JP3666174B2 - ショーケース冷却装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電磁弁によって冷媒の流れがオン・オフ制御されるショーケースと、複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機を総合的・合理的に制御して、商品の高鮮度管理や省エネルギー化を実現するショーケース冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来例について、図23〜図25を参照しながら説明する。図23は従来例の構成を示すブロック図である。従来例は大別して、ショーケース群1とマルチ冷凍機6から構成される。一方のショーケース群1は、ショーケース1A,1B,1C,…(以下、1A…と表記する)の全てが店舗内で並設されて一つのグループをなすもので、各ショーケース1A…はそれぞれ、蒸発器2A…、この蒸発器2A…への冷媒の流れをオン・オフ制御するショーケース用コントローラ34A…、冷媒の流れをオン・オフする操作端としての図示してない電磁弁、および、ショーケースの吹き出し空気の温度を測定する温度センサ14A…を備える。ここで、ショーケース内の温度測定箇所として、空気が吹き出す箇所が選ばれた理由は、一つには格納商品の量の多寡によって影響されない箇所であること、もう一つには制御に基づく温度変化が最も先行的に現れる箇所であるから制御上好都合なことによる。マルチ冷凍機6mは、圧縮機群19、凝縮器31、圧縮機群19の吸入冷媒圧力を測定する低圧用圧力センサ7、および測定された圧力値とその設定値の偏差に基づき圧縮機群19を選択的に運転して冷凍機能力を制御する冷凍機用コントローラ12を備える。ここで、圧縮機群19は、詳しくは図24と図25を参照しながら後述するが、複数の圧縮機が並列接続され、その選択的運転によって冷凍機能力が制御されるように構成される。
【0003】
蒸発器2A…は互いに並列接続され、この並列接続されたものに圧縮機群19と凝縮器31が直列接続され冷凍サイクルが構成される。各コントローラ34A…はそれぞれ、対応する温度センサ14Aからの温度信号とその設定値との偏差に基づいて、対応する蒸発器2A…への冷媒の流れをオン・オフ制御する。冷媒は、圧縮機群19から凝縮器31を経た後に分流して、各蒸発器2A…に流れたり、または流れるのを阻止されてから圧縮機群19に戻るように循環する。ここでは、各コントローラ34A…の制御信号を、対応する蒸発器2A…の前段に入力させるように簡略的に図示し、その冷媒の流れをオン・オフ制御することを示した。
【0004】
図24は従来例の冷凍サイクルの構成を詳細に示すブロック図である。この冷凍サイクルは、マルチ冷凍機6mに内蔵された圧縮機群19および凝縮器31と、各ショーケース1A…に内蔵された蒸発器2A…、対応する電磁弁33A…および温度膨張弁32A…とから構成される。圧縮機群19は、ここでは4個の圧縮機9A,9B,9C,9Dが並列接続されて構成され、各圧縮機9A…の選択的運転によって冷凍機能力を制御することができる。
【0005】
図25は圧縮機群19の運転パターンと冷凍機能力の対応図である。ここでは、5つの運転パターン(1),(2),(3),(4),(5) があって、各運転パターンのとき運転される圧縮機の組合わせと、そのときの冷凍機能力が示される。たとえば、運転パターン(3) の場合で説明すると、各圧縮機9A,9Bが同時運転され(○印表示)、冷凍機能力は50%である(全圧縮機が同時運転される運転パターン(5) のときを100 %として)。なお、ここでは各圧縮機が同じ能力(容量)としてあるが、一般に構成台数と、それぞれの能力は自由に選ぶことができる。
【0006】
図23において、この冷凍サイクルの制御動作は、ショーケース1A…においては、吹き出し空気温度の設定値と、温度センサ14A…による測定値の偏差に基づき、コントローラ34A…を介して蒸発器2A…への冷媒の流れをオン・オフ制御することである。つまり、偏差がプラス(測定値≧設定値)のときには、電磁弁33A…を開き(オン)、また偏差がマイナス(測定値<設定値)のときには、電磁弁33A…を閉じる(オフ)ように蒸発器2A…への冷媒の流れをオン・オフする。マルチ冷凍機6mにおいては、圧縮機群19の吸入冷媒圧力の設定値と圧力センサ7による測定値の偏差に基づき、コントローラ12を介して、圧縮機群19の運転を、図25の各運転パターンのうちから選択して冷凍機能力を制御する。ここで、吸入冷媒圧力の設定値は固定値である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来例では、ショーケース1A…の側は吹き出し口での空気温度に基づいて個別のコントローラ34A…を介して温度制御され、マルチ冷凍機6mの側は圧縮機用吸入冷媒圧力に対する固定された設定値と実際値(圧力センサ7の出力)の偏差に基づいて能力制御され、ショーケース側とマルチ冷凍機側とがそれぞれ独立的な制御方式をとっている。つまり、ショーケース側の運転情報がマルチ冷凍機側の能力制御に直接反映されないから、どうしてもマルチ冷凍機の能力制御の応答性や安定性、精度などを低下させる。そのため、吹き出し口での空気温度は変動が大きくなり、消費電力も大きくなる。このことは、商品の高鮮度維持と省エネルギー化を阻害する要因となる。
【0008】
したがって、ショーケース側の運転情報がマルチ冷凍機側の能力制御に直接反映される方式にすることが必要で、言い換えれば、ショーケース負荷に対するマルチ冷凍機能力のバランスをとるように制御することである。そのために、ショーケース負荷や、これとマルチ冷凍機能力のバランス状態、つまり適当・過不足の各状態を正確かつ容易に測定する方法が重要になる。また、商品の高鮮度維持と省エネルギー化の実現に密接に関連する別の課題として、▲1▼ショーケース運転中に冷凍機能力に対してショーケースの負荷が超過した、いわゆる過負荷状態になったとき、その検知方法と対応処置の問題と、▲2▼除霜後に急速冷却して元の状態に復帰させる問題と、▲3▼マルチ冷凍機の定格容量を必要以上に大きくしないようにショーケースの同時運転台数を制限する問題がある。
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、ショーケースとマルチ冷凍機を総合的・合理的に制御し、加えてショーケースの過負荷状態の検知方法と対応処置と、除霜後の復帰処置と、ショーケースの同時運転台数の制限を適切におこない、もって商品の高鮮度管理と省エネルギー化を実現するショーケース冷却装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの一または二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、ショーケースの運転状態に基づいて、マルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力に対する設定値を求める圧力設定値演算部と;求められた吸入冷媒圧力の設定値と実際値との偏差に基づいて、複数圧縮機の選択的運転を指令する冷凍機能力制御部と;を備える、という構成である。
【0011】
なお、ショーケースの運転状態は、電磁弁の一定時間に対するオン時間の割合である電磁弁運転率で代表されたり、電磁弁のオン・オフ周期で代表されたり、または電磁弁がオンしたときの対応する本体内所定箇所での空気温度降下速度で代表される、ことが可能である。
また、この発明は、本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの一または二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、ショーケースの運転条件に基づき、マルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力に対する設定値を求める圧力設定値演算部と;求められた吸入冷媒圧力の設定値と実際値との偏差に基づいて、複数圧縮機の選択的運転を指令する冷凍機能力制御部と;を備える、という構成である。
【0012】
なお、ショーケースの運転条件は、ショーケースの照明の点灯または消灯であったり、またはショーケースの周囲温度である、ことが可能である。
さらに、この発明は、本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの一または二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、ショーケース負荷がマルチ冷凍機能力を超えたことを検知する過負荷検知手段を備える、という構成である。
【0013】
ここで、過負荷検知手段は、マルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力と、その設定値との偏差に基づいて作動したり、本体内所定箇所の空気温度と、その設定値との偏差に基づいて作動したり、電磁弁の一定時間に対するオン時間の割合である電磁弁運転率と、その設定値との偏差に基づいて作動する、という構成であるのが好ましい。
【0014】
また、この発明での総合コントローラは、ショーケース負荷がマルチ冷凍機能力を超えたとき、予め定められた優先順にしたがって、累積的にショーケースの温度設定値を一定時間だけ一定値上げるように働く過負荷制御手段を備える、という構成である。
したがって、この発明では、過負荷検知手段によって、ショーケースの冷却負荷が冷凍機能力を超えたことを検知することができ、さらには過負荷制御手段によって、予め定められた優先順にしたがい累積的にショーケースの温度設定値を一定時間だけ、商品鮮度を維持可能な範囲内で一定値上げるようにして、過負荷状態を解消させることができる。
【0015】
なお、過負荷検知は、▲1▼冷凍機に内蔵されるインバータ圧縮機の吸入冷媒圧力の一定時間平均値がその設定値を超えることに基づくか、▲2▼各電磁弁運転率、たとえば各電磁弁運転率の平均値、または、電磁弁のうち少なくとも一定台数がその設定値を超えることに基づくか、▲3▼本体内所定箇所、たとえば空気吹き出し口での空気温度と、その設定値との偏差が所定値を超えたことに基づいておこなわれる。
【0016】
また、過負荷制御は、予め定められた優先順にしたがって、累積的にショーケースの温度設定値を一定時間だけ、商品鮮度を維持可能な範囲内で一定値上げるように働く。その優先順は、▲1▼ショーケースの機械番号に基づいて、たとえば配列順のように形式的に定められるか、▲2▼ショーケースの冷却必要度の低い順に定められるか、▲3▼平等で全ショーケース同順位に定められるか、▲4▼とくに過負荷検知が電磁弁運転率に基づくときには、電磁弁運転率の低いショーケースの順に定められる。
【0017】
さらにまた、この発明は、本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの一または二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、除霜終了に基づいて制御を急速に冷却状態に復帰させる復帰処理に切り替え、次に復帰完了に基づいて制御を通常モードに戻す切替部を備える、という構成である。
【0018】
ここで、復帰処理は、マルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力に対する設定値を急速復帰用の値にすることであったり、マルチ冷凍機における全圧縮機を同時に運転する、つまり最大冷凍機能力で冷却することであったり、または本体内所定箇所の空気温度に対する設定値をより低い設定値に変更することである、のが好ましい。
【0019】
したがって、この発明では、切替部を介して、除霜終了を示す信号に基づき、制御をいずれかの復帰処置に切り替えることによって、除霜動作をしたために温度が上がったショーケース内を急速に冷却状態に復帰させることができる。
また、この発明は、本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの一または二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、同時にオン状態にある電磁弁を所定数未満に抑える運転台数制限部を備える、という構成であるのが好ましい。なお、同時にオン状態にある電磁弁を所定数未満に抑える方式として、▲1▼所定数に達すべき電磁弁を、既にオン状態にある電磁弁のいずれかがオフ状態になるまで、オンしないでオフ状態に止め置く方式、▲2▼同時にオン状態になるべき電磁弁のうち、商品格納箇所の温度がその設定値に近い順にショーケースの電磁弁をオフ状態に止め置く方式、▲3▼同時にオン状態になるべき電磁弁のうち、予め定めた優先順位に基づきショーケースの電磁弁をオフ状態に止め置く方式、▲4▼同時にオンになるべき電磁弁のうち、運転率実績が低い順に電磁弁をオフ状態に止め置く方式、などがある。
【0020】
したがって、この発明では、運転台数制限部によって、同時にオン状態にある電磁弁を所定数未満に抑え、もってマルチ冷凍機の定格容量を年間を通して考えたとき合理的になるように抑えることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態として、実施例について以下の図面を参照しながら説明する。図1は第1の実施例の構成を示すブロック図である。図1において、ショーケース群1とマルチ冷凍機6Mの間に介在させる形で、新たに両者を総合的・合理的に制御するための総合コントローラ34を設ける。またマルチ冷凍機6Mは、従来例のマルチ冷凍機6mからコントローラ12を除いた構成である。総合コントローラ34は、電磁弁運転率演算部3と、圧力設定値演算部4と、冷凍機能力制御部5Mからなる。電磁弁運転率演算部3は、一定時間ごとにその前の一定時間に対する各電磁弁33A…(図24参照)のオン時間の割合である電磁弁運転率を求める。圧力設定値演算部4は、その求められた電磁弁運転率に基づいて、マルチ冷凍機6Mの側で運転される圧縮機群19の吸入冷媒圧力に対する次の一定時間に係る設定値(更新)を求める。冷凍機能力制御部5Mは、その求められた吸入冷媒圧力の設定値と実際の圧力との偏差に基づいて、圧縮機群19に対する次の一定時間に係る運転パターン(更新)を求め指令する。冷凍機能力制御部5Mは機能的には従来例のコントローラ12と同じであるが、総合コントローラ34に組み入れられることで装置での位置づけが高くなっている。
【0022】
ここで、圧力設定値の更新は、消費電力量が必要最小限になるように、つまりショーケース負荷と冷凍機能力が等しくなるようにおこなわれる。そのために、ショーケース負荷と冷凍機能力のバランスを見ながら、ショーケース負荷に対して冷凍機能力が不足か、適当か、過剰かを判断し、これに基づいて圧力設定値を最適に更新する。しかも、冷凍機能力とショーケース負荷のバランスを、ショーケースの電磁弁の運転率に基づいて判断する。つまり、電磁弁の運転率が低いときには、ショーケース負荷に対して冷凍機能力が過剰、電磁弁の運転率が高いときには同じく不足、電磁弁の運転率が適当なときには同じく適当、とそれぞれ判断する。ここで、電磁弁の運転率が高いか、低いか、適当かの判断は経験に基づくものである。
【0023】
図4は圧力設定値の更新に係る、圧力設定値/ショーケース運転率対応図である。これは圧力設定値を更新するための経験則で、この内容が図1の圧力設定値演算部4で実施されることになる。つまり、
(1) 少なくとも1台のショーケース(電磁弁)運転率が90%以上なら冷凍機能力は不足と判断し、圧力設定値を0.01 MPa(0.1Kg/cm2) だけ下げ(更新し)て、冷凍機能力を増加させる。
(2) 全てのショーケース(電磁弁)運転率が40〜90%なら、冷凍機能力は適当と判断し、圧力設定値をそのまま維持する。
(3) ショーケース(電磁弁)運転率が全てが90%以下で、かつ少なくとも1台が40%以下なら、冷凍機能力は過剰と判断し、圧力設定値を0.01 MPaだけ上げ(更新し)て、冷凍機能力を減少させる。
【0024】
ところで、冷凍機能力とショーケース負荷のバランスを、前記のようにショーケースの電磁弁の運転率に基づいて判断する代わりに、電磁弁が繰返しオンして冷媒の流れをオンしたときの対応するショーケースの本体内所定箇所における空気温度の平均的降下速度に基づいて判断するか、または電磁弁が繰返しオン・オフしたときの平均的オン・オフ周期に基づいて判断することもできる。これらの別の判断方法について以下に説明する。
【0025】
まず、冷凍機能力とショーケース負荷のバランスを、ショーケースの本体内所定箇所、たとえば吹き出し口での空気温度の平均的降下速度に基づいて判断する方式では、図2の総合コントローラ34Xが用いられる。この総合コントローラ34Xは、図1における総合コントローラ34の第1の変形例で、総合コントローラ34における電磁弁運転率演算部3に代えて温度降下速度演算部3Xが用いられる。この温度降下速度演算部3Xは、各ショーケースの電磁弁運転信号と、吹き出し空気の温度信号に基づいて、一定時間ごとにその前の一定時間に各電磁弁が繰返しオンして冷媒の流れをオンしたときの対応するショーケースの吹き出し空気の温度の平均的降下速度を求める。
【0026】
吹き出し口での空気温度の平均的降下速度が大きいか小さいかによって、ショーケース負荷に対して冷凍機能力が過剰か、不足か、適当かを判断することができ、その判断は次の図5に示す経験則に基づいておこなわれる。図5は圧力設定値の更新に係る、圧力設定値/吹き出し空気温度の降下速度対応図で、この内容が図2の圧力設定値演算部4で実施されることになる。つまり、
(1) 1台でも降下速度がその下限値以下になれば、冷凍機能力は不足と判断し、圧力設定値を下げて冷凍機能力を増加させる。
(2) 全てのショーケースについて、降下速度が設定範囲内であれば、冷凍機能力は適当と判断し、圧力設定値をそのまま維持する。
(3) 1台でも降下速度がその上限値以上になれば、冷凍機能力は過剰と判断し、圧力設定値を上げて冷凍機能力を減少させる。
【0027】
冷凍機能力とショーケース負荷のバランスを、ショーケースの電磁弁が繰返しオン・オフしたときの平均的オン・オフ周期に基づいて判断する方式では、図3の総合コントローラ34Yが用いられる。これは図1における総合コントローラ34の第2の変形例であって、総合コントローラ34における電磁弁運転率演算部3に代えてオン・オフ周期演算部3Yが用いられる。このオン・オフ周期演算部3Yは、各ショーケースの電磁弁運転信号に基づいて、一定時間ごとにその前の一定時間に各電磁弁が繰返しオン・オフしたときの平均的オン・オフ周期を求めることができる。
【0028】
さて、平均的オン・オフ周期が小さいか大きいかによって、ショーケース負荷に対して冷凍機能力が過剰か、不足か、適当かを判断することができ、その判断は図6に示す経験則に基づいておこなわれる。図6は圧力設定値の更新に係る、圧力設定値/電磁弁のオン・オフ周期対応図で、この内容が図3の圧力設定値演算部4で実施されることになる。つまり、
(1) 1台でもオン・オフ周期がその上限値以上になれば、それだけ冷却に時間を要したわけであるから、冷凍機能力は不足と判断し、圧力設定値を下げて冷凍機能力を増加させる。
(2) 全てのショーケースについて、オン・オフ周期が設定範囲内であれば、冷凍機能力は適当と判断し、圧力設定値をそのまま維持する。
(3) 1台でもオン・オフ周期がその下限値以下になれば、それだけ冷却が短時間におこなわれたわけであるから、冷凍機能力は過剰と判断し、圧力設定値を上げて冷凍機能力を減少させる。
【0029】
第2の実施例について図7の構成を示すブロック図を参照しながら説明する。図において、ショーケース群1とマルチ冷凍機6Mの間に介在させる形で、両者を総合的・合理的に制御するための総合コントローラ38を設ける。この総合コントローラ38は、圧力設定値演算部48と冷凍機能力制御部5Mからなる。この圧力設定値演算部48の働きは次のとおりである。一般的に、各ショーケース1A…の照明の点灯・消灯(消費電力の変動)や、各ショーケース1A…の周囲温度の変化(外部からの侵入熱量の変動)によって、ショーケースに対する冷却負荷が変化する。したがって、これに応じ冷凍機能力を増減させる必要があり、そのために圧力設定値演算部48からの圧力に係る設定値と、圧力センサ7からの圧力の実際値に基づき、冷凍機能力制御部5Mによってマルチ冷凍機6Mに内蔵された圧縮機群19の選択的運転をおこなう。
【0030】
圧力設定値演算部48は、各ショーケース1A…に設備された照明60A…に対する点灯・消灯の各指令信号と、周囲温度測定用の温度センサ61A…からの温度信号に基づいて、後述する圧縮機群19の吸入冷媒圧力に係る圧力設定値を演算して求める。なお、各温度センサ61A…は、それぞれ各ショーケース1A…に付設される形をとり、圧力設定値演算部48では、圧力設定値の演算の前にそれぞれからの温度信号の平均値が求められる。ここで、周囲温度は設置環境がとくに異なるときを除き一般には共通であるから、各温度センサ61A…のいずれか一つで代表することができる。この圧力設定値は冷凍機能力制御部5Mに伝えられ、次に詳しく述べるように、圧力設定値と圧力実際値の偏差に基づいて、圧縮機群19の運転パターンを決める、つまり選択的運転をおこなう。
【0031】
図8は圧力設定値の更新に係る、ショーケース照明の点灯時の周囲温度と圧力設定値の対応図、図9は圧力設定値の更新に係る、ショーケース照明の消灯時の周囲温度と圧力設定値の対応図である。図8において、照明点灯時には、ショーケースの周囲温度が、10〜15、15〜20、20〜22、…30〜35(℃)であるのに対応し、圧力設定値は、それぞれ 3.0、2.8 、2.6 …1.6 (kgf/cm2)のように定められ、また、図9において、照明消灯時には、ショーケースの周囲温度が、10〜15、15〜20、20〜22、…30〜35(℃)であるのに対応し、圧力設定値は、3.5 、3.3 、3.1 …2.1 (kgf/cm2)のように定められる。
【0032】
第3の実施例について、図10と図11を参照しながら説明する。この第3実施例および次の第4,第5の各実施例はいずれも過負荷検知に関する。図10は第3実施例の構成を示すブロック図で、図11はその総合コントローラの内部構成を詳細に示すブロック図である。図10において、ショーケース群1とマルチ冷凍機6Mの間に介在させて、総合コントローラ35を設ける。総合コントローラ35は、過負荷検知部43と、過負荷制御部46と、冷凍機能力制御部5Mからなる。過負荷検知部43は、ショーケースの冷却負荷が冷凍機能力を超えたことを検知し、一定時間ごとに検知動作をする。過負荷制御部46は、ショーケースの冷却負荷が冷凍機能力を超えたとき、予め定められた優先順にしたがって、累積的にショーケースの温度設定値を一定時間だけ商品鮮度を維持する範囲内で一定値上げるように働くもので、過負荷状態を解消する機能をもつ。冷凍機能力制御部5Mは、吸入冷媒圧力の設定値(固定値)と実際値(圧力センサ7の出力値)との偏差に基づいて、マルチ冷凍機6Mの圧縮機群19に対する運転パターンを定めることができる。
【0033】
図11において、過負荷検知部43は、圧力平均値演算部50と比較部51からなる。圧力平均値演算部50は、圧力センサ7からの圧力信号(圧縮機用吸入冷媒圧力)に基づいて、その圧力の一定時間平均値を求める。比較部51は、一定時間ごとに圧力の一定時間平均値と圧力設定値を比較して一定時間平均値が圧力設定値を超えたとき、過負荷と検知(判定)して検知信号を出力する。過負荷制御部46は、指令部56と優先順設定部57からなる。指令部56は、検知信号に基づいて、累積的にショーケースに対しその温度設定値を一定時間だけ、商品鮮度を維持する範囲内で一定値上げる指令を出す。優先順設定部57は、この指令信号を送出する先のショーケースの優先順を予め定めておくもので、その優先順は、ショーケースの機械番号に基づき形式的に定めたり、またはショーケースの冷却必要度の低い順、つまり冷却度合いを多少低下させても商品鮮度に影響の少ない順に定める。たとえば、「青果」「日配品」「鮮魚・精肉」などの順である。指令部56は、先に述べたように予め定められている優先順にしたがって過負荷状態が検知される限り累積的にショーケースに対し、たとえば15分間ごとに1℃だけ温度設定値を順次上げていく。ここで、状況に応じてショーケース1台ずつを順次上げていく場合もあり、2台ずつを順次上げていく場合もありうる。要するに、優先順の設定によって決まる。また、優先順を平等にして全てのショーケースの温度設定値を一斉に3時間だけ1℃上げるようにすることもできる。この指令信号に基づく過負荷解消動作によって、次の検知時点に比較部51の検知信号が停止し過負荷状態が解消したなら、過負荷制御部56の指令信号の出力を停止することになる。
【0034】
第4実施例とその変形例について、図12〜図14を参照しながら説明する。図12は第4実施例の構成を示すブロック図、図13は第4実施例における総合コントローラの内部構成を詳細に示すブロック図である。図12において、総合コントローラ36は、過負荷検知部44と、過負荷制御部47と、冷凍機能力制御部5Mからなる。次に、図13において、過負荷検知部44は、運転率演算部52と、運転率平均値演算部53と、比較部54からなる。過負荷制御部47は、指令部56と優先順指定部58からなる。運転率演算部52は、各ショーケース1A…のコントローラ34A…から出力される電磁弁運転信号を受け(図12参照)、一定時間ごとにその期間の運転率(一定時間に対する電磁弁のオン時間の割合)を求める。各運転率に基づき、運転率平均値演算部53はその平均値を求める。比較部54は、この運転率平均値とその対応する設定値を比較し、運転率平均値が設定値を超えるとき過負荷であるとして検知信号を出力する。さて、優先順指定部58は、運転率演算部52で求められた各運転率を受け、運転率の低いショーケースの順、つまり冷凍機能力に余裕のある順を定める。指令部56は、検知信号を受けると、優先順指定部58からの運転率の低いショーケースの順に指令信号、つまりショーケースの温度設定値を一定時間だけ、商品鮮度を維持する範囲内で一定値上げる指令信号を出力する。指令後に、一定時間たとえば30分経過しても過負荷状態が解消しないならば、同じ指令信号を先の優先順にしたがって順次累積してゆく形でショーケースに送出する。次の過負荷検知時に過負荷状態が解消したなら、指令信号の出力を停止することになる。
【0035】
変形例における総合コントローラ37について、図14の内部構成を詳細に示すブロック図を参照しながら説明する。図14において、過負荷検知部45は、運転率演算部52と比較部54と判定部55からなる。運転率演算部52は、前記と同様に各ショーケース1A…のコントローラ34A…から出力される電磁弁運転信号を受けて運転率を求める。比較部54は、この各運転率と対応する設定値を比較して、運転率が設定値を超えたとき信号を出力する。判定部55では、比較部54から出力される信号の個数が予め定めた一定数以上になったら、たとえば一つでも信号が出力されたら(ショーケース1台でも運転率が対応する設定値を超えたら)、過負荷状態と判定して検知信号を出力する。ショーケース1台に代えて、少なくとも2台になったとき、過負荷状態と判定して検知信号を出力するようにすることもできる。これに対する過負荷制御部47の動作は、図13のときと同じであるから、説明は省略する。
【0036】
第5実施例について、図15の構成を示すブロック図と、図16の総合コントローラの内部構成を詳細に示すブロック図を参照しながら説明する。図15において、ショーケース群1とマルチ冷凍機6Mの間に、総合コントローラ38を設ける。この総合コントローラ38は、新たな過負荷検知部48と、第3実施例におけるのと同じ過負荷制御部46および冷凍機能力制御部5Mからなる。過負荷検知部48は、詳しく後述するが、本体内所定箇所、たとえば空気吹き出し口の各温度センサ14A…で検出された空気温度と、その設定値との偏差が予め定められた所定値を超えたことに基づいて検知する方式がとられ、一定時間ごとに検知動作をする。過負荷制御部46と冷凍機能力制御部5Mは、既に述べた第3実施例におけるのと同じであるから、説明を省略する。
【0037】
図16において、過負荷検知部48は、比較部54と判定部55からなる。比較部54は、各ショーケースの吹き出し口での空気温度が、各温度センサ14A…から入力され(図15参照)、設定値と比較されて偏差が求められ、この偏差が予め定められた所定値を超えたとき、過負荷状態であると検知して信号を出力する。判定部55では、比較部54から出力される信号の個数が予め定めた一定数以上になったら、たとえば一つでも信号が出力されたら(ショーケース1台でも吹き出し口での空気温度が対応する設定値を超えたら)、過負荷状態と判定して検知信号を出力する。ショーケース1台に代えて、少なくとも2台になったとき、過負荷状態と判定して検知信号を出力するようにすることもできる。これに対する過負荷制御部46の動作は、第3実施例の図11におけるのと同じであるから、説明を省略する。
【0038】
第6ないし第8の各実施例について以下に説明する。これらの各実施例は、除霜後の急速復帰冷却(いわゆるプルダウン)に関する。図17は第6実施例の構成を示すブロック図である。総合コントローラ21は、図1に示した第1実施例のブロック図で、圧力設定値演算部4と冷凍機能力制御部5Mの間に切替部10を挿設した構成である。この切替部10は、模式的に図示したように2位置を選択的にとり得るスイッチ機構であって、破線表示の除霜終了信号▲1▼に基づいて、破線の位置をとり(切り替わり)、実線表示の復帰完了信号▲2▼に基づいて、実線の位置をとる(切り替わる)。ここで除霜終了信号▲1▼は、除霜が終了したときに出力される信号、復帰完了信号▲2▼は、冷却状態への復帰完了を示す信号で、この復帰完了に係る判定には後述するように種々な方式がある。
【0039】
除霜中は、ショーケース全体が運転を停止するから、当然ながら総合コントローラ21も動作しない。除霜が終了すると、それに応じて出力される除霜終了信号▲1▼に基づき、切替部10を介して復帰用圧力設定値(たとえば、0.1Kgf/cm2)が冷凍機能力制御部5Mに入力され、冷凍機能力を高くするように圧縮機群19を選択的に運転し、除霜処理をしたために温度が上がったショーケースを急速に冷却状態に復帰させる(復帰モード)。次に、復帰完了信号▲2▼に基づいて、切替部10は実線側に切り替わって制御を通常モードに戻すことになる。
【0040】
ここで、第6実施例での復帰処置は、圧縮機用吸入冷媒圧力を復帰用圧力設定値に切り替えることであったが、以下の第7と第8の各実施例ではそれぞれ別の復帰処置が講じられる。また、復帰完了の判定についても、種々の方式があるから詳しく後述する。
図18は第7実施例の構成を示すブロック図である。この第7実施例では、総合コントローラ22が用いられ、このときの復帰処置は、運転パターン指令を所定の復帰用運転パターン指令に切り替えることで、圧縮機群19の所定の選択的な運転によって、ショーケースを急速に冷却状態に復帰させる。次に、第6実施例におけるときと同様に、復帰完了信号に基づいて、切替部10は実線側に切り替わって制御を通常モードに戻す。また、第7実施例の変形例として、ここに図示してないが、圧縮機群19の全ての圧縮機を同時に運転させる、つまり最大冷凍機能力で冷却することを復帰処置とすることもできる。
【0041】
図19は第8実施例の構成を示すブロック図である。この第8実施例では、総合コントローラ23が用いられ、復帰処置は、ショーケースにおける吹き出し口での空気温度に係る設定値をより低い設定値に変更することで、具体的には、温度設定部11を設け、除霜終了信号▲1▼に基づいて、たとえばショーケース1Aについては、その個別のコントローラ34Aの設定値をこれまでの値より低い設定値、たとえば−4℃を−5℃に変更して温度センサ14Aの出力との偏差をとるようにし、ショーケース1Aを急速に冷却状態に復帰させる。他のショーケース1B…についても同様である。次に、全ての偏差が零になった、つまり全ての吹き出し口での空気温度が低く更新された設定温度に達したことで発生される復帰完了信号▲2▼に基づいて、変更前の設定値に戻す。
【0042】
復帰完了信号の出力手段について、図20ないし図22を参照しながら説明する。図20は復帰完了信号発生手段の第1の例のブロック図、図21は同じくその第2の例のブロック図、図22は同じくその第3の例のブロック図である。第1ないし第3の各発生手段例は、第6ないし第8の各実施例のいずれにも任意に適用可能である。
【0043】
図20において、発生手段はタイマ15で、除霜終了信号▲1▼の入力時点を起点とし、予め定めた設定時間(たとえば、1時間)の後に復帰完了信号▲2▼を出力する方式である。設定時間の経過によって機械的に復帰完了と判定する(見做す)わけである。もちろん、設定時間の決め方は十分な経験的裏付けをもっておこなわれる。
【0044】
図21において、出力手段はカウンタ16で、除霜終了信号▲1▼の入力時点を起点とし、全ての電磁弁が少なくとも設定回数(たとえば、3回)だけオフした後に復帰完了信号▲2▼を出力する方式である。全ての電磁弁が少なくとも設定回数だけオフしたことによって、冷却状態への復帰完了と判定する(見做す)わけである。もちろん、オフの設定回数の決め方は十分な経験的裏付けをもっておこなわれる。
【0045】
図22において、出力手段は温度モニタ17で、除霜終了信号▲1▼の入力時点を起点として、全ての吹き出し口の空気温度が設定値(たとえば、−4℃)以下になった(復帰した)後に、復帰完了信号▲2▼を出力する方式である。全ての吹き出し口の空気温度が設定値以下になった(復帰した)ことによって、冷却状態への復帰完了と判定する(見做す)わけである。なお、吹き出し口の空気温度に代えて、一定期間(たとえば、15分間)の平均空気温度にすることもでき、こうすることによって空気温度の変動に基づく誤った復帰判定の恐れが防止できる。
【0046】
また、ここでは図示してないが、総合コントローラに運転台数制限部を設けることによって、ショーケースの電磁弁の所定数以上が同時にオンになるべきときには、次の▲1▼〜▲4▼いずれかの方法で同時にオンする電磁弁を所定数未満に抑えることができる。この目的は、マルチ冷凍機6Mの定格容量を抑えるためである。つまり、とかく冷凍機は、その定格容量が真夏のピーク負荷時を基準に選定される結果、年間を通して考えたとき過大容量となって、占有スペースや装置コストが必要以上に大きくなり無駄となるからである。
【0047】
▲1▼所定数に達すべき電磁弁を、既にオン状態にある電磁弁のいずれかがオフ状態になるまで、オンしないでオフ状態に止め置く。つまり、そのときの実際の運転状況に応じて、次に運転したら所定数に達すべきショーケースは運転停止を継続させる方式である。
▲2▼同時にオン状態になるべき電磁弁のうち、商品格納箇所の温度がその設定値に近い順にショーケースの電磁弁をオフ状態に止め置く。つまり、十分に冷却されているショーケースから運転停止させる方式である。
【0048】
▲3▼同時にオン状態になるべき電磁弁のうち、予め定めた優先順位に基づきショーケースの電磁弁をオフ状態に止め置く。たとえば、冷却しないでも比較的許容される商品のショーケースから優先的に運転停止させる方式である。
▲4▼同時にオンになるべき電磁弁のうち、運転率実績が低い順に電磁弁をオフ状態に止め置く。つまり、これまで比較的十分に冷却されてきた実績をもつショーケースから順に運転停止させる方式である。
【0049】
【発明の効果】
この発明によれば、次のような優れた効果が期待できる。
(1) たとえば電磁弁運転率か、ショーケースの本体内所定箇所における空気温度の降下速度か、電磁弁のオン・オフ周期かのいずれかに基づいて、それぞれ想定されたショーケース負荷に対するマルチ冷凍機能力に係る情報と、マルチ冷凍機側の圧縮機用吸入冷媒圧力に係る情報を収集し、ショーケース負荷が近似的にマルチ冷凍機能力と等しくなるように、ショーケースの運転が総合的・合理的におこなわれる。したがって、マルチ冷凍機の消費電力を必要最小限に抑えることができて省エネルギー化を、また、ショーケースの所定箇所、たとえば吹き出し口での空気温度の変動幅を小さくすることができて商品の高鮮度管理を実現することができる。
【0050】
(2) 各ショーケースに設備された照明の点灯・消灯、つまり照明に係る消費電力の負荷変動を考慮して、もう一つには、各ショーケースの周囲温度、つまり外部からの侵入熱量の負荷変動を考慮して、簡略的にその冷却負荷に見合うようにマルチ冷凍機の運転が合理的におこなわれるから、省エネルギー化の支援と、ショーケース温度の変動幅を小さくすることに基づく商品の高鮮度管理を支援することができる。
【0051】
(3) 「過負荷状態」という指標に着目し、その過負荷検知と過負荷制御(解消動作)を介して、ショーケースの運転を合理的に制御することができる。したがって、周囲温度,湿度などの環境変化に対応可能であるとともに、冷凍機能力を必要最小限に抑えることができ、もって省エネルギー化と、商品の高鮮度管理を支援することができる。なお、過負荷検知方法と過負荷制御方法には、各種方式があり、いずれも簡単かつ実際的であるとともに、状況に応じた最適なものを選択可能である。
【0052】
(4) 除霜後に、ショーケース内を元の除霜前の冷却状態に復帰させるとき、その復帰時間の短縮を図り、したがって商品の高鮮度維持を図ることができる。それに加えて、復帰処置と復帰完了判定として、それぞれ種々な方式の選択肢があるから、そのときの実情に応じた最適な方式をとることができる。
(5) 運転台数制限部を設けることによって、ショーケースの電磁弁の所定数以上が同時にオンになるべきときには、既に述べたいずれかの方法で同時にオンする電磁弁を所定数未満に抑えることができる。その結果、年間を通して考えたとき合理的になるようにマルチ冷凍機6Mの定格容量を抑えることができ、さらには占有スペースや装置コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る第1実施例の構成を示すブロック図
【図2】第1実施例における総合コントローラの第1の変形例を示すブロック図
【図3】第1実施例における総合コントローラの第2の変形例を示すブロック図
【図4】圧力設定値の更新に係る、圧力設定値/ショーケース運転率対応図
【図5】圧力設定値の更新に係る、圧力設定値/吹き出し空気温度の降下速度対応図
【図6】圧力設定値の更新に係る、圧力設定値/電磁弁オン・オフ周期対応図
【図7】この発明に係る第2実施例の構成を示すブロック図
【図8】照明点灯時の周囲温度/圧力設定値対応図
【図9】照明消灯時の周囲温度/圧力設定値対応図
【図10】この発明に係る第3実施例の構成を示すブロック図
【図11】第3実施例における総合コントローラの内部構成を示すブロック図
【図12】この発明に係る第4実施例の構成を示すブロック図
【図13】第4実施例における総合コントローラの内部構成を示すブロック図
【図14】第4実施例の変形例における構成を示すブロック図
【図15】この発明に係る第5実施例の構成を示すブロック図
【図16】第5実施例の変形例における総合コントローラの内部構成を示すブロック図
【図17】この発明に係る第6実施例の構成を示すブロック図
【図18】この発明に係る第7実施例の構成を示すブロック図
【図19】この発明に係る第8実施例の構成を示すブロック図
【図20】復帰完了信号発生手段の第1の例のブロック図
【図21】復帰完了信号発生手段の第2の例のブロック図
【図22】復帰完了信号発生手段の第3の例のブロック図
【図23】従来例の構成を示すブロック図
【図24】従来例の冷凍サイクルの構成を詳細に示すブロック図
【図25】圧縮機群の運転パターンと冷凍機能力対応図
【符号の説明】
1 ショーケース群
1A,1B,1C ショーケース
3 電磁弁運転率演算部
3X 温度降下速度演算部
3Y 電磁弁オン・オフ周期演算部
4,48 圧力設定値演算部
5 冷凍機能力制御部
6M マルチ冷凍機
7 圧力センサ
10 切替部
11 温度設定部
15 タイマ
16 カウンタ
17 温度モニタ
19 圧縮機群
21,22,23 総合コントローラ
31 凝縮器
33A,33B,33C 電磁弁
34,34X,34Y 総合コントローラ
34A,34B,34C コントローラ(ショーケース個別)
35,36,37,38 総合コントローラ
43,44,45,48 過負荷検知部
46,47 過負荷制御部
50 圧力平均値演算部
51,54 比較部
52 運転率演算部
53 運転率平均値演算部
55 判定部
56 指定部
57 優先順設定部
58 優先順指定部
60A,60B,60C 照明
61A,61B,61C 温度センサ(周囲温度用)
Claims (7)
- 本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、ショーケースの運転状態である電磁弁の一定時間に対するオン時間の割合である電磁弁運転率に基づいて、マルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力に対する設定値を求める圧力設定値演算部と;求められた吸入冷媒圧力の設定値と実際値との偏差に基づいて、複数圧縮機の選択的運転を指令する冷凍機能力制御部と;を備えることを特徴とするショーケース冷却装置。
- 本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、ショーケースの運転状態である電磁弁のオン・オフ周期に基づいて、マルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力に対する設定値を求める圧力設定値演算部と;求められた吸入冷媒圧力の設定値と実際値との偏差に基づいて、複数圧縮機の選択的運転を指令する冷凍機能力制御部と;を備えることを特徴とするショーケース冷却装置。
- 本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、ショーケースの運転状態である電磁弁がオンしたときの対応する本体内所定箇所での空気温度降下速度に基づいて、マルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力に対する設定値を求める圧力設定値演算部と;求められた吸入冷媒圧力の設定値と実際値との偏差に基づいて、複数圧縮機の選択的運転を指令する冷凍機能力制御部と;を備えることを特徴とするショーケース冷却装置。
- 本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、ショーケースの運転条件であるショーケースの照明の点灯または消灯に基づいて、マルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力に対する設定値を求める圧力設定値演算部と;求められた吸入冷媒圧力の設定値と実際値との偏差に基づいて、複数圧縮機の選択的運転を指令する冷凍機能力制御部と;を備えることを特徴とするショーケース冷却装置。
- 本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、ショーケースの運転条件であるショーケースの周囲温度に基づいて、マルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力に対する設定値を求める圧力設定値演算部と;求められた吸入冷媒圧力の設定値と実際値との偏差に基づいて、複数圧縮機の選択的運転を指令する冷凍機能力制御部と;を備えることを特徴とするショーケース冷却装置。
- 本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、ショーケース負荷がマルチ冷凍機能力を超えたことをマルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力と、その設定値との偏差に基づいて検知する過負荷検知手段と、ショーケース負荷がマルチ冷凍機能力を超えたとき、予め定められた優先順にしたがって、ショーケースの温度設定値を一定時間だけ一定値上げるように働く過負荷制御手段を備えることを特徴とするショーケース冷却装置。
- 本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を制御する総合コントローラとからなり、この総合コントローラは、ショーケース負荷がマルチ冷凍機能力を超えたこと電磁弁の一定時間に対するオン時間の割合である電磁弁運転率と、その設定値との偏差に基づいて検知する過負荷検知手段と、ショーケース負荷がマルチ冷凍機能力を超えたとき、予め定められた優先順にしたがって、ショーケースの温度設定値を一定時間だけ一定値上げるように働く過負荷制御手段を備えることを特徴とするショーケース冷却装置。
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