場合に線形性を得やすい。
図10に於いてはフレームF1は先行駆動期間tw3の開始時点から始まるものとして示したが、見方を変えると先行駆動期間tw3の終了時点から始まるものとして再定義する事も可能である。この場合該期間tw3は緩和期間tsの最後に位置する事になる。しかしその場合であっても選択駆動期間tw1に先行する期間である事に相違はない。
上記第1から第5の実施形態に於いて、期間tw2の長さが最大明状態を得るのに十分なものとなり、更に余裕が得られるので有れば、選択駆動期間において最大明状態を表示する際の光透過率の立ち上がり時間がほぼ該選択駆動期間と等しくなるように選択駆動期間における前記合成電圧の値を設定する。そうすれば、|V1|、|V2|等につき、電圧値を下げて駆動回路の負担を減少させ、あるいは駆動のための電力を減少させる事が出来る。
次に発明者が本発明の実施に用いた液晶パネルについて、温度を変化させる図5の光透過率曲線を詳細に調べたところ、|VM|なる電圧が温度依存性を有している事を確認した。
図11は第6の実施形態を示し、図11(a)は走査信号電圧の値を温度変化に応じて変化させるための回路構成を示すブロック図であり、図11(b)は温度特性図である。図11(a)に於いて反強誘電性液晶パネル1の走査信号が印加される行電極は行電極駆動回路2に接続され、表示信号が印加される列電極は列電極駆動回路3に接続される。該行電極駆動回路2には電源回路4から液晶パネルの行電極を駆動するため必要な電圧±V1、±V3、±V4の他、行電極駆動回路2の動作に必要な電圧が供給される。該列電極駆動回路3には電源回路4から液晶パネルの列電極を駆動するため必要な電圧±V2の他、列電極駆動回路3の動作に必要な電圧が供給される。
制御回路5は表示データ発生源7からの情報に基づいて前記行電極駆動回路2及び列電極駆動回路3に信号を供給し、該行電極駆動回路2及び列電極駆動回路3はそれぞれ与えられた信号を基に、前記液晶パネル1に±V1、±V3、±V4の電圧で構成される走査信号及び±V2で構成される表示信号を供給する。
温度補償手段6は前記液晶パネル1又は該液晶パネル1の近傍の温度を検出し、この結果に基づいて前記±V1、±V2、±V3、±V4の内、少なくとも±V4を変化させ、常に選択駆動期間に於いて最大明状態を表示する際の光透過率の立ち上がり時間がほぼ最短となるようにする。但し|V4|の値が許容される値を越えるような温度範囲、又は許容される電圧範囲内では本発明の効果が明確には得られない温度範囲については|V4|を一定値(0を含む)としても良い。また他の電圧の値によっては、温度範囲によって、V4の極性が変化する場合もあり得る。
図11(b)は上記図11(a)の構成による温度補償手段により温度に依存して前記走査信号の先行駆動期間に於ける電圧|V4|、選択駆動期間に於ける電圧|V1|、及び保持期間に於ける電圧|V3|を変化させる場合を示す。V4は温度上昇と共にその電位を低下させ、−V4は温度上昇と共にその電位を上昇させる。
この場合、低温側では最適な|V4|の値が大きくなりすぎて、|V1|の値を越えてしまう事が考えられる。その様な温度では例えば|V4|=|V1|としても良いし、またその結果本発明の効果が得られないので有れば|V4|=0としても良い。また図7、図8に示した実施形態の場合は期間tw3の長さを切り替えて最適電圧が小さくなるようにしても良い。
図11(c)は例えば図7、図8、図9に示す実施形態に於いて、期間tw3の長さを細かく温度補償する例を示す。破線で示す様に適当な温度範囲で荒く温度補償しても良い。勿論同時に|V1|、|V2|、|V4|の値について温度補償しても良い。
図11(b)、図11(c)に示した特性図は固定的なものではない。異なる特性の液晶パネルを用いると、各温度に対する電圧値の最適値も異なるから、個々の値あるいは両者の相対的な関係は異なるものとなるのは当然であり、液晶パネルの特性に合わせて最適な温度補償を行う事は言うまでもない。しかしながら本発明に用いた液晶パネルに於いては、最適な|V4|の温度による変化と、液晶の強誘電閾値電圧|Ft|及び強誘電飽和電圧|Fs|、並びに反強誘電閾値電圧|At|及び反強誘電飽和電圧|As|の温度変化との間に強い相関関係が有る事が確認された。そして各温度に於ける選択電圧|V1|、最大表示信号電圧|V2|、保持電圧|V3|等の最適値もまたこれらの閾値電圧、飽和電圧の温度特性と密接に関係している。すなわち最適な|V4|は各閾値電圧、飽和電圧の温度特性を介して前記選択電圧|V1|、最大表示信号電圧|V2|、保持電圧|V3|等の最適電圧値と密接に関係している。
そこで|V4|を温度補償すると同時に他の電圧値についても温度補償する場合には、当該他の電圧値と一定の関係を有するように|V4|を温度補償すれば温度補償回路が簡単化される。
発明者は各温度に於ける最適な|V4|の値と最適な他の電圧との関係を調査した。その結果、調査した液晶パネルに於いては|V4|=|V1/k1+γ1|、|V4|=|V2/k2+γ2|、又は|V4|=|V3/k3+γ3|、(|γ1|≧0、|γ2|≧0、|γ3|≧|0)なる近似が比較的良い結果を得る事を確認した。
図11(d)は|V4|=|V3/k3+γ3|により|V4|を得るための回路の一部を示し、(R1/γ)=k3、(VDD・r)/R2=γ3となるようにr、R1、R2を設定すれば良い。VDDは適当な電源電圧である。
前述のようにこの発明は上記の実施形態に示した駆動方法とは異なる駆動方法においても実施する事が出来る。例えば上記の実施形態では補償信号期間と選択駆動期間は等しいものとして説明したが、補償信号期間の長さを短くし、補償信号期間の表示信号電圧の絶対値を大きくし、等価的に選択駆動期間に於ける表示信号が他の行に与える影響を補償するようにすれば、その分選択駆動期間の幅を広げられ、又は選択期間の長さをより短く出来る事になり、更に課題を解決しやすくなる。
上記説明は一部に仮説に基づく部分が有るが、本発明は図5に示した調査の結果に基づくものであり、上記仮説の可否は本発明に何等影響を与えない。
Claims (10)
- N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成し、前記N行の行電極とM列の列電極により行列配置された複数の画素により表示を行う液晶表示器と、前記行電極に走査信号を印加する行電極駆動手段と、前記列電極に表示信号を印加する列電極駆動手段を備え、前記行電極には表示状態を決定する選択期間内に選択電圧を印加する選択駆動期間を有する走査信号を順次供給し、前記液晶画素に前記走査信号と前記表示信号の合成電圧を印加して表示操作を行う反強誘電性液晶表示装置であって、前記選択駆動期間に先行し隣接する先行駆動期間を設け、該先行駆動期間と前記選択駆動期間に液晶に印加される前記合成電圧の極性が異なるように前記行電極駆動手段は各行電極に対し走査信号を供給するものにおいて、前記先行駆動期間に印加される合成電圧において強誘電飽和時間trが最短となる最適先行駆動電圧|VM│を得る方法であって、前記先行駆動期間に電圧値│Vx│なる電圧を印加し、前記選択駆動期間に電圧値│Vx│と極性の異なる電圧値│Vz│なる電圧を印加し、その他の期間には電圧値0を印加し、│Vz│を一定にしたまま│Vx│の値を変化させた時、強誘電飽和時間trが最短となる│Vx│の値を│VM│とした、最適先行駆動電圧│VM│を得る方法。
- N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成し、前記N行の行電極とM列の列電極により行列配置された複数の画素により表示を行う液晶表示器と、前記行電極に走査信号を印加する行電極駆動手段と、前記列電極に表示信号を印加する列電極駆動手段を備え、前記行電極には表示状態を決定する選択期間内に選択電圧を印加する選択駆動期間を有する走査信号を順次供給し、前記液晶画素に前記走査信号と前記表示信号の合成電圧を印加して表示走査を行う反強誘電性液晶表示装置において、前記選択駆動期間に先行し隣接する先行駆動期間を設け、該先行駆動期間と前記選択駆動期間に液晶に印加される前記合成電圧の極性が異なるように、かつ前記先行駆動期間において液晶に印加される合成電圧が、液晶のほとんどが強誘電状態に転位する直前状態となり、かつ強誘電飽和時間trが最短となる最適先行駆動電圧の値となるよう、前記行電極駆動手段は各行電極に対し走査信号を供給することを特徴とする反強誘電性液晶表示装置。
- N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成し、前記N行の行電極とM列の列電極により行列配置された複数の画素により表示を行う液晶表示器と、前記行電極に走査信号を印加する行電極駆動手段と、前記列電極に表示信号を印加する列電極駆動手段を備え、前記行電極には表示状態を決定する選択期間内に選択電圧を印加する選択駆動期間を有する走査信号を順次供給し、前記液晶画素に前記走査信号と前記表示信号の合成電圧を印加して表示操作を行う反強誘電性液晶表示装置において、前記選択駆動期間に先行し隣接する先行駆動期間を設け、該先行駆動期間と前記選択駆動期間に液晶に印加される前記合成電圧の極性が異なるように、かつ前記先行駆動期間において液晶に印加される合成電圧が強誘電飽和時間trが最短となる最適先行駆動電圧│VM│となるよう前記行電極駆動手段は各行電極に対し走査信号を供給するとともに、最適先行駆動電圧│VM│の値、及び先行駆動期間の長さを調整できるようにしたことを特徴とする反強誘電性液晶表示装置。
- N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成し、前記N行の行電極とM列の列電極により行列配置された複数の画素により表示を行う液晶表示器と、前記行電極に走査信号を印加する行電極駆動手段と、前記列電極に表示信号を印加する列電極駆動手段を備え、前記行電極には表示状態を決定する選択期間内に選択電圧を印加する選択駆動期間を有する走査信号を順次供給し、前記液晶画素に前記走査信号と前記表示信号の合成電圧を印加して表示走査を行う反強誘電性液晶表示装置において、前記選択駆動期間に先行し隣接する先行駆動期間を設け、該先行駆動期間と前記選択駆動期間に液晶に印加される前記合成電圧の極性が異なるように、かつ前記先行駆動期間において液晶に印加される合成電圧が強誘電飽和時間trが最短となる最適先行駆動電圧│VM│となるよう前記行電極駆動手段は各行電極に対し走査信号を供給するとともに、最適先行駆動電圧│VM│の値を調整できるようにしたことを特徴とする反強誘電性液晶表示装置。
- N行の行電極とM列の列電極をマトリクス状に形成し、前記N行の行電極とM列の列電極により行列配置された複数の画素により表示を行う液晶表示器と、前記行電極に走査信号を印加する行電極駆動手段と、前記列電極に表示信号を印加する列電極駆動手段を備え、前記行電極には表示状態を決定する選択期間内に選択電圧を印加する選択駆動期間を有する走査信号を順次供給し、前記液晶画素に前記走査信号と前記表示信号の合成電圧を印加して表示操作を行う反強誘電性液晶表示装置において、前記選択駆動期間に先行し隣接する先行駆動期間を設け、該先行駆動期間と前記選択駆動期間に液晶に印加される前記合成電圧の極性が異なるように、かつ前記先行駆動期間において液晶に印加される合成電圧が強誘電飽和時間trが最短となる最適先行駆動電圧│VM│となるよう前記行電極駆動手段は各行電極に対し走査信号を供給するとともに、先行駆動期間の長さを調整できるようにしたことを特徴とする反強誘電性液晶表示装置。
- 請求項2から請求項5のいずれかに記載の反強誘電性液晶表示装置において、前記選択駆動期間に列電極に印加する表示信号が、選択行以外の行上の液晶画素に与える影響を補償するため表示信号を補償信号とする補償信号期間を有し、前記先行駆動期間が該補償信号期間の一部に含まれることを特徴とする反強誘電性液晶表示装置。
- 請求項2から請求項5のいずれかに記載の反強誘電性液晶表示装置において、前記選択駆動期間に列電極に印加する表示信号が、選択行以外の行上の液晶画素に与える影響を補償するため表示信号を補償信号とする補償信号期間を有し、前記先行駆動期間が該補償信号期間の全部としたことを特徴とする反強誘電性液晶表示装置。
- 請求項2から請求項5のいずれかに記載の反強誘電性液晶表示装置において、前記選択駆動期間に列電極に印加する表示信号が、選択行以外の行上の液晶画素に与える影響を補償するため表示信号を補償信号とする補償信号期間を有し、前記先行駆動期間を該補償信号期間以外の期間としたことを特徴とする反強誘電性液晶表示装置。
- 請求項2から請求項5のいずれかに記載の反強誘電性液晶表示装置において、強誘電飽和時間trがほぼ前記選択駆動期間と等しくなるように該選択駆動期間に於ける前記合成電圧の値を設定したことを特徴とする反強誘電性液晶表示装置。
- 請求項2から請求項5のいずれかに記載の反強誘電性液晶表示装置において、温度変化に応じて温度補償する手段を備えたことを特徴とする反強誘電性液晶表示装置。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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